想像の鍵でドアを開けると
その向こうには別の次元がある
音の次元...
視界の次元...
心の次元
みなさんは物事と考えの
影と実体双方の地へ
入ろうとしている
今トワイライトゾーンへ踏み込んだのだ
お客様は?
結構ですよ
旅をお楽しみください
こんにちは
そこでいい?
ああ 大丈夫だ
それをよこして
私が窓側に座る?
いや
僕は大丈夫
思うに...
あなた どうしたの?
非常口?
席を替わる?
いやいや 問題ない
座る席でどう違う?
席じゃなく飛行機だ
あなた 今吸わないで
離陸してからにして
僕は治った風じゃないね?
治ったのよ
治ってないならマーチン先生が
飛行機に乗せないでしょ?
そうだろうな
回復してないなら
マーチン先生は家まで飛行機で
行かせないってこと
簡単な話だわ
とにかく君は簡単そうに言うね
実際にそうなの ボブ
ああ
僕はここにいて
君はとても疲れてる
淋しかったよ...
この6ヶ月間
だけど もう終わったの
ママがあなたを連れ帰るわ
君は大変だったろ-
子供達を世話して...
一人で全部請負ってね
まだ全部無傷よ
僕以外はね
ボブ だめよ そんな...
客室ドア確認終了
何?
ただ少し...
卑しい気弱さだけだ
大丈夫だ
ささいな神経症になったが
今は治ってる
理解- って素晴らしい
飛行機なんかじゃないんだ
自信喪失からくる過緊張と過剰不安だ
お客様 シートベルトを
おびえた男の肖像:
ロバート・ウィルソン氏 37歳
夫であり父親 病休のセールスマン
氏は 神経衰弱から回復し
過去6ヶ月過ごした-
療養所から退院したばかりである
ことの起こりは
今夜と同じような夜に
氏が乗って帰宅しようとしてるのとー
とても似た飛行機だった
半年前の夜と違うのは
ノイローゼの到来で
氏の搭乗は終わりになったことだ
今夜 彼は決まった目的地まで
ずっと乗るところだ
それは
氏の計画に反し
Tゾーンの真っ暗闇に
入ることになる
シートベルトをお締めください
シートベルトをお締めください
ごめんよ
また眠ってくれ
あの睡眠薬を飲まなきゃよかったわ
私は一緒に起きてればいいのよ
いや そうして欲しくない
眠って 僕は大丈夫
眠れないの?
眠るよ
僕の心配をしないで
いいわ
ここだ 早く!
何かご用でしょうか?
外に男がいる
何ですって?
見て 上を這ってる...
すみ...
すみません
あれはきっと...
ボブ? どうしたの?
何でもありませんわ 奥様
何かお持ちしましょうか?
水を一杯
わかりました
どうかしたの?
いや 外に何か見えた気がしたんだ
えっ?
なんでもない
少し眠った方がいいな
大丈夫?
ああ 大丈夫だ
もう睡眠薬を飲んだ方が
よくない?
ああ 一錠飲もう
はい どうぞ
有難う
どういたしまして
毛布をお持ちしましょうか?
いや ハニー?
あ いいえ 結構よ
もう大丈夫そう?
ああ 大丈夫だ
用があれば起こしてくれる?
そうする
いないんだ
いないんだぞ
ハニー? 起きてくれ ハニー?
早く
何か ウィルソンさん?
ご用でしょうか?
嵐に入るのか?
ほんの小さな嵐です
何もご心配いりませんよ
ハニー...
起きてくれ 頼む ハニー?
ハニー
ジュリア 起きて
どうしたの?
何を見てるの?
ボブ?
嵐なの?
それが気になるの?
いや
さっき 外に何か見えたと
言ったのを覚えてる?
ええ
ジュリア 外に男がいるんだ
お- 男ってんじゃなく
つまり...
つまり何か分からない
つまり...
多分...
戦争中 何と呼んでいたっけー
ほら パイロットたちがー
グレムリン
グレムリンだ!
ほら あの話を覚えてるだろ...
ジュリア そんな風に僕を見るな
ボブ...
空想じゃない
空想じゃないんだ
現に外にいるんだ
見るな!
今はいない
彼は...
...跳びのく
誰かが彼を見るたびに
僕は別だ
ハニー 彼はそこにいる
変に聞こえると分かってるよ
僕はキチガイみたいか?
いいえ あなた 違うわ
僕は神経衰弱になった
飛行機に乗っててなった
また同じことが起こりそうに見えると
分かってる
だが違うんだ
絶対違う
いいか なぜ君にこう言うか...
ただ君を心配させる為じゃない
さっきは言わなかったろ
話してちょうだい
さっき言わなかったのは
あれが本当かどうか
はっきりしなかったからだ
だが今ははっきりしてる
あれは本物だ
外に男がいるんだ!
それとも...グレムリンか...
それが何であっても...
彼の格好を説明したら
狂ったと君は本当に思うだろな
いいえ あなた
大丈夫 大丈夫よ
ジュリア 君の善意は認めるよ
僕を愛して同情してくれてる
だが子供扱いするな
僕は気が狂ってない!
私言った...?
言わなくても分かる
君の顔に書いてある 君の...
な さっきは
その生き物は外にいたんだ
君に話すわけは
彼がエンジンの一つをいじり出したからだ
な いいか
いいか どうとでも思ってくれ
僕は拘束具がふさわしいと
思っていい
それで君が満足なら
それで私が満足なら?
いや そう言う気じゃなかった
僕が言いたいのは...
君が僕をどう思おうと...
気がおかしくなってるとか
何でもー
ただ君に頼みたいのは
パイロットに僕が言ったことを
伝えてほしいんだ
翼から目を離すなと
彼等に頼んでくれ
彼等に何も見えないなら...
...いい
いいよ その時は僕が...
決意する 僕が...
だが 彼等に見えれば...
可能性すら認めないのか?
話すわ
これは...
求め過ぎだと分かってる...
まるで君に...
キチガイと結婚したと
宣伝させるようなものだ
いいえ 話してくるわ
じっと座ってて
話してくる
ウィルソン夫人 どうしました?
何か?
ええ 夫が航空機関士に
会いたがってるの
では 連れてくるので
ここでお待ちください
有難う とても大事なことなの
早く
早く!早く!
彼が外にいる!
どうしたんです?
彼がエンジンカバーを
引っ張り上げてる
「彼」?
妻から聞かな...?
外に男がいるんだ!
声を落として
すみません どうも
どうなってるのか分からない...
見てくれないか?
ウィルソンさん
注意しますが
見てくれよ
後生...!
ええと?
いや ちょっと待て
彼があの板を引き上げるのを見たんだ
板を引き上げるのを見たと言ったろ!
ウィルソンさん どうか
分かった あなたは彼が見えた
ですが 他にも乗客がいらっしゃるんです
彼等を脅かしてはいけません
君にも見えたってこと?
勿論です
だが乗客を怖がらせたくないのです
お分かりいただけますね
勿論だ もち...
分かってるよ
それで 私達が覚えてることは...
もう止めていい
ボブ...
ーお客様
帰ってくれ
ウィルソンさん...
もういいと言ったんだ
ハニー どうしたの?
もう何も言わない
まず墜落してみよう
ボブ!
私達の立場をご理解ください
あなた すぐ戻るわ
彼は確かに引き上げた
確かだ
私 彼等に言おうとしてたの...
そうか?
僕に?
お願い ボブ
眠るのよ
もう眠るの あなた
分かった
やれやれ
どうやったの?
奥さんにあの錠剤を渡したの?
彼は何時間も意識がなくなるさ
そう願うわ-嵐もくることだしね
心配するな
万事大丈夫
そう願うわ
ハニー? 水をもってきて
くれないか?
水を一杯 頼む 早く
聞いたこともないいかれたー
自殺法だな
もう大丈夫よ あなた
分かってる
だが 分かってるのは僕だけだ...
今はね
R・ウィルソン氏の搭乗はもう終わった
A地点からB地点へ飛ぶことだけでなく
神経衰弱再発の恐怖からの逃走も
終わったのだ
ウィルソン氏にその恐怖は
もうない
今のところ 彼が述べたように
この確信は彼だけだが
幸いに 彼の確信はあまり長く
一人に留まらない 幸いに
明らかな兆候が
侵入の証拠として
残されることがよくあるからだ
Tゾーンのような不可解な
領域からすらも