WEBVTT 00:00:22.498 --> 00:00:26.847 壇上に出たら まず大真面目に こう言うつもりでした 00:00:27.522 --> 00:00:29.988 「皆さん いつかは死ぬんですよ」 00:00:30.046 --> 00:00:31.442 (笑) 00:00:31.489 --> 00:00:33.956 先ほどのビデオと その前のキャサリンの 00:00:34.006 --> 00:00:37.275 素晴らしいトークの後なので 皆さん きっともう十分に 00:00:37.339 --> 00:00:39.863 死という現実は承知の上ですよね 00:00:39.895 --> 00:00:40.647 (笑) 00:00:40.672 --> 00:00:42.402 だからもう それは言わずに 00:00:42.434 --> 00:00:45.704 スクリーンに映しておきます 00:00:45.894 --> 00:00:48.236 [私達はみんな死にます] 事実には違いないですから 00:00:48.246 --> 00:00:50.466 5分前よりも 死が迫ってきましたね 00:00:50.546 --> 00:00:53.926 (笑) 00:00:54.116 --> 00:00:55.917 今またちょっと近づいた アハハ 00:00:57.412 --> 00:01:00.956 私はカトリーナ・スペードといいます  医者一家で育ったので 00:01:00.980 --> 00:01:04.849 夕食の時に 死や臨終について語るのが ごく普通のことでした 00:01:05.580 --> 00:01:09.156 でも私は 家族の皆とは違って 医学の道には進みませんでした 00:01:09.180 --> 00:01:13.260 医学ではなくデザインを学ぶために 建築専門学校に入学しました 00:01:14.420 --> 00:01:15.440 そして在学中に 00:01:15.460 --> 00:01:20.380 私の肉体は死後どうなるのか 気になり始めました 00:01:20.940 --> 00:01:23.528 近親者や最愛の人は 私の亡骸をどうするんだろう? 00:01:25.060 --> 00:01:27.870 自分が いつか死ぬという事実や 死そのものには 00:01:27.880 --> 00:01:29.136 失望しないとしても 00:01:29.510 --> 00:01:33.339 葬儀に関連する現行の慣習には うんざりしてしまうでしょう 00:01:34.020 --> 00:01:38.880 こんにち アメリカ人のほぼ50%が 従来の埋葬法を選択します 00:01:39.700 --> 00:01:41.916 従来の埋葬法では まず エンバーミングといって 00:01:41.940 --> 00:01:44.716 葬儀スタッフが遺体から体液を抜き 00:01:44.740 --> 00:01:48.596 代わりに 遺体を保存し 生きているかのように見せるための 00:01:48.620 --> 00:01:50.660 混合剤を入れます 00:01:51.540 --> 00:01:55.076 それから先は ご存知のように 遺体が棺に納められ 00:01:55.100 --> 00:01:57.276 コンクリートで保護加工されたお墓に 00:01:57.300 --> 00:01:58.650 埋葬されます 00:02:00.580 --> 00:02:02.876 アメリカの墓地には すべて合わせると 00:02:02.900 --> 00:02:06.660 ゴールデン・ゲート・ブリッジを 建設するのに十分な金属や 00:02:08.220 --> 00:02:12.116 1800世帯分の家を建てるのに十分な木材や 00:02:12.140 --> 00:02:15.670 オリンピック用の水泳プール8個分を 十分に満たす量のホルムアルデヒドが 00:02:15.670 --> 00:02:17.980 たっぷり入った防腐保蔵剤が 埋まっています 00:02:19.260 --> 00:02:23.260 さらに 世界中の墓地は 収容力の限界に達しつつあります 00:02:23.820 --> 00:02:26.636 土地を永久に売り渡してしまうなんて 00:02:26.660 --> 00:02:30.196 まともなビジネスとして 成立しないですからね 00:02:30.220 --> 00:02:32.236 (笑) 00:02:32.260 --> 00:02:33.876 一体 誰が考えたんだか 00:02:33.900 --> 00:02:37.580 場所によっては どんなにお金を積んでも もう新しいお墓は買えません 00:02:38.780 --> 00:02:41.860 結果的に火葬の割合が急速に増えました 00:02:42.380 --> 00:02:47.436 お祖母さんが亡くなったら火葬にしようなんて 1950年に言ったら 00:02:47.460 --> 00:02:49.860 おそらく臨終の場から 追い出されたでしょう 00:02:50.620 --> 00:02:54.276 でもこんにちでは アメリカ人の ほぼ半数が火葬を選び 00:02:54.300 --> 00:02:56.787 理由は「簡単だから」 00:02:56.787 --> 00:02:58.196 「安いから」 00:02:58.220 --> 00:03:00.180 「エコだから」などです 00:03:01.820 --> 00:03:06.596 かつては私も火葬は 環境に優しい遺体処理法だと思っていましたが 00:03:06.620 --> 00:03:08.420 ちょっと考えてみてください 00:03:09.060 --> 00:03:11.956 火葬は 私達が本来なら死後 大地に返し得るものを 00:03:11.980 --> 00:03:14.420 破壊してしまいます 00:03:15.540 --> 00:03:19.716 遺体を灰にする過程で 多大なエネルギーを消費し 00:03:19.740 --> 00:03:22.900 大気を汚し 気候変動の原因になります 00:03:23.900 --> 00:03:26.196 アメリカで行われる火葬からは 00:03:26.220 --> 00:03:30.516 年間で合計 約2億7千万キログラムという 途方もない大量の二酸化炭素が 00:03:30.540 --> 00:03:32.340 大気に排出されます 00:03:34.180 --> 00:03:36.516 本当に恐ろしいことに 00:03:36.540 --> 00:03:40.420 地上に生を受けた私達の大半が 最期に行うのは 00:03:41.140 --> 00:03:42.350 地球を汚すことなのです 00:03:43.839 --> 00:03:46.223 [私達が地上で最期に行うことは有害です] 00:03:47.320 --> 00:03:53.016 まるで 人間の力で可能な限り 自然との距離を置く現状に至る道を 00:03:53.040 --> 00:03:55.520 死を否定しながら 切り開き 00:03:55.560 --> 00:03:58.320 良しとしてきたかのようです 00:03:58.740 --> 00:04:01.656 現代の葬儀は死後 身体に起こる自然なプロセスを 00:04:01.680 --> 00:04:04.360 先延ばしにするために作られています 00:04:04.930 --> 00:04:08.250 つまり 私達の体が分解するのを 防ぐのが目的なのです 00:04:09.520 --> 00:04:11.336 でも本当は 00:04:11.360 --> 00:04:14.100 自然は死を扱うのがとても上手なのです 00:04:15.580 --> 00:04:17.016 誰もが目にしてきたことです 00:04:17.040 --> 00:04:19.776 有機物が自然の中で死ぬと 00:04:19.800 --> 00:04:23.536 微生物や細菌に分解され 養分豊富な土となって 00:04:23.560 --> 00:04:25.220 ライフ・サイクルが完了します 00:04:25.900 --> 00:04:29.430 自然では死が生を創ります 00:04:32.100 --> 00:04:35.580 建築専門学校に在学中 ずっとこんなことを考えていてた私は 00:04:36.500 --> 00:04:39.420 新しい葬祭業の 事業計画を練り始めました 00:04:40.100 --> 00:04:42.156 地球のためになり 00:04:42.180 --> 00:04:44.036 自然を恐れるのではなく 00:04:44.060 --> 00:04:47.620 案内人として利用するシステムを 作れないだろうか? 00:04:48.840 --> 00:04:51.050 地球に負担のかからないシステムです 00:04:51.500 --> 00:04:54.196 地球は 生きている私達の 体や命そのものを 00:04:54.220 --> 00:04:56.050 養ってくれているのだから 00:04:57.260 --> 00:04:59.740 製図版に向かいながら こんな考えに耽っていると 00:04:59.740 --> 00:05:01.180 製図版に向かいながら こんな考えに耽っていると 00:05:01.700 --> 00:05:03.010 電話が鳴りました 00:05:03.620 --> 00:05:04.820 友人のケイトでした 00:05:05.740 --> 00:05:07.123 ケイトが言いました 00:05:07.153 --> 00:05:11.710 「ねぇ 知ってる? 牛を丸ごと 堆肥にしちゃう農場があるんだって!」 00:05:13.460 --> 00:05:15.595 私は唸ってしまいました 00:05:15.619 --> 00:05:17.449 (笑) 00:05:19.010 --> 00:05:23.256 調べると 農業団体の人達が 家畜の死後堆肥化というものを 00:05:23.270 --> 00:05:25.070 何十年にもわたり 実践してきたことが分かりました 00:05:25.070 --> 00:05:26.376 何十年にもわたり 実践してきたことが分かりました 00:05:26.700 --> 00:05:30.676 死後堆肥化では 窒素を多く含む動物の死体を 00:05:30.700 --> 00:05:34.050 炭素を多く含む混合堆肥で覆います 00:05:34.500 --> 00:05:37.130 好気性プロセスなので 酸素が必要ですし 00:05:37.580 --> 00:05:39.860 大量の水分も必要です 00:05:40.900 --> 00:05:42.627 最も基本的な設備では 00:05:42.651 --> 00:05:46.636 牛を 炭素を多く含む木材チップで 約1メートルの深さになるように覆い 00:05:46.660 --> 00:05:50.600 そのまま戸外に放置し 自然に委ねれば 風が酸素を提供し 00:05:51.040 --> 00:05:52.870 雨が水分を提供してくれます 00:05:53.900 --> 00:05:56.116 約9か月後には 00:05:56.140 --> 00:05:59.180 養分たっぷりの堆肥だけが残ります 00:06:00.140 --> 00:06:03.476 これで牛の体は完全に骨まで 00:06:03.500 --> 00:06:05.190 分解されたというわけです 00:06:06.620 --> 00:06:07.836 本当にそうなるんです 00:06:07.860 --> 00:06:09.356 (笑) 00:06:09.380 --> 00:06:13.556 私は間違いなく自然分解マニアですが 00:06:13.580 --> 00:06:16.660 科学者とは程遠い人間です 00:06:17.340 --> 00:06:19.156 自然分解の過程のことを 00:06:19.180 --> 00:06:23.476 「魔法」と言ってしまうくらいですから 00:06:23.500 --> 00:06:27.356 (笑) 00:06:27.380 --> 00:06:30.030 結論から言うと 人間は単に 00:06:30.780 --> 00:06:33.720 自然が役目を果たすのに 適切な環境を作るだけでいいのです 00:06:34.140 --> 00:06:37.636 除菌せっけんとは 真逆のことをするのです 00:06:37.660 --> 00:06:38.916 微生物や細菌と 00:06:38.940 --> 00:06:42.390 闘うのではなく 両手を広げて歓迎します 00:06:42.940 --> 00:06:45.676 このような ミクロで すごい力を持つ生物が 00:06:45.700 --> 00:06:49.716 分子をさらに小さな 分子と原子に分解し 00:06:49.740 --> 00:06:53.200 それらは やがて結合して 新しい分子になります 00:06:54.380 --> 00:06:57.620 言い換えると 牛は生まれ変わったのです 00:06:58.260 --> 00:06:59.820 もはや牛ではありません 00:07:00.540 --> 00:07:02.520 自然に還ったのです 00:07:03.900 --> 00:07:05.860 ね? 魔法のようでしょう 00:07:05.924 --> 00:07:07.138 (笑) 00:07:08.540 --> 00:07:11.596 ご想像の通り ケイトに電話をもらった後 00:07:11.620 --> 00:07:13.362 急にひらめきました 00:07:13.740 --> 00:07:15.516 そうして私は 00:07:15.540 --> 00:07:18.830 家畜の死後堆肥化の原理に基づく 00:07:19.540 --> 00:07:22.820 人間を土に還すシステムの 設計を始めました 00:07:27.940 --> 00:07:29.836 そこから瞬く間に5年が経ち 00:07:29.860 --> 00:07:34.076 プロジェクトは 私の想像を はるかに超えて成長しました 00:07:34.100 --> 00:07:38.556 私達は 再現可能で規模拡大もできる 非営利の都市型モデルを作りました 00:07:38.580 --> 00:07:42.076 家畜の死後堆肥化の科学に基づいた 00:07:42.100 --> 00:07:44.920 人間を土に変えるための施設です 00:07:45.700 --> 00:07:49.036 私達は土壌学、自然分解 代替葬儀、法律 00:07:49.060 --> 00:07:51.596 そして建築の専門家達と 00:07:51.620 --> 00:07:53.130 共同研究をしてきました 00:07:53.780 --> 00:07:56.251 システムの原型を設計するために 00:07:57.060 --> 00:08:00.716 財団や個人から基金を募ると 00:08:00.740 --> 00:08:04.516 この新しい埋葬法の実現を望む 世界中 何万人もの人々から 00:08:04.540 --> 00:08:06.780 連絡がありました 00:08:09.180 --> 00:08:10.396 というわけで 00:08:10.420 --> 00:08:12.236 あと数年で 00:08:12.260 --> 00:08:18.156 史上初の本格的な人体堆肥化施設を シアトルに建設することが 00:08:18.180 --> 00:08:19.956 私達の目標です 00:08:19.980 --> 00:08:23.820 (拍手) 00:08:27.980 --> 00:08:29.180 想像してみてください 00:08:29.980 --> 00:08:31.916 その施設には 公共の公園としての機能も 00:08:31.940 --> 00:08:33.676 斎場としての機能も 00:08:33.700 --> 00:08:36.395 愛する人々を追悼する場としての機能もあり 00:08:36.419 --> 00:08:39.515 自然の循環と再び繋がり 00:08:39.539 --> 00:08:42.340 優しさと敬意をもって 遺体を扱う場所なのです 00:08:44.740 --> 00:08:46.676 基本構造はシンプルです 00:08:46.700 --> 00:08:48.316 「コア」という縦長の構造の中で 00:08:48.340 --> 00:08:52.436 木材チップで覆われた遺体が 急速な自然分解— 00:08:52.460 --> 00:08:53.756 つまり堆肥化を経て 00:08:53.780 --> 00:08:55.550 土へと変容します 00:08:59.160 --> 00:09:03.680 それにはまず 亡くなった人の遺体を 人体堆肥化施設に運び込みます 00:09:04.480 --> 00:09:07.256 そして友人や家族の手で 簡素な埋葬布でくるみ 00:09:07.280 --> 00:09:10.480 コアの上層部に運びます 00:09:11.160 --> 00:09:14.040 中には自然分解システムが 入っています 00:09:16.680 --> 00:09:18.536 埋葬の儀式では 00:09:18.560 --> 00:09:20.936 遺体を優しくコアに安置し 00:09:20.960 --> 00:09:22.441 木材チップで覆います 00:09:23.360 --> 00:09:27.320 こうして人間から土への 穏やかな変容が始まります 00:09:29.000 --> 00:09:32.360 数週間のうちに 遺体は自然に堆肥化します 00:09:32.960 --> 00:09:35.736 微生物や細菌が炭素を そしてタンパク質を分解し 00:09:35.760 --> 00:09:37.856 新たな物質を作ります 00:09:37.880 --> 00:09:39.280 豊かな自然の土です 00:09:40.640 --> 00:09:43.160 この土はその後 新しい命を育てるために利用できます 00:09:43.800 --> 00:09:46.480 やがてあなたはレモンの木にもなれるのです 00:09:50.486 --> 00:09:51.636 (拍手) 00:09:51.660 --> 00:09:52.876 はい ありがとう 00:09:52.900 --> 00:09:56.260 (拍手) 00:09:58.580 --> 00:10:01.116 今 レモンパイのことを 考えている人は? 00:10:01.140 --> 00:10:03.276 (笑) 00:10:03.300 --> 00:10:04.500 それともレモン飴かな? 00:10:05.420 --> 00:10:07.116 もっと味の濃いものかな? 00:10:08.020 --> 00:10:10.236 さて こういった施設に 00:10:10.260 --> 00:10:12.956 コアだけでなく 法事や終活のためのスペースを設けることで 00:10:12.980 --> 00:10:16.580 悲しみの時を支える場にもなります 00:10:17.260 --> 00:10:19.796 既存施設の転用には 大きな可能性があります 00:10:19.820 --> 00:10:22.620 古い教会や工場の倉庫は改修して 00:10:22.640 --> 00:10:27.100 土を作り 命に敬意を表する場所へと 作り変えることもできます 00:10:28.500 --> 00:10:30.620 過去100年の間に火葬率が増え 00:10:30.630 --> 00:10:33.476 宗教団体への帰属率が減少するにつれて 希薄化してしまった— 00:10:33.500 --> 00:10:35.596 臨終の儀礼的側面を 00:10:35.620 --> 00:10:38.260 取り戻すことも私達の目的です 00:10:39.540 --> 00:10:43.076 シアトルに建設予定の施設は 世界中の同様の施設の 00:10:43.100 --> 00:10:44.700 お手本になるでしょう 00:10:45.220 --> 00:10:48.680 南アフリカ、オーストラリア、英国、カナダ その他の国から既に問い合わせがありました 00:10:48.680 --> 00:10:51.300 南アフリカ、オーストラリア、英国、カナダ その他の国から既に問い合わせがありました 00:10:52.060 --> 00:10:54.436 今は 設計ツール一式を 作成しているところです 00:10:54.460 --> 00:10:57.660 他の人達が施設を 設計・建設するのに役立つ— 00:10:58.330 --> 00:11:00.916 技術的仕様や 規制関連のベストプラクティスを 00:11:00.940 --> 00:11:02.660 まとめたものです 00:11:03.150 --> 00:11:05.676 私達は 個人や組織 そしてやがては自治体が 00:11:05.700 --> 00:11:07.916 それぞれの街で施設を設計し 00:11:07.940 --> 00:11:10.900 建設するお手伝いをしたいと 思っています 00:11:12.140 --> 00:11:14.756 こうした施設は 内部のシステムは同じでも 00:11:14.756 --> 00:11:18.036 外観や雰囲気はそれぞれ全く異なる方が いいと考えているからです 00:11:18.060 --> 00:11:22.116 近隣に住んでいる人達や 地域社会のために 00:11:22.140 --> 00:11:24.190 設計されたものであってほしいのです 00:11:26.580 --> 00:11:29.796 もう一つ 考えているのは 支援スタッフが待機し 00:11:29.820 --> 00:11:33.380 愛する人の遺体を遺族が 優しく準備するのを手伝う体制です 00:11:34.560 --> 00:11:38.036 立ち行かなくなっている 従来の葬儀に代わって 00:11:38.060 --> 00:11:41.810 美しくて意義もあり そして分かり易いシステムを 00:11:42.390 --> 00:11:43.740 作ろうともしています 00:11:45.120 --> 00:11:47.000 環境に優しい葬儀は 00:11:47.000 --> 00:11:49.190 人として当然の権利です 00:11:52.740 --> 00:11:55.836 ほら 昔からよく言いますよね? 00:11:55.860 --> 00:11:58.466 「牛を堆肥にできるなら 人間も堆肥にできる」 00:11:58.490 --> 00:12:01.460 (笑) 00:12:03.380 --> 00:12:04.930 なんちゃって  でも本当です 00:12:06.350 --> 00:12:09.476 2014年以来 私達はノースカロライナの丘で 00:12:09.478 --> 00:12:11.528 ウェスタン・カロライナ大学 法医人類学部と 00:12:11.528 --> 00:12:15.300 共同で試験的プロジェクトを 実施しています 00:12:16.300 --> 00:12:19.676 寄贈された6体の遺体を 木材チップで覆い 00:12:19.700 --> 00:12:21.996 風が酸素を運び 00:12:22.020 --> 00:12:24.300 微生物と細菌が 遺体を分解しました 00:12:25.540 --> 00:12:28.170 この試験的プログラムのおかげで 00:12:28.190 --> 00:12:32.756 自然の分解作用の驚異的な力を使って 人の遺体を土に変えられることが 00:12:32.780 --> 00:12:34.700 証明できました 00:12:35.500 --> 00:12:37.990 他にも いくつかの大学と連携しています 00:12:38.580 --> 00:12:41.570 ワシントン州立大学の土壌学研究者達に— 00:12:42.590 --> 00:12:44.090 とはいえ 大学院生ですが— 00:12:44.120 --> 00:12:48.236 アマルガムの詰め物の入った歯を 堆肥化する研究をしてもらっています 00:12:48.260 --> 00:12:51.300 中の水銀がどうなるのかを調査するためです 00:12:52.100 --> 00:12:54.196 その次は堆肥化の過程で 00:12:54.220 --> 00:12:57.676 化学療法剤や医薬品が どのように変化するのか 00:12:57.700 --> 00:12:59.436 そして追加の処理が必要かどうかを 00:12:59.460 --> 00:13:01.820 判定するための実験を始める予定です 00:13:05.740 --> 00:13:07.476 ところで 00:13:07.500 --> 00:13:09.996 堆肥化は相当量の熱を発生させますが 00:13:10.020 --> 00:13:12.520 私達の堆肥化の方法では特にそうです 00:13:13.980 --> 00:13:18.756 提供された遺体のうち 5体目の堆肥化を始めて1週間 00:13:18.780 --> 00:13:21.916 木材チップを盛った 塚の内部の温度は 00:13:21.940 --> 00:13:25.180 70℃に達しました 00:13:26.220 --> 00:13:29.236 その熱を利用して エネルギ-を生み出したり 00:13:29.260 --> 00:13:31.790 寒い日には遺族に温もりが 提供できるとしたら? 00:13:33.150 --> 00:13:35.060 魔法に違いないと思ってしまいます 00:13:37.403 --> 00:13:41.116 おそらく そこが肝心なのでしょう 00:13:41.609 --> 00:13:45.072 科学と魔法は ある意味で同じものなのです 00:13:47.744 --> 00:13:50.718 「死」という 人間にとっての 一大イベントを変えるという 00:13:50.748 --> 00:13:53.149 私達の旅にお付き合い頂き ありがとうございました 00:13:53.167 --> 00:13:55.040 葬儀革命が始まりました 00:13:55.820 --> 00:13:58.356 そんな時代に生きてて よかったですね 00:13:58.963 --> 00:14:01.981 (拍手)