1 00:00:00,950 --> 00:00:06,012 絶滅は普通の死とは違います 2 00:00:06,012 --> 00:00:08,635 より甚大です 3 00:00:08,635 --> 00:00:11,715 それに気付いたのは1914年に 4 00:00:11,715 --> 00:00:14,930 マーサという名の最後の一羽だったリョコウバトが 5 00:00:14,930 --> 00:00:17,948 シンシナティ動物園で死んだ時です 6 00:00:17,948 --> 00:00:21,489 この種はかつて世界で最も数多かった鳥で 7 00:00:21,489 --> 00:00:25,096 北アメリカに6百万年もの間生息していました 8 00:00:25,096 --> 00:00:28,401 それが忽然と消えてしまったのです 9 00:00:28,401 --> 00:00:32,478 かつては幅2キロ 長さ500キロに渡る群れの帯が 10 00:00:32,478 --> 00:00:35,125 太陽を遮ったものです 11 00:00:35,125 --> 00:00:38,195 アルド・レオポルドは生物的嵐 12 00:00:38,195 --> 00:00:41,000 羽根の吹雪と称しました 13 00:00:41,000 --> 00:00:43,444 この鳥は重要な生物種として 14 00:00:43,444 --> 00:00:47,460 ミシシッピ川から大西洋 15 00:00:47,460 --> 00:00:49,744 カナダからメキシコ湾にわたって 16 00:00:49,744 --> 00:00:53,059 広く落葉樹林の生態系を支えました 17 00:00:53,059 --> 00:00:56,372 ほんの数十年で生息数が 50億からゼロになったのです 18 00:00:56,372 --> 00:00:57,572 その原因は 19 00:00:57,572 --> 00:00:59,725 商業狩猟でした 20 00:00:59,725 --> 00:01:03,684 食肉として捕獲され大量に売られたのです 21 00:01:03,684 --> 00:01:06,004 捕獲は容易でした 群れが地上に降り立つと 22 00:01:06,004 --> 00:01:08,276 あまりに密集していたので 23 00:01:08,276 --> 00:01:10,644 多数の捕獲者がやって来ては 24 00:01:10,644 --> 00:01:13,650 大量殺戮を繰り返したのです 25 00:01:13,650 --> 00:01:16,668 肉はアメリカで最も安いたんぱく質でした 26 00:01:16,668 --> 00:01:18,643 世紀末にはその名残は 27 00:01:18,643 --> 00:01:23,483 博物館の標本箱に保管されたはく製のみになりました 28 00:01:23,483 --> 00:01:25,358 ひとつだけ良い話は 29 00:01:25,358 --> 00:01:27,272 人々がアメリカ・バイソンも絶滅に 30 00:01:27,272 --> 00:01:29,764 瀕していることに気づいたのです 31 00:01:29,764 --> 00:01:33,169 いわば鳥がバッファローを救いました 32 00:01:33,169 --> 00:01:34,843 しかし他に多くの動物が死滅しました 33 00:01:34,843 --> 00:01:39,634 カロライナ・インコはかつて裏庭でも見かけました 34 00:01:39,634 --> 00:01:41,980 しかし羽毛が狙われ絶滅しました 35 00:01:41,980 --> 00:01:45,082 東海岸に生息したニューイングランド・ソウゲンライチョウは 36 00:01:45,082 --> 00:01:48,091 可愛がられ保護されたのに絶滅しました 37 00:01:48,091 --> 00:01:51,465 地元紙が悲しみを伝えました "生存者はない 38 00:01:51,465 --> 00:01:56,282 未来もない もはやこの生き物が二度と誕生することはない" 39 00:01:56,282 --> 00:01:58,953 絶滅には深い悲しみが伴います 40 00:01:58,953 --> 00:02:01,378 人々に愛された鳥たちにも悲劇は襲いました 41 00:02:01,378 --> 00:02:03,586 哺乳類も同様です 42 00:02:03,586 --> 00:02:06,209 別の重要種で有名だった動物には 43 00:02:06,209 --> 00:02:08,274 オーロックスがいます 44 00:02:08,274 --> 00:02:10,729 最近映画が作られました 45 00:02:10,729 --> 00:02:13,337 オーロックスはバイソンに似ていました 46 00:02:13,337 --> 00:02:16,517 この動物はいわば森と草原の仲介役として 47 00:02:16,517 --> 00:02:21,569 ヨーロッパ全土およびアジア大陸 スペインから朝鮮まで 48 00:02:21,569 --> 00:02:23,913 広く分布していました 49 00:02:23,913 --> 00:02:26,041 この動物はラスコー洞窟の壁画にも 50 00:02:26,041 --> 00:02:29,266 描かれました 51 00:02:29,266 --> 00:02:31,458 絶滅種は他にもいます 52 00:02:31,458 --> 00:02:34,487 スペインに生息したヤギの一種ブカルドは 53 00:02:34,487 --> 00:02:36,833 2000年に絶滅しました 54 00:02:36,833 --> 00:02:39,590 オーストラリア南部のタスマニア島には 55 00:02:39,590 --> 00:02:43,321 タスマニア・タイガーと呼ばれたすばらしい有袋類の 56 00:02:43,321 --> 00:02:45,391 フクロオオカミがいました 57 00:02:45,391 --> 00:02:49,709 動物園で死滅した最後の数頭に減るまで狩りが続きました 58 00:02:49,709 --> 00:02:52,745 貴重なフィルムが残っています 59 00:03:03,593 --> 00:03:08,850 後悔 怒り 悲しみ 60 00:03:08,850 --> 00:03:12,006 悲しむのは止めて 計画を立てましょう 61 00:03:12,006 --> 00:03:15,625 もしも博物館の標本や 20万年前の化石から 62 00:03:15,625 --> 00:03:18,622 DNAを採取してそれを基に 63 00:03:18,622 --> 00:03:21,060 絶滅種を再生できたとしたらどうでしょうか 64 00:03:21,060 --> 00:03:22,684 どこから手をつけますか 65 00:03:22,684 --> 00:03:25,598 まず バイオ技術の最先端を見てみましょう 66 00:03:25,598 --> 00:03:27,690 妻のライアン・フィーランと話しました 67 00:03:27,690 --> 00:03:30,824 彼女は DNA ダイレクトというバイオ企業の経営者です 68 00:03:30,824 --> 00:03:34,873 そして彼女の同僚のジョージ・チャーチ 69 00:03:34,873 --> 00:03:37,568 彼は一流の遺伝子工学者ですが 70 00:03:37,568 --> 00:03:40,577 彼もまたリョコウバトに取り憑かれていて 71 00:03:40,577 --> 00:03:42,188 自分の研究成果を大いに 72 00:03:42,188 --> 00:03:44,500 活用できるのではと 73 00:03:44,500 --> 00:03:46,589 自信を持っていました 74 00:03:46,589 --> 00:03:49,844 そこで妻とジョージはハーバードの 75 00:03:49,844 --> 00:03:52,108 ヴィース研究所で会合を催しリョコウバトの専門家 76 00:03:52,108 --> 00:03:56,719 鳥類保護学者 生命倫理学者に呼び掛けました 77 00:03:56,719 --> 00:04:00,832 嬉しいことにベス・シャピロという分子生物学者が 78 00:04:00,832 --> 00:04:04,123 既にリョコウバトのDNAを解読したことが分かりました 79 00:04:04,123 --> 00:04:07,002 この学者はスミソニアン博物館にある 80 00:04:07,002 --> 00:04:09,657 標本の爪先の組織を使いました 81 00:04:09,657 --> 00:04:13,040 そこに古生代DNAがあったのです 82 00:04:13,040 --> 00:04:16,012 DNAは極めて損傷していましたが 83 00:04:16,012 --> 00:04:20,904 今日の優れた技術でゲノム全体を再構築できます 84 00:04:20,904 --> 00:04:23,225 そこで問題は そのゲノムを使って 85 00:04:23,225 --> 00:04:25,720 絶滅した鳥を再生できるかどうかです 86 00:04:25,720 --> 00:04:28,224 ジョージ・チャーチはできると考えています 87 00:04:28,224 --> 00:04:31,289 彼の著書 「再創造」 はお勧めです 88 00:04:31,289 --> 00:04:34,752 絶滅種を再生する科学について記述しています 89 00:04:34,752 --> 00:04:36,288 彼は複合自動ゲノム工学機という装置も保有しています 90 00:04:36,288 --> 00:04:39,736 彼は複合自動ゲノム工学機という装置も保有しています 91 00:04:39,736 --> 00:04:41,470 いわば進化用の装置です 92 00:04:41,470 --> 00:04:44,176 様々な遺伝子の組み合わせを細胞 93 00:04:44,176 --> 00:04:47,416 そして器官レベルでチップに記述して 94 00:04:47,416 --> 00:04:49,325 成功した個体を 95 00:04:49,325 --> 00:04:52,022 生体の器官に移植すると機能するのです 96 00:04:52,022 --> 00:04:55,216 この方式の精度はというと 97 00:04:55,216 --> 00:04:59,815 この読解不能なジョージのスライドによると 98 00:04:59,815 --> 00:05:02,381 精度は各々の塩基対まで至ります 99 00:05:02,381 --> 00:05:06,520 リョコウバトのゲノムには13億の塩基対があります 100 00:05:06,520 --> 00:05:09,525 そして今日ではひとつの遺伝子を 101 00:05:09,525 --> 00:05:13,050 その派生形で置き換えられます 102 00:05:13,050 --> 00:05:14,953 対立遺伝子と呼びます 103 00:05:14,953 --> 00:05:17,803 対立遺伝子は普通の交配でも起きます 104 00:05:17,803 --> 00:05:20,994 この場合は絶滅種および 105 00:05:20,994 --> 00:05:22,874 よく類似する生存種の 106 00:05:22,874 --> 00:05:26,404 ゲノム同士の合成交配です 107 00:05:26,404 --> 00:05:29,119 研究中にジョージが指摘するのは 108 00:05:29,119 --> 00:05:32,930 彼が取り組んでいる合成生物学の技術は 109 00:05:32,930 --> 00:05:36,736 ムーアの法則の4倍の速さで加速中という点です 110 00:05:36,736 --> 00:05:41,024 2005年以来加速しており今後も継続するでしょう 111 00:05:41,024 --> 00:05:43,728 さてリョコウバトに一番近い生存種は 112 00:05:43,728 --> 00:05:47,022 オビオバトです 多数生息しておりこの辺でも見かけます 113 00:05:47,022 --> 00:05:51,110 遺伝子的にはオビオバトはほとんど 114 00:05:51,110 --> 00:05:53,478 生きたリョコウバトです 115 00:05:53,478 --> 00:05:55,913 オビオバトの違いはほんのわずかです 116 00:05:55,913 --> 00:05:58,657 それらの違いをリョコウバトに置き換えれば 117 00:05:58,657 --> 00:06:02,872 絶滅種が復活してクークー鳴くのです 118 00:06:02,872 --> 00:06:04,780 すべきことは色々あります 119 00:06:04,780 --> 00:06:07,494 重要な遺伝子の識別が必要です 120 00:06:07,494 --> 00:06:10,136 オビオバトの短い尻尾を成す遺伝子と 121 00:06:10,136 --> 00:06:12,836 リョコウバトの長い尻尾を成す遺伝子があります 122 00:06:12,836 --> 00:06:16,394 目の赤い色 桃色をした胸 群れの習性 等も同様です 123 00:06:16,394 --> 00:06:19,265 全てを混ぜた結果は完璧ではないでしょう 124 00:06:19,265 --> 00:06:21,243 しかし十分に近いでしょう 125 00:06:21,243 --> 00:06:23,889 自然も完璧ではないですから 126 00:06:23,889 --> 00:06:28,065 ボストンでの会合では3つの成果がありました 127 00:06:28,065 --> 00:06:31,611 まず妻と私はリバイブ・アンド・リストアというNPOを興し 128 00:06:31,611 --> 00:06:35,264 絶滅種再生活動の推進と責任の所在を 129 00:06:35,264 --> 00:06:38,415 明確にした上で研究を進め リョコウバトの 130 00:06:38,415 --> 00:06:41,703 再生に取り込むことにしました 131 00:06:41,703 --> 00:06:45,768 次にベン・ノバックという若い大学院生に出会いました 132 00:06:45,768 --> 00:06:49,024 彼は14歳からリョコウバトに興味を持ち 133 00:06:49,024 --> 00:06:52,087 独学で古生代DNAを学習し 134 00:06:52,087 --> 00:06:55,398 家族と友人の資金を頼りに 135 00:06:55,398 --> 00:06:58,013 リョコウバトのDNAを解析したのです 136 00:06:58,013 --> 00:07:00,160 彼を正規採用することにしました 137 00:07:00,160 --> 00:07:03,824 これは去年スミソニアン博物館で撮った彼の写真です 138 00:07:03,824 --> 00:07:06,055 彼が見つめているのがリョコウバト 139 00:07:06,055 --> 00:07:08,840 最後の一羽のマーサです 140 00:07:08,840 --> 00:07:11,575 再生が成功すれば最後の一羽にはなりません 141 00:07:11,575 --> 00:07:14,457 ボストン会合の3つ目の成果は絶滅再生に取り組んでいる 142 00:07:14,457 --> 00:07:16,290 科学者が世界中にいるにも関わらず 143 00:07:16,290 --> 00:07:18,264 一同に会したことがない事実に 144 00:07:18,264 --> 00:07:20,079 気づいたのです 145 00:07:20,079 --> 00:07:22,063 そこでナショナル・ジオグラフィックも注目しました 146 00:07:22,063 --> 00:07:24,546 ナショナル・ジオグラフィックの考えでは 147 00:07:24,546 --> 00:07:27,919 前世紀の発見は新たに見つけることだったが 148 00:07:27,919 --> 00:07:31,996 今世紀は発見とは新たに作ることだ と言うのです 149 00:07:31,996 --> 00:07:33,820 絶滅再生はそれに該当します 150 00:07:33,820 --> 00:07:37,654 そこで別の会合が設定され 35人の科学者が集合しました 151 00:07:37,654 --> 00:07:40,934 彼らは自然保護生物学者や分子生物学者で 152 00:07:40,934 --> 00:07:44,350 共同研究する分野を話し合ったのです 153 00:07:44,350 --> 00:07:46,716 自然保護生物学者の数人はとても大胆です 154 00:07:46,716 --> 00:07:50,278 特にその中の3人は死滅種を再生するだけでなく 155 00:07:50,278 --> 00:07:53,399 破壊された生態系を 北シベリア オランダ 156 00:07:53,399 --> 00:07:57,267 ハワイで復元しようというのです 157 00:07:57,267 --> 00:07:59,542 オランダのアンリです 158 00:07:59,542 --> 00:08:02,233 オランダ名の苗字を発音するのはお許しを 159 00:08:02,233 --> 00:08:04,478 彼はオーロックスに取り組んでいます 160 00:08:04,478 --> 00:08:08,831 オーロックスは家畜の牛全ての祖先ですから 161 00:08:08,831 --> 00:08:14,405 ゲノムは引き継がれています ただ散在しています 162 00:08:14,405 --> 00:08:16,819 彼らは上に見えるずんぐりした 163 00:08:16,819 --> 00:08:21,574 マレンマーナ原種のような7種類の原始種をかけ合わせ 164 00:08:21,574 --> 00:08:25,039 人為選択を時間をかけて行いオーロックスを 165 00:08:25,039 --> 00:08:27,102 再現しようとしています 166 00:08:27,102 --> 00:08:30,135 野生環境の復元は米国よりも韓国が先行しています 167 00:08:30,135 --> 00:08:31,994 野生環境の復元は米国よりも韓国が先行しています 168 00:08:31,994 --> 00:08:35,654 計画では欧州中で復元された 169 00:08:35,654 --> 00:08:38,862 野生環境にオーロックスを導入し 170 00:08:38,862 --> 00:08:40,804 元来の生態的役割で 171 00:08:40,804 --> 00:08:44,063 痩せた土地を豊かな森林にしてもらい 172 00:08:44,063 --> 00:08:47,874 多様な生物種を育もうとしています 173 00:08:47,874 --> 00:08:49,689 別の驚くべき話です 174 00:08:49,689 --> 00:08:53,087 主人公はアルベルト・フェルナンデス-アリアスです 175 00:08:53,087 --> 00:08:56,406 彼はスペインでブカルドに取り組みました 176 00:08:56,406 --> 00:08:59,239 最後のブカルドはシーリアというメスでした 177 00:08:59,239 --> 00:09:03,802 当時はまだ生存しており一時的に捕獲して 178 00:09:03,802 --> 00:09:06,214 耳から小さな細胞を採取しました 179 00:09:06,214 --> 00:09:09,398 そして液体窒素で冷凍保存したうえで 180 00:09:09,398 --> 00:09:11,184 自然に戻したのですが 181 00:09:11,184 --> 00:09:14,934 数か月後に倒木の下敷きで死亡したのです 182 00:09:14,934 --> 00:09:17,542 彼らは耳からDNAを摘出し 183 00:09:17,542 --> 00:09:20,982 山羊にクローン卵を移植しました 184 00:09:20,982 --> 00:09:23,056 妊娠期間が過ぎ 185 00:09:23,056 --> 00:09:25,271 生きたブカルドの赤ちゃんが誕生したのです 186 00:09:25,271 --> 00:09:28,119 歴史上初の絶滅種再生でした 187 00:09:28,119 --> 00:09:31,662 (拍手) 188 00:09:31,662 --> 00:09:32,889 ただし短命でした 189 00:09:32,889 --> 00:09:36,527 時折 種をまたがるクローンには呼吸器系の障害が起きます 190 00:09:36,527 --> 00:09:39,568 この個体は肺が未発達だったため10分後に死亡しました 191 00:09:39,568 --> 00:09:42,648 しかしアルベルトはクローン技術の 192 00:09:42,648 --> 00:09:45,048 進展を確信しており 193 00:09:45,048 --> 00:09:46,587 やがては 194 00:09:46,587 --> 00:09:48,594 ブカルドの群れが北スペインの 195 00:09:48,594 --> 00:09:51,851 山々に蘇ると考えています 196 00:09:51,851 --> 00:09:55,677 冷凍保存技術の優れた先駆者であるオリバー・ライダーです 197 00:09:55,677 --> 00:09:58,064 サンディエゴ動物園内には冷凍された 198 00:09:58,064 --> 00:10:02,015 千種以上の細胞が過去35年以上に渡り 199 00:10:02,015 --> 00:10:04,993 保管されています 200 00:10:04,993 --> 00:10:07,024 零下196℃の温度で 201 00:10:07,024 --> 00:10:09,744 冷凍されている 202 00:10:09,744 --> 00:10:12,376 細胞とそのDNAは いわば 203 00:10:12,376 --> 00:10:14,453 生きたままの状態です 204 00:10:14,453 --> 00:10:18,081 アドバンスト・セル・テクノロジー社のボブ・ランザは 205 00:10:18,081 --> 00:10:21,296 ジャワ・バンテンという絶滅危惧種の細胞を 206 00:10:21,296 --> 00:10:23,490 採取して牝牛に移植しました 207 00:10:23,490 --> 00:10:26,540 牝牛は妊娠し やがて健康な 208 00:10:26,540 --> 00:10:31,621 ジャワ・バンテンの赤ちゃんが生まれ 209 00:10:31,621 --> 00:10:35,024 順調に育ち今も健在です 210 00:10:35,024 --> 00:10:37,800 今ボブ・ランザが注目しているのは 211 00:10:37,800 --> 00:10:40,488 iPS細胞を使って あらゆる細胞から 212 00:10:40,488 --> 00:10:42,936 卵子や精子等の 213 00:10:42,936 --> 00:10:46,909 胚細胞を作ることです 214 00:10:46,909 --> 00:10:49,192 次にマイク・マグリューです 215 00:10:49,192 --> 00:10:52,688 彼はスコットランドにあるロスリン研究所の科学者で 216 00:10:52,688 --> 00:10:54,992 鳥に奇跡を起こそうとしています 217 00:10:54,992 --> 00:10:58,512 例えばタカの皮膚細胞を使って 218 00:10:58,512 --> 00:11:01,300 iPS細胞を作製します 219 00:11:01,300 --> 00:11:04,730 iPS細胞から胚プラズマを作ります 220 00:11:04,730 --> 00:11:06,986 彼はこの胚プラズマを 221 00:11:06,986 --> 00:11:10,530 鶏卵の胚細胞に埋め込む技術を確立しました 222 00:11:10,530 --> 00:11:13,801 いわば鶏がタカの生殖腺を持つのです 223 00:11:13,801 --> 00:11:15,642 いわば鶏がタカの生殖腺を持つのです 224 00:11:15,642 --> 00:11:17,556 鶏のつがいを用意すれば 225 00:11:17,556 --> 00:11:20,497 タカが生まれるというわけです 226 00:11:20,497 --> 00:11:22,456 (笑) 227 00:11:22,456 --> 00:11:27,581 少しだけ細工した鶏がタカを生むのです 228 00:11:27,581 --> 00:11:30,058 ベン・ノバックは最年少の参加者でした 229 00:11:30,058 --> 00:11:32,487 まとめ役を彼は買って出ました 230 00:11:32,487 --> 00:11:35,033 こんな具合です オビオバトとリョコウバトの 231 00:11:35,033 --> 00:11:37,411 ゲノムを集めます 232 00:11:37,411 --> 00:11:40,361 ジョージ・チャーチの技術を使って 233 00:11:40,361 --> 00:11:42,642 リョコウバトのDNAを取得します 234 00:11:42,642 --> 00:11:45,327 そしてロバート・ランザとマイケル・マグリューの技術で 235 00:11:45,327 --> 00:11:47,586 DNAを鶏の生殖腺に移植します 236 00:11:47,586 --> 00:11:51,805 そして生んだ卵の中からハトが生まれ 237 00:11:51,805 --> 00:11:55,291 リョコウバトの群れが再生するのです 238 00:11:55,291 --> 00:11:57,235 そこで起きる問題は 239 00:11:57,235 --> 00:11:59,208 新しい群れにリョコウバトの習性を教える 240 00:11:59,208 --> 00:12:01,834 親バトがいないことです 241 00:12:01,834 --> 00:12:04,090 どうしましょうか 242 00:12:04,090 --> 00:12:06,763 実は鳥の習性の多くは先天的です 243 00:12:06,763 --> 00:12:09,130 つまりDNAに受け継がれているのです 244 00:12:09,130 --> 00:12:11,914 それを補完するために伝書鳩を 245 00:12:11,914 --> 00:12:13,570 使うことをベンは考えています 246 00:12:13,570 --> 00:12:16,740 それでリョコウバトの若鳥が群れを作ったり 247 00:12:16,740 --> 00:12:19,474 営巣地や餌場を探す方法を 248 00:12:19,474 --> 00:12:22,623 学べるでしょう 249 00:12:22,623 --> 00:12:24,261 自然保護活動家の中には 250 00:12:24,261 --> 00:12:27,337 自然保護生物学の創始者として 251 00:12:27,337 --> 00:12:29,953 有名なスタンリー・テンプルや 252 00:12:29,953 --> 00:12:34,609 レッドリストに関わっているIUCN(国際自然保護連合) のケート・ジョーンズがいます 253 00:12:34,609 --> 00:12:36,570 彼らも大いに興味を示しています 254 00:12:36,570 --> 00:12:39,073 同時にまだ生存している 255 00:12:39,073 --> 00:12:42,111 絶滅危惧種の非常に重要な 256 00:12:42,111 --> 00:12:44,321 保護活動と競合しないか 257 00:12:44,321 --> 00:12:46,167 心配もしています 258 00:12:46,167 --> 00:12:48,540 つまり野生動物の保護活動は継続したい 259 00:12:48,540 --> 00:12:52,769 アジアの象牙市場を壊滅する取り込みをして 260 00:12:52,769 --> 00:12:56,647 毎年殺戮される2万5千頭の象を保護したい 261 00:12:56,647 --> 00:12:59,697 しかしその一方自然保護生物学者は暗い話題が 262 00:12:59,697 --> 00:13:02,281 人々を委縮させることにも気づいています 263 00:13:02,281 --> 00:13:05,006 レッドリストは絶滅危惧や絶滅寸前の 264 00:13:05,006 --> 00:13:08,330 種を守るためにとても重要です 265 00:13:08,330 --> 00:13:11,355 一方彼らはグリーン・リストを作成しようとしています 266 00:13:11,355 --> 00:13:15,737 グリーン・リストは健全な種を列挙します 267 00:13:15,737 --> 00:13:18,041 白頭ワシはじめ以前は絶滅に瀕したものの 268 00:13:18,041 --> 00:13:21,656 人々の努力や世界中の管理が 269 00:13:21,656 --> 00:13:23,822 とても行き届いた保護区のおかげで 270 00:13:23,822 --> 00:13:25,583 順調に回復した種のリストです 271 00:13:25,583 --> 00:13:29,686 明るい話題で活動を盛り上げようとしているのです 272 00:13:29,686 --> 00:13:32,797 絶滅種の再生はそんな明るい話題の 273 00:13:32,797 --> 00:13:35,677 一環として有意義です 274 00:13:35,677 --> 00:13:39,002 いくつか例をあげましょう 275 00:13:39,002 --> 00:13:42,213 飼育下繁殖は絶滅種再生に有効な手段になります 276 00:13:42,213 --> 00:13:45,629 カリフォルニア・コンドルは1987年には22羽に減りました 277 00:13:45,629 --> 00:13:47,338 絶滅は時間の問題と思われました 278 00:13:47,338 --> 00:13:50,158 しかしサンディエゴ動物園の飼育下繁殖のおかげで 279 00:13:50,158 --> 00:13:54,178 今は405羽に増えてそのうち226羽は野生に戻っています 280 00:13:54,178 --> 00:13:58,387 この手法を絶滅種再生にも応用できます 281 00:13:58,387 --> 00:14:01,854 次の成功例は中央アフリカのマウンテン・ゴリラです 282 00:14:01,854 --> 00:14:05,237 1981年にダイアン・フォッシーは絶滅を覚悟しました 283 00:14:05,237 --> 00:14:07,270 254頭が生存するのみでした 284 00:14:07,270 --> 00:14:10,809 今では880頭になり 毎年3%増加しています 285 00:14:10,809 --> 00:14:12,902 今では880頭になり 毎年3%増加しています 286 00:14:12,902 --> 00:14:16,293 秘訣はとてもすばらしいエコ・ツアーの仕組みです 287 00:14:16,293 --> 00:14:17,962 秘訣はとてもすばらしいエコ・ツアーの仕組みです 288 00:14:17,962 --> 00:14:20,597 この写真は妻が先月 iPhone で撮影しました 289 00:14:20,597 --> 00:14:23,373 この写真は妻が先月 iPhone で撮影しました 290 00:14:23,373 --> 00:14:27,688 これほど野生のゴリラが観光客に慣れているのです 291 00:14:27,688 --> 00:14:31,423 次も興味深いですが 更なる支援が必要です 292 00:14:31,423 --> 00:14:33,334 シロサイの例です 293 00:14:33,334 --> 00:14:35,295 つがいはいません 294 00:14:35,295 --> 00:14:37,465 それでもこの動物の 295 00:14:37,465 --> 00:14:41,605 様々なDNA検体が保存されています 296 00:14:41,605 --> 00:14:44,400 クローンすれば再生可能です 297 00:14:44,400 --> 00:14:46,590 では次のステップは何でしょうか 298 00:14:46,590 --> 00:14:48,254 これまで行われたのは私的な会合です 299 00:14:48,254 --> 00:14:50,911 私はこの話題を公けにすべきだと思います 300 00:14:50,911 --> 00:14:52,378 世論に問いかけるのです 301 00:14:52,378 --> 00:14:54,457 世論は絶滅種再生を望むでしょうか 302 00:14:54,457 --> 00:14:57,309 皆さんは絶滅種再生を望みますか 303 00:14:57,309 --> 00:15:02,575 (拍手) 304 00:15:02,575 --> 00:15:05,071 ティンカー・ベルが飛んでくることでしょう 305 00:15:05,071 --> 00:15:06,285 まさにその瞬間です 306 00:15:06,285 --> 00:15:08,681 とても期待している人も 307 00:15:08,681 --> 00:15:10,732 心配な人もいるでしょう 308 00:15:10,732 --> 00:15:13,179 私たちはリョウコウバト再生を継続するつもりです 309 00:15:13,179 --> 00:15:16,949 ベン・ノバックはカリフォルニア大サンタクルーズ校の 310 00:15:16,949 --> 00:15:20,270 ベス・シャピロのグループと共同研究をはじめました 311 00:15:20,270 --> 00:15:21,658 リョウコウバトとオビオバトのゲノム解析をするのです 312 00:15:21,658 --> 00:15:23,945 リョウコウバトとオビオバトのゲノム解析をするのです 313 00:15:23,945 --> 00:15:27,854 完了したらジョージ・チャーチに送り 314 00:15:27,854 --> 00:15:31,749 魔法のようにリョウコウバトのDNAを抽出します 315 00:15:31,749 --> 00:15:34,593 そこでベン・ランザとマイク・マグリューが引継ぎ 316 00:15:34,593 --> 00:15:37,660 DNAを胚プラズマに挿入し鶏に移植します 317 00:15:37,660 --> 00:15:40,228 鶏からリョウコウバトのひな鳥が生まれ 318 00:15:40,228 --> 00:15:42,692 オビオバトが育てるのです 319 00:15:42,692 --> 00:15:44,948 あとはリョウコウバトに 320 00:15:44,948 --> 00:15:48,084 全てを託せば おそらく向こう6百万年は安泰です 321 00:15:48,084 --> 00:15:50,399 コストが下がれば同様なことを 322 00:15:50,399 --> 00:15:53,621 カロライナ・インコ オーロックス 323 00:15:53,621 --> 00:15:56,416 ニューイングランド・ソウゲンライチョウ ハシジロキツツキ 324 00:15:56,416 --> 00:15:58,522 エスキモーコシャクシギ カリブモンクアザラシ 325 00:15:58,522 --> 00:16:01,388 マンモスに応用できます 326 00:16:01,388 --> 00:16:03,864 事実上 人間は過去1万年に渡り 327 00:16:03,864 --> 00:16:06,954 自然界に巨大な穴を開けてきたのです 328 00:16:06,954 --> 00:16:08,993 今の私たちにはそのダメージを 329 00:16:08,993 --> 00:16:13,857 少しでも修復する能力とおそらく義務があります 330 00:16:13,857 --> 00:16:18,405 できることは自然を回復し保護し 331 00:16:18,405 --> 00:16:20,074 そして絶滅危惧種の 332 00:16:20,074 --> 00:16:24,601 個体数を回復し保護することです 333 00:16:24,601 --> 00:16:26,756 既に死滅した種の幾つかは 334 00:16:26,756 --> 00:16:31,939 その復活を待ち望む 335 00:16:31,939 --> 00:16:35,253 世界に呼び戻すことが 336 00:16:35,253 --> 00:16:38,420 可能なのです 337 00:16:38,420 --> 00:16:40,630 ありがとうございます 338 00:16:40,630 --> 00:16:51,828 (拍手) 339 00:16:51,828 --> 00:16:53,682 ありがとうございます 340 00:16:53,682 --> 00:16:55,494 質問があります 341 00:16:55,494 --> 00:17:00,244 これは感情的なトピックです 立ち上る人もいるでしょう 342 00:17:00,244 --> 00:17:03,100 一方座ったままで次のような 343 00:17:03,100 --> 00:17:06,109 辛い質問をする人もいるでしょう 344 00:17:06,109 --> 00:17:08,019 ちょっと待ってくれ 345 00:17:08,019 --> 00:17:11,116 このように人間が自然界に 346 00:17:11,116 --> 00:17:14,596 介入するのは問題ではないか 347 00:17:14,596 --> 00:17:18,068 予期せぬ事態を引き起こし パンドラの箱か何かを 348 00:17:18,068 --> 00:17:20,845 開けることにならないのか 349 00:17:20,845 --> 00:17:24,831 これについてどう思いますか 350 00:17:24,831 --> 00:17:26,331 先に述べた点は我々こそが 351 00:17:26,331 --> 00:17:29,882 大いに介入して動物を絶滅に追い込み 352 00:17:29,882 --> 00:17:32,423 しかもその多くは重要種であり 353 00:17:32,423 --> 00:17:34,932 絶滅させた結果 生態系全体を 354 00:17:34,932 --> 00:17:36,725 変えてしまったことです 355 00:17:36,725 --> 00:17:39,306 基準レベルの変動が問題です すなわち絶滅種が 356 00:17:39,306 --> 00:17:40,844 基準レベルの変動が問題です すなわち絶滅種が 357 00:17:40,844 --> 00:17:43,135 復活したら現在生息していて 358 00:17:43,135 --> 00:17:45,529 人々が愛する鳥を駆逐しないか 359 00:17:45,529 --> 00:17:48,276 私はそれも自然の摂理だと思います 360 00:17:48,276 --> 00:17:51,161 長くゆっくりした過程なのです 361 00:17:51,161 --> 00:17:53,395 多世代におよぶのは好ましいことだと思います 362 00:17:53,395 --> 00:17:55,452 マンモスだって再生できるでしょう 363 00:17:55,452 --> 00:17:57,228 お話もその可能性も非常にスリルがあると感じました 364 00:17:57,228 --> 00:17:59,516 お話もその可能性も非常にスリルがあると感じました 365 00:17:59,516 --> 00:18:01,230 お話いただきありがとうございました 366 00:18:01,230 --> 00:18:03,953 ありがとう (拍手)