1 00:00:00,232 --> 00:00:01,773 はい!どうもアバタローです。 2 00:00:01,773 --> 00:00:06,385 本日は外山滋比古(とやましげひこ)さんの [思考の生理学]を紹介させていただきます。 3 00:00:06,385 --> 00:00:12,144 1986年に刊行されてから 200万部を突破した異例のロングセラーであり 4 00:00:12,144 --> 00:00:17,411 更に東大・京大で一番読まれた本 というキャッチコピーでも大変有名な 5 00:00:17,411 --> 00:00:19,494 思考法のバイブルであります。 6 00:00:19,494 --> 00:00:22,721 学ぶことに対して、意欲的な方は勿論の勿論 7 00:00:22,721 --> 00:00:25,752 物を考えることに苦手意識を持っている方 8 00:00:25,752 --> 00:00:27,817 一人で考え込みすぎてしまう方。 9 00:00:27,817 --> 00:00:30,624 焦ると頭が真っ白になってしまうという方に 10 00:00:30,624 --> 00:00:32,738 特にお勧めしたい1冊です。 11 00:00:32,738 --> 00:00:34,632 そこで、この動画では本書の内容を 12 00:00:34,632 --> 00:00:37,951 [集中力を爆発させる「朝」の過ごし方] 13 00:00:37,951 --> 00:00:40,344 [アイデアを生み出す時間の使い方] 14 00:00:40,344 --> 00:00:42,523 [思考力を上げる忘却システム] 15 00:00:42,523 --> 00:00:44,716 [かかわってはいけないタイプの人] 16 00:00:44,716 --> 00:00:49,127 というように、大きく4つのテーマに沿って 分かりやすく紹介をしてまいります。 17 00:00:49,127 --> 00:00:52,250 30年以上前に書かれた作品とは思えないほど 18 00:00:52,250 --> 00:00:56,282 鮮度が保たれているのは コンテンツそのものの力もありますが 19 00:00:56,282 --> 00:01:01,084 著者である外山先生が、本書に込めた ある一つの願いという要素も 20 00:01:01,084 --> 00:01:03,136 大きな役割を果たしています。 21 00:01:03,136 --> 00:01:08,095 それが一体、どういうモノな、ということは 動画の後半に行きますと見えて参りますので 22 00:01:08,095 --> 00:01:10,241 どうぞ、最後まで お付き合いいただければと思います。 23 00:01:10,241 --> 00:01:13,930 それでは、参りましょう。 外山滋比古『思考の生理学』 24 00:01:13,930 --> 00:01:17,489 さぁ、まずはこの動画の全体像について お示し致します。 25 00:01:17,489 --> 00:01:23,756 はじめに、著者である外山滋比古さんが 何者で、本書がどんな意図をもって書かれているのか 26 00:01:23,756 --> 00:01:25,453 という、前提知識を整理いたします。 27 00:01:25,453 --> 00:01:28,556 その後、冒頭に申し上げた 4つのテーマに沿って 28 00:01:28,556 --> 00:01:31,776 『思考の整理学』の要点について お伝えしたいと思います。 29 00:01:31,776 --> 00:01:34,618 では、早速1つ目。 著者について見て行きましょう。 30 00:01:34,618 --> 00:01:39,113 外山滋比古さんと言えば お茶の水女子大学で教授を務められていた 31 00:01:39,113 --> 00:01:41,964 英米文学・言語学の専門家です。 32 00:01:41,964 --> 00:01:47,852 ただ、ご自身の研究分野に止まらず 教育論・ジャーナリズム論といった、幅広い分野で 33 00:01:47,852 --> 00:01:51,564 経論、執筆活動を受け 幅広くご活躍をされていました。 34 00:01:51,564 --> 00:01:56,453 また、いま画面に出しておりますのが 外山先生が執筆された書籍の一部です。 35 00:01:56,453 --> 00:01:59,433 このように、たくさんの作品を 残されているのですが 36 00:01:59,433 --> 00:02:03,093 その中でも脅威的なヒット作として 殿堂入りしているのが 37 00:02:03,093 --> 00:02:05,193 『思考の整理学』というわけです。 38 00:02:05,193 --> 00:02:08,597 今回の各論に入る前に まず、押さえていただきたいのは 39 00:02:08,597 --> 00:02:11,786 外山先生が持たれている 問題意識です。 40 00:02:11,786 --> 00:02:15,624 つまり、どんな意図をもって この本を書いたのかという 41 00:02:15,624 --> 00:02:18,985 出発点をきちんと 理解しておくことが重要なんです。 42 00:02:18,985 --> 00:02:23,129 それは一体、何かというと これまでの学校教育です。 43 00:02:23,129 --> 00:02:25,508 学校は誰もが行くべき場所だ! 44 00:02:25,508 --> 00:02:29,660 そこでは誰もが、教師に従い 決められたカリキュラムに従い 45 00:02:29,660 --> 00:02:33,708 教科書に従って 学習をしなければならないのだ。 46 00:02:33,708 --> 00:02:38,850 こういった、学校信仰的な考え方は もうやめましょうよ、というのが 47 00:02:38,850 --> 00:02:40,445 外山先生のスタンスなんです。 48 00:02:40,445 --> 00:02:43,655 自分の力ではなく 誰かの力によって 49 00:02:43,655 --> 00:02:47,927 一生懸命、知識を得ている 学校の生徒たちを外山先生は 50 00:02:47,927 --> 00:02:51,144 憐れみを込めて [グライダー人間]と名付けます。 51 00:02:51,144 --> 00:02:54,244 グライダーというのは 空の女王と呼ばれるぐらい 52 00:02:54,244 --> 00:02:58,073 音もたてずに優雅に 空を飛ぶことのできる乗り物です。 53 00:02:58,073 --> 00:03:02,176 ただグライダーは、飛行機のように 大きな音は立てないものの 54 00:03:02,176 --> 00:03:06,013 自分の力で空に舞い上がることが できないのです。 55 00:03:06,013 --> 00:03:08,958 そして、学校というのは 引っ張られるがまま 56 00:03:08,958 --> 00:03:13,809 何処にでもついて行くような 従順なグライダー人間を作り出す訓練所だ。 57 00:03:13,809 --> 00:03:17,268 そして、自ら飛ぶ飛行機人間を 作る場所ではないのだ。 58 00:03:17,268 --> 00:03:21,421 それに早く、気づいてくださいと 外山先生はそのように言うわけです。 59 00:03:21,421 --> 00:03:23,514 つまり、詰込み型教育によって 60 00:03:23,514 --> 00:03:27,911 自分でものを考え 新しい事を生み出すことができない 61 00:03:27,911 --> 00:03:31,686 グライダー人間が 量産されてしまっているという現状に 62 00:03:31,686 --> 00:03:34,259 強い問題意識を持たれていたのです。 63 00:03:34,259 --> 00:03:36,533 ただ、誤解の内容に申し上げておきますと 64 00:03:36,533 --> 00:03:39,616 本書では、グライダーとしての能力なんか もう要らないとか 65 00:03:39,616 --> 00:03:44,558 学校なんか不要だとか、 そういった、極端な批判しているわけではありません。 66 00:03:44,558 --> 00:03:48,778 人間には、グライダー能力と 飛行機能力という、2つの力があって 67 00:03:48,778 --> 00:03:54,164 この両者を持っておくことが大事なのだ、という バランスの取れた主張を展開しているんです。 68 00:03:54,164 --> 00:03:59,056 具体的には、受動的に知識を得るために必要なのが グライダー能力。 69 00:03:59,056 --> 00:04:04,649 一方、自力で物事を発明、発見する際に求められるのが 飛行機能力です。 70 00:04:04,649 --> 00:04:08,152 じゃあ、なぜグライダー能力を 全否定していないかと言えば 71 00:04:08,152 --> 00:04:12,587 何を学ぶにしても基本的知識の習得が必須だからです。 72 00:04:12,587 --> 00:04:18,046 基礎というのは、グライダー能力によって 築かれる為、決して要らないと言ってるわけではないです。 73 00:04:18,046 --> 00:04:24,495 もしかしたら、30年前の学校教育も そういった理想を掲げていたのかもしれませんし 74 00:04:24,495 --> 00:04:25,600 詳細は分かりません。 75 00:04:25,600 --> 00:04:28,532 ただ、外山先生から見た当時の社会というのは 76 00:04:28,532 --> 00:04:32,869 グライダー能力ばかりが発達し 水から飛行できない人が五万といて 77 00:04:32,869 --> 00:04:36,249 更に、そういった人間こそが 社会では必要とされ 78 00:04:36,249 --> 00:04:40,739 優秀とみなされているじゃないか、と。 本書でそのように嘆いたわけです。 79 00:04:40,739 --> 00:04:42,616 もちろん、立派な指導者が居て 80 00:04:42,616 --> 00:04:47,635 目標がはっきりしているという 一定の条件が満たされているのであれば 81 00:04:47,635 --> 00:04:52,180 グライダー能力は、必要ですし 高く評価されて然るべきものです。 82 00:04:52,180 --> 00:04:55,449 しかし、少なくとも本書が書かれた1980年代には 83 00:04:55,449 --> 00:04:58,634 もう直ぐ、そんな時代は終わるという事が分かっていました。 84 00:04:58,634 --> 00:05:01,970 つまり、コンピューターという グライダー能力に優れた存在が 85 00:05:01,970 --> 00:05:05,229 近い将来、人間の仕事を 奪うことは予想できており 86 00:05:05,229 --> 00:05:08,200 その上で、外山先生は警鐘を鳴らしていたんです。 87 00:05:08,200 --> 00:05:12,018 しかし、当時の社会の中で 完全にグライダー人間をやめてしまえば 88 00:05:12,018 --> 00:05:13,998 当然、生きづらくなってしまいます。 89 00:05:13,998 --> 00:05:17,055 かといって、グライダー専業を続けるのも無理があるんです。 90 00:05:17,055 --> 00:05:23,715 その上で、外山先生は本書で自前のグライダーに エンジンを搭載してみてはどうか、と提案したんです。 91 00:05:23,715 --> 00:05:28,917 つまり、グライダ―能力と飛行機能力を 兼ね備えた人間になるべきだ、と言ったわけです。 92 00:05:28,917 --> 00:05:31,871 ただ、そのためにどうすればいいか、なんて誰も知りませんし 93 00:05:31,871 --> 00:05:33,384 正解なんかありません。 94 00:05:33,384 --> 00:05:38,196 その上で、外山先生は じゃあ、この本を通じて一緒に考えようじゃないか、と言って 95 00:05:38,196 --> 00:05:40,803 本題がスタートする流れになる、というわけです。 96 00:05:40,803 --> 00:05:42,280 さぁ、ここまでよろしいでしょうか。 97 00:05:42,280 --> 00:05:47,543 では、以上の点を踏まえて 早速、本書を4つのテーマに沿って見ていきたいと思います。 98 00:05:47,543 --> 00:05:52,255 では、1つ目。 [集中力を爆発させる「朝」の過ごし方]から見ていきましょう。 99 00:05:52,255 --> 00:05:57,093 人間の頭は、夜よりも朝の方が優秀であるように思える。 100 00:05:57,093 --> 00:06:03,609 昨晩さんざん、手こずった仕事が 一晩寝て朝になって、もう一度やったら嘘のように片付いてしまった。 101 00:06:03,609 --> 00:06:05,152 そんな経験はないだろうか? 102 00:06:05,152 --> 00:06:08,500 実は、40歳ぐらいまで 私は夜型だったのだが 103 00:06:08,500 --> 00:06:12,083 朝の効能に気づき始めてから 朝方に切り替えた。 104 00:06:12,083 --> 00:06:16,770 若い時は体力もあるので、ムリも聞くが 年齢とともに、それができなくなる。 105 00:06:16,770 --> 00:06:20,431 つまり、人は年齢と共に 自然に還っていくのだ 106 00:06:20,431 --> 00:06:27,024 勿論、極端な早起きは厳しいが、出来れば朝食の前には なるべくたくさんのことを片付けておきたい。 107 00:06:27,024 --> 00:06:28,820 その為には、どうすればいいのだろうか。 108 00:06:28,820 --> 00:06:32,028 答えは簡単だ。 朝食を抜いてしまえばいい。 109 00:06:32,028 --> 00:06:34,713 そして、朝食と昼食を同時に採る。 110 00:06:34,713 --> 00:06:36,624 所謂、ブランチにすればいいのだ。 111 00:06:36,624 --> 00:06:40,293 腹が満たされた状態というのは 消化のために血液が採られ 112 00:06:40,293 --> 00:06:43,192 頭は、ボーッとする。 一方、空腹であれば 113 00:06:43,192 --> 00:06:45,622 全てを忘れて仕事に没頭できる。 114 00:06:45,622 --> 00:06:51,841 つまり、ブランチにしてしまえば ランチタイムまで集中して一気に仕事を片付けることができる。 115 00:06:51,841 --> 00:06:57,246 更に、ブランチの後に一眠りしてしまい 3時ごろ起きれば、頭はスッキリ冴えわたり 116 00:06:57,246 --> 00:07:00,593 今度は夕食までの時間を有意義に使うことができる。 117 00:07:00,593 --> 00:07:05,728 物を考えるという作業は いつ、如何なる時もすればいい、というわけではない。 118 00:07:05,728 --> 00:07:12,153 食後や体が疲れている時など 明らかに物事を考えるに適していない時間があることに 119 00:07:12,153 --> 00:07:13,586 注意しなければならないのだ。 120 00:07:13,586 --> 00:07:15,146 はい!ここで止めます。 121 00:07:15,146 --> 00:07:20,075 つまり、人間には思考に適した時間と 適していない時間があるので 122 00:07:20,075 --> 00:07:23,845 それを理解した上で、一日を過ごすべきだと言ってるわけです。 123 00:07:23,845 --> 00:07:31,162 外山先生の場合は、朝食を抜くことで 意図的に施行に適した集中できる時間を増やす工夫をしているようです。 124 00:07:31,162 --> 00:07:33,744 また、ブランチの後に、思いっきり昼寝をして 125 00:07:33,744 --> 00:07:39,048 第二の朝をもう一度作って 更に、もうひと踏ん張りするというのは面白いですね。 126 00:07:39,048 --> 00:07:43,435 工夫次第で、一日ブースターを2カ所設けると言うわけです。 127 00:07:43,435 --> 00:07:44,996 はい!続きを見ていきます。 128 00:07:44,996 --> 00:07:49,281 2つ目のテーマ―は [アイデアを生み出す時間の使い方]についてです。 129 00:07:49,281 --> 00:07:50,561 では、いきましょう。 130 00:07:50,561 --> 00:07:54,849 外国の諺に、『煮詰める鍋は煮えない』というのがある。 131 00:07:54,849 --> 00:07:59,490 要するに、まだか、まだかと。 物事に注意を向けすぎるのではなく 132 00:07:59,490 --> 00:08:02,036 しばらく放っておきなさい!と言っているのだ。 133 00:08:02,036 --> 00:08:05,255 これは、人間の思考についても同じことが言える。 134 00:08:05,255 --> 00:08:09,634 考え詰めすぎてしまっては かえって問題の方が引っ込んでしまい 135 00:08:09,634 --> 00:08:12,345 でるべきものも、結局でなくなってしまう。 136 00:08:12,345 --> 00:08:16,843 だから、一晩寝て時間をおいてから 鍋のフタを開けてやればいいのだ。 137 00:08:16,843 --> 00:08:23,597 しかし、自分が考えてるテーマによっては 一晩ではまだまだ短すぎるという場合がある。 138 00:08:23,597 --> 00:08:30,352 大きな問題であればあるほど 寝かせる時間の長さが重要になって来るのだ。 139 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 逆に直ぐに答えが出る問題というのは 初めからたいしたもんだいではなかったということだ。 140 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 本当の大問題は、じっくりと長い間 心の中で温めておかないと形にならない。 141 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 思考の整理において、何が最も大切かと言えば 寝させることなのだ。 142 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 この世の中には、どんなに努力をしても どんなに意思の力が強くてもできないことがある。 143 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 そういう時、唯一できる事があるとすれば それは時間をかけるしかない。 144 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 すると、時間が自然のうちに 意識を超えたところで、我々を導いてくれる。 145 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 つまり、考えを生み出すにあたって 関心を抱くべきは、無意識の時間なのである。 146 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 はい!ここで止めます。 147 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 思考の整理において、もっとも重要なことは 寝させること。 148 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 つまり時間を置くことだ、といっているわけです。 149 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 これは、以前紹介しました アイデアのつくり方のプロセスと同じですね。 150 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 限界まで考えたら 後はほったらかしにしておく。 151 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 『果報は寝て待て』と言うわけです。 152 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 因みに余談ですが、私たち人間が ボーっとしてるとき、脳は何も働いていないわけではなく 153 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 [デフォルト・モード・ネットワーク]と呼ばれる 神経活動が活発に行われてる、ということが分かっています。 154 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 具体的には、人間の脳に収められた雑然とした情報類が この働きによって、整理されるのです。 155 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 なので、外山先生が最後に 「無意識の時間を使いましょう」と言っていたのは 156 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 恐らく、デフォルト・モード・ネットワーク という、人間に元々備わった 157 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 脳機能を使うことを 意味しているものと思われます。 158 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 さぁ、出は次のテーマに移ります。 159 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 3つ目は、思考力を上げる 忘却システムについてです。では、いきましょう。 160 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 子供の頃から忘れてはいけない ちゃんと覚えておきなさい、と 161 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 学校や親から色んなことを教えられてきた。 162 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 忘れてしまった、と言おうものなら 良く叱られたものだ。 163 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 しかし私は、『忘れる』ということに対する 偏見を改めるべきだと思っている。 164 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 従来の教育では、頭の中にたくさんの知識が詰まっていることを よしとしてきた。 165 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 つまり、人間の頭を倉庫のようなものとしてみて来たのである。 166 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 人間の頭が倉庫であるならば 忘却というのは、在庫が消えることを意味する。 167 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 したがって、忘れることは 怖い事、悪い事だと教えられてきたのだ。 168 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 ところが今や、コンピューターが倉庫の代わりとなり 人間は創造性を求められるようになっている。 169 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 つまり、我々の頭は、倉庫の役割も一部で果たしつつ 新しいものを生み出すための工場としての役割も果たさなければならないのだ。 170 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 では、脳内工場の作業効率を上げるには どうすればよいのだろうか? 171 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 それは、普段から倉庫の中を整理しておけばいいだけの話しだ。 172 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 余計なものを倉庫の中に、極力入れず 必要なものを取り込み、そしていつでも使えるように整理しておく。 173 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 こういった心がけによって、頭の中に広いスペースを 常時確保しておけばよいのだ。 174 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 頭の倉庫を整理するにあたって 何が大切か、と言えば『睡眠』だ。 175 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 人間には、忘れるべきものと 覚えておくべきものを振り分ける 176 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 自然忘却というシステムが備わっている。 177 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 つまり、睡眠がその役割を渡しているのだ。 178 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 朝、目を覚ましたら、頭の中がきれいさっぱり 整理されてる経験があるだろう。 179 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 これこそ、神が人間に与えた自然の忘却作用と言える。 180 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 ところが現代人はどうだろうか。 最早、睡眠の忘却作用だけでは、処理しきれない状態にあると言っていい。 181 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 それほどまでに、今の人はたくさんの情報に触れ そして、多忙の中に暮らしているのだ。 182 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 足の踏み場もないほど、頭の倉庫が散らかった状態で 新しいものを生み出せと、工場の機能までも求められたら 183 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 溜まったものじゃない。 184 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 だからもし、あなたが頭を働かせたいのであれば 自分にとって不必要なものをどんどん忘れていかなければならないのだ。 185 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 はい!ここで止めます。 186 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 一般的に睡眠には、要らない記憶を削除する一方で 必要な記憶を整理し、それを固定する仕組みが備わっていると言われています。 187 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 ところが、多くの人は、睡眠の忘却システムが機能しないほどに 脳みそがビジー状態にあると、外山先生は指摘しているわけです。 188 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 今から30年以上前のスマホが存在していなかった時代でも 現代人の頭の倉庫は、最早カウス状態と言ってもいいかもしれません。 189 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 ですから、頭の倉庫に何を入れるのか 何を入れないのか、といった基準を定めた上で 190 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 睡眠の忘却システムが、正常に働くような生活リズムを手に入れる。 191 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 これが思考を十分に働かせる土壌づくりとして 大事なんだ、というわけです。 192 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 さっ、次で最後です。 193 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 4つ目のテーマ。 [かかわってはいけないタイプの人]について見ていきましょう。 194 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 考えても、考えても 解決の糸口やアイデアが浮かばず 195 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 もうダメかもしれないと、思い詰めてしまうことがあるだろう。 196 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 しかし、そのような暗示を自分にかけてしまえば 出来るものもできなくなってしまう。 197 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 そんな時は、プラスに考え きっと上手くいく!私なら絶対にできる、と 198 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 自分に語り掛け、行き詰った心に 風を入れてみてはどうだろう? 199 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 ただ、そうやってポジティブに思い込めば 十分かと言えば、もちろんそうじゃない。 200 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 それに加えて、あと2つのことを意識するといいだろう。 201 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 まず1つが、自分だけではなく 他人に対しても肯定的な態度を示すことだ。 202 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 どんなことであっても探せば1つや2つ 良いとこくらい、あるものだ。 203 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 それを見つけたら、ただそれを認め 賞賛してやればいい。 204 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 そして、もう1つが、自分をほめてくれる人間と付き合うことだ。 205 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 逆に、どんなに鋭く正しい批評ができても 人の好い所を何も見つけようとしない人間とは 206 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 距離を置いた方が良いだろう。 207 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 ただ、こんな事を言うと、お世辞ばっかり聞いたって しょうがないじゃないか。 208 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 もっと現実を見るべきだ。 といった、厳しい意見を言いたくなる人もいるだろう。 209 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 しかし、そんな勇ましい意見が通用するのは 超人的な勇者の話ではないだろうか。 210 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 多くの人間は、たとえ見え透いた言葉であって 褒められれば勇気づけられる。 211 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 お世辞だと分かっていても 気分が良くなる。 212 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 それが人情というものだろう。 213 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 だから、考えがまとまらない時 なんて私はダメな人間なんだ、と 214 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 一人で自分を責める必要なんかない。 215 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 自分ならきっとできる!と信じ あなたならできる!と言ってくれる人と付き合えばいいのだ。 216 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 それによって、あなたの思考は 生き生きと活発に働き始めるだろう。 217 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 はい!ここで止めます。 218 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 思考力というのは、自分の努力だけではなく 219 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 実は、かかわる人間によっても 左右されるのだ、というわけです。 220 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 確かに、酷い労務環境で 更に毎日上司からけなされていたら 221 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 頭が全然、回らなくなってしまいます。 222 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 自分の思考を伸び伸びと 大空を翔るように活性化させるには 223 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 ただ、自分のことを認めてくれる人 肯定し、賞賛し、自信を付けてくれるひと 224 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 そういう存在も大事なんじゃないでしょうか。 と言っているわけです。 225 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 さぁ、ココで4つ 全ての紹介が終わりました。 226 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 えぇ、ここまで聞いていかがでしょうか。 227 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 恐らく、How To系に近い印象を持たれた方 決して少なくないと思います。 228 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 ただ、思考の整理学は、How To本ではありません。 229 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 勿論、How Toとして使えるものも 多くあったと思います。 230 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 それはそれで、ご参考いただく分には何らもんだもございません。 231 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 ただ、本書は今紹介させていただいたような 思考を整理するためのノウハウを 232 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 良かったらマネしてみてくださいね、という作品では 本来ないのです。 233 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 えっ!?どういうこと... 234 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 そのように思われた方の為に 最後に少しだけ、お話をさせてください。 235 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 さて、皆さん冒頭の話し、覚えていますでしょうか? 236 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 本書は、自前のグライダーにどうやったら 自由な思考というエンジンを取り付けられるのか。 237 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 という、問題提起から始まりました。 238 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 ということは、答えを教えるということを 本書のゴールとして設定してしまえば 239 99:59:59,999 --> 99:59:59,999 グライダー人間養成学校と、何ら変わらないわけです。