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「利益を求める警察活動」による不正とその終わらせ方

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    明日 車でドライブしているところを
    想像してください
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    ネット広告に載っていた品物を
    買いにいくのです
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    3,000ドルのカッコいい
    マウンテンバイクとしましょう
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    そのくらいのお値段なら
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    モーター付きかもしれません
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    (笑)
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    ハンドルに吹き流しが
    付いているかも
  • 0:21 - 0:22
    (笑)
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    売り手からは現金払いのみと
    言われたので
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    車の小物入れには3,000ドルの
    現金が入っています
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    突然 車は止められ
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    警官がこう尋ねます
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    「車の中に薬物か武器か多額の現金は
    ありますか?」
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    正直に「あります」と答えます
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    薬物や武器ではなく現金があるからです
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    その瞬間 車を降りるよう命令され
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    警官は車中を探し 現金を見つけます
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    その場で警官は現金を押収します
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    警官は 薬物犯罪への
    関連が疑われると告げます
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    その数日後
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    押収したあなたのお金は返還しないという
    書類を地元検事が提出します
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    押収したあなたのお金は返還しないという
    書類を地元検事が提出します
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    起訴されたり有罪にならなくても
    こんな事態が起こるのです
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    皆さんはこう言うかもしれません
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    「こんなこと アメリカでは
    起こりっこないよ」と
  • 1:20 - 1:24
    (笑)
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    このような出来事はわが国で
    毎日起こっています
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    これは大抵の人が聞いたこともない
    皆さんの財産権への最大の脅威の一つなのです
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    これは「民事没収」と呼ばれています
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    刑事没収については
    ある程度知っているかもしれませんが
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    その言葉自体 あまり
    馴染みはないかもしれません
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    それでは まず没収とは何でしょう?
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    何かが没収されると 我々は
    そのものを手放すことになります
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    ときには強制されて手放します
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    刑事没収では
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    誰かが起訴され 有罪となると
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    その犯罪に関連した所有物を
    手放さなければなりません
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    例えば 皆さんが薬物の
    運搬や取引に車を使い
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    皆さんが逮捕され有罪になると
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    量刑の一部として 車を手放すことになります
    すなわち没収です
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    これが刑事没収です
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    一方 民事没収では
    犯罪で「人」は起訴されません
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    「物」が起訴され有罪となります
  • 2:25 - 2:26
    (笑)
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    耳を疑うかもしれませんが
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    政府が実際 「無生物」を
    有罪とするのです
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    まるでその「物」が犯罪を犯したかのように
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    なので 民事没収の判例には
    奇妙な名前が付けられています
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    例えば「アメリカ合衆国 対
    1990年製フォードサンダーバード1台」
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    (笑)
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    「オクラハマ州 対 53,234ドルの現金」
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    (笑)
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    私が好きなのはこれです
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    「アメリカ合衆国 対 純金製品1点 ―
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    金の雄鶏(おんどり)」
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    (笑)
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    皆さんはこう考えるでしょう
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    どうしてこんなことが起こるのか?
  • 3:12 - 3:15
    私も初めて民事没収を知ったとき
    妻と車で旅行中でしたが
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    まさに同じことを言っていました
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    大丈夫 我々は警官に止められる
    ことはありませんでした
  • 3:20 - 3:21
    (笑)
  • 3:21 - 3:23
    私は 法律事務所での調査部長の
    仕事の一環として
  • 3:23 - 3:27
    民事没収の歴史についての
    本を読みました
  • 3:27 - 3:29
    そして私は先ほどお話しした
    事例に出くわしたのです
  • 3:30 - 3:33
    「アメリカ合衆国 対 1990年製
    フォードサンダーバード1台」です
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    その事例では キャロル・トーマスが
    息子に自分の車を貸しました
  • 3:39 - 3:43
    その車に乗って 息子は
    軽微な薬物犯罪を犯しました
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    キャロルは何の犯罪も
    犯していなかったので
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    警察が 彼女を有罪にして車を
    没収することはできませんでした
  • 3:50 - 3:53
    しかし警察は民事没収を適用することで
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    車が「有罪」であるとして
    没収することができたのです
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    キャロルは完全に無実でしたが
    自分の車を失いました
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    つまり
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    彼女は犯してもいない罪で
    罰せられたのです
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    これを読んだとき
    なんだこれは と
  • 4:12 - 4:14
    ありえない と
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    なんでこれが合法なんだ と
  • 4:17 - 4:20
    その起源はわが国の海事法
    にありました
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    アメリカ独立当初
    政府は海賊に戦いを挑んでいました
  • 4:23 - 4:25
    ええ 本物の海賊とです
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    問題は政府がしばしば海賊を
    とらえ損ねていたことでした
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    そこで 政府は民事没収を適用し
    海賊の有罪となった財産を没収して
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    海賊の違法な利益を
    使えないようにしたのです
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    もちろん 政府は民事没収を使わずとも
  • 4:41 - 4:44
    単純に略奪品を押収し
    没収することはできました
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    しかしそうすると 政府が
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    我々の最も基本的な法手続や
    財産権を侵害したことになりかねません
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    さて 1980年代まで政府が民事没収を
    使うことはまれでしたが
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    薬物との戦いが始まりました
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    我々は民事没収を拡大
    薬物犯罪に適応し
  • 5:03 - 5:05
    その後は他の犯罪にも
    適応しました
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    カナダやEUも
    同様の条項を採択
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    今では様々な人が
    没収のクモの巣にかかっています
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    ラス・キャズウエルは
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    マサチューッツ州 テュークスバリーで
    低予算のモーテルを営んでいました
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    1955年に彼の父親が立ち上げ
    1980年代にラスが後を継ぎました
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    ラスが経営している何年かの間
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    時折 部屋を借りては
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    薬物犯罪を犯す輩がいました
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    ラスはこれを見逃すことができず
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    その事実が分かった時点で
    即 警察に通報していました
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    ラスは全くの無実でしたが
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    司法省はただその場所で
    他人が犯罪を犯したと言うことだけで
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    彼のモーテルを没収したのです
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    しかし これはラスだけでは
    なかったのです
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    1997年から2016年までに
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    米司法省は63万5千件以上もの
    財産を没収しました
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    つまり 毎年
  • 6:11 - 6:14
    自身は起訴にも有罪に
    もなっていない事例で
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    何万人もの人々が財産を
    失っているのです
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    それらは必ずしも
    巨大薬物組織の親玉や
  • 6:22 - 6:25
    紙面を賑わわせる金融詐欺グループや
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    数十万ドルが関わる事例ではなく
  • 6:29 - 6:33
    その多くが普通の人々が関わる
    事例なのです
  • 6:33 - 6:34
    ラスのような
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    皆さんのような
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    私のような
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    さらにひどい話があります
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    皆さんのご興味は
  • 6:41 - 6:44
    その現金と資産は
    全てどこに行ってしまうのか ?
  • 6:46 - 6:48
    大半の場合 警察が保有します
  • 6:49 - 6:52
    警察はそのお金で装備品を買ったり
  • 6:52 - 6:54
    建物の修繕を行います
  • 6:54 - 6:57
    はたまた 給料や時間外手当の
    支払いにもあてます
  • 6:58 - 7:00
    これは明らかに利益相反行為です
  • 7:01 - 7:05
    その行為は警察活動を歪めうる
    不正利益の誘因を作り出します
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    また それが問題であることは
    警察内でも認識されています
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    ミネソタ州 ロチェスターの
    元警察署長ロジャー・ピーターソンは
  • 7:13 - 7:16
    警察官がしばしば直面する
    選択についてこう表現しています
  • 7:17 - 7:18
    例えば
  • 7:18 - 7:20
    仮に私が警察官で
  • 7:20 - 7:22
    薬物犯罪を見つけたとします
  • 7:23 - 7:24
    そこで1つの選択に直面します
  • 7:25 - 7:31
    買い手を追跡 街角から
    違法薬物を追放するか
  • 7:31 - 7:34
    又は 売り手を追跡
  • 7:34 - 7:38
    警察が使える現金を奪取するか?
  • 7:38 - 7:42
    警察官が現金を選ぶ理由は
    容易に理解できるでしょう
  • 7:43 - 7:45
    こういう環境が
  • 7:45 - 7:50
    フィラデルフィアの警察に
    家屋まるごとの没収を選ばせました
  • 7:51 - 7:58
    2014年 クリスとマルケラ・ソロベリス夫妻の
    息子は40ドル相当の薬物を
  • 7:58 - 8:00
    自宅から離れた路上で
    売却しました
  • 8:01 - 8:04
    40ドルで です
  • 8:05 - 8:07
    警察官はその薬物取引を見ており
  • 8:08 - 8:12
    買い手を逮捕し薬物を
    押収することもできましたが
  • 8:12 - 8:13
    そうしませんでした
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    ソロベリス夫妻の息子を
  • 8:16 - 8:19
    現行犯逮捕して
    40ドルを没収することもできましたが
  • 8:20 - 8:21
    そうしませんでした
  • 8:22 - 8:24
    警察官は自宅に戻ったところで
    息子を逮捕
  • 8:24 - 8:27
    なぜなら そうすれば
    家全体を押収できるからです
  • 8:29 - 8:32
    その家は35万ドル相当の価値が
    ありました
  • 8:33 - 8:36
    これが私の意味する
    「不正収益の誘因」なのです
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    しかし ソロベリス夫妻の事例は
    例外ではなかったのです
  • 8:42 - 8:45
    フィラデルフィア
    「兄弟愛に溢れた街」
  • 8:45 - 8:46
    「アメリカのアテネ」
  • 8:46 - 8:49
    「自由の揺りかご」
    憲法の生まれた街
  • 8:49 - 8:52
    自由の鐘と
    独立記念館の街
  • 8:52 - 8:53
    「あなたを愛し返す街」ー
  • 8:54 - 8:55
    (笑)
  • 8:56 - 9:00
    そのフィラデルフィアは
    没収マシンを稼働させていたのです
  • 9:01 - 9:05
    2002年から2016年までに
  • 9:05 - 9:10
    フィラデルフィアは没収を通し
    7,700万ドル以上を手に入れました
  • 9:10 - 9:14
    1,200件の住宅も含まれています
  • 9:15 - 9:18
    車 宝飾品 電子機器など
    すべてを売却して
  • 9:18 - 9:20
    その収益を手元に残していました
  • 9:20 - 9:22
    警察の荒稼ぎは
  • 9:22 - 9:24
    ある集団訴訟がなければ
    そのまま続いたことでしょう
  • 9:24 - 9:27
    我がチームが 集団訴訟を起こしたのです
  • 9:27 - 9:33
    (拍手と歓声)
  • 9:36 - 9:37
    ありがとうございます
  • 9:37 - 9:39
    我々は警察による没収の
    実態を改善させ
  • 9:39 - 9:42
    被害者に対する補償をさせました
  • 9:42 - 9:47
    (拍手と歓声)
  • 9:48 - 9:52
    我々が初めて没収を
    調査し始めたのは2007年でした
  • 9:52 - 9:55
    没収による収入がどのくらいある
    のかもわかりませんでした
  • 9:55 - 9:57
    実際 誰も知りませんでした
  • 9:57 - 10:01
    我々の画期的調査書「利益を求める警察活動」が
    発表され初めて
  • 10:01 - 10:05
    連邦の法執行機関がおよそ400億ドルを
    得ていたことがわかったのです
  • 10:05 - 10:08
    およそ400億ドルです
  • 10:08 - 10:10
    桁違いの大金です
  • 10:10 - 10:12
    2001年以降
  • 10:13 - 10:17
    その収入のうち 8割以上が
    民事没収です
  • 10:18 - 10:20
    残念ながら 今回の調査では
  • 10:20 - 10:22
    州と地方自治体の警察がいくら
    得ていたのかは不明です
  • 10:22 - 10:25
    なぜなら 多くの州には
    報告義務がないからです
  • 10:27 - 10:29
    そのため没収制度改革が
    行われるまではわが国の
  • 10:29 - 10:34
    没収活動の実態は明らかに
    ならないでしょう
  • 10:34 - 10:37
    我々には改革が必要なのです
  • 10:37 - 10:41
    州議会は民事没収を廃止し
  • 10:41 - 10:43
    刑事没収に置き換えるべきです
  • 10:44 - 10:49
    また 没収して得た資金は
    中立で一般的な基金に集めるべきです
  • 10:50 - 10:54
    没収した資金が直接 警察の財源に
    ならなくなれば
  • 10:54 - 10:57
    我々は「利益を求める警察活動」に
    終止符を打てるのです
  • 10:58 - 11:04
    (拍手)
  • 11:05 - 11:07
    皆さんご想像の通り
  • 11:08 - 11:12
    警察のお偉方はこれらの提案が
    気に入りません
  • 11:12 - 11:13
    (笑)
  • 11:13 - 11:16
    警察は多くの資金を失うことになります
  • 11:16 - 11:21
    警察は民事没収が犯罪と戦う
    有効手段だと考えています
  • 11:21 - 11:23
    問題は それが
  • 11:23 - 11:24
    有効ではないことです
  • 11:25 - 11:27
    2019年6月 我々が公表した調査書では
  • 11:27 - 11:31
    民事没収は犯罪との戦いを
    有利に進めないことが明らかとなり
  • 11:32 - 11:34
    また その調査では
  • 11:34 - 11:39
    不況時には 法執行機関がより多額の没収金を
    集めようとしていることもわかりました
  • 11:40 - 11:43
    それならば 市や郡の予算が厳しい時には
  • 11:43 - 11:47
    警察は没収制度を使い資金を
    捻出することになるでしょう
  • 11:47 - 11:48
    そうすると納得できるのは
  • 11:48 - 11:53
    警察幹部のこんな予言です
    犯罪の爆発的拡大が訪れるであろう―
  • 11:53 - 11:54
    (笑)
  • 11:54 - 11:56
    民事没収の改革が認められたあかつきには
  • 11:57 - 11:59
    一方 すでに改革を実施した州もあります
  • 11:59 - 12:02
    我々は全国で改革を推進しています
  • 12:02 - 12:06
    なぜなら 没収制度が改革されるまでは
  • 12:06 - 12:08
    没収は誰にでも起こりうることだからです
  • 12:09 - 12:11
    わが国でも
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    イギリスでも
  • 12:13 - 12:16
    EU諸国でも
  • 12:16 - 12:17
    それ以外の国でも
  • 12:17 - 12:21
    あなたや私 ソロベリス夫妻や
    ラス・カズウェルのように
  • 12:21 - 12:24
    毎日の日常を送っているだけの人々が
  • 12:24 - 12:28
    思いもしない罠に捕まる可能性があるのです
  • 12:29 - 12:33
    「利益を求める警察活動」に
    終止符を打つときです
  • 12:33 - 12:35
    未来永劫に
  • 12:35 - 12:36
    ありがとうございました
  • 12:36 - 12:40
    (拍手と歓声)
Title:
「利益を求める警察活動」による不正とその終わらせ方
Speaker:
ディック M.カーペンター2世
Description:

数百年にわたり多くの国で生き続けるある法律が、有罪とならなくても家や自動車や事業などの所有物を政府機関が没収することを可能にしています。法律研究者のディック M.カーペンターは「民事没収」がいかに人々の権利を侵害し、警察が財産の没収から多額の収益を得ようとする誘因を作り出しているかを説明するとともに、「収益を求める警察活動」に終止符を打つまでの道筋を示します。

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDTalks
Duration:
12:54

Japanese subtitles

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