WEBVTT 00:00:06.818 --> 00:00:07.888 アメリカ先住民の話は 00:00:07.888 --> 00:00:10.368 よく知っていると思っている人が多いでしょう 00:00:10.368 --> 00:00:10.820 映画や本 00:00:10.820 --> 00:00:11.987 学校の授業で学びますから 00:00:11.987 --> 00:00:14.812 しかしそれは 思い込みかもしれません 00:00:14.812 --> 00:00:17.016 有名なアメリカ先住民の伝説には 多くの場合 00:00:17.016 --> 00:00:18.106 誤りも含まれています 00:00:18.106 --> 00:00:20.203 サカジャウェアを例に取ってみましょう 00:00:20.203 --> 00:00:21.327 きっと彼女のことを 00:00:21.327 --> 00:00:23.825 勇敢で美しいインディアンの 女性だと思っていますよね 00:00:23.825 --> 00:00:25.408 頼もしい案内役として 00:00:25.408 --> 00:00:28.170 ルイスとクラークの率いる かの有名な探検隊を助けました 00:00:28.170 --> 00:00:30.799 ただし その物語には 事実とは異なる部分があります 00:00:30.799 --> 00:00:33.759 サカジャウェアの生い立ちは 詳しく知られていませんが 00:00:33.759 --> 00:00:36.518 1788年に生まれたことは分かっています 00:00:36.518 --> 00:00:37.847 場所は現在のアイダホ州 00:00:37.847 --> 00:00:41.016 レムヒショショーニと呼ばれる アガイディカ族です 00:00:41.016 --> 00:00:43.292 1800年 12歳になった― 00:00:43.292 --> 00:00:45.528 サカジャウェアは他の少女数人とともに 00:00:45.528 --> 00:00:48.280 ヒダツァ族の一団に誘拐されました 00:00:48.280 --> 00:00:50.563 現在のノースダコタ州にある― 00:00:50.563 --> 00:00:52.274 部族の集落へ連れ去られたのです 00:00:52.274 --> 00:00:55.509 そこでフランス系カナダ人の猟師に 買い取られました 00:00:55.509 --> 00:00:57.411 トゥーサン・シャルボノーです 00:00:57.411 --> 00:00:58.528 それから約1年後 00:00:58.528 --> 00:01:01.269 彼女に初めての子供が授かりました 00:01:01.269 --> 00:01:02.794 妊娠が分かった直後 00:01:02.794 --> 00:01:05.868 探検隊がヒダツァ族の 集落近くに到着します 00:01:05.868 --> 00:01:07.957 隊を率いるメリウェザー・ルイスと ウィリアム・クラークは 00:01:07.957 --> 00:01:09.399 そこにマンダン砦を築きました 00:01:09.399 --> 00:01:10.735 周りの人々に話を聴き始め 00:01:10.735 --> 00:01:13.169 危険を伴う遠征の案内役を 探し始めました 00:01:13.169 --> 00:01:16.189 そしてサカジャウェアの夫 シャルボノーを雇うことにしました 00:01:16.189 --> 00:01:18.185 シャルボノーの年若い妻が 00:01:18.185 --> 00:01:20.764 通訳になってくれることを期待したからです 00:01:20.764 --> 00:01:22.695 ルイスとクラークは 探検の途中で 00:01:22.695 --> 00:01:25.318 先住民族と出会った時に 彼女の存在が頼りになると考えました 00:01:25.318 --> 00:01:26.894 クラークは日記に こう書きました 00:01:26.894 --> 00:01:28.590 「男性ばかりの探検隊にいる女性は 平和の象徴だ」と 00:01:28.590 --> 00:01:30.629 「男性ばかりの探検隊にいる女性は 平和の象徴だ」と 00:01:30.629 --> 00:01:32.897 ほどなくサカジャウェアは 男の子を産み 00:01:32.897 --> 00:01:35.986 ジャン・バプティスト・シャルボノーと 名付けます 00:01:35.986 --> 00:01:37.867 クラークは「ポンピー」と呼びました 00:01:37.867 --> 00:01:40.932 サカジャウェアは 板でポンピーを背負い 00:01:40.932 --> 00:01:42.739 探検隊に随行しました 00:01:42.739 --> 00:01:44.446 彼女は 先住民族と出会った際 00:01:44.446 --> 00:01:46.568 通訳を務めたばかりか 00:01:46.568 --> 00:01:49.673 他にも 目覚ましい働きを見せました 00:01:49.673 --> 00:01:51.218 植物の根を掘り 00:01:51.218 --> 00:01:52.671 食用になる植物を採取し 00:01:52.671 --> 00:01:54.044 ベリーの実も摘みました 00:01:54.044 --> 00:01:57.650 1805年 探検隊を乗せた船が 転覆しましたが 00:01:57.650 --> 00:01:59.049 彼女は水に飛び込み 00:01:59.049 --> 00:02:01.455 大事な書類や食糧などを回収しました 00:02:01.455 --> 00:02:03.007 最悪の事態を防いだのです 00:02:03.007 --> 00:02:05.899 ルイスとクラークの探検の記録も このとき 彼女が救いました 00:02:05.899 --> 00:02:08.396 その年の後半 ルイス大尉は3人の隊員を連れて 00:02:08.396 --> 00:02:11.735 探検隊の偵察として 本隊より約120キロメートル先行して 00:02:11.735 --> 00:02:13.526 ロッキー山脈を渡ります 00:02:13.526 --> 00:02:16.274 その翌日 一行は ショショーニ族の一団に遭遇しました 00:02:16.274 --> 00:02:19.057 その一団は サカジャウェアと 同じ種族であっただけでなく 00:02:19.057 --> 00:02:20.952 酋長のカメアワイトは 00:02:20.952 --> 00:02:24.310 サカジャウェアの実の兄でした 00:02:24.310 --> 00:02:25.786 子供の頃に誘拐されて以来 00:02:25.786 --> 00:02:27.703 5年もの間 家族と離れ離れだった― 00:02:27.703 --> 00:02:31.420 サカジャウェアは兄のカメアワイトと 感動的な再会を果たしました 00:02:31.420 --> 00:02:33.598 不運にも 彼女はそこに留まることはできず 00:02:33.598 --> 00:02:34.947 愛する兄に別れを告げて 00:02:34.947 --> 00:02:36.938 探検を続けたのです 00:02:36.938 --> 00:02:40.385 探検隊は苦難に直面し 凍死の危機にも見舞われました 00:02:40.385 --> 00:02:43.765 ロウソクを食べて 飢えをしのいだこともあります 00:02:43.765 --> 00:02:45.931 気温が上がり 寒さがしのぎやすくなると 00:02:45.931 --> 00:02:48.818 サカジャウェアは地面を掘り 植物の根を採って調理して 00:02:48.818 --> 00:02:51.188 全員が元気を取り戻したのです 00:02:51.188 --> 00:02:52.235 太平洋岸からの帰り道 00:02:52.235 --> 00:02:55.319 探検隊は見事な毛皮のガウンを着た 先住民に出会いました 00:02:55.319 --> 00:02:57.287 ルイスとクラークは ガウンを持ち帰り 00:02:57.287 --> 00:02:58.898 ジェファーソン大統領に献上したいと 00:02:58.898 --> 00:03:00.652 願いましたが 交換する物がありません 00:03:00.652 --> 00:03:02.730 そのとき サカジャウェアが 00:03:02.730 --> 00:03:05.535 彼女の一番の宝物だった ビーズのベルトを差し出して 00:03:05.535 --> 00:03:06.734 ガウンを手に入れたのです 00:03:06.734 --> 00:03:10.455 こうして 出発から2年以上をかけた― 00:03:10.455 --> 00:03:11.690 大探検を終えた一行は 00:03:11.690 --> 00:03:13.729 セントルイスに戻ったのです 00:03:13.729 --> 00:03:16.509 今 学校ではサカジャウェアのことを 00:03:16.509 --> 00:03:18.159 勇敢な案内役だと教わりますが 00:03:18.159 --> 00:03:20.565 彼女の実際の生涯は 他の多くの人と同様に 00:03:20.565 --> 00:03:22.548 歴史の教科書よりも 00:03:22.548 --> 00:03:25.299 波乱万丈だったのです