マーク・ブラウンのGame Maker's Toolkitへようこそ ゲームデザインについてのシリーズだ バイオハザード4はある点で非常に優れている いや、それどころじゃない このゲームは名作だ でも今回話したいのは、プレイヤーの腕に合わせて このゲームが難易度を変化させていることだ 攻撃を避ける、正確に撃つといったことで 上手にプレイすれば、難易度は上昇し 敵の攻撃力が上がり、より攻撃的になる でもプレイヤーが下手で死にまくったり ダメージを受け続けたりしていると 難易度が下がって、ガナードの耐久力は減り 攻撃してくるまでの時間が長くなる また、木箱や樽の中身も プレイヤーが上手いほどショボくなる さらに、あまりに苦戦していると 敵が消滅することさえある ここで僕は快調に飛ばしている …で、難所で有名な「水の間」に入ると 邪教徒9人に待ち伏せされる 地上に7人、上階に2人のクロスボウ狙撃手だ ここで何回か死んでみると 狙撃手は突然いなくなり、少し楽になる バイオ4はプレイヤーの技量に合わせて 調子を変化させているため 難易度が特定のゾーンに入りやすくなっている 心理学者やゲームデザイナーの 用語で言う「フロー」だ これは簡単すぎて飽きる難易度と 難し過ぎてストレスが溜まる難易度との 中間に位置するものだ 一本道のゲームの多くは 難易度を段階的に上昇させることで フローの状態を保とうとするが 全てのゲーマーには対応できない それに最初の難易度設定を間違えると それだけで楽しめなくなってしまうかもしれない 可変性の難易度はそこが利点だ 常に軌道を修正して プレイヤーを難関に挑ませつつも 圧倒してしまわないようにできる 同じところで詰まることを防ぎ かつ余裕で抜けさせないようにできる しかし、これはバイオ4の可変式難易度調整の 一番見事な点ではない 最も見事なのは、今この動画を見ている ゲーマーの多くが 「マジか、そんなの知らなかった!」 と思っていることだ そこが狙いなのかもしれない カプコンはこの要素を公式には説明していない メニューのオプションにはないし 説明書にも載っていない CM動画にも、プレスリリースにもない 三上真司は後にこのシステムを使って PS2の神ゲー、ゴッドハンドを作るが 彼はインタビューでこの要素に言及していない シリーズファンの経験以外に この要素が存在することを証明する唯一の資料は ゲームより一年も後に発売された、公式攻略本だ 苦戦していると手を差し伸べてくる ゲームはいくつかある 例えばドンキーコングリターンズのスーパーコングだ ミスし過ぎると、勝手にステージをクリアしてくれる でもハードコアなプレイヤーの多くにとって 手助けを受けるのはプライドが傷つく ストレスが溜まっても、通してもらうくらいなら 自分で頑張った方がマシなのだ 難易度を下げるとゲームに馬鹿にされる となればなおさらだ 近日発売のメタルギアソリッド5では チキンキャップを装備する選択肢があるが 難易度は下がるが、スネークの見た目が 完全にアホの子になってしまう しかし効果を控えめにして ダークサイド・クロニクルズのように 大々的に宣伝しないことで バイオ4は可変式難易度を最大限に活かしつつ プレイヤーに嫌な思いをさせずにすんでいる それに、プレイヤーが知らなければ わざと死んだりダメージを受けたりして 難易度を落とす戦法も使わないだろう もっともこれはタイムアタックでは利用されている これはトップレベルのバイオ4TAプレイヤー スキーリフトでダメージを受けている またわざとQTEに失敗して難易度を下げ 一部の区間を突破しやすくしている もちろん、バイオ4が可変式難易度を 発明したわけじゃない ザナックやゼビウスといったファミコンやアーケードの STGは80年代からやっている またRemedyはマックスペインで カプコンより数年早く、TPSにこれを適用した Left 4 Deadは可変式難易度を見事に利用して ドラマチックな緊張感を生み出している これについてValveのガータム・ババーは こう言っている 「私たちが作ったシステムは、『どれくらい ダメージを受けているか』とか」 「『付近のゾンビをどれだけ倒したか』などの イベントで、各生存者のストレスを測っています」 「生存者のストレスが高くなると システムが介入し、ゾンビの数を」 「強制的に減らして、チームが 一息つけるようにします」 新・光神話 パルテナの鏡や スマッシュブラザーズでは 挑戦するステージの難易度レベルに 賭け金を払うという面白いシステムを使っている 成功すれば報酬を得るが、失敗すれば 損をした上で低い難易度に 戻され、クリアするまでそのままだ 心理学の用語をタイトルにしたFlowは 手動で難易度を変えることができる 自分の好きなタイミングで、赤い生物を食べれば より深い水中に行けるし 安全な場所に戻りたければ青い生物を 食べればいい RPGのレベル上げをするかどうか 選べるみたいなものだ だが、可変式難易度を持つゲームの数は少ない その大部分はSiN Episodesの 「パーソナル・チャレンジ」システムのように あからさまに宣伝している でも僕が思うに、ゲームデザイナーは この要素をあまり口に出さない方がいい メディアで宣伝したり、ブログに書いたりしないで 秘密にしておくんだ プレイヤーには可変難易度の恩恵を きちんと受けさせて 腕前に合ったペースで進んでもらい 退屈やストレスを排除するべきだ でも、ハードコアなゲーマーを 怒らせたり、システムが利用されて 台無しになるといった反動も避けたい もしかすると、このシステムを 用いているゲームはたくさんあるのに あまりに目立たないせいで誰も知らない可能性もある だとしたら、開発者には賛辞を送りたい 視聴をありがとう 可変式難易度のあるゲームを見つけたら 下のコメント欄で教えてくれ 「いいね!」とチャンネル登録もよろしく あとPatreonの支援も考えてみてくれ