Japanese subtitles

← なぜALSの完治は難しいのか? ー フェルナンド・ヴィエイラ

運動ニューロン疾患またはルー・ゲーリック病とも呼ばれる筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、世界中で10万人に2人が罹患する難病です。ALSが発症すると、身体を思い通りに動かすのに必要な運動ニューロンがその機能を失い死んでいきます。フェルナンド・G・ヴィエイラが、ALSについて何がわかっているのか、そしてなにがまだわかっていないのかを解説します。

講師:フェルナンド・G・ヴィエイラ
アニメーション:Artrake Studio
*このビデオの教材:https://ed.ted.com/lessons/why-is-it-so-hard-to-cure-als-fernando-vieira

Get Embed Code
25 Languages

Showing Revision 9 created 12/28/2018 by Riaki Poništ.

  1. 1963年 21歳の物理学者
    スティーブン・ホーキングは
  2. 稀な神経筋疾患であると診断されました
  3. 筋萎縮性側索硬化症 (ALS)です
  4. 彼はだんだん歩けなくなり
  5. 手が使えなくなり
  6. 顔を動かせなくなり
  7. 飲み込むこともできなくなりました
  8. しかしその間も 彼の驚異的な知性は
    維持されており
  9. 診断から50年以上を経て
  10. ホーキングは歴史上もっとも業績のある
    有名な物理学者の一人になりました
  11. しかし 彼の病状が回復することはなく
  12. 2018年 76歳でその生涯を終えました
  13. 彼の診断から数十年が経ちますが
  14. ALSはいまだもっとも複雑で
  15. 謎に満ち
  16. 人類を冒す
    破壊的な病気のひとつです
  17. 運動ニューロン疾患や
    ルー・ゲーリッグ病とも呼ばれるALSに

  18. 世界全体で
    約10万人に2人が冒されます
  19. ALSでは
  20. 運動ニューロンと呼ばれる
  21. 自分の意志で
    体の筋肉を動かすのに必要な細胞が
  22. 機能を失い 死んでいきます
  23. どうして そして どのように
    これらの細胞が死ぬか分かっていません
  24. これがALSの治療が困難な理由の一つです
  25. ALS患者の90%は

  26. 明確な原因もなく突然発症します
  27. 残りの10%は遺伝性で
  28. ALSを持つ母親または父親から子へと
    変異した遺伝子が伝わって発症します
  29. 症状は一般的に40歳以上で始まります
  30. しかし稀に ホーキングのように
    より早くに発症することもあります
  31. ホーキングが発症後も長く生存したことも
    医学的な驚異でした
  32. ほとんどの患者の生存年数は
    発症後2〜5年で
  33. これはALSによって呼吸器に
    致命的な障害が起こるまでの時間です
  34. ホーキングが通常例と変わらなかった点は
  35. 彼の学習能力 思考
  36. そして知覚が損なわれなかったことです
  37. ほとんどのALS患者は
    認知能力の低下を起こしません
  38. 毎年ALSと診断される

  39. 12万人もの患者にとって
  40. この病気を完治させることは
    科学的、医学的にもっとも重要な
  41. 挑戦の一つです
  42. わからないことは多いですが

  43. ALSが神経筋システムにどう影響を及ぼすか
    わかってきたこともあります
  44. ALSは上位および下位運動ニューロンという
    2種類の神経細胞を障害します
  45. 健常人では 脳の皮質にある
  46. 上位運動ニューロンは
  47. 脊髄にある下位運動ニューロンへと
  48. 情報を伝えます
  49. 下位運動ニューロンは
    情報を筋線維へと伝え
  50. 筋肉を収縮したり弛緩させたりして
  51. 体を動かします
  52. 私たちが自分の意志で体を動かせるのは
  53. この経路を通して
    情報が伝えられるからです
  54. しかしALSで
    運動ニューロンが変性すると

  55. 情報伝達能力は壊され
  56. この重要な信号系は
    大混乱に陥ります
  57. 規則的な正常刺激が失われて
    筋肉は衰えます
  58. 何が運動ニューロンを変性させるのか

  59. ALSの大きな謎です
  60. 遺伝性の場合 親から子へと
    遺伝的な変異が伝えられます
  61. ALSには複数の遺伝子が関わっていて
  62. 運動ニューロンに様々な作用を及ぼし
  63. そのため 正確な原因を
    特定することは困難です
  64. ALSが散発的に発症する場合
    原因として可能性のあるのは
  65. 毒物や
  66. ウィルス
  67. ライフスタイル
  68. あるいは他の環境因子の
    複合作用かもしれません
  69. ALSにはあまりに多くの要素が関わるため
  70. 今のところALSと診断できる
    単一のテストは存在しません
  71. しかし 発症原因についての仮説は
    発展を続けています

  72. 有力な仮説のひとつは
    運動ニューロン内のいくつかのタンパク質が
  73. 正しく折りたたまれず
  74. 凝集して発症するというものです
  75. 正しく折りたたまれなかったタンパク質と
    その凝集体は 細胞から細胞へと拡散し
  76. それが正常な細胞機能を障害して
  77. 細胞が生きるためのエネルギーや
    タンパク質の生産を止めてしまいます
  78. 我々はさらにALSが
    運動ニューロンや筋線維だけでなく

  79. ほかの細胞にも影響をおよぼすことを
    発見しました
  80. ALS患者は多くの場合
    脳や脊髄に炎症を起こしていることから
  81. 異常な免疫細胞が運動ニューロンの死に
    関わっていると考えられます
  82. また ALSは神経細胞を支持する
    ある種の細胞の
  83. 活動を変化させると考えられています
  84. これらの要素から
    この病気の複雑さがはっきりしますが

  85. それらが病気にどう関与しているのかを
    理解する助けにもなっており
  86. 治療への新たな道を開いています
  87. 我々はゆっくりではありますが
    常に前進しています
  88. 我々は現在新しい治療薬や
  89. 損傷した細胞を修復するための
    新しい幹細胞治療法
  90. 病気の進行を遅らせるための
    新たな遺伝子治療法を開発しています
  91. 我々の知識の集積によって

  92. 未来を変える発見を期待しています
  93. ALSとともに生きる人々のために