アルファ雄の驚くべき科学
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0:01 - 0:04私はこれまで
数々の「アルファ雄」を見てきました -
0:05 - 0:06チンパンジーのアルファ雄です
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0:07 - 0:10本日はアルファ雄とは何か
お話ししたいと思います -
0:10 - 0:14人間に近く アルファ雄が存在する
チンパンジーから -
0:14 - 0:17学べることは沢山あるからです
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0:17 - 0:20アモスを例に挙げましょう
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0:20 - 0:23若い雄のチンパンジーで
アルファ雄でした -
0:23 - 0:25非常に人気者でしたが
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0:25 - 0:29病気になってしまい
地位を失いました -
0:29 - 0:31チンパンジーの雄は
弱くなった仲間を -
0:31 - 0:331〜2km先からでも
見分けられるので -
0:33 - 0:36アモスは攻撃され
地位を失い -
0:36 - 0:38どんどん衰弱していき
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0:38 - 0:41ついには隔離しなければ
ならなくなりました -
0:41 - 0:44群れは草の生い茂る島に
生息していて -
0:44 - 0:46檻に入れて隔離しなければ
なりませんでしたが -
0:46 - 0:49仲間がアモスに近づけるように
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0:49 - 0:51檻は開けておきました
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0:51 - 0:53すると感動的な
出来事が起こりました -
0:53 - 0:56仲間たちが
食べ物を持ってきたり -
0:56 - 1:00ねぐらを作ったり
中にくるまって寝るための木毛を -
1:00 - 1:01持ってきたりもしました
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1:01 - 1:04雌たちはアモスの背中に
木毛を敷いてあげていました -
1:04 - 1:07ずっしりと壁にもたれかかるアモスを
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1:07 - 1:10まさに病院で患者を看病するように
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1:10 - 1:12枕を作ってあげていました
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1:12 - 1:16私はこれこそ「アルファ雄」の
あり方だと思いました -
1:16 - 1:20アモスは愛され 尊敬され
みんなに看病されていました -
1:20 - 1:22いつもこうはいきません
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1:22 - 1:25地位を失った後
不幸な末路を辿る雄もいるからです -
1:25 - 1:31つまりアモスはリーダーとして
好かれた雄だと言えます -
1:31 - 1:34アルファ雄について検索すると
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1:34 - 1:38アルファ雄になる方法といった類の
ビジネス書が氾濫しています -
1:38 - 1:40中身は 周りをたたきのめし
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1:40 - 1:43周囲より抜きん出て
自分がボスであることを知らしめ -
1:43 - 1:45逆らうのを許さない
といったものです -
1:45 - 1:48このようなアルファ雄は
要は いじめっ子です -
1:49 - 1:53このような説明は
本当に残念でなりません -
1:53 - 1:56私自身『チンパンジーの政治学』
という本の著者として -
1:56 - 1:59「アルファ雄」という言葉に
一部 責任があるからです -
1:59 - 2:04この本をニュート・ギングリッジが
新人の連邦議会議員に薦め -
2:05 - 2:08何の役に立ったのかは知りませんが
とにかく本は推薦され -
2:08 - 2:12その後「アルファ雄」という言葉は
広く知られるようになりました -
2:12 - 2:16しかしこの言葉は誤った意味合いで
使われているように思います -
2:16 - 2:18表面的な意味合いで使われており
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2:18 - 2:21本当のアルファ雄とは何かが
伝わっていません -
2:21 - 2:23今日はそこをご説明します
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2:23 - 2:26この用語自体は
もっと前から存在していました -
2:26 - 2:301940年代 50年代の
オオカミの研究にまで遡ります -
2:30 - 2:32定義はいたってシンプルです
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2:32 - 2:34最高位の雄がアルファ雄なのです
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2:34 - 2:36最高位の雌はアルファ雌です
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2:36 - 2:40霊長類が作るグループには全て
アルファ雄とアルファ雌が1頭ずついます -
2:40 - 2:42それ以上はいません
必ず1頭です -
2:42 - 2:44その仕組みを説明します
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2:45 - 2:47まず第1に
ボディランゲージです -
2:47 - 2:52ここに2頭の雄チンパンジーがいます
同じ大きさです -
2:52 - 2:54しかし1頭は立って歩いており
毛は逆立っていて -
2:54 - 2:57大きな石を手に持っています
こちらがアルファ雄です -
2:57 - 3:00もう1頭は「パント・グラント」という
挨拶的な音声を発し -
3:00 - 3:02服従的な態度で
お辞儀をしています -
3:02 - 3:06これはチンパンジーが
安定した関係性を築くために -
3:06 - 3:07一日に何度も行う儀礼です
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3:08 - 3:11現場での動画をお見せしましょう
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3:11 - 3:15お見せするのはアルファ雄に
パント・グラントする雌チンパンジーです -
3:15 - 3:16見てください
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3:17 - 3:19雄が近づいています
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3:19 - 3:20雌は雄に対して唸り
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3:20 - 3:21(チンパンジーの呻き声)
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3:21 - 3:24雄は体中の毛を逆立てて
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3:24 - 3:26誇示行動を見せています
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3:27 - 3:30私は少々近づきすぎていますね
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3:30 - 3:33チンパンジーのほうが
ずっと強いので -
3:33 - 3:36この撮影中は少々不用心でした
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3:37 - 3:40さて何が起こっていたかというと
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3:40 - 3:43アルファ雄は体を持ち上げ
二本足で立ち -
3:43 - 3:44腕を広げていました
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3:44 - 3:46これを「二足ふんぞり歩き」と言い
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3:46 - 3:48高位の雄によく見られる行動です
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3:48 - 3:51非常にわかりやすいですよね
人間も同様のことをしますから -
3:51 - 3:52(笑)
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3:52 - 3:54人間がいつもやっていることです
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3:55 - 3:59この写真が特に興味深い点は
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3:59 - 4:01両側の年長の男性にあります
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4:01 - 4:03非常にチンパンジー的です
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4:03 - 4:05チンパンジーの場合
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4:05 - 4:08通常 最盛期を過ぎた
年長の雄がいます -
4:08 - 4:11もう自力ではアルファ雄に
なることができませんが -
4:11 - 4:14しかし 策を立てたり
連合を組んだり -
4:14 - 4:16他の雄の影で動き
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4:16 - 4:17多大な影響力を持つようになるのです
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4:18 - 4:21実際にアルファ雄よりも
影響力を持つ— -
4:21 - 4:23年配の雄がいたりするわけです
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4:23 - 4:25例を挙げましょう
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4:25 - 4:27かつて私が働いていた
オランダの動物園で -
4:27 - 4:30よく観察していた3頭の雄です
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4:30 - 4:34中央の雄は17歳のアルファ雄です
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4:34 - 4:38横にいる 毛づくろいの相手は
2倍年寄りで -
4:38 - 4:4117歳の雄を
リーダーに選びました -
4:41 - 4:44この年長の雄がどれだけ大きな力を
持っているか想像できるでしょう -
4:44 - 4:47現在のアルファ雄の地位を
仕立てあげたのですから -
4:47 - 4:48右側にいるのは
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4:48 - 4:51単独では最も強い雄です
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4:51 - 4:54檻の中で観察すると
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4:54 - 4:57この雄は 他2匹のそれぞれとの仲は
悪くないことがわかります -
4:57 - 5:00他2匹が手を組んだときに限って
うまくいかないのです -
5:00 - 5:03連合の形成は
チンパンジー社会を -
5:03 - 5:06私たちが思うよりも
複雑なものにしているのです -
5:06 - 5:08例えば 群れの中で
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5:08 - 5:11最も体の小さな雄が
アルファ雄になれたりもします -
5:11 - 5:14最も大きく力も強い
必要はないのです -
5:14 - 5:17最も小さい雄でも よい仲間を持ち
仲間の機嫌を保ち -
5:17 - 5:19または雌の支持があれば
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5:19 - 5:21アルファ雄になれます
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5:21 - 5:25連合という仕組みは
何もかもを複雑にしてしまうのです -
5:25 - 5:27私はここアメリカでいつも
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5:27 - 5:29予備選挙が終わるのを
心待ちにしています -
5:29 - 5:33党の団結を世に示す
必要がある時期だからです -
5:33 - 5:37まずはチンパンジーが
団結を示す様子をお見せしましょう -
5:37 - 5:39左手の雄2頭は
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5:39 - 5:40並んで座っています
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5:40 - 5:43大きな犬歯が見えますね
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5:43 - 5:46「自分たちは手を組んでいる
結束しているのだ」と -
5:46 - 5:49群れ全体に対して
はっきり示しているわけです -
5:49 - 5:52右側の2頭は
シンクロして歩いています -
5:52 - 5:55これも結束を示す
方法のひとつです -
5:55 - 5:57政治における連合において
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5:57 - 5:59団結を示すことは
非常に重要なのです -
6:00 - 6:03だから 私はいつも予備選挙での
その瞬間を楽しみにしているのです -
6:03 - 6:06というのも たとえ党内で
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6:06 - 6:08対立している2人がいても
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6:08 - 6:10どこかで結束する必要が
あるからです -
6:10 - 6:13おかげで非常に気まずい状況になります
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6:13 - 6:16仲の悪い人同士でも
互いを受け入れ -
6:16 - 6:17結束する必要がありますから
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6:17 - 6:21これこそ政党の団結に不可欠なのであり
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6:21 - 6:23さもなければ
党は崩壊してしまうかもしれません -
6:23 - 6:26例えばこの状況みたいに
うまくいかない場合 -
6:26 - 6:27(笑)
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6:27 - 6:29党にとっては最悪です
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6:29 - 6:32団結を示していないのですから
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6:32 - 6:35このように結束は
政治的な連合において特に重要で -
6:35 - 6:39これは人間もチンパンジーも同じです
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6:40 - 6:43では どうしたらアルファ雄に
なれるのでしょうか? -
6:43 - 6:47まず第一に 堂々としていて
威厳があることです -
6:47 - 6:49時には活力も見せつけ
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6:49 - 6:50自らの強さを知らしめます
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6:50 - 6:53そうするには
様々な方法があります -
6:53 - 6:56しかし一方で 寛大さも必要です
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6:56 - 6:59例えばリーダーを
引きずり降ろそうという -
6:59 - 7:00運動をしている雄たちは
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7:00 - 7:022〜3ヶ月かかるので その間に
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7:02 - 7:05群れの連合関係を
色々と試すわけですが -
7:05 - 7:07非常に寛大になります
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7:07 - 7:09誰にでもすぐ食べ物を分け与え
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7:10 - 7:13雌が抱える赤ん坊を
くすぐったりもします -
7:13 - 7:16雄チンパンジーは普段
赤ん坊に特段興味を示しません -
7:16 - 7:19しかし このような運動の最中は
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7:19 - 7:21赤ん坊に興味を示し
くすぐったりして -
7:21 - 7:24雌たちに取り入ろうとするのです
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7:24 - 7:25(笑)
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7:25 - 7:26もちろん人間も同じで
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7:26 - 7:29選挙活動で赤ん坊を抱き上げる
立候補者に -
7:29 - 7:30非常に興味を惹かれます
-
7:30 - 7:32赤ん坊には不本意でしょうが
-
7:32 - 7:33(笑)
-
7:33 - 7:37「高い高い」は世界に向けて
アピールする方法と化しているので -
7:37 - 7:39立候補者としては
やらざるを得ないわけです -
7:39 - 7:41また 非常に興味を惹かれたのは
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7:41 - 7:44前回の大統領選で
女性が立候補した時のこと -
7:44 - 7:46赤ん坊の抱え方は
こんな感じでした -
7:46 - 7:48赤ん坊が好む抱き方です
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7:48 - 7:50しかし もちろん
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7:50 - 7:51男性の立候補者と違って
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7:51 - 7:55赤ん坊を上手に抱えられると
示す必要はありませんでした -
7:55 - 7:57これはよくある戦術です
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7:57 - 7:59アルファ雄を目指す
雄チンパンジーは -
7:59 - 8:01かなりの時間をかけて
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8:01 - 8:04様々な仲間に取り入ろうとするのです
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8:05 - 8:08では アルファ雄が得る特権と
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8:08 - 8:11支払う犠牲とはなんでしょうか?
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8:12 - 8:14最大の特権は雌です
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8:14 - 8:16食べ物は重要ではありません
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8:16 - 8:19もし発情期の雌がいて
その雌に性的興味を抱いた場合 -
8:19 - 8:22雄は食べなくても
一週間は生きられますから -
8:22 - 8:24食べ物は二の次です
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8:24 - 8:26雄チンパンジーは —
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8:26 - 8:30我々生物学者は もちろん
これに説明をつけられます -
8:30 - 8:33セックスは繁殖につながり
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8:33 - 8:35繁殖の成功は
すなわち進化につながり -
8:35 - 8:38こうしてあらゆる生物は
進化するということです -
8:38 - 8:39群れの高位にいることで
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8:39 - 8:41繁殖に成功できるなら
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8:41 - 8:45群れの上位に登りたいという
願望がおのずと生まれます -
8:45 - 8:47これが特権です
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8:48 - 8:51犠牲の一つはもちろん
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8:52 - 8:54支持者の機嫌を取らなければ
ならないことです -
8:54 - 8:58年長の雄の支持によって
リーダーになった場合 -
8:58 - 9:01その雄と雌たちとの
性交を許さなければなりません -
9:01 - 9:04でないと年長の雄から
怒りを買うことになります -
9:04 - 9:06そして支持者を失います
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9:06 - 9:08このように
取引が行われているのです -
9:08 - 9:12アルファ雄になる支援をしてくれた
支持者の機嫌を取らなければならない -
9:12 - 9:14これが犠牲の一つです
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9:14 - 9:172つ目は その地位が
狙われていることです -
9:17 - 9:20アルファ雄という地位は
非常に重要で -
9:20 - 9:22誰もが 狙っているため
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9:22 - 9:24四六時中
警戒が必要です -
9:24 - 9:26油断は禁物です
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9:26 - 9:28他が手を組むのを
邪魔しなければならなかったり -
9:28 - 9:31雄チンパンジーがよくやることです
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9:31 - 9:33「分断し統治せよ」戦略を取るのです
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9:33 - 9:37非常にストレスの溜まる地位であり
それを証明するデータもあります -
9:37 - 9:39実地調査から得たデータです
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9:39 - 9:42チンパンジーではなく
ヒヒを対象としています -
9:42 - 9:44ヒヒの糞便を採取し
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9:44 - 9:47糖質コルチコイドを分析しました
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9:47 - 9:50このグラフを見ると
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9:50 - 9:53ヒヒの雄が低位であるほど
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9:53 - 9:57糞便中コルチゾールが
高いことがわかります -
9:57 - 9:59しかしアルファ雄の糞便は
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9:59 - 10:03最低位の雄より高レベルの
コルチゾールを含んでいます -
10:03 - 10:07アルファ雄はモテて最高だと
思うかもしれませんが -
10:07 - 10:10非常にストレスの多い地位であると
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10:10 - 10:12生理学的に証明できるわけです
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10:13 - 10:16では 義務はなんでしょう?
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10:16 - 10:19ここからが非常に面白いところで
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10:19 - 10:23典型的な「アルファ雄」像から
大きく逸れることになります -
10:24 - 10:27アルファ雄の義務は
2種類あります -
10:27 - 10:291つは群れの秩序を保つことです
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10:29 - 10:30調整義務といって
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10:30 - 10:32群れの争いを調整することです
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10:32 - 10:342つ目は最高の共感者であること
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10:34 - 10:37国家を慰める責任者である
とも言えます -
10:38 - 10:40まず秩序を保つことについて
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10:40 - 10:43この雄は 2頭の雌の
争いを止めています -
10:43 - 10:44左側と右側にいる雌たちは
-
10:44 - 10:47食べ物を巡って
喧嘩をしていました -
10:47 - 10:49雌にとって食べ物は
非常に重要ですからね -
10:50 - 10:53アルファ雄は2頭の間に立ち
争いを止めました -
10:53 - 10:55非常に興味深いのは
-
10:55 - 10:59この時のアルファ雄が
中立的であることです -
10:59 - 11:02自身の母親や親友を
贔屓したりしません -
11:02 - 11:04むしろ争いに割って入り
-
11:04 - 11:06概して 弱者の味方をします
-
11:06 - 11:09これが仲間の多大な支持を
集めるのです -
11:09 - 11:11最低位の仲間に
-
11:11 - 11:14安全を保障してくれるからです
-
11:14 - 11:16アルファ雄はここでは
中立的なのです -
11:16 - 11:18チンパンジーとしては
珍しいことです -
11:18 - 11:21通常は自身の仲間を好みますからね
-
11:21 - 11:23調定の得意なアルファ雄は
-
11:23 - 11:26群れの秩序を保つのが
上手いというわけです -
11:26 - 11:292つ目の義務は
他者に共感を示すことです -
11:29 - 11:32私は「共感」について
膨大な量の研究をしています -
11:32 - 11:34詳しくお話しする時間はありませんが
-
11:34 - 11:36今や「共感」とは
-
11:36 - 11:40ネズミやイヌ ゾウや霊長類など
様々な種類の動物を対象に -
11:40 - 11:42研究が行われている
ホットな分野です -
11:42 - 11:45ここに2頭のヒヒがいます
-
11:45 - 11:47手前のヒヒは
-
11:47 - 11:49喧嘩で痛めつけられ
-
11:49 - 11:52奥側のヒヒがもう一方に
腕をまわし 慰めています -
11:52 - 11:55実は 人間の幼児の
共感力も同じく -
11:55 - 11:59困っている人への
対応方法で測るのです -
11:59 - 12:01位の高い雄に
非常によく見られ -
12:01 - 12:06群れの仲間に
多大な安心感を与えます -
12:06 - 12:08例えば地震やハリケーンの
-
12:08 - 12:10被害を受けた場所に赴き
-
12:10 - 12:12安心感を与えるのです
-
12:12 - 12:14ローマ法王や大統領が
していることです -
12:14 - 12:17世界中どんなリーダーにも
同様の役割があります -
12:17 - 12:18女王も同様です
-
12:18 - 12:21慰めや安らぎを与えることが
-
12:21 - 12:23リーダーの重要な任務です
-
12:23 - 12:26この 秩序を保ち
安心を与えるという -
12:26 - 12:282つの役割をうまくこなす雄は
-
12:28 - 12:30リーダーとして非常に慕われます
-
12:30 - 12:32実は リーダー自身にも有利に働くので
-
12:32 - 12:34群れのためだけの行為ではありません
-
12:34 - 12:38トップの地位を強固にするからです
-
12:38 - 12:40アルファ雄として人気を集め
-
12:40 - 12:44仲間から尊敬されればされるほど
-
12:44 - 12:46その地位は強固になるのです
-
12:46 - 12:49たとえ他のチンパンジーが
対抗してきても -
12:49 - 12:52群れ全体がアルファ雄を
支持するでしょう -
12:52 - 12:54群れに良くしてくれるリーダーに
居続けてほしいからです -
12:54 - 12:58ですから群れは
良いリーダーにとても協力的で -
12:58 - 13:01威張り散らすリーダーには
全く協力しません -
13:01 - 13:03威張り屋のリーダーが
その座を失うときは -
13:03 - 13:06非常に不幸な状況に
陥りかねません -
13:06 - 13:08これは慰めの行為に関するデータで
-
13:08 - 13:11チンパンジーから取ったものです
-
13:11 - 13:15中〜低位のチンパンジーだと
仲間を慰める行為は -
13:15 - 13:17雄より雌に多く見られ
-
13:17 - 13:19これがチンパンジー社会です
-
13:19 - 13:22どの哺乳動物でも
同じ結果になります -
13:22 - 13:24雌は雄よりも共感力が
高いということです -
13:24 - 13:26しかしアルファ雄はどうでしょう
-
13:26 - 13:28慰める行為が
飛び抜けて多いのです -
13:28 - 13:33これが アルファ雄が慰め役の
筆頭であるということを示すデータです -
13:34 - 13:38最後にお話しするのは
アルファ雌についてです -
13:38 - 13:41これは 私が働いていた
アーネム動物園の -
13:41 - 13:43ママというアルファ雌で
-
13:43 - 13:44今ネットで話題です
-
13:44 - 13:47昨年 59歳で死んだ時の
-
13:47 - 13:49動画の再生回数は 現時点で
-
13:49 - 13:511億回ほどです
-
13:51 - 13:54ママは群れの中で絶対的な
中心に位置する存在でしたが -
13:54 - 13:58力ずくで雄たちを支配する力が
あったわけではありません -
13:58 - 14:02位は雄たちよりも下でしたが
群れの中心にいたのです -
14:02 - 14:04群れの中で大きな問題が発生すると
-
14:04 - 14:06最後はママの腕の中で
解決していたので -
14:06 - 14:09非常に重要な存在でした
-
14:09 - 14:11ですから私は
アルファ雌の位置付けを -
14:11 - 14:13軽視したくないのです
-
14:13 - 14:18また チンパンジーと同じくらい
人間に似た種がいます -
14:18 - 14:20忘れられがちですが
ボノボです -
14:20 - 14:23ボノボの世界は雌社会で
-
14:24 - 14:27「アルファ」的な存在は
大抵の場合 雌です -
14:27 - 14:30一般的にボノボ社会の
トップは雌なのです -
14:30 - 14:33アルファ雌の決め方や
のし上がり方や -
14:33 - 14:36役割については
ほとんど知られていません -
14:36 - 14:39ボノボについて自体
未知の部分が多いのです -
14:39 - 14:41しかし私が強調したいのは
-
14:41 - 14:43リーダーが雄である
必要はないということです -
14:43 - 14:47そして人間に似たボノボの社会では
リーダーは雌なのです -
14:47 - 14:50最後に一言
言わせていただくと -
14:50 - 14:54皆さん 人間社会における男性のうち
-
14:55 - 14:57一家の長や職場のトップや
-
14:57 - 15:01ワシントン つまり
国家の長にあたる人などを -
15:01 - 15:03アルファ雄と呼びますが
-
15:03 - 15:06チンパンジーに失礼です
-
15:06 - 15:08間違った呼び方ですから
-
15:08 - 15:09(笑)
-
15:09 - 15:12ただの威張り屋を
アルファ雄と呼ばないように -
15:12 - 15:15大きくて強く
周囲を威圧し侮辱する人が -
15:15 - 15:17必ずしもアルファ雄だとは限りません
-
15:17 - 15:19アルファ雄も様々で
-
15:19 - 15:22チンパンジーにも
威張り屋のアルファ雄が -
15:22 - 15:24いることがありますが
-
15:24 - 15:26しかしアルファ雄のほとんどは
-
15:26 - 15:28リーダーとしての能力を持ち
-
15:28 - 15:30社会に溶け込んでいます
-
15:30 - 15:32アモスがそうであったように
-
15:32 - 15:34愛され 尊敬されています
-
15:34 - 15:37実際のアルファ雄は 想像とは
違うかもしれませんよ -
15:37 - 15:38ありがとうございました
-
15:38 - 15:40(拍手)
- Title:
- アルファ雄の驚くべき科学
- Speaker:
- フランス・ドゥ・ヴァール
- Description:
-
霊長類学者フランス・ドゥ・ヴァールが「アルファ雄」を奥深い視点から見ていきます。リーダー輩出方法における人間と霊長類の驚くべき類似点を指摘し、権力のメリットとデメリットについて解説します。自身の研究から、アルファ雄が持つ寛大さや共感力、さらに秩序を保つ力といった意外な能力について明かし、政治家たちの間に起こる権力闘争についても考察します。ヴァールに言わせれば、大きくて力が強く、周りを威嚇したり侮辱するような者が必ずしも「アルファ雄」であるというわけではないのです。
- Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TEDTalks
- Duration:
- 16:52
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