♪ ♪ ♪
不正な法律が存在する;
その時私たちは甘んじてそれに従えばよいのか、
あるいはそれを修正しようと努め、
その試みが成功するまではそれに従う方がいいのか、
それともただちに法を犯す方がいいのか?
─ ヘンリー・デイヴィッド・ソロー
ソーシャルニュースサイトredditの共同設立者が
遺体となって発見されました。
彼はまさに神童でしたが、
彼自身はそう考えてはいませんでした。
彼はビジネスや金儲けには
全く興味がありませんでした。
今夜、Aaron Swartzの地元ハイランドパークでは
インターネットの名士の一人に別れを告げようと、
彼の死を深く悼んでいます。
自由、オープンアクセス、コンピューターの活動家らが
彼の死に哀悼の意を示しています。
彼を知る人によれば「驚くべき頭脳の持ち主」。
その彼は自身の基本原則をすべて裏切った
政府とMITによって殺されました。
彼らはAaronを見せしめにしたかったのでしょう。
政府にはコントロールしたいという貪欲さがあるのです。
彼は35年の服役と100万ドルの罰金を受ける可能性があります。
訴追への熱意に対し疑問を提起します、
もっと言えば職権乱用であるように私は思います。
どういった根拠を調査し、この結論に至ったのですか?
成長するってのはつまり、身の回りの物や、
僕に語りかける人々全てが
自然な、あるべき姿で存在するってことを
少しずつ自覚するプロセスなんだ。
全てが自然だというわけじゃない、
その中には変わっていくものもあれば、
もっと重要な、間違っていて、
変えなければならないものもある。
一度それを理解したら、もう後には引けないんだ。
インターネットの申し子
絵本を読む時間だよ。
本の名前は「パディントンとゆうえんち」。
そう、彼はハイランドパークで生まれ育ちました。
Araronは三人兄弟の一人で、とても利発な子でした。
「ほら、箱がひっくり返るわよ……」
「もう自由よ……」
兄弟みな、お行儀のいい子供じゃなかったですね。
しょっちゅう走り回っていて、問題を起こしてました。
「こら、だめ、だめよ!」
- Aaron!
- どうしたの?
でもAaronがとても若くして
学び方を習得していることに気付いていました。
「ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ、
シックス、セブン、エイト、ナイン、テン」
- トン!トン!
- だぁれ?
- Aaronだよ。
- Aaronって?
- 芸人Aaronだよ。
やりたいことがわかっていて、
そしていつもやりたがっていました。
やりたいことには常に秀でていました。
彼の好奇心は尽きることがなかった。
「惑星についての図表だよ」
「それぞれの惑星は記号を持ってる、水星の記号、
金星の記号、地球の記号、火星の記号、木星の記号」
ある日、彼がSusanに、「この『ハイランドパーク
商業地区家族向け無料イベント』って何?」
「ハイランドパーク商業地区で家族向け無料イベント」
この時3歳ですよ。
妻が、「一体何のこと?」と聞くと、
彼は、「見て、冷蔵庫に貼ってあるよ、
『ハイランドパーク商業地区家族向け無料イベント』」
妻は読めることにとても驚いていました。
これは「私の家族のセデル」。
『このセデル(訳注:ユダヤ教の過ぎ越しの祭りの初日に
開かれる晩餐)は他と違う特別な夜なのです』
シカゴ大学図書館でのことを覚えているよ。
19世紀末からあるような本棚から本を取り出して、
それを彼に見せながら、
「わかるかい、ここは特別な場所なんだ」
僕達は皆好奇心旺盛な子どもだったけど、
Aaronは学ぶのも教えるのも本当に好きでしたね。
「これから教えるのは、逆順のABC」
「Z、 Y、 X、 W、 V、 U、 T……」
彼が初めての代数の授業から
家に帰ってきた時のことを思い出します。
彼が、「Noah、代数を教えてあげる!」
そして僕が、「代数って?」という感じで。
彼はいつもそんな調子でした。
「ここでクリックボタンを押そう、それ!よしできた」
「ピンクに塗られたよ」
彼が2、3歳の頃、夫が彼にコンピューターを教えたんです。
それ以来彼は我を忘れてコンピューターに夢中になりました。
(赤ちゃん言葉)
みんなコンピューターを持ってましたが、
Aaronは本当にパソコンに、ネットにはまってましたね。
- コンピューター使ってるの?
- ううん……
これ……ねぇママ、どうして動かないの?
彼はとても小さい頃からプログラミングを始めました。
私が一緒に書いた最初のプログラムはBasicで、
スターウォーズのクイズゲームでした。
彼はコンピューターのある地下室で一緒に座って、
何時間も、そのゲームをプログラミングしていました。
彼に対し私が抱えていた問題は、
私がやりたかったことがもう残っていないことです。
そして彼には、いつもやりたいことが、
プログラミングで解決できることがあるんです。
Aaronはいつも、プログラミングは
魔法だと捉えていました。
普通の人間にはできないことを彼はやり遂げることができた。
Aaronはマッキントッシュや段ボール箱などを
使ってATMを製作しました。
ある年のハロウィン、
僕が何をすべきか思いつかなかった時、
彼は自分の新しいお気に入りのコンピューターの
仮装をしたらとてもクールなんじゃないかと考えたんだ、
初期モデルのiMacにね。
彼はハロウィンの仮装は嫌がっていたけど、
自分が見たい仮装を
他人に着させるよう説得するのが好きでしたね。
「司会はAaron、もう!ほらこっちへ来て、カメラを見て!」
「スパイダーマンもカメラを見て!」
彼は人々が情報を書き込むことのできる
The Infoという名のウェブサイトを作りました。
金箔の箔置きについてなら何でも詳しい人がいるとしましょう。
このウェブサイトにはそうした人たちが知識を書くことが
できる。そして他の人たちが後からやって来て、
そして情報を読み、悪いところがあれば
それを編集できる。
Wikipediaとちっとも違わないでしょう?
そしてこれはWikipediaのスタート前で、
彼は12歳でこれを開発したんです、
彼の部屋で、古い技術を使って
自分自身で小さいサーバーを走らせていました。
ある先生の反応は、こんな感じで:
「馬鹿げたアイデアだ、他人に辞書、
百科辞典の編纂をさせるなんて。
学者は私たちへこういった本を
書くために存在するんだ。
どうしてこんな馬鹿げたアイデアを考えた?」
僕たち兄弟はその後、
「ああ、Wikipedia、クールだね。
でも家にあったよ、そう、5年前にね。」
Aaronのサイト、theinfo.orgは
ケンブリッジにあるウェブデザイン会社、
ArsDigitaが主催した学校コンテストで受賞した。
ケンブリッジに行くことになったんだ……、
彼がArsDigita賞を取ったので、
Aaronが何をしたのか皆目見当がつかなかった。
その賞がとても重要なんだということはわかっていたけど。
程なくAaronはオンラインのプログラミング
コミュニティと関わりを持つようになり、
Webの新しいツールを構想していく。
彼がやってきて僕に言ったんだ: 「Ben、
僕が作ってるすごいものがある」
「これをぜひ聞いて欲しいんだ!」
「へぇ、なんだいそれ?」
「RSSっていうんだ」
それから彼はRSSがどういうものか説明してくれて……
「なんで便利なの、Aaron?」
「それをサイトに使ったとして、一体なぜ使いたくなるの?」
RSSや、もっと一般的なXMLといったものを
開発している人たちのメーリングリストがある。
そしてそこにはAaron Swartzという名の人物がいて
とても負けず嫌いで頭が良く、
たくさんの良いアイデアを持っていて、
でも顔合わせのミーティングには来たことがないんです。
そこでいつかミーティングに来ないの?と聞いたら、
彼が言うには、「その、母がなんと言うかわからないんです。
僕は……14歳になったばかりなので。」
その時の彼らの最初の反応は、「えーっと、
この1年一緒に働いていたこの同僚は
その時13歳で、今ちょうどたったの14歳か」
次の反応は、
「なんてことだ、これはぜひ会わなきゃ。
こりゃすごいことだぞ!」
彼はRSSの仕様を策定する委員会の一人でした。
彼は最新のハイパーテキストを
パイプライン処理する機能の構築を手伝っていました。
RSSにおいて彼が作業していた箇所は、
他のウェブページに載っているものから
要約を作ることができるツールでした。
通常は、ブログにこのツールを使える。
読みたいブログが10から20あったとする。
そのRSSフィード、ブログに今
書かれている記事の要約を使って、
そういったもの全てをひとまとめにした
リストを作ることができる。
Aaronはとても若かったけど、この技術を理解していたし、
これを不完全だと見ていて
もっと良くする方法を探していました。
それから彼の母親が彼をシカゴの空港から見送り、
私たちはサンフランシスコで彼を迎え、
彼との議論に興味を持つ人たちと引き合わせた、
そして彼の奇妙な食習慣には驚かされましたよ。
彼は蒸した米といった白い食べ物しか食べないんです、
炒めた米は十分白くないからと、
それに白いパンなど……。
そしてその少年の小さな口から飛び出す、
議論の質の高さにも驚かされました。
偏食による壊血病で死んだりしなければ、
きっと何かやり遂げると思える少年でした。
Aaron、君の番だ!
違いは、ドットコム企業は
作れないということだと思います。
確かにインターネットでドックフードを売ったり、
携帯でドックフードを売ったりはできないでしょう。
でも、まだ多くのイノベーションが今起こっている。
このイノベーションが見えていないというなら、
あなたは現実から目を背けているんだ。
かれはまるでオタクのリーダーのように振舞っていました、
こんな感じで、「僕はあなたより賢い、
賢いからあなたより鋭い、
だから何をすべきか断言できるんだ」
なんというか、不愉快な奴を
もっとひどくした感じでした。
そしてそれらのコンピューターを一つにまとめて、
大規模な課題を解決することができる、
宇宙人を探すとか、がんを治すとか言った課題に。
最初の出会いはIRC、つまり
インターネットリレーチャットでした。
彼はコードを書くだけでなく、自分が見つけた問題を
解決することに熱心な人間を見つけてくるんです。
彼は知らない人同士をつなぐ「コネクター」でした。
彼にはフリーカルチャー運動への
意欲がすごくありましたね。
Aaronは世界を機能させようとしていたんだと思います。
世界を修理しようと。
彼は時々はっきりと腹を立てるようなとても強い個性を持っていました。
この件では彼は必ずしも常に世界に満足していなかったし、
世界も、彼を満足させなかったんです。
Aaronは高校に進むと学校にとてもうんざりしていました。
彼は学校が、行われたどんな授業も、
先生も気に入りませんでした。
Aaronは情報を得る方法を知りたがってました。
彼いわく:「幾何学の方法を学ぶために先生のところに行く必要はない。
幾何学の本を読めばいい。
アメリカの歴史についての見解を学ぶために先生のところに行く必要はない。
僕は3つの史料を持っていて、それを読めばいい。
そして僕の興味はそんなことじゃない、ウェブなんだ」
学校にとても不満を感じていたんだ、先生たちは
自分たちが話してる内容を理解してないと思う。
彼らは支配的で管理的、宿題なんてのはまやかしで、
生徒たちを全員閉じ込めて勉強を強制する手段でしか無い。
そして教育の歴史、この教育システムがどのように
開発されたのかに関する本を読み始めた。
そして、その代替手段、先生たちから
言われたことを鵜呑みにするだけの
教育とは対照的な、本当に物事を学べる手段について。
どうしてここにいるのかを学校に問いかけたその時から、
物事を問いかける生き方を歩むようになった、
学校を作った社会に問いかけ、
学校で訓練を受ける目的である企業に問いかけ、
こういった体制を築いた政府に問いかけてきた。
彼が特に初期の頃に熱心だったものの一つが、著作権ですね。
著作権は出版社と読者にとって常に負担となってきました、
しかしそれは過度の負担ではなく、
人々が対価を支払うことを確実にするために
講じられた、合理的な制度でした。
Aaronの世代が経験したのは、この古い著作権システムと、
インターネットとウェブによって
構築される新しい素晴らしいものとの間での衝突でした。
そうしたものがぶつかり合い、カオスとなったのです。
彼はその後ハーバード大学の法律学教授、その時最高裁で
著作権法を変えようとしていたLawrence Lessigに出会う。
若かりしAaron Swartzは最高裁審理を傍聴しに
ワシントンに飛んだ。
僕はAaron Swartz、Eldred論争を傍聴しにここに来ました。
なぜEldred論争を見るためにシカゴから飛行機で
かれこれここまでやってきたの?
それはちょっと難しい質問ですね……、
よくわからない、最高裁を傍聴することに
とても興奮している、
特に今回のような名高い事例では。
Lessigはインターネット上での著作権を
規定する新しい方法を押し進めていた。
それがクリエイティブ・コモンズだ。
クリエイティブ・コモンズの基本アイデアは
人々、クリエイターたちの
創作性に対し、その自由な
取り扱い方を表示するシンプルな方法です。
著作権が「全ての版権を所有します」だとすると、
これは「いくつかの版権を所有します」といったモデルです。
こういったことを簡単にあなたに伝えたい:
私の創作物を使ってこういうことができます、
事前に私からの許可が必要なことがあっても。
そしてAaronはコンピューターの部分を担当していました。
シンプルで理解でき、
機械が処理できる形で表される
ライセンスをどのように設計するかといったことを。
人々は、「なぜ15歳の少年にクリエイティブ・コモンズの
仕様書を書かせているんだ?
大問題だと思わないのか?」
Lessigは、「一番の問題は私たちが
この少年のことを聞き及んでいないことだ」
彼はなんとか演壇に立てるぐらいしか背が高くなくて、
加えて移動式の演壇だったので、扱いに厄介で、
液晶画面を開くと
誰も顔を見られなくなってしまってね。
この私たちのウェブサイトを訪れた際、
「ライスンスを選ぶ」ページへ行きます。
オプションのリストが表示され、その内容が説明され、
3つの質問を受けます。
「著作権者表示を求めますか?」
「あなたの作品の商用利用を認めますか?」
「あなたの作品の改変を認めますか?」
大人たちが息子を大人として扱っていることにとても驚きました。
そしてAaronは満員の観衆の前に立ち、
そしてクリエイティブ・コモンズのために
作成したプラットフォームについて語り始めました。
観衆全員が息子の話を聞き、そして……
私はその後ろに座ってこう思っていました:
息子はまだ子どもよ、なぜみんな耳を傾けてるの?
でも彼らは聞いていました。
ええ、私には完全に理解できたとは思いません。
アーティストへの対価の保証が足りないという批評にもかかわらず、
クリエイティブ・コモンズの成功は甚大なものだった。
現在ウェブサイトFlickrだけでも、2億人以上が何らかの
形でクリエイティブ・コモンズライセンスを利用している。
彼は自身の技術的才能を通じて貢献し、
なおかつそれは彼にとって技術的課題以上のものでした。
Aaronは自身のブログに
たびたび率直に綴っている:
僕は深く物事について考えている、
そして同じように人々にも深く考えて欲しい。
僕はアイデアのために活動し、そして人々から学ぶ。
人間を埒外に置くのは好きではない。
僕は完璧主義者だ、しかし出版の
妨げになるようなことはしたくない。
教育やエンターテインメントを別にすれば、
影響を与えないようなことに
時間を無駄にしたくないんだ。
みんなと友達になりたい、しかし
僕に対し真剣でない時は嫌うよ。
恨んだりはしない、だって生産的じゃないから、
でもそれは経験として学ばせてもらう。
僕は世界をより良くしたいんだ。
2004年、Swartzはハイランドパークを離れ、
スタンフォード大学に入学する。
彼はとても厄介な潰瘍性大腸炎に罹り、
投薬を受けている彼がとても気がかりでした。
彼は入院し、毎日たくさんの薬を飲まなければならなかった、
そしてそのうちの一つがステロイド剤で
彼の成長を阻害し、
他の学生たちと自分は違うんだと考えるようになっていきました。
Aaronはたぶん奨学金のために大学に顔を出し、
この四年間で企業のリーダーや1%の富裕層になるような
早熟の高校生をまるで子守でもするような
プログラムをあざとく見つけるんだろうな、
そしてそれは彼を狂わせるのでは、と思っていました。
2005年、1年だけ在学したあと、
SwartzはPaul Graham率いる新しいスタートアップ
インキュベーション、Y Combinatorの出資を受ける。
彼は、「やあ、ウェブサイトのアイデアがあるんだ」
Paul Grahamは彼を気に入ってて、
「ああ、いいとも」って。
Aaronは大学をドロップアウトして、
このアパートに移り住んで……
ここがAaronが使っていたアパートだ。
Aaronが金もなく、その上大学をドロップアウトした
せいで、アパートを借りるのが
どんなに大変だったかを父が話してくれた、
そんな漠然とした記憶があるよ。
Aaronは今リビングルームになってる所に住んでて、
住んでた頃に貼ってあったポスターがいくつか残ってるよ。
そしてここが書庫、もっと本があるけど、
ほとんどはAaronの本だ。
Ycombinatorの出資を受けたAaronのサイトの名は
「infogami」、ウェブサイト構築ツールだ。
しかしinfogamiはユーザーの獲得に苦しみ、そこでSwartzは最終的に
支援を必要としていた別のY Combinatorの
プロジェクトと自身の会社とを合併する。
それがSteve HuffmanとAlexis Ohanianを
リーダーとするプロジェクト、「Reddit」だ。
ほとんど何もないところから始めました。
お金も、コードも、
そして日に日に、人気のある巨大サイトへと成長していき、
終わりそうにありません。
最初の1000ユーザーから1万、そして2万、
そしてさらに、信じられません。
Redditは巨大に、そしてインターネットの
オタクコーナーみたいなものになっていきました。
ユーモアあり、アートあり、そしてサイトに群がる人々、
毎朝ニュースをチェックしにやってくる
メインサイトになっていった。
Redditはある面ではカオスさながら、
そして一方ではその日のニュース、テクノロジー、
政治、諸問題を議論する場でもあり、
そしさらに職場に適さないもの、不快なものもたくさんあり、
荒らしが居場所を見つけるようなsubredditもある、
つまりそういう意味で、redditは議論の場なんです。
狂気の沙汰にいるようなものです。
redditは巨大出版企業Condé Nastの目に留まり、
redditの買収を提案する。
とても多すぎて、「どうやって保管するんだ?」と
父を悩ませるほどの大金でした。
- 大金ですか……
- 大金です。
たぶん100万ドル以上でしょう、
でも私は正確なところを知りません。
- その時彼はいくつ?
- 19か、20歳でした。
そう、このアパートで起きたんです。
彼らは当時のままのこのカウチに座って、
Redditをハックし、そしてRedditを売却したときは、
大きなパーティーを開いて、
翌日に彼らは全員カリフォルニアに飛び発ち、
私にアパートの鍵を預けていきました。
面白いもので、彼は自身のスタートアップを
売却し、私たちはみな彼が
とても裕福な人間になったと思っていたのに、
彼はというと、「僕はこの靴箱みたいな
小さい部屋にいるよ。これが必要なもの全てだ。」
押し入れぐらいの部屋でしたよ。
高価なものにお金をかけようという考えは
全く無いようでした。
彼の説明では、「このアパートに住むよ、新しい場所で
暮らすことに大金を掛けたくないんだ。
何も買うつもりはないし、
ジーンズとTシャツを着るのが好きだ。
だから衣類にも一切お金を掛けない。
ほんと、どうでもいいことだよ」
Swartzにとって重大だったのはどのように
インターネットにトラフィックを流入させ、
そして何によって彼らの注意を集めるかだった。
古い放送システムでは、
電波による送信容量が
限られている。電波ではテレビが10チャンネル、
ケーブルでも500チャンネルしか送信できない。
インターネットなら、誰でもチャンネルを持てる。
みんながブログや、Myspaceページを持てる。
みんなが自身を表現する手段を持てるんだ。
今議論しているのは誰が電波を利用するのかの問題じゃない。
人々を見つける方法を誰がコントロールするかの問題だ。
知ってのとおり、Googleのような、
ネットで行きたいところを教えてくれる門番のようなサイトに
権力が集中しているのをかいま見ている。
ニュースや情報のソースを提供してくれる人たち。
そういった人たちは情報を伝える権限を
持つ人ばかりじゃない、今では全ての人が
情報を伝える権利を持っている。
これは誰からその情報を得るのかという問題なんだ。
Condé Nastのあるサンフランシスコで
働き始めた後、彼がオフィスに入って行くと、
彼らはくだらないものがインストールされた
コンピューターを与え、
そしてこのコンピューターに新しいものを
インストールするなと言ったんです、
開発者にとっては屈辱ものですよね。
初日から、彼はこうしたもの全てに
不満をぶつけていた。
「灰色の壁、灰色の机、灰色の雑音。
ここに来た初日から、本当に我慢できなかった。
昼食の時間、文字通りトイレの個室に
鍵を掛け閉じこもり、そして涙が出てきた。
一日中がやがやとした中で
正気を保てるかどうか想像もできない、
ましてなにか仕事をやり終えるなんて。
ここでは仕事をこなしてる人は誰もいない。
みんなしょっちゅう部屋に来ては
ぶらぶら、おしゃべり、そしてWiredが
テストしてる新しいビデオゲームに誘ったりしている」
彼は人とは違う政治指向的な大志を持っていて、
そしてシリコンバレーは政治的な目標のための技術活動へと
向かわせるような文化をあまり持っていませんでした。
Aaronは企業のために働くのを嫌っていました。
Condé Nastで働くことを皆嫌がっていましたが、
Aaronはただ一人、我慢できなくなったんです。
そしてAaronはもう仕事に出なくなり、
結果解雇されました。
それは面倒な破局だったようだ。
Alexis OhanianとSteve Huffmanは両者とも
この映画のインタビューを断った。
彼はビジネスの世界を拒絶したんです。
この選択について思い浮かぶ重要なことの一つは、
Aaronがスタートアップの文化から
離れることを決めた時、同時に
彼を有名にし愛してくれたものから離れることになり、
そして彼のファンをがっかりさせる危険性があったことです。
彼には向かわなければならない場所があり、
そうした自己認識を持っていた、
一輪の薔薇を摘みとるためにゴミの山に登り、
失った嗅覚を見つけようとする頑固さがあった、
ゴミの山に座り、ここも悪くないよと言い、
なんやかんやで薔薇を取って、
とても良いねと山を降りてくる、
といった感じじゃなくてね。
Aaronの物の見方は、
プログラミングは魔法─
普通の人間にはできないことを達成できる、
プログラミングによって。
もしそんな魔法の力が使えたら、いいことに使うだろうか、
それとも大金の山を作るために使うだろうか?
Swartzは子どもの頃に出会った
一人のビジョナリーに触発された、
ワールドワイドウェブを発明した男、
Tim Berners-Lee氏だ。
1990年代、Berners-Leeはほぼ間違いなく
20世紀最も富をもたらす発明の一つを産み育てたが、
しかしWWWの発明から利益を得る代わりに、
彼は自由に使えるようにした。
これがWWWが今日ある理由の一つだ。
Aaronは確実にTimから深く影響を受けていました。
Timは決して金儲けをすることのなかった、
まさにインターネット創成期の突出した天才でした。
彼は大金を得られる方法を見つけることには
まったく関心がなかった。
言われましたよ、「残念、大金を得られたのに」って、
でもそうなるとその代わり大きな一つのウェブじゃなく、
小さなウェブがたくさんできただろう、
そしてそれらの小さな、様々な種類の
ウェブたちは機能しないだろう、
なぜなら一方からもう一方へとリンクをたどれない。
臨界量に達さないといけない、それはつまり地球全体だ、
だから地球全体に広がらない限り機能しないんだ。
この世界で生きていくには充分では
ないと強く感じる、あるがままに
与えられるものを消費し、大人たちがやれということに従い、
両親がやれということに従い、社会がやれということに従う。
僕はそういったことを問いかけるべきだと思う。
僕はこの科学的な考え方を使っている、
つまり学んだこと全ては暫定的であって、
常に取り消しや、反論や、質問の機会が開かれている、
そしてこれを社会にも適用したいんだ。
僕が取り組めるような現実的で
重大な問題─根本的な問題─が
存在することにひとたび気付くと、それを忘れることが
できない。何もしないわけにはいかないんだ。
私たちは多くの時間を共に過ごし始めました、
友達のような感じで。
よく夜まで何時間も語り合いました。
彼が私に気があることに気付くべきでした。
ある程度は感じていたんですが、
私は、とんでもない、ありえないわ、だから
そんなことは起きないんだって振る舞おうとしていた。
私の結婚生活が崩壊していたので、
行くところがなく困っていました。
私たちはルームメイトになり、娘も連れてきました。
引っ越して、家に家具を入れて、
それで本当に落ち着きました。
私の人生はしばらく平穏とは言えず、そしてそれは彼も同じでした。
恋愛関係になってからはとても親密になりました。
私たちは……、連絡を取り合っていました。
でも私たち二人とも、とても扱いづらい人間なので(笑)。
アリー my Loveみたいなやりとりの中で、彼は自分のテーマソングが
あると白状して、そこで彼のために再生してあげました。
Fiona Appleの「Extraordinary Machine」です。
この曲にはちょっと思い悩んでいる感じがあって、
同時に、なんていうか、
その先に希望が満ちているところがあるんです。
♪一歩一歩、のんびりした足取りだけど、
居心地が悪いのには慣れっこだから、もう
この先ずっと変えられないの ♪
色んな意味で、Aaronはものすごく人生に
楽観的でした。彼自身がそう感じていない時でも、
人生についてすごく楽観的だったのかもしれません。
♪ わたしってへんてこマシンね ♪
(Aaron) - 何してるの?
(Quinn) - Flickrにビデオ機能ができたの。
Swartzは公開情報へのアクセスに関する
一連の新しいプロジェクトに力を注ぎ始めた、
"Watchdog.net"という
アカウンタビリティーに関するサイト、
そしてプロジェクト、"The Open Library"。
Open Libraryプロジェクトとは、openlibrary.orgで
訪れることができるウェブサイトで、
その目的は巨大なwiki、一冊の本の情報を
一ページにまとめる編集可能なウェブサイトです。
これまでに出版された全ての本について、
出版社から、書店から、図書館から、読者からの
情報全てを組み合わせたウェブページを
一つのサイトに載せたい、
そしてその本をどこで買えるのか、借りられるのか、
閲覧できるかのリンクを提供する。
僕は図書館が好きです。新しい街へ行くと
すぐさま図書館を探すような人間です。
Open libraryの夢は、このウェブサイトを、本から本へ、
人から著者へ、テーマからアイデアへと
飛び回ることができ、また物理的な
巨大図書館の中で埋もれ、見つけるのが大変で、
オンラインでアクセスできないような知識の
系統樹を体験できるような場所に
構築することです。これはとても重要なことで、
なぜなら本は私たちの文化的遺産だからです。
本とは人々が事柄を著述するために向かう場であり、
そしてその場が一企業に全て囲い込まれて
しまうというのは恐ろしいことです。
どうすればパブリックドメインへ
アクセスする権利をもたらすことができるか?
パブリックドメインへのアクセス権を持つことは
自明のことのように聞こえるかもしれませんが、
しかし実際は違います。つまりパブリックドメインはあらゆる人に
公開されるべきなのですが、しばしば遮断されています。
たいていは防護柵があるんです。周りを掘で囲まれた
ナショナルパークのような感じで、
万が一誰かがパブリックドメインを楽しもうと
やって来た時のためにガンタレットが配置されてるんです。
Aaronが特に興味を持っていたのは
パブリックドメインへのアクセス権の実現でした。
これが彼を多くのトラブルに巻き込んだ原因のひとつでした。
私はアメリカ合衆国の連邦裁判所記録へ
アクセスしようとしてきました。
そして見つけたのは、「裁判所電子記録への
パブリックアクセス」の略である、
"PACER"と呼ばれる難解なシステムでした。
それについて検索し始めた時、
Carl Malamudの名を見つけたんです。
アメリカでの法的資料へのアクセスは
毎年100億ドルもの額のビジネスとなっています。
PACERはまさに政府サービスのひどい恥部です。
1ページにつき10セント、
見たこともない役立たずのコード。
検索できない。ブックマークもできない。
クレジットカードが必要なんです、
あるのは公記録ですよ。
連邦地方裁判所はとても重要です─
私たちに影響のある多くの訴訟の出発点です:
公民権訴訟、特許訴訟、そうしたもの全てです。
ジャーナリスト、学生、市民、そして弁護士たち、
全員がPACERへのアクセスが必要で、
あらゆる局面でこれと対峙することになる。
アメリカンエキスプレスゴールドカードを持っていない人は
簡単に訴訟を確かめることもできない。
正義へのアクセスに人頭税を課しているんです。
当然ですが、法律というのは我々の民主主義の
OSです。それを見るのに課金が必要?
これってちっとも民主主義じゃないですよね。
彼らはPACERシステムで年間1億2000万ドルを稼ぎ、
そして彼ら自身の記録によれば、これに関する
コストは一切かかっていません。実際、これは違法です。
2002年米電子政府法では、裁判所は
PACERを稼働させるコストを支払うといった、
必要経費に限り請求することができると定めています。
Public.Resource.Orgの創設者として、Malamudは
PACERの料金に抗議しようとした。
そこで彼は「PACERリサイクルプロジェクト」という計画を開始、
既に支払いを済ませたPACERの文書を他の人が使えるように
自由なデータベースにアップロードできる。
PACERの人たちはパブリックアクセスについて
議会などから多くの非難を浴びたので、
そこでアメリカ国内17の図書館に自由に
PACERにアクセスできるシステムを導入しました。
つまり、22000平方マイル(訳注:北海道の約2/3)につき
1つの図書館です、まったく、不便もいいところです。
私はいわゆる「サムドライブ部隊」に
参加してくれるようにボランティアに呼びかけました、
アクセス権を持つ図書館から文書をダウンロードし、
PACERリサイクルサイトにそれをアップロードしてもらうのです。
それらの図書館の1つにUSBメモリを持ち込み、
文書をまとめてダウンロードし、
そしてそれを私に送ってもらう。
だけど、これはただのジョークだったんです。
実際、「サムドライブ部隊」の部分をクリックすると、
オズの魔法使いの、
あのマンチキンが歌っているところの、ビデオが再生されるんです:
♪ 我々はペロペロ飴組合…… ♪
ところがやはりStephen ShultzeとAaronから私に電話があり、
「いいね、サムドライブ部隊に入るよ」
ちょうどその頃、会議でAaronに会いました。
これは間違いなく、多くの様々な人たちによる
コラボレーションにしなければならない。
そこで彼と接触し、言いました、
「ねぇ、僕もPACER問題に介入しようと思うんだ」
Shultzeはすでに公判記録図書館からPACERの文書を
自動的にダウンロードできる
プログラムを開発していた。
Swartzはそれを一目見たいと思った。
そこで彼にコードを見せて、
どうなるのかわからなかったけど、
結局、その会議から数時間かけて、
隅っこに座り、私のコードを改良し、
図書館で彼の改良したコードをテストするために
目的の図書館の近くに住んでいる友人を雇いました、
この時点で裁判所の連中は
計画通りに事が進んでいないと気が付いた。
そしてデータがどんどん、どんどん、届き始め、
ついに760GB、2000万ページのPACER文書となりました。
公判記録図書館から回収した情報を使い、
SwartzはPACERシステムからの
大規模自動並列ダウンロードを行った。
連邦裁判所の270万の文書、テキストにして
約2000万ページを手に入れることができた。
今、当初のアクセス権プロジェクトを実行した
人たちの期待を上回るであろう、
2000万ページを取得できます、
しかし驚いたことに官僚は違法ではないと。
AaronとCarlは事の顛末について
ニューヨーク・タイムズに語ろうと決めていた。
彼らはFBIの目に留まり、イリノイ州のSwartzの
両親宅に張り込むようになった。
そしたら彼の母からツイートが来たんです、「電話して!!」
思ったんです、一体何が起きたんだ?、と。
それでAaronに連絡を取って、
彼の母によると、「大変よ、FBI、FBI、FBI!」
FBIのエージェントの車が自宅の私道に入り、
Aaronが自室にいないか確認しようとしました。
その日のことを思い出します、なぜ車が私たちの
私道に入ってきたんだろうと思いました、
そして引き返して行きました。
奇妙でしたね。
なので、5年後にFBIの資料を読んだときは、
「なんてこった、FBIだったのか、私道に入ってきたのは」
彼は怯えていました。完全に怯えていました。
FBIが彼を電話で呼び出し、弁護士不在の元、
コーヒーショップから連れだそうと
策略したことでさらに怯えるようになったと。
彼いわく、家に帰ってベッドに横たわると、震えていたそうです。
このダウンロードのおかげで、裁判所文書中に
大規模なプライバシー侵害があることも発覚。
最終的に、結果として司法は自身の
ポリシーの変更を余儀なくされ、
そしてFBIは起訴することなく捜査を終えた。
今日に至るまで、注目すべきと感じる点は
とても辺鄙な田舎のFBIの出張所でさえ、
法体制を公開しようとしたという理由で
窃盗の罪で民衆を捜査することは
市民の税金の適切な使い道だとは
考えていないということです。
一体どうすれば、法執行官を名乗る人物が、
法体制を公開することで
この世界を悪くする可能性が
あると考えられるのでしょう?
Aaronは自分の信じる大義によって
危険にさらされることを厭わなかった。
貧富の格差が気になると、Swartzは技術の枠を超え、
広範囲な政治的目的へと移っていった。
私が連邦議会の一員となった時、議会に出入りし、しばらくの間
インターンとして働けるよう彼を招待しました、
彼が政治的プロセスを学べられるようにと。
彼は新しいコミュニティ、新しいスキルを学び、
そしてなんというか、政治をハックすることを学びました。
鉱山労働者が汗水たらしてせっせと働かなければ
ならないというのは馬鹿げてる、
しかし彼らがあえてそれをやめれば、その夜の食事はなくなり、
一方僕はというと、座ってテレビを見ながら
毎日さらに大金を稼いでいる、という事実に直面する。
やはりどうもこの世界は馬鹿げている。
そこで、「進歩的変化キャンペーン委員会」と
いう名のグループを共同創設しました、
私たちのしようとすることは、進歩的な政治に
関心のあるネット上の人々を組織し、
より進歩的な方向へとこの国を動かしていく、
協力し、メーリングリストに参加し、キャンペーンに参加し、
国中の当選した進歩的な候補者を手助けすることで。
このグループはElizabeth Warren氏の上院議員選挙運動の
草の根の取り組みの引き金となった。
彼はきっと無意味なシステムだと思っていたんでしょうが、
彼いわく、「このシステムを学ぶ必要がある、
なぜならこれによってどんな社会システムも操られている」
しかし、彼の知識とライブラリーへの情熱が
二の次になることはなかった。
Aaronは学会誌論文を出版する機関を
詳しく調べ始めた。
アメリカの一流大学の学生であるおかげで、
皆さんは幅広い分野の学会誌に
アクセスできる、そうですよね?
アメリカのほとんどすべての一流大学が、それ以外の
世界では読むことができないような学術誌に
アクセスするために、JSTORやトムソンISIのような組織に
ある程度のライセンス料を支払っています。
これらの学術誌と論文は基本的に
オンラインにおける人間の知識、その完全なる財産であり、
そしてその多くが納税者のお金や
政府の補助金によって支払われている、
しかしそれを読むには、たびたびリード・エルゼビアといった出版社に
法外な受け渡し料金をまた支払わないといけない。
こういったライセンス料はアメリカ以外の、インドなどで
勉強している人たちにとってはかなりの負担なので、
こうしたアクセスができない。彼らはこうした
学術誌すべてから締め出されている。
科学的遺産全体から締めだされている。
つまり、こうした多くの学術誌は、
啓蒙時代にまで遡る。
常に誰かが科学論文を書けば、それはスキャンされ、
デジタル処理され、こうしたコレクションに収蔵される。
これは興味深い仕事をしてきた人たち、科学者たちの
歴史によってもたらされた遺産だ。
庶民として、民衆として私たちが所有すべき遺産であるが、
しかしその代わり、これらの遺産は
そこから引き出せる最大の利益を得ようとする
一握りの利益追求型の企業によって
保管され、オンラインに公開されている。
つまり研究者は大学から給料をもらい、
あるいは人々は論文を出版し、
そしてプロセスのずっと一番最後の段階、
すべての仕事を終えた後、
独創的な研究─構想、研究室での作業、分析、
そうした全てが終わった後、
ようやく最後の段階になったら、研究者はこういった
何十億ドル規模の企業に著作権を譲り渡さないといけない。
これは異常です。勤労奉仕によって
築かれた経済全体、
その頂点に出版社が居座り、
上前をはねている。
まさに詐欺ですよ。イギリスのある出版社は
昨年30億ドルもの利益をあげました。
つまり、ボロ儲けです。
JSTORはこの話の中では
とても小さな登場人物に過ぎませんが、
何らかの理由で、Aaronが対決しようと
選んだ相手がJSTORになったんです。
彼はオープンアクセスとオープンパブリッシングに
関するいくつかの会議に行っていました、
JSTORの人物が誰かについては存じ上げませんが、
彼らに─ある時期に、Aaronが質問したんだと思います、
「JSTORを永久にオープンにするコストはいくらぐらいなのか?」
彼らは─おそらく2億ドルだろうと思いますが、そう答え、
Aaronは実に馬鹿げた話だと感じたのでしょう。
ハーバード大学のフェローシップとして働いていた彼は、
近所にあるMITの有名な公開高速ネットワーク上に
JSTORの財産へのアクセス権を持つユーザーを
知っていた。彼は機会をうかがっていた。
こうした扉を開く鍵を持っていて、
そしてちょっととしたシェルスクリプトの魔法で、
これらの学術論文を手に入れることができる。
2010年9月24日、
Swartzは新しく購入したAcerのラップトップを
MITのネットワークに登録した、
ラップトップの登録名は"Gary_Host"。
クライアント名は"GHost_laptop"として登録。
彼は伝統的な意味ではJSTORをハッキングしませんでした。
JSTORデータベースは整理されていたので、
いかにしてJSTORの論文全てをダウンロードするか
ということは全く取るに足らないことだった、
それらが基本的に番号付けされていたからです。
スラッシュ、スラッシュ、スラッシュ……
論文番号444024、そして25、26というように。
彼は次から次に論文を取得し続ける
Pythonスクリプト"keepgrabbing.py"を書いた。
次の日、GHost_laptopは論文の取得を開始、
しかし程なく、コンピューターのIPアドレスがブロックされた。
Swartzにとって、これはほとんど問題ではない。
彼は即座にIPアドレスを再割当てし、ダウンロードし続けた。
JSTORとMITは事態に気がついた時
これを妨害しようと多くの措置を取りましたが、
控えめな措置が功を奏さなかった際は、
ある段階で、JSTORはMITからの
データベースへのアクセスを遮断しました。
JSTORデータベースへのアクセスをめぐる
ネコとネズミの追いかけっこのようなものです。
Aaronは明白にネコの側でした、
防御側のJSTORデータベースの
人々より彼のほうが、技術的能力があったからです。
ついには、とあるビルの地下にあった
施錠されていない資材倉庫に
向かうと、WiFiの代わりに、
直接ネットワークにコンピューターを接続し、
外部ハードディスクを使って論文を
ダウンロードするために設置した。
Swartzの知らぬところで、
当局により彼のラップトップとハードディスクが発見された。
彼らはダウンロードを止めなかった。
代わりに、監視カメラを設置。
彼らはMITのビルの地下の部屋にコンピューターを見つけた。
そのコンピューターのプラグを抜くこともできた。
犯人が来るのを待ち、「あんた、何やってんだ、
それの電源を切れ。お前は誰だ?」と聞くこともできた。
その手のことができたはず、しかしそうはしなかった。
彼らがしたかったのは事件化のための
証拠集め用に撮影することだった。
それが撮影した唯一の理由なんです。
当初、映像に乱れのある監視カメラが捉えたのは、
倉庫にビン缶を置きに倉庫にやって来た人物だけだった。
しかし数日後、カメラはSwartzを捉えた。
Swartzはハードディスクを交換。
それをバックパックから取り出すと、
五分ほど画面から見切れて、
そして立ち去った。
彼らは張り込みでもしていたかのように
組織されていて、MITからバイクで家に帰る彼に
警察官が道路の両側からやってきて、
そんな感じで、彼の追跡を開始しました。
息子は警察に押し倒され暴行を受けたと言いました。
彼ら─後になるまで警察だとは気づかなかったが、
誰かが暴行しようとしたように感じたと。
彼らに殴られたとも言いました。
衝撃的でした。家族の皆誰にとっても、
刑事告発についてのイメージは
他所事で難解なものでした、
どうしていいかわからなかった。
彼らはAaronの自宅、ケンブリッジにある彼のアパート、
そしてハーバート大学の事務所の捜査令状を執行しました。
逮捕の2日前、捜査はJSTORと
地元ケンブリッジ警察の管轄を超える。
彼らはアメリカ合衆国
シークレットサービスに捜査を引き継いだ。
シークレットサービスは1984年にコンピューターや
クレジットカード詐欺の捜査を開始したが、
9/11のテロの6週間後、彼らの任務が拡大された。
[拍手]
ブッシュ大統領は米国愛国者法に基づいて
電子犯罪特別対策部隊と呼ばれるネットワークを設立。
今私の目前にあるこの法律は、昨今のテロリストによる
新しい現実と脅威を考慮に入れている。
シークレットサービスが言うには、
彼らは主に経済的影響のある、
組織的犯罪者集団、あるいは新技術を使った
犯行計画の行使に対して活動しているとのこと。
シークレットサービスはSwartzの事件を
ボストンの米連邦検事事務所へ送致。
ボストン米連邦検事事務所には、
「コンピューター犯罪特別対策本部のトップ」の
肩書を持つ男がいる。
彼が他に何をやってきたのかは知りませんが、
コンピューター犯罪を起訴したこともないような人は
完全に「コンピューター犯罪検察官」向きではないですよね。
従って仮に彼が検察官の座を拒否し続けたとしたら、
職員や部隊の中に任命できる人間はいない、
それがSteve Heymannです。
検察官Steve HeymannはAaron Swartzの逮捕以来
公の場から姿を消しているが、
Aaronが逮捕された時期に撮影された
テレビ番組American Greedのエピソードで
彼の姿を見ることができる。
彼は以前扱った悪名高いハッカーAlberto Gonzalesを
相手取った事件を説明している、
この事件でHeymannは報道から膨大な注目と称賛を集めた。
Gonzalesは1億件以上のクレジットカード番号
ならびにATM番号の窃盗を計画、
同様の不正行為としては歴史上最大のものだ。
Heymannはここで、Gonzalesについて説明し、
ハッカーの考え方について自身の意見を述べている。
彼らは私たちを突き動かしている多くのものに
同様に突き動かされています。
彼らは自我を持ち、挑戦を好み、そしてもちろん
お金とそれで買えるものすべてが好きなのです。
Gonzalesの事件に関与したとされる容疑者の
一人にJonathan Jamesという名の若いハッカーがいた。
Gonzalesの犯罪に関与した容疑が掛けられていたが、
Jamesは捜査中に自殺を図った。
Aaron Swartzの事件における政府の方針を
伝える初期の報道発表の中で、
Heymannの上司であるマサチューセッツ特別区
連邦検事のCarmen Ortizは次のように語った:
「コンピューターコマンドを使うにしろバールを使うにしろ、
ドキュメントやデータを盗むにしろお金を盗むにしろ、窃盗は窃盗だ」
それは違う。明らかに違います。
それに罪がないと言うことではないし、
また情報を盗むことを犯罪とすべきでないということではありません、
しかし、どういったものが厳密に害を及ぼすかを
判断しようとするときはより慎重でなければならない。
だからバールといったものは、常にバールを使って何かを壊そうとする、
損害を与えようとする。これに疑いはない。
しかしAaronはスクリプトを書いた、
内容は、1秒間に100回、「ダウンロード、
ダウンロード、ダウンロード……」、
誰も明白な損害を受けてない。
仮に彼が学術的研究のためにアーカイブを
集める目的で行ったのであれば、
誰もいかなる損害を一切受けていない。
彼は盗んでいない。彼は盗ったものを
売却していないし譲渡もしていない。
私の知る範囲では、彼はそう主張しました。
この逮捕はSwartzに痛手となった。
彼はこの件について話したがりませんでした。
つまり、かなりストレスを受けていました。
もしある日FBIが自宅の前までやって来て、
玄関に降りてきて、洗濯をしようとしたその時、
ドアに鍵をしていなかったので
彼らがアパートに押し入ってきたと考えてみてください、
きっと……かなりのストレスでしょう、
そして明らかにこのおかげで、
Aaronはいつも陰鬱とした気分でいました。
この期間ずっと彼は居場所に関わる
情報を出そうとしませんでした、
なぜなら彼を待ち受けようとするFBIを
ひどく恐れていたからです。
この時期、世の中は空前の社会的、
政治的行動主義ブームだった。
タイム誌は後に2011年の「今年の人」に
「抗議者」を選んだ。
進行中のハッカー活動の温床のようでした。
Wikileaksは外交公電の山を流出させ、
Manning米軍情報分析官はこのとき既に逮捕、
彼がリークの情報源かどうかわかっていなかった。
Anonymous、組織の中に多くのハッカーを
抱える一種の抗議集団、
彼らはお粗末な馬鹿騒ぎを色々とやっていた。
もし彼の行った事とこれらを比較するなら、
プライベートや専門的な問題において、
彼の事柄への対応は
MITやJSTORのために残置しておくべきだった。
刑事制度の注意を引くべきではなかった。
こうなるはずじゃなかった。
起訴される前、Swartzに司法取引の申し出があった、
刑務所に三ヶ月、更生訓練施設で過ごし、
その後一年間の自宅軟禁、
その間コンピューターの使用はすべて禁止。
Swartzが重犯罪に対し有罪であることを認める事が条件だった。
さて、この国家訴訟についての
開示する証拠も
証人もいない。
そして弁護士がこうしろと求めてくる
膨大な決断をしないといけない、
政府は交渉の余地のない要求をしてくる、
そしてあなたが有利な可能性は小さいと言われる。
だから、有罪か無罪かにせよ、
この取引に応じたほうが楽になる。
ボストンは
コンピューター犯罪対策課を持ち、
多くの、おそらく必要以上の弁護士がいます。
従って、起訴することがとても難しい
様々な事件を思い浮かべることができます、
例えばロシアで起きた事件であるとか、
一時間で500ドルから700ドル
稼ぐ弁護士と
対峙することになるような
会社の内部の人間であるとか、
それに加えて、この事件、彼の場合には
彼がやったことを証明するのはとてもたやすく、
そして彼は既にトラブルメーカーとして
FBIにマークされていた、
これでは彼らと立ち向かうには
タフになければならないですよね?
検察官にとっては問題ない。この国にとっては、
なぜなら彼らはすべての
テロリスト集団と戦っているから。
とても怖かったですね。
私のコンピューターが押収されるのが
とても怖かった。
コンピューターが押収されることで
刑務所に行くことになるのでは、とすごく恐れました。
前職で私のラップトップには情報源からの
機密情報を所持していたので、
そしてとりわけ、私の優先事項は─
情報源を守ることにある。
娘のAdaに何か起こるのでは、と
いうことがすごく怖かった。
Aaronからは、彼らが取引を
申し出てきたことを話してくれて、
彼は最終的に私が望むなら
取引を受け入れてもいいと、
それで私は、彼に寄り添って
言ったんです、「取引しましょう」と。
彼は2つの出来事の期間中、
そうした、成熟した、なんというか、
純粋な政治的野心を持っていました、
起業家人生を終えた瞬間と、
この政治活動を始めることになった
新しい人生を開始した時の間で、
そして彼は重罪を受けたまま人生を
続けていけると信じるがことができなかった。
そう、ある日ホワイトハウスを
一緒に通りかかった時、
彼は言いました、
「重罪人を働かせてはくれないよ」と。
そして彼は─彼は本当に
人生を自分らしく生きたかったんです。
彼は誰も殺しちゃいない。
誰も傷つけてない。
お金を盗んだりなどしちゃいない。
重罪に問われるようなことは
何一つやっちゃいないですよね? そして……
この思いはつまり、彼が行ったことで
重罪人の汚名を着せられ、
多くの州で投票する権利を剥奪すべきだという
理由は無いということだ。
常軌を逸している。
多額の罰金を課されたり、あるいはMITに再び
戻ることのないよう頼まれることは
筋が通っている。
ところが重罪人になる? 懲役に処されるって?
Swartzは司法取引を拒否。
Heymannは一層働きかけを強めました。
Heymannは私たちにあらゆるレベルで
プレッシャーを掛け続けてきました。
AaronのAcerコンピューターのHDDとUSBから
押収した物的証拠だけでなく、
検察官たちは彼の動機も証拠として必要だった。
なぜAaronはJSTORから論文をダウンロードしたのか、
そしてそれらを使い何を計画していたのか?
政府の主張では彼は論文を出版しようと計画していた。
彼の真意がどうであったかは私たちは知りません、
なぜならAaronは論文から興味深いことを学ぶために
論文の巨大データを解析するプロジェクトを
行った経歴も持っていたからです。
動機に関する最も有力な確証は、
彼がスタンフォード大学にいた時、
彼は法律情報サービス会社Westlawの
法務データベースもダウンロードしていたことです。
スタンフォード大学の法学生のあるプロジェクトで、
SwartzはWestlawの法務データベースを
ダウンロードしていた。
彼は法律調査の資金提供先と彼らに
好ましい調査結果との間に厄介な
つながりがあることを明らかにした。
利益追求型企業が、石油流出事故におけるExxonのように、
都合のいい法律論文を書いてくれる法律学教授に
資金を提供していたという
素晴らしい分析を彼は行いました。
つまり粉飾目的の研究に資金を出す
非常に腐敗したシステムだったんです。
SwartzはWestlawの文書を公開しなかった。
理論上、JSTORデータベースにも同じ分析を行うことができた。
これは完全に問題ないでしょう。
一方、仮に彼がJSTORと競合するサービスを作る目的で、
ハーバード・ロー・レビューにアクセスするシステムを
自分たちで作り上げ、料金を徴収したら、
もちろん、それは犯罪行為になるだろう、
なぜならその資料を商業目的で不正使用しようとしている、
しかし彼の行為からこういう推測をするのはまともじゃない。
そして、さらにその中間のケースもある、つまり、
もし彼があらゆる発展途上国にこれを解放しようとした場合だ、
しかし彼の行動次第では、法律が
どのようにこれを解釈すべきかについて
全く異なる特徴を形作る。政府はこの行為が
あたかも商業的な犯罪行為であるかのように彼を起訴した、
大量のクレジットカードの記録を盗んだかの
ような、そういった犯罪であるかのように。
このデータベースで何をしようと
していたのか私にはわからないが、
しかし彼の友人から聞いた話では、Aaronは
バイアスのある結果となった気候変動研究へ
企業の資金が流れた証拠を
データから分析するために行ったと話したそうです、
私はこの話を完全に信じています。
Steve検察官が私に話があると聞いたので、
この状況から抜け出すことのできる方法についての
話なのかと思いました、
そして自分のコンピューターが押収される
恐怖の中で生活したくなかった。
コンピューターの暗号を解くよう強要され、
法定侮辱罪で刑務所に入るのではという
恐怖の中で生活したくなかった。
彼らが来て「Steveからあなたに話がある」と言った時、
なにか訳ありなんだと思いました。
彼らは「Queen For A Day文書」、あるいは「提案文書」
として知られるものを申し出た。
Aaronの事件についての事情聴取を
検察官に許可する文書だ。
聴取の間に明らかにされた情報によって
Nortonは検察官から訴追免除される。
気が進みませんでした。弁護士に繰り返し
言いました……、怪しい感じがして、
気が進まなかった、訴追免除を受けたくない、
訴追免除は必要ない、私は何もしていない、
でも彼らはとても差し迫った感じで、
捜査官らは訴追免除なしの検察官聴取をしようとしませんでした。
[インタビュアー] 確認ですが、それはQueen For A Dayに
よる取引、提案文書だったんですよね。
- そうです、提案文書です。
- 基本的にあなたが情報を渡すのと
引き換えに訴追から保護される。
- 情報の受け渡しではありませんでした。
─少なくとも、そういう風には思えません。
それはただの話し合い、
彼らとの面接でした。
- その、彼らがあなたに聴取し……
- 彼らは私に聴取しました。
- そして彼らが欲しい情報を聞くことができ、
- そうです。
- そして情報を得たら……
- 私はとても……
- 彼らはあなたを起訴できなくなる。
- そうです、そして私は繰り返しその保護は受けないよう努めました。
私は繰り返し、繰り返し、
この提案文書を拒否しようとしました。
具合を悪くしました。
私の弁護士から圧力を受けました。
混乱しました。
このことで調子がよくありませんでした。
気分が落ち込み、
私がいるこの状況が理解できませんでした。
なぜこんな状況になったのかわからなかった。
変わったことはしていないし、
まして悪いこともしていない。
私たちは気が狂いそうになりました。
Aaronはこのことで明らかにしても取り乱していました。
私たちも取り乱しました。
Aaronの弁護士もとても取り乱していました。
Quiinに弁護士を代えるよう説得しました。
大きな、完全武装した男たちと一緒に
いることに慣れず、
彼らは絶えず私が嘘をついていて、
何かをやったはずだと言ってきた。
私は彼らに、あなた方が起訴しようとしていることは
犯罪じゃないと言った。
あなた方は歴史の暗部だと言いました。
このフレーズを使いました。
「あなた方は歴史の暗部だ」って。
そして彼らはうんざりしていました。怒っていませんでした。
彼らはただうんざりしていました、
そして同じ会話ばかりすべきでないと感じ始めた。
つまり、たくさんのことを、なぜ論文をダウンロードしたのか
についてのことを話しました。
そして結局、─その時のことはよく思い出せないのですが─
彼が「ゲリラオープンアクセスマニュフェスト」という
ブログ記事を投稿したことに触れました。
これが「ゲリラオープンアクセスマニフェスト」、
たぶん2008年7月にイタリアで書かれたものだ。
「情報は力だ。しかし全ての力と同様に、
自分たちのためにその力を保持したい人たちがいる」
「世界全体の科学的文化的遺産、
何世紀と出版されてきた書籍や論文、
それらは次第に一握りの民間会社によって
デジタル化され隔離されている」
「その間、締め出された者たちは
ただ手をこまねいているわけではなかった」
「すき間から覗き込み、壁を乗り越え、
出版社によって隔離された情報を
解放し、仲間と分け合う」
「しかしこうした行為は秘密裏に、水面下で行われる」
「これは窃盗や海賊行為と呼ばれ、
あたかも豊富な知識を分け合うことが
船からの強奪やその船員の殺害と
倫理的に等しいかのように言われる」
「しかし分け合うことは道義に反しない。
─これは倫理的義務だ」
「欲に目のくらんだ者は友人にコピーを作らせることを拒むだろう」
「不正な法に従うことに正義はない」
「今こそ陽の下に進み出て、
市民的不服従という素晴らしい伝統の中で
この公共文化の独占的強奪に対し
反対の意思を宣言しよう」
このマニフェスト自体は4人の異なる人物によって
書かれたとされ、そしてNortonが編集したものだが、
自身の名を署名をしたのはSwartzだった。
聴取が終わった時、すぐさまAaronの元に行き、
覚えていることを全て話しました、
彼はすごく怒り出しました。
私がした事でこういう方向へ成り行きが進んでしまった。
まずいことをして、
全てが悪い方向に行ってしまった、
でも私は……
私はまだ憤慨しています。
まだ憤慨しています、正しいことをするために
こうした人々と最善を尽くすことができた、
そして全てが私に不利になってくると、
彼らはできる限りの手を使って
私を傷めつけようとしてきたことに。
そしてその瞬間、私がしてきたことを
話したことを後悔しました。
だけどさらなる後悔は、
このことで私たちが落ち着いてしまったことです。
このことを了解したことに。
この正義のシステムを了承したこと、
人々を小さな罠にはめてそうした人たちの人生を
台無しにすることができるシステムに。
ですから、そう、言わなければよかったのに、と。
でももっと憤慨していることは、
いま私がこうしてここにいることです。
一人の国民として、
このことを了承したことに。
彼女から情報を得ようと、思いつく限りの
あらゆる手を捜査官らは使ってきました、
Aaronにとって不利となる情報、
そしてAaronを起訴するのに有利となる情報を、
しかし政府にとって有利となる情報を
彼女が持っていたとは私には思えません。
Swartzの友人と家族が迫り来る起訴を
待ちつつ数カ月が過ぎていった。
その頃、Swartzはネットの諸問題に対する
頼りになる専門家となっていった。
[RT インタビュアー] あなたに
質問したいのは、インターネットは
人権に留意すべきだと思いますか、そしてネットは
政府が奪い取ったりできないものだと?
はい。もちろん、つまり国家安全保障のために
ネットの遮断を許可するというこの考え方、
今まさにエジプトやシリア、
その他多くの国で伝え聞きます、
そして確かに、WikiLeaksといったサイトが
アメリカの政府が行ったことについての
厄介な資料を公開しようとしていて、
人々はそれに抗議しようと組織を作り、
政府に立ち向かい変えようとしている。
知ってのとおり、これはいいことです。
これらはすべて憲法修正第1条の表現の自由、
結社の自由に関わることです、
だからネットを遮断しようというこの考え方は
基本的なアメリカの原則に反していると思う。
この原則は、我々の建国の父が理解していたものの一つだと思う。
もしインターネットがその当時あったのなら、
憲法の「郵便局」と書かれた部分の代わりに「ISP」と書いただろう。
[RT インタビュアー] ええ、
どうなるのか興味深いですが……
Swartzは活動家のTaren Stinebrickner-Kauffman
と出会い、2人は付き合うようになった。
[Aaron] 僕らには世界的な大規模民衆抗議が必要だ。
[Taren] 世界的な大規模民衆抗議がなければ、
世界を変えることはないわ。
この街の人間で世界的な
大規模民衆抗議を引き起こさなきゃ。
- もちろん、嘆願書への署名者が必要だわ。
Swartzは事の詳細を彼女には知らせず、何かに
巻き込まれていることを彼女に警告した、
彼はそれを単に「厄介事」と呼んでいた。
Elizabeth Warrenとのスキャンダルでもあったのだろうか、
とか、ちょっとおかしな想像をしていました。
Hillary ClintonとElizabeth Warrenの
2人を疑っていて、実際は……
たぶん7月末のあるとき、Aaronが電話してきて、
電話を取ると、彼いわく、その「厄介事」が
明日ニュースで流れると。
僕の口から聞きたいか、
それともニュースで知りたいか?と聞いてきて、
私は、「いいわ、あなたから聞きたい」と。
すると彼は、「その、僕は……僕は
学術論文を大量ダウンロードした罪で逮捕され、
僕を見せしめにしようとしているんだ」
私は、「そんなこと?それが大問題なの?
本当に?一大事には思えないわ」