0:00:07.777,0:00:12.620
紀元前335年のある夏の夜 [br]アレクサンダー大王は

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スキタイ軍との一日の戦いの後[br]ドナウ川のほとりで休んでいると

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見知らぬ者らが彼の野営地に[br]近づいてきました

0:00:21.080,0:00:24.940
アレクサンダー大王は[br]彼らほど背が高く 険しい表情をし

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大きな金の首輪とカラフルな外套を[br]身に着けた戦士を見たことがありませんでした

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アレクサンダー大王は[br]彼らを宴に招待しました

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彼らは自分達は遠くアルプス山脈から来た[br]ケルト人だと誇らしげに述べました

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アレクサンダー大王は彼らに[br]世界で最も恐ろしいものは何かと尋ねました

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アレクサンダー大王との答えを[br]期待してのことです

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彼らは笑い 何も[br]怖いものはないと答えました

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これは古代ケルト人にまつわる[br]最古の逸話の一つです

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最初のケルト人がどこから来たのかは[br]わかっていませんが

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アレクサンダー大王の時代までには[br]ヨーロッパ全体 ―

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東は小アジアから 西はスペインや

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大西洋上のイギリス諸島と[br]アイルランドに至る全域に広がっていました

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ケルトの人々は統一国家も築かず[br]都市や記念碑も建設しませんでしたが

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共通の言語を話す[br]それぞれ独立した数百の部族でした

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各部族が戦士王を持ち[br]宗教施設を所有していました

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彼らは敵との戦いと同様に

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部族同士でも激しく戦をしました

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彼らに勝る集団は[br]あまりいませんでした

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当時としては珍しくケルトの人々は[br]輪廻転生を信じていて

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この大地に再び生まれ 楽しみ[br]戦うものだと思っていました

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その考えが 恐れを知らぬ戦い方に[br]貢献したのかもしれません

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中には敵の鎧をあざ笑い [br]裸で戦う者もいました

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ケルトの戦士にとっての最大の戦利品は

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敵の生首でした

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彼らは生首をセダー油の瓶に入れ

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家を訪れた客人に披露しました

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ケルト戦士は古代世界で重宝され

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しばしば外国の王に

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傭兵として雇われました

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しかしケルト人達は[br]単なる戦士以上の存在でした

0:02:17.998,0:02:24.478
中には優れた職人 芸術家[br]偉大な吟遊詩人な詩人がいました

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吟遊詩人は先人の偉業を歌い

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戦士王たちの業績を讃えました

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また臆病で身勝手なリーダー達の[br]辛辣な風刺を歌にしました

0:02:36.375,0:02:38.855
ケルトの人々は多くの神を崇拝し

0:02:38.855,0:02:43.133
ドルイドと言われる祭司達が[br]礼拝を監督しました

0:02:43.133,0:02:45.193
誰もがドルイド僧に[br]なることができましたが

0:02:45.193,0:02:49.897
そのためには何年にも及ぶ[br]学びと記憶の修行が必要でした ―

0:02:49.897,0:02:54.965
ドルイド僧には教義の内容を文字で[br]残すことが認められていなかったのです

0:02:54.965,0:02:59.357
ドルイド僧は宗教上のしきたりや[br]神へのいけにえを監督しましたが

0:02:59.357,0:03:04.698
彼らはまた教師 治療者 [br]裁判官や科学者でもありました

0:03:04.698,0:03:09.117
ドルイド僧はとても尊敬されていたので[br]敵対する部族間に分け入り

0:03:09.117,0:03:13.526
戦いを終わらせることができました

0:03:13.526,0:03:18.958
ドルイド僧を傷つけたり 異議を唱える[br]ケルトの人々はいませんでした

0:03:18.958,0:03:24.641
紀元前２世紀 ローマ人達は[br]ケルトの領土への侵入を開始し

0:03:24.641,0:03:27.851
イタリア北部の部族を征服しました

0:03:27.851,0:03:32.073
敗北後ケルトの人々は ローマ軍に対し[br]一致団結することなく

0:03:32.073,0:03:35.593
部族間の分裂状態を続けました

0:03:35.593,0:03:38.603
スペインの部族たちは まもなく滅びました

0:03:38.603,0:03:44.152
紀元前１世紀 ジュリアス・シーザーが[br]フランスに進軍

0:03:44.152,0:03:49.875
賄賂 脅し 嘘を使い [br]部族同士を対立させました

0:03:49.875,0:03:53.275
この大きな戦いの最後にようやく

0:03:53.275,0:03:56.095
ケルトの人々は共通の敵に対し

0:03:56.095,0:03:59.215
ウェルキンゲトリクス王を[br]リーダーとして団結しました

0:03:59.215,0:04:00.865
しかし遅すぎました

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ローマ軍がフランスを征服した時

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無数の戦士と その家族は亡くなるか[br]奴隷となりました

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周りを海に囲まれた ―

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ブリテン島とアイルランド島の[br]ケルト部族は最後の砦でした

0:04:14.961,0:04:17.621
ローマ軍が遂にブリテン島に侵入した時

0:04:17.621,0:04:23.246
ブーディカ女王は夫の死後 暴動の中[br]自らの部族を一致団結させました

0:04:23.246,0:04:27.779
女王はブリテン島からローマ軍を[br]追い出すことにほぼ成功しましたが

0:04:27.779,0:04:32.852
最後の戦いを率いた際に[br]死を迎えました

0:04:32.852,0:04:38.281
紀元後１世紀末には[br]海のかなたアイルランド島のみが

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唯一ローマ軍の支配を受けずにいました

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そこには 手つかずの[br]古代ケルトの慣習が

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ローマ自体が廃墟と化した[br]ずっと後の世まで残っていたのです