なぜ塩は水に溶けるのに
油は溶けないのでしょうか?
ひと言で言えば
化学のなせるわざです
でも それでは納得できませんよね
塩が水に溶けて
油が水に溶けない理由は
2つの大きな要因に行き着きます
様々なことが起こるのは
エネルギー論と
エントロピーによるのです
エネルギー論は 主に
物質間の引力を扱います
水の中の油や塩を見るとき
私たちは 粒子間の力に焦点を当てます
本当に ものすごく非常に小さい尺度
分子レベルの話です
この尺度のイメージを掴んでみましょう
グラス1杯の水には
宇宙にあるとされている星の数よりも
多くの分子が存在します
さて これら全ての分子は
常に動き 振動し 回転しています
これらのほぼ全ての分子が
グラスから飛び出さないのは
分子間に働く 引力相互作用のおかげです
水分子同士や
水と他の物質との間に働く
この相互作用の力が
私たちが言うところの
エネルギー論にあたります
水分子は 絶えず
スクエアダンスのようなものを
踊っており
そこで常にランダムにパートナーを
取り替えていると考えることができます
要するに
物質が水分子に作用する力は
物質による水分子の擾乱と
水分子同士の相互作用との
均衡関係によって
大きな違いが
もたらされており
ある物質は水によく混ざり
他の物質は混ざらない理由の
説明となっています
エントロピーは 基本的に
ランダムな動きによって
物質やエネルギーが
配置される様を表しています
例えば
部屋の中の空気を考えてみましょう
空間にある
空気を構成する何兆もの粒子の
起こりうる全ての配置を
想像してみましょう
いくつかの配置では
全ての酸素分子が こちら側に
全ての窒素分子が そちら側に
集まり
分かれるかもしれません
しかし 可能性がはるかに高いのは
これらの分子が互いに混ざり合う配置です
つまり エントロピーは混合を好むのです
エネルギー論は 引力を扱います
そして 引力が作用する場合に
確率が高まる配置があります
それは 物質が互いに引き合う配置です
いつでも2つの物質間のバランスが
何が起こるかを決めるのです
分子レベルでは
水は水分子から構成されており
水分子は 水素元素2つと
酸素元素1つから成ります
液体の水の場合 これらの分子は
絶えず ランダムなスクエアダンスを
踊っています
これは 水素結合ネットワークと
呼ばれています
エントロピーは 常に
スクエアダンスを踊り続けるよう促します
全ての水分子を配置する方法は
いつの場合でも
スクエアダンスの場合の方が
ラインダンスの場合よりも
多くあります
だから スクエアダンスが
ずっと続きます
さて 水の中に塩を入れると
何が起こるでしょうか
分子レベルでは
塩は実際2つの異なるイオン ―
塩素イオンと
ナトリウムイオンから成り
レンガの壁のようになっています
ダンスに現れる時は
大きなグループとなり
初めは端に座っています
シャイで
別々に分かれてダンスに参加するのを
ちょっと嫌がります
でも シャイなダンサーたちは 内心では
誰かからダンスに誘われたいと
思っています
そこに 水がランダムにぶつかってきて
塩のイオンをグループから引き離して
ダンスに引き込み
踊りに行きます
塩のイオンは いったんダンスを始めると
戻ってきません
それどころか
塩のイオンをさらに加えると
スクエアダンスの取りうる
配置の方法が
さらに増えるため
水と踊り続けるのを好むのです
次に油を見てみましょう
油の分子は 水とダンスすることに
少しは興味があって
エントロピーは
油がダンスに参加するよう促します
問題は 油分子が
壮大なドレスを身に着けており
水分子よりも はるかに大きいことです
だから 油分子が踊り始めると
その大きさのせいで ダンスや
ダンスの一番の見せ場となる
水が行う
ランダムなパートナーチェンジの
邪魔になります
それに 油分子は
ダンスが得意ではないのです
水分子が油分子を
ダンスに引き込もうとしても
油分子はただドレスをぶつけるだけで
ダンスフロア全体を占領してしまいます
油がダンスフロアから降りれば
水は 様々な配置でダンスを踊れます
そこで水は 油を追い出し
仲間のいるベンチに押し戻します
端に追いやられるとすぐに
たくさんの油たちは
一緒になって慰め合い
水分子がいかにアンフェアだったかを話し
仲間同士として集結します
つまり この組み合わせ ―
分子間の相互作用と
ランダムに動いている時の
可能な配置の数によって
それらが混ざり合うかどうかが
決まるのです
つまり 水と油が混ざらないのは
彼らは ただお互いに
良いダンスパートナーになれないからです