企業は制御を失っています ウォールストリートで起きたことは ウォールストリートに留まりません ラスベガスで起きたことは YouTubeに アップされることになります (笑) 評判は移ろいやすく 忠誠心は移り気です 経営側と社員は ますます 乖離しているように見えます 最近の調査で 会社が 社員のやる気を 引き出していると思っている 管理職は27%ですが 同じ調査で そう 思っている社員は 4%しかいませんでした 企業は顧客や社員に対する 制御を失いつつあります でも 本当にそうなのでしょうか? 私はマーケターとして それが決して制御できるもの ではないと知っています 「ブランドとは自分が 部屋にいないとき 他の人たちが自分のことを どう言うかだ」と良く言いますが 現在における超接続性と 透明性のおかげで 企業はその部屋に 週7日24時間 いられるようになりました みんなの会話に耳を傾け 参加できるのです 実際この制御の喪失状況を かつてなく制御できる ようになっています それに合わせてデザインできるのです どのようにしてか? 1つは 社員や顧客に もっと力を 与えてしまうことによってです アイデアや 知識や コンテンツや デザインや 製品を生み出す際に 彼らに協力してもらう ことができます 例えば値段について もっと 力を与えることもでき それはバンドの レディオヘッドが アルバム「イン・レインボウズ」で やったことです 買い手が好きに 値段を 決められました ただしサイト限定で 一定の期間だけです このアルバムは 彼らの他の どのアルバムよりも よく売れました デンマークのチョコレート会社 アンソンバーグは コペンハーゲンに「思いやりストア」 というのをオープンしました チョコレートを買うとき お金を払う代わりに 好きな人のために何か良いことをする 約束をしてもらうのです これは取引を交流に 思いやりを貨幣に変えました ハッカーに力を与える ことだってできます マイクロソフトがXbox用の モーションコントロール装置 Kinectを売り出したとき それはすぐにハッカーたちの 興味を引くことになりました 最初マイクロソフトは ハックを 防ごうとしていましたが コミュニティを積極的にサポート する方が得策だと気付いて 方針を変えました コミュニティが生み出す 共同所有感 無料の宣伝 付加価値によって 売上が大きく押し上げられる ことになりました 顧客に対する究極の 権限移譲は 「買うな」と言うことでしょう アウトドア・ウェアの パタゴニアは 新品を買う前に eBayでの中古品の物色や 靴底の張り替えをするように 客に勧めています 大量消費に反対する さらに 過激な行動として クリスマスシーズンに 「このジャケットを買わないで」 という広告を打ちました 短期的な売上を犠牲にしても 価値観を共有し長く持続する 忠実な顧客との関係を 築こうとしているのです 仕事に対する権限を 与えられることによって 社員はより楽しく 生産的になることが 調査結果で示されています ブラジルのセムコグループは 社員に仕事のスケジュールや 給料まで 決めさせることで 知られています Huluや Netflixの オープン休暇制度では 自分で好きなだけ 休暇を設定できます 社員や顧客に もっと権限を 与えることもできれば 権限を減らしてしまうこともできます 古くからあるビジネスの知恵は 「予期できる振る舞いによって 信頼は築かれる」 と教えていますが すべてが一定で 標準化されているとしたら どうやって意味深い体験を 作り出せるのでしょう? できることを制限して しまうというのは 多すぎる選択肢の問題への 処方箋として 人々にもっと満足を 与えられるかもしれません 旅行サービスのNextpeditionは 旅行をゲームに変え 驚くような紆余曲折を 体験させてくれます 旅行者は 直前まで 行き先を知らされません 情報は その場になって 提供されます 同様に オランダの航空会社KLMは びっくりギフトキャンペーンを 始めました 旅行中に一見ランダムな 小さな贈り物が 旅行者に 手渡されます イギリスを本拠とする インターフローラは 顧客のツイートを見ていて 運の悪かった日にブーケを プレゼントしています 時間に追われていると 社員に感じさせないようにできる 方法はあるでしょうか? あります 他の人を 助けさせることです 最近の研究によると 1日のうちで時々 人助けの仕事をやり遂げると 総体として より生産的な感覚が 得られることが分かりました 私が働いている フロッグ・デザインでは 社内で出会いセッションをして 古顔と新顔を引き合わせ 素早く知り合えるようにしています 決まった手順を設けることで 彼らの力や選択肢は減りますが より豊かな社会的インタラクションが 可能になるのです 会社というのは 自らの 運命の作り手であり 私たち同様 予期せぬものに 晒されています それによってより 謙虚で 無防備で 人間的になるのです 結局のところ 超接続性と 透明性によって 会社のしていることは 白日の下に晒されるので 本当の自分に忠実であるというのが 持続しうる唯一の提供価値です バレエダンサーの アロンゾ・キングが言うように 「自分の興味深い点が何かというと それは自分だということ」なのです 会社にとっての 本当の 自分が現れ出るためには オープンであることが 何より重要ですが 極度のオープンさが 答えというわけではありません すべてがオープンというのは 何もオープンでないのと同じです 「微笑みというのは 半分開き 半分閉じた扉である」と 作家のジェニファー・イーガンは 書いています 会社は 社員や顧客に 与える力を増減でき どれほどのオープンさが その人にとって良く 何をしまっておく必要があるか 考えることもできますが 単に微笑んで あらゆる可能性に オープンでいることもできます ありがとうございました (拍手)