0:00:00.206,0:00:01.755
はい！どうもアバタローです。

0:00:01.755,0:00:06.327
本日は、外山滋比古（とやましげひこ）さんの[br]［思考の整理学］を紹介させていただきます。

0:00:06.385,0:00:12.125
1986年に刊行されてから200万部を突破した[br]異例のロングセラーであり

0:00:12.125,0:00:17.351
更に、『東大・京大で一番読まれた本』という[br]キャッチコピーでも大変有名な

0:00:17.351,0:00:19.472
思考法の”バイブル” でございます。

0:00:19.614,0:00:22.625
学ぶことに対して[br]意欲的な方は勿論のこと。

0:00:22.625,0:00:25.673
物を考えることに[br]苦手意識を持っている方。

0:00:25.673,0:00:27.792
一人で考え込みすぎてしまう方。

0:00:27.792,0:00:30.667
焦ると、頭が真っ白になってしまうという方に

0:00:30.667,0:00:32.649
特に、お薦めしたい１冊です。

0:00:32.649,0:00:34.632
そこで、この動画では本書の内容を

0:00:34.632,0:00:37.951
［集中力を爆発させる「朝」の過ごし方］

0:00:37.951,0:00:40.344
［アイデアを生み出す時間の使い方］

0:00:40.344,0:00:42.600
［思考力を上げる忘却システム］

0:00:42.600,0:00:45.380
［かかわってはいけないタイプの人］[br]というように

0:00:45.380,0:00:49.132
大きく４つのテーマに沿って[br]分かりやすく紹介をして参ります。

0:00:49.200,0:00:53.846
30年以上前に書かれた作品とは思えないほど[br]鮮度が保たれているのは

0:00:53.846,0:00:57.877
コンテンツそのものの力もありますが[br]著者である外山先生が

0:00:57.877,0:01:01.081
本書に込めた、ある一つの[br]”願い” という要素も

0:01:01.081,0:01:03.113
大きな役割を果たしています。

0:01:03.113,0:01:05.662
それが一体、どういうものなのか[br]ということは

0:01:05.662,0:01:07.942
動画の後半に行きますと、見えて参りますので

0:01:07.942,0:01:10.256
どうぞ、最後まで[br]お付き合いいただければと思います。

0:01:10.256,0:01:13.835
それでは、参りましょう。[br]外山滋比古［思考の整理学］

0:01:14.497,0:01:17.485
まずは、この動画の[br]全体像についてお示し致します。

0:01:17.485,0:01:20.310
はじめに、著者である[br]外山滋比古さんが何者で

0:01:20.310,0:01:23.576
本書がどんな "意図" をもって[br]書かれているのか、という

0:01:23.576,0:01:25.498
前提知識を整理いたします。

0:01:25.498,0:01:28.530
その後、冒頭に申し上げた[br]４つのテーマに沿って

0:01:28.530,0:01:31.786
［思考の整理学］の要点について[br]お伝えしたいと思います。

0:01:31.786,0:01:34.618
では、早速１つ目。[br]［著者について］見て行きましょう。

0:01:34.618,0:01:39.023
［外山 滋比古さん］と言えば[br]お茶の水女子大学で教授を勤められていた

0:01:39.023,0:01:41.841
［英米文学］［言語学］の専門家です。

0:01:41.841,0:01:44.297
ただ、ご自身の研究分野に止まらず

0:01:44.297,0:01:49.616
［教育論］［ジャーナリズム論］といった[br]幅広い分野で評論・執筆活動を続け

0:01:49.616,0:01:53.543
幅広くご活躍をされていました。[br]また今、画面に出しておりますのが

0:01:53.543,0:01:56.359
外山先生が執筆された[br]書籍の一部です。

0:01:56.359,0:01:59.423
このように、沢山の作品を[br]残されているのですが

0:01:59.423,0:02:03.113
その中でも脅威的なヒット作として[br]殿堂入りしているのが

0:02:03.113,0:02:06.932
［思考の整理学］という訳です。[br]今回の各論に入る前に

0:02:06.932,0:02:11.726
まず、押さえておいていただきたいのは[br]外山先生が持たれている『問題意識』です。

0:02:11.726,0:02:16.393
つまり、どんな意図をもって[br]この本を書いたのかという、出発点を

0:02:16.393,0:02:20.541
きちんと理解しておくことが重要なんです。[br]それは一体、何かというと

0:02:20.541,0:02:25.471
これまでの『学校教育』です。[br]学校は、誰もが行くべき場所だ！

0:02:25.471,0:02:29.508
そこでは、誰もが "教師" に従い[br]決められた ”カリキュラム” に従い

0:02:29.508,0:02:33.529
"教科書" に従って[br]学習をしなければならないのだ。

0:02:33.715,0:02:38.813
こういった、学校信仰的な考え方は[br]「もう、やめましょうよ」というのが

0:02:38.813,0:02:43.686
外山先生のスタンスなんです。[br]自分の力ではなく、誰かの力によって

0:02:43.686,0:02:49.102
一生懸命、知識を得ている[br]学校の生徒たちを外山先生は、憐れみを込めて

0:02:49.102,0:02:52.369
［グライダー人間］と名付けます。[br]グライダーというのは

0:02:52.369,0:02:55.307
”空の女王” とも呼ばれるぐらい[br]音もたてずに

0:02:55.307,0:02:57.993
優雅に空を飛ぶことのできる[br]乗り物です。

0:02:57.993,0:03:02.176
ただ、グライダーは飛行機のように[br]大きな音は立てないものの

0:03:02.176,0:03:05.897
自分の力で、空に舞い上がることが[br]できないのです。

0:03:05.897,0:03:08.947
そして、学校というのは[br]引っ張られるがまま

0:03:08.947,0:03:13.515
何処にでも着いて行くような[br]従順なグライダー人間を作り出す ”訓練所”だ。

0:03:13.515,0:03:17.194
決して、自ら飛ぶ『飛行機人間』を[br]作る場所ではないのだ。

0:03:17.194,0:03:21.203
「それに早く、気付いてください」と[br]外山先生は、そのように言う訳です。

0:03:21.203,0:03:23.562
つまり、詰め込み型教育によって

0:03:23.562,0:03:27.810
自分で物を考え[br]新しいことを生み出すことができない

0:03:27.810,0:03:31.711
『グライダー人間』が[br]量産されてしまっているという現状に

0:03:31.711,0:03:34.209
強い『問題意識』を持たれていたのです。

0:03:34.401,0:03:38.728
ただ、誤解のないように申し上げておきますと[br]本書では、グライダーとしての能力なんか

0:03:38.728,0:03:41.653
「もう要らない！」とか。[br]「学校なんか、不要だ！」とか。

0:03:41.653,0:03:44.589
そういった極端な[br]批判をしている訳ではありません。

0:03:44.589,0:03:48.681
人間には『グライダー能力』と[br]『飛行機能力』という２つの力があって

0:03:48.681,0:03:52.012
この両者を持っておくことが[br]大事なのだ、という

0:03:52.012,0:03:54.341
バランスの取れた主張を[br]展開しているんです。

0:03:54.341,0:03:58.992
具体的には…受動的に知識を[br]得るために必要なのが『グライダー能力』

0:03:58.992,0:04:04.477
一方、自力で物事を発明・発見する際に[br]求められるのが『飛行機能力』です。

0:04:04.477,0:04:08.145
じゃあ何故、『グライダー能力』を[br]全否定していないか、と言えば

0:04:08.145,0:04:12.392
何を学ぶにしても[br]基本的知識の習得が必須だからです。

0:04:12.460,0:04:15.496
基礎というのは[br]『グライダー能力』によって築かれる為

0:04:15.496,0:04:17.913
決して、「要らない」と[br]言ってるわけではないんです。

0:04:17.913,0:04:20.972
もしかしたら[br]30年以上前の学校教育も

0:04:20.972,0:04:25.489
そういった理想を掲げていたのかもしれませんし[br]詳細は分かりません。

0:04:25.489,0:04:30.391
ただ、外山先生から見た、当時の社会というのは[br]『グライダー能力』ばかりが発達し

0:04:30.391,0:04:34.637
自から飛行できない人が五万といて[br]更に、そういった人間こそが

0:04:34.637,0:04:38.810
社会では必要とされ『優秀』と[br]みなされているじゃないか、と。

0:04:38.810,0:04:42.535
本書で、そのように嘆いたわけです。[br]もちろん、立派な指導者がいて

0:04:42.535,0:04:47.885
目標がハッキリしている、という[br]一定の条件が満たされているのであれば

0:04:47.885,0:04:51.978
『グライダー能力』は、必要ですし[br]高く評価されて、然るべきものです。

0:04:52.180,0:04:55.550
しかし、少なくとも[br]本書が書かれた1980年代には

0:04:55.550,0:04:58.512
もう直ぐそんな時代は[br]”終わる” ということが分かっていました。

0:04:58.512,0:05:01.944
つまり、コンピューターという[br]『グライダー能力』に優れた存在が

0:05:01.944,0:05:05.404
近い将来、人間の仕事を奪うことは[br]予想できており

0:05:05.404,0:05:08.138
その上で、外山先生は[br]警鐘を鳴らしていたんです。

0:05:08.138,0:05:12.211
しかし、当時の社会の中で[br]完全にグライダー人間を止めてしまえば

0:05:12.211,0:05:16.181
当然、生きづらくなってしまいます。[br]...かといって、グライダー専業を続けるのも

0:05:16.181,0:05:18.783
無理があるんです。[br]その上で、外山先生は本書で

0:05:18.783,0:05:23.939
「自前のグライダーに『エンジン』を[br]搭載してみてはどうか」と、提案したんです。

0:05:23.939,0:05:28.869
つまり、『グライダ―能力』と『飛行機能力』を[br]兼ね備えた人間になるべきだ！と、言った訳です。

0:05:28.918,0:05:33.384
ただ、その為にどうすればいいかなんて[br]誰も知りませんし、正解なんかありません。

0:05:33.384,0:05:36.366
その上で、外山先生は[br]じゃあ、この本を通じて

0:05:36.366,0:05:40.831
「一緒に考えようじゃないか」と、言って[br]本題がスタートする、という流れになる訳です。

0:05:40.831,0:05:44.019
さぁ、ここまでよろしいでしょうか。[br]では、以上の点を踏まえて

0:05:44.019,0:05:47.441
早速、本書を４つのテーマに沿って[br]見ていきたいと思います。

0:05:47.441,0:05:48.248
では、１つ目。

0:05:48.248,0:05:52.235
［集中力を爆発させる「朝」の過ごし方］から[br]見ていきましょう。

0:05:52.235,0:05:56.920
人間の頭は、夜よりも朝の方が[br]優秀であるように思える。

0:05:56.920,0:06:00.486
昨晩、散々手こずった仕事が[br]一晩寝て、朝になって

0:06:00.486,0:06:03.445
もう一度やったら、嘘のように[br]片付いてしまった。

0:06:03.445,0:06:08.415
そんな経験は、ないだろうか？[br]実は、40歳ぐらいまで...私は夜型だったのだが

0:06:08.415,0:06:11.988
朝の効能に気づき始めてから[br]朝型に切り替えた。

0:06:11.988,0:06:16.647
若い時は、体力もあるのでムリも利くが[br]年齢と共にそれが、できなくなる。

0:06:16.647,0:06:20.431
つまり...人は、年齢と共に[br]自然に帰っていくのだ。

0:06:20.431,0:06:24.210
もちろん、極端な早起きは厳しいが[br]できれば、朝食の前には

0:06:24.210,0:06:26.746
なるべく沢山のことを[br]片付けておきたい。

0:06:26.746,0:06:28.815
その為には[br]どうすればいいのだろうか？

0:06:28.815,0:06:31.859
答えは、簡単だ。[br]朝食を抜いてしまえばいい。

0:06:31.859,0:06:36.589
そして、朝食と昼食を同時に取る。[br]所謂、ブランチにすればいいのだ。

0:06:36.589,0:06:41.627
腹が満たされた状態というのは[br]消化の為に血液が取られ、頭はボーッとする。

0:06:41.749,0:06:45.469
一方、空腹であれば[br]全てを忘れて仕事に没頭できる。

0:06:45.622,0:06:51.643
つまり、ブランチにしてしまえばランチタイムまで[br]集中して一気に、仕事を片付けることができる。

0:06:51.861,0:06:57.123
更にブランチの後に、一眠りしてしまい[br]３時頃起きれば、頭はスッキリ冴えわたり

0:06:57.123,0:07:00.663
今度は夕食までの時間を[br]有意義に使うことができる。

0:07:00.819,0:07:05.792
物を考えるという作業は、何時[br]如何なる時もすればいいと、いう訳ではない。

0:07:05.792,0:07:08.166
食後や体が疲れている時など

0:07:08.166,0:07:12.020
明らかに物事を考えるに[br]適していない、時間があることに

0:07:12.020,0:07:13.739
注意しなければならないのだ。

0:07:13.914,0:07:16.556
はい！ここで止めます。[br]つまり、人間には

0:07:16.556,0:07:20.122
思考に "適した時間” と[br]"適していない時間" があるので

0:07:20.122,0:07:23.752
それを理解した上で、一日を[br]過ごすべきだ、と言ってるわけです。

0:07:23.752,0:07:28.362
外山先生の場合は、朝食を抜くことで[br]意図的に思考に適した

0:07:28.362,0:07:31.074
集中できる時間を[br]増やす工夫をしているようです。

0:07:31.074,0:07:33.670
また、ブランチの後に[br]思いっきり昼寝をして

0:07:33.670,0:07:36.587
”第二の朝” をもう一度作って[br]更に、そこで

0:07:36.587,0:07:39.030
もうひと踏ん張りする、というのは[br]面白いですね。

0:07:39.030,0:07:43.203
工夫次第で一日に、ブースターを２カ所[br]設けると言うわけです。

0:07:43.703,0:07:46.000
では、続きを見ていきます。[br]２つ目のテーマは

0:07:46.000,0:07:49.425
［アイデアを生み出す時間の使い方］[br]についてです。

0:07:49.425,0:07:52.018
では、いきましょう。[br]外国の諺に

0:07:52.018,0:07:54.921
『見つめる鍋は煮えない』[br]というものがある。

0:07:54.921,0:07:59.459
要するに、まだか、まだかと[br]物事に注意を向けすぎるのではなく

0:07:59.459,0:08:01.924
しばらく、放っておきなさい！と[br]言っているのだ。

0:08:01.924,0:08:05.105
これは、人間の思考についても[br]同じことが言える。

0:08:05.105,0:08:09.540
考え詰め過ぎてしまっては[br]かえって問題の方が引っ込んでしまい

0:08:09.540,0:08:12.266
出るべきものも[br]結局、出なくなってしまう。

0:08:12.396,0:08:16.756
だから、一晩寝て時間を置いてから[br]鍋のフタを開けてやればいいのだ。

0:08:16.756,0:08:19.198
しかし、自分が考えてるテーマによっては

0:08:19.198,0:08:22.630
一晩では、まだまだ[br]短すぎるという場合がある。

0:08:22.630,0:08:27.501
大きな問題であればあるほど[br]寝かせる時間の長さが重要になって来るのだ。

0:08:27.754,0:08:30.779
逆に、直ぐ答えが出るような問題というのは

0:08:30.779,0:08:33.923
はじめから、大した問題では[br]なかったということだ。

0:08:33.926,0:08:37.372
本当の大問題は、じっくりと長い間

0:08:37.372,0:08:40.727
心の中で温めておかないと[br]形にならない。

0:08:40.727,0:08:45.620
思考の整理において、何が最も大切かと言えば[br]『寝させること』なのだ。

0:08:45.761,0:08:48.402
この世の中には[br]どんなに『努力』をしても

0:08:48.402,0:08:51.991
どんなに『意志』の力が強くても[br]できないことがある。

0:08:51.991,0:08:56.900
そういう時、唯一できる事があるとすれば[br]それは、時間をかけるしかない。

0:08:57.107,0:09:02.146
すると、時間が自然のうちに[br]意識を超えたところで、我々を導いてくれる。

0:09:02.146,0:09:06.042
つまり、『考えを生み出す』に当たって[br]関心を抱くべきは

0:09:06.042,0:09:07.859
『無意識の時間』なのである。

0:09:07.859,0:09:09.081
はい！ここで止めます。

0:09:09.081,0:09:12.994
思考の整理において、最も重要なことは[br]『寝させること』

0:09:12.994,0:09:15.996
つまり、時間を置くことだ、と[br]言っているわけです。

0:09:15.996,0:09:20.790
これは、以前紹介しました[br]『アイデアのつくり方』のプロセスと同じですね。

0:09:20.790,0:09:24.141
限界まで考えたら[br]後は放ったらかしにしておく。

0:09:24.141,0:09:27.434
『果報は寝て待て』と言うわけです。[br]因みに、余談ですが

0:09:27.434,0:09:32.210
私たち人間が、ボーっとしてるとき。[br]脳は、何も働いていないわけではなく

0:09:32.210,0:09:35.557
［デフォルト・モード・ネットワーク］[br]と呼ばれる神経活動が

0:09:35.557,0:09:38.619
活発に行われている[br]ということが分かっています。

0:09:38.868,0:09:42.813
具体的には、人間の脳に収められた[br]雑然とした情報類が

0:09:42.813,0:09:45.273
この働きによって整理されるのです。

0:09:45.273,0:09:50.034
...なので、外山先生が最後に[br]「無意識の時間を使いましょう」と言っていたのは

0:09:50.034,0:09:52.096
恐らく[br]デフォルト・モード・ネットワークという

0:09:52.096,0:09:56.511
人間に元々備わった、脳機能を[br]使うことを意味しているものと思われます。

0:09:57.005,0:09:59.269
では、次のテーマに移ります。[br]３つ目は...

0:09:59.269,0:10:02.012
［思考力を上げる忘却システム］[br]についてです。

0:10:02.012,0:10:04.066
では、行きましょう。[br]子供の頃から

0:10:04.066,0:10:07.458
「忘れてはいけない」[br]「ちゃんと覚えておきなさい」と

0:10:07.458,0:10:10.764
学校や親から[br]色んなことを教えられて来た。

0:10:10.764,0:10:14.206
「忘れてしまった」と言おうものなら[br]よく叱られたものだ。

0:10:14.206,0:10:19.844
しかし、私は...『忘れる』ということに対する[br]偏見を改めるべきだと思っている。

0:10:19.844,0:10:25.305
従来の教育では、頭の中に沢山の知識が[br]詰まっていることを”良し！” としてきた。

0:10:25.305,0:10:28.901
つまり、人間の頭を『倉庫』のような物として[br]見て来たのである。

0:10:29.050,0:10:31.182
人間の頭が[br]『倉庫』であるならば

0:10:31.182,0:10:34.022
”忘却” というのは[br]『在庫』が消えることを意味する。

0:10:34.022,0:10:38.310
従って、忘れることは怖いこと。[br]悪い事だと、教えられて来たのだ。

0:10:38.310,0:10:41.254
ところが、今やコンピューターが[br]『倉庫』の代わりとなり

0:10:41.254,0:10:44.420
人間は『創造性』を[br]求められるようになっている。

0:10:44.420,0:10:48.090
つまり、我々の頭は[br]『倉庫』の役割も一部で果たしつつ

0:10:48.090,0:10:51.507
新しいものを生み出すための[br]『工場』としての役割も

0:10:51.507,0:10:54.789
果たさなければならないのだ。[br]では、脳内工場の

0:10:54.789,0:10:57.874
作業効率を上げるには[br]どうすればよいのだろうか？

0:10:57.874,0:11:02.007
それは、普段から倉庫の中を[br]『整理』しておけば良いだけの話しだ。

0:11:02.007,0:11:06.409
余計なものを倉庫の中に極力入れず[br]必要なものを取り込み

0:11:06.542,0:11:08.913
そして、いつでも使えるように[br]『整理』しておく。

0:11:09.296,0:11:12.889
こういった、心掛けによって[br]頭の中に広いスペースを

0:11:12.889,0:11:14.813
常時、確保しておけばよいのだ。

0:11:14.813,0:11:19.180
頭の『倉庫』を整理するにあたって[br]何が大切か、と言えば『睡眠』だ。

0:11:19.180,0:11:23.557
人間には、『忘れるべきもの』と[br]『覚えておくべきもの』を振り分ける

0:11:23.557,0:11:26.144
『自然忘却』と呼ばれる[br]システムが備わっている。

0:11:26.144,0:11:28.934
つまり、『睡眠』がその役割を[br]果たしているのだ。

0:11:28.934,0:11:33.643
朝、目を覚ましたら、頭の中が綺麗さっぱり[br]整理されている経験があるだろう。

0:11:33.643,0:11:37.914
これこそ、神が人間に与えた[br]自然の『忘却作用』と言える。

0:11:37.914,0:11:40.012
ところが、現代人はどうだろうか。

0:11:40.012,0:11:44.415
最早、睡眠の『忘却作用』だけでは[br]処理しきれない状態にある、と言っていい。

0:11:44.415,0:11:50.160
それほどまでに、今の人は沢山の情報に触れ[br]そして、多忙の中に暮らしているのだ。

0:11:50.160,0:11:53.518
足の踏み場もないほど[br]頭の倉庫が散らかった状態で

0:11:53.518,0:11:55.140
新しいモノを生み出せと

0:11:55.140,0:11:58.575
『工場』としての機能まで求められたら[br]溜まったものじゃない。

0:11:58.575,0:12:01.766
だから、もし...あなたが[br]頭を働かせたいのであれば

0:12:01.766,0:12:06.378
自分にとって不必要なものを[br]どんどん忘れていかなければならないのだ。

0:12:06.378,0:12:09.191
はい！ここで止めます。[br]一般的に『睡眠』には

0:12:09.191,0:12:13.200
要らない記憶を『削除する』一方で[br]必要な記憶を『整理』し

0:12:13.200,0:12:16.617
それを固定する仕組みが[br]備わっている、と言われています。

0:12:16.617,0:12:21.180
ところが、多くの人は[br]睡眠の『忘却システム』が機能しないほどに

0:12:21.180,0:12:25.483
脳みそが『ビジー状態』にあると[br]外山先生は、指摘している訳です。

0:12:25.483,0:12:29.516
今から30年以上前の[br]スマホが存在しなかった時代でも

0:12:29.516,0:12:33.467
こんな話が出ている、ということは[br]現代人の頭の『倉庫』は

0:12:33.467,0:12:36.207
最早、カオス状態と言っても[br]いいかもしれません。

0:12:36.406,0:12:38.936
ですから、頭の『倉庫』に[br]"何を入れるのか"

0:12:38.936,0:12:41.826
"何を入れないのか" といった[br]基準を定めた上で

0:12:41.826,0:12:46.539
睡眠の『忘却システム』が正常に働くような[br]生活リズムを手に入れる。

0:12:46.539,0:12:50.919
これが、思考を十分に働かせる土壌作りとして[br]大事なんだ、というわけです。

0:12:51.577,0:12:53.826
では、次で最後です。[br]４つ目のテーマ。

0:12:53.826,0:12:57.188
［かかわってはいけないタイプの人］[br]について、見ていきましょう。

0:12:57.188,0:13:01.288
考えても、考えても解決の糸口や[br]アイデアが浮かばず

0:13:01.347,0:13:04.933
もうダメかもしれないと[br]思い詰めてしまうことがあるだろう。

0:13:05.305,0:13:08.394
しかし、そのような暗示を[br]自分に掛けてしまえば

0:13:08.394,0:13:10.481
出来るものも[br]出来なくなってしまう。

0:13:10.481,0:13:13.533
そんな時は、プラスに考え[br]「きっと、上手くいく！」

0:13:13.533,0:13:16.663
「私なら絶対にできる！」と[br]自分に語りかけ

0:13:16.663,0:13:19.581
行き詰った心に[br]風を入れてみてはどうだろう？

0:13:19.581,0:13:24.447
ただ、そうやってポジティブに思い込めば[br]十分かと言えば、勿論そうじゃない。

0:13:24.447,0:13:27.577
それに加えて、後２つのことを[br]意識すると良いだろう。

0:13:27.577,0:13:32.929
まず１つが...自分だけではなく[br]他人に対しても肯定的な態度を示すことだ。

0:13:32.929,0:13:37.356
どんなことであっても、探せば１つや２つ[br]良いとこくらいあるものだ。

0:13:37.356,0:13:40.590
それを見つけたら、ただそれを認め[br]賞賛してやればいい。

0:13:40.590,0:13:45.064
そして、もう１つが[br]自分を褒めてくれる人間と付き合うことだ。

0:13:45.064,0:13:48.211
逆に、どんなに鋭く[br]正しい批評ができても

0:13:48.211,0:13:53.206
人の良い所を何も見つけようとしない人間とは[br]距離を置いた方がいいだろう。

0:13:53.206,0:13:54.581
ただ、こんな事を言うと

0:13:54.581,0:13:56.984
「お世辞ばっかり聞いたって[br]しょうがないじゃないか！

0:13:56.984,0:13:59.287
もっと、現実を見るべきだ」[br]...といった

0:13:59.287,0:14:01.824
厳しい意見を[br]言いたくなる人もいるだろう。

0:14:01.824,0:14:04.895
しかし、そんな勇ましい理屈が通用するのは

0:14:04.895,0:14:07.613
超人的な[br]勇者の話ではないだろうか。

0:14:07.613,0:14:10.714
多くの人間は、例え[br]見え透いた言葉であっても

0:14:10.714,0:14:12.560
褒められれば、勇気づけられる。

0:14:12.560,0:14:15.074
お世辞だと分かっていても[br]気分が良くなる。

0:14:15.525,0:14:18.992
それが人情というものだろう。[br]だから、考えがまとまらない時...

0:14:18.992,0:14:23.688
なんて、私はダメな人間なんだ、と。[br]一人で自分を責める必要なんかない。

0:14:23.688,0:14:27.858
自分ならきっとできる！と信じ[br]「あなたならできる！」と言ってくれる人と

0:14:27.858,0:14:30.410
付き合えばいいのだ。[br]それによって、あなたの思考は

0:14:30.410,0:14:32.972
生き生きと活発に働き始めるだろう。

0:14:32.972,0:14:34.254
はい！ここで止めます。

0:14:34.333,0:14:39.401
『思考力』というのは、自分の努力だけではなく[br]実は、関わる人間によっても

0:14:39.401,0:14:43.488
左右されるのだ、という訳です。[br]確かに、酷い労務環境で

0:14:43.488,0:14:47.795
更に、毎日上司から貶されていたら頭が...[br]然、回らなくなってしまいます。

0:14:47.922,0:14:52.120
自分の思考を、のびのびと...[br]大空を翔るように、活性化させるには

0:14:52.120,0:14:56.088
ただ、自分のことを認めてくれる人。[br]肯定し、賞賛し...

0:14:56.088,0:15:00.006
自信を付けてくれる人。[br]そういう存在も大事なんじゃないでしょうか、と

0:15:00.006,0:15:03.676
言ってる訳です。さぁ、ココで４つ[br]全ての紹介が終わりました。

0:15:04.058,0:15:05.630
ここまで聞いて、いかがでしょうか？

0:15:05.793,0:15:10.547
恐らく『HOW TO』系に近い印象を持たれた方[br]決して、少なくないと思います。

0:15:10.547,0:15:13.926
ただ［思考の整理学］は[br]HOWTO本では、ありません。

0:15:13.926,0:15:17.821
勿論、HOWTOとして使えるものも[br]多くあったと思います。

0:15:17.821,0:15:21.226
それはそれで、ご参考いただく分には[br]何ら問題ございません。

0:15:21.226,0:15:24.055
ただ、本書は今[br]紹介させていただいたような

0:15:24.055,0:15:26.924
『思考』を整理するためのノウハウを

0:15:27.028,0:15:31.148
「よかったら、真似してみて下さいね」[br]という作品では、本来ないのです。

0:15:31.148,0:15:33.992
えっ！？どういうこと...？[br]そのように思われた方の為に

0:15:33.992,0:15:36.327
最後に、少しだけお話をさせてください。

0:15:36.394,0:15:39.701
さて、皆さん...冒頭の話し[br]覚えていますでしょうか？

0:15:39.963,0:15:41.897
本書は、自前のグライダーに

0:15:41.897,0:15:46.589
どうやったら『自由な思考』というエンジンを[br]取り付けられるのか

0:15:46.589,0:15:48.954
...という『問題提起』から始まりました。

0:15:48.993,0:15:54.783
...ということは、答えを教えるということを[br]本書のゴールとして設定してしまえば

0:15:54.783,0:15:58.676
グライダー人間養成学校と[br]何ら、変わらない訳です。

0:15:58.676,0:16:03.267
そこで、外山先生は、ご自身の経験。[br]そして、知識に基づき

0:16:03.415,0:16:07.912
「私は、こんな物の考え方をしています」[br]「そして、こんな工夫をしています」と

0:16:08.079,0:16:11.550
本書で披露しました。その上で[br]「あなたは、どうされているんですか？」と

0:16:11.550,0:16:13.304
読者に問いを投げているんです。

0:16:13.314,0:16:17.249
例えば、朝食を抜いて[br]ブランチにするといい、みたいな

0:16:17.249,0:16:19.696
話しがありましたけれど[br]これは、あくまで

0:16:19.696,0:16:23.838
外山先生の理屈に基づいた[br]個人的な正解なんです。

0:16:23.838,0:16:28.287
中には、この話を聞いて[br]”私は朝ご飯を絶対に抜かない！”

0:16:28.287,0:16:32.691
それが、私の正解です！[br]...という方も、多くいらっしゃったはずです。

0:16:32.755,0:16:37.482
じゃあ...その、あなたの『正解』はどうやって[br]導き出されたものなのですか。

0:16:37.585,0:16:40.556
何となくでしょうか？[br]それとも、ご自身の経験や

0:16:40.556,0:16:45.580
何らかの考えに基づいているものなのでしょうか？[br]...というように、ごくごく普通の日常から

0:16:45.689,0:16:48.655
読者に対して、思考の[br]『題材』を与えているんです。

0:16:48.765,0:16:52.054
なぜ、こういった題材が[br]与えられているのか、と言えば

0:16:52.054,0:16:56.751
自分以外の誰かの物事の考え方。[br]見方に触れることで

0:16:56.751,0:17:00.967
普段、自分はどれぐらい思考しているのか。[br]或るいは、どういった

0:17:00.967,0:17:06.170
物の考え方をする人間なのか[br]と、いったことに気付きやすくなるんです。

0:17:06.170,0:17:10.668
そうして、こういった経験を通して[br]『考える』という行為そのものの

0:17:10.668,0:17:12.738
『楽しさ』に気づいて欲しい。

0:17:12.738,0:17:15.300
大空を自由に駆け巡る[br]飛行機のように

0:17:15.300,0:17:18.987
自由で、贅沢な活動であることを[br]知って欲しい。

0:17:19.126,0:17:23.231
本書には、そういった願いが込められているんです。[br]つまり、『グライダー人間』に

0:17:23.231,0:17:27.441
どうしたらエンジンを取付けることができるのか。[br]という、問いに対し

0:17:27.441,0:17:31.829
外山先生の出した答えの一つは[br]考えることの『楽しさ』に

0:17:31.829,0:17:35.779
気付いてもらう事だった、という訳です。[br]...ですから、ご本人にとしては

0:17:35.779,0:17:39.685
思考の技術について[br]初めから教えるつもりなんか、なかったんです。

0:17:39.685,0:17:43.042
こういった、親心が[br]内に秘められている作品だからこそ

0:17:43.042,0:17:47.850
本書は、30年以上も多くの世代の読者に[br]愛されて来たのかもしれません。

0:17:47.922,0:17:52.701
もし、まだ読んだことがないという方は[br]是非、一度手に取ってみてはいかがでしょうか。

0:17:53.414,0:17:56.021
...というわけで、［思考の整理学］[br]以上でございます。

0:17:56.021,0:17:57.351
いかがでしたでしょうか。

0:17:57.351,0:18:00.646
勿論、HOWTO系の本としても[br]十分使えるんですが

0:18:00.646,0:18:05.549
実は、そうではないという面白いコンセプトの[br]作品なので今回、取り上げてみました。

0:18:05.549,0:18:08.622
また、最近はやっていないんですけれども[br]久々に ”『哲学』を

0:18:08.622,0:18:11.992
やりたいなぁ" と思っておりまして[br]その、複線的な意味合いもあって

0:18:11.992,0:18:15.568
今回のチョイスをしております。[br]どうぞ、これからも楽しみにしていてください。

0:18:15.652,0:18:19.913
また、コミュニティでもお伝えしましたが[br]お蔭さまで［OUTPUT読書術］が

0:18:19.913,0:18:25.059
昨日、1月22日に発売となり[br]更に、即日重版も決まりました。

0:18:25.059,0:18:28.037
改めまして、皆さま[br]本当にありがとうございます。

0:18:28.185,0:18:31.769
実は、発売前日の夜[br]”何かトラブルが起きるんじゃないか” と

0:18:31.769,0:18:34.579
不安で寝れないくらい[br]心が張り詰めておりました。

0:18:34.579,0:18:37.156
そんな中、皆さまから[br]「本が届きました」

0:18:37.156,0:18:39.511
「これから読みます」といった[br]ご報告ですとか。

0:18:39.511,0:18:41.720
「面白かったです」といった[br]メッセージをいただき

0:18:41.720,0:18:45.030
本当に勇気づけられました。[br]心から感謝しております。

0:18:45.030,0:18:50.111
お読みいただいた方は、ご無理のない範囲で[br]AmazonレビューやSNS、ブログなどで

0:18:50.186,0:18:53.871
ご感想をアウトプットしていただけますと[br]大変、嬉しいです。

0:18:53.871,0:18:57.048
それを励みに[br]今後の配信活動の活力にして

0:18:57.048,0:18:59.978
より良いものを皆様に[br]お届けして参りたい、と思っております。

0:18:59.984,0:19:01.863
どうぞ、これからも[br]よろしくお願い致します。

0:19:01.863,0:19:04.648
この動画が面白かった[br]参考になったという方は

0:19:04.648,0:19:07.280
高評価・コメントなど[br]いただけますと嬉しいです。

0:19:07.324,0:19:09.566
また、チャンネル登録も[br]よろしくお願い致します。

0:19:09.566,0:19:11.674
ではまた、次の動画で[br]お会いいたしましょう。

0:19:11.674,0:19:12.621
ありがとうございました。