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【26分解説】ツァラトゥストラ|ニーチェ ~無敵の自己肯定感を生み出す、究極の思想とは?~

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    はい!どうもアバタローです。
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    本日はドイツの哲学者
    ニーチェの[ツァラトゥストラ]
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    こちらをご紹介いたします。
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    どんな作品かと言いますと
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    人生を前向きに
    肯定的に生きぬく力を与えてくれる
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    世界的名著でございます。
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    まず、どういった方にお役に立ちそうな
    内容なのかをお伝え致します。
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    [自分の人生に意義を見出せない]
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    [気の弱い自分を吹き飛ばしたい]
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    [もう一回人生をやり直したい]
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    [自己肯定感の低さをどうにかしたい]
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    これに1個でも当て嵌まれば
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    ニーチェについて全くご存じない方でも
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    今回の動画は見ていただく価値は
    あると思います。
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    ここ数年、自己肯定感について
    悩んでいる方が多く
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    巷には、そういったジャンルの本が
    溢れていますよね。
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    ただ、色んなテクニックや
    知識を仕入れても
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    あまり効果が見られなかったのであれば
    「ニーチェ」という劇薬に頼るのも
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    ひとつの解決策です。
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    と言いますのも
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    ニーチェ哲学のテーマは
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    [生の肯定]であり
    徹底的に自分の人生を
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    肯定することを説いているんです。
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    そして、本日ご紹介をさせていただく
    [ツァラトゥストラ]は
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    ニーチェ哲学の集大成であり
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    人生のネガティブループを強制終了させる
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    最強の「劇薬」であると
    言うわけです。
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    ニーチェは、本書について
    次のように述べています。
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    私は、「ツァラトゥストラ」を書くことにより
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    これまで人類に贈られた
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    [最大の贈物]をした。
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    何千年先にも届く、声を持ったこの本は
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    およそ、ありうる限り
    最高の書物である!
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    ここで、彼がなぜこういった
    独特な表現を使い
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    自信に満ち溢れた
    発言をしているかについては
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    動画の後半にいくにつれて
    見えてくると思います。
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    因みに、難しい話かもしれないとご心配の方
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    大丈夫です!
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    哲学に関する知識は、一切要りません。
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    手ぶらでオーケーでございます。
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    お茶でも飲みながら
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    リラックスして、ぜひ最後まで
    楽しんで行ってください。
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    それでは参りましょう。
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    ニーチェ[ツァラトゥストラ]
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    まず、どういった流れで
    お話をさせていただくか
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    整理をしておきたいと思います。
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    大きく3つです。
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    [-本日の内容-
    1. ニーチェの生涯]
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    [2. ツァラトゥストラについて]
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    [3. 運命愛]
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    以上、3つのテーマに沿って
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    進めてまいります。
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    というわけで、早速
    ひとつ目から見て行きましょう。
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    フリードリヒ・ニーチェ
    [ニーチェの生涯]
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    彼は1844年
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    ドイツの前身である
    プロイセンの東部にある
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    レッケンという小さな村で
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    牧師の息子として生まれました。
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    ただ彼は、見た目は子供。
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    頭脳は、大人という
    いわゆる天才少年でして
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    [ニーチェは規格外の天才]
    勉強はできる。作曲もできる。
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    詩も書ける。
    しかもセンスは抜群。
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    と言うように、始めから
    普通の子供ではなかったと言います。
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    そして、20代の半ばという若さで
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    スイスにあるバーゼル大学の
    教授に就任します。
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    [20代半ばでバーゼル大学教授]
    しかも当時の彼は、教員資格も、博士号もなく
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    ただの学生という立場で
    教授に推薦されたそうです。
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    如何に、ニーチェが並外れた
    存在であったかがよく分かります。
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    ただ、常に右肩上がりといかないのが
    人生でございます。
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    ニーチェの快進撃は、30歳手前ぐらいで
    ピタッ!と止まり
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    そこから数々の試練が
    怒涛の如く彼を襲います。
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    [天才哲学者の苦悩]
    苦労して書き上げた書籍は
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    ことごとく売れない。
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    授業をやっても学生は来ない
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    教授に推薦してくれた恩師。
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    そして、友人からも見放され
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    更に、慢性的な頭痛に加え
    胃の痛み・吐き気も治まらない。
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    そのうえ、女性関係も上手く行かない。
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    もう絶不調が止まりません。
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    そして、そんな呪いがかかったような状態の中
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    彼は、渾身の力を込めて
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    1冊の本を生み落とします。
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    それが[ツァラトゥストラ]
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    [ツァラトゥストラ・・・売れず]
    ただこの本
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    タイトルがちょっと怪しすぎて
    あまり手に取る気が起きません
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    しかも内容も正直いって
    理解しにくいです。
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    ですので、本人の期待とは裏腹に
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    当時、まったく売れなかったんです。
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    しかも、よりによって
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    4部構成にして、4冊に分けて
    気合を入れて出版したんです。
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    その結果、爆死です!
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    特に、最後の第4部は
    あまりに売れなさ過ぎて
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    自分で知り合いに
    「これを貰ってやってくれないか」と
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    配り歩いていたそうです。
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    そんな状況の中、流石のニーチェも
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    ”もう本なんか書くか” と
    腐ってしまうのかと思いきや
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    [ニーチェの執念]
    なんと彼は、そのまま筆を握り続け
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    次々と著作を生み出していきます。
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    しかも、それらの作品のほとんどが
    あの滑りに滑った
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    [ツァラトゥストラ]を補足し
    解説するという書籍なんです。
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    凄い執念です!
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    どれだけ彼が、本作に
    魂を込めていたかが伺えます。
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    しかし、そんな力強い
    精神を持ったニーチェも
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    [ニーチェの限界]
    遂に限界を迎えます。
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    1889年
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    彼が45歳を迎える年の頃です。
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    滞在していたイタリア
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    トリノの広場で
    事件は起こりました。
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    一説によると
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    鞭でバンバン叩かれている
    馬に駆け寄り
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    その馬の首を泣いて抱きしめながら、発狂し
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    [ニーチェの精神崩壊]
    そして、意識を失ってしまったと言われています。
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    幸い、意識は戻ったのですが
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    彼の心は、完全にこのとき壊れてしまい
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    二度と元のニーチェに戻ることは
    ありませんでした。
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    ただ、運命とは皮肉なもので
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    [酷評が一転、再評価へ]
    実は、このタイミングになってようやく
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    ニーチェの著作に対する評価が
    高まって来るんです。
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    「ニーチェ文庫」という、出版社までできて
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    本もバンバン売れていきます。
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    しかし、ニーチェに
    どれだけ今の状況を言い聞かせても
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    何も認識することが出来ないのです。
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    そして、精神に
    異常がで始めてから約10年後。
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    55歳という若さで
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    ニーチェは天に
    旅立って行ったというわけです。
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    [ニーチェの生涯については以上です]
    ニーチェの人生について、超高速で見てきましたが
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    ここまで、よろしいでしょうか。
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    以上のストーリーを踏まえたうえで
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    彼が渾身の力を込めて
    生み落とした最高傑作。
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    [ツァラトゥストラ]について
    見て行きたいと思います。
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    [ツァラトゥストラとは?]
    まず簡単に、どういったお話かといいますと
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    ツァラトゥストラというおじさんが
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    10年間、山籠もりをし
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    孤独の中で知恵を蓄え
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    それを他の人間たちにも
    分けてやりたいと言って下山をする。
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    そしてその中で、様々な人と出会い
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    語り合いながら自分の知恵を
    分け与えていく、といったお話です。
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    因みに、このツァラトゥストというのは
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    ゾロアスター教の開祖である
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    「ゾロアスター」を
    ドイツ語読みしたものです。
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    ただ、「ニーチェ哲学」と
    「ゾロアスター教」は
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    全然、関係がありませんので
    ここはスルーしていただいて大丈夫です。
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    大事なのは
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    ツァラトゥストラというおじさんが
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    ニーチェの ”分身” である
    ということです。
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    ですから、山から下りて来た
    ツァラトゥストラが
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    人々に語っていることは全て
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    ニーチェの言葉として
    捉えてえていただく必要があるわけです。
  • 5:52 - 5:54
    では早速、見て行きましょう。
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    [ツァラトゥストラ、降臨]
    まず、山から下りて来たツァラトゥストラは
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    森の麓で、ひとりの老人と出会います。
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    そして
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    「あなたは、森で何をしているのか」と
    尋ねるのです。
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    すると、その老人は
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    「歌を歌ったりして
    神様を讃えたりしているんですよ」と
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    答えるのですが、これに対し
    ツァラトゥストラは
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    とんでもない衝撃を受けます。
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    そして、心の中で
    次のように呟きました。
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    [老人の言葉に驚愕!]
    ”あり得ない!”
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    ”この老人はまだ、あのことを
    誰からも聞いていないのか!”
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    [神は死んだ]
    ”神は、死んだということを...”
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    [神は死んだとは?]
    はい!ここでストップします
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    さっそく有名なセリフが
    出てきました。
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    神は死んだ!
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    ニーチェを知らない方も
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    このパワーワードは
    聞いたことがあるんじゃないでしょうか
  • 6:32 - 6:35
    では、この「神は死んだ」という言葉。
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    これは一体、どういう意味なんでしょうか。
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    簡単に言ってしまいますと
  • 6:38 - 6:40
    もう、この世の中には
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    絶対的な「真理」や「価値」なんてものは
    "ない" と言っているんです。
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    自然科学が発達する前の人類は
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    自分たちの頭で
    理解できない事柄については
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    「神のなせる業」
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    「神の意図」であると解釈をし
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    納得をして来ました。
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    ところが、その神の
    深淵なる意図を解明しようと
  • 6:57 - 6:59
    人類は、科学技術を発達させ
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    神の存在を前提とする世界観を
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    自らの手によって
    破壊してしまったわけです。
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    例えば、「天動説」
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    地球は、宇宙の中心であり
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    その他の天体は
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    この地球の周りをグルグル
    回っているだけだという、この説は
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    [天動説は絶対的な真理]
    中世のキリスト教世界においては
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    まさに絶対的真理でした。
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    反対意見を言おうものなら
    もう大変なことになってしまいます。
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    しかし、地動説という科学に基づいた
    新たな解釈が生まれたことによって
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    [神を前提とする世界観が崩れていった]
    ジワリジワリと、神を前提とする世界観が
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    崩れて行ったわけです。
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    人間の存在も同様です。
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    神が天地を創造し、自分を模って
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    男と女を作り上げたという「創造論」
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    これも旧約聖書をベースとした
    ストーリーですが
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    「進化論」という、新たな学説によって
    揺らいでしまいました。
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    [西洋世界の常識を疑い 破壊した]
    つまりニーチェは、人間は自分たちの手で
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    絶対的真理はないと、証明してしまった。
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    もっと乱暴に言えば
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    自分たちの手で、神を
    殺してしまったのだという主張をし
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    西洋世界のこれまでの常識を
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    丸々ひっくり返しにいったわけです。
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    となりますと
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    その影響は、哲学にも及んできます。
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    ニーチェ以前の哲学は
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    神の存在
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    絶対的真理の存在を
    前提として成り立っていました。
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    [哲学の父ソクラテス]
    例えば、哲学の父「ソクラテス」
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    彼は、街の人に話しかけては
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    「善とは何か」「徳とは何か」と
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    その答えを求めて、問い続けていました。
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    [ソクラテスの弟子プラトン]
    そして、弟子のプラトンは、その問いの答えに対し
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    「イデア」という概念を用いて
    説明を試みました。
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    [絶対的真理の存在を前提としている]
    要するに、ニーチェ以前の哲学者は
  • 8:23 - 8:26
    それぞれの説明、解釈の仕方は違えど
  • 8:26 - 8:30
    「普遍的な善ってあるよね」
    「普遍的な徳もあるね」
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    というように、絶対的な真理の存在を
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    前提に物事を考えていたんです。
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    [これまでの哲学を破壊した人物]
    ところが、ニーチェは
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    「ない!」
    「そんなものはない!」
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    「絶対的な価値」「絶対的な基準」「絶対的な真理」
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    「そんなものは、あるわけない!」
    と主張しました。
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    それゆえ彼は、これまでの哲学を
    破壊した人物とされているわけです。
  • 8:48 - 8:50
    [「絶対的なもの」がないと何がいけないの?]
    ここで話を元に戻しましょう。
  • 8:50 - 8:52
    では、この世界に「絶対的な価値」
  • 8:52 - 8:56
    「絶対的真理」がない状態だと
    何がいけないんでしょうか。
  • 8:56 - 8:57
    どんな問題が生じるんでしょうか。
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    別に私は
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    何の宗教も信じてはいないし
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    哲学のこととか
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    絶対的ナンチャラとか
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    そんな難しいことを考えて
    生きているわけじゃないし
  • 9:05 - 9:07
    関係ないね!
  • 9:07 - 9:10
    もしかしたら、そう思われる方も
    いるかもしれませんが
  • 9:10 - 9:11
    実は、この問題
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    人間が、人間として生きている以上
  • 9:13 - 9:16
    誰にでも関係してきてしまう
    大事なお話なのです。
  • 9:16 - 9:18
    「絶対的なもの」が存在しない
    ということは
  • 9:18 - 9:21
    [信じられるものがなくなる]
    言ってしまえば、何も信じるものが
  • 9:21 - 9:21
    ”ない” ということです。
  • 9:22 - 9:23
    例えば、想像してみてください。
  • 9:23 - 9:25
    高度経済成長期の日本。
  • 9:25 - 9:27
    バブル絶頂だったときの日本。
  • 9:27 - 9:30
    [信じられる物語があった時代を経験している私達]
    この時代は「21世紀の資本」でもやりましたが
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    頑張ったら頑張った分だけ
    報われる時代でした。
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    たくさん勉強をして、名門大学に入って
  • 9:35 - 9:38
    一流企業に入ってしまえば、一生安泰。
  • 9:38 - 9:41
    人をたくさん雇い、物をたくさん作れば
    売り上げも上がる。
  • 9:41 - 9:44
    働けば働くほど、給料も上がる。
  • 9:44 - 9:45
    そんな時代です。
  • 9:45 - 9:48
    つまり、頑張れば人生
    どうにかなるという道筋が
  • 9:48 - 9:49
    間違いなくあったわけです。
  • 9:49 - 9:51
    だから、自分の夢や希望。
  • 9:51 - 9:53
    そして家族の為に、出世の為に、
  • 9:53 - 9:55
    辛いことも、苦しいことも耐えられたし
  • 9:55 - 9:57
    歯を食いしばって、努力が出来ました。
  • 9:57 - 9:59
    ところが、今はどうでしょうか。
  • 9:59 - 10:02
    [信じられる物語を奪われると人はどうなるのか?]
    企業を、神の如く絶対的な存在とみなし
  • 10:02 - 10:05
    定年まで面倒をみて貰おうという、終身雇用神話は
  • 10:05 - 10:07
    もはや過去のものとなりました。
  • 10:07 - 10:09
    いつ、職を失うか
  • 10:09 - 10:11
    いつ、食いっぱぐれるか分からない。
  • 10:11 - 10:14
    そして将来、何を目指し、何に希望を持ち
    頑張ればいいのか分からない。
  • 10:14 - 10:18
    そういった漠然とした不安だけが
    日に日に大きくなっている。
  • 10:18 - 10:19
    それが、今の状態です。
  • 10:19 - 10:22
    このように、人が絶対的に信じるものを失い
  • 10:22 - 10:26
    何のために生きるのか、
    その意義を見出せなくなる状態のことを
  • 10:26 - 10:28
    [ニヒリズム]と言います。
  • 10:28 - 10:31
    そして、この「ニヒリズム」が蔓延していきますと
  • 10:31 - 10:34
    [末人]と呼ばれる人間が
    大量発生すると
  • 10:34 - 10:36
    ニーチェは、警鐘を鳴らしたのです。
  • 10:36 - 10:37
    [最後の人間、末人とは?]
    末人というのは
  • 10:37 - 10:41
    最後の人間とも訳されるのですが
    簡単に言ってしまえば
  • 10:41 - 10:44
    将来に対して
    何の憧れも、希望もなく
  • 10:44 - 10:47
    ただ、楽に無難に
    惰性的に生きることを
  • 10:47 - 10:49
    よし!とする人のことを指します。
  • 10:49 - 10:50
    これは、勿論
  • 10:50 - 10:52
    本人だけに原因があるわけでは
    ないと思います。
  • 10:52 - 10:56
    ただ、この「末人」にだけは
    絶対になっちゃダメ!
  • 10:56 - 10:58
    これがニーチェの
    揺るぎないスタンスなんです。
  • 10:58 - 11:01
    イヤイヤ、私だって好きで
    希望を失ってるわけじゃないんです。
  • 11:01 - 11:05
    「末人になるな」って言うんだったら
    私等一体、なに人になればいいんですか。
  • 11:05 - 11:07
    そう突っ込みたくなりますが、結論
  • 11:07 - 11:08
    「超人になってください!」
  • 11:08 - 11:10
    これがニーチェの回答でございます。
  • 11:10 - 11:11
    「えっ!?超人ですか?」
  • 11:11 - 11:13
    「はい!超人です」
  • 11:13 - 11:16
    [ツァラトゥストラ前半のテーマ「超人思想」]
    そして、今から紹介しますニーチェの「超人思想」
  • 11:16 - 11:19
    これが「ツァラトゥストラ」の前半
    「第1部」「第2部」の
  • 11:19 - 11:20
    メインテーマとなるわけです。
  • 11:20 - 11:25
    ここは、非常に重要で面白いテーマなので
    是非、抑えていただきたいところでございます。
  • 11:25 - 11:27
    では、さっそく作品の中で
  • 11:27 - 11:30
    超人について語られる
    シーンについて見て行きましょう。
  • 11:30 - 11:31
    [街に向かうツァラトゥストラ]
    先ほどツァラトゥストラは、老人と
  • 11:31 - 11:34
    会話をしていましたが
    それが終わると森を抜けて
  • 11:34 - 11:35
    街に向かいます。
  • 11:35 - 11:39
    すると街の市場の方で
    なんかザワザワしているんですね。
  • 11:39 - 11:40
    "なんだろう?" と思って近づいてみますと
  • 11:40 - 11:44
    [綱渡りのショーが始まるらしい]
    町内イベントで綱渡りのショーが行われるらしく
  • 11:44 - 11:47
    それで、町中の人が
    集まって来ていたというわけです。
  • 11:47 - 11:49
    「楽しみだなぁ」「まだかなぁ」
    そんな声が聞こえる中
  • 11:49 - 11:53
    山籠もりで蓄えた知恵を吐き出したくて
    しょうがないツァラトゥストラが
  • 11:53 - 11:55
    [近づいていくツァラトゥストラ まさか...]
    フラフラしながら、その群衆の中に
  • 11:55 - 11:56
    近づいて行きます。
  • 11:56 - 11:58
    誰か適当な人を捕まえて
  • 11:58 - 12:01
    説教でも始めちゃうのかな?
    と思いきや、そうではないんです。
  • 12:01 - 12:03
    [ツァラさんのトークショー/お題は超人思想]
    なんと彼は、その民衆全員に向けて
  • 12:03 - 12:03
    叫んでしまうんです。
  • 12:03 - 12:05
    ツァラトゥストラ:皆さん、よく聞きなさい!
  • 12:05 - 12:08
    私は、今から皆さんに
    「超人」について教えます。
  • 12:08 - 12:09
    皆さんは、かつて猿でした。
  • 12:09 - 12:13
    しかし、今の人間は
    猿以上に猿なのであります。
  • 12:13 - 12:15
    なるほど、これは怪しいおじさんが
  • 12:15 - 12:18
    意味不明なことを
    叫んでるようにしか聞こえません。
  • 12:18 - 12:20
    当然、そこにいた人々は
  • 12:20 - 12:22
    そんな彼をまったく
    相手にしませんでした。
  • 12:22 - 12:26
    しかし、ツァラトゥストラは
    気にせず奇妙な演説を続けます。
  • 12:26 - 12:29
    そして、超人について話を終えたところで
    群衆の中の一人が
  • 12:29 - 12:31
    大声で叫びました。
  • 12:31 - 12:34
    [綱渡り芸の前口上と馬鹿にされる]
    群衆:よし!これで綱渡り芸の前口上はバッチリだ!
  • 12:34 - 12:38
    それじゃあ早速、超人に登場して貰って
    その超人技とやらを披露して貰おう!
  • 12:38 - 12:41
    すると、この人のボケがドカン!とウケてしまい
  • 12:41 - 12:44
    ツァラトゥストラは皆から馬鹿にされ
    大笑いされてしまうのです。
  • 12:44 - 12:46
    [綱渡り芸のスタート]
    そんな中、綱渡り芸が始まりました。
  • 12:46 - 12:49
    人々もその様子を
    固唾を呑んで見守っています。
  • 12:49 - 12:50
    [綱渡り芸のスタート]
    ここで、ツァラトゥストラ。
  • 12:50 - 12:53
    [10年間山籠もりした男のトークは止まらない!]
    馬鹿にされたショックで、黙り込むのかと思いきや
  • 12:53 - 12:54
    なんと、まだ喋り続けています。
  • 12:54 - 12:57
    そして、ここで
    非常に重要なセリフを口にするのです
  • 12:57 - 13:01
    [人間は動物と超人との間に張り渡された1本の綱]
    人間という生き物は、「動物」と「超人」との
  • 13:01 - 13:04
    間に張り渡された1本の綱である。
  • 13:04 - 13:06
    渡って彼方に進むのも危うく
  • 13:06 - 13:08
    途上にあるのも危うく
  • 13:08 - 13:10
    後ろを振り返るのも危うく
  • 13:10 - 13:12
    おののいて立ちすくむのも危うい。
  • 13:12 - 13:14
    [言っている意味が分かりません!]
    はい!ここで一旦止めましょう。
  • 13:14 - 13:17
    彼が何を言わんとしているのか
    考えてみたいと思います。
  • 13:17 - 13:20
    まず、超人って何?というところから
    お話をしていきます。
  • 13:20 - 13:23
    結論から言うと、「不屈の精神力」
  • 13:23 - 13:25
    そして、「力強い意志」をもち
  • 13:25 - 13:27
    自らの人生を肯定しながら
  • 13:27 - 13:29
    より高みへ向かおうとする存在。
  • 13:29 - 13:32
    それが「超人」のイメージです。
  • 13:32 - 13:34
    [超人=絶対コレ!という定義はない]
    なぜ「イメージ」 と申しあげたかと言いますと
  • 13:34 - 13:38
    実は「ツァラトゥストラ」では
    具体的に「超人」とは、こういうものですと
  • 13:38 - 13:39
    定義付けをしていないんですね。
  • 13:39 - 13:42
    もし、定義付けをしてしまえば
    ニーチェは自ら
  • 13:42 - 13:45
    絶対的な存在を認めたことに
    なってしまいますから
  • 13:45 - 13:49
    ここは、敢えて読者の想像に
    委ねられているのかもしれません。
  • 13:49 - 13:52
    そして、人間というのは
    その超人という存在に向かって
  • 13:52 - 13:54
    綱渡りのような危険を乗り越えていく
  • 13:54 - 13:57
    [人間は危険を冒しながら超人に向かう存在だ]
    そういう存在なんですよと、言っているわけです。
  • 13:57 - 14:00
    では、どうやったら「超人」の域に
    到達できるのでしょうか。
  • 14:00 - 14:01
    [超人になるための3ステップ]
    ツァラトゥストラが言うには
  • 14:01 - 14:06
    人間の精神には「3段階」あって
    どんどんそのレベルを上げていくことで
  • 14:06 - 14:09
    超人に近づくことが出来るそうです。
  • 14:09 - 14:11
    その段階には、名前が付いており
  • 14:11 - 14:13
    第一段階が[ラクダ]
  • 14:13 - 14:14
    第二段階が[獅子」
  • 14:14 - 14:17
    第三段階が[幼子]です。
  • 14:17 - 14:18
    [第1ステージ:ラクダ]
    順番に見て行きます。
  • 14:18 - 14:21
    まず、初めの「ラクダの段階」というのは
  • 14:21 - 14:23
    重い荷物を背負って
    我慢するステージです。
  • 14:23 - 14:26
    自分の身に積極的に負荷をかけ
  • 14:26 - 14:28
    そこで自分の強みを獲得するわけです。
  • 14:28 - 14:32
    学校での勉強。会社での仕事。体を鍛える事。
  • 14:32 - 14:35
    人それぞれにラクダのステージがあります。
  • 14:35 - 14:36
    そして、忍耐力や
  • 14:36 - 14:38
    自分の強みが磨かれたのなら
  • 14:38 - 14:40
    [第2ステージ:獅子]
    次の段階は[獅子]です。
  • 14:40 - 14:43
    このステージは
    窮屈な状態から解放され
  • 14:43 - 14:46
    自由を求める者が、進む段階です。
  • 14:46 - 14:49
    既存の価値観、常識、権威に対して
  • 14:49 - 14:51
    ハッキリと自分の言葉で「No」と言える。
  • 14:51 - 14:54
    そんな独立の精神を持った段階。
  • 14:54 - 14:56
    それがこの「獅子」のステージです。
  • 14:56 - 14:59
    [第3ステージ:幼子]
    そして最後、第三段階になると
  • 14:59 - 15:01
    獅子は、幼子に変身をします。
  • 15:01 - 15:05
    自らの想像力に身を委ね
    勝手に、自由気ままに遊ぶ。
  • 15:05 - 15:08
    まるで、幼い子供のような
    無邪気な精神。
  • 15:08 - 15:11
    それこそが最終段階なのだ
    というわけです。
  • 15:11 - 15:14
    どれだけ大人が、世の中の
    理不尽さを嘆いていても
  • 15:14 - 15:17
    将来を悲観しても
    幼い子供には、関係がありません。
  • 15:17 - 15:19
    彼ら、彼女らにとって
  • 15:19 - 15:22
    世界は、無条件に肯定されるものであり
  • 15:22 - 15:24
    心のままに戯れ、無心に遊び
  • 15:24 - 15:28
    自由に、創造的にいま
    この瞬間、瞬間を生きています。
  • 15:28 - 15:30
    つまり、超人たる者は
  • 15:30 - 15:33
    この3つのプロセスを経て、最終的には
  • 15:33 - 15:36
    幼子のような精神を
    その身に宿すものなのだというわけです。
  • 15:37 - 15:38
    [ツァラトゥストラの前半は終了]
    1部・2部のメインテーマである
  • 15:38 - 15:41
    超人に関するお話は、ここでお終いですが
  • 15:41 - 15:45
    この内容が第3部、第4部
    後半の内容へと繋がって行きます。
  • 15:45 - 15:46
    この後半パートのテーマは、
  • 15:46 - 15:50
    [永遠回帰]と呼ばれる
    「ツァラトゥストラ」の中心思想でございます。
  • 15:50 - 15:52
    [一番重要なパートです]
    つまり、今からお話しするところが
  • 15:52 - 15:55
    この動画の最も重要な箇所であり、
  • 15:55 - 15:58
    「ニーチェ哲学」を学ぶ上で
    絶対に外せないテーマというわけです。
  • 15:58 - 16:00
    では早速、見て行きましょう。
  • 16:00 - 16:02
    [永遠回帰とは?]
    まず、永遠回帰とは一体、何なんでしょうか。
  • 16:02 - 16:05
    結論から言いますと、同じことが
  • 16:05 - 16:08
    無限に繰り返されるという
    仮説のことを指します。
  • 16:08 - 16:09
    [人生の無限ループ]
    もうちょっと具体的に言うと
  • 16:09 - 16:13
    あなたは、今の人生を永遠に繰り返している。
  • 16:13 - 16:14
    前世も、来世も
  • 16:14 - 16:16
    ずっと、同じ人生を繰り返している。
  • 16:16 - 16:18
    無限ループの中を
    グルグル、グルグルと
  • 16:18 - 16:20
    生き続けているんですよ、という仮説です。
  • 16:20 - 16:21
    繰り返しになりますが
  • 16:21 - 16:24
    これは、仮設であり
    事実か、事実でないかは
  • 16:24 - 16:26
    あまり重要ではありません。
  • 16:26 - 16:27
    仏教の世界にも
  • 16:27 - 16:29
    「輪廻思想」という教えがありますが
  • 16:29 - 16:32
    「永遠回帰」とは
    全く異なる概念になります。
  • 16:32 - 16:35
    生命は色んなものに
    無限に生まれ変わり続ける。
  • 16:35 - 16:37
    これが「輪廻思想」です。
  • 16:37 - 16:40
    例えば、私の来世は
    「大資産家」かもしれないし
  • 16:40 - 16:41
    小さな「クラゲ」 かもしれない。
  • 16:41 - 16:42
    そういうお話です。
  • 16:42 - 16:45
    [あなたはずっとあなたのまま、それが永遠回帰]
    一方、永遠回帰の場合は、同じ人が同じ人生を
  • 16:45 - 16:48
    グルグル永遠に
    ループし続けるというものです。
  • 16:48 - 16:49
    さて、ここで質問です。
  • 16:49 - 16:53
    皆さまは、この「永遠回帰」の思想を
    受け入れることが出来ますか。
  • 16:53 - 16:56
    それとも、同じ人生を
    ループし続けるなんて
  • 16:56 - 16:58
    「勘弁してくれ!」と、拒絶されますか。
  • 16:58 - 17:00
    [最大の重し]
    もちろん、正解はありませんし
  • 17:00 - 17:01
    人それぞれです。
  • 17:01 - 17:02
    因みに、ニーチェは
  • 17:02 - 17:04
    別の著作で、この「永遠回帰」の思想を
  • 17:04 - 17:08
    人間にとっての「最大の重し」である
    と表現しています。
  • 17:08 - 17:10
    要するに、人間というのは
  • 17:10 - 17:12
    余ほど幸せで、恵まれた人でない限り
  • 17:12 - 17:14
    忘れ去りたい過去のトラウマ。
  • 17:14 - 17:17
    失敗、過ちが
    1つや2つあるでしょうと。
  • 17:17 - 17:19
    それを無限に経験し続けるのは
  • 17:19 - 17:23
    過去の記憶が消去されているとはいえ
    誰だって、嫌でしょうと。
  • 17:23 - 17:24
    そう言ってるんですね。
  • 17:24 - 17:26
    [最大の重しだが、最強の武器でもある]
    ただ、この思想というのは
  • 17:26 - 17:30
    その人の捉え方次第で
    人生を大きく変えるくらいの
  • 17:30 - 17:32
    強力な「武器」にもなるんです。
  • 17:32 - 17:36
    仮に、本当にループし続けると
    真剣に想像してみてください。
  • 17:36 - 17:37
    どうでしょうか。
  • 17:37 - 17:40
    永遠にネガティブで、否定的で
    「不幸な人生」か。
  • 17:40 - 17:44
    永遠にポジティブで、肯定的で
    「幸福な人生」か。
  • 17:44 - 17:48
    極端な2つの選択肢が、目の前に
    浮かび上がってくるはずです。
  • 17:48 - 17:50
    さぁ選びたいのは、どっちですか。
  • 17:50 - 17:51
    [永遠回帰は、人生を好転させる思考法]
    そう聞かれればどう考えても
  • 17:51 - 17:52
    後者しかありません。
  • 17:52 - 17:54
    そして、もし後者を選べば
  • 17:54 - 17:58
    永遠に繰り返しても ”良い” と
    思えるような人生にしようと
  • 17:58 - 18:00
    前を向いて生きていくしか
    なくなるんです。
  • 18:00 - 18:04
    つまり、「永遠回帰」というのは
    神が死んだ後の世界。
  • 18:04 - 18:07
    絶対的に信じるものが、失われた世界で
  • 18:07 - 18:10
    末人に陥ることなく、人生を肯定的に
  • 18:10 - 18:14
    力強く前向きに歩んでいく為の
    「思考法」と言えるわけです。
  • 18:14 - 18:17
    では、一体どうすれば「永遠回帰」の思想を
  • 18:17 - 18:19
    受け入れることが
    出来るようになるのでしょうか。
  • 18:19 - 18:21
    [理屈は分かるけど...難しそうだ]
    頭で理屈は分かっても、なかなか
  • 18:21 - 18:23
    自分のものにするのは、難しそうです。
  • 18:23 - 18:24
    そこで、ニーチェは
  • 18:24 - 18:27
    「永遠回帰」を自分のものとする条件として
  • 18:27 - 18:30
    [ニヒリズムの克服が前提となる]
    ニヒリズムを克服する必要があると
  • 18:30 - 18:31
    説きました。
  • 18:31 - 18:32
    イメージしづらいと思いますので
  • 18:32 - 18:35
    今から実際に、ニヒリズムを克服し
  • 18:35 - 18:38
    [永遠回帰を受け入れた者の物語]
    永遠回帰を受け入れた人間を描いている
  • 18:38 - 18:41
    「ツァラトゥストラ」の重要な
    ワンシーンを紹介いたします。
  • 18:41 - 18:45
    どんな場面かというと
    1人の若い牧人が倒れているところを
  • 18:45 - 18:48
    ツァラトゥストラが発見する
    というシーンです。
  • 18:48 - 18:51
    牧人というのは、馬とか、牛とか
    羊などのお世話をする人です。
  • 18:51 - 18:53
    [ツァラトゥストラと牧人]
    その主人が倒れている横で
  • 18:53 - 18:54
    犬がギャンギャンと鳴いています。
  • 18:54 - 18:58
    そして、その声にツァラトゥストラが気付き
    「何事だ」と言って、近づいて行くんです。
  • 18:58 - 19:01
    そこで彼は、とんでもない光景を
    目の当たりにします。
  • 19:01 - 19:05
    [蛇に窒息させられそうな牧人]
    なんと!倒れ込んでいる牧人の口から
  • 19:05 - 19:08
    黒い蛇の尻尾が
    ニョロッと出ていたんです。
  • 19:08 - 19:12
    牧人は、余りの苦しさに
    のたうち、喘ぎ、痙攣を起しています。
  • 19:12 - 19:13
    そこで、ツァラトゥストラは
  • 19:13 - 19:16
    その牧人を助けなければと
    うわぁっ!と近づいて行き
  • 19:16 - 19:18
    蛇の尻尾をギュッと掴み
  • 19:18 - 19:20
    力いっぱい引っ張って
    口から出そうとします。
  • 19:20 - 19:23
    ところが、まったく蛇を
    引きずり出すことができません。
  • 19:23 - 19:25
    何度やっても同じでした。
  • 19:25 - 19:27
    そこで、ツァラトゥストラは絶叫します。
  • 19:27 - 19:29
    [牧人よ、蛇を噛め!]
    ツァラトゥストラ:蛇の頭ごと噛みちぎってしまえ!
  • 19:29 - 19:30
    さぁ!噛むんだ!
  • 19:30 - 19:31
    噛んでしまえ!」
  • 19:31 - 19:33
    すると、牧人は言われるがままに
  • 19:33 - 19:35
    蛇をガブッと噛みちぎり、その頭を吐き捨て
  • 19:35 - 19:38
    それと同時に、パッと立ち上がります。
  • 19:38 - 19:39
    [あれ?ぼ・・・牧人さん]
    そして、この様子を見た
  • 19:39 - 19:41
    ツァラトゥストラは、次のように語ります。
  • 19:41 - 19:43
    [もはや、牧人ではない]
    ツァラトゥストラ:私の目の前にいた男は
  • 19:43 - 19:45
    もはや牧人ではなかった。
  • 19:45 - 19:46
    イヤ、人間でもなかった。
  • 19:46 - 19:48
    一人の変容した者。
  • 19:48 - 19:50
    光りに包まれた者だった。
  • 19:50 - 19:52
    そして、彼は高らかに笑った。
  • 19:52 - 19:53
    今まで地上のどんな人間も
  • 19:53 - 19:56
    笑ったことがないほど高らかに。
  • 19:56 - 19:58
    [意味が分かりません!]
    いかがでしょうか、このシーン。
  • 19:58 - 19:59
    非常に重要な場面なんですが
  • 19:59 - 20:02
    言わんとしていること
    分かりましたでしょうか。
  • 20:02 - 20:04
    要するに、この七転八倒している牧人というのは
  • 20:04 - 20:07
    [牧人は、ニヒリズムに囚われ苦しむ人間]
    ニヒリズムに囚われた人間のことを
  • 20:07 - 20:08
    描いているんです。
  • 20:08 - 20:09
    もうちょっと、分かりやすく言いますと
  • 20:09 - 20:12
    こんな希望もない世界に
    生きている意味なんか、ないじゃないか!
  • 20:12 - 20:14
    頑張ったって、どうせ
    報われないじゃないか!
  • 20:14 - 20:15
    「どうせ私なんか!」
  • 20:15 - 20:16
    「どうせ私なんか!!」
  • 20:16 - 20:18
    こういった、ニヒリズムに陥ってしまいますと
  • 20:18 - 20:20
    私たちは、あの牧人のように
  • 20:20 - 20:23
    息苦しい人生を
    送ることになってしまいますよと
  • 20:23 - 20:24
    言っているわけですね。
  • 20:24 - 20:27
    [牧人は、弱い己を殺しニヒリズムを克服した]
    しかし、牧人は自分を苦しめる蛇を噛みちぎり
  • 20:27 - 20:29
    窮地を脱しましたよね。
  • 20:29 - 20:32
    すなわち、これこそがニヒリズムの克服なんです。
  • 20:32 - 20:33
    もっと具体的に言えば
  • 20:33 - 20:36
    「不安」「恐怖」「嫉妬」
    「失望」「自己不信」
  • 20:36 - 20:38
    といった色んなことに囚われ
  • 20:38 - 20:41
    人生を悲観的に捉えることしか
    できなかった弱い自分を
  • 20:41 - 20:43
    自ら噛み殺したんです。
  • 20:43 - 20:46
    [新たな力強い自分に生まれ変わる覚悟を決めよ]
    そして、新たな力強い自分に生まれ変わる覚悟を決め
  • 20:46 - 20:51
    自分の人生を否定的なものから
    肯定的に捉え直すことに成功し
  • 20:51 - 20:52
    高らかに笑った。
  • 20:52 - 20:55
    これこそが、永遠回帰の思想を受け入れ、実践し
  • 20:55 - 21:00
    自らの全生涯を肯定した者の姿である
    というわけです。
  • 21:00 - 21:03
    [永遠回帰の実践的態度]
    また、ニーチェは「永遠回帰」の実践的態度として
  • 21:03 - 21:06
    最も重要なのは
    苦しい人生を目の前にし
  • 21:06 - 21:10
    死にたくなるほど絶望したとしても
    ”これこそが人生なのか!
  • 21:10 - 21:13
    だったらもう一度
    掛かってこい!と、勇気を持って
  • 21:13 - 21:15
    立ち向かうことである、と説きます。
  • 21:15 - 21:19
    今、生きているこの瞬間を
    「これこそ、私の人生なのだ!」と
  • 21:19 - 21:22
    自信を持って肯定できる人は
    これまで歩んできた過去を
  • 21:22 - 21:26
    振り返っても「これで良かったんだ」と
    肯定することが出来ます。
  • 21:26 - 21:29
    そして、未来に対しても
    臆することなく
  • 21:29 - 21:32
    前向きに肯定的に
    歩んで行くことが出来ます。
  • 21:32 - 21:34
    更に、これが永遠にループするとなれば
  • 21:34 - 21:38
    「自分が生きる世界」
    「自分の命」「自分の人生」
  • 21:38 - 21:40
    その全てが、永遠に
  • 21:40 - 21:42
    肯定され続けることを
    意味するわけです。
  • 21:42 - 21:46
    つまり、今!
    この瞬間を肯定さえしてしまえば
  • 21:46 - 21:49
    永遠の肯定ループが生まれる
    というお話です。
  • 21:49 - 21:50
    それ故、ニーチェは
  • 21:50 - 21:51
    「永遠回帰」の思想を
  • 21:51 - 21:56
    [およそ到達しうる限りの最高の肯定の定式]
    と、名付けました。
  • 21:56 - 22:00
    そして、この思想を受け入れた者が
    辿り着く思考の領域。
  • 22:00 - 22:01
    それが[超人]なんです。
  • 22:01 - 22:04
    勿論、そこに至る道は
    決して楽ではありません。
  • 22:04 - 22:07
    1本の綱を渡るように
    大きな危険を伴います。
  • 22:07 - 22:10
    しかし、絶対に安全な道があると
  • 22:10 - 22:14
    頑なに信じ、何もせず
    時が経つのを、ただ待っているだけでは
  • 22:14 - 22:16
    あの牧人のように
    苦しむしかないんです。
  • 22:16 - 22:19
    であれば、自分の弱さを思い切って断ち切って
  • 22:19 - 22:21
    勇気をもって前進しましょう。
  • 22:21 - 22:23
    そして、やれるだけのことを全部やって
  • 22:23 - 22:24
    自分の何もかもを
  • 22:24 - 22:26
    肯定してしまえ!と言っているわけです。
  • 22:26 - 22:27
    [ツァラトゥストラに関してはここでお終い]
    さぁ、いかがでしたでしょうか。
  • 22:27 - 22:31
    端折りに端折って、進めてきましたが
    「ツァラトゥストラ」に関しては
  • 22:31 - 22:32
    ここでお終いです。
  • 22:32 - 22:34
    作品の肝となっている「超人思想」
  • 22:34 - 22:35
    そして、「永遠回帰」
  • 22:35 - 22:37
    ざっくりイメージいただけたでしょうか。
  • 22:37 - 22:39
    最後に、ニーチェが提唱した
  • 22:39 - 22:41
    [運命愛]について簡単に触れて
    終わりたいと思います。
  • 22:41 - 22:44
    [運命愛]というのは、一言で言ってしまえば
  • 22:44 - 22:47
    自分の運命を全て受け入れ、肯定し
  • 22:47 - 22:49
    愛する心の「態度」のことを
    意味しています。
  • 22:49 - 22:52
    [部分的に受け入れず全て受入れ肯定せよ]
    ニーチェの思想に基づくならば
  • 22:52 - 22:55
    この世界に絶対的な「善」も「悪」も
    存在しないということになります。
  • 22:55 - 23:00
    であれば、自分の人生で起こる
    様々な出来事ひとつひとつに
  • 23:00 - 23:01
    これは楽しかったから「〇(まる)」
  • 23:01 - 23:03
    これはキツかったから「×(バツ)」
  • 23:03 - 23:06
    と、部分的に受け入れるのではなく
  • 23:06 - 23:09
    その全てを愛することの大切さを
    説いたわけです。
  • 23:09 - 23:10
    [そうは言っても辛いものは辛い]
    ただ、そうやって綺麗サッパリ
  • 23:10 - 23:12
    気持ちの整理がつけばいいんですが
  • 23:12 - 23:15
    それが出来なくて悩むのが
    我々、人間でございます。
  • 23:15 - 23:18
    自分の存在、自分の人生に価値を見出せず
  • 23:18 - 23:20
    できることなら、もう一回
    過去に戻ってやり直したい。
  • 23:20 - 23:24
    そんな気持ちが、夜な夜な
    出てきてしまうことだってあるわけです。
  • 23:24 - 23:26
    しかし、ニーチェは次のように言います。
  • 23:26 - 23:27
    [たった1度でいい]
  • 23:27 - 23:31
    [本当に魂が震えるほどの悦びを味わったのなら
  • 23:31 - 23:33
    その人生は生きるに値する]
  • 23:33 - 23:35
    つまり、生きている間に
  • 23:35 - 23:38
    言葉では言い表せないような歓びを
    手に入れさえすれば
  • 23:38 - 23:41
    全ての苦しみ
    全ての悲しみを引き連れてでも
  • 23:41 - 23:45
    あなたは自分の人生を
    もう一度生きることを望むはずだ!
  • 23:45 - 23:47
    だから、どんな運命だろうと愛し、
  • 23:47 - 23:49
    自分の人生を前向きに
  • 23:49 - 23:51
    肯定的に生きれば良いのだ
    と言っているわけです。
  • 23:51 - 23:54
    ニーチェ哲学のテーマは「生の肯定」ですが、
  • 23:54 - 23:58
    この「運命愛」は、まさにその
    象徴的な概念と言えます。
  • 23:58 - 24:02
    しかし、そんな非常に前向きでパワフルな
    思想の持主であるニーチェですが
  • 24:02 - 24:07
    彼自身の人生と言えば、実に
    苦悩と悲哀に満ちたものでした。
  • 24:07 - 24:09
    才能があっても仕事は評価されず
  • 24:09 - 24:12
    発狂するほど苦しみ、精神を病んで
  • 24:12 - 24:13
    この世を去るんです。
  • 24:13 - 24:16
    これが永遠に
    回帰するのかと考えますと
  • 24:16 - 24:18
    正直、ゾッとしてしまいます。
  • 24:18 - 24:21
    ただ彼は、晩年に書いた自叙伝において
  • 24:21 - 24:24
    自身の人生を
    次のように振り返っています。
  • 24:24 - 24:25
    [どうして私は]
  • 24:25 - 24:28
    [私の全生涯を感謝せずにおれようか?]
  • 24:28 - 24:31
    [そして、だからこそ私は私自身に]
  • 24:31 - 24:35
    [私の生涯を、語り聞かせようとしているのである]
  • 24:35 - 24:37
    ニーチェの精神が崩壊するのは
  • 24:37 - 24:41
    この言葉を残した、わずか数ヶ月後
    と言われています。
  • 24:41 - 24:42
    つまり、彼は
  • 24:42 - 24:46
    最後の最後まで、苦悩に満ちた
    自分自身の運命を愛し
  • 24:46 - 24:49
    「生の肯定」という、自分の哲学を貫き通し
  • 24:49 - 24:51
    その人生を全うしたのです。
  • 24:52 - 24:53
    そしてニーチェは、自分の死後。
  • 24:53 - 24:56
    何百年か先に、きっとニヒリズムが
    世界を覆い尽くし、
  • 24:56 - 24:58
    人々から希望を奪い
  • 24:58 - 25:01
    生きる意味を失わせてしまうだろうと
    予見していました。
  • 25:01 - 25:05
    だからこそ彼は
    自分の魂と声を宿した人格。
  • 25:05 - 25:08
    [ツァラトゥストラ]を作り上げ
    絶望の前に立ち尽くす
  • 25:08 - 25:10
    未来の人類への
    贈り物としたのです。
  • 25:10 - 25:12
    どこまでも生を肯定し
  • 25:12 - 25:15
    運命を愛した天才哲学者。
  • 25:15 - 25:16
    フリードリヒ・ニーチェ。
  • 25:16 - 25:18
    彼の贈り物が開かれるべき時は
  • 25:18 - 25:20
    まさに今なのかもしれません。
  • 25:21 - 25:22
    というわけで、ニーチェの
    [ツァラトゥストラ]
  • 25:22 - 25:23
    以上でございます。
  • 25:23 - 25:25
    いかがでしたでしょうか。
  • 25:25 - 25:28
    ニーチェ哲学はやはり、パワーが凄いですね。
  • 25:28 - 25:29
    圧倒されてしまいます。
  • 25:29 - 25:32
    もしこの後、お時間があるようでしたら
    概要欄に貼ってあるリンクから
  • 25:32 - 25:35
    岡本太郎さんの
    [自分の中に毒を持て]
  • 25:35 - 25:39
    こちらをチェックしていただきますと
    また、新たな発見があると思います。
  • 25:39 - 25:44
    と言いますのも、岡本太郎さんの思想に
    もっとも影響を与えたのは
  • 25:44 - 25:47
    フランスの哲学者
    「バタイユ」という人物なんですが
  • 25:47 - 25:50
    このバタイユに影響を与えたのが
    ニーチェなんです。
  • 25:50 - 25:54
    ですから、岡本太郎さんの力強い言葉には
    何処かニーチェっぽさがあります。
  • 25:54 - 25:56
    そういったところに
    注目して観ていただきますと
  • 25:56 - 25:59
    今日の内容の解釈の幅が広がって
  • 25:59 - 26:03
    更に気持ちを
    高めていただけるのではないかなと思います。
  • 26:03 - 26:08
    面白かった、参考になったという方は
    高評価・コメントなどいただけますと嬉しいです。
  • 26:08 - 26:10
    また、チャンネル登録も
    よろしくお願い致します。
  • 26:10 - 26:12
    ではまた、次の動画でお会いいたしましょう。
  • 26:12 - 26:13
    ありがとうございました。
Title:
【26分解説】ツァラトゥストラ|ニーチェ ~無敵の自己肯定感を生み出す、究極の思想とは?~
Description:

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Video Language:
Japanese
Duration:
26:14

Japanese subtitles

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