1
00:00:00,232 --> 00:00:01,773
はい！どうもアバタローです。

2
00:00:01,773 --> 00:00:03,734
本日は外山滋比古（とやましげひこ）さんの

3
00:00:03,734 --> 00:00:06,385
［思考の整理学］を
紹介させていただきます。

4
00:00:06,385 --> 00:00:09,264
1986年に刊行されてから

5
00:00:09,264 --> 00:00:12,144
200万部を突破した
異例のロングセラーであり

6
00:00:12,144 --> 00:00:17,328
更に、東大・京大で一番読まれた本、という
キャッチコピーでも、大変有名な

7
00:00:17,328 --> 00:00:19,494
”思考法のバイブル” でございます。

8
00:00:19,494 --> 00:00:22,530
学ぶことに対して
意欲的な方は勿論のこと。

9
00:00:22,530 --> 00:00:25,673
物を考えることに
苦手意識を持っている方

10
00:00:25,673 --> 00:00:27,759
一人で考え込みすぎてしまう方。

11
00:00:27,759 --> 00:00:32,645
焦ると頭が真っ白になってしまうという方に
特にお勧めしたい1冊です。

12
00:00:32,645 --> 00:00:34,632
そこで、この動画では
本書の内容を

13
00:00:34,632 --> 00:00:37,951
［集中力を爆発させる「朝」の過ごし方］

14
00:00:37,951 --> 00:00:40,344
［アイデアを生み出す時間の使い方］

15
00:00:40,344 --> 00:00:42,600
［思考力を上げる忘却システム］

16
00:00:42,600 --> 00:00:45,337
［かかわってはいけないタイプの人］
というように

17
00:00:45,337 --> 00:00:49,200
大きく４つのテーマに沿って
分かりやすく紹介をしてまいります。

18
00:00:49,200 --> 00:00:53,846
30年以上前に書かれた作品とは思えないほど
鮮度が保たれているのは

19
00:00:53,846 --> 00:00:57,860
コンテンツそのものの力もありますが
著者である外山先生が

20
00:00:57,860 --> 00:01:03,009
本書に込めた、ある一つの願いという要素も
大きな役割を果たしています。

21
00:01:03,136 --> 00:01:05,472
それが一体
どういうものなのか、ということは

22
00:01:05,472 --> 00:01:07,976
動画の後半に行きますと
見えて参りますので

23
00:01:07,976 --> 00:01:10,241
どうぞ、最後まで
お付き合いいただければと思います。

24
00:01:10,241 --> 00:01:11,466
それでは、参りましょう。

25
00:01:11,466 --> 00:01:13,930
外山滋比古『思考の整理学』

26
00:01:13,930 --> 00:01:17,489
さぁ、まずはこの動画の
全体像について、お示し致します。

27
00:01:17,489 --> 00:01:20,310
はじめに、著者である
外山滋比古さんが何者で

28
00:01:20,310 --> 00:01:25,428
本書がどんな意図をもって書かれているのか
という、前提知識を整理いたします。

29
00:01:25,453 --> 00:01:28,556
その後、冒頭に申し上げた
４つのテーマに沿って

30
00:01:28,556 --> 00:01:31,710
『思考の整理学』の要点について
お伝えしたいと思います。

31
00:01:31,710 --> 00:01:34,618
では、早速１つ目。
著者について見て行きましょう。

32
00:01:34,618 --> 00:01:39,113
『外山滋比古さん』と言えば
お茶の水女子大学で教授を務められていた

33
00:01:39,113 --> 00:01:41,964
『英米文学』『言語学』の専門家です。

34
00:01:41,964 --> 00:01:44,285
ただ、ご自身の研究分野に止まらず

35
00:01:44,285 --> 00:01:49,603
『教育論』『ジャーナリズム論』といった
幅広い分野で、評論・執筆活動を続け

36
00:01:49,603 --> 00:01:51,564
幅広くご活躍をされていました。

37
00:01:51,564 --> 00:01:56,453
また、いま画面に出しておりますのが
外山先生が執筆された書籍の一部です。

38
00:01:56,453 --> 00:01:59,433
このように、たくさんの作品を
残されているのですが

39
00:01:59,433 --> 00:02:03,093
その中でも脅威的なヒット作として
殿堂入りしているのが

40
00:02:03,093 --> 00:02:05,193
［思考の整理学］と、いうわけです。

41
00:02:05,193 --> 00:02:08,674
今回の各論に入る前に
まず、押さえておいていただきたいのは

42
00:02:08,674 --> 00:02:11,786
外山先生が持たれている
問題意識です。

43
00:02:11,786 --> 00:02:15,402
つまり、どんな意図をもって
この本を書いたのかという

44
00:02:15,402 --> 00:02:18,985
出発点をきちんと
理解しておくことが重要なんです。

45
00:02:18,985 --> 00:02:20,706
それは一体、何かというと

46
00:02:20,706 --> 00:02:23,228
これまでの学校教育です。

47
00:02:23,228 --> 00:02:25,361
学校は誰もが行くべき場所だ！

48
00:02:25,361 --> 00:02:29,608
そこでは誰もが、教師に従い
決められたカリキュラムに従い

49
00:02:29,608 --> 00:02:33,394
教科書に従って
学習をしなければならないのだ。

50
00:02:33,715 --> 00:02:36,524
こういった、学校信仰的な考え方は

51
00:02:36,524 --> 00:02:40,430
「もう、やめましょうよ」、というのが
外山先生のスタンスなんです。

52
00:02:40,445 --> 00:02:43,655
自分の力ではなく
誰かの力によって

53
00:02:43,655 --> 00:02:47,084
一生懸命、知識を得ている
学校の生徒たちを

54
00:02:47,084 --> 00:02:51,054
外山先生は、憐れみを込めて
［グライダー人間］と名付けます。

55
00:02:51,054 --> 00:02:54,244
グライダーというのは
”空の女王” とも呼ばれるぐらい

56
00:02:54,484 --> 00:02:58,073
音もたてずに、優雅に空を
飛ぶことのできる乗り物です。

57
00:02:58,073 --> 00:03:02,176
ただグライダーは、飛行機のように
大きな音は、立てないものの

58
00:03:02,176 --> 00:03:06,013
自分の力で
空に舞い上がることができないのです。

59
00:03:06,013 --> 00:03:08,958
そして、学校というのは
引っ張られるがまま

60
00:03:08,958 --> 00:03:13,515
何処にでもついて行くような
従順なグライダー人間を作り出す訓練所だ。

61
00:03:13,515 --> 00:03:17,268
決して、自ら飛ぶ
『飛行機人間』を作る場所ではないのだ。

62
00:03:17,268 --> 00:03:21,303
「それに早く、気づいてください」と
外山先生は、そのように言うわけです。

63
00:03:21,303 --> 00:03:25,053
つまり、詰込み型教育によって
自分で物を考え

64
00:03:25,344 --> 00:03:29,446
新しい事を生み出すことができない
『グライダー人間』が

65
00:03:29,446 --> 00:03:34,186
量産されてしまっている、という現状に
強い問題意識を持たれていたのです。

66
00:03:34,401 --> 00:03:37,117
ただ、誤解のないように
申し上げておきますと、本書では

67
00:03:37,117 --> 00:03:39,616
グライダーとしての
能力なんかもう要らない！とか。

68
00:03:39,616 --> 00:03:41,518
学校なんか、不要だ！とか。

69
00:03:41,668 --> 00:03:44,589
そういった、極端な
批判しているわけではありません。

70
00:03:44,589 --> 00:03:48,778
人間には『グライダー能力』と
『飛行機能力』という、２つの力があって

71
00:03:48,778 --> 00:03:54,289
この両者を持っておくことが、大事なのだ
という、バランスの取れた主張を展開しているんです。

72
00:03:54,289 --> 00:03:58,035
具体的には
受動的に知識を得るために必要なのが

73
00:03:58,035 --> 00:03:59,151
『グライダー能力』

74
00:03:59,151 --> 00:04:04,362
一方、自力で物事を発明・発見する際に
求められるのが『飛行機能力』です。

75
00:04:04,423 --> 00:04:08,049
じゃあ、なぜ『グライダー能力』を
全否定していないか、と言えば

76
00:04:08,049 --> 00:04:12,392
何を学ぶにしても、基本的
知識の習得が必須だからです。

77
00:04:12,460 --> 00:04:15,496
基礎というのは
『グライダー能力』によって築かれる為

78
00:04:15,496 --> 00:04:17,868
決して、「要らない」と
言ってるわけではないです。

79
00:04:17,868 --> 00:04:21,045
もしかしたら
30年以上前の学校教育も

80
00:04:21,045 --> 00:04:24,306
そういった、理想を
掲げていたのかもしれませんし

81
00:04:24,306 --> 00:04:25,600
詳細は分かりません。

82
00:04:25,600 --> 00:04:28,532
ただ、外山先生から見た
当時の社会というのは

83
00:04:28,532 --> 00:04:30,473
『グライダー能力』ばかりが発達し

84
00:04:30,473 --> 00:04:32,815
自から飛行できない人が、五万といて

85
00:04:32,815 --> 00:04:36,204
更に、そういった人間こそが
社会では必要とされ

86
00:04:36,487 --> 00:04:38,656
優秀とみなされているじゃないか、と。

87
00:04:38,656 --> 00:04:40,739
本書で、そのように嘆いたわけです。

88
00:04:40,739 --> 00:04:44,826
もちろん、立派な指導者がいて
目標がハッキリしている、という

89
00:04:44,826 --> 00:04:49,694
一定の条件が満たされているのであれば
『グライダー能力』は必要ですし

90
00:04:49,694 --> 00:04:52,180
高く評価されて
然るべきものです。

91
00:04:52,180 --> 00:04:55,550
しかし、少なくとも
本書が書かれた1980年代には

92
00:04:55,550 --> 00:04:58,580
”もう直ぐ、そんな時代は終わる” という事が
分かっていました。

93
00:04:58,580 --> 00:05:01,970
つまり、コンピューターという
『グライダー能力』に優れた存在が

94
00:05:02,171 --> 00:05:08,103
近い将来、人間の仕事を奪うことは予想できており
その上で、外山先生は警鐘を鳴らしていたんです。

95
00:05:08,200 --> 00:05:12,102
しかし、当時の社会の中で
完全にグライダー人間をやめてしまえば

96
00:05:12,102 --> 00:05:13,929
当然、生きづらくなってしまいます。

97
00:05:13,929 --> 00:05:17,055
かといって、グライダー専業を
続けるのも無理があるんです。

98
00:05:17,055 --> 00:05:20,615
その上で、外山先生は本書で
自前のグライダーに

99
00:05:20,615 --> 00:05:23,843
エンジンを搭載してみてはどうか、と
提案したんです。

100
00:05:23,843 --> 00:05:28,809
つまり、『グライダ―能力』と『飛行機能力』を
兼ね備えた人間になるべきだ、と言ったわけです。

101
00:05:28,917 --> 00:05:30,861
ただ、そのために
どうすればいいか、なんて

102
00:05:30,861 --> 00:05:34,867
誰も知りませんし、正解なんかありません。
その上で、外山先生は

103
00:05:34,867 --> 00:05:38,246
「じゃあ、この本を通じて
一緒に考えようじゃないか」と言って

104
00:05:38,246 --> 00:05:40,668
本題がスタートする
という流れになるわけです。

105
00:05:40,668 --> 00:05:44,072
さぁ、ここまでよろしいでしょうか。
では、以上の点を踏まえて

106
00:05:44,072 --> 00:05:48,359
さっそく本書を、４つのテーマに沿って
見ていきたいと思います。では、１つ目。

107
00:05:48,359 --> 00:05:52,255
［集中力を爆発させる「朝」の過ごし方］
から見ていきましょう。

108
00:05:52,255 --> 00:05:56,829
人間の頭は、夜よりも朝の方が
優秀であるように思える。

109
00:05:56,829 --> 00:06:00,610
昨晩、散々手こずった仕事が
一晩寝て朝になって

110
00:06:00,610 --> 00:06:05,116
もう一度やったら、嘘のように片付いてしまった。
そんな経験はないだろうか？

111
00:06:05,152 --> 00:06:08,500
実は、40歳ぐらいまで
私は、夜型だったのだが

112
00:06:08,500 --> 00:06:11,963
朝の効能に気づき始めてから
朝方に切り替えた。

113
00:06:11,963 --> 00:06:16,770
若い時は体力もあるので、ムリも効くが
年齢と共にそれが、できなくなる。

114
00:06:16,905 --> 00:06:20,283
つまり、人は年齢と共に
自然に還っていくのだ。

115
00:06:20,283 --> 00:06:24,409
勿論、極端な早起きは厳しいが
出来れば、朝食の前には

116
00:06:24,409 --> 00:06:26,771
なるべく、たくさんのことを
片付けておきたい。

117
00:06:26,771 --> 00:06:29,009
その為には、どうすればいいのだろうか。

118
00:06:29,009 --> 00:06:31,972
答えは簡単だ。
朝食を抜いてしまえばいい。

119
00:06:31,972 --> 00:06:34,533
そして、朝食と昼食を同時に取る。

120
00:06:34,533 --> 00:06:36,624
所謂、ブランチにすればいいのだ。

121
00:06:36,624 --> 00:06:41,640
腹が満たされた状態というのは
消化のために血液が採られ、頭はボーッとする。

122
00:06:41,830 --> 00:06:45,482
一方、空腹であれば
全てを忘れて仕事に没頭できる。

123
00:06:45,622 --> 00:06:49,202
つまり、ブランチにしてしまえば
ランチタイムまで、集中して

124
00:06:49,202 --> 00:06:51,667
一気に仕事を片付けることができる。

125
00:06:51,667 --> 00:06:54,620
更に、ブランチの後に
一眠りしてしまい

126
00:06:54,620 --> 00:06:57,215
3時ごろ起きれば
頭はスッキリ冴えわたり

127
00:06:57,215 --> 00:07:00,819
今度は夕食までの時間を
有意義に使うことができる。

128
00:07:00,819 --> 00:07:05,792
物を考えるという作業は、いつ
如何なる時もすればいい、というわけではない。

129
00:07:05,792 --> 00:07:08,199
食後や体が疲れている時など

130
00:07:08,199 --> 00:07:12,153
明らかに物事を考えるに適していない時間があることに
注意しなければならないのだ。

131
00:07:12,153 --> 00:07:13,701


132
00:07:13,701 --> 00:07:15,146
はい！ここで止めます。

133
00:07:15,146 --> 00:07:20,075
つまり、人間には思考に適した時間と
適していない時間があるので

134
00:07:20,075 --> 00:07:23,845
それを理解した上で、一日を過ごすべきだと言ってるわけです。

135
00:07:23,845 --> 00:07:31,162
外山先生の場合は、朝食を抜くことで
意図的に施行に適した集中できる時間を増やす工夫をしているようです。

136
00:07:31,162 --> 00:07:33,744
また、ブランチの後に、思いっきり昼寝をして

137
00:07:33,744 --> 00:07:39,048
第二の朝をもう一度作って
更に、もうひと踏ん張りするというのは面白いですね。

138
00:07:39,048 --> 00:07:43,435
工夫次第で、一日ブースターを２カ所設けると言うわけです。

139
00:07:43,435 --> 00:07:44,996
はい！続きを見ていきます。

140
00:07:44,996 --> 00:07:49,281
2つ目のテーマ―は
［アイデアを生み出す時間の使い方］についてです。

141
00:07:49,281 --> 00:07:50,561
では、いきましょう。

142
00:07:50,561 --> 00:07:54,849
外国の諺に、『煮詰める鍋は煮えない』というのがある。

143
00:07:54,849 --> 00:07:59,490
要するに、まだか、まだかと。
物事に注意を向けすぎるのではなく

144
00:07:59,490 --> 00:08:02,036
しばらく放っておきなさい！と言っているのだ。

145
00:08:02,036 --> 00:08:05,255
これは、人間の思考についても同じことが言える。

146
00:08:05,255 --> 00:08:09,634
考え詰めすぎてしまっては
かえって問題の方が引っ込んでしまい

147
00:08:09,634 --> 00:08:12,345
でるべきものも、結局でなくなってしまう。

148
00:08:12,345 --> 00:08:16,843
だから、一晩寝て時間をおいてから
鍋のフタを開けてやればいいのだ。

149
00:08:16,843 --> 00:08:22,654
しかし、自分が考えてるテーマによっては
一晩ではまだまだ短すぎるという場合がある。

150
00:08:22,654 --> 00:08:27,569
大きな問題であればあるほど
寝かせる時間の長さが重要になって来るのだ。

151
00:08:27,659 --> 00:08:33,848
逆に、直ぐに答えが出るような問題というのは
初めから大した問題ではなかったということだ。

152
00:08:33,926 --> 00:08:40,677
本当の大問題は、じっくりと長い間
心の中で温めておかないと、形にならない。

153
00:08:40,727 --> 00:08:45,636
思考の整理において
何が最も大切かと言えば、寝させることなのだ。

154
00:08:45,761 --> 00:08:51,931
この世の中には、どんなに努力をしても
どんなに意思の力が強くてもできないことがある。

155
00:08:52,017 --> 00:08:56,823
そういう時、唯一できる事があるとすれば
それは時間をかけるしかない。

156
00:08:56,887 --> 00:09:02,162
すると、時間が自然のうちに
意識を超えたところで、我々を導いてくれる。

157
00:09:02,227 --> 00:09:07,870
つまり、考えを生み出すにあたって
関心を抱くべきは、無意識の時間なのである。

158
00:09:07,886 --> 00:09:09,084
はい！ここで止めます。

159
00:09:09,172 --> 00:09:13,046
思考の整理において、もっとも重要なことは
寝させること。

160
00:09:13,112 --> 00:09:15,833
つまり、時間を置くことだ、と
言っているわけです。

161
00:09:15,922 --> 00:09:20,790
これは、以前紹介しました
『アイデアのつくり方』のプロセスと同じですね。

162
00:09:20,790 --> 00:09:24,037
限界まで考えたら
後は放ったらかしにしておく。

163
00:09:24,037 --> 00:09:26,145
『果報は寝て待て』と言うわけです。

164
00:09:26,155 --> 00:09:29,765
因みに余談ですが、私たち人間が
ボーっとしてるとき

165
00:09:29,765 --> 00:09:34,547
脳は、何も働いていないわけではなく
［デフォルト・モード・ネットワーク］と呼ばれる

166
00:09:34,602 --> 00:09:38,515
神経活動が活発に行われている、と
いうことが分かっています。

167
00:09:38,552 --> 00:09:42,908
具体的には、人間の脳に収められた
雑然とした情報類が

168
00:09:42,908 --> 00:09:45,208
この働きによって、整理されるのです。

169
00:09:45,218 --> 00:09:47,108
なので、外山先生が最後に

170
00:09:47,108 --> 00:09:50,074
「無意識の時間を使いましょう」と
言っていたのは

171
00:09:50,143 --> 00:09:52,503
恐らく、デフォルト・モード・ネットワーク
という

172
00:09:52,503 --> 00:09:56,524
人間に元々備わった、脳機能を使うことを
意味しているものと思われます。

173
00:09:56,524 --> 00:09:58,609
さぁ、では
次のテーマに移ります。

174
00:09:58,689 --> 00:10:02,015
3つ目は、
［思考力を上げる忘却システム］についてです。

175
00:10:02,015 --> 00:10:03,089
では、いきましょう。

176
00:10:03,194 --> 00:10:07,531
子供の頃から、忘れてはいけない
ちゃんと覚えておきなさい、と

177
00:10:07,604 --> 00:10:10,718
学校や親から、色んなことを教えられてきた。

178
00:10:10,764 --> 00:10:14,251
忘れてしまった、と言おうものなら
よく叱られたものだ。

179
00:10:14,251 --> 00:10:20,023
しかし私は、『忘れる』ということに対する
偏見を改めるべきだと思っている。

180
00:10:20,104 --> 00:10:25,175
従来の教育では、頭の中にたくさんの知識が
詰まっていることを良しとしてきた。

181
00:10:25,175 --> 00:10:28,985
つまり、人間の頭を
倉庫のようなものとしてみて来たのである。

182
00:10:29,050 --> 00:10:34,079
人間の頭が倉庫であるならば
忘却というのは、在庫が消えることを意味する。

183
00:10:34,079 --> 00:10:38,338
したがって、忘れることは
怖い事、悪い事だと教えられてきたのだ。

184
00:10:38,390 --> 00:10:41,384
ところが今や、コンピューターが倉庫の代わりとなり

185
00:10:41,384 --> 00:10:44,627
人間は創造性を求められるようになっている。

186
00:10:44,627 --> 00:10:48,174
つまり、我々の頭は、倉庫の役割も一部で果たしつつ

187
00:10:48,174 --> 00:10:53,293
新しいものを生み出すための工場としての役割も果たさなければならないのだ。

188
00:10:53,350 --> 00:10:57,799
では、脳内工場の作業効率を上げるには
どうすればよいのだろうか？

189
00:10:57,820 --> 00:11:02,030
それは、普段から倉庫の中を整理しておけばいいだけの話しだ。

190
00:11:02,034 --> 00:11:06,492
余計なものを倉庫の中に、極力入れず
必要なものを取り込み

191
00:11:06,492 --> 00:11:08,912
そして、いつでも
使えるように整理しておく。

192
00:11:08,974 --> 00:11:12,855
こういった心がけによって、頭の中に広いスペースを

193
00:11:12,855 --> 00:11:14,813
常時、確保しておけばよいのだ。

194
00:11:14,813 --> 00:11:19,175
頭の倉庫を整理するにあたって
何が大切か、と言えば『睡眠』だ。

195
00:11:19,234 --> 00:11:23,521
人間には、忘れるべきものと
覚えておくべきものを振り分ける

196
00:11:23,564 --> 00:11:26,204
自然忘却と呼ばれるシステムが備わっている。

197
00:11:26,204 --> 00:11:28,909
つまり、睡眠がその役割を果たしているのだ。

198
00:11:28,909 --> 00:11:33,665
朝、目を覚ましたら、頭の中がきれいさっぱり
整理されてる経験があるだろう。

199
00:11:33,714 --> 00:11:38,004
これこそ、神が人間に与えた
自然の忘却作用と言える。

200
00:11:38,004 --> 00:11:40,004
ところが現代人はどうだろうか。

201
00:11:40,004 --> 00:11:44,499
最早、睡眠の忘却作用だけでは、処理しきれない状態にあると言っていい。

202
00:11:44,531 --> 00:11:47,826
それほどまでに、今の人は
たくさんの情報に触れ

203
00:11:47,826 --> 00:11:50,096
そして、多忙の中に暮らしているのだ。

204
00:11:50,096 --> 00:11:53,568
足の踏み場もないほど
頭の倉庫が散らかった状態で

205
00:11:53,568 --> 00:11:57,426
新しいものを生み出せと
工場としての機能までも求められたら

206
00:11:57,426 --> 00:11:58,699
溜まったものじゃない。

207
00:11:58,741 --> 00:12:01,703
だからもし、あなたが頭を働かせたいのであれば

208
00:12:01,703 --> 00:12:06,192
自分にとって不必要なものをどんどん忘れていかなければならないのだ。

209
00:12:06,261 --> 00:12:07,546
はい！ここで止めます。

210
00:12:07,551 --> 00:12:11,581
一般的に睡眠には、要らない記憶を削除する一方で

211
00:12:11,581 --> 00:12:16,519
必要な記憶を整理し、それを固定する仕組みが備わっていると言われています。

212
00:12:16,519 --> 00:12:21,111
ところが、多くの人は、睡眠の忘却システムが機能しないほどに

213
00:12:21,111 --> 00:12:25,549
脳みそがビジー状態にあると、外山先生は指摘しているわけです。

214
00:12:25,576 --> 00:12:29,726
今から30年以上前のスマホが存在していなかった時代でも

215
00:12:29,726 --> 00:12:33,513
こんな話が出ているということは、
現代人の頭の倉庫は

216
00:12:33,513 --> 00:12:36,347
最早カオス状態と言っても
いいかもしれません。

217
00:12:36,406 --> 00:12:41,886
ですから、頭の倉庫に何を入れるのか
何を入れないのか、といった基準を定めた上で

218
00:12:41,946 --> 00:12:46,589
睡眠の忘却システムが、正常に働くような生活リズムを手に入れる。

219
00:12:46,636 --> 00:12:50,905
これが思考を十分に働かせる土壌づくりとして
大事なんだ、というわけです。

220
00:12:50,956 --> 00:12:53,879
さっ、次で最後です。
4つ目のテーマ。

221
00:12:53,879 --> 00:12:57,178
［かかわってはいけないタイプの人］について
見ていきましょう。

222
00:12:57,237 --> 00:13:01,288
考えても、考えても
解決の糸口やアイデアが浮かばず

223
00:13:01,347 --> 00:13:05,078
もうダメかもしれないと、思い詰めてしまうことがあるだろう。

224
00:13:05,147 --> 00:13:08,464
しかし、そのような暗示を自分にかけてしまえば

225
00:13:08,464 --> 00:13:10,486
出来るものもできなくなってしまう。

226
00:13:10,547 --> 00:13:15,260
そんな時は、プラスに考え
きっと上手くいく！私なら絶対にできる、と

227
00:13:15,307 --> 00:13:19,631
自分に語り掛け、行き詰った心に
風を入れてみてはどうだろう？

228
00:13:19,717 --> 00:13:24,331
ただ、そうやってポジティブに思い込めば
十分かと言えば、もちろんそうじゃない。

229
00:13:24,417 --> 00:13:27,577
それに加えて、あと２つのことを意識するといいだろう。

230
00:13:27,577 --> 00:13:33,006
まず１つが、自分だけではなく
他人に対しても肯定的な態度を示すことだ。

231
00:13:33,016 --> 00:13:37,341
どんなことであっても探せば１つや２つ
良いとこくらい、あるものだ。

232
00:13:37,372 --> 00:13:40,684
それを見つけたら、ただそれを認め
賞賛してやればいい。

233
00:13:40,722 --> 00:13:45,055
そして、もう１つが、自分をほめてくれる人間と付き合うことだ。

234
00:13:45,142 --> 00:13:48,136
逆に、どんなに鋭く正しい批評ができても

235
00:13:48,136 --> 00:13:51,176
人の好い所を何も見つけようとしない人間とは

236
00:13:51,232 --> 00:13:53,268
距離を置いた方が良いだろう。

237
00:13:53,332 --> 00:13:56,961
ただ、こんな事を言うと、お世辞ばっかり聞いたって
しょうがないじゃないか。

238
00:13:56,992 --> 00:13:58,804
もっと現実を見るべきだ。

239
00:13:58,804 --> 00:14:01,808
といった、厳しい意見を言いたくなる人もいるだろう。

240
00:14:01,882 --> 00:14:07,613
しかし、そんな勇ましい理屈が通用するのは
超人的な勇者の話ではないだろうか。

241
00:14:07,613 --> 00:14:12,549
多くの人間は、たとえ見え透いた言葉であっても
褒められれば勇気づけられる。

242
00:14:12,592 --> 00:14:15,144
お世辞だと分かっていても
気分が良くなる。

243
00:14:15,183 --> 00:14:17,187
それが人情というものだろう。

244
00:14:17,213 --> 00:14:21,368
だから、考えがまとまらない時
なんて私はダメな人間なんだ、と

245
00:14:21,413 --> 00:14:23,681
一人で自分を責める必要なんかない。

246
00:14:23,703 --> 00:14:28,773
自分ならきっとできる！と信じ
あなたならできる！と言ってくれる人と付き合えばいいのだ。

247
00:14:28,773 --> 00:14:32,946
それによって、あなたの思考は
生き生きと活発に働き始めるだろう。

248
00:14:33,013 --> 00:14:34,282
はい！ここで止めます。

249
00:14:34,333 --> 00:14:37,319
思考力というのは、自分の努力だけではなく

250
00:14:37,383 --> 00:14:41,684
実は、かかわる人間によっても
左右されるのだ、というわけです。

251
00:14:41,743 --> 00:14:45,673
確かに、酷い労務環境で
更に毎日上司からけなされていたら

252
00:14:45,723 --> 00:14:47,883
頭が全然、回らなくなってしまいます。

253
00:14:47,883 --> 00:14:52,033
自分の思考を伸び伸びと
大空を翔るように活性化させるには

254
00:14:52,033 --> 00:14:57,666
ただ、自分のことを認めてくれる人
肯定し、賞賛し、自信を付けてくれるひと

255
00:14:57,678 --> 00:15:00,836
そういう存在も大事なんじゃないでしょうか。
と言っているわけです。

256
00:15:00,898 --> 00:15:03,761
さぁ、ココで４つ
全ての紹介が終わりました。

257
00:15:03,868 --> 00:15:05,653
えぇ、ここまで聞いていかがでしょうか。

258
00:15:05,698 --> 00:15:10,504
恐らく、How To系に近い印象を持たれた方
決して少なくないと思います。

259
00:15:10,608 --> 00:15:13,980
ただ、思考の整理学は、How To本ではありません。

260
00:15:13,980 --> 00:15:17,688
勿論、How Toとして使えるものも
多くあったと思います。

261
00:15:17,778 --> 00:15:21,266
それはそれで、ご参考いただく分には何ら問ございません。

262
00:15:21,266 --> 00:15:27,000
ただ、本書は今紹介させていただいたような
思考を整理するためのノウハウを

263
00:15:27,028 --> 00:15:31,100
良かったらマネしてみてくださいね、という作品では
本来ないのです。

264
00:15:31,148 --> 00:15:34,129
えっ！？どういうこと...
そのように思われた方の為に

265
00:15:34,129 --> 00:15:36,384
最後に少しだけ、お話をさせてください。

266
00:15:36,394 --> 00:15:39,651
さて、皆さん冒頭の話し、覚えていますでしょうか？

267
00:15:39,703 --> 00:15:46,461
本書は、自前のグライダーにどうやったら
自由な思考というエンジンを取り付けられるのか。

268
00:15:46,505 --> 00:15:48,895
という、問題提起から始まりました。

269
00:15:48,993 --> 00:15:54,743
ということは、答えを教えるということを
本書のゴールとして設定してしまえば

270
00:15:54,783 --> 00:15:58,833
グライダー人間養成学校と
何ら変わらないわけです。

271
00:15:58,933 --> 00:16:03,352
そこで外山先生は、ご自身の経験
そして、知識に基づき

272
00:16:03,352 --> 00:16:05,932
私はこんなものの考え方をしています。

273
00:16:05,932 --> 00:16:09,136
そして、こんな工夫をしていますと
本書で披露しました。

274
00:16:09,136 --> 00:16:13,338
その上で、あなたはどうされているんですか？と
読者に問いを投げているんです。

275
00:16:13,373 --> 00:16:18,471
例えば、朝食を抜いて
ブランチにするといいみたいな話しがありましたけれど

276
00:16:18,533 --> 00:16:23,849
これは、あくまで外山先生の理屈に基づいた
個人的な正解なんです。

277
00:16:23,913 --> 00:16:28,359
中にはこの話を聞いて
私は朝ご飯を絶対に抜かない

278
00:16:28,395 --> 00:16:32,698
それが、私の正解です！という方も多くいらっしゃったはずです。

279
00:16:32,755 --> 00:16:37,482
じゃあその、あなたの正解は、どうやって導き出されたものなのですか。

280
00:16:37,585 --> 00:16:40,556
何となくでしょうか？
それとも、ご自身の経験や

281
00:16:40,556 --> 00:16:43,966
何らかの考えに、基づいているものなのでしょうか
というように

282
00:16:43,966 --> 00:16:48,698
ごくごく普通の日常から
読者に対して思考の題材を与えているんです。

283
00:16:48,765 --> 00:16:52,092
なぜ、こういった題材があたえられているのかという言えば

284
00:16:52,092 --> 00:16:55,328
自分以外の誰かの物事の考え方

285
00:16:55,385 --> 00:16:59,320
見方に触れることで、普段自分は
どれぐらい思考しているのか

286
00:16:59,385 --> 00:17:03,544
あるいは、どういった
ものの考え方をする人間なのか

287
00:17:03,544 --> 00:17:06,170
といったことに気づきやすくなるんです。

288
00:17:06,170 --> 00:17:08,170
そうして、こういった経験を通して

289
00:17:08,170 --> 00:17:12,870
考える、という行為そのものの楽しさに気づいて欲しい。

290
00:17:12,870 --> 00:17:15,311
大空を自由に駆け巡る飛行機のように

291
00:17:15,311 --> 00:17:18,990
自由で、ぜいたくな活動であることを知って欲しい。

292
00:17:19,005 --> 00:17:21,675
本書にはそういった願いが込められているんです。

293
00:17:21,775 --> 00:17:26,205
つまり、グライダー人間にどうしたらエンジンを
取付けることができるのか

294
00:17:26,205 --> 00:17:29,803
という問いに対し
外山先生の出した答えの一つは

295
00:17:29,803 --> 00:17:34,182
考えることの楽しさに気づいてもらう事だったと言うわけです。

296
00:17:34,192 --> 00:17:37,265
ですから、ご本人にとしては
思考の技術について

297
00:17:37,265 --> 00:17:39,742
初めから教えるつもりなんかなかったんです。

298
00:17:39,742 --> 00:17:43,112
こういった親心が内に秘められている作品だからこそ

299
00:17:43,112 --> 00:17:47,836
本書は30年以上も多くの世代の読者に愛されてきたのかもしれません。

300
00:17:47,922 --> 00:17:50,363
もし、まだ読んだことがないという方は

301
00:17:50,363 --> 00:17:52,759
是非一度、手に取ってみてはいかがでしょうか。

302
00:17:52,759 --> 00:17:55,960
はい！というわけで思考の整理学
以上でございます。

303
00:17:55,960 --> 00:17:57,295
いかがでしたでしょうか。

304
00:17:57,325 --> 00:18:00,625
勿論、HOW TO系の本としても十分使えるんですが

305
00:18:00,625 --> 00:18:04,064
実はそうではないという面白いコンセプトの作品なので

306
00:18:04,064 --> 00:18:05,694
今回取り上げてみました。

307
00:18:05,704 --> 00:18:07,628
また、最近はやっていないんですけど

308
00:18:07,628 --> 00:18:11,902
久々に哲学をやりたいなぁ、と思っておりまして
その複線的な意味合いもあって

309
00:18:11,902 --> 00:18:13,444
今回のチョイスをしております。

310
00:18:13,472 --> 00:18:15,585
どうぞ、これからも楽しみにしていてください。

311
00:18:15,652 --> 00:18:17,885
また、コミュニティでもお伝えしましたが

312
00:18:17,885 --> 00:18:22,667
お蔭さまで［OUTPUT読書術］が
昨日、1月22日に発売となり

313
00:18:22,667 --> 00:18:25,033
更に、即日重版も決まりました。

314
00:18:25,084 --> 00:18:28,000
改めまして、皆さま
本当にありがとうございます。

315
00:18:28,074 --> 00:18:31,751
実は、発売前日の夜
何かトラブルが起きるんじゃないかと

316
00:18:31,751 --> 00:18:34,579
不安で寝れないくらい
心が張り詰めておりました。

317
00:18:34,579 --> 00:18:37,083
そんな中、皆さまから本が届きました。

318
00:18:37,083 --> 00:18:39,417
これから読みます、といった
ご報告ですとか

319
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面白かったですといった、メッセージをいただき

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00:18:41,758 --> 00:18:45,046
本当に勇気づけられました。
心から感謝しております。

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お読みいただいた方は、ご無理のない範囲で
Amazonレビューや

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SNS、ブログなどで、ご感想を
アウトプットしていただけますと、大変嬉しいです。

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それを励みに、今後の配信活動も活力にして

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より良いものを皆様にお届けしてまいりたいと思っております。

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どうぞ、これからもよろしくお願い致します。

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この動画が面白かった、参考になったという方は

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高評価・コメントなどいただけますと嬉しいです。

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また、チャンネル登録も鎧くお願い致します。

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ではまた、次の動画でお会いいたしましょう。