WEBVTT 00:00:00.000 --> 00:00:03.000 これからお話しする 00:00:03.000 --> 00:00:06.000 協働による創造的な発明というのは 00:00:06.000 --> 00:00:09.000 先の3人が話したものと同じものです 00:00:09.000 --> 00:00:11.000 でもこの意味 00:00:11.000 --> 00:00:13.000 創造的な協働とも呼ばれる 00:00:13.000 --> 00:00:14.000 この 00:00:16.000 --> 00:00:18.000 創造的な発明の意義を 00:00:18.000 --> 00:00:21.000 違った視点 つまり 00:00:21.000 --> 00:00:23.000 ユーザーや消費者の 00:00:23.000 --> 00:00:25.000 役割を見直すことで 00:00:25.000 --> 00:00:28.000 明確にしたいと思います NOTE Paragraph 00:00:28.000 --> 00:00:30.000 簡単な質問から始めましょう 00:00:30.000 --> 00:00:32.000 マウンテンバイクは 00:00:32.000 --> 00:00:34.000 誰が発明したのでしょう? 00:00:34.000 --> 00:00:37.000 今までの経済理論なら 00:00:37.000 --> 00:00:40.000 新規の事業を始める 00:00:40.000 --> 00:00:42.000 大きな研究所を持った 00:00:42.000 --> 00:00:44.000 大企業だと考えるでしょう 00:00:44.000 --> 00:00:47.000 でも大企業ではないのです 00:00:47.000 --> 00:00:50.000 あるいは一人の天才が 00:00:50.000 --> 00:00:52.000 自分の車庫で 00:00:52.000 --> 00:00:54.000 自転車部品を組み合わせ 00:00:54.000 --> 00:00:56.000 開発したと考えるでしょう NOTE Paragraph 00:00:56.000 --> 00:00:58.000 実際にマウンテンバイクを 00:00:58.000 --> 00:01:02.000 発明したのはカリフォルニアの若者達です 00:01:02.000 --> 00:01:04.000 皆さんの兄さん達が 00:01:04.000 --> 00:01:07.000 乗っていたようなレース用の自転車には 00:01:07.000 --> 00:01:10.000 派手過ぎて興味が湧かず 00:01:10.000 --> 00:01:12.000 父親が使っている 00:01:12.000 --> 00:01:15.000 大きなハンドルの 00:01:15.000 --> 00:01:18.000 重い自転車にも満足できなかった 00:01:18.000 --> 00:01:20.000 それで 大きな自転車からフレーム 00:01:20.000 --> 00:01:23.000 レース用自転車からは変速機 00:01:23.000 --> 00:01:27.000 バイクからブレーキを持ってきて 00:01:27.000 --> 00:01:29.000 それらを組み合わせたのです 00:01:29.000 --> 00:01:32.000 これが”クランカー”と呼ばれる 00:01:32.000 --> 00:01:34.000 最初のマウンテンバイクです 00:01:34.000 --> 00:01:37.000 カリフォルニアの自転車仲間達が 00:01:37.000 --> 00:01:39.000 発明した製品なのです NOTE Paragraph 00:01:39.000 --> 00:01:42.000 やがて 自転車部品の輸入業者が 00:01:42.000 --> 00:01:44.000 これを商品として売り出し 00:01:44.000 --> 00:01:46.000 ビジネスにしようと考えた 00:01:46.000 --> 00:01:49.000 やがて他の会社も参入し 00:01:49.000 --> 00:01:51.000 おそらく 00:01:51.000 --> 00:01:53.000 10年か15年たって 00:01:53.000 --> 00:01:55.000 自転車の大企業が 00:01:55.000 --> 00:01:57.000 目をつけた 00:01:57.000 --> 00:01:59.000 それから30年経った今では 00:01:59.000 --> 00:02:01.000 マウンテンバイクの売上は 00:02:01.000 --> 00:02:03.000 付属品も含めると 00:02:03.000 --> 00:02:05.000 米国自転車市場の65% 00:02:05.000 --> 00:02:08.000 580億ドルになります NOTE Paragraph 00:02:08.000 --> 00:02:11.000 マウンテンバイクは消費者が発明したわけです 00:02:11.000 --> 00:02:14.000 自転車業界の主流では 00:02:14.000 --> 00:02:16.000 このビジネスチャンスは見えなかったし 00:02:16.000 --> 00:02:18.000 新しい製品を発明する動機も 00:02:18.000 --> 00:02:21.000 なかったからです 00:02:21.000 --> 00:02:23.000 ヨーカイ氏と私の考えが 00:02:23.000 --> 00:02:25.000 違う点があります 00:02:25.000 --> 00:02:27.000 彼はインターネットによって 00:02:27.000 --> 00:02:30.000 多くの人が協働で発明できるように 00:02:30.000 --> 00:02:33.000 なったと言いましたが 00:02:33.000 --> 00:02:36.000 情熱と知識と意欲を持つプロ級の消費者が 00:02:36.000 --> 00:02:39.000 道具を手に入れ インターネットによって 00:02:39.000 --> 00:02:41.000 結びついた時に初めて 00:02:41.000 --> 00:02:43.000 協働による発明という 00:02:43.000 --> 00:02:46.000 新しい花が開いたのです 00:02:46.000 --> 00:02:49.000 ジミーの言ったある種の新しい形態の組織 00:02:49.000 --> 00:02:52.000 あるいは組織化が 00:02:52.000 --> 00:02:54.000 必要になっています 00:02:54.000 --> 00:02:57.000 組織抜きで組織化できるでしょうか? 00:02:57.000 --> 00:03:01.000 今ではソフト開発など複雑な業務を 00:03:01.000 --> 00:03:03.000 協働で行う場合でも 00:03:03.000 --> 00:03:06.000 必ずしも組織は必要ない NOTE Paragraph 00:03:06.000 --> 00:03:09.000 いかに創造性を高めるか 00:03:09.000 --> 00:03:12.000 を考える上でここが課題なのです 00:03:13.000 --> 00:03:15.000 今までの考え方が消えたわけではなく 00:03:15.000 --> 00:03:18.000 会社や政府機関でも 00:03:18.000 --> 00:03:20.000 独創的な発明は 00:03:20.000 --> 00:03:23.000 野球帽を逆さに被って 00:03:23.000 --> 00:03:25.000 こうした会議に出てくるような 00:03:25.000 --> 00:03:28.000 ちょっと変な奴の仕事と考えている 00:03:28.000 --> 00:03:32.000 有名大学とか森や水辺の研究所 00:03:33.000 --> 00:03:36.000 奇抜な色の特別な部屋で 00:03:36.000 --> 00:03:39.000 卓球台なんかもあるかもしれない 00:03:40.000 --> 00:03:43.000 変な人が妙な場所ですごい発明を考える 00:03:43.000 --> 00:03:45.000 発明はパイプラインで運ばれ 00:03:45.000 --> 00:03:48.000 消費者のもとに届けられる 00:03:49.000 --> 00:03:51.000 消費者の選択肢は受け取るかどうかだけ 00:03:51.000 --> 00:03:53.000 これが世間的な理解です 00:03:53.000 --> 00:03:55.000 この理解から生まれる方策は 00:03:55.000 --> 00:03:58.000 政府も大企業も同じで 00:03:59.000 --> 00:04:02.000 特殊な人や場所を確保すること 00:04:02.000 --> 00:04:04.000 研究特区を創って 00:04:04.000 --> 00:04:07.000 独創的な人たちを集める 00:04:07.000 --> 00:04:10.000 消費者にはより多くの発明を届ける NOTE Paragraph 00:04:10.000 --> 00:04:13.000 この考えは益々間違ったものになっています 00:04:13.000 --> 00:04:15.000 いや 最初から違っていたのです 00:04:15.000 --> 00:04:18.000 創造的な発明は協働から生まれるのです 00:04:18.000 --> 00:04:21.000 そして対話が重要なのです 00:04:21.000 --> 00:04:24.000 益々間違いになっている理由は 00:04:24.000 --> 00:04:27.000 アイデアが逆向きに流れているからです 00:04:27.000 --> 00:04:29.000 消費者が専門家以上に 00:04:29.000 --> 00:04:32.000 先進的なアイデアを生み出しています 00:04:32.000 --> 00:04:34.000 それはなぜでしょうか? 00:04:34.000 --> 00:04:37.000 一つには 00:04:37.000 --> 00:04:39.000 多くの技術や人々に影響を与えるような 00:04:39.000 --> 00:04:41.000 先鋭的な発明では 00:04:41.000 --> 00:04:45.000 何に役立つのか分からない場合が 00:04:45.000 --> 00:04:47.000 少なくないからです 00:04:47.000 --> 00:04:49.000 発明による報酬が最大になるのは 00:04:49.000 --> 00:04:52.000 実は発明品の目的が見えない場合です 00:04:52.000 --> 00:04:54.000 革新的なイノベーションが生まれた時 00:04:54.000 --> 00:04:57.000 その発明が何に利用できるかわからない NOTE Paragraph 00:04:57.000 --> 00:04:59.000 電話の歴史もその一つで 00:04:59.000 --> 00:05:03.000 先が見えない中で進歩してきました 00:05:03.000 --> 00:05:05.000 最初の有線電話は 00:05:05.000 --> 00:05:07.000 発明者には 00:05:07.000 --> 00:05:09.000 ウエストエンドの劇場で 00:05:09.000 --> 00:05:11.000 ライブを聴くための 00:05:11.000 --> 00:05:13.000 器具だった 00:05:13.000 --> 00:05:16.000 携帯電話会社がSMSを発明した時も 00:05:16.000 --> 00:05:18.000 何に使えるか分かってなかった 00:05:18.000 --> 00:05:20.000 この技術が利用者の手に渡り 00:05:20.000 --> 00:05:22.000 10代の利用者が 00:05:22.000 --> 00:05:24.000 使い方を発明したのです NOTE Paragraph 00:05:24.000 --> 00:05:27.000 発明が革新的であるほど 00:05:27.000 --> 00:05:29.000 確かな見通しはなく 00:05:29.000 --> 00:05:31.000 使ってみなければ 00:05:31.000 --> 00:05:34.000 何の役に立つのか見えてこない 00:05:34.000 --> 00:05:37.000 今までの特許や発明に関わる制度は 00:05:37.000 --> 00:05:40.000 発明家は自分の発明の 00:05:40.000 --> 00:05:43.000 価値を知っている事が 00:05:43.000 --> 00:05:45.000 前提でした 00:05:45.000 --> 00:05:47.000 今や発明家は発明の価値が 00:05:47.000 --> 00:05:49.000 前もって分からないのです 00:05:49.000 --> 00:05:51.000 ユーザーと協働して 00:05:51.000 --> 00:05:54.000 発明品を利用しながら次第に見えてくる 00:05:54.000 --> 00:05:56.000 発明というものは 00:05:56.000 --> 00:05:59.000 誰かが瞬間に思いつくもの 00:05:59.000 --> 00:06:02.000 と考えがちですが 00:06:02.000 --> 00:06:05.000 実際はほとんどの発明は 00:06:05.000 --> 00:06:07.000 蓄積と協働の結果です 00:06:07.000 --> 00:06:11.000 ウィキペディアも時間をかけて発展したものです NOTE Paragraph 00:06:12.000 --> 00:06:15.000 利用者が重要であるもう一つの理由は 00:06:15.000 --> 00:06:19.000 利用者こそがすごい発明をすることです 00:06:19.000 --> 00:06:22.000 新しくすごいアイデアを見つけたければ 00:06:22.000 --> 00:06:25.000 業界の主流や大企業で探しても 00:06:25.000 --> 00:06:28.000 無駄というものです 00:06:28.000 --> 00:06:30.000 大きな組織を見ると 00:06:30.000 --> 00:06:32.000 その訳が分かります 00:06:32.000 --> 00:06:36.000 貴方が大企業で働いているとしましょう 00:06:36.000 --> 00:06:39.000 出世の階段を上ろうとすれば 00:06:39.000 --> 00:06:41.000 役員会でこんな風に 00:06:41.000 --> 00:06:43.000 話せるでしょうか? 00:06:43.000 --> 00:06:45.000 ”すごいアイデアです 00:06:45.000 --> 00:06:47.000 新規分野で新規顧客対象で- 00:06:47.000 --> 00:06:50.000 利益も直ぐにはでませんが- 00:06:50.000 --> 00:06:53.000 将来はきっと儲かる商品になります” 00:06:53.000 --> 00:06:56.000 いや こう言うしかないのです 00:06:56.000 --> 00:06:59.000 ”優れた改善案です- 00:06:59.000 --> 00:07:02.000 既存商品と既存の販売網を使った- 00:07:02.000 --> 00:07:04.000 既存顧客向けのアイデアで- 00:07:04.000 --> 00:07:08.000 今後3年間の利益は間違いなく確保できます” NOTE Paragraph 00:07:08.000 --> 00:07:10.000 大企業ではこのように 00:07:10.000 --> 00:07:12.000 過去の成功に依存します 00:07:12.000 --> 00:07:14.000 保守性に浸かっているので 00:07:14.000 --> 00:07:17.000 新しい市場に飛び込めない 00:07:17.000 --> 00:07:20.000 新しいマーケットは 00:07:20.000 --> 00:07:23.000 情熱を持つユーザーが開拓するのです 00:07:23.000 --> 00:07:25.000 好例を話しましょう 00:07:25.000 --> 00:07:27.000 音楽業界の一体誰が 00:07:27.000 --> 00:07:30.000 30年前に思いついたでしょうか 00:07:30.000 --> 00:07:33.000 ”新しい音楽を創ろう- 00:07:33.000 --> 00:07:36.000 抑圧された黒人がゲットーで- 00:07:36.000 --> 00:07:38.000 世の中への不満を音楽にして- 00:07:38.000 --> 00:07:40.000 表現するのだ- 00:07:40.000 --> 00:07:43.000 大衆には最初は受けないかもしれないが- 00:07:43.000 --> 00:07:46.000 いずれきっと売れる” 00:07:46.000 --> 00:07:47.000 (笑) 00:07:47.000 --> 00:07:50.000 どうなりました? ユーザーがラップを作りました 00:07:50.000 --> 00:07:53.000 自分達で歌を録音し 00:07:53.000 --> 00:07:54.000 自分達で配った 00:07:54.000 --> 00:07:56.000 30年後 00:07:56.000 --> 00:07:59.000 ラップはポピュラー音楽の主流になった 00:07:59.000 --> 00:08:01.000 大企業からは生まれなかった 00:08:01.000 --> 00:08:04.000 3つ目のポイントはプロ級の素人と 00:08:04.000 --> 00:08:06.000 始めることです NOTE Paragraph 00:08:06.000 --> 00:08:08.000 ロンドンの"DEMOS"という 00:08:08.000 --> 00:08:10.000 シンクタンクで仲間との 00:08:10.000 --> 00:08:12.000 合言葉でした 00:08:12.000 --> 00:08:15.000 素人ではあるけれど 00:08:15.000 --> 00:08:18.000 それが好きな人たち 00:08:18.000 --> 00:08:20.000 高い技術水準を求め 00:08:20.000 --> 00:08:22.000 どんな分野でもよいですが 00:08:22.000 --> 00:08:26.000 ソフトウェアや天文学 00:08:26.000 --> 00:08:28.000 自然科学 00:08:28.000 --> 00:08:30.000 幅広い分野の娯楽や文化 00:08:30.000 --> 00:08:33.000 凧サーフィンなどなど 00:08:33.000 --> 00:08:37.000 好きな事を好きだからやりたいという人がいます 00:08:37.000 --> 00:08:40.000 しかも高いレベルでしようとするのです 00:08:40.000 --> 00:08:42.000 暇な時にその気になればやる 00:08:42.000 --> 00:08:44.000 趣味だが真剣に取り組む 00:08:44.000 --> 00:08:47.000 技術を習得し時間を注ぎ込み 00:08:47.000 --> 00:08:50.000 安く手に入る技術を利用し インターネットの他 00:08:50.000 --> 00:08:53.000 カメラやデザイン技術 00:08:53.000 --> 00:08:56.000 サーフボードなどなど 00:08:56.000 --> 00:08:58.000 グローバル化によって 00:08:58.000 --> 00:09:01.000 多くの器具がすいぶん安くなった 00:09:01.000 --> 00:09:04.000 知識も豊かで教育のある消費者が 00:09:04.000 --> 00:09:06.000 お互いにつながり 00:09:06.000 --> 00:09:08.000 一緒に活動できる 00:09:08.000 --> 00:09:10.000 消費が創造性を 00:09:10.000 --> 00:09:12.000 表現する手段なのです 00:09:12.000 --> 00:09:16.000 こうした創造的な消費に興味を持つのは 00:09:16.000 --> 00:09:19.000 仕事では自分を表現できないからです 00:09:19.000 --> 00:09:22.000 意味のある仕事をしている実感がないから 00:09:22.000 --> 00:09:25.000 何か別の活動をやりたくなる 00:09:25.000 --> 00:09:27.000 人の人生に大きな影響を与える 00:09:27.000 --> 00:09:29.000 組織的にも大きな課題です NOTE Paragraph 00:09:29.000 --> 00:09:32.000 天文学を例に考えてみましょう 00:09:32.000 --> 00:09:34.000 ヨーカイ氏が言ったとおり 00:09:35.000 --> 00:09:37.000 20年前か30年前には 00:09:37.000 --> 00:09:40.000 専門的な天文学者しか 00:09:40.000 --> 00:09:44.000 大きな望遠鏡で宇宙を見れなかった 00:09:44.000 --> 00:09:47.000 英国北部のジョドレルバンク望遠鏡は 00:09:47.000 --> 00:09:49.000 子供の時に驚いたのですが 00:09:49.000 --> 00:09:52.000 月ロケットが発射される時に鉄道で運ぶほど 00:09:52.000 --> 00:09:55.000 とても巨大なものだった 00:09:55.000 --> 00:09:58.000 今では6人の素人天文家が 00:09:58.000 --> 00:10:00.000 インターネットを利用して 00:10:00.000 --> 00:10:02.000 ドブソニアン望遠鏡で 00:10:02.000 --> 00:10:05.000 それは無料で誰でも利用できるのですが 00:10:05.000 --> 00:10:07.000 この10年で開発された 00:10:07.000 --> 00:10:09.000 簡単なセンサーを使い 00:10:09.000 --> 00:10:13.000 30年前のジョドレルバンクと同じことができる 00:10:13.000 --> 00:10:16.000 天文学ではユーザーという創造的な担い手が 00:10:16.000 --> 00:10:18.000 急速に増えています 00:10:18.000 --> 00:10:21.000 消費者が製作者にもなれるのです NOTE Paragraph 00:10:21.000 --> 00:10:23.000 これは組織的な視点に 00:10:23.000 --> 00:10:25.000 どんな意味をもたらすでしょう? 00:10:25.000 --> 00:10:27.000 それでは世界を2つのグループに 00:10:27.000 --> 00:10:31.000 分けて考えて見ましょう 00:10:31.000 --> 00:10:34.000 一つは古い伝統的な組織モデル 00:10:34.000 --> 00:10:36.000 特別な人々 特別な場所 00:10:36.000 --> 00:10:38.000 特許をとって 受身の消費者に 00:10:38.000 --> 00:10:41.000 商品を一方的に流す 00:10:41.000 --> 00:10:43.000 もう一方はウィキペディアや 00:10:43.000 --> 00:10:47.000 リナックスなどのオープンソースをイメージして下さい 00:10:47.000 --> 00:10:49.000 こちらはオープンでこちらは閉じている 00:10:49.000 --> 00:10:51.000 新しいのと旧来のもの 00:10:51.000 --> 00:10:54.000 確かに言えることの一つは 00:10:54.000 --> 00:10:56.000 ヨーカイ氏が言ったように 00:10:56.000 --> 00:10:58.000 この2つの組織形態の間で 00:10:58.000 --> 00:11:00.000 抗争が起こっている 00:11:00.000 --> 00:11:03.000 こちらは存在が脅かされていますから 00:11:03.000 --> 00:11:06.000 そっちのグループが成功しないよう 00:11:06.000 --> 00:11:08.000 出来る事は何でもやる 00:11:08.000 --> 00:11:11.000 著作権やデジタル著作権の議論は 00:11:11.000 --> 00:11:15.000 こうした新しいグループを鎮圧するための 00:11:15.000 --> 00:11:18.000 悪戦苦闘だと 00:11:18.000 --> 00:11:20.000 私は見ています 00:11:20.000 --> 00:11:23.000 特許とか著作権というのは 00:11:23.000 --> 00:11:25.000 全く腐敗しています 00:11:25.000 --> 00:11:29.000 発明を促すのではなく 00:11:29.000 --> 00:11:32.000 知識の普及を組織化するのでもなく 00:11:32.000 --> 00:11:35.000 大企業はこうした制度で 00:11:35.000 --> 00:11:37.000 特許という障壁を巡らし 00:11:37.000 --> 00:11:39.000 発明を邪魔しています NOTE Paragraph 00:11:39.000 --> 00:11:42.000 二つの例をお見せしよう 00:11:42.000 --> 00:11:45.000 貴方がベンチャーを立ち上げたとします 00:11:45.000 --> 00:11:47.000 ”素晴らしいアイデアがあるんだ- 00:11:47.000 --> 00:11:50.000 全くすごいプログラムを発明した- 00:11:50.000 --> 00:11:53.000 Microsoft Outlookよりずっといいものだ” 00:11:54.000 --> 00:11:58.000 一体誰が Microsoft Outlookと競争するような 00:11:58.000 --> 00:12:01.000 貴方の事業に資金を出すでしょうか。 00:12:01.000 --> 00:12:04.000 これがマイクロソフトと競争できるのは 00:12:04.000 --> 00:12:06.000 オープンソース型の事業 00:12:06.000 --> 00:12:08.000 だけである理由です NOTE Paragraph 00:12:08.000 --> 00:12:10.000 実際、大きな論争になっているのは 00:12:10.000 --> 00:12:12.000 オープンソースや消費者主導の発明が 00:12:12.000 --> 00:12:15.000 維持発展できるかどうかです 00:12:15.000 --> 00:12:17.000 これらが独占を打ち負かす 00:12:17.000 --> 00:12:20.000 唯一の競争相手だからです 00:12:20.000 --> 00:12:23.000 専門家からの反撃も強くなるでしょう 00:12:23.000 --> 00:12:25.000 こちらの閉じた世界の専門家には 00:12:25.000 --> 00:12:27.000 学者であれプログラマーであれ 00:12:27.000 --> 00:12:29.000 医者であれジャーナリストであれ 00:12:29.000 --> 00:12:32.000 私も以前はジャーナリストでしたが 00:12:32.000 --> 00:12:34.000 ”そっちの素人の意見を信用するな” 00:12:34.000 --> 00:12:36.000 と言うのです NOTE Paragraph 00:12:38.000 --> 00:12:40.000 私が20年前に 00:12:40.000 --> 00:12:43.000 ファイナンシャルタイムスの記者になった頃 00:12:44.000 --> 00:12:46.000 誰かが記事を読んでいると 00:12:46.000 --> 00:12:48.000 とてもドキドキしたものです 00:12:48.000 --> 00:12:50.000 地下鉄で肩越しに 00:12:50.000 --> 00:12:53.000 自分の記事を読んでいないか覗いて見る 00:12:53.000 --> 00:12:55.000 たいていは株価しか読まないし 00:12:55.000 --> 00:12:57.000 私の記事の載った新聞紙が 00:12:57.000 --> 00:12:59.000 床の上に落ちていたりすると 00:12:59.000 --> 00:13:01.000 ”一体なんて馬鹿な奴らだ- 00:13:01.000 --> 00:13:04.000 俺のすばらしい記事を読まずに”と叫んでしまう 00:13:04.000 --> 00:13:07.000 読者の参画を認めるのは 00:13:07.000 --> 00:13:09.000 2箇所だけ 00:13:09.000 --> 00:13:12.000 一つは投稿の読者ページだけど 00:13:12.000 --> 00:13:14.000 原稿を半分に縮めて 00:13:14.000 --> 00:13:16.000 3日後に掲載する 00:13:16.000 --> 00:13:18.000 もう一つが論説欄 00:13:18.000 --> 00:13:20.000 編集者の奥さんと寝た事があれば 00:13:20.000 --> 00:13:23.000 原稿を載せてもらえるかもしれない 00:13:23.000 --> 00:13:25.000 この二箇所しかなかった NOTE Paragraph 00:13:25.000 --> 00:13:29.000 恐ろしい事に今では読者が記者や出版者になりたがる 00:13:29.000 --> 00:13:32.000 俺たちの記事だけ読んでればよいのに 00:13:32.000 --> 00:13:34.000 でも別にジャーナリストになりたいわけではない 00:13:34.000 --> 00:13:36.000 ジャーナリスト自身はよく分かっていないようだが 00:13:36.000 --> 00:13:38.000 ブロガーはただ発信したいのです 00:13:38.000 --> 00:13:41.000 ジミーが言ったようにただ議論や会話がしたい 00:13:41.000 --> 00:13:45.000 情報のやりとりに加わりたいのです 00:13:45.000 --> 00:13:47.000 つまり創造の担い手が 00:13:47.000 --> 00:13:49.000 増えているのです 00:13:49.000 --> 00:13:52.000 これは大きな抗争なのです 00:13:52.000 --> 00:13:55.000 しかし別のオープン側から 00:13:55.000 --> 00:13:58.000 閉じた側への大きな動きもあります NOTE Paragraph 00:13:58.000 --> 00:14:01.000 オープン側の将来にとって 00:14:01.000 --> 00:14:03.000 二つの決定的な 00:14:03.000 --> 00:14:05.000 課題があります 00:14:05.000 --> 00:14:07.000 一つは 00:14:07.000 --> 00:14:10.000 ボランティアに依存していけるかという課題 00:14:10.000 --> 00:14:12.000 もしこの動きが重要ならば 00:14:12.000 --> 00:14:15.000 資金を流し組織化する仕組みをきっちりと 00:14:15.000 --> 00:14:17.000 支援する必要があるのではないですか? 00:14:17.000 --> 00:14:19.000 赤十字社を設立するのは 00:14:19.000 --> 00:14:22.000 素晴らしいアイデアですが 00:14:22.000 --> 00:14:26.000 ボランティアだけで組織できるでしょうか 00:14:26.000 --> 00:14:28.000 公共政策や資金の流れを 00:14:28.000 --> 00:14:30.000 どうすればよいのか? 00:14:30.000 --> 00:14:32.000 例えばBBCは 00:14:32.000 --> 00:14:34.000 どんな役割を担えるか? 00:14:34.000 --> 00:14:36.000 公共政策の役割は何か? 00:14:36.000 --> 00:14:39.000 最後に知って欲しい事は 00:14:39.000 --> 00:14:42.000 こっちの閉じた側もオープンな側に 00:14:42.000 --> 00:14:45.000 動きつつある事です 00:14:45.000 --> 00:14:48.000 つまり単に二つのグループの争いではなく 00:14:48.000 --> 00:14:51.000 この二つのグループの間に我々の将来が 00:14:51.000 --> 00:14:53.000 あるのかもしれないのです 00:14:53.000 --> 00:14:56.000 新しい組織モデルがこの2つを混在させて 00:14:56.000 --> 00:14:59.000 生まれてくるでしょう 00:14:59.000 --> 00:15:03.000 マイクロソフトとリナックスのように白か黒かではない 00:15:03.000 --> 00:15:05.000 その中間の灰色の世界 00:15:05.000 --> 00:15:07.000 この灰色の組織モデルは 00:15:07.000 --> 00:15:09.000 とてもパワフルなのです 00:15:09.000 --> 00:15:11.000 これを理解した人が 00:15:11.000 --> 00:15:13.000 大成功するでしょう NOTE Paragraph 00:15:13.000 --> 00:15:16.000 最後に具体例を一つ 00:15:16.000 --> 00:15:18.000 紹介しましょう 00:15:18.000 --> 00:15:20.000 上海に行っていました 00:15:20.000 --> 00:15:22.000 5年前は水田だったオフィス街で 00:15:22.000 --> 00:15:25.000 この10年の間に建てられた 00:15:25.000 --> 00:15:28.000 2500の高層ビルの一つで 00:15:28.000 --> 00:15:31.000 ティモシー チェンという青年と 00:15:31.000 --> 00:15:34.000 食事をして来ました 00:15:34.000 --> 00:15:36.000 ティモシーは2000年に 00:15:36.000 --> 00:15:38.000 インターネットビジネスを始めました 00:15:38.000 --> 00:15:41.000 コンピュータゲームに専念することを決め 00:15:41.000 --> 00:15:43.000 ネットから離れることにしました 00:15:43.000 --> 00:15:46.000 彼は"盛大"という名の中国最大の 00:15:46.000 --> 00:15:50.000 コンピュータゲーム企業を経営しています 00:15:50.000 --> 00:15:53.000 9000のサーバーを中国全土に備え 00:15:53.000 --> 00:15:57.000 加入者は2億5千万人いて 00:15:57.000 --> 00:16:01.000 常時4百万人がゲームで遊んでいます 00:16:02.000 --> 00:16:04.000 このサービスを提供する 00:16:04.000 --> 00:16:07.000 スタッフはわずか500人です 00:16:07.000 --> 00:16:09.000 一体どうやって 00:16:09.000 --> 00:16:11.000 2.5億人に対して 00:16:11.000 --> 00:16:14.000 500人で対応できるのか? 00:16:14.000 --> 00:16:16.000 サービスは提供しないのです 00:16:16.000 --> 00:16:18.000 規則や道具といった 00:16:18.000 --> 00:16:21.000 プラットフォームを用意し 00:16:21.000 --> 00:16:24.000 ユーザーとの対話を組織化し 00:16:24.000 --> 00:16:26.000 アクションを組織化します 00:16:26.000 --> 00:16:28.000 ゲーム自体はユーザーが 00:16:28.000 --> 00:16:31.000 自分たちで作るのです 00:16:31.000 --> 00:16:33.000 それがある種の一体感を 00:16:33.000 --> 00:16:35.000 会社との間に生みだすのです 00:16:35.000 --> 00:16:37.000 この効果は絶大です NOTE Paragraph 00:16:37.000 --> 00:16:40.000 こういうことです ゲームを始めると 00:16:40.000 --> 00:16:42.000 自分で登場人物を作り 00:16:42.000 --> 00:16:44.000 ゲームを通して成長させます 00:16:44.000 --> 00:16:47.000 クレジットカードが不渡りになるとか 00:16:47.000 --> 00:16:49.000 何か問題があると 00:16:49.000 --> 00:16:51.000 登場人物は消えます 00:16:51.000 --> 00:16:53.000 二つの選択肢があります 00:16:53.000 --> 00:16:56.000 一つは登場人物を一から創り直す 00:16:56.000 --> 00:16:59.000 でもこれまでの歴史は消えてします 00:16:59.000 --> 00:17:01.000 これは100ドルです 00:17:01.000 --> 00:17:04.000 もう一つは飛行機で上海に飛んで 00:17:04.000 --> 00:17:07.000 盛大の事務所に並び再登録する 00:17:07.000 --> 00:17:11.000 600-700ドルかかるが登場人物の 00:17:11.000 --> 00:17:14.000 歴史をとり戻すことが出来る 00:17:14.000 --> 00:17:16.000 毎朝この事務所の外には 00:17:16.000 --> 00:17:18.000 登場人物の再登録のために 00:17:18.000 --> 00:17:20.000 600人も並んでいます 00:17:20.000 --> 00:17:23.000 ユーザーが共有できる 00:17:23.000 --> 00:17:26.000 道具や場所を提供することで 00:17:26.000 --> 00:17:28.000 成り立つ会社の例です 00:17:28.000 --> 00:17:30.000 オープンソースではないですが 00:17:30.000 --> 00:17:32.000 とても強力です NOTE Paragraph 00:17:32.000 --> 00:17:35.000 政府の仕事に関わる者は 00:17:35.000 --> 00:17:37.000 大きな課題を 00:17:37.000 --> 00:17:40.000 抱えています 00:17:40.000 --> 00:17:43.000 ゲームの会社の場合 00:17:43.000 --> 00:17:46.000 百万人がゲームで遊ぶとして 00:17:46.000 --> 00:17:49.000 その内の1%がアイデアを提供する 00:17:49.000 --> 00:17:51.000 開発者になれば 00:17:51.000 --> 00:17:53.000 1万人の人手が 00:17:53.000 --> 00:17:56.000 確保できるわけです 00:17:56.000 --> 00:17:59.000 同様に英国の教育の場合 00:17:59.000 --> 00:18:02.000 生徒の1%が教育の提供側に 00:18:02.000 --> 00:18:04.000 協力するなら 00:18:04.000 --> 00:18:06.000 教育を支える人材が 00:18:06.000 --> 00:18:08.000 十分に確保できます 00:18:08.000 --> 00:18:11.000 国民保険を利用する患者の1%が 00:18:11.000 --> 00:18:14.000 保健サービスに関われるかもしれません NOTE Paragraph 00:18:14.000 --> 00:18:16.000 経費の削減圧力の中で 00:18:16.000 --> 00:18:19.000 こうした利用者を巻き込んだモデルが 00:18:19.000 --> 00:18:21.000 力強く立ち上がりつつあるのは 00:18:21.000 --> 00:18:24.000 このモデルがサービスを 00:18:24.000 --> 00:18:26.000 提供する側の人材を 00:18:26.000 --> 00:18:28.000 何倍にも増やすからです 00:18:28.000 --> 00:18:30.000 それができるのは 00:18:30.000 --> 00:18:32.000 利用者が製造し 00:18:32.000 --> 00:18:34.000 消費者が計画するからです NOTE Paragraph 00:18:34.000 --> 00:18:36.000 以上です ありがとう