WEBVTT 00:00:01.480 --> 00:00:07.520 マーク・ブラウンのGame Maker's Toolkitへようこそ 今回もゲームデザインについて語っていく 00:00:09.260 --> 00:00:14.620 2015年のゲーム業界はリマスターとリメイクだらけ 様々なゲームがリサイクルされた 00:00:14.630 --> 00:00:20.169 セインツロウ4、バイオハザード、ムジュラの仮面、 00:00:20.169 --> 00:00:25.249 ボーダーランズ、DMC4とDmC、 そしてレア社のほぼ全作品、 00:00:25.249 --> 00:00:30.400 風ノ旅ビト、ゴッドオブウォー3、ダクソ2、FF零式、 FF10、FF10-2、アンチャーテッド1~3、 00:00:30.400 --> 00:00:35.550 ダークサイダーズ2、Tearaway、Dishonored、 ギアーズ、ゼノブレイド…… 00:00:35.550 --> 00:00:38.989 こうしたリサイクルは必ずしも悪いことではないが 00:00:38.989 --> 00:00:43.460 これほど多くのスタジオが 過去にしがみついている中で 00:00:43.460 --> 00:00:44.859 新しいことに挑戦するのは困難に思える 00:00:44.859 --> 00:00:47.050 だがそれは杞憂だった 00:00:47.050 --> 00:00:51.250 過去の動画で紹介したように 00:00:51.250 --> 00:00:56.429 Nova-111はリアルタイム戦闘とターン制を 上手に組み合わせたし 00:00:56.429 --> 00:01:01.519 The Swindleのタイムリミット制は プレイヤーを見事に焦らせる 00:01:01.519 --> 00:01:05.920 Grow Homeの自由度あふれる山登りも、 00:01:05.920 --> 00:01:08.120 自動生成でミステリーを語るWesteradoも 今年の作品だ 00:01:08.120 --> 00:01:12.340 だがそれ以外のゲームにも 優れたデザインやアイデアを認めることができる 00:01:12.340 --> 00:01:19.570 今回は5つの実例を挙げてみたい 00:01:19.570 --> 00:01:24.990 まずはブラッドボーンだ ソウルシリーズ特有の難易度とダークさをそのままに 00:01:24.990 --> 00:01:30.840 過去作の洗練された戦闘システムに もう一捻り加えられている 00:01:30.840 --> 00:01:35.700 今作でフロム・ソフトウェアは 盾を弱体化し 00:01:35.700 --> 00:01:40.460 さらに「リゲインシステム」を導入することで 00:01:40.460 --> 00:01:42.479 アグレッシヴな戦闘を促している 00:01:42.479 --> 00:01:47.170 このシステムでは攻撃を食らうと 通常通りHPが削られるが 00:01:47.170 --> 00:01:51.479 すぐに反撃することによってある程度HPを 回復することができる 00:01:51.479 --> 00:01:55.509 かくてプレイヤーは木の板に隠れたり 逃げまわってポーションをがぶ飲みする代わりに 00:01:55.509 --> 00:02:00.000 積極的な攻撃を仕掛けることになる 00:02:00.000 --> 00:02:05.789 もちろんそこには、拙速な行動によって 即死するリスクが潜んでいる 00:02:07.680 --> 00:02:13.580 ソウルシリーズのディレクターを勤める宮崎英高は 00:02:13.590 --> 00:02:18.760 体力ではなく、戦い続けようとする精神力こそが HPの意味するものだと考えているそうだ 00:02:18.760 --> 00:02:23.170 つまり攻撃を受けると絶望的な気分になるが 反撃することによって 00:02:23.170 --> 00:02:26.080 いくらかの希望が湧いてくるのである 00:02:27.180 --> 00:02:32.860 MGS5のフルトン回収システムは PSPのピースウォーカーで既に登場していたが 00:02:32.860 --> 00:02:39.280 その醍醐味はファントムペインで 明確になった 00:02:39.290 --> 00:02:43.840 この機能では睡眠/気絶/投降状態にある 全ての敵兵を小型バルーンに括りつけ 00:02:43.840 --> 00:02:48.720 空の彼方へ打ち上げることによって マザーベースに送ることができる 00:02:48.720 --> 00:02:50.040 動物や乗り物も回収できるが 00:02:50.040 --> 00:02:55.239 ゲームデザインの観点からは 敵兵の回収がもっとも興味深い 00:02:55.239 --> 00:03:00.199 ステルスゲームの製作者たちは、敵NPCを 殺さないことの動機作りに苦労してきた 00:03:00.200 --> 00:03:05.599 死んでいない敵は起き上がりかねないので 不殺を貫くとゲームプレイ上はデメリットしかない 00:03:05.600 --> 00:03:10.569 したがって実績やアンロックを狙う場合以外は 消音ピストルで敵の頭に鉛玉をブチ込むのが 00:03:10.569 --> 00:03:12.780 簡単な解決策だった 00:03:12.780 --> 00:03:17.340 しかしMGS5では、能力の高い兵士は マザーベースで便利に使えるので 00:03:17.340 --> 00:03:22.500 殺さずに他の兵士から隔離し 00:03:22.500 --> 00:03:26.090 空に打ち上げるのが有効な戦術になってくる 00:03:26.090 --> 00:03:31.220 ゴミ性能のゴミ兵士を殺すことの実害は依然ないが 00:03:31.220 --> 00:03:35.780 このシステムがある以上皆殺しは賢い選択ではない 00:03:39.840 --> 00:03:45.140 スプラトゥーン最大の長所は ステージをカラフルに塗りつぶせるところではなく 00:03:45.150 --> 00:03:48.390 イカとして潜ったり飛び回ったりすることでもない 00:03:48.390 --> 00:03:53.720 この2つが両方とも最大の長所であり 00:03:53.720 --> 00:03:55.960 より正確に言えば、両者が完璧に噛み合って 機能していることが重要なのである 00:03:55.960 --> 00:04:00.980 色を塗ることによって潜るための道を作り、 潜ることによって塗料をタンクに貯め、 00:04:00.989 --> 00:04:05.280 貯まった塗料で道を作り、 その道に潜って塗料を貯め…… 00:04:05.280 --> 00:04:07.760 まあもう充分お分かりだろう 00:04:07.760 --> 00:04:12.230 近年は一つの作品に複数のシステムが 導入されているのが普通だが、 00:04:12.230 --> 00:04:18.480 このように2つの異なるシステムが お互い共生関係にあるのは極めて珍しい 00:04:18.480 --> 00:04:22.420 射撃と水泳が別個に存在しているのではなく 00:04:22.420 --> 00:04:27.110 単独ではどちらも成立しえないのである 00:04:27.110 --> 00:04:33.130 本作の全ての局面で、プレイヤーはこの2つの システムを往復する必要がある 00:04:33.130 --> 00:04:34.250 それは歯ごたえがあり、楽しい 00:04:34.250 --> 00:04:39.170 単にCoDの銃弾を塗料に置き換えて 撃ち合いをするだけのゲームだったら 00:04:39.170 --> 00:04:41.530 ここまで面白い作品にはならなかったはずだ 00:04:45.680 --> 00:04:51.160 チェックポイントがゲームの緊張感を左右する ことについても過去の動画で確認した 00:04:51.160 --> 00:04:55.960 コンソール版Far Cry 2はその間隔がきわめて広く 00:04:55.960 --> 00:05:00.630 30分間セーブしていない状態で銃撃戦に入って 絶望に暮れることは珍しくない 00:05:00.630 --> 00:05:03.010 しかしあまりにも頻繁にセーブされると プリンスオブペルシャ(2008)のようなゲームになる 00:05:03.010 --> 00:05:08.480 オリとくらやみの森では、チェックポイントの間隔を プレイヤーの判断で決めることができる 00:05:08.480 --> 00:05:12.320 決められたオートセーブポイントの他に、 エナジーセルを消費することによって 00:05:12.320 --> 00:05:14.770 「ソウルリンク」と呼ばれる即席チェックポイントを 作ることができる 00:05:14.770 --> 00:05:19.290 セーブ頻度の裁量はプレイヤー次第であり 00:05:19.290 --> 00:05:23.360 落ち着くたびに毎回セーブするのか あるいは難所にセーブ無しで挑むのかという 00:05:23.360 --> 00:05:24.260 自由が与えられる 00:05:24.260 --> 00:05:28.350 だがこれはPCゲームでのクイックセーブの濫用とは 根本的に異なっている 00:05:28.350 --> 00:05:33.030 エナジーセルの数は限られているので ソウルリンクの使い所には注意しなければならない 00:05:33.030 --> 00:05:37.140 また、エナジーセルは強力な攻撃を繰り出すために 必要なリソースでもあるため 00:05:37.140 --> 00:05:41.500 使いみちの優先度も気にする必要がある 00:05:41.500 --> 00:05:45.710 このシステムはセーブという行為に戦略性を与え 攻略の一つの要素に昇華させている 00:05:45.710 --> 00:05:49.630 全てのアクションゲームに適合するものではないが 00:05:49.630 --> 00:05:54.550 進行状況の保存というコマンドに こうした味付けができることを 00:05:54.550 --> 00:05:57.470 デザイナーは知っておくべきだろう 00:05:59.840 --> 00:06:03.100 最後はライフイズストレンジ 00:06:03.110 --> 00:06:09.280 殺人やいじめ、自殺や家庭内暴力を扱った 暗いゲームだ 00:06:09.280 --> 00:06:14.810 「座る」というコマンドの存在は こうしたゲームだからこそ重要になってくる 00:06:14.810 --> 00:06:17.300 主人公のマックスが腰掛けてしばらくぼうっとする 地点が全エピソードに用意されているのだ 00:06:17.300 --> 00:06:22.180 彼女は考え事をしたり、我が身に降りかかってきた さまざまな事態について整理したりする 00:06:22.180 --> 00:06:27.860 「めちゃくちゃでふざけたことばかり起こったけど、 クロエとまた遊べるのは最高の気分だ」 00:06:27.860 --> 00:06:32.300 そこに素晴らしいBGMが加わり、 カメラはゆったりと揺れながら 00:06:32.300 --> 00:06:34.100 そのアングルを変化させてゆく 00:06:34.480 --> 00:06:38.920 マックスを過酷な物語に引き戻すタイミングは プレイヤーに委ねられている 00:06:38.930 --> 00:06:43.460 緊張感に満ちた叙情性を特徴とする本作において このシステムは実に重要と言える 00:06:43.460 --> 00:06:47.590 安息のチャンスがプレイヤーに与えられ 物語上の意味も持っている 00:06:47.590 --> 00:06:53.310 しかし本作とは別ジャンルのゲームにおいても この演出は意義深い 00:06:53.310 --> 00:07:00.050 ずっと激しいアクションが続くのは疲れるので 優秀な開発者はこうしたひとときを用意している 00:07:00.050 --> 00:07:04.780 疲れたプレイヤーはゲームを中断してしまうからだ 00:07:04.780 --> 00:07:06.540 つまりこれはプレイヤーをゲームから 離さないためのテクニックでもある 00:07:08.960 --> 00:07:13.880 以上が2015年の優れたゲームデザイン5選だ 00:07:13.880 --> 00:07:17.500 今月末の動画で、素晴らしいデザインをあと一つ 紹介するので楽しみにしていてほしい 00:07:17.500 --> 00:07:20.580 ひとまず視聴ありがとう 00:07:24.500 --> 00:07:26.800 視聴者の皆も今年気に入ったゲームデザインを コメント欄で紹介してほしい 00:07:26.810 --> 00:07:31.510 チャンネル登録すると新しい動画を いち早く観ることができる 00:07:31.510 --> 00:07:34.990 またPatreonでサポートしてもらえると大変ありがたい