WEBVTT

00:00:00.810 --> 00:00:04.806
極端な気候変動が現実に起きたら
世界はどうなるでしょう？

00:00:04.830 --> 00:00:06.366
ひとつ例を挙げましょう

00:00:06.390 --> 00:00:09.546
温度が今より３℃上昇するようなことになれば

00:00:09.570 --> 00:00:12.556
人口２千４百万人の都市である中国の上海は

00:00:12.580 --> 00:00:14.371
地図から姿を消すでしょう

00:00:14.395 --> 00:00:17.280
上昇した海面下に姿を消すおそれがあるのは

00:00:17.280 --> 00:00:19.166
沿岸都市だけではありません

NOTE Paragraph

00:00:19.190 --> 00:00:22.796
2019年は世界の記録史上で
２番目に暑くなりました

00:00:22.820 --> 00:00:24.305
世界中の都市が

00:00:24.329 --> 00:00:26.666
記録的な酷暑の夏を経験しました

00:00:26.690 --> 00:00:30.036
2019年6月 インドのチュル県で

00:00:30.060 --> 00:00:32.686
49℃を超え

00:00:32.710 --> 00:00:34.966
政府が市民に警報を発令し
熱中症を避けるために

00:00:34.990 --> 00:00:39.257
コーヒー、紅茶、アルコールを
飲まないようにと呼びかけるほどでした

00:00:39.797 --> 00:00:44.486
今や 気候変動に起因する 熱波は
年々過酷さを増し日常となりつつあり

00:00:44.510 --> 00:00:49.016
感染症全体と同程度の死亡率を
引き起こすと推測されています

NOTE Paragraph

00:00:49.040 --> 00:00:50.238
この地図は

00:00:50.238 --> 00:00:53.412
温暖化が中程度の速さで進んだ場合の

00:00:53.412 --> 00:00:57.217
熱波が悪化し拡大する様子を示しています

00:00:57.241 --> 00:00:58.525
2050年までに

00:00:58.525 --> 00:01:02.660
夏季の最高気温35℃は

00:01:02.684 --> 00:01:05.271
1,000近い都市で 「新たな日常」となり

00:01:05.295 --> 00:01:09.253
今現在の３倍の都市が
酷暑を経験するでしょう

NOTE Paragraph

00:01:09.277 --> 00:01:10.367
しかし皮肉なことに

00:01:10.367 --> 00:01:14.506
都市は気候変動の影響を受けるだけでなく
気候変動の原因となっています

00:01:14.530 --> 00:01:18.656
都市は 世界のエネルギー資源の
６〜８割を消費し

00:01:18.680 --> 00:01:23.186
世界中のCO2排出量の
約７割を排出しています

00:01:23.210 --> 00:01:24.906
この地図で分かるように

00:01:24.930 --> 00:01:26.635
薄い青と黄色の地域は

00:01:26.659 --> 00:01:30.406
化石燃料のCO2排出量が最も多い地域であり

00:01:30.430 --> 00:01:33.490
中核都市の中心地域にも相当します

00:01:33.952 --> 00:01:36.016
都市におけるエネルギー消費に加えて

00:01:36.040 --> 00:01:39.957
都市部の増加によって 地球表面の緑地は
ビルやアスファルトで覆われ

00:01:39.981 --> 00:01:45.010
以前あった草原や森林よりも多く
太陽からの熱を吸収するようになり

00:01:45.010 --> 00:01:48.186
そのため 都市部は周辺よりも暑くなります

00:01:48.210 --> 00:01:51.020
「都市のヒートアイランド効果」
と呼ばれる現象です

NOTE Paragraph

00:01:51.044 --> 00:01:52.966
ここシンガポールでは 市街地近郊は

00:01:52.966 --> 00:01:59.346
昔ここにあった雨林よりも
気温が７℃も上がることがあります

00:01:59.370 --> 00:02:02.476
都市は気候変動の原因である一方で

00:02:02.500 --> 00:02:06.686
炭素排出量の低下の道を築くための
立役者でもあります

00:02:06.710 --> 00:02:10.316
ニューヨーク市や東京などの
人口過密都市では

00:02:10.340 --> 00:02:11.676
平均的な住民が

00:02:11.700 --> 00:02:15.636
１人あたり２トン以上の
CO2を排出しています

00:02:15.660 --> 00:02:20.966
これは アメリカにおける１人乗りの自動車の
年間排出量よりは少ないです

NOTE Paragraph

00:02:20.990 --> 00:02:24.069
気候変動への取り組みは
世界中の都市で強化され

00:02:24.093 --> 00:02:28.246
中には国の規制を上回る野心的な
政策を講じる都市も多くあります

00:02:28.270 --> 00:02:30.116
例えば コペンハーゲンは

00:02:30.140 --> 00:02:33.308
2025年までのカーボンニュートラル
（CO2排出実質ゼロ）に取り組んでいて

00:02:33.332 --> 00:02:37.661
スコットランドのグラスゴーも
2030年までの達成を計画しています

00:02:37.685 --> 00:02:41.149
今日 世界中の１万以上の都市が

00:02:41.173 --> 00:02:43.951
それぞれ 気候変動に対して
高い志で取り組んでおり

00:02:43.975 --> 00:02:46.346
その計画の中には 排出削減目標や

00:02:46.370 --> 00:02:48.976
クリーンエネルギーや
サステイナブルな輸送計画があり

00:02:49.000 --> 00:02:51.146
さらに エネルギー効率政策は

00:02:51.170 --> 00:02:55.436
人と都市と経済を守りつつ
エネルギーと排出量の削減を目指すものです

NOTE Paragraph

00:02:55.760 --> 00:02:58.696
最近の分析によると 6,000の都市が

00:02:58.720 --> 00:03:00.586
地域や企業との協働で

00:03:00.610 --> 00:03:04.226
世界規模で気候イニシアチブに
取りかかっていて

00:03:04.250 --> 00:03:08.376
２Gトン相当のCO2排出量削減を
2030年までに達成しようとしています

00:03:08.400 --> 00:03:11.986
これは 各国政府が誓約した
世界年間総排出の目標量から

00:03:12.010 --> 00:03:14.296
さらに約４％の削減になります

00:03:14.320 --> 00:03:15.766
これは 手始めに過ぎません

00:03:15.790 --> 00:03:16.986
想像してください

00:03:16.986 --> 00:03:20.816
２万の都市が 一丸となって気候変動の抑制に
取り組んだらどうなるでしょうか？

NOTE Paragraph

00:03:20.840 --> 00:03:24.266
都市による気候対策の可能性は
前途有望そうに聞こえますが

00:03:24.290 --> 00:03:26.006
各都市は確実に

00:03:26.030 --> 00:03:28.976
先に述べた政策を適正に公平に
施行しなければなりません

00:03:29.000 --> 00:03:30.256
調査によって示されたのは

00:03:30.256 --> 00:03:32.903
自分が都市のどこに住んでいるか
自分の収入や人種など —

00:03:32.927 --> 00:03:34.456
こういった要素によって

00:03:34.456 --> 00:03:38.509
エコな空間や輸送といった 環境面の恩恵や

00:03:38.533 --> 00:03:41.604
大気汚染や気候変動といった
環境負荷の度合いが

00:03:41.628 --> 00:03:43.576
左右される可能性があるということです

NOTE Paragraph

00:03:43.600 --> 00:03:45.804
こういった格差は地域ごとに見られ

00:03:45.828 --> 00:03:49.041
特に このようにロサンジェルスの
画像を並べて比べると明確です

00:03:49.065 --> 00:03:52.216
左側は収入で 右側は緑被率です

00:03:52.240 --> 00:03:53.673
緑色が一番濃い地域は

00:03:53.673 --> 00:03:57.746
１人あたりの平均年収が 
10万米ドル以上の地域で

00:03:57.770 --> 00:04:00.416
70％以上が緑に覆われています

00:04:00.440 --> 00:04:02.876
地図の下の部分の 水色の地域では

00:04:02.900 --> 00:04:04.916
１人あたりの年収が３分の１で

00:04:04.940 --> 00:04:07.156
緑被率も５％以下しかありません

00:04:07.180 --> 00:04:09.250
70％に対して ５％です

NOTE Paragraph

00:04:09.660 --> 00:04:11.996
この格差がもたらす影響は深刻です

00:04:12.020 --> 00:04:15.836
緑地は多くの場合 公共の空間であり

00:04:15.959 --> 00:04:17.936
社会的・経済的な豊さとの
関連性も知られています

00:04:17.960 --> 00:04:21.246
犯罪を減らし 社会的な一体性を育む
効果もあります

00:04:21.270 --> 00:04:24.366
また 樹木は有害な空気汚染の浄化にも役立ち

00:04:24.390 --> 00:04:26.706
気化冷却が起きるうえ 日陰もできて

00:04:26.730 --> 00:04:29.256
猛暑を和らげます

00:04:29.280 --> 00:04:31.287
したがって 貧困地域は

00:04:31.311 --> 00:04:34.036
緑地へのアクセスという点で
より不利な立場にあるだけでなく

00:04:34.060 --> 00:04:37.313
空気汚染や気候変動に対して
より脆弱な立場に置かれていることになります

NOTE Paragraph

00:04:37.337 --> 00:04:39.920
ヒートアイランド現象においては

00:04:39.944 --> 00:04:41.966
人種ごとの格差が特に顕著です

00:04:41.990 --> 00:04:46.776
私たちの最近の調査によると
米国の主要都市部の97％において

00:04:46.800 --> 00:04:48.856
黒人及び有色人種の人々は

00:04:48.856 --> 00:04:54.562
白人よりもまるまる１℃高い都市熱に
さらされています

00:04:54.586 --> 00:04:57.887
サウスカロライナ州にある
私の故郷のグリーンヴィルの地図を見ると

00:04:57.911 --> 00:05:00.996
名前と違って 誰がみても
グリーンとは程遠いです

00:05:01.020 --> 00:05:04.326
この行政区内で最も暑い地区は
赤で表示されていますが

00:05:04.350 --> 00:05:08.485
黒人率と貧困率が最も高い地区にあたります

00:05:08.509 --> 00:05:10.005
類似のパターンが

00:05:10.005 --> 00:05:12.696
全米の都市に見られます

NOTE Paragraph

00:05:12.720 --> 00:05:14.286
この不平等に対処するため

00:05:14.310 --> 00:05:17.256
様々な都市で 戦略を練り
計画を立て始め

00:05:17.280 --> 00:05:19.706
全市民が等しく 確実に気候の恩恵を

00:05:19.730 --> 00:05:22.536
受けられるようになることを目指しています

00:05:22.560 --> 00:05:26.056
例えば コロンビアの首都ボゴタには

00:05:26.080 --> 00:05:27.506
ラテンアメリカで最大の

00:05:27.506 --> 00:05:30.171
自転車のネットワークの１つがあり

00:05:30.195 --> 00:05:33.728
人々を 仕事や教育センター

00:05:33.752 --> 00:05:36.011
レクリエーションの機会へとつないでいます

00:05:36.035 --> 00:05:41.622
「自転車ハイウェイ構想」が実現すれば
一日当り のべ42,000回の自転車移動で

00:05:41.646 --> 00:05:46.366
270,000トンの温室効果ガス排出量を
回避できる可能性があります

00:05:46.390 --> 00:05:50.194
アフリカでは多くの都市で
電気の普遍的アクセスがありません

00:05:50.194 --> 00:05:53.860
そこではミニグリッドが約7300万世帯に

00:05:53.860 --> 00:05:55.424
クリーンな電力を供給しています

00:05:55.424 --> 00:05:57.223
これらの例から分かるように

00:05:57.223 --> 00:05:59.917
気候変動の取り組みは
都市から始めねばなりません

00:05:59.917 --> 00:06:02.860
多くの都市はこれまでの気候変動の
筋書きを変え始めており

00:06:02.860 --> 00:06:05.770
問題の原因であることをやめ
解決策としての一翼を担い

00:06:05.770 --> 00:06:08.517
より公正で持続可能な世界のために

00:06:08.517 --> 00:06:11.441
私たちが必要とする
革新的な解決策をもたらしているのです

00:06:11.441 --> 00:06:14.204
ありがとうございました