WEBVTT 00:00:09.584 --> 00:00:13.084 まず最初に プレゼンテーションはプレゼント 00:00:13.084 --> 00:00:14.841 だと私は普段言っています 00:00:14.841 --> 00:00:18.223 これは皆さんに与えるギフトという意味と 00:00:18.223 --> 00:00:22.070 もう一つ プレゼント 現在 その場 00:00:22.070 --> 00:00:24.129 この環境 空気 00:00:24.129 --> 00:00:27.567 これを共有するというのが重要だ という風に考えています 00:00:27.567 --> 00:00:30.544 私が サンフランシスコに留学した時に 00:00:30.544 --> 00:00:34.139 最初に撮った写真に たまたま これはスタンフォード大学で 00:00:34.139 --> 00:00:37.706 結婚式を挙げる その卒業生です 00:00:37.706 --> 00:00:40.010 そこに集まる卒業生の皆さん 00:00:40.010 --> 00:00:44.550 ここには人と人の愛が形になっていました 00:00:44.550 --> 00:00:46.883 これはもうまさにプレゼントだと思うんですね 00:00:46.883 --> 00:00:49.886 幸せをみんなに共有してもらいたい 00:00:49.886 --> 00:00:51.678 それを祝ってあげたい 00:00:51.678 --> 00:00:53.839 この思いをプレゼントする 00:00:53.839 --> 00:00:55.544 物ではないのです 00:00:55.544 --> 00:00:58.178 空間とか思い出とか時間 環境 00:00:58.178 --> 00:01:00.951 こういったものをプレゼントする 00:01:00.951 --> 00:01:04.476 そしてこの場 時間 これを共有する 00:01:04.476 --> 00:01:07.637 これがまさに人と人がコミュニケーションを取る時に 00:01:07.637 --> 00:01:11.633 非常に重要なところだという風に私は考えます 00:01:12.218 --> 00:01:14.812 つまり ギフト モーメント 00:01:14.812 --> 00:01:17.541 この二つの意味があると思うんですね 00:01:18.375 --> 00:01:21.585 では素晴らしいプレゼンテーションとは なんでしょうか 00:01:21.585 --> 00:01:23.666 こういった立ち振る舞いでしょうか 00:01:23.666 --> 00:01:26.022 スライドのデザインでしょうか 00:01:26.756 --> 00:01:28.709 では良いプレゼンターというのは 00:01:28.709 --> 00:01:32.962 どういうプレゼンターが 良いプレゼンターなんでしょうか 00:01:32.962 --> 00:01:36.004 私も数々のTEDx あるいはTED イベントに参加し 00:01:36.004 --> 00:01:39.463 スタッフとして関わり そして スピーカーをさせていただき 00:01:39.463 --> 00:01:41.238 感じたものがありました 00:01:41.238 --> 00:01:43.404 それは 自然にみなさんが 00:01:43.404 --> 00:01:46.463 スタンディングオベーションができるようなもの 00:01:46.463 --> 00:01:49.605 これはTED のトークの内容だけではなくて 00:01:49.605 --> 00:01:51.523 その人の思いであるとか背景 00:01:51.523 --> 00:01:55.889 そして来た皆さんの背景 そして生活環境 00:01:55.889 --> 00:02:00.040 そういったものとどこまでマッチするか コミュニケーションが取れるか 00:02:00.040 --> 00:02:02.607 そういうことだと 思うんですね 00:02:02.607 --> 00:02:06.590 日本の皆さんはなかなかシャイで 後ろの人にちょっと邪魔になるんじゃないか 00:02:06.590 --> 00:02:09.733 ということでなかなか スタンディングオベーションができません 00:02:09.733 --> 00:02:13.950 でも そういった ちょっとした勇気 ちょっとした垣根を取り払えば 00:02:13.950 --> 00:02:15.873 素晴らしいアイデアは 00:02:15.873 --> 00:02:18.023 "Ideas worth spreading" 00:02:18.023 --> 00:02:20.311 広がるという風に思うんですね 00:02:20.311 --> 00:02:23.546 それを私に印象づける出来事がありました 00:02:23.546 --> 00:02:27.215 2004年に田舎の病院に赴任した時に 00:02:27.215 --> 00:02:29.885 最先端治療のプレゼンテーションというのを 00:02:29.885 --> 00:02:32.679 してしまったんですね 00:02:32.679 --> 00:02:35.109 観客は皆さん80歳以上でした 00:02:35.109 --> 00:02:37.691 感想は「よく分からない」 00:02:38.238 --> 00:02:41.908 TED トークでももしかしたら こういうことがありえるかもしれない 00:02:41.908 --> 00:02:44.963 「どうだ 私は凄いだろう」という振る舞いで 00:02:44.963 --> 00:02:47.300 観客に響かないこともあるんです 00:02:47.300 --> 00:02:50.303 ここにはコミュニケーションは存在しません 00:02:50.303 --> 00:02:54.471 つまり プレゼンターだけでなくて オーディエンスとコミュニケーションを取れる 00:02:54.471 --> 00:02:57.979 というのがまさにプレゼンテーションであり 00:02:57.979 --> 00:02:59.815 プレゼントだと思うんですね 00:02:59.815 --> 00:03:04.030 アメリカではショー・アンド・テルという 訓練を子供の頃から受けます 00:03:04.030 --> 00:03:08.163 私もアメリカに在住してた時に ショー・アンド・テルという作業が 00:03:08.163 --> 00:03:12.255 最も人の心をつかむ ということを実感しました 00:03:12.255 --> 00:03:16.662 ものを見せ それについて語り みんなの意見をフラットな立場で聞く 00:03:16.662 --> 00:03:20.989 それをシェアする これがまさに「プレゼント」だという風に感じます 00:03:20.989 --> 00:03:24.006 それには物事とか事象 考えを 00:03:24.006 --> 00:03:27.506 可視化 ビジュアライゼーションする必要があるんです 00:03:27.506 --> 00:03:31.500 そこで 私は外科医として 00:03:31.500 --> 00:03:35.933 患者さんの状態や病気を可視化する研究を始めました 00:03:35.933 --> 00:03:39.661 例えばこのようなパソコンで 誰でも見られる 00:03:39.661 --> 00:03:43.090 患者さんでも自分で自分の体が見られるようなシステム 00:03:43.090 --> 00:03:44.791 この開発の研究をしました 00:03:44.791 --> 00:03:46.759 例えばこうです 00:03:46.759 --> 00:03:49.863 従来平面だったレントゲンは 立体画像になり 00:03:49.863 --> 00:03:51.864 好みの臓器 好みの血管 好みの骨 00:03:51.864 --> 00:03:54.968 こういったものを的確に表現できるようになります 00:03:54.968 --> 00:03:59.369 しかも簡単 安い 早い です 00:04:00.239 --> 00:04:03.087 このソフトはOsiriX(オザイリックス)といいます 00:04:03.087 --> 00:04:05.367 これは世界中に無料で 00:04:05.367 --> 00:04:08.867 オープンソースで 現在でも配布されているソフトです 00:04:08.867 --> 00:04:11.867 これを私はインターネットで偶然見つけました 00:04:11.867 --> 00:04:15.481 そしたらここに「オープンソース 100%フリー」 00:04:15.481 --> 00:04:17.284 と書いてありました 00:04:17.284 --> 00:04:18.995 これは衝撃でしたね 00:04:18.995 --> 00:04:20.764 この「オープンソース」という概念 00:04:20.764 --> 00:04:24.690 ソフトのすべてを公開し 誰でも改変ができるようにする 00:04:24.690 --> 00:04:27.786 そうすることによって 例えばプレゼンターに対して 00:04:27.786 --> 00:04:29.973 オーディエンスが 00:04:29.973 --> 00:04:32.975 自分の状況に合った形に 00:04:32.975 --> 00:04:35.201 変えていけるんです 00:04:35.201 --> 00:04:38.299 こういった双方向性 展開性 00:04:38.299 --> 00:04:42.398 そして インタラクション 交差性 というのが必要になってくるわけです 00:04:42.398 --> 00:04:45.055 レントゲン画像を立体にするというソフトです 00:04:45.055 --> 00:04:47.323 しかも無料なので 00:04:47.323 --> 00:04:51.211 医師だけではなくて 学生や看護師 00:04:51.211 --> 00:04:54.118 医療に関わる全ての人 さらに健康な人でも 00:04:54.118 --> 00:04:56.565 自分の体を手に取るように分かるわけです 00:04:56.565 --> 00:04:59.436 特に外科医はそれを手術室に持ち込み 00:04:59.436 --> 00:05:01.435 実際の患者さんの手術中に 00:05:01.435 --> 00:05:05.074 その人の内蔵をあたかもカーナビのように 00:05:05.074 --> 00:05:07.710 見ることができるわけです 00:05:07.710 --> 00:05:11.527 手術中という厳しい環境では マウスを動かしたりはできません 00:05:11.527 --> 00:05:15.557 そこで日本には非常に良いものがありました 00:05:17.920 --> 00:05:19.949 こういったものを使うと 00:05:19.949 --> 00:05:22.578 この加速度センサーを腹腔鏡 00:05:22.578 --> 00:05:24.907 お腹に刺さったカメラにくっつければ 00:05:24.907 --> 00:05:28.544 カメラの動きにナビゲーションが 同期してくれるんです 00:05:29.350 --> 00:05:31.963 わずか4千円です 00:05:31.963 --> 00:05:36.164 こういったものこそ 人の命を救うのではないでしょうか 00:05:37.406 --> 00:05:41.333 この画面を見ながら手術をするのに 一つ問題がありました 00:05:41.333 --> 00:05:45.213 若いドクターは画面ばっかり見てしまって 手術野を見てくれない 00:05:45.213 --> 00:05:47.618 手術が止まってしまうという現象がありました 00:05:47.618 --> 00:05:50.354 これを解決する簡単な手段がありました 00:05:50.354 --> 00:05:53.364 お腹に投影をするんです 00:05:53.364 --> 00:05:55.157 患者さんの実際のデータを 00:05:55.157 --> 00:05:58.477 手術中に投影をし濃度を変化させます 00:05:59.100 --> 00:06:01.157 内蔵 血管 病気 ガン 00:06:01.157 --> 00:06:03.534 こういったものが全て手術中に 00:06:03.534 --> 00:06:08.064 外科医の必要な分だけ 表示することができるんです 00:06:08.064 --> 00:06:12.413 さらにお腹にカメラを入れ 小さな傷で手術をすれば 00:06:12.413 --> 00:06:14.311 このスクリーンが保たれるので 00:06:14.311 --> 00:06:17.809 絶えず直感的な手術が 可能になるわけですね 00:06:17.809 --> 00:06:21.390 これを高価なシステムでやっては意味がないんです 00:06:21.390 --> 00:06:23.323 これは先ほどのオープンソースの 00:06:23.323 --> 00:06:25.956 無料のソフトを 市販のプロジェクターで 00:06:25.956 --> 00:06:28.458 投影してるだけなんです 00:06:28.458 --> 00:06:30.837 これがアイデアなんです 00:06:31.408 --> 00:06:34.471 広げる価値あるアイデアなんです 00:06:34.471 --> 00:06:39.050 誰もが使えなければ意味がない という風に私は思います 00:06:39.050 --> 00:06:41.057 さらにこのソフトも 00:06:41.057 --> 00:06:44.361 最も誰でも使えるようなマニュアルを 00:06:44.361 --> 00:06:46.528 私が作りました 00:06:46.528 --> 00:06:49.074 しかもこういったアプリケーションの形にし 00:06:49.074 --> 00:06:51.950 日本語版 英語版 両方用意し 00:06:51.950 --> 00:06:54.184 世界中に配布をしました 00:06:54.184 --> 00:06:58.157 そうすることによって誰でも気軽に扱える 00:06:59.095 --> 00:07:02.907 例えば このような携帯音楽プレイヤー 00:07:02.907 --> 00:07:06.876 この中でも立体画像が誰でも 指を動かすだけで 00:07:06.876 --> 00:07:10.239 直感的に操作ができるようなシステムを開発しました 00:07:10.239 --> 00:07:13.302 これこそが コンシューマライゼーション 00:07:13.302 --> 00:07:16.739 消費者 使う人の立場に立った 00:07:16.739 --> 00:07:21.069 ユーザビリティというものだという風に考えます 00:07:23.147 --> 00:07:25.682 さらにこのオープンソースというところが 00:07:25.682 --> 00:07:28.451 発展に非常に大きな貢献をしました 00:07:28.451 --> 00:07:30.830 ソフトウェアが全て公開されているので 00:07:30.830 --> 00:07:32.973 誰でも好きなように改変ができ 00:07:32.973 --> 00:07:36.157 どんどん新しく展開ができるのです 00:07:36.157 --> 00:07:40.465 その内容を開発した本部にフィードバックをすれば 00:07:40.465 --> 00:07:44.217 本体の開発が非常に促進されるんです 00:07:44.217 --> 00:07:46.965 よくオープンソースではビジネス化されないと言われます 00:07:46.965 --> 00:07:48.805 似たようなものが作られてしまうから 00:07:48.805 --> 00:07:51.907 ではなくて 世界中のみんなが仲間になれば 00:07:51.907 --> 00:07:54.967 世界中のみんなが開発者になるんです 00:07:54.967 --> 00:07:59.053 こういった味方につけるぐらいの魅力があれば 00:07:59.053 --> 00:08:01.449 オープンソースは成り立つという風に考えます 00:08:01.449 --> 00:08:06.023 私は2006年 この開発者に会いにシカゴにいきました 00:08:06.023 --> 00:08:08.857 そこで彼らのプレゼンテーションを聞くだけではなくて 00:08:08.857 --> 00:08:11.429 私がプレゼンテーションをしました 00:08:11.429 --> 00:08:15.732 彼らは放射線科医で診断のために このソフトを作ったのですが 00:08:15.732 --> 00:08:19.813 私は外科医として治療のために こんなに役に立つ方法があるよと 00:08:19.813 --> 00:08:22.194 私がプレゼントしたんです 00:08:22.194 --> 00:08:25.924 そうすることによって 彼らと意気投合し 00:08:25.924 --> 00:08:29.350 開発チームに加わることになったのです 00:08:29.350 --> 00:08:31.471 彼らにとって新しい視点だったそうです 00:08:31.471 --> 00:08:34.619 外科医の立場で治療に役立てるということを 00:08:34.619 --> 00:08:37.273 これが彼らがオープンソースにした 00:08:37.273 --> 00:08:39.474 最も顕著な理由なんです 00:08:39.479 --> 00:08:42.062 その理由を私が見つけ 00:08:42.062 --> 00:08:45.249 それに応えることが できたんですね 00:08:45.249 --> 00:08:47.419 非常に嬉しいことにこのストーリーを 00:08:47.419 --> 00:08:49.701 Apple の本社のアメリカのサイトに 00:08:49.701 --> 00:08:52.690 紹介していただく機会がありました 00:08:52.690 --> 00:08:54.460 こういった人との繋がりというのは 00:08:54.460 --> 00:08:58.499 またさらにたくさんの人を呼ぶという風に思います 00:08:58.499 --> 00:09:03.304 これがきっかけでこのOsiriX ソフトの 00:09:03.304 --> 00:09:06.407 公式のプロモーター 00:09:06.407 --> 00:09:09.290 そしてトレーナーとして認定していただき 00:09:09.290 --> 00:09:13.748 今世界中にこれを普及する活動を させていただいています 00:09:13.748 --> 00:09:17.529 さらにApple の本社に このソフトの開発 00:09:17.529 --> 00:09:20.735 さらに普及を進めるためのこのホームページ 00:09:20.735 --> 00:09:23.651 これを一緒にデザインしようと 声をかけていただきました 00:09:23.651 --> 00:09:26.456 さらにそこのすぐ近くの 00:09:26.456 --> 00:09:30.813 スタンフォード大学の付属の アメリカ退役軍人局病院 00:09:30.813 --> 00:09:32.831 そこに招いていただき 00:09:32.831 --> 00:09:35.798 軍の施設としてこのインフラ構築 00:09:35.798 --> 00:09:38.635 画像を誰でも気軽に共有できるようなシステム 00:09:38.635 --> 00:09:41.135 これを一緒に作ろうと 声をかけていただき 00:09:41.135 --> 00:09:43.635 留学にいたったわけです 00:09:43.635 --> 00:09:47.802 ここで全ての人にオープンマインド 00:09:47.802 --> 00:09:51.746 心を開くという準備がないと こういったことが達成できません 00:09:51.746 --> 00:09:55.986 いつかこういったステージで このソフトウェア そして我々のコンセプトを 00:09:55.986 --> 00:09:58.885 紹介する日がくるということを夢見て 00:09:58.885 --> 00:10:01.428 それからジュネーヴ大学に渡り 00:10:01.428 --> 00:10:05.043 彼らの開発チームに 菅野氏と一緒に加わることができ 00:10:05.043 --> 00:10:06.238 (ビデオ) 00:10:06.238 --> 00:10:08.645 これは開発者です 00:10:08.645 --> 00:10:11.052 (ビデオ) 00:10:11.052 --> 00:10:13.459 ジュネーヴの教授のオスマン・ラティブ氏 00:10:13.459 --> 00:10:16.209 彼と一緒にこのさらに先の開発をしよう 00:10:16.209 --> 00:10:18.708 という約束をつけました 00:10:18.708 --> 00:10:22.693 そしてこういった教材を作り 世界中に無料で配布し 00:10:22.693 --> 00:10:24.993 さらに今ではこういったタブレット端末で 00:10:24.993 --> 00:10:29.126 簡単に立体画像が誰でも見れるようなシステムを構築したり 00:10:29.126 --> 00:10:33.169 そしてそれを教育として 学生の授業に使ったり 00:10:33.169 --> 00:10:36.000 3D画像を手の中で見入ることによって 00:10:36.000 --> 00:10:38.536 彼らは笑顔で楽しみを持って 00:10:38.536 --> 00:10:41.690 学習に勤しむことができるのです 00:10:41.690 --> 00:10:45.569 彼らはディスカッションを始め こんなに楽しい学習はないと 00:10:45.569 --> 00:10:48.148 自主的に始めるんですよね 00:10:48.148 --> 00:10:53.225 これが教育の醍醐味というものだというのを感じました 00:10:54.745 --> 00:10:58.702 更に看護婦さんたちは この立体画像であるからこそ 00:10:58.702 --> 00:11:03.003 簡単に理解ができ 病棟業務という厳しい業務の中でも 00:11:03.003 --> 00:11:06.532 スムーズにこういった業務の進行ができます 00:11:06.532 --> 00:11:09.328 患者さんの説明にも 非常に有用です 00:11:09.328 --> 00:11:12.667 難しい専門用語の並んだ同意書ではなくて 00:11:12.667 --> 00:11:14.750 自分の体を触ってもらう 00:11:14.750 --> 00:11:17.713 例えばこれはドクターヘリです 00:11:17.713 --> 00:11:21.182 厳しい環境でも 患者さんに向き合うことができる 00:11:21.182 --> 00:11:24.118 これはもう既に医療の壁を越えます 00:11:24.118 --> 00:11:27.097 ちょっとしたエレベーター あるいは廊下の搬送時間でも 00:11:27.097 --> 00:11:30.905 医師同士 医療従事者同士が コミュニケーションがとれ 00:11:30.905 --> 00:11:33.250 的確な情報伝達ができます 00:11:33.250 --> 00:11:34.975 (ビデオ)すごい 00:11:34.975 --> 00:11:39.501 (ビデオ)1枚1枚 見るよりいいですよね 部分的に見られるから 00:11:39.501 --> 00:11:42.655 患者さんサイドに立つということが 非常に重要だったんです 00:11:42.655 --> 00:11:44.806 それをこれは成し遂げました 00:11:44.806 --> 00:11:48.741 こういったものは非常に一般の方々に 受け入れられます 00:11:50.162 --> 00:11:52.838 さらにここで一つ問題がありました 00:11:52.838 --> 00:11:56.977 バーチャルリアリティは あくまでバーチャルで平面です 00:11:56.977 --> 00:11:59.945 3Dにみてもこれはバーチャルであって 00:11:59.945 --> 00:12:02.149 リアルじゃないんです 00:12:02.149 --> 00:12:06.252 人は直接手で触れて温もりを感じて 00:12:06.252 --> 00:12:08.864 命というものを感じるんです 00:12:08.864 --> 00:12:12.392 子供が小さな頃ものを口に入れるのは 00:12:12.392 --> 00:12:14.962 まず触覚で ものを確かめるためなんです 00:12:14.962 --> 00:12:16.898 こういった原始的な触覚が 00:12:16.898 --> 00:12:19.997 今までの画像診断にはありませんでした 00:12:19.997 --> 00:12:24.773 だったら触覚をつければ良いんです 00:12:24.773 --> 00:12:28.903 3Dプリンタという技術を使うと このオープンソースのソフトウェアならこそ 00:12:28.903 --> 00:12:32.996 臓器が立体コピーできるんです 00:12:32.996 --> 00:12:37.340 二種類の異なる 固い 柔らかい樹脂を スプレー状に噴射し 00:12:37.340 --> 00:12:41.230 髪の毛の半分の細さずつ 積層していきます 00:12:41.230 --> 00:12:43.830 そうすると様々な臓器 様々な人体が 00:12:43.830 --> 00:12:46.392 立体コピーできるんです 00:12:46.392 --> 00:12:48.824 サイズも等身大 大きく小さく 00:12:48.824 --> 00:12:51.305 自由に変えることができます 00:12:51.305 --> 00:12:55.270 ここで重要なのは ただ臓器をコピーするだけではないんです 00:12:55.270 --> 00:13:00.106 この出来上がったものには触感 柔らかさがあるので 00:13:00.106 --> 00:13:04.329 命を感じることができるんですね 00:13:04.329 --> 00:13:08.830 これがもし固いものだと 命を感じることはないんです 00:13:09.614 --> 00:13:12.452 手に持つ 自分で自由に触れることによって 00:13:12.452 --> 00:13:15.790 この中に命を吹き込むことができました 00:13:16.452 --> 00:13:19.413 例えばこの臓器の模型を作る際に 00:13:19.413 --> 00:13:23.263 あらかじめ例えばこのような多発する骨盤骨折 00:13:23.785 --> 00:13:26.666 折れてる所を認定するだけではなくて 00:13:26.666 --> 00:13:30.672 正常な方を 未来イメージにデータを作れば 00:13:30.672 --> 00:13:33.769 治療のあと つまり未来が作れるんです 00:13:33.769 --> 00:13:36.069 この未来に対して 00:13:36.069 --> 00:13:39.313 例えばプレートをカスタマイズすれば 00:13:39.313 --> 00:13:43.102 個人個人の違いを 均一化することができるんです 00:13:43.102 --> 00:13:46.269 これがオーダーメイド医療ということになると思います 00:13:46.269 --> 00:13:50.353 さらにこのような多発するガンの症例 00:13:50.353 --> 00:13:53.948 たくさんガンがありすぎて どこをとっていいか分かりません 00:13:53.948 --> 00:13:56.352 画像だけでは難しいところを 00:13:56.352 --> 00:14:01.303 立体画像にし このまま触感を付け加えます 00:14:01.303 --> 00:14:03.112 そうすることによって 00:14:03.112 --> 00:14:06.481 手術の前に既にガンを持ち 臓器を持ち 00:14:06.481 --> 00:14:09.070 柔らかい臓器なので切る練習ができるのです 00:14:09.070 --> 00:14:12.491 人体を練習台にするわけにはいかないんです 00:14:12.927 --> 00:14:16.933 実際にこれを手術室に持ち込むと 一度やった手術を もう一回するので 00:14:16.933 --> 00:14:20.471 外科医は安心して治療が提供できるのです 00:14:20.471 --> 00:14:23.333 こういった簡易で しかも安いシステムは 00:14:23.333 --> 00:14:26.103 どこでも応用が利く という風に考えてます 00:14:26.103 --> 00:14:28.810 特にロボット手術のような最先端医療では 00:14:28.810 --> 00:14:32.685 模型で ロボットの練習をするという新しい展開 00:14:32.690 --> 00:14:35.326 こういったものが可能になるわけですね 00:14:35.326 --> 00:14:38.823 実際私は既に5つの病院で このシステムを導入し 00:14:38.823 --> 00:14:41.889 ロボット手術を行っております 00:14:42.902 --> 00:14:45.704 こういったテクノロジーは特に 健康な人だったり 00:14:45.704 --> 00:14:48.050 医療以外に役立てるべきだと 考えております 00:14:48.050 --> 00:14:49.786 例えば妊婦さん 00:14:49.786 --> 00:14:51.758 不安を抱えた妊婦さんの 00:14:51.758 --> 00:14:54.498 母体を透明 赤ちゃんを白い樹脂で造形し 00:14:54.498 --> 00:14:56.786 へその緒をいれてあげます 00:14:56.786 --> 00:14:59.188 生まれる前に赤ちゃんが抱けるんです 00:14:59.188 --> 00:15:03.594 このお母さんは この子のためなら頑張ろうと言いました 00:15:03.594 --> 00:15:05.482 この模型を持って初めて 00:15:05.482 --> 00:15:08.597 命というものを可視化し 感触化するんです 00:15:08.597 --> 00:15:10.759 このプロジェクトは素晴らしいことに 00:15:10.759 --> 00:15:15.136 ディスカバリーチャンネルに紹介していただいたんです 00:15:15.136 --> 00:15:18.724 これは国境を越えるということなんです 00:15:18.724 --> 00:15:21.669 こうして人と人は温もりを持って 00:15:21.669 --> 00:15:24.494 繋がっていくんだと思います 00:15:24.494 --> 00:15:28.970 ドイツのある会社はこのように ブログで私を紹介してくれました 00:15:28.970 --> 00:15:32.603 アメリカの企業も一緒に手を取り合って やろうと言ってくれました 00:15:32.603 --> 00:15:35.289 世界中でこういった展開を今 させていただいてます 00:15:35.289 --> 00:15:38.173 我々は誰でもどこでも使えるように 00:15:38.173 --> 00:15:39.899 インターナショナルなランゲージで 00:15:39.899 --> 00:15:43.399 このOsiriX のハンズオンコースというのをやってます 00:15:43.399 --> 00:15:46.185 世界各地で実際にソフトを触り 00:15:46.185 --> 00:15:49.791 実際に体験していただくという活動をしております 00:15:49.791 --> 00:15:51.897 しかもノンプロフィットで 00:15:51.897 --> 00:15:53.603 これは台湾ですね 00:15:53.603 --> 00:15:57.578 このマニュアルは 開発した本家からも 00:15:57.578 --> 00:16:01.182 本当に偉大な貢献だという風に 評価していただきました 00:16:01.182 --> 00:16:05.454 こうして人は温もりを持って繋がっていくんです 00:16:06.302 --> 00:16:09.957 我々医者は病気を健康まで戻します 00:16:09.957 --> 00:16:14.080 でも健康は本来0であり 00:16:14.080 --> 00:16:17.080 マイナスから0までなんです 00:16:17.080 --> 00:16:19.530 だったら医師は医療の技術と 00:16:19.530 --> 00:16:23.664 医療の知識で健康をさらに引き上げる 00:16:23.664 --> 00:16:25.972 プラスに持っていくべきだという風に考えてます 00:16:25.972 --> 00:16:28.010 これが教育です 00:16:28.010 --> 00:16:30.845 教育に温もりと触感を加えます 00:16:30.845 --> 00:16:34.021 これはまさに次元が一つ加わるので 00:16:34.021 --> 00:16:35.830 世の中の価値観を変える 00:16:35.830 --> 00:16:39.194 これがイノベーションということになるでしょう 00:16:39.194 --> 00:16:43.953 これは例えば中学校 高校の授業でも もう既に活用させていただき 00:16:43.953 --> 00:16:47.447 特に子供は一発で理解をするんですね 00:16:47.447 --> 00:16:51.700 こうして笑顔というのが 伝搬していくんだと思います 00:16:51.700 --> 00:16:56.100 自分自身を自然にありのままで プレゼントすれば 00:16:56.100 --> 00:16:58.129 思いというのは伝わるんじゃないでしょうか 00:16:58.129 --> 00:16:59.404 どうもありがとうございました 00:16:59.404 --> 00:17:02.713 (拍手)