1 00:00:00,642 --> 00:00:03,802 企業は制御を失っています 2 00:00:03,802 --> 00:00:05,407 ウォールストリートで起きたことは 3 00:00:05,407 --> 00:00:07,738 ウォールストリートに留まりません 4 00:00:07,738 --> 00:00:11,624 ラスベガスで起きたことは YouTubeに アップされることになります (笑) 5 00:00:11,624 --> 00:00:15,840 評判は移ろいやすく 忠誠心は移り気です 6 00:00:15,840 --> 00:00:18,416 経営側と社員は ますます 7 00:00:18,416 --> 00:00:21,440 乖離しているように見えます 8 00:00:21,440 --> 00:00:24,965 最近の調査で 会社が 社員のやる気を 9 00:00:24,965 --> 00:00:27,609 引き出していると思っている 管理職は27%ですが 10 00:00:27,609 --> 00:00:29,756 同じ調査で そう 思っている社員は 11 00:00:29,756 --> 00:00:32,199 4%しかいませんでした 12 00:00:32,199 --> 00:00:34,249 企業は顧客や社員に対する 13 00:00:34,249 --> 00:00:37,891 制御を失いつつあります 14 00:00:37,891 --> 00:00:40,141 でも 本当にそうなのでしょうか? 15 00:00:40,141 --> 00:00:43,438 私はマーケターとして 16 00:00:43,438 --> 00:00:46,465 それが決して制御できるもの ではないと知っています 17 00:00:46,465 --> 00:00:49,108 「ブランドとは自分が 部屋にいないとき 18 00:00:49,108 --> 00:00:52,303 他の人たちが自分のことを どう言うかだ」と良く言いますが 19 00:00:52,303 --> 00:00:56,434 現在における超接続性と 透明性のおかげで 20 00:00:56,434 --> 00:00:59,315 企業はその部屋に 週7日24時間 いられるようになりました 21 00:00:59,315 --> 00:01:01,790 みんなの会話に耳を傾け 参加できるのです 22 00:01:01,790 --> 00:01:04,990 実際この制御の喪失状況を 23 00:01:04,990 --> 00:01:07,380 かつてなく制御できる ようになっています 24 00:01:07,380 --> 00:01:10,430 それに合わせてデザインできるのです どのようにしてか? 25 00:01:10,430 --> 00:01:13,996 1つは 社員や顧客に もっと力を 与えてしまうことによってです 26 00:01:13,996 --> 00:01:17,392 アイデアや 知識や コンテンツや デザインや 製品を生み出す際に 27 00:01:17,392 --> 00:01:20,770 彼らに協力してもらう ことができます 28 00:01:20,770 --> 00:01:23,218 例えば値段について もっと 力を与えることもでき 29 00:01:23,218 --> 00:01:25,178 それはバンドの レディオヘッドが 30 00:01:25,178 --> 00:01:28,252 アルバム「イン・レインボウズ」で やったことです 31 00:01:28,252 --> 00:01:31,200 買い手が好きに 値段を 決められました 32 00:01:31,200 --> 00:01:36,050 ただしサイト限定で 一定の期間だけです 33 00:01:36,050 --> 00:01:40,009 このアルバムは 彼らの他の どのアルバムよりも よく売れました 34 00:01:40,009 --> 00:01:43,206 デンマークのチョコレート会社 アンソンバーグは 35 00:01:43,206 --> 00:01:46,388 コペンハーゲンに「思いやりストア」 というのをオープンしました 36 00:01:46,388 --> 00:01:48,807 チョコレートを買うとき お金を払う代わりに 37 00:01:48,807 --> 00:01:52,306 好きな人のために何か良いことをする 約束をしてもらうのです 38 00:01:52,306 --> 00:01:55,220 これは取引を交流に 39 00:01:55,220 --> 00:01:57,773 思いやりを貨幣に変えました 40 00:01:57,773 --> 00:02:00,734 ハッカーに力を与える ことだってできます 41 00:02:00,734 --> 00:02:03,185 マイクロソフトがXbox用の 42 00:02:03,185 --> 00:02:07,336 モーションコントロール装置 Kinectを売り出したとき 43 00:02:07,336 --> 00:02:10,272 それはすぐにハッカーたちの 興味を引くことになりました 44 00:02:10,272 --> 00:02:14,165 最初マイクロソフトは ハックを 防ごうとしていましたが 45 00:02:14,165 --> 00:02:17,028 コミュニティを積極的にサポート する方が得策だと気付いて 46 00:02:17,028 --> 00:02:18,787 方針を変えました 47 00:02:18,787 --> 00:02:22,023 コミュニティが生み出す 共同所有感 無料の宣伝 付加価値によって 48 00:02:22,023 --> 00:02:25,040 売上が大きく押し上げられる ことになりました 49 00:02:25,040 --> 00:02:27,369 顧客に対する究極の 権限移譲は 50 00:02:27,369 --> 00:02:30,462 「買うな」と言うことでしょう 51 00:02:30,462 --> 00:02:34,389 アウトドア・ウェアの パタゴニアは 52 00:02:34,389 --> 00:02:37,358 新品を買う前に eBayでの中古品の物色や 53 00:02:37,358 --> 00:02:40,925 靴底の張り替えをするように 客に勧めています 54 00:02:40,925 --> 00:02:44,163 大量消費に反対する さらに 過激な行動として 55 00:02:44,163 --> 00:02:46,256 クリスマスシーズンに 56 00:02:46,256 --> 00:02:49,756 「このジャケットを買わないで」 という広告を打ちました 57 00:02:49,756 --> 00:02:52,558 短期的な売上を犠牲にしても 58 00:02:52,558 --> 00:02:55,212 価値観を共有し長く持続する 忠実な顧客との関係を 59 00:02:55,212 --> 00:02:57,382 築こうとしているのです 60 00:02:57,382 --> 00:03:00,602 仕事に対する権限を 与えられることによって 61 00:03:00,602 --> 00:03:04,371 社員はより楽しく 生産的になることが 調査結果で示されています 62 00:03:04,371 --> 00:03:07,340 ブラジルのセムコグループは 63 00:03:07,340 --> 00:03:10,010 社員に仕事のスケジュールや 給料まで 64 00:03:10,010 --> 00:03:12,022 決めさせることで 知られています 65 00:03:12,022 --> 00:03:14,293 Huluや Netflixの オープン休暇制度では 66 00:03:14,293 --> 00:03:16,745 自分で好きなだけ 休暇を設定できます 67 00:03:16,745 --> 00:03:19,663 社員や顧客に もっと権限を 与えることもできれば 68 00:03:19,663 --> 00:03:23,935 権限を減らしてしまうこともできます 69 00:03:23,935 --> 00:03:26,682 古くからあるビジネスの知恵は 70 00:03:26,682 --> 00:03:29,391 「予期できる振る舞いによって 信頼は築かれる」 71 00:03:29,391 --> 00:03:32,036 と教えていますが すべてが一定で 標準化されているとしたら 72 00:03:32,036 --> 00:03:34,959 どうやって意味深い体験を 作り出せるのでしょう? 73 00:03:34,959 --> 00:03:38,426 できることを制限して しまうというのは 74 00:03:38,426 --> 00:03:40,688 多すぎる選択肢の問題への 処方箋として 75 00:03:40,688 --> 00:03:42,370 人々にもっと満足を 与えられるかもしれません 76 00:03:42,370 --> 00:03:45,183 旅行サービスのNextpeditionは 77 00:03:45,183 --> 00:03:48,388 旅行をゲームに変え 78 00:03:48,388 --> 00:03:51,960 驚くような紆余曲折を 体験させてくれます 79 00:03:51,960 --> 00:03:53,784 旅行者は 直前まで 行き先を知らされません 80 00:03:53,784 --> 00:03:56,853 情報は その場になって 提供されます 81 00:03:56,853 --> 00:04:00,836 同様に オランダの航空会社KLMは 82 00:04:00,836 --> 00:04:04,021 びっくりギフトキャンペーンを 始めました 83 00:04:04,021 --> 00:04:06,813 旅行中に一見ランダムな 84 00:04:06,813 --> 00:04:08,975 小さな贈り物が 旅行者に 手渡されます 85 00:04:08,975 --> 00:04:11,808 イギリスを本拠とする インターフローラは 86 00:04:11,808 --> 00:04:14,318 顧客のツイートを見ていて 87 00:04:14,318 --> 00:04:18,409 運の悪かった日にブーケを プレゼントしています 88 00:04:18,409 --> 00:04:20,422 時間に追われていると 89 00:04:20,422 --> 00:04:23,529 社員に感じさせないようにできる 方法はあるでしょうか? 90 00:04:23,529 --> 00:04:26,454 あります 他の人を 助けさせることです 91 00:04:26,454 --> 00:04:29,788 最近の研究によると 1日のうちで時々 92 00:04:29,788 --> 00:04:32,599 人助けの仕事をやり遂げると 93 00:04:32,599 --> 00:04:36,668 総体として より生産的な感覚が 得られることが分かりました 94 00:04:36,668 --> 00:04:40,337 私が働いている フロッグ・デザインでは 95 00:04:40,337 --> 00:04:44,938 社内で出会いセッションをして 古顔と新顔を引き合わせ 96 00:04:44,938 --> 00:04:47,898 素早く知り合えるようにしています 97 00:04:47,898 --> 00:04:51,220 決まった手順を設けることで 彼らの力や選択肢は減りますが 98 00:04:51,220 --> 00:04:55,954 より豊かな社会的インタラクションが 可能になるのです 99 00:04:55,954 --> 00:04:58,810 会社というのは 自らの 運命の作り手であり 100 00:04:58,810 --> 00:05:03,073 私たち同様 予期せぬものに 晒されています 101 00:05:03,073 --> 00:05:06,678 それによってより 謙虚で 無防備で 102 00:05:06,678 --> 00:05:09,498 人間的になるのです 103 00:05:09,498 --> 00:05:12,344 結局のところ 超接続性と 透明性によって 104 00:05:12,344 --> 00:05:14,654 会社のしていることは 白日の下に晒されるので 105 00:05:14,654 --> 00:05:18,288 本当の自分に忠実であるというのが 106 00:05:18,288 --> 00:05:21,839 持続しうる唯一の提供価値です 107 00:05:21,839 --> 00:05:24,484 バレエダンサーの アロンゾ・キングが言うように 108 00:05:24,484 --> 00:05:27,494 「自分の興味深い点が何かというと それは自分だということ」なのです 109 00:05:27,494 --> 00:05:30,548 会社にとっての 本当の 自分が現れ出るためには 110 00:05:30,548 --> 00:05:33,179 オープンであることが 何より重要ですが 111 00:05:33,179 --> 00:05:36,171 極度のオープンさが 答えというわけではありません 112 00:05:36,171 --> 00:05:39,581 すべてがオープンというのは 何もオープンでないのと同じです 113 00:05:39,581 --> 00:05:44,498 「微笑みというのは 半分開き 半分閉じた扉である」と 114 00:05:44,498 --> 00:05:46,552 作家のジェニファー・イーガンは 書いています 115 00:05:46,552 --> 00:05:49,132 会社は 社員や顧客に 与える力を増減でき 116 00:05:49,132 --> 00:05:52,619 どれほどのオープンさが その人にとって良く 117 00:05:52,619 --> 00:05:56,277 何をしまっておく必要があるか 考えることもできますが 118 00:05:56,277 --> 00:06:00,518 単に微笑んで あらゆる可能性に 119 00:06:00,518 --> 00:06:02,135 オープンでいることもできます 120 00:06:02,135 --> 00:06:06,246 ありがとうございました 121 00:06:06,246 --> 00:06:09,201 (拍手)