1 00:00:15,037 --> 00:00:17,677 「ボストン茶会事件」 聞いたことがありますね 2 00:00:17,677 --> 00:00:19,466 ネイティブアメリカンに扮した 3 00:00:19,466 --> 00:00:21,058 怒り狂う大勢のアメリカ入植者が 4 00:00:21,058 --> 00:00:23,148 紅茶箱を海に投げ捨てた事件です 5 00:00:23,148 --> 00:00:24,842 ただ 事情はもっと複雑で 6 00:00:24,842 --> 00:00:26,207 大英帝国の陰謀や 7 00:00:26,207 --> 00:00:27,480 ある会社の危機に 8 00:00:27,480 --> 00:00:28,190 密輸 そして 9 00:00:28,190 --> 00:00:31,752 アメリカ独立革命の発端などが 絡み合っています 10 00:00:31,752 --> 00:00:34,669 まず知っておくべきは 18世紀の紅茶事情です 11 00:00:34,669 --> 00:00:36,742 当時 紅茶は 本当に本当に人気でした 12 00:00:36,742 --> 00:00:38,759 イギリスでの紅茶の消費量は 1人あたり 13 00:00:38,759 --> 00:00:42,032 1年にカップ300杯相当に 達していました 14 00:00:42,032 --> 00:00:44,661 そして イギリスの植民地となった アメリカでも 15 00:00:44,661 --> 00:00:47,411 紅茶は大変な人気でした 16 00:00:47,411 --> 00:00:48,803 1760年代までの 17 00:00:48,803 --> 00:00:51,289 年間消費量は450トンを 越えていました 18 00:00:51,289 --> 00:00:53,375 ですから イギリス側の アメリカでの茶税の引き上げには 19 00:00:53,375 --> 00:00:54,534 ですから イギリス側の アメリカでの茶税の引き上げには 20 00:00:54,534 --> 00:00:55,726 人々は不満を感じました 21 00:00:55,726 --> 00:00:58,088 ロンドンで一方的に下される 税に関する決定への 22 00:00:58,088 --> 00:00:59,547 発言権がなかったためです 23 00:00:59,547 --> 00:01:00,610 あの有名なフレーズがありましたね 24 00:01:00,610 --> 00:01:02,628 「代表なくして課税なし」 25 00:01:02,628 --> 00:01:04,600 アメリカの入植者たちは 代表も立てていない 26 00:01:04,600 --> 00:01:07,566 英国議会が決めた課税の 対象などにはならないと 27 00:01:07,566 --> 00:01:09,684 長いこと信じていました 28 00:01:09,684 --> 00:01:11,352 実際には税を納めずに 29 00:01:11,352 --> 00:01:13,695 単に税務署の目を 逃れただけですけどね 30 00:01:13,695 --> 00:01:16,775 アメリカの東海岸は 何百キロにも渡っていることや 31 00:01:16,775 --> 00:01:18,595 帝国側の徴税が 徹底されていなかったりで 32 00:01:18,595 --> 00:01:20,779 アメリカで飲まれた紅茶の3/4は 33 00:01:20,779 --> 00:01:23,198 密輸もので 大抵 オランダからのものです 34 00:01:23,198 --> 00:01:24,826 しかし 帝国側は 議会が入植者に対しても 35 00:01:24,826 --> 00:01:27,120 税を課す権限があると言い張ります 36 00:01:27,120 --> 00:01:29,161 特に 当時はフランスと 七年戦争を闘った後で 37 00:01:29,161 --> 00:01:31,421 深刻な負債を抱えていました 38 00:01:31,421 --> 00:01:32,375 さて この予算埋め合わせのため 39 00:01:32,375 --> 00:01:33,792 ロンドンは アメリカに目を向けたのです 40 00:01:33,792 --> 00:01:37,964 1767年には様々な輸入品に 新税が課され 41 00:01:37,964 --> 00:01:40,513 アメリカ人が愛する紅茶も この対象でした 42 00:01:40,513 --> 00:01:42,223 アメリカ側の反応は 「結構です!」 43 00:01:42,223 --> 00:01:44,219 彼らはイギリスからの 紅茶輸入をボイコットして 44 00:01:44,219 --> 00:01:45,972 自分らの茶を沸かし始めます 45 00:01:45,972 --> 00:01:48,521 イギリスの新しい税関長たちが 徴税を徹底させるべく 46 00:01:48,521 --> 00:01:51,210 ロンドンからの派兵を呼びかけた際 47 00:01:51,210 --> 00:01:52,416 市民は反発を強め 48 00:01:52,416 --> 00:01:54,674 ボストンにいた暴徒に英国兵が発砲し 49 00:01:54,674 --> 00:01:55,957 数名の死者を出します 50 00:01:55,957 --> 00:01:58,408 この事件は後に ボストン虐殺事件と呼ばれます 51 00:01:58,408 --> 00:02:00,651 英国議会は 1773年に茶法を制定することで 52 00:02:00,651 --> 00:02:02,905 新たな戦略を企てます 53 00:02:02,905 --> 00:02:05,241 東インド会社が在庫の茶を 54 00:02:05,241 --> 00:02:08,776 自らが選んだ業者を通して 売ることになりました 55 00:02:08,776 --> 00:02:10,238 これにより販売価格が下がり 56 00:02:10,238 --> 00:02:12,855 イギリスの紅茶の競争力が増し 57 00:02:12,855 --> 00:02:14,783 更に税もキープできる という仕組みです 58 00:02:14,783 --> 00:02:16,365 しかし 入植者はこの陰謀を見破り 59 00:02:16,365 --> 00:02:18,272 「市場独占だ!」声を上げます 60 00:02:18,272 --> 00:02:21,664 さて時は冷たい雨の降る 1773年12月16日 61 00:02:21,664 --> 00:02:23,757 およそ5千のボストン市民が 62 00:02:23,757 --> 00:02:25,426 オールド・サウス集会場に 集まりました 63 00:02:25,426 --> 00:02:27,262 港に着いたばかりの紅茶が 64 00:02:27,262 --> 00:02:28,736 販売の為に荷下ろしされるのかを 確かめに来たのです 65 00:02:28,736 --> 00:02:30,431 販売の為に荷下ろしされるのかを 確かめに来たのです 66 00:02:30,431 --> 00:02:32,099 船長の一人が貨物を乗せたままでは 67 00:02:32,099 --> 00:02:34,344 出航できないと報告をした その時 68 00:02:34,344 --> 00:02:35,821 サミュエル・アダムズが叫びます 69 00:02:35,821 --> 00:02:38,899 「こんな集会では この国を救えん!」 70 00:02:38,899 --> 00:02:41,566 「今夜 ボストン港をティーポットに!」 71 00:02:41,566 --> 00:02:42,916 群衆から飛び出してきた 72 00:02:42,916 --> 00:02:43,892 およそ50人の男どもの中には 73 00:02:43,892 --> 00:02:45,989 ネイティブアメリカンに 扮したものもいて 74 00:02:45,989 --> 00:02:47,818 グリフィン埠頭に詰め寄り 75 00:02:47,818 --> 00:02:49,485 3隻の船に駆け上がり 76 00:02:49,485 --> 00:02:52,690 340もの茶箱を海に投げ捨てました 77 00:02:52,690 --> 00:02:54,537 これに激怒した イギリス政府は 78 00:02:54,537 --> 00:02:57,461 翌年 耐え難き諸法の制定で 報復します 79 00:02:57,461 --> 00:02:59,423 とりわけ 80 00:02:59,423 --> 00:03:02,155 東インド会社が地元住民から 破棄された茶の弁償を受けるまで 81 00:03:02,155 --> 00:03:04,102 ボストン港は 封鎖するというものでした 82 00:03:04,102 --> 00:03:05,093 そんなことは 起こりませんでしたけどね 83 00:03:05,093 --> 00:03:06,686 入植者の代表団体が 84 00:03:06,686 --> 00:03:08,310 フィラデルフィアに集まり 検討会を開きます 85 00:03:08,310 --> 00:03:11,666 止まないイギリスからの圧力には どう応じるのがベストだろうか? 86 00:03:11,666 --> 00:03:14,830 この第一回大陸会議は ボストン茶会事件を支持して 87 00:03:14,830 --> 00:03:17,248 ボイコットを継続することを誓いました 88 00:03:17,248 --> 00:03:20,023 1774年10月末 各地へと戻った 入植者たちは 89 00:03:20,023 --> 00:03:22,274 彼らの権利と自由を守る為の 90 00:03:22,274 --> 00:03:24,389 団結力と決意を更に強くしたのです 91 00:03:24,389 --> 00:03:26,814 ボストン茶会事件を皮切りに 92 00:03:26,814 --> 00:03:28,210 歴史の連鎖反応が生まれ 93 00:03:28,225 --> 00:03:29,696 アメリカ独立宣言の公布 94 00:03:29,696 --> 00:03:30,995 そして血にまみれた革命が起こります 95 00:03:30,995 --> 00:03:33,762 その後 アメリカ人も 平和に そして自由に 96 00:03:33,762 --> 00:03:35,958 お茶を飲めるようになりました