1 00:00:00,792 --> 00:00:04,485 我々は失敗した社会政策のためにある バケツのような組織として見られています 2 00:00:04,485 --> 00:00:07,767 私には誰が我々の所に来て どれくらい居るのか 決めることはできません 3 00:00:07,767 --> 00:00:09,903 我々が受け入れるのは 誰からも見放され 4 00:00:09,903 --> 00:00:11,341 他の全ての 社会的セーフティーネットから 5 00:00:11,341 --> 00:00:13,254 落っこちてしまった人たちです 6 00:00:13,254 --> 00:00:15,587 社会が受け皿になれないなら 我々がせねばなりません 7 00:00:15,587 --> 00:00:17,030 それが我々の仕事です 8 00:00:17,030 --> 00:00:20,137 彼らを収容し統制することです 9 00:00:20,137 --> 00:00:22,594 何年にもわたって 刑務所のシステムや 10 00:00:22,594 --> 00:00:24,415 国や社会は 11 00:00:24,415 --> 00:00:25,890 それが非常に上手になりました 12 00:00:25,890 --> 00:00:28,010 しかしそれは喜ばしいことではありません 13 00:00:28,010 --> 00:00:29,710 今日 人口あたりの投獄者数は 14 00:00:29,710 --> 00:00:31,847 世界の他の国より多いのです 15 00:00:31,847 --> 00:00:33,760 今日 刑務所にいる黒人の数は 16 00:00:33,760 --> 00:00:36,321 奴隷法のあった1850年を超えています 17 00:00:36,321 --> 00:00:38,081 我々は コミュニティの 18 00:00:38,081 --> 00:00:39,805 300万人の子どもの親を収容しており 19 00:00:39,805 --> 00:00:41,825 また我々は新たな精神病院と化しています 20 00:00:41,825 --> 00:00:44,862 つまりこの国の精神医療の 最大の提供場所になっています 21 00:00:44,862 --> 00:00:46,333 人を閉じ込めるのは 22 00:00:46,333 --> 00:00:47,964 些細なことではありません 23 00:00:47,964 --> 00:00:51,122 こんな有様なのに 我々は「矯正省」と呼ばれています 24 00:00:51,122 --> 00:00:52,510 今日私は我々が考えている 25 00:00:52,510 --> 00:00:54,605 矯正の在り方の転換について お話しします 26 00:00:54,605 --> 00:00:56,664 私の信念と経験から言うと 27 00:00:56,664 --> 00:00:58,373 我々が考え方を変えれば 28 00:00:58,373 --> 00:01:01,207 新しい可能性や未来を 生み出すことができます 29 00:01:01,207 --> 00:01:03,833 そして刑務所は違う未来を 必要としています 30 00:01:03,833 --> 00:01:07,305 私は30年のキャリア全てを 矯正の分野で過ごしてきました 31 00:01:07,305 --> 00:01:08,785 父を追い この世界に入ったのです 32 00:01:08,785 --> 00:01:11,930 彼はベトナム帰還兵でした 矯正は彼にぴったりの仕事でした 33 00:01:11,930 --> 00:01:14,940 彼は強く 真面目で 規律正しい人でした 34 00:01:14,940 --> 00:01:16,380 私はそういうタイプではなく 35 00:01:16,380 --> 00:01:18,779 きっと彼はそんな私を 案じていたことでしょう 36 00:01:18,779 --> 00:01:21,622 最終的に私は決めました 自分が刑務所で人生を終えるならば 37 00:01:21,622 --> 00:01:22,943 私は牢の外側にいたいなと 38 00:01:22,943 --> 00:01:24,650 それで私は父の働いていた 39 00:01:24,650 --> 00:01:26,920 マクニール島刑務所について調べて 40 00:01:26,920 --> 00:01:29,101 見学したいと考えたのです 41 00:01:29,101 --> 00:01:30,811 これは80年代初めのことで 42 00:01:30,811 --> 00:01:32,338 刑務所は 現在テレビや映画館で 43 00:01:32,338 --> 00:01:34,320 目にするのとかなり違っていました 44 00:01:34,320 --> 00:01:36,840 多くの点で 悪い方向にです 45 00:01:36,840 --> 00:01:39,454 私は5階建ての監房棟の中を歩きました 46 00:01:39,454 --> 00:01:41,079 1つの監房に8人の男性がいました 47 00:01:41,079 --> 00:01:43,427 その住居ユニットには 550人の男性がいました 48 00:01:43,427 --> 00:01:45,310 疑問に思われた方のために言っておくと 49 00:01:45,310 --> 00:01:48,376 彼らはこの小さな空間で 1つのトイレを共用していました 50 00:01:48,376 --> 00:01:49,879 職員が監房の鍵を開けると 51 00:01:49,879 --> 00:01:52,421 何百人もの男性が房の外に ぞろぞろ出ていきました 52 00:01:52,421 --> 00:01:54,400 何百人もの男性が房の外に ぞろぞろ出ていきました 53 00:01:54,400 --> 00:01:56,763 私はできるだけ早くそこを立ち去りました 54 00:01:56,763 --> 00:01:59,361 最終的に私はそこに戻り 職員として働き始めました 55 00:01:59,361 --> 00:02:01,158 私の仕事は1区画の監房を運営し 56 00:02:01,158 --> 00:02:04,319 そこの何百人もの男性を 統制することでした 57 00:02:04,319 --> 00:02:06,164 受付センターで仕事をしている時でも 58 00:02:06,164 --> 00:02:08,890 受刑者たちが駐車場から 騒々しくやって来る物音や 59 00:02:08,890 --> 00:02:11,384 監房のドアを揺さぶったり  叫んだり 60 00:02:11,384 --> 00:02:13,058 監房を壊そうとする音が 聞こえました 61 00:02:13,058 --> 00:02:15,422 何百もの激しやすい人々を 鍵をかけて閉じ込めると 62 00:02:15,422 --> 00:02:17,186 混沌に陥ります 63 00:02:17,186 --> 00:02:19,959 収容と統制-それが我々の仕事でした 64 00:02:19,959 --> 00:02:22,280 これをより効果的にするために 我々が学んだのは 65 00:02:22,280 --> 00:02:23,490 新しい住居ユニットでした 66 00:02:23,490 --> 00:02:26,193 それは集中管理ユニット IMUと呼ばれました 67 00:02:26,193 --> 00:02:28,016 現代版の「穴蔵」です 68 00:02:28,016 --> 00:02:30,538 我々は差入れ口の付いた 硬い鋼鉄製ドアの監房に 69 00:02:30,538 --> 00:02:32,819 受刑者を入れ 外から手錠をかけたり 食事を与えたりできるようにしました 70 00:02:32,819 --> 00:02:34,160 受刑者を入れ 外から手錠をかけたり 食事を与えたりできるようにしました 71 00:02:34,160 --> 00:02:36,497 どうなったと思いますか? 72 00:02:36,497 --> 00:02:37,991 静かになりました 73 00:02:37,991 --> 00:02:40,488 全体的に騒動はなくなりました 74 00:02:40,488 --> 00:02:41,839 そこはより安全になりました 75 00:02:41,839 --> 00:02:44,439 なぜなら最も暴力的 あるいは破壊的な受刑者は 76 00:02:44,439 --> 00:02:45,864 隔離できるようになったからです 77 00:02:45,864 --> 00:02:47,595 しかし隔離はいいことではありません 78 00:02:47,595 --> 00:02:50,424 人から社会的接触をはく奪し その人の状態を悪くします 79 00:02:50,424 --> 00:02:52,359 彼らをIMUから出すのは困難でした 80 00:02:52,359 --> 00:02:54,912 それは彼らにとっても我々にとってもです 81 00:02:54,912 --> 00:02:57,381 刑務所の中であっても 人を閉じ込めるということは 82 00:02:57,381 --> 00:02:59,367 些細なことではありません 83 00:02:59,367 --> 00:03:01,921 私の次の配置先は 難しい州立刑務所でした 84 00:03:01,921 --> 00:03:04,856 そこにはもっと暴力的で破壊的な受刑者が 収容されていました 85 00:03:04,856 --> 00:03:06,700 その頃には この業界は進歩していて 86 00:03:06,700 --> 00:03:08,758 我々は破壊的行動を管理する為に 87 00:03:08,758 --> 00:03:10,795 さまざまな道具やテクニックを使いました 88 00:03:10,795 --> 00:03:13,020 我々はビーンバッグ・ガン(非致死性の散弾銃)や 催涙スプレー 89 00:03:13,020 --> 00:03:14,910 それからプレキシガラスの盾 90 00:03:14,910 --> 00:03:17,345 閃光弾 緊急対応チームも備えていました 91 00:03:17,345 --> 00:03:19,209 我々は暴力には力で対峙し 92 00:03:19,209 --> 00:03:20,670 混沌には混沌で対峙しました 93 00:03:20,670 --> 00:03:23,197 我々は争いを鎮静化するのが かなり得意でした 94 00:03:23,197 --> 00:03:26,498 私がそこにいた頃 2人の経験豊かな 矯正スタッフに出会いました 95 00:03:26,498 --> 00:03:28,034 彼らは研究者でもありました 96 00:03:28,034 --> 00:03:31,225 文化人類学者と社会学者です 97 00:03:31,225 --> 00:03:32,775 ある日彼らの1人が言いました 98 00:03:32,775 --> 00:03:34,813 「君は争いを鎮静させるのが 上手だよね 99 00:03:34,813 --> 00:03:38,647 どうやれば争いを防げるかを 考えてみたことはあるかい?」と 100 00:03:38,647 --> 00:03:40,624 力ずくのアプローチは刑務所を 101 00:03:40,624 --> 00:03:41,933 安全にするのだと説明しながら 102 00:03:41,933 --> 00:03:43,790 私は彼らに寛容になろうとしていました 103 00:03:43,790 --> 00:03:45,324 彼らも私に対してそうしていました 104 00:03:45,324 --> 00:03:47,501 この会話が 新しいアイデアにつながり 105 00:03:47,501 --> 00:03:49,397 我々は小さな実験をいくつか始めました 106 00:03:49,397 --> 00:03:51,798 第1に 我々は職員の訓練を 107 00:03:51,798 --> 00:03:55,040 州の研修所に1、2人ずつ送ってではなく チームの中で行うことにしました 108 00:03:55,040 --> 00:03:57,350 4週間ではなく 10週間訓練を受けさせました 109 00:03:57,350 --> 00:03:59,627 そして我々は徒弟制モデルを試みました 110 00:03:59,627 --> 00:04:03,200 そこでは 新人がベテランスタッフと ペアで仕事をしました 111 00:04:03,200 --> 00:04:05,713 彼らは両方とも仕事の腕をあげました 112 00:04:05,713 --> 00:04:08,323 第2に 我々は 言語による静穏化スキルを 113 00:04:08,323 --> 00:04:10,213 訓練に取り入れました 114 00:04:10,213 --> 00:04:12,950 そして力の行使が続くなかに それを加えました 115 00:04:12,950 --> 00:04:15,434 それは力の行使に対する 非暴力の行使でした 116 00:04:15,434 --> 00:04:17,036 より思い切ったこともしました 117 00:04:17,036 --> 00:04:19,346 受刑者たちに同じスキルを 訓練したのです 118 00:04:19,346 --> 00:04:21,642 我々はスキルの組み合わせを変えて 119 00:04:21,642 --> 00:04:24,813 暴力にただ応酬するのでなく 暴力自体を減らそうとしたのです 120 00:04:24,813 --> 00:04:28,047 第3に 施設拡張の際 我々は新しい内装を試みました 121 00:04:28,047 --> 00:04:30,752 このデザインの面で 最大かつ最も論議を生んだのは 122 00:04:30,752 --> 00:04:34,429 もちろんトイレでした 123 00:04:34,429 --> 00:04:36,118 トイレがないのです 124 00:04:36,118 --> 00:04:38,749 これは今の皆さんには 意義が分からないかもしれません 125 00:04:38,749 --> 00:04:40,134 しかし当時は重大事でした 126 00:04:40,134 --> 00:04:42,247 トイレのない監房など誰も 聞いたことがなく 127 00:04:42,247 --> 00:04:44,495 皆 危険で正気の沙汰ではないと 考えていました 128 00:04:44,495 --> 00:04:47,602 1つの監房に8人いるような環境でも トイレがありました 129 00:04:47,602 --> 00:04:50,459 この小さなことが我々の仕事を変えました 130 00:04:50,459 --> 00:04:52,189 受刑者と職員のオープンな交流が増え 131 00:04:52,189 --> 00:04:55,463 ラポール(信頼関係)が発展しました 132 00:04:55,463 --> 00:04:57,296 葛藤を エスカレートする前に 発見し 133 00:04:57,296 --> 00:04:58,610 介入するのが簡単になりました 134 00:04:58,610 --> 00:05:02,246 ユニットはより清潔に 静かに そして安全で人間的になりました 135 00:05:02,246 --> 00:05:04,451 これは当時の私が見たことのある 136 00:05:04,451 --> 00:05:07,960 どの威嚇的なテクニックよりも 平和を保つのに有用でした 137 00:05:07,960 --> 00:05:09,388 相互交流は人の行動を変えます 138 00:05:09,388 --> 00:05:11,494 職員も受刑者もそうです 139 00:05:11,494 --> 00:05:14,644 我々は環境を変えることで 行動を変えたのです 140 00:05:14,644 --> 00:05:16,537 この教訓を万一学び損ねていては いけないと思われたのか 141 00:05:16,537 --> 00:05:18,947 私は次に本庁に配置されました 142 00:05:18,947 --> 00:05:21,473 そこで私はシステムの変化に まさに直面したのです 143 00:05:21,473 --> 00:05:24,042 現状では多くの事柄が システムの変化に抵抗します 144 00:05:24,042 --> 00:05:26,151 政治と政治家 法案と法律 145 00:05:26,151 --> 00:05:28,919 裁判所と訴訟 内部での駆け引き 146 00:05:28,919 --> 00:05:30,989 システムの変化は困難かつゆっくりで 147 00:05:30,989 --> 00:05:32,531 しばしば思うようにはいきません 148 00:05:32,531 --> 00:05:34,214 しばしば思うようにはいきません 149 00:05:34,214 --> 00:05:38,236 刑務所のシステムを変えるのは 些細なことではありません 150 00:05:38,236 --> 00:05:40,910 それで私は自分の経験を振り返り 151 00:05:40,910 --> 00:05:44,164 我々が受刑者と交流を持つと 彼らが落ち着いたことを思い出しました 152 00:05:44,164 --> 00:05:46,155 我々が環境を変えたら 行動も変わりました 153 00:05:46,155 --> 00:05:47,944 これらは大きなシステム変化ではなく 154 00:05:47,944 --> 00:05:49,699 小さな変化でしたが これらの変化が 155 00:05:49,699 --> 00:05:51,910 新しい可能性を開いたのです 156 00:05:51,910 --> 00:05:54,617 次に私は小さな刑務所に 所長として配属されました 157 00:05:54,617 --> 00:05:56,876 そして同時に 私は エバーグリーン州立大学で 158 00:05:56,876 --> 00:05:58,957 学位に向けて勉強をしていました 159 00:05:58,957 --> 00:06:00,950 自分と違うタイプの人と たくさん交流しました 160 00:06:00,950 --> 00:06:02,320 さまざまな考えや 161 00:06:02,320 --> 00:06:04,026 バックグラウンドを持つ人たちです 162 00:06:04,026 --> 00:06:06,622 その1人は熱帯雨林の 生態学者でした 163 00:06:06,622 --> 00:06:08,372 彼女は私の小さな刑務所を見て 164 00:06:08,372 --> 00:06:10,158 そこを実験室にすることを思いつきました 165 00:06:10,158 --> 00:06:13,083 刑務所や受刑者たちだけでは やり遂げられない企画を 166 00:06:13,083 --> 00:06:15,115 我々が手助けすることによって 167 00:06:15,115 --> 00:06:16,744 科学の進歩に貢献できるかについて 168 00:06:16,744 --> 00:06:18,555 我々は話し合い その方法を発見しました 169 00:06:18,555 --> 00:06:20,873 例えば絶滅寸前の種を増やすことです 170 00:06:20,873 --> 00:06:24,020 カエル チョウ 絶滅しかけている プレーリーの植物などです 171 00:06:24,020 --> 00:06:25,347 同時に我々は 太陽光や 172 00:06:25,347 --> 00:06:26,930 雨水の資源化 有機栽培や 173 00:06:26,930 --> 00:06:29,153 リサイクルを通じた 174 00:06:29,153 --> 00:06:32,683 より効果的な運営方法を見出しました 175 00:06:32,683 --> 00:06:35,182 この改善策は多くの企画につながり 176 00:06:35,182 --> 00:06:36,884 システム全体へ影響を与えました 177 00:06:36,884 --> 00:06:40,227 我々のシステムだけでなく 他の州のシステムにもです 178 00:06:40,227 --> 00:06:42,423 小さな実験が科学やコミュニティを 179 00:06:42,423 --> 00:06:45,475 大きく変えました 180 00:06:45,475 --> 00:06:48,642 自分たちの仕事について考えたことが 我々の仕事を変えました 181 00:06:48,642 --> 00:06:51,823 この企画は私の仕事をより面白く わくわくするものにしてくれました 182 00:06:51,823 --> 00:06:53,780 私もスタッフも わくわくしていました 183 00:06:53,780 --> 00:06:55,790 職員も 受刑者もです 184 00:06:55,790 --> 00:06:57,543 彼らは感化されていました 185 00:06:57,543 --> 00:06:59,099 皆がこの一員になりたがりました 186 00:06:59,099 --> 00:07:01,418 彼らは意味や重要性を感じられる 187 00:07:01,418 --> 00:07:03,657 貢献をし変化を生み出しました 188 00:07:03,657 --> 00:07:05,513 ここで 状況を明確にさせてください 189 00:07:05,513 --> 00:07:07,256 受刑者たちは非常に適応的です 190 00:07:07,256 --> 00:07:08,928 彼らはそうである必要があるのです 191 00:07:08,928 --> 00:07:11,689 しばしば彼らは運営側よりも 我々のシステムについて 192 00:07:11,689 --> 00:07:13,670 よく知っています 193 00:07:13,670 --> 00:07:15,321 そして彼らは理由があってここにいます 194 00:07:15,321 --> 00:07:18,607 私は自分の仕事は彼らを罰したり 許したりすることではなく 195 00:07:18,607 --> 00:07:19,870 彼らは刑務所の中にいても 196 00:07:19,870 --> 00:07:22,623 きちんとした有意義な生活を 送れると考えています 197 00:07:22,623 --> 00:07:24,200 ですから問題はここです 198 00:07:24,200 --> 00:07:27,380 受刑者はきちんとした 有意義な生活を送れるのか 199 00:07:27,380 --> 00:07:30,650 もしそうなら これはどんな変化を生むのか? 200 00:07:30,650 --> 00:07:33,547 それで私はこの質問を より難しい場所へ持って帰りました 201 00:07:33,547 --> 00:07:36,212 そこでは最も暴力的な受刑者が 収容されていました 202 00:07:36,212 --> 00:07:37,843 IMUは懲罰の場でしたね 203 00:07:37,843 --> 00:07:39,907 そこで得られるものはないと 我々は考えていました 204 00:07:39,907 --> 00:07:41,837 例えば処遇プログラムの実施などです 205 00:07:41,837 --> 00:07:43,950 しかし分かってきたのは 受刑者のなかでも特に 206 00:07:43,950 --> 00:07:46,237 彼らにこそ処遇プログラムが 必要だということです 207 00:07:46,237 --> 00:07:48,423 実際 彼らは集中的なプログラムを 必要としていました 208 00:07:48,423 --> 00:07:50,761 ですから我々は考え方を180度変えて 209 00:07:50,761 --> 00:07:53,124 新しい可能性を探し始めました 210 00:07:53,124 --> 00:07:55,662 私が見つけたのは新しいタイプの椅子です 211 00:07:55,662 --> 00:07:57,608 罰のために椅子を使うのではなく 212 00:07:57,608 --> 00:07:59,278 我々は教室にそれを置いたのです 213 00:07:59,278 --> 00:08:02,330 大丈夫 我々は統制する責任を 忘れてはいません 214 00:08:02,330 --> 00:08:04,559 ですが今や受刑者は 他の受刑者やスタッフと 215 00:08:04,559 --> 00:08:06,205 対面で安全に交流できるのです 216 00:08:06,205 --> 00:08:07,840 そしてもはや統制は問題でないので 217 00:08:07,840 --> 00:08:10,130 全員が他のこと 例えば学習に集中できます 218 00:08:10,130 --> 00:08:12,761 行動は変わりました 219 00:08:12,772 --> 00:08:17,607 考え方を変えるとできることも変わります このことは希望をくれました 220 00:08:17,607 --> 00:08:20,143 現時点ではこれが 全てうまくいくとは言えませんが 221 00:08:20,143 --> 00:08:22,735 うまくいきつつあるとは言えます 222 00:08:22,735 --> 00:08:26,164 我々の刑務所はスタッフと受刑者 双方にとってより安全になってきています 223 00:08:26,164 --> 00:08:27,558 そして刑務所が安全であれば 224 00:08:27,558 --> 00:08:31,013 我々はエネルギーを統制以上のものに 費やすことができます 225 00:08:31,013 --> 00:08:33,295 再犯を減らすことは 我々の最終目標ですが 226 00:08:33,295 --> 00:08:34,970 それが唯一の目標ではありません 227 00:08:34,970 --> 00:08:36,726 正直に言うと 犯罪を防ぐには 228 00:08:36,726 --> 00:08:38,695 もっと多くの人々や 229 00:08:38,695 --> 00:08:40,208 機関が必要です 230 00:08:40,208 --> 00:08:43,476 もし犯罪の減少を 刑務所だけに頼ると 231 00:08:43,476 --> 00:08:45,434 それは決して 叶わないと思いますが 232 00:08:45,434 --> 00:08:47,289 刑務所では できるとは思えなかったことを 233 00:08:47,289 --> 00:08:48,965 することだってできるのです 234 00:08:48,965 --> 00:08:51,000 刑務所は絶滅危惧種を復活させ 235 00:08:51,000 --> 00:08:52,381 環境を回復する 236 00:08:52,381 --> 00:08:55,740 革新と持続可能性の 源にもなれます 237 00:08:55,740 --> 00:08:58,385 受刑者たちは科学者にも 養蜂家にも 238 00:08:58,385 --> 00:09:00,145 犬を保護するスタッフにもなれます 239 00:09:00,145 --> 00:09:02,678 受刑者は有意義な仕事と機会を 240 00:09:02,678 --> 00:09:04,635 そこで暮らすスタッフと 241 00:09:04,635 --> 00:09:06,976 受刑者にくれる源にもなれます 242 00:09:06,976 --> 00:09:09,150 我々は収容と統制とともに 243 00:09:09,150 --> 00:09:11,273 人間的な環境を提供することもできます 244 00:09:11,273 --> 00:09:13,864 これらは矛盾するものではありません 245 00:09:13,864 --> 00:09:16,165 我々はこの価値を確認するのに 246 00:09:16,165 --> 00:09:17,752 10年 20年も待ってはいられません 247 00:09:17,752 --> 00:09:20,446 我々のやり方は大規模な システム変化ではありません 248 00:09:20,446 --> 00:09:22,250 我々のやり方は年単位ではなく 249 00:09:22,250 --> 00:09:25,935 数日や数か月単位での小さな変化を 何百も起こすことです 250 00:09:25,935 --> 00:09:29,332 我々はもっと小さな試行をしながら 学ぶことが必要です 251 00:09:29,332 --> 00:09:32,333 試行は可能性の幅を広げます 252 00:09:32,333 --> 00:09:34,422 我々は働くことや交流 環境の安全性に及ぼす 253 00:09:34,422 --> 00:09:36,163 影響を測定するための 254 00:09:36,163 --> 00:09:38,179 新しい そしてよりよい方法が必要です 255 00:09:38,179 --> 00:09:40,499 我々や皆さんのコミュニティに 256 00:09:40,499 --> 00:09:42,671 参加したり 貢献したりする機会を 257 00:09:42,671 --> 00:09:45,120 もっと必要としています 258 00:09:45,120 --> 00:09:48,164 刑務所は安全である必要があります  そのとおりです 259 00:09:48,164 --> 00:09:49,147 それは実現できます 260 00:09:49,147 --> 00:09:51,168 刑務所は人間的環境であることが 必要です 261 00:09:51,168 --> 00:09:53,235 そこでは人々は有意義な生活に参加し 262 00:09:53,235 --> 00:09:54,921 貢献し 学ぶことができるのです 263 00:09:54,921 --> 00:09:56,770 我々はその方法を学んでいる最中です 264 00:09:56,770 --> 00:09:58,220 だから私は希望を持っています 265 00:09:58,220 --> 00:10:00,511 刑務所に関する古い観念に とらわれる必要はありません 266 00:10:00,511 --> 00:10:02,975 我々がそれを決め 作り出せるのです 267 00:10:02,975 --> 00:10:05,425 それを徹底的に 人間的なやり方で行った時 268 00:10:05,425 --> 00:10:07,362 刑務所は失敗した社会政策のための 269 00:10:07,362 --> 00:10:08,951 バケツ以上のものになるのです 270 00:10:08,951 --> 00:10:12,301 おそらくついに 我々は「矯正省」という 271 00:10:12,301 --> 00:10:14,296 名前に見合うものになるのです 272 00:10:14,296 --> 00:10:16,396 ありがとうございました 273 00:10:16,396 --> 00:10:18,927 (拍手)