WEBVTT 00:00:01.199 --> 00:00:06.569 マーク・ブラウンのGame Maker's Toolkitへようこそ ゲームデザインについてのシリーズだ 00:00:06.569 --> 00:00:09.620 バイオハザード4はある点で非常に優れている 00:00:09.620 --> 00:00:13.340 いや、それどころじゃない このゲームは名作だ 00:00:13.340 --> 00:00:18.840 でも今回話したいのは、プレイヤーの腕に合わせて このゲームが難易度を変化させていることだ 00:00:18.840 --> 00:00:22.980 攻撃を避ける、正確に撃つといったことで 上手にプレイすれば、難易度は上昇し 00:00:22.980 --> 00:00:26.820 敵の攻撃力が上がり、より攻撃的になる 00:00:26.820 --> 00:00:29.360 でもプレイヤーが下手で死にまくったり 00:00:29.360 --> 00:00:33.160 ダメージを受け続けたりしていると 難易度が下がって、ガナードの耐久力は減り 00:00:33.160 --> 00:00:36.350 攻撃してくるまでの時間が長くなる 00:00:36.350 --> 00:00:41.440 また、木箱や樽の中身も プレイヤーが上手いほどショボくなる 00:00:41.440 --> 00:00:46.600 さらに、あまりに苦戦していると 敵が消滅することさえある 00:00:46.600 --> 00:00:50.100 ここで僕は快調に飛ばしている 00:00:50.100 --> 00:00:55.570 …で、難所で有名な「水の間」に入ると 邪教徒9人に待ち伏せされる 00:00:55.570 --> 00:00:59.069 地上に7人、上階に2人のクロスボウ狙撃手だ 00:00:59.069 --> 00:01:01.069 ここで何回か死んでみると 00:01:01.080 --> 00:01:05.600 狙撃手は突然いなくなり、少し楽になる 00:01:10.280 --> 00:01:14.900 バイオ4はプレイヤーの技量に合わせて 調子を変化させているため 00:01:14.900 --> 00:01:17.700 難易度が特定のゾーンに入りやすくなっている 00:01:17.700 --> 00:01:20.580 心理学者やゲームデザイナーの 用語で言う「フロー」だ 00:01:20.580 --> 00:01:24.020 これは簡単すぎて飽きる難易度と 難し過ぎてストレスが溜まる難易度との 00:01:24.020 --> 00:01:25.729 中間に位置するものだ 00:01:25.729 --> 00:01:30.279 一本道のゲームの多くは 難易度を段階的に上昇させることで 00:01:30.279 --> 00:01:34.779 フローの状態を保とうとするが 全てのゲーマーには対応できない 00:01:34.780 --> 00:01:40.420 それに最初の難易度設定を間違えると それだけで楽しめなくなってしまうかもしれない 00:01:40.480 --> 00:01:44.660 可変性の難易度はそこが利点だ 常に軌道を修正して 00:01:44.679 --> 00:01:48.749 プレイヤーを難関に挑ませつつも 圧倒してしまわないようにできる 00:01:48.749 --> 00:01:53.900 同じところで詰まることを防ぎ かつ余裕で抜けさせないようにできる 00:01:54.000 --> 00:01:58.469 しかし、これはバイオ4の可変式難易度調整の 一番見事な点ではない 00:01:58.469 --> 00:02:02.520 最も見事なのは、今この動画を見ている ゲーマーの多くが 00:02:02.520 --> 00:02:05.720 「マジか、そんなの知らなかった!」 と思っていることだ 00:02:05.720 --> 00:02:11.730 そこが狙いなのかもしれない カプコンはこの要素を公式には説明していない 00:02:11.730 --> 00:02:15.569 メニューのオプションにはないし 説明書にも載っていない 00:02:15.569 --> 00:02:19.799 CM動画にも、プレスリリースにもない 三上真司は後にこのシステムを使って 00:02:19.800 --> 00:02:25.740 PS2の神ゲー、ゴッドハンドを作るが 彼はインタビューでこの要素に言及していない 00:02:25.740 --> 00:02:31.180 シリーズファンの経験以外に この要素が存在することを証明する唯一の資料は 00:02:31.180 --> 00:02:35.680 ゲームより一年も後に発売された、公式攻略本だ 00:02:35.680 --> 00:02:39.959 苦戦していると手を差し伸べてくる ゲームはいくつかある 00:02:39.960 --> 00:02:44.800 例えばドンキーコングリターンズのスーパーコングだ ミスし過ぎると、勝手にステージをクリアしてくれる 00:02:44.860 --> 00:02:49.120 でもハードコアなプレイヤーの多くにとって 手助けを受けるのはプライドが傷つく 00:02:49.120 --> 00:02:53.900 ストレスが溜まっても、通してもらうくらいなら 自分で頑張った方がマシなのだ 00:02:54.080 --> 00:02:58.680 難易度を下げるとゲームに馬鹿にされる となればなおさらだ 00:02:58.689 --> 00:03:02.750 近日発売のメタルギアソリッド5では チキンキャップを装備する選択肢があるが 00:03:02.750 --> 00:03:07.269 難易度は下がるが、スネークの見た目が 完全にアホの子になってしまう 00:03:07.269 --> 00:03:11.909 しかし効果を控えめにして ダークサイド・クロニクルズのように 00:03:11.909 --> 00:03:17.560 大々的に宣伝しないことで バイオ4は可変式難易度を最大限に活かしつつ 00:03:17.560 --> 00:03:20.909 プレイヤーに嫌な思いをさせずにすんでいる 00:03:20.909 --> 00:03:26.010 それに、プレイヤーが知らなければ わざと死んだりダメージを受けたりして 00:03:26.010 --> 00:03:30.520 難易度を落とす戦法も使わないだろう もっともこれはタイムアタックでは利用されている 00:03:30.560 --> 00:03:36.320 これはトップレベルのバイオ4TAプレイヤー スキーリフトでダメージを受けている 00:03:36.320 --> 00:03:42.020 またわざとQTEに失敗して難易度を下げ 一部の区間を突破しやすくしている 00:03:42.260 --> 00:03:47.220 もちろん、バイオ4が可変式難易度を 発明したわけじゃない 00:03:47.230 --> 00:03:51.790 ザナックやゼビウスといったファミコンやアーケードの STGは80年代からやっている 00:03:51.790 --> 00:03:57.280 またRemedyはマックスペインで カプコンより数年早く、TPSにこれを適用した 00:03:57.320 --> 00:04:03.249 Left 4 Deadは可変式難易度を見事に利用して ドラマチックな緊張感を生み出している 00:04:03.249 --> 00:04:05.879 これについてValveのガータム・ババーは こう言っている 00:04:05.879 --> 00:04:11.159 「私たちが作ったシステムは、『どれくらい ダメージを受けているか』とか」 00:04:11.159 --> 00:04:15.790 「『付近のゾンビをどれだけ倒したか』などの イベントで、各生存者のストレスを測っています」 00:04:15.790 --> 00:04:20.610 「生存者のストレスが高くなると システムが介入し、ゾンビの数を」 00:04:20.610 --> 00:04:26.310 「強制的に減らして、チームが 一息つけるようにします」 00:04:26.310 --> 00:04:30.410 新・光神話 パルテナの鏡や スマッシュブラザーズでは 00:04:30.410 --> 00:04:35.500 挑戦するステージの難易度レベルに 賭け金を払うという面白いシステムを使っている 00:04:35.500 --> 00:04:39.600 成功すれば報酬を得るが、失敗すれば 損をした上で低い難易度に 00:04:39.600 --> 00:04:43.280 戻され、クリアするまでそのままだ 00:04:43.280 --> 00:04:47.880 心理学の用語をタイトルにしたFlowは 手動で難易度を変えることができる 00:04:47.880 --> 00:04:52.419 自分の好きなタイミングで、赤い生物を食べれば より深い水中に行けるし 00:04:52.419 --> 00:04:55.857 安全な場所に戻りたければ青い生物を 食べればいい 00:04:55.860 --> 00:04:59.580 RPGのレベル上げをするかどうか 選べるみたいなものだ 00:04:59.680 --> 00:05:04.600 だが、可変式難易度を持つゲームの数は少ない 00:05:04.600 --> 00:05:09.700 その大部分はSiN Episodesの 「パーソナル・チャレンジ」システムのように 00:05:09.700 --> 00:05:12.580 あからさまに宣伝している 00:05:12.580 --> 00:05:16.240 でも僕が思うに、ゲームデザイナーは この要素をあまり口に出さない方がいい 00:05:16.240 --> 00:05:19.370 メディアで宣伝したり、ブログに書いたりしないで 秘密にしておくんだ 00:05:19.370 --> 00:05:23.080 プレイヤーには可変難易度の恩恵を きちんと受けさせて 00:05:23.080 --> 00:05:27.820 腕前に合ったペースで進んでもらい 退屈やストレスを排除するべきだ 00:05:27.820 --> 00:05:32.240 でも、ハードコアなゲーマーを 怒らせたり、システムが利用されて 00:05:32.240 --> 00:05:34.560 台無しになるといった反動も避けたい 00:05:34.560 --> 00:05:38.620 もしかすると、このシステムを 用いているゲームはたくさんあるのに 00:05:38.620 --> 00:05:46.050 あまりに目立たないせいで誰も知らない可能性もある だとしたら、開発者には賛辞を送りたい 00:05:46.050 --> 00:05:50.150 視聴をありがとう 可変式難易度のあるゲームを見つけたら 00:05:50.150 --> 00:05:54.190 下のコメント欄で教えてくれ 「いいね!」とチャンネル登録もよろしく 00:05:54.190 --> 00:05:55.850 あとPatreonの支援も考えてみてくれ