マーク・ブラウンのGame Maker's Toolkitへようこそ ゲームデザインについてのシリーズだ 私的な意見だが、Rocksteadyのバットマン作品は 「大きいほどいい」とは限らないという見本だ 三部作の最初の作品であるアーカム・アサイラムは 嬉しいサプライズだった 良作であり、優れた版権ゲームというだけでなく 良質なバットマンのゲームだった 開発者はバットマンの魅力を理解している ただパンツ丸出しで悪党を殴る 金持ちの男ではない まず、アーカム・アサイラムには 狂った悪役がいて、バットマンに付きまとう それから流れるような戦闘システムがある これはアニメ映画版の格闘シーンの再現だ そしてバットマンが銃を持った敵と戦う時は 闇の中に隠れ、恐怖を利用して敵を陥れる 逆ホラーゲームというべきか Alien: Isolationでエイリアンを操作するようなものだ この二つのシステムは別に 巨大な都市を必要としない 当時スーパーヒーローのゲームには 必ず巨大都市があった 現在ではみんなiPhoneの ランナー系ゲームになってしまった だから小さいが緻密に作られた アーカム・アサイラム精神病院が舞台だった だが続編が出ると、どうしてもサイズが大きくなる アーカム・シティにはいくつかの都市ブロックがあり 構造はメトロイドバニアから完全な オープンワールドになった アーカムナイトはGrand Theft Autoの縮小版だ だが、バットマンは空間の拡張に 恩恵を受けているのだろうか?それは疑問だ まず、アサイラムの基本システムは オープンワールドにしても何も改良されない むしろマイナスになっている 捜査モードには後続作で新しいガジェットが いくつも追加されたが このモードはちゃんと考えて部屋を作ってある アサイラムが一番面白い 敵を孤立させるには賢く立ち回る必要があるのだ それに対し、シティやナイトの屋上は ただのランダム生成だ 戦闘も数多くの新要素が追加されたが オープンワールドでランダム出現の敵が 大量に配置されているから、すぐに飽きてしまう 理想的には、箱庭系のゲームは それを必要とするシステムを持つべきだ 敵の基地を好きな方法で攻められるファークライや Grand Theft Autoのカーチェイスなど そうでなければ、次のゲーム部分に 移動するためのメニューが複雑になっただけだ 一応言っておくと、Rocksteadyも広い空間を 利用できるシステムを追加してはいる だがバット戦車とか、アサシンクリードみたいな 尾行ミッションとか タワーの解放なんて 誰が求めているのだろうか オープンワールドで最も犠牲になるのはストーリーだ プレイヤーの気が散る要素が多すぎると 魅力的な物語もその力を失ってしまう アーカムナイトでは スケアクロウを追う緊迫感も 大量のサイドミッションのせいで台無しだ 銀行強盗を止めたり、銃器庫を爆破したり アズリエルを訓練したり 人間コウモリを追跡したりする 「あんたが忙しいのは知ってるさ だが手伝ってくれれば、命を救えるんだ」 ある意味では、バットマンが手を広げすぎて 対応に右往左往する様を 再現しているとも言える だがそういう点でも実体がない ミッションを急いで攻略する必要なんてないからだ アーカムナイトの序盤で起きる二つのイベントでは バットマンの仲間二人がほぼ同時に誘拐される しかし映画のダークナイトのように どっちを救うか選ばなければいけない なんてことは全然ない リドラーは地下のレース場で 辛抱強く待っていてくれる 捕虜を殺すぞとは言ってくるが 口先だけだ 急がなくていい 所詮サイドクエストだ オープンワールドはゲームのペース配分に 悪影響を与えがちだ アンチャーテッド2みたいな 完全一本道のゲームは、射撃戦や登山 ストーリーにパズルなどをうまく配分して プレイヤーが飽きるのを防ぎ 徐々に難易度を高めてシステムを学ばせられる 箱庭系のゲームはこれが難しい プレイヤーは同じことを何度もやらされたり 難易度の急激な上昇を経験したりする もちろん、オープンワールドにも長所がある 自由度が増えて、ミッション攻略の順序も選べる 同じ製作費ではるかに多くのコンテンツを 詰め込むことができる Falloutやスカイリムは巨大な世界を 見事に作っていて、いつまでも遊べる でも近頃の、とにかく大きくて広い世界という 宣伝には少々うんざりだ 「Just Cause3は400平方マイル以上の 完全に自由な巨大オープンワールドゲームだ」 アサシンクリードみたいに 色々なものがありすぎて アクセサリをまき散らしたみたいになるか でなければCodemaster's Fuelのようになるかだ これは最大のゲーム世界というギネス記録を 保持しているが、中身は何もない アーカム・アサイラムはオープンワールドが オープンな「世界」でなくてもいいことを示している ゲーム内の環境はどれだけ面白い コンテンツがあるかで評価されるべきだ 大事なのは平方マイルではない アーカム・アサイラムは小さいが アーカムナイトよりもペース配分が優れているし アーカムシティよりストーリーがしっかりしている 空間は狭いが、システムに合致している スパイダーマンは飛び回るために オープンワールドが必要だが バットマンは敵の居場所に留まるのが正しい 巨大なオープンワールドだけでなく 小さくても緻密な箱庭系ゲームがあった方がいい バイオハザードの洋館とか、Gone Homeの ポートランドの家みたいなやつだ 細かい要素が詰め込まれていて、水増しがない世界 地形もショートカットも隅々まで把握して 慣れ親しむことのできる世界だ スポーツカーで通過するだけではダメだ ただ適当にコンテンツを詰め込んだのではない 記憶に残る世界を作るのが大事だ アーカム三部作の監督セフトン・ヒルが アサイラム発売時に言っている 「とにかく多くの要素を入れるというのは よくある間違いだ」 「要素の多さと質を混同するのは自然だからね」 「僕的にはこれがナンバーワンだ アサイラムがその次かな」 「単純にこっちの方がコンテンツが多いからね」 「少しのものを非常に上手に作る方が 微妙なものを大量に作るよりいい」 「大したことのないコンテンツを 大量に詰め込むゲームが多すぎる」 視聴してくれてありがとう アーカム三部作への評価に賛成?それとも反対? コメントで君の考えを教えてくれ 「いいね!」とシェアもよろしく Patreonでの支援も考えてみてほしい 全てはみんなの支援のおかげだ