1 00:00:00,000 --> 00:00:03,000 これからお話しする 2 00:00:03,000 --> 00:00:06,000 協働による創造的な発明というのは 3 00:00:06,000 --> 00:00:09,000 先の3人が話したものと同じものです 4 00:00:09,000 --> 00:00:11,000 でもこの意味 5 00:00:11,000 --> 00:00:13,000 創造的な協働とも呼ばれる 6 00:00:13,000 --> 00:00:14,000 この 7 00:00:16,000 --> 00:00:18,000 創造的な発明の意義を 8 00:00:18,000 --> 00:00:21,000 違った視点 つまり 9 00:00:21,000 --> 00:00:23,000 ユーザーや消費者の 10 00:00:23,000 --> 00:00:25,000 役割を見直すことで 11 00:00:25,000 --> 00:00:28,000 明確にしたいと思います 12 00:00:28,000 --> 00:00:30,000 簡単な質問から始めましょう 13 00:00:30,000 --> 00:00:32,000 マウンテンバイクは 14 00:00:32,000 --> 00:00:34,000 誰が発明したのでしょう? 15 00:00:34,000 --> 00:00:37,000 今までの経済理論なら 16 00:00:37,000 --> 00:00:40,000 新規の事業を始める 17 00:00:40,000 --> 00:00:42,000 大きな研究所を持った 18 00:00:42,000 --> 00:00:44,000 大企業だと考えるでしょう 19 00:00:44,000 --> 00:00:47,000 でも大企業ではないのです 20 00:00:47,000 --> 00:00:50,000 あるいは一人の天才が 21 00:00:50,000 --> 00:00:52,000 自分の車庫で 22 00:00:52,000 --> 00:00:54,000 自転車部品を組み合わせ 23 00:00:54,000 --> 00:00:56,000 開発したと考えるでしょう 24 00:00:56,000 --> 00:00:58,000 実際にマウンテンバイクを 25 00:00:58,000 --> 00:01:02,000 発明したのはカリフォルニアの若者達です 26 00:01:02,000 --> 00:01:04,000 皆さんの兄さん達が 27 00:01:04,000 --> 00:01:07,000 乗っていたようなレース用の自転車には 28 00:01:07,000 --> 00:01:10,000 派手過ぎて興味が湧かず 29 00:01:10,000 --> 00:01:12,000 父親が使っている 30 00:01:12,000 --> 00:01:15,000 大きなハンドルの 31 00:01:15,000 --> 00:01:18,000 重い自転車にも満足できなかった 32 00:01:18,000 --> 00:01:20,000 それで 大きな自転車からフレーム 33 00:01:20,000 --> 00:01:23,000 レース用自転車からは変速機 34 00:01:23,000 --> 00:01:27,000 バイクからブレーキを持ってきて 35 00:01:27,000 --> 00:01:29,000 それらを組み合わせたのです 36 00:01:29,000 --> 00:01:32,000 これが”クランカー”と呼ばれる 37 00:01:32,000 --> 00:01:34,000 最初のマウンテンバイクです 38 00:01:34,000 --> 00:01:37,000 カリフォルニアの自転車仲間達が 39 00:01:37,000 --> 00:01:39,000 発明した製品なのです 40 00:01:39,000 --> 00:01:42,000 やがて 自転車部品の輸入業者が 41 00:01:42,000 --> 00:01:44,000 これを商品として売り出し 42 00:01:44,000 --> 00:01:46,000 ビジネスにしようと考えた 43 00:01:46,000 --> 00:01:49,000 やがて他の会社も参入し 44 00:01:49,000 --> 00:01:51,000 おそらく 45 00:01:51,000 --> 00:01:53,000 10年か15年たって 46 00:01:53,000 --> 00:01:55,000 自転車の大企業が 47 00:01:55,000 --> 00:01:57,000 目をつけた 48 00:01:57,000 --> 00:01:59,000 それから30年経った今では 49 00:01:59,000 --> 00:02:01,000 マウンテンバイクの売上は 50 00:02:01,000 --> 00:02:03,000 付属品も含めると 51 00:02:03,000 --> 00:02:05,000 米国自転車市場の65% 52 00:02:05,000 --> 00:02:08,000 580億ドルになります 53 00:02:08,000 --> 00:02:11,000 マウンテンバイクは消費者が発明したわけです 54 00:02:11,000 --> 00:02:14,000 自転車業界の主流では 55 00:02:14,000 --> 00:02:16,000 このビジネスチャンスは見えなかったし 56 00:02:16,000 --> 00:02:18,000 新しい製品を発明する動機も 57 00:02:18,000 --> 00:02:21,000 なかったからです 58 00:02:21,000 --> 00:02:23,000 ヨーカイ氏と私の考えが 59 00:02:23,000 --> 00:02:25,000 違う点があります 60 00:02:25,000 --> 00:02:27,000 彼はインターネットによって 61 00:02:27,000 --> 00:02:30,000 多くの人が協働で発明できるように 62 00:02:30,000 --> 00:02:33,000 なったと言いましたが 63 00:02:33,000 --> 00:02:36,000 情熱と知識と意欲を持つプロ級の消費者が 64 00:02:36,000 --> 00:02:39,000 道具を手に入れ インターネットによって 65 00:02:39,000 --> 00:02:41,000 結びついた時に初めて 66 00:02:41,000 --> 00:02:43,000 協働による発明という 67 00:02:43,000 --> 00:02:46,000 新しい花が開いたのです 68 00:02:46,000 --> 00:02:49,000 ジミーの言ったある種の新しい形態の組織 69 00:02:49,000 --> 00:02:52,000 あるいは組織化が 70 00:02:52,000 --> 00:02:54,000 必要になっています 71 00:02:54,000 --> 00:02:57,000 組織抜きで組織化できるでしょうか? 72 00:02:57,000 --> 00:03:01,000 今ではソフト開発など複雑な業務を 73 00:03:01,000 --> 00:03:03,000 協働で行う場合でも 74 00:03:03,000 --> 00:03:06,000 必ずしも組織は必要ない 75 00:03:06,000 --> 00:03:09,000 いかに創造性を高めるか 76 00:03:09,000 --> 00:03:12,000 を考える上でここが課題なのです 77 00:03:13,000 --> 00:03:15,000 今までの考え方が消えたわけではなく 78 00:03:15,000 --> 00:03:18,000 会社や政府機関でも 79 00:03:18,000 --> 00:03:20,000 独創的な発明は 80 00:03:20,000 --> 00:03:23,000 野球帽を逆さに被って 81 00:03:23,000 --> 00:03:25,000 こうした会議に出てくるような 82 00:03:25,000 --> 00:03:28,000 ちょっと変な奴の仕事と考えている 83 00:03:28,000 --> 00:03:32,000 有名大学とか森や水辺の研究所 84 00:03:33,000 --> 00:03:36,000 奇抜な色の特別な部屋で 85 00:03:36,000 --> 00:03:39,000 卓球台なんかもあるかもしれない 86 00:03:40,000 --> 00:03:43,000 変な人が妙な場所ですごい発明を考える 87 00:03:43,000 --> 00:03:45,000 発明はパイプラインで運ばれ 88 00:03:45,000 --> 00:03:48,000 消費者のもとに届けられる 89 00:03:49,000 --> 00:03:51,000 消費者の選択肢は受け取るかどうかだけ 90 00:03:51,000 --> 00:03:53,000 これが世間的な理解です 91 00:03:53,000 --> 00:03:55,000 この理解から生まれる方策は 92 00:03:55,000 --> 00:03:58,000 政府も大企業も同じで 93 00:03:59,000 --> 00:04:02,000 特殊な人や場所を確保すること 94 00:04:02,000 --> 00:04:04,000 研究特区を創って 95 00:04:04,000 --> 00:04:07,000 独創的な人たちを集める 96 00:04:07,000 --> 00:04:10,000 消費者にはより多くの発明を届ける 97 00:04:10,000 --> 00:04:13,000 この考えは益々間違ったものになっています 98 00:04:13,000 --> 00:04:15,000 いや 最初から違っていたのです 99 00:04:15,000 --> 00:04:18,000 創造的な発明は協働から生まれるのです 100 00:04:18,000 --> 00:04:21,000 そして対話が重要なのです 101 00:04:21,000 --> 00:04:24,000 益々間違いになっている理由は 102 00:04:24,000 --> 00:04:27,000 アイデアが逆向きに流れているからです 103 00:04:27,000 --> 00:04:29,000 消費者が専門家以上に 104 00:04:29,000 --> 00:04:32,000 先進的なアイデアを生み出しています 105 00:04:32,000 --> 00:04:34,000 それはなぜでしょうか? 106 00:04:34,000 --> 00:04:37,000 一つには 107 00:04:37,000 --> 00:04:39,000 多くの技術や人々に影響を与えるような 108 00:04:39,000 --> 00:04:41,000 先鋭的な発明では 109 00:04:41,000 --> 00:04:45,000 何に役立つのか分からない場合が 110 00:04:45,000 --> 00:04:47,000 少なくないからです 111 00:04:47,000 --> 00:04:49,000 発明による報酬が最大になるのは 112 00:04:49,000 --> 00:04:52,000 実は発明品の目的が見えない場合です 113 00:04:52,000 --> 00:04:54,000 革新的なイノベーションが生まれた時 114 00:04:54,000 --> 00:04:57,000 その発明が何に利用できるかわからない 115 00:04:57,000 --> 00:04:59,000 電話の歴史もその一つで 116 00:04:59,000 --> 00:05:03,000 先が見えない中で進歩してきました 117 00:05:03,000 --> 00:05:05,000 最初の有線電話は 118 00:05:05,000 --> 00:05:07,000 発明者には 119 00:05:07,000 --> 00:05:09,000 ウエストエンドの劇場で 120 00:05:09,000 --> 00:05:11,000 ライブを聴くための 121 00:05:11,000 --> 00:05:13,000 器具だった 122 00:05:13,000 --> 00:05:16,000 携帯電話会社がSMSを発明した時も 123 00:05:16,000 --> 00:05:18,000 何に使えるか分かってなかった 124 00:05:18,000 --> 00:05:20,000 この技術が利用者の手に渡り 125 00:05:20,000 --> 00:05:22,000 10代の利用者が 126 00:05:22,000 --> 00:05:24,000 使い方を発明したのです 127 00:05:24,000 --> 00:05:27,000 発明が革新的であるほど 128 00:05:27,000 --> 00:05:29,000 確かな見通しはなく 129 00:05:29,000 --> 00:05:31,000 使ってみなければ 130 00:05:31,000 --> 00:05:34,000 何の役に立つのか見えてこない 131 00:05:34,000 --> 00:05:37,000 今までの特許や発明に関わる制度は 132 00:05:37,000 --> 00:05:40,000 発明家は自分の発明の 133 00:05:40,000 --> 00:05:43,000 価値を知っている事が 134 00:05:43,000 --> 00:05:45,000 前提でした 135 00:05:45,000 --> 00:05:47,000 今や発明家は発明の価値が 136 00:05:47,000 --> 00:05:49,000 前もって分からないのです 137 00:05:49,000 --> 00:05:51,000 ユーザーと協働して 138 00:05:51,000 --> 00:05:54,000 発明品を利用しながら次第に見えてくる 139 00:05:54,000 --> 00:05:56,000 発明というものは 140 00:05:56,000 --> 00:05:59,000 誰かが瞬間に思いつくもの 141 00:05:59,000 --> 00:06:02,000 と考えがちですが 142 00:06:02,000 --> 00:06:05,000 実際はほとんどの発明は 143 00:06:05,000 --> 00:06:07,000 蓄積と協働の結果です 144 00:06:07,000 --> 00:06:11,000 ウィキペディアも時間をかけて発展したものです 145 00:06:12,000 --> 00:06:15,000 利用者が重要であるもう一つの理由は 146 00:06:15,000 --> 00:06:19,000 利用者こそがすごい発明をすることです 147 00:06:19,000 --> 00:06:22,000 新しくすごいアイデアを見つけたければ 148 00:06:22,000 --> 00:06:25,000 業界の主流や大企業で探しても 149 00:06:25,000 --> 00:06:28,000 無駄というものです 150 00:06:28,000 --> 00:06:30,000 大きな組織を見ると 151 00:06:30,000 --> 00:06:32,000 その訳が分かります 152 00:06:32,000 --> 00:06:36,000 貴方が大企業で働いているとしましょう 153 00:06:36,000 --> 00:06:39,000 出世の階段を上ろうとすれば 154 00:06:39,000 --> 00:06:41,000 役員会でこんな風に 155 00:06:41,000 --> 00:06:43,000 話せるでしょうか? 156 00:06:43,000 --> 00:06:45,000 ”すごいアイデアです 157 00:06:45,000 --> 00:06:47,000 新規分野で新規顧客対象で- 158 00:06:47,000 --> 00:06:50,000 利益も直ぐにはでませんが- 159 00:06:50,000 --> 00:06:53,000 将来はきっと儲かる商品になります” 160 00:06:53,000 --> 00:06:56,000 いや こう言うしかないのです 161 00:06:56,000 --> 00:06:59,000 ”優れた改善案です- 162 00:06:59,000 --> 00:07:02,000 既存商品と既存の販売網を使った- 163 00:07:02,000 --> 00:07:04,000 既存顧客向けのアイデアで- 164 00:07:04,000 --> 00:07:08,000 今後3年間の利益は間違いなく確保できます” 165 00:07:08,000 --> 00:07:10,000 大企業ではこのように 166 00:07:10,000 --> 00:07:12,000 過去の成功に依存します 167 00:07:12,000 --> 00:07:14,000 保守性に浸かっているので 168 00:07:14,000 --> 00:07:17,000 新しい市場に飛び込めない 169 00:07:17,000 --> 00:07:20,000 新しいマーケットは 170 00:07:20,000 --> 00:07:23,000 情熱を持つユーザーが開拓するのです 171 00:07:23,000 --> 00:07:25,000 好例を話しましょう 172 00:07:25,000 --> 00:07:27,000 音楽業界の一体誰が 173 00:07:27,000 --> 00:07:30,000 30年前に思いついたでしょうか 174 00:07:30,000 --> 00:07:33,000 ”新しい音楽を創ろう- 175 00:07:33,000 --> 00:07:36,000 抑圧された黒人がゲットーで- 176 00:07:36,000 --> 00:07:38,000 世の中への不満を音楽にして- 177 00:07:38,000 --> 00:07:40,000 表現するのだ- 178 00:07:40,000 --> 00:07:43,000 大衆には最初は受けないかもしれないが- 179 00:07:43,000 --> 00:07:46,000 いずれきっと売れる” 180 00:07:46,000 --> 00:07:47,000 (笑) 181 00:07:47,000 --> 00:07:50,000 どうなりました? ユーザーがラップを作りました 182 00:07:50,000 --> 00:07:53,000 自分達で歌を録音し 183 00:07:53,000 --> 00:07:54,000 自分達で配った 184 00:07:54,000 --> 00:07:56,000 30年後 185 00:07:56,000 --> 00:07:59,000 ラップはポピュラー音楽の主流になった 186 00:07:59,000 --> 00:08:01,000 大企業からは生まれなかった 187 00:08:01,000 --> 00:08:04,000 3つ目のポイントはプロ級の素人と 188 00:08:04,000 --> 00:08:06,000 始めることです 189 00:08:06,000 --> 00:08:08,000 ロンドンの"DEMOS"という 190 00:08:08,000 --> 00:08:10,000 シンクタンクで仲間との 191 00:08:10,000 --> 00:08:12,000 合言葉でした 192 00:08:12,000 --> 00:08:15,000 素人ではあるけれど 193 00:08:15,000 --> 00:08:18,000 それが好きな人たち 194 00:08:18,000 --> 00:08:20,000 高い技術水準を求め 195 00:08:20,000 --> 00:08:22,000 どんな分野でもよいですが 196 00:08:22,000 --> 00:08:26,000 ソフトウェアや天文学 197 00:08:26,000 --> 00:08:28,000 自然科学 198 00:08:28,000 --> 00:08:30,000 幅広い分野の娯楽や文化 199 00:08:30,000 --> 00:08:33,000 凧サーフィンなどなど 200 00:08:33,000 --> 00:08:37,000 好きな事を好きだからやりたいという人がいます 201 00:08:37,000 --> 00:08:40,000 しかも高いレベルでしようとするのです 202 00:08:40,000 --> 00:08:42,000 暇な時にその気になればやる 203 00:08:42,000 --> 00:08:44,000 趣味だが真剣に取り組む 204 00:08:44,000 --> 00:08:47,000 技術を習得し時間を注ぎ込み 205 00:08:47,000 --> 00:08:50,000 安く手に入る技術を利用し インターネットの他 206 00:08:50,000 --> 00:08:53,000 カメラやデザイン技術 207 00:08:53,000 --> 00:08:56,000 サーフボードなどなど 208 00:08:56,000 --> 00:08:58,000 グローバル化によって 209 00:08:58,000 --> 00:09:01,000 多くの器具がすいぶん安くなった 210 00:09:01,000 --> 00:09:04,000 知識も豊かで教育のある消費者が 211 00:09:04,000 --> 00:09:06,000 お互いにつながり 212 00:09:06,000 --> 00:09:08,000 一緒に活動できる 213 00:09:08,000 --> 00:09:10,000 消費が創造性を 214 00:09:10,000 --> 00:09:12,000 表現する手段なのです 215 00:09:12,000 --> 00:09:16,000 こうした創造的な消費に興味を持つのは 216 00:09:16,000 --> 00:09:19,000 仕事では自分を表現できないからです 217 00:09:19,000 --> 00:09:22,000 意味のある仕事をしている実感がないから 218 00:09:22,000 --> 00:09:25,000 何か別の活動をやりたくなる 219 00:09:25,000 --> 00:09:27,000 人の人生に大きな影響を与える 220 00:09:27,000 --> 00:09:29,000 組織的にも大きな課題です 221 00:09:29,000 --> 00:09:32,000 天文学を例に考えてみましょう 222 00:09:32,000 --> 00:09:34,000 ヨーカイ氏が言ったとおり 223 00:09:35,000 --> 00:09:37,000 20年前か30年前には 224 00:09:37,000 --> 00:09:40,000 専門的な天文学者しか 225 00:09:40,000 --> 00:09:44,000 大きな望遠鏡で宇宙を見れなかった 226 00:09:44,000 --> 00:09:47,000 英国北部のジョドレルバンク望遠鏡は 227 00:09:47,000 --> 00:09:49,000 子供の時に驚いたのですが 228 00:09:49,000 --> 00:09:52,000 月ロケットが発射される時に鉄道で運ぶほど 229 00:09:52,000 --> 00:09:55,000 とても巨大なものだった 230 00:09:55,000 --> 00:09:58,000 今では6人の素人天文家が 231 00:09:58,000 --> 00:10:00,000 インターネットを利用して 232 00:10:00,000 --> 00:10:02,000 ドブソニアン望遠鏡で 233 00:10:02,000 --> 00:10:05,000 それは無料で誰でも利用できるのですが 234 00:10:05,000 --> 00:10:07,000 この10年で開発された 235 00:10:07,000 --> 00:10:09,000 簡単なセンサーを使い 236 00:10:09,000 --> 00:10:13,000 30年前のジョドレルバンクと同じことができる 237 00:10:13,000 --> 00:10:16,000 天文学ではユーザーという創造的な担い手が 238 00:10:16,000 --> 00:10:18,000 急速に増えています 239 00:10:18,000 --> 00:10:21,000 消費者が製作者にもなれるのです 240 00:10:21,000 --> 00:10:23,000 これは組織的な視点に 241 00:10:23,000 --> 00:10:25,000 どんな意味をもたらすでしょう? 242 00:10:25,000 --> 00:10:27,000 それでは世界を2つのグループに 243 00:10:27,000 --> 00:10:31,000 分けて考えて見ましょう 244 00:10:31,000 --> 00:10:34,000 一つは古い伝統的な組織モデル 245 00:10:34,000 --> 00:10:36,000 特別な人々 特別な場所 246 00:10:36,000 --> 00:10:38,000 特許をとって 受身の消費者に 247 00:10:38,000 --> 00:10:41,000 商品を一方的に流す 248 00:10:41,000 --> 00:10:43,000 もう一方はウィキペディアや 249 00:10:43,000 --> 00:10:47,000 リナックスなどのオープンソースをイメージして下さい 250 00:10:47,000 --> 00:10:49,000 こちらはオープンでこちらは閉じている 251 00:10:49,000 --> 00:10:51,000 新しいのと旧来のもの 252 00:10:51,000 --> 00:10:54,000 確かに言えることの一つは 253 00:10:54,000 --> 00:10:56,000 ヨーカイ氏が言ったように 254 00:10:56,000 --> 00:10:58,000 この2つの組織形態の間で 255 00:10:58,000 --> 00:11:00,000 抗争が起こっている 256 00:11:00,000 --> 00:11:03,000 こちらは存在が脅かされていますから 257 00:11:03,000 --> 00:11:06,000 そっちのグループが成功しないよう 258 00:11:06,000 --> 00:11:08,000 出来る事は何でもやる 259 00:11:08,000 --> 00:11:11,000 著作権やデジタル著作権の議論は 260 00:11:11,000 --> 00:11:15,000 こうした新しいグループを鎮圧するための 261 00:11:15,000 --> 00:11:18,000 悪戦苦闘だと 262 00:11:18,000 --> 00:11:20,000 私は見ています 263 00:11:20,000 --> 00:11:23,000 特許とか著作権というのは 264 00:11:23,000 --> 00:11:25,000 全く腐敗しています 265 00:11:25,000 --> 00:11:29,000 発明を促すのではなく 266 00:11:29,000 --> 00:11:32,000 知識の普及を組織化するのでもなく 267 00:11:32,000 --> 00:11:35,000 大企業はこうした制度で 268 00:11:35,000 --> 00:11:37,000 特許という障壁を巡らし 269 00:11:37,000 --> 00:11:39,000 発明を邪魔しています 270 00:11:39,000 --> 00:11:42,000 二つの例をお見せしよう 271 00:11:42,000 --> 00:11:45,000 貴方がベンチャーを立ち上げたとします 272 00:11:45,000 --> 00:11:47,000 ”素晴らしいアイデアがあるんだ- 273 00:11:47,000 --> 00:11:50,000 全くすごいプログラムを発明した- 274 00:11:50,000 --> 00:11:53,000 Microsoft Outlookよりずっといいものだ” 275 00:11:54,000 --> 00:11:58,000 一体誰が Microsoft Outlookと競争するような 276 00:11:58,000 --> 00:12:01,000 貴方の事業に資金を出すでしょうか。 277 00:12:01,000 --> 00:12:04,000 これがマイクロソフトと競争できるのは 278 00:12:04,000 --> 00:12:06,000 オープンソース型の事業 279 00:12:06,000 --> 00:12:08,000 だけである理由です 280 00:12:08,000 --> 00:12:10,000 実際、大きな論争になっているのは 281 00:12:10,000 --> 00:12:12,000 オープンソースや消費者主導の発明が 282 00:12:12,000 --> 00:12:15,000 維持発展できるかどうかです 283 00:12:15,000 --> 00:12:17,000 これらが独占を打ち負かす 284 00:12:17,000 --> 00:12:20,000 唯一の競争相手だからです 285 00:12:20,000 --> 00:12:23,000 専門家からの反撃も強くなるでしょう 286 00:12:23,000 --> 00:12:25,000 こちらの閉じた世界の専門家には 287 00:12:25,000 --> 00:12:27,000 学者であれプログラマーであれ 288 00:12:27,000 --> 00:12:29,000 医者であれジャーナリストであれ 289 00:12:29,000 --> 00:12:32,000 私も以前はジャーナリストでしたが 290 00:12:32,000 --> 00:12:34,000 ”そっちの素人の意見を信用するな” 291 00:12:34,000 --> 00:12:36,000 と言うのです 292 00:12:38,000 --> 00:12:40,000 私が20年前に 293 00:12:40,000 --> 00:12:43,000 ファイナンシャルタイムスの記者になった頃 294 00:12:44,000 --> 00:12:46,000 誰かが記事を読んでいると 295 00:12:46,000 --> 00:12:48,000 とてもドキドキしたものです 296 00:12:48,000 --> 00:12:50,000 地下鉄で肩越しに 297 00:12:50,000 --> 00:12:53,000 自分の記事を読んでいないか覗いて見る 298 00:12:53,000 --> 00:12:55,000 たいていは株価しか読まないし 299 00:12:55,000 --> 00:12:57,000 私の記事の載った新聞紙が 300 00:12:57,000 --> 00:12:59,000 床の上に落ちていたりすると 301 00:12:59,000 --> 00:13:01,000 ”一体なんて馬鹿な奴らだ- 302 00:13:01,000 --> 00:13:04,000 俺のすばらしい記事を読まずに”と叫んでしまう 303 00:13:04,000 --> 00:13:07,000 読者の参画を認めるのは 304 00:13:07,000 --> 00:13:09,000 2箇所だけ 305 00:13:09,000 --> 00:13:12,000 一つは投稿の読者ページだけど 306 00:13:12,000 --> 00:13:14,000 原稿を半分に縮めて 307 00:13:14,000 --> 00:13:16,000 3日後に掲載する 308 00:13:16,000 --> 00:13:18,000 もう一つが論説欄 309 00:13:18,000 --> 00:13:20,000 編集者の奥さんと寝た事があれば 310 00:13:20,000 --> 00:13:23,000 原稿を載せてもらえるかもしれない 311 00:13:23,000 --> 00:13:25,000 この二箇所しかなかった 312 00:13:25,000 --> 00:13:29,000 恐ろしい事に今では読者が記者や出版者になりたがる 313 00:13:29,000 --> 00:13:32,000 俺たちの記事だけ読んでればよいのに 314 00:13:32,000 --> 00:13:34,000 でも別にジャーナリストになりたいわけではない 315 00:13:34,000 --> 00:13:36,000 ジャーナリスト自身はよく分かっていないようだが 316 00:13:36,000 --> 00:13:38,000 ブロガーはただ発信したいのです 317 00:13:38,000 --> 00:13:41,000 ジミーが言ったようにただ議論や会話がしたい 318 00:13:41,000 --> 00:13:45,000 情報のやりとりに加わりたいのです 319 00:13:45,000 --> 00:13:47,000 つまり創造の担い手が 320 00:13:47,000 --> 00:13:49,000 増えているのです 321 00:13:49,000 --> 00:13:52,000 これは大きな抗争なのです 322 00:13:52,000 --> 00:13:55,000 しかし別のオープン側から 323 00:13:55,000 --> 00:13:58,000 閉じた側への大きな動きもあります 324 00:13:58,000 --> 00:14:01,000 オープン側の将来にとって 325 00:14:01,000 --> 00:14:03,000 二つの決定的な 326 00:14:03,000 --> 00:14:05,000 課題があります 327 00:14:05,000 --> 00:14:07,000 一つは 328 00:14:07,000 --> 00:14:10,000 ボランティアに依存していけるかという課題 329 00:14:10,000 --> 00:14:12,000 もしこの動きが重要ならば 330 00:14:12,000 --> 00:14:15,000 資金を流し組織化する仕組みをきっちりと 331 00:14:15,000 --> 00:14:17,000 支援する必要があるのではないですか? 332 00:14:17,000 --> 00:14:19,000 赤十字社を設立するのは 333 00:14:19,000 --> 00:14:22,000 素晴らしいアイデアですが 334 00:14:22,000 --> 00:14:26,000 ボランティアだけで組織できるでしょうか 335 00:14:26,000 --> 00:14:28,000 公共政策や資金の流れを 336 00:14:28,000 --> 00:14:30,000 どうすればよいのか? 337 00:14:30,000 --> 00:14:32,000 例えばBBCは 338 00:14:32,000 --> 00:14:34,000 どんな役割を担えるか? 339 00:14:34,000 --> 00:14:36,000 公共政策の役割は何か? 340 00:14:36,000 --> 00:14:39,000 最後に知って欲しい事は 341 00:14:39,000 --> 00:14:42,000 こっちの閉じた側もオープンな側に 342 00:14:42,000 --> 00:14:45,000 動きつつある事です 343 00:14:45,000 --> 00:14:48,000 つまり単に二つのグループの争いではなく 344 00:14:48,000 --> 00:14:51,000 この二つのグループの間に我々の将来が 345 00:14:51,000 --> 00:14:53,000 あるのかもしれないのです 346 00:14:53,000 --> 00:14:56,000 新しい組織モデルがこの2つを混在させて 347 00:14:56,000 --> 00:14:59,000 生まれてくるでしょう 348 00:14:59,000 --> 00:15:03,000 マイクロソフトとリナックスのように白か黒かではない 349 00:15:03,000 --> 00:15:05,000 その中間の灰色の世界 350 00:15:05,000 --> 00:15:07,000 この灰色の組織モデルは 351 00:15:07,000 --> 00:15:09,000 とてもパワフルなのです 352 00:15:09,000 --> 00:15:11,000 これを理解した人が 353 00:15:11,000 --> 00:15:13,000 大成功するでしょう 354 00:15:13,000 --> 00:15:16,000 最後に具体例を一つ 355 00:15:16,000 --> 00:15:18,000 紹介しましょう 356 00:15:18,000 --> 00:15:20,000 上海に行っていました 357 00:15:20,000 --> 00:15:22,000 5年前は水田だったオフィス街で 358 00:15:22,000 --> 00:15:25,000 この10年の間に建てられた 359 00:15:25,000 --> 00:15:28,000 2500の高層ビルの一つで 360 00:15:28,000 --> 00:15:31,000 ティモシー チェンという青年と 361 00:15:31,000 --> 00:15:34,000 食事をして来ました 362 00:15:34,000 --> 00:15:36,000 ティモシーは2000年に 363 00:15:36,000 --> 00:15:38,000 インターネットビジネスを始めました 364 00:15:38,000 --> 00:15:41,000 コンピュータゲームに専念することを決め 365 00:15:41,000 --> 00:15:43,000 ネットから離れることにしました 366 00:15:43,000 --> 00:15:46,000 彼は"盛大"という名の中国最大の 367 00:15:46,000 --> 00:15:50,000 コンピュータゲーム企業を経営しています 368 00:15:50,000 --> 00:15:53,000 9000のサーバーを中国全土に備え 369 00:15:53,000 --> 00:15:57,000 加入者は2億5千万人いて 370 00:15:57,000 --> 00:16:01,000 常時4百万人がゲームで遊んでいます 371 00:16:02,000 --> 00:16:04,000 このサービスを提供する 372 00:16:04,000 --> 00:16:07,000 スタッフはわずか500人です 373 00:16:07,000 --> 00:16:09,000 一体どうやって 374 00:16:09,000 --> 00:16:11,000 2.5億人に対して 375 00:16:11,000 --> 00:16:14,000 500人で対応できるのか? 376 00:16:14,000 --> 00:16:16,000 サービスは提供しないのです 377 00:16:16,000 --> 00:16:18,000 規則や道具といった 378 00:16:18,000 --> 00:16:21,000 プラットフォームを用意し 379 00:16:21,000 --> 00:16:24,000 ユーザーとの対話を組織化し 380 00:16:24,000 --> 00:16:26,000 アクションを組織化します 381 00:16:26,000 --> 00:16:28,000 ゲーム自体はユーザーが 382 00:16:28,000 --> 00:16:31,000 自分たちで作るのです 383 00:16:31,000 --> 00:16:33,000 それがある種の一体感を 384 00:16:33,000 --> 00:16:35,000 会社との間に生みだすのです 385 00:16:35,000 --> 00:16:37,000 この効果は絶大です 386 00:16:37,000 --> 00:16:40,000 こういうことです ゲームを始めると 387 00:16:40,000 --> 00:16:42,000 自分で登場人物を作り 388 00:16:42,000 --> 00:16:44,000 ゲームを通して成長させます 389 00:16:44,000 --> 00:16:47,000 クレジットカードが不渡りになるとか 390 00:16:47,000 --> 00:16:49,000 何か問題があると 391 00:16:49,000 --> 00:16:51,000 登場人物は消えます 392 00:16:51,000 --> 00:16:53,000 二つの選択肢があります 393 00:16:53,000 --> 00:16:56,000 一つは登場人物を一から創り直す 394 00:16:56,000 --> 00:16:59,000 でもこれまでの歴史は消えてします 395 00:16:59,000 --> 00:17:01,000 これは100ドルです 396 00:17:01,000 --> 00:17:04,000 もう一つは飛行機で上海に飛んで 397 00:17:04,000 --> 00:17:07,000 盛大の事務所に並び再登録する 398 00:17:07,000 --> 00:17:11,000 600-700ドルかかるが登場人物の 399 00:17:11,000 --> 00:17:14,000 歴史をとり戻すことが出来る 400 00:17:14,000 --> 00:17:16,000 毎朝この事務所の外には 401 00:17:16,000 --> 00:17:18,000 登場人物の再登録のために 402 00:17:18,000 --> 00:17:20,000 600人も並んでいます 403 00:17:20,000 --> 00:17:23,000 ユーザーが共有できる 404 00:17:23,000 --> 00:17:26,000 道具や場所を提供することで 405 00:17:26,000 --> 00:17:28,000 成り立つ会社の例です 406 00:17:28,000 --> 00:17:30,000 オープンソースではないですが 407 00:17:30,000 --> 00:17:32,000 とても強力です 408 00:17:32,000 --> 00:17:35,000 政府の仕事に関わる者は 409 00:17:35,000 --> 00:17:37,000 大きな課題を 410 00:17:37,000 --> 00:17:40,000 抱えています 411 00:17:40,000 --> 00:17:43,000 ゲームの会社の場合 412 00:17:43,000 --> 00:17:46,000 百万人がゲームで遊ぶとして 413 00:17:46,000 --> 00:17:49,000 その内の1%がアイデアを提供する 414 00:17:49,000 --> 00:17:51,000 開発者になれば 415 00:17:51,000 --> 00:17:53,000 1万人の人手が 416 00:17:53,000 --> 00:17:56,000 確保できるわけです 417 00:17:56,000 --> 00:17:59,000 同様に英国の教育の場合 418 00:17:59,000 --> 00:18:02,000 生徒の1%が教育の提供側に 419 00:18:02,000 --> 00:18:04,000 協力するなら 420 00:18:04,000 --> 00:18:06,000 教育を支える人材が 421 00:18:06,000 --> 00:18:08,000 十分に確保できます 422 00:18:08,000 --> 00:18:11,000 国民保険を利用する患者の1%が 423 00:18:11,000 --> 00:18:14,000 保健サービスに関われるかもしれません 424 00:18:14,000 --> 00:18:16,000 経費の削減圧力の中で 425 00:18:16,000 --> 00:18:19,000 こうした利用者を巻き込んだモデルが 426 00:18:19,000 --> 00:18:21,000 力強く立ち上がりつつあるのは 427 00:18:21,000 --> 00:18:24,000 このモデルがサービスを 428 00:18:24,000 --> 00:18:26,000 提供する側の人材を 429 00:18:26,000 --> 00:18:28,000 何倍にも増やすからです 430 00:18:28,000 --> 00:18:30,000 それができるのは 431 00:18:30,000 --> 00:18:32,000 利用者が製造し 432 00:18:32,000 --> 00:18:34,000 消費者が計画するからです 433 00:18:34,000 --> 00:18:36,000 以上です ありがとう