健全な決断をするのはなぜ難しいのか
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0:01 - 0:032007年4月の出来事です
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0:03 - 0:07ニュージャージー州知事だった
ジョン・コーザイン氏は -
0:07 - 0:09恐ろしい自動車事故に遭いました
-
0:09 - 0:12彼がこのSUVの助手席に
乗っていたところ -
0:12 - 0:14ガーデンステート・パークウェイで
車が衝突しました -
0:14 - 0:17彼は 近くの外傷センターへ
搬送されました -
0:17 - 0:20何箇所もの骨折や
裂傷を負った状態でした -
0:20 - 0:22即座の手術と
7単位もの輸血 -
0:22 - 0:25人工呼吸器の助けが
必要になり -
0:25 - 0:28その後も何度も
手術をすることになりました -
0:28 - 0:30彼が生き残ったのは
驚くべきことです -
0:30 - 0:32でも もっと驚くべきなのは
-
0:32 - 0:34彼がシートベルトを
していなかったことかもしれません -
0:34 - 0:36実際 彼はシートベルトを
つけたことがありませんでした -
0:36 - 0:40コ―ザイン知事の運転手を務めた
州警察の警官は -
0:40 - 0:42シートベルトをつけるよう
いつも頼んでいましたが -
0:42 - 0:43彼はしませんでした
-
0:43 - 0:45コーザイン氏は
ニュージャージー州知事になる前は -
0:45 - 0:48同州選出の上院議員であり
-
0:48 - 0:51その前は ゴールドマンサックスの
CEOで -
0:51 - 0:53同社の株式公開を行い
-
0:53 - 0:56何億ドルも稼ぎました
-
0:56 - 0:58皆さんが 彼のことを
政治的にどう考え -
0:58 - 1:00その稼ぎ方を
どう思っていようとも -
1:00 - 1:02彼がバカだと言う人は
いないでしょう -
1:02 - 1:04しかし 彼は事故の現場に
-
1:04 - 1:06シートベルトをせずにいたのです
-
1:06 - 1:11シートベルトが命を救うことは
誰でも知っていることなのに -
1:12 - 1:16この話は 健康に関する行動の
改善に対する我々のアプローチの -
1:16 - 1:18根本的な弱点を
示しています -
1:18 - 1:21私たちが医師や患者に伝える
ほぼ全ての事柄は -
1:21 - 1:25「人間は合理的に行動する」
という考えに基づいています -
1:25 - 1:29もし あなたから情報をもらえば
私はそれを頭の中で処理し -
1:29 - 1:32その結果として
私の行いが変わると -
1:32 - 1:35シートベルトが命を救うことを
彼は知らなかったのでしょうか? -
1:35 - 1:37彼だけ聞いてなかったのでしょうか?
-
1:37 - 1:38(笑)
-
1:38 - 1:41ジョン・コーザイン氏に
不足していたのは知識ではなく -
1:41 - 1:43行動だったのです
-
1:43 - 1:46常識知らずだった
わけではありません -
1:46 - 1:49行動に移さなかっただけです
-
1:50 - 1:55心というのは「高抵抗の通り道」だと
私は思っています -
1:55 - 1:59情報で 人の考えを変えるのは
難しいですが -
1:59 - 2:01情報で 人の行動を変えるのは
-
2:01 - 2:03さらに難しいのです
-
2:04 - 2:08健康や医療を
大きく改善するには -
2:08 - 2:14健康や医療に関わる行動を
大きく改善するしかありません -
2:14 - 2:17もしあなたが 私の膝蓋腱を
打腱器で叩いたら -
2:17 - 2:19私の脚は前方に動き
-
2:19 - 2:22私が意識的に動かすよりも
-
2:22 - 2:25ずっと速く確実に動くでしょう
-
2:25 - 2:27これは反射です
-
2:27 - 2:30私たちがすべきことは
同じような「反射的行動」を探し -
2:30 - 2:33それを医療に組み込むことです
-
2:34 - 2:35しかし問題は
-
2:35 - 2:38人を動機づける
最も典型的な方法は -
2:38 - 2:41教育の考えに
基づいたものだということです -
2:42 - 2:44人々が取るべき行動を
取らなかったのは -
2:44 - 2:46知らなかったからだと
考えるのです -
2:46 - 2:50「喫煙が体に良くないと知っていれば
吸わないはずだ」と -
2:50 - 2:52あるいは 経済学的に考えます
-
2:52 - 2:55そこでの前提は
私たちは 常に -
2:55 - 2:58自分のあらゆる行動について
損得を計算していて -
2:58 - 3:02それによって完璧に正しい合理的な
意思決定をしているというものです -
3:02 - 3:03もし それが本当なら
-
3:03 - 3:05医者のための完璧な
支払いシステムや -
3:05 - 3:09患者のための完璧な 自己負担や
控除の仕組みを用意さえすれば -
3:09 - 3:10全てうまくいくはずです
-
3:10 - 3:14実は もっと良い方法が
行動経済学にあります -
3:14 - 3:18行動経済学者は 人間の
非合理性を認識しています -
3:18 - 3:20私たちは 感情をもとに
判断を下し -
3:20 - 3:22また フレーミングや
社会的状況に影響を受けます -
3:22 - 3:26自分の長期的な利益を常に最優先にして
行動しているわけではありません -
3:26 - 3:29しかし 行動経済学の
すごいところは -
3:29 - 3:32人間が非合理的だと
明らかにしたことではななく -
3:32 - 3:37人間の非合理性はかなり予測可能だと
明らかにしたことです -
3:37 - 3:40この 人の心理的な欠点の
予測可能性こそが -
3:40 - 3:43それを克服する戦略を立てる上で
役に立つのです -
3:43 - 3:46分かっていれば
備えができるというものです -
3:46 - 3:48実際 行動経済学者は よく
-
3:48 - 3:52私たちを困らせている
まさにその反射的行動を -
3:52 - 3:56逆に私たちの力になるよう
利用しています -
3:57 - 4:01非合理性の例として
「現在バイアス」というのがあります -
4:01 - 4:05遠い未来の ずっと重要な結果よりも
目の前の結果の方が -
4:05 - 4:09より強い動機付けになるという
心理です -
4:10 - 4:13私がダイエット中だとしたら―
いつもそうなんですが -
4:13 - 4:14(笑)
-
4:14 - 4:19誰かが 美味しそうなチョコケーキを
勧めてきたとき -
4:19 - 4:22私は そのケーキを食べるべき
ではないと わかっています -
4:22 - 4:27そのケーキが 下っ腹のお肉になるのは
知っています -
4:27 - 4:30その手の食べ物はみんなそうです
-
4:30 - 4:32でも チョコケーキは
とっても美味しそうで -
4:32 - 4:33しかも 目の前にあり
-
4:33 - 4:36ダイエットは明日からでも
始められます -
4:36 - 4:38私は コメディアンの
スティーブン・ライトが好きでした -
4:38 - 4:40彼はよく 禅っぽい警句を
飛ばしていました -
4:40 - 4:42私のお気に入りはこうです
-
4:42 - 4:44「努力は将来報われるが
-
4:44 - 4:47怠惰は今すぐ報われる」
-
4:47 - 4:48(笑)
-
4:48 - 4:51現在バイアスは
患者にもあります -
4:51 - 4:53あなたが高血圧だとしましょう
-
4:53 - 4:56心臓発作はどうしても
避けたいと思い -
4:56 - 4:58降圧薬を飲むことが
-
4:58 - 5:01リスクを下げるのに一番だと
知っていたとしても -
5:01 - 5:06回避される発作は 「遠い未来」で
薬を飲むのは 「今すぐ」です -
5:06 - 5:10高血圧の薬を処方された
患者の ほぼ半数は -
5:10 - 5:131年以内に
飲むのをやめてしまいます -
5:13 - 5:15この問題ひとつを
解決するだけで -
5:15 - 5:19どれだけ多くの命を救えるか
考えてみて下さい -
5:20 - 5:25私たちはまた 確率の小さなことを
過大評価しがちです -
5:25 - 5:27宝くじが人気ある理由です
-
5:27 - 5:30投資対効果は
極めて低いわけですが -
5:30 - 5:32皆さんの中にも 宝くじを
買う方がいるかもしれません -
5:32 - 5:35楽しいですよね
大金が当たるかもしれません -
5:35 - 5:36でも 率直に認めましょう
-
5:36 - 5:40退職後の蓄えの投資先としては
はなはだひどいものだと -
5:40 - 5:43こんなバンパーステッカーを見ました
ホントの話です -
5:43 - 5:48「宝くじは計算のできない
人間にかけられる税金だ」 -
5:48 - 5:50(笑)
-
5:50 - 5:52計算ができない
のではなくて -
5:52 - 5:55計算を感じることが
できないのです -
5:55 - 5:57また 私たちは
後悔に気をかけ過ぎます -
5:58 - 6:01チャンスを逃すのを
嫌う気持ちが強いんです -
6:01 - 6:03最近 こんな宝くじがありました
-
6:03 - 6:04メガ・大当たり宝くじ
というもので -
6:04 - 6:07大当たりすれば
10億ドル以上も貰えます -
6:07 - 6:10私の職場では くじを買うため
全員が資金を出し合います -
6:10 - 6:12私は 一切手を出しません
-
6:12 - 6:14こんなことを呟きながら
職場を歩き回るんです -
6:14 - 6:17「宝くじは計算のできない
人間にかけられる税金だ」 -
6:17 - 6:18(笑)
-
6:18 - 6:20でも ふと思うんです
-
6:20 - 6:21待てよ
-
6:21 - 6:23もし 当たったらどうしよう?
-
6:23 - 6:25(笑)
-
6:25 - 6:27翌日 職場に現れるのは
私だけです -
6:27 - 6:28(笑)
-
6:28 - 6:31別に 同僚に当たってほしくない
わけではありません -
6:31 - 6:33私抜きで 当たって
ほしくないだけです -
6:34 - 6:37財布から20ドル札を取り出して
-
6:37 - 6:39シュレッダーにかけたほうが
早いです -
6:39 - 6:41結果は同じでしょうから
-
6:41 - 6:43私は 参加すべきでないと
わかっていながら -
6:43 - 6:4620ドル札を
渡してしまい -
6:46 - 6:48二度と返ってくることは
ありませんでした -
6:48 - 6:49(笑)
-
6:49 - 6:53私たちは 患者相手の実験を
何度も行いました -
6:53 - 6:55彼らに 電子薬瓶を渡すんです
-
6:55 - 6:58これで 彼らが薬を飲んだかどうか
知ることができ -
6:58 - 7:01飲んだご褒美に
宝くじをあげます -
7:02 - 7:03賞金です
-
7:03 - 7:06しかし 賞金を
もらうためには -
7:06 - 7:08前日に 薬を
飲んでいなければなりません -
7:08 - 7:11飲んでなかった場合には
こんなメッセージが来ます -
7:11 - 7:13「100ドル当たった
かもしれないのに -
7:13 - 7:16昨日 薬を飲まなかったから
くじはなしです」 -
7:16 - 7:19もちろんですが
患者は 残念がります -
7:19 - 7:21チャンスを逃すという感覚が
イヤなのでしょう -
7:21 - 7:23そして 後悔するのを
わかっているから -
7:23 - 7:25それを避けたいと思い
-
7:25 - 7:28薬を飲む可能性が
ずっと高くなります -
7:28 - 7:32後悔を嫌う感覚の利用というのは
機能するのです -
7:32 - 7:35これはもっと一般的な知見に
繋がります -
7:35 - 7:38人がどのように非合理的であるか
理解していれば -
7:38 - 7:42相手をずっと助けやすくなる
ということです -
7:42 - 7:47こういった類の非合理性は
男子トイレでも使えます -
7:47 - 7:50男子トイレを見る機会が
あまりない方のために -
7:50 - 7:54男子トイレがどんなだったか
お見せしましょう -
7:54 - 7:55(笑)
-
7:55 - 7:57床がおしっこまみれです
-
7:57 - 7:59(笑)
-
7:59 - 8:02この問題を解決するには
-
8:02 - 8:06便器の中に ハエの絵を
描けばいいんです -
8:06 - 8:09(笑)(拍手)
-
8:09 - 8:11実に理にかなってますね
-
8:11 - 8:12(笑)
-
8:12 - 8:14ハエがいた!
-
8:14 - 8:16当てて見せるぞ!
-
8:16 - 8:19(笑)
-
8:19 - 8:21さあ流れていけ
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8:21 - 8:23(笑)
-
8:23 - 8:25当然 聞きたくなりますよね
-
8:25 - 8:29ハエを狙えるくらいなら
なんで 床にこぼすの? -
8:29 - 8:31床におしっこするんだったら
-
8:31 - 8:32なんで便器の前なの?
-
8:32 - 8:33どこでもいいじゃない?
-
8:33 - 8:34(笑)
-
8:34 - 8:38同じことは
医療にも当てはまります -
8:39 - 8:41これは うちの病院での話ですが
-
8:41 - 8:44医師が ジェネリック薬があるのに
-
8:44 - 8:47ブランド薬を処方する
という問題がありました -
8:47 - 8:51このグラフの線は
それぞれ異なる薬で -
8:51 - 8:56ジェネリック薬が処方される
頻度を表しています -
8:56 - 8:59一番上の薬では100%
ジェネリック薬が処方されていて -
8:59 - 9:03一番下の薬では ジェネリック薬の
処方率が20%を下回っています -
9:03 - 9:07医師と話し合ったり
教育セッションを設けたりしても -
9:07 - 9:08うまくいかず
-
9:08 - 9:10全ての線は
ほぼ横ばいです -
9:11 - 9:16それが 電子カルテにソフトウェアを
インストールして -
9:16 - 9:19ブランド薬の代わりに
ジェネリック薬が -
9:19 - 9:22既定値になるようにしたところ―
-
9:22 - 9:24素人目にもわかるはずですが
-
9:24 - 9:27問題が一瞬で解決されました
-
9:27 - 9:29そしてその状態を
保っています -
9:29 - 9:33事実 このプログラムを始めてから
2年半経ちましたが -
9:33 - 9:36病院は 3200万ドル節約できました
-
9:36 - 9:39凄くないですか?
3200「万」ドルです -
9:39 - 9:41やったことはただ
-
9:41 - 9:48医師が 本来やりたかったことを
しやすいようにするということです -
9:49 - 9:53損したくない気持ちを利用するのも
よく機能します -
9:54 - 9:58人々にもっと散歩してもらうための
コンテストで それをやりました -
9:59 - 10:03少なくとも7,000歩は
歩いてほしかったので -
10:03 - 10:06彼らの携帯にある加速度計で
歩数を測りました -
10:07 - 10:09対照群のAグループは
-
10:09 - 10:127,000歩 歩いたかどうか
言われるだけです -
10:13 - 10:16Bグループには
金銭的インセンティブがあり -
10:16 - 10:217,000歩 歩いた日は
1.4ドル貰えます -
10:21 - 10:23Cグループも 同じ
金額が貰えますが -
10:23 - 10:27得ではなく損として
提示されます -
10:27 - 10:291日1.4ドルは
1か月で42ドルですから -
10:29 - 10:36月初めに42ドルを
彼らの見られる仮想口座に入金し -
10:36 - 10:417,000歩 歩かなかった日には
1.4ドルを そこから減らします -
10:41 - 10:42経済学者なら
-
10:42 - 10:45インセンティブはどちらでも
一緒だと言うでしょう -
10:45 - 10:50毎日7,000歩 歩くたびに
1.4ドル分豊かになるのだからと -
10:50 - 10:53しかし 行動経済学者は
両者は違うと言うでしょう -
10:53 - 10:57人は1.4ドル得することよりも
1.4ドルの損を避けることに -
10:57 - 11:00より強く動機づけられるからです
-
11:00 - 11:02結果は まさにそうなりました
-
11:03 - 11:07毎日7,000歩 歩くことで
1.4ドル貰ったグループの人たちは -
11:07 - 11:10目標達成率が対照群と
変わりませんでした -
11:10 - 11:12金銭的インセンティブは
効かなかったのです -
11:12 - 11:15しかし 損の形で提示される
インセンティブでは -
11:15 - 11:18目標達成日が
50%以上増えました -
11:18 - 11:21経済学的には意味不明ですが
心理学的には理にかなっています -
11:21 - 11:24得る喜びより 失う恐怖の方が
強いものなのです -
11:24 - 11:26今では このやり方を活かして
-
11:26 - 11:29患者がもっと歩いたり
減量したり -
11:29 - 11:32薬をちゃんと飲むことができるよう
サポートしています -
11:32 - 11:34お金がモチベーションになるのは
-
11:34 - 11:35皆知っています
-
11:35 - 11:40しかし 人の心理と組み合わせることで
ずっと大きな影響力を出せるのです -
11:41 - 11:43言うまでもなく お金には
良くない点もあります -
11:43 - 11:47それに関して託児所の
面白い事例があります -
11:47 - 11:52託児所で一番やっちゃいけないのは
子どもの迎えが遅くなることです -
11:52 - 11:54誰にとっても不幸です
-
11:54 - 11:56子どもは泣き出します
あなたが愛さないものだから -
11:56 - 11:57(笑)
-
11:57 - 12:00先生は 帰りが遅くなるので
嬉しくありません -
12:00 - 12:02親のあなたも罪悪感を感じます
-
12:02 - 12:06イスラエルのある託児所では
この問題を解決しようと -
12:06 - 12:09アメリカの託児所の多くが
実践していることを取り入れました -
12:09 - 12:12迎えの遅い親に罰金を科す
というものです -
12:12 - 12:15罰金は10シケル ー
-
12:15 - 12:17300円くらいです
-
12:17 - 12:19どうなったと思います?
-
12:19 - 12:21遅い迎えが「増えた」のです
-
12:22 - 12:25考えてみれば当然です
-
12:25 - 12:26なんてお得なの!
-
12:26 - 12:28たった10シケルで―
-
12:28 - 12:29(笑)
-
12:29 - 12:31子供を一晩
預かってもらえるなんて! -
12:31 - 12:33(笑)
-
12:33 - 12:37遅れないようにしないと という
強い内的動機付けを奪い -
12:37 - 12:39安い値段で置き換えたのです
-
12:39 - 12:40さらに悪いことに
-
12:40 - 12:44間違いに気付いた彼らは
罰金を廃止しましたが -
12:44 - 12:47遅い迎えが多い状況は
変わりませんでした -
12:47 - 12:50社会契約を毒してしまったのです
-
12:50 - 12:54医療では強い内的動機付けが
たくさんあります -
12:54 - 12:58医者も患者も 正しいことをしたい
と思っています -
12:58 - 13:01金銭的インセンティブは
役に立ち得ますが -
13:01 - 13:05医療においては
お金に期待しすぎない方がいいでしょう -
13:06 - 13:10おそらく 健康に関わる行動に
最も強く影響を与えるものは -
13:10 - 13:13社会的な相互作用です
-
13:13 - 13:15社会的な関わりは
医療において力を発揮し -
13:15 - 13:17二つの方向で
働きます -
13:18 - 13:22まず 人間は根本的に
他人の目を気にします -
13:22 - 13:26そのため 人の行動を変える
最も強力な方法の1つは -
13:26 - 13:30他人に行動が見られる
ようにすることです -
13:30 - 13:34私たちは 見られているかいないかで
行動の仕方が変わります -
13:34 - 13:35レストランによっては
-
13:35 - 13:39手洗い場がトイレの中にはなく
外にあって -
13:39 - 13:43手を洗ったかどうか
皆から見えるようになっています -
13:43 - 13:45データはありませんが
-
13:45 - 13:49そういった配置の方が
手を洗う人が多いことでしょう -
13:49 - 13:52見られているときには
最善の行いをするものです -
13:52 - 13:55実際 フロリダ病院の集中治療室で
行われた -
13:55 - 13:58驚くべき研究があります
-
13:58 - 14:01そこでは 手を洗う頻度が低く
言うまでもなく危険でした -
14:01 - 14:03感染を広げるかも
しれませんから -
14:03 - 14:08そこで 研究者たちは
洗面所の上に目の写真を貼りました -
14:08 - 14:11本物の人間ではなく
ただの写真 -
14:11 - 14:14それも顔全体ですらなく
「見ているぞ」という目だけです -
14:14 - 14:15(笑)
-
14:15 - 14:17手を洗う率は
2倍以上に上がりました -
14:17 - 14:20私たちは 他人からどう思われているかを
とても気にするようで -
14:20 - 14:25人から見られることを想像するだけで
行動を改善するんです -
14:26 - 14:29また私たちは
他人の目を気にするだけでなく -
14:29 - 14:33基本的に他人の取る行動を
手本にしています -
14:34 - 14:36ここでシートベルトの
話に戻りますが -
14:37 - 14:42幼い頃 アダム・ウェスト主演の
テレビシリーズ「バットマン」が好きでした -
14:42 - 14:45バットマンとロビンは
何をするにも超カッコよく -
14:45 - 14:48もちろん バットモービルは
最高にクールでした -
14:48 - 14:52番組は1966年から
1968年まで放送されましたが -
14:52 - 14:56当時 シートベルトは
任意の付属品でした -
14:57 - 15:00そこで 番組プロデューサーは
あるとても重要なことをしました -
15:00 - 15:02バットマンとロビンが
バットモービルに乗る時 -
15:02 - 15:05カメラの焦点を
彼らの膝に合わせ -
15:05 - 15:07シートベルトを付ける場面を
見せるようにしたのです -
15:07 - 15:10バットマンとロビンが
シートベルトをしているんだから -
15:10 - 15:12私もシートベルトをするのは
間違いないです -
15:12 - 15:15あの番組は たくさんの命を
救ったと思います -
15:15 - 15:17お手本は医療にも生かせます
-
15:17 - 15:23医師は 他の医師がどう使うかを見て
抗生物質をより適切に使うようになります -
15:23 - 15:28医療における活動の多くは
隠れていて他の人に見えません -
15:28 - 15:30しかし 医者だって
社会的な生き物です -
15:30 - 15:35他の医者の行動を見て
より良い治療を行うようになります -
15:35 - 15:38医療においても
社会的影響は効果的です -
15:38 - 15:42後悔や 損を嫌う気持ちを利用するのも
同じように効果的です -
15:42 - 15:45皆が皆 常に合理的だと
考えていたのなら -
15:45 - 15:49こうした手段があるとは
思わないでしょう -
15:49 - 15:52言っておきますが 合理性がダメだと
言っているわけではありません -
15:52 - 15:54それこそ非合理的です
-
15:55 - 15:59しかし 私たちは皆知っています
心の非合理的な部分こそが -
15:59 - 16:03勇気や創造力 ひらめき ー
-
16:03 - 16:05情熱を生むのだと
-
16:05 - 16:07また こんなことも知っています
-
16:07 - 16:11人の健康に関わる行動を
改善するには -
16:12 - 16:16非合理的な部分を無視したり
抗ったりするよりも -
16:16 - 16:19それを活かすようにする方が
ずっと効果的だと -
16:19 - 16:21医療においては
-
16:21 - 16:26人間の非合理性の理解もまた
道具のひとつだということです -
16:26 - 16:28その非合理性をうまく
利用することこそが -
16:28 - 16:32最も合理的な行動なのかもしれません
-
16:32 - 16:34ご静聴ありがとうございました
-
16:34 - 16:38(拍手)
- Title:
- 健全な決断をするのはなぜ難しいのか
- Speaker:
- デイヴィッド・アッシュ
- Description:
-
私たちは、健康に悪いと知っていながらなぜ愚かな決断をするのでしょうか。この率直で面白い話の中で、行動経済学者で保健政策の専門家のデイヴィッド・アッシュが、私たちの行動が時に「非常に予測できる形で」非合理的である理由を説明します。そしてより良い選択をし、医療システム全体を改善するために、この非合理性をどう生かせるかを教えてくれます。
- Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TEDTalks
- Duration:
- 16:53
Yasushi Aoki approved Japanese subtitles for Why it's so hard to make healthy decisions | ||
Yasushi Aoki edited Japanese subtitles for Why it's so hard to make healthy decisions | ||
Yasushi Aoki edited Japanese subtitles for Why it's so hard to make healthy decisions | ||
Takamasa Omata accepted Japanese subtitles for Why it's so hard to make healthy decisions | ||
Takamasa Omata edited Japanese subtitles for Why it's so hard to make healthy decisions | ||
Yasushi Aoki rejected Japanese subtitles for Why it's so hard to make healthy decisions | ||
Yasushi Aoki edited Japanese subtitles for Why it's so hard to make healthy decisions | ||
Yasushi Aoki edited Japanese subtitles for Why it's so hard to make healthy decisions |