WEBVTT 00:00:00.737 --> 00:00:05.027 私が3歳か4歳のときのことです 00:00:05.027 --> 00:00:08.909 母親が二人の兄と私に 00:00:08.909 --> 00:00:11.624 物語を読んでくれました 00:00:11.624 --> 00:00:13.643 私は本に手をのばし 00:00:13.643 --> 00:00:15.646 ページの感触を味わい 00:00:15.646 --> 00:00:19.177 彼らが見ている絵を感じようとしました 00:00:19.177 --> 00:00:21.626 母親は言いました 00:00:21.626 --> 00:00:24.479 あなたは目が見えないのよ 00:00:24.479 --> 00:00:27.525 絵は感じることはできないし 00:00:27.525 --> 00:00:30.462 文字も感じることはできないの 00:00:30.462 --> 00:00:32.236 そこで私は思いました 00:00:32.236 --> 00:00:34.131 "でも それが僕のしたいことなんだ" 00:00:34.131 --> 00:00:38.292 "物語が大好きだから本を読みたいんだ" 00:00:38.292 --> 00:00:40.554 私はその時 00:00:40.554 --> 00:00:43.073 技術革新によって私の夢が叶うなんて 00:00:43.073 --> 00:00:46.774 思ってもいませんでした 00:00:46.774 --> 00:00:50.191 64年ほど前に 未熟児として生まれた私は 00:00:50.191 --> 00:00:54.836 生後しばらくして失明しました 00:00:54.836 --> 00:00:57.706 未熟児網膜症というもので 00:00:57.706 --> 00:01:01.591 近年の先進国では稀な病気です 00:01:01.591 --> 00:01:04.500 1948年に保育器の中で 00:01:04.500 --> 00:01:09.293 体を丸めていた私は 00:01:09.293 --> 00:01:12.121 良い場所に良い時代に 00:01:12.121 --> 00:01:14.686 生まれたことを知りませんでした 00:01:14.686 --> 00:01:18.570 私が生まれたのは技術革新の 00:01:18.570 --> 00:01:21.503 恩恵を受けられる場所でした 00:01:21.503 --> 00:01:26.944 世界には3,700万人の全盲の人がいます 00:01:26.944 --> 00:01:30.168 しかし 技術革新の恩恵に預かることができるのは 00:01:30.168 --> 00:01:33.172 北米やヨーロッパや日本などの 00:01:33.172 --> 00:01:37.597 先進国の住人だけです 00:01:37.597 --> 00:01:40.770 コンピューターはみなさんを含む 多くの人たちの 00:01:40.770 --> 00:01:41.673 生活を変えました 00:01:41.673 --> 00:01:43.340 しかし 誰よりも 00:01:43.340 --> 00:01:46.883 われわれ視覚障害者の生活を 変えてくれたと思います 00:01:46.883 --> 00:01:50.161 今日は私がここにいたるまで 00:01:50.161 --> 00:01:53.213 長い年月を支え続けてくれた 00:01:53.213 --> 00:01:57.875 たくさんのボランティアの方々と コンピューターを利用した支援技術との 00:01:57.875 --> 00:02:01.276 繋がりについてお話しします 00:02:01.276 --> 00:02:03.910 これはボランティアの方々と技術と 00:02:03.910 --> 00:02:06.831 情熱に溢れた発明家の相互作用です 00:02:06.831 --> 00:02:09.766 他の視覚障害者の方々も 同様の経験があると思いますが 00:02:09.766 --> 00:02:14.181 今日はそのことについて 少しお話しさせてください 00:02:14.181 --> 00:02:18.007 5歳の私は学校で点字を学びました 00:02:18.007 --> 00:02:20.531 これは紙に打たれた6つの点を使った 00:02:20.531 --> 00:02:22.265 独創的なシステムで 00:02:22.265 --> 00:02:25.652 指先で感じることができます 00:02:25.652 --> 00:02:28.828 私の6年生の成績表をお見せしましょう 00:02:28.828 --> 00:02:31.553 ジュリアン・モローはどこで入手したのでしょう? 00:02:31.553 --> 00:02:33.109 (笑) 00:02:33.109 --> 00:02:34.930 私は読むのが得意でした 00:02:34.930 --> 00:02:39.890 しかし宗教と音楽観賞は苦手だったようです 00:02:39.890 --> 00:02:41.366 (笑) 00:02:41.366 --> 00:02:43.453 オペラハウスを出るとき 00:02:43.453 --> 00:02:46.862 エレベータ内の点字に 気付かれると思います 00:02:46.862 --> 00:02:50.579 探してください みなさんご存じでしたか? 00:02:50.579 --> 00:02:53.309 私は知っていましたよ いつも探してますからね 00:02:53.309 --> 00:02:55.395 (笑) 00:02:55.395 --> 00:02:57.734 私が学校に通っていた時代は 00:02:57.734 --> 00:03:01.026 本はボランティアである点訳者が 00:03:01.026 --> 00:03:03.859 一点ずつうちながら 点字に訳されていました 00:03:03.859 --> 00:03:05.527 私に本が読めるように 00:03:05.527 --> 00:03:07.986 そして その作業は19世紀の終わり頃から 00:03:07.986 --> 00:03:10.659 主に女性によって行われ 00:03:10.659 --> 00:03:13.143 それが私にとって唯一の読む方法でした 00:03:13.143 --> 00:03:15.537 高校生になった時 00:03:15.537 --> 00:03:19.343 私は初めてテープレコーダーを手にしました 00:03:19.343 --> 00:03:22.732 これはコンピューターが登場する前の 00:03:22.732 --> 00:03:24.912 主たる読書メディアになりました 00:03:24.912 --> 00:03:28.051 家族や友人に読んでもらったものを録音し 00:03:28.051 --> 00:03:30.444 あとで好きなだけ何回でも 00:03:30.444 --> 00:03:33.000 改めて読み直すことができました 00:03:33.000 --> 00:03:34.520 これがボランティアの方々と 00:03:34.520 --> 00:03:36.530 繋がるきっかけを与えてくれました 00:03:36.530 --> 00:03:41.022 例えば 私がカナダのクイーンズ大学で 00:03:41.022 --> 00:03:43.259 勉強していたとき 00:03:43.259 --> 00:03:47.342 コリンズ・ベイ監獄の囚人達が 協力を約束してくれました 00:03:47.342 --> 00:03:50.147 彼らにテープレコーダーを渡して 吹き込んでもらいました 00:03:50.147 --> 00:03:51.433 一人が言いました 00:03:51.433 --> 00:03:54.192 "ロン どうせ俺たちは しばらくどこにも行けないからな" 00:03:54.192 --> 00:03:56.653 (笑) 00:03:56.653 --> 00:03:58.958 でも 考えてみて下さい 彼らは 00:03:58.958 --> 00:04:02.905 私のように教育を受ける機会を 与えられなかったのに関わらず 00:04:02.905 --> 00:04:07.181 私が法律の修士号を取るために 00:04:07.181 --> 00:04:10.600 献身的に協力をしてくれたのです 00:04:10.600 --> 00:04:12.961 私はメルボルンのモナシュ大学で 00:04:12.961 --> 00:04:15.603 学問の道に戻りました 00:04:15.603 --> 00:04:19.113 それから25年の間 テープレコーダーは 00:04:19.113 --> 00:04:21.926 私にとって全てでした 00:04:21.926 --> 00:04:24.377 1990年の時点で私のオフィスには 00:04:24.377 --> 00:04:28.904 29km分のテープがありました 00:04:28.904 --> 00:04:35.809 生徒や家族や友人が 読んでくれたものです 00:04:35.809 --> 00:04:37.346 ミセス ロイス・ ドエリー 00:04:37.346 --> 00:04:40.324 後に第二の母と呼んだ人ですが 00:04:40.324 --> 00:04:43.976 彼女はテープに何千時間分も読んでくれました 00:04:43.976 --> 00:04:46.440 私がここで話すことにした理由のひとつは 00:04:46.440 --> 00:04:48.929 ここに来たロイスをみなさんに紹介して 00:04:48.929 --> 00:04:52.966 改めて感謝したいと思ったからです 00:04:52.966 --> 00:04:56.715 残念なことに 彼女の健康状態が それを許してくれませんでしたが 00:04:56.715 --> 00:05:01.303 私はここからロイスに感謝の意を表します 00:05:01.303 --> 00:05:08.291 (拍手) 00:05:13.776 --> 00:05:20.635 1984年にアップルのコンピューターに 出会いました 00:05:20.635 --> 00:05:22.160 そしてこう考えました 00:05:22.160 --> 00:05:27.128 "これはガラス画面の機械だ 何の役にもたつまい" 00:05:27.128 --> 00:05:31.182 何という間違いでしょう 00:05:31.182 --> 00:05:35.715 1987年 長男のジェラードが生まれた月に 00:05:35.715 --> 00:05:38.169 初めての視覚障害者用コンピューターを 入手しました 00:05:38.169 --> 00:05:41.383 実はここにあります 00:05:41.383 --> 00:05:43.318 見えますか? 00:05:43.318 --> 00:05:47.601 そう このコンピューターには画面がありません 00:05:47.601 --> 00:05:51.919 (笑) 00:05:51.919 --> 00:05:53.913 盲目のコンピューターなのです 00:05:53.913 --> 00:05:55.813 (笑) 00:05:55.813 --> 00:05:58.418 キーノート ゴールド 84kというモデルです 00:05:58.418 --> 00:06:02.594 84kは84キロバイトのメモリを意味します 00:06:02.594 --> 00:06:05.495 (笑) 00:06:05.495 --> 00:06:10.433 笑っちゃいけません 当時は4,000ドルもしたんです(笑) 00:06:10.433 --> 00:06:15.127 私の時計の方がたくさんメモリーが あるかもしれません 00:06:15.127 --> 00:06:18.147 これはニュージーランドの情熱的な発明家 ラッセル・スミスが 00:06:18.147 --> 00:06:20.945 視覚障害者を助けるため作ったものです 00:06:20.945 --> 00:06:24.747 残念なことに彼は2005年に飛行機事故で 亡くなってしまいましたが 00:06:24.747 --> 00:06:27.605 彼の記憶は私の心に残っています 00:06:27.605 --> 00:06:29.857 これによって 私は初めて 00:06:29.857 --> 00:06:33.188 自分でタイプしたものを読むことができたのです 00:06:33.188 --> 00:06:35.145 これには音声合成機能が付いています 00:06:35.145 --> 00:06:37.405 1979年に初めて 労働法に関する本を書いたときは 00:06:37.405 --> 00:06:42.231 記憶だけを頼りにタイプライターに打ち込みました 00:06:42.231 --> 00:06:46.542 新しい機械では打ち込んだ文章を 読みあげてくれたのです 00:06:46.542 --> 00:06:48.220 84キロバイトのメモリでも 00:06:48.220 --> 00:06:51.620 コンピューターの世界に入ることができました 00:06:51.620 --> 00:06:57.008 1974年にアメリカのレイ・カーツワイルが 00:06:57.008 --> 00:06:59.758 本をスキャンして読み上げてくれる機械を 00:06:59.758 --> 00:07:02.289 作り始めました 00:07:02.289 --> 00:07:04.836 当時のOCRは単一のフォントでしか 00:07:04.836 --> 00:07:07.576 正しく動作しませんでしたが 00:07:07.576 --> 00:07:11.920 CCDのフラットベッドスキャナと 00:07:11.920 --> 00:07:13.426 音声合成の組み合わせにより 00:07:13.426 --> 00:07:17.832 どんなフォントにも対応する機械を作ったのです 00:07:17.832 --> 00:07:20.963 洗濯機のように大きな彼の機械は 00:07:20.963 --> 00:07:24.937 1976年1月13日に発売されました 00:07:24.937 --> 00:07:28.020 1989年の3月に 商用化されたカーツワイル朗読機に 00:07:28.020 --> 00:07:31.327 初めて触れた私は驚きました 00:07:31.327 --> 00:07:34.117 1989年の9月に私はモナシュ大学の 00:07:34.117 --> 00:07:37.310 法学部で準教授として 00:07:37.310 --> 00:07:39.282 指名されたタイミングで 00:07:39.282 --> 00:07:43.140 法学部は私が使えるようにと 導入してくれました 00:07:43.140 --> 00:07:47.173 生まれて初めて 本をスキャナーに置くだけで 00:07:47.173 --> 00:07:48.581 読めるようになったのです 00:07:48.581 --> 00:07:51.297 人々に親切にする必要はなくなりました! 00:07:51.297 --> 00:07:53.940 (笑) 00:07:53.940 --> 00:07:56.089 誰からも検閲される心配がなくなりました 00:07:56.089 --> 00:07:59.130 例えば 以前の私は というより今の私もですが 00:07:59.130 --> 00:08:01.602 性表現を含んだ内容を 00:08:01.602 --> 00:08:04.415 読み上げてもらうのは 恥ずかしいものです 00:08:04.415 --> 00:08:08.387 (笑) 00:08:08.387 --> 00:08:11.875 今は 真夜中に本を取り出しさえすれば…分かりますよね? 00:08:11.875 --> 00:08:17.598 (笑) (拍手) 00:08:21.528 --> 00:08:24.712 今ではカーツワイルのスキャナーは 00:08:24.712 --> 00:08:26.996 PCのソフトに置き換わりました 00:08:26.996 --> 00:08:28.340 小さくなったものです 00:08:28.340 --> 00:08:30.430 最新の小説をスキャンすれば 00:08:30.430 --> 00:08:32.635 視覚障害者用の本を 図書館で借りるより先に 00:08:32.635 --> 00:08:35.896 友人と小説について話すことができます 00:08:35.896 --> 00:08:39.136 これまで私は たくさんの人たちに助けられてきました 00:08:39.136 --> 00:08:41.767 彼らの多くは 会ってもいない人たちです 00:08:41.767 --> 00:08:45.416 一人はアメリカ人発明家の テッド・ヘンター 00:08:45.416 --> 00:08:47.788 彼はモーターバイクレーサーでしたが 00:08:47.788 --> 00:08:52.020 1978年に事故で視力を失いました 00:08:52.020 --> 00:08:55.579 モーターバイクに乗るには致命的でした 00:08:55.579 --> 00:08:58.375 それでも彼はウォータースキーヤーに転向して 00:08:58.375 --> 00:09:01.887 世界一の障害者ウォータースキーヤーになりました 00:09:01.887 --> 00:09:05.134 そして彼は1989年にビル・ジョイスと組んで 00:09:05.134 --> 00:09:09.269 コンピューター画面に書かれている文字を 00:09:09.269 --> 00:09:11.020 読み上げるプログラムを 00:09:11.020 --> 00:09:13.024 作りはじめます 00:09:13.024 --> 00:09:16.531 これはJAWSと呼ばれるもので 00:09:16.531 --> 00:09:18.535 このように読み上げてくれます 00:09:18.535 --> 00:09:22.420 (JAWSの音声) 00:09:29.985 --> 00:09:31.748 ちょっと遅いかな? 00:09:31.748 --> 00:09:32.718 (笑) 00:09:32.718 --> 00:09:34.986 この速度だと 私は寝てしまうでしょう 00:09:34.986 --> 00:09:36.195 今のは遅いバージョンです 00:09:36.195 --> 00:09:39.467 私が読む速度で 再生してもらうことにしましょう 00:09:39.467 --> 00:09:41.982 お願いします 00:09:41.982 --> 00:09:46.737 (JAWSの音声) 00:09:55.809 --> 00:09:57.832 (笑) 00:09:57.832 --> 00:09:59.653 生徒のレポートを採点する時は 00:09:59.653 --> 00:10:01.570 さっさと終わらせたいですよね? 00:10:01.570 --> 00:10:08.648 (笑) (拍手) 00:10:11.139 --> 00:10:14.722 1987年に私を魅了したこの技術は 00:10:14.722 --> 00:10:18.443 今ではみなさんのiPhoneにも入っています 00:10:18.443 --> 00:10:21.977 しかし 機械と一緒に読む作業は 00:10:21.977 --> 00:10:24.390 寂しいものでもあります 00:10:24.390 --> 00:10:29.329 私は家族や友人が読み聞かせてくれる 環境で育ったので 彼らが私に 00:10:29.329 --> 00:10:32.248 読み聞かせてくれる時の暖かみや呼吸 00:10:32.248 --> 00:10:34.602 それに近接感を愛しています 00:10:34.602 --> 00:10:36.875 朗読してもらうのは好きですか? 00:10:36.875 --> 00:10:39.675 私の最も忘れられない思い出の一つが 00:10:39.675 --> 00:10:45.124 1999年にマリーが私と子供たちに "ハリーポッターと賢者の石"を 00:10:45.124 --> 00:10:47.520 マンリービーチの近くで 00:10:47.520 --> 00:10:50.925 読んでくれたことです 00:10:50.925 --> 00:10:53.228 素晴らしい本ですよね? 00:10:53.228 --> 00:10:56.060 私は今でも誰かにそばで 朗読してもらうのが好きです 00:10:56.060 --> 00:10:57.821 しかし 技術は手放しません 00:10:57.821 --> 00:11:03.111 それは 私に大いなる可能性を 与えてくれたから 00:11:03.111 --> 00:11:05.798 もちろん 障害者用の本は 00:11:05.798 --> 00:11:07.410 これらの技術より前にありました 00:11:07.410 --> 00:11:10.889 長時間再生用のレコードは 00:11:10.889 --> 00:11:12.278 1930年代初頭の発明です 00:11:12.278 --> 00:11:14.967 今ではDAISYという仕組みを使って 00:11:14.967 --> 00:11:20.530 読み上げた本を CDに書き込むことができます 00:11:20.530 --> 00:11:23.712 しかし 私は合成した声を聞いていると 00:11:23.712 --> 00:11:26.662 家に帰って本物の声で 00:11:26.662 --> 00:11:30.612 元気な小説が聞きたくなるのです 00:11:30.612 --> 00:11:32.684 私たち障害者の前には 00:11:32.684 --> 00:11:34.677 まだバリアーがあります 00:11:34.677 --> 00:11:37.595 多くのウェブサイトは JAWSやその他の技術では 00:11:37.595 --> 00:11:38.882 読むことができません 00:11:38.882 --> 00:11:41.086 ウェブサイトは視覚的で 00:11:41.086 --> 00:11:42.533 ラベルのないグラフや 00:11:42.533 --> 00:11:45.484 ラベルのないボタンが多くあります 00:11:45.484 --> 00:11:49.281 これこそ 標準化団体であるW3Cが 00:11:49.281 --> 00:11:54.844 インターネットの標準規格を設定した 00:11:54.844 --> 00:11:56.258 理由です 00:11:56.258 --> 00:12:01.688 私たちは 全てのインターネットユーザーや サイトの持ち主に 00:12:01.688 --> 00:12:03.910 標準規格に則って欲しいと思っています 00:12:03.910 --> 00:12:08.586 これにより 視覚障害者も同じ土俵に立つことができます 00:12:08.586 --> 00:12:12.641 法律によってもたらされるバリアもあります 00:12:12.641 --> 00:12:15.190 例えばオーストラリアでは 00:12:15.190 --> 00:12:17.682 他の1/3の国家と同じように 00:12:17.682 --> 00:12:22.226 視覚障害者のための 本の点字化に著作権が適用されない 00:12:22.226 --> 00:12:24.398 法律があります 00:12:24.398 --> 00:12:27.618 しかしこれらの本は国境を越えられません 00:12:27.618 --> 00:12:30.400 例えばスペインでは 10万冊のスペイン語の本に 00:12:30.400 --> 00:12:32.426 アクセスできます 00:12:32.426 --> 00:12:34.804 アルゼンチンでは5万冊 00:12:34.804 --> 00:12:36.583 他の南米の国では2千冊を 00:12:36.583 --> 00:12:38.660 越えるところはないでしょう 00:12:38.660 --> 00:12:40.765 しかしスペインから南米に 00:12:40.765 --> 00:12:43.590 本を持っていくことは違法なのです 00:12:43.590 --> 00:12:46.347 アメリカやイギリスやカナダ それにオーストラリアで 00:12:46.347 --> 00:12:49.223 手に入る何百冊、何千冊もの本が 00:12:49.223 --> 00:12:51.912 英語が使われている 00:12:51.912 --> 00:12:54.886 60もの国に持っていくことができない 00:12:54.886 --> 00:12:58.297 ハリーポッターの話をしましたが 00:12:58.297 --> 00:13:01.411 本が国境を越えられないので 異なるバージョンの本が 00:13:01.411 --> 00:13:03.335 それぞれの英語が使われている国で 00:13:03.335 --> 00:13:06.264 作られる必要があります 00:13:06.264 --> 00:13:09.315 イギリス アメリカ カナダ オーストラリア 00:13:09.315 --> 00:13:11.396 ニュージーランドでそれぞれ 00:13:11.396 --> 00:13:14.139 異なるバージョンの ハリーポッターが必要とされるのです 00:13:14.139 --> 00:13:17.253 ですから 来月モロッコで 00:13:17.253 --> 00:13:19.752 多くの国家が集まる会議が開かれます 00:13:19.752 --> 00:13:21.155 これらの国々と 00:13:21.155 --> 00:13:23.283 世界点字協議会が共同で 00:13:23.283 --> 00:13:25.601 条約を提唱します 00:13:25.601 --> 00:13:28.739 もし本が著作権の制約を受けておらず 00:13:28.739 --> 00:13:30.708 他国でも同様の仕組みがある時は 00:13:30.708 --> 00:13:33.106 国境を越えて本が持ち込めるようにするのです 00:13:33.106 --> 00:13:36.322 それにより これまで本を読むことができなかった多くの人 00:13:36.322 --> 00:13:40.247 特に発展途上国の視覚障害者に たくさんの可能性をもたらします 00:13:40.247 --> 00:13:42.359 私はこれを実現させたい 00:13:42.359 --> 00:13:50.598 (拍手) 00:13:50.598 --> 00:13:53.863 私の人生はとても幸運だったといえます 00:13:53.863 --> 00:13:56.497 結婚して子供もいて 00:13:56.497 --> 00:13:59.576 興味深い仕事をすることができました 00:13:59.576 --> 00:14:02.230 シドニー大学の法学部の 00:14:02.230 --> 00:14:03.502 学部長であったり 00:14:03.502 --> 00:14:07.023 現在の国連障害者権利委員会としての 00:14:07.023 --> 00:14:10.163 ジュネーブでの仕事などです 00:14:10.163 --> 00:14:15.158 実に恵まれた人間であると思っています 00:14:15.158 --> 00:14:18.166 未来は何を見せてくれるのでしょう 00:14:18.166 --> 00:14:21.857 技術はさらに進化するでしょう 00:14:21.857 --> 00:14:25.525 しかし私は60年前の母親の言葉を忘れません 00:14:25.525 --> 00:14:27.459 "あなたは目が見えないのよ" 00:14:27.459 --> 00:14:31.604 "指で読むことはできないのだから" 00:14:31.604 --> 00:14:36.781 私は本を読むという 私や世界中の視覚障害者にとっての夢が 00:14:36.781 --> 00:14:39.678 点訳者 ボランティアの朗読者 00:14:39.678 --> 00:14:42.868 そして情熱的な発明家の関わり合いによって 00:14:42.868 --> 00:14:45.872 かなえられたことに感謝しています 00:14:45.872 --> 00:14:49.518 スライドのページ送りをしている 00:14:49.518 --> 00:14:52.488 研究助手の ハナ・マーティンにも感謝します 00:14:52.488 --> 00:14:56.879 妻であるマリー・クロック教授は私の光です 00:14:56.879 --> 00:14:58.237 私を迎えに来てくれるでしょう 00:14:58.237 --> 00:14:59.432 ありがとう 00:14:59.432 --> 00:15:01.432 もうお別れを言わねばなりません 00:15:01.432 --> 00:15:03.003 ごきげんよう どうもありがとう 00:15:03.003 --> 00:15:04.727 (拍手) 00:15:04.727 --> 00:15:13.965 イェイ!(拍手) 00:15:20.602 --> 00:15:26.571 どうもありがとう (拍手)