1 00:00:00,792 --> 00:00:05,809 シリコンバレーとインターネットが 私にくれたのは スーパーパワーと 2 00:00:05,833 --> 00:00:08,643 戦うための道具 3 00:00:08,667 --> 00:00:11,643 銃弾をも通さない服 4 00:00:11,667 --> 00:00:16,509 そして戦いの時を告げて 空を照らす合図でした 5 00:00:17,125 --> 00:00:20,684 とはいっても これを証明はできません 6 00:00:20,708 --> 00:00:22,726 私は「科学者」でもなければ 7 00:00:22,750 --> 00:00:24,558 「裏付ける事実」もありません 8 00:00:25,042 --> 00:00:28,434 実は 映画評論サイトでの 私の評価は50%くらいなので 9 00:00:28,458 --> 00:00:30,226 なぜここに呼ばれたのか わかりません 10 00:00:30,250 --> 00:00:31,476 (笑) 11 00:00:31,500 --> 00:00:34,976 でも 自分より大きな力に ぶつかっていくことについて 12 00:00:35,000 --> 00:00:36,601 お話しするのであれば 13 00:00:36,625 --> 00:00:38,226 私は適任だと思います 14 00:00:38,250 --> 00:00:39,643 なぜなら昨年 15 00:00:39,667 --> 00:00:43,476 私の映画『クレイジーリッチ!』で 興味深い経験をしたからです 16 00:00:43,500 --> 00:00:44,518 (拍手と歓声) 17 00:00:44,542 --> 00:00:46,518 どうもありがとう 18 00:00:46,542 --> 00:00:49,434 それに「結びつき」が 今回のテーマであり 19 00:00:49,458 --> 00:00:52,059 私の物語が実現し得たのは 20 00:00:52,083 --> 00:00:56,018 これまでの人生で起こった 様々な結びつきのおかげなので 21 00:00:56,042 --> 00:00:58,708 願わくば私の物語を 少しお話しすることで 22 00:00:58,708 --> 00:01:02,617 誰かが私よりも早く自分の道を 見つける助けになればと思います 23 00:01:02,617 --> 00:01:06,778 私の物語は 聖典を 初めて開いた時に始まりました 24 00:01:08,208 --> 00:01:10,934 ガジェットの聖典 「Sharper Image」カタログです 25 00:01:10,958 --> 00:01:12,184 (笑) 26 00:01:12,208 --> 00:01:13,518 分かる人には分かりますね 27 00:01:13,542 --> 00:01:16,976 これは夢の詰まった 魔法のような雑誌で 28 00:01:17,000 --> 00:01:20,851 とてもありえないと 思うような物が 29 00:01:20,875 --> 00:01:22,143 載っているんです 30 00:01:22,167 --> 00:01:24,025 通販で注文もできます 31 00:01:24,049 --> 00:01:26,426 ない方がマシなものもありましたが 32 00:01:26,426 --> 00:01:29,934 リアルな持ち運び可能なマネキンの 「グレゴリー」とか― 33 00:01:29,958 --> 00:01:32,851 強面な佇まいで 犯罪を防ぐと謳っています 34 00:01:32,875 --> 00:01:34,143 これは本当に― 35 00:01:34,167 --> 00:01:35,184 (笑) 36 00:01:35,208 --> 00:01:36,809 本当にあるんですよ 37 00:01:36,833 --> 00:01:37,851 (笑) 38 00:01:37,875 --> 00:01:41,795 でも私の目が釘付けになったのは Sima Video Ed/it 2でした 39 00:01:41,795 --> 00:01:44,476 10歳の私の目には とてもかっこよく映りました 40 00:01:44,500 --> 00:01:47,309 VHSプレイヤーとつないで 41 00:01:47,333 --> 00:01:48,684 ビデオ編集できるんです 42 00:01:48,708 --> 00:01:51,601 両親を呼んで 買ってほしいとお願いしました 43 00:01:51,625 --> 00:01:52,976 その話の前に 44 00:01:53,000 --> 00:01:55,351 ちょっと両親の話をさせてください 45 00:01:55,375 --> 00:01:57,976 両親は若い時に アメリカにやってきました 46 00:01:58,000 --> 00:01:59,684 台湾と中国の出身です 47 00:01:59,708 --> 00:02:02,601 2人はカリフォルニア州 ロス・アルトスに居を構え― 48 00:02:02,625 --> 00:02:04,976 シリコンバレーになる前の シリコンバレーですね― 49 00:02:05,000 --> 00:02:08,601 「シェフ・チュウの店」という 中華料理店を始めました 50 00:02:08,625 --> 00:02:11,351 半世紀経った今も 両親はその店をやっていて 51 00:02:11,375 --> 00:02:12,643 同じ場所にいます 52 00:02:12,667 --> 00:02:14,518 私はそこで育ち いい環境でした 53 00:02:14,542 --> 00:02:17,434 結びつきといえば この場所は結びつきの中心でした 54 00:02:17,458 --> 00:02:21,893 人々は誕生日や記念日や 契約成立を祝いにやってきて 55 00:02:21,917 --> 00:02:23,184 飲んだり食べたりし 56 00:02:23,208 --> 00:02:24,476 結びつきが生まれるのです 57 00:02:24,500 --> 00:02:26,476 私はその中で育ちました 58 00:02:26,500 --> 00:02:29,747 両親はいつもアメリカは 世界一の場所だと言っていました 59 00:02:29,747 --> 00:02:31,143 誰だって― 60 00:02:31,167 --> 00:02:35,018 何か好きなことがあれば 努力して何でも叶えられるのだと 61 00:02:35,042 --> 00:02:38,408 両親は私たち5人の子供を アメリカ人として育てました 62 00:02:38,408 --> 00:02:39,893 私は末っ子で― 63 00:02:39,917 --> 00:02:42,633 あの目をつぶっているのが私です 64 00:02:43,231 --> 00:02:46,532 姉をジェニファー 私をジョナサンと名付けたのは 65 00:02:46,532 --> 00:02:49,896 『探偵ハート&ハート』の 2人の主人公にちなんでのことでした 66 00:02:49,896 --> 00:02:51,893 (笑) 67 00:02:51,917 --> 00:02:55,018 それくらい両親は アメリカが大好きだったんですね 68 00:02:55,042 --> 00:02:57,434 うちはケネディ一家のようだと 思ってもいました 69 00:02:57,458 --> 00:02:58,726 母は特にそうです 70 00:02:58,750 --> 00:03:01,101 だからよく子供に お揃いの服を着せたり 71 00:03:01,125 --> 00:03:04,643 エチケットのレッスンや 社交ダンスのクラスに通わせて 72 00:03:04,667 --> 00:03:08,559 歯をきれいに矯正させました 73 00:03:08,583 --> 00:03:09,893 (笑) 74 00:03:09,917 --> 00:03:12,226 私の写真です 本物ですよ 75 00:03:12,250 --> 00:03:13,791 これはひどいですね 76 00:03:14,500 --> 00:03:17,861 休暇旅行のときにビデオを撮るのは 私の担当でした 77 00:03:17,861 --> 00:03:21,143 だから 撮りためたビデオを 持て余していたんです 78 00:03:21,167 --> 00:03:24,203 そこで Sima Video Ed/it 2 です 79 00:03:24,203 --> 00:03:26,101 買ってくれるよう 両親を説得して 80 00:03:26,125 --> 00:03:29,393 兄や姉の部屋にあった 家じゅうのビデオレコーダーを集め 81 00:03:29,417 --> 00:03:31,511 コードに絡まりながら接続し 82 00:03:31,511 --> 00:03:33,766 一晩かけて なんとか 見せられるものができました 83 00:03:33,766 --> 00:03:35,599 ある晩 家族をリビングに集めました 84 00:03:35,599 --> 00:03:38,246 1991年くらいだったでしょうか 85 00:03:38,246 --> 00:03:40,241 みんなをリビングに座らせて 86 00:03:40,241 --> 00:03:42,726 胸はドキドキして 深く呼吸をしながら― 87 00:03:42,750 --> 00:03:44,268 今みたいな感じですね 88 00:03:44,292 --> 00:03:45,956 再生ボタンを押しました 89 00:03:45,986 --> 00:03:49,684 すると驚くようなことが起きました 90 00:03:49,708 --> 00:03:51,260 みんな泣いたんです 91 00:03:51,583 --> 00:03:52,851 ずっと泣いていました 92 00:03:52,875 --> 00:03:56,226 家族が泣いたのは 史上最高のホームビデオだったからではなくて 93 00:03:56,250 --> 00:03:57,768 出来は確かに良かったですが― 94 00:03:57,792 --> 00:03:58,768 (笑) 95 00:03:58,792 --> 00:04:03,319 みんなが泣いたのは 自分たちの家族が 普通の家族として 96 00:04:03,319 --> 00:04:06,393 目の前の画面に 映し出されていたからでした 97 00:04:06,417 --> 00:04:11,351 まるで大好きな憧れの映画や 子供の名前をもらったテレビドラマのように 98 00:04:11,375 --> 00:04:13,390 5人きょうだいの末っ子の私は 99 00:04:13,390 --> 00:04:15,810 自分の意見を初めて 聞いてもらえた気がしました 100 00:04:15,810 --> 00:04:18,091 頭の中に渦巻いているアイデアが 101 00:04:18,091 --> 00:04:21,412 大きな電子空間へと入っていき そして出ていく そんな場所があったのです 102 00:04:21,412 --> 00:04:22,769 まさにその瞬間から 103 00:04:22,769 --> 00:04:25,106 これを一生の仕事にしたいと 思うようになりました 104 00:04:25,106 --> 00:04:26,858 お金になろうとなるまいと 105 00:04:26,858 --> 00:04:30,171 この情熱が生まれて ツールが必要になりました 106 00:04:30,171 --> 00:04:31,666 父は仕事に出かけると 107 00:04:31,666 --> 00:04:34,976 私のホームビデオの編集技術を レストランのお客さんに 108 00:04:35,000 --> 00:04:36,934 よく自慢したものです 109 00:04:36,958 --> 00:04:39,101 幸い シリコンバレーでしたから 110 00:04:39,125 --> 00:04:41,976 お客さんたちはハードウェアや ソフトウェアの仕事をしている 111 00:04:42,000 --> 00:04:43,351 エンジニアたちで 112 00:04:43,375 --> 00:04:47,268 デジタルビデオ編集に必要なものを 提供してくれました 113 00:04:47,292 --> 00:04:50,095 90年代半ばか もっと前の話ですから 114 00:04:50,095 --> 00:04:52,768 子供が使うようなものでは なかったのです 115 00:04:52,792 --> 00:04:57,101 HPや Sunや Adobeのラッセル・ブラウンの 116 00:04:57,125 --> 00:05:00,018 ベータ版ソフトやハードウェアを 手に入れました 117 00:05:00,042 --> 00:05:01,726 マニュアルなどありません 118 00:05:01,750 --> 00:05:04,782 自分で解明していくことで さらに好きになりました 119 00:05:04,782 --> 00:05:07,996 私は南カリフォルニア大学の 映画芸術学部へ行きましたが 120 00:05:07,996 --> 00:05:11,870 父や母は思いつきで電話してきては 121 00:05:11,870 --> 00:05:16,757 お前が受け継いでいる中国的なものを描く 映画を作らなきゃいけないと言いました 122 00:05:16,757 --> 00:05:20,022 中国はいつか映画産業の 一大市場になるはずだからと 123 00:05:20,022 --> 00:05:21,976 私は「はいはい」 という具合でしたが 124 00:05:21,976 --> 00:05:23,143 (笑) 125 00:05:23,167 --> 00:05:24,824 親の話はちゃんと聞きましょうね 126 00:05:24,824 --> 00:05:27,934 (笑) 127 00:05:27,958 --> 00:05:31,016 私はゼメキスやルーカス スピルバーグを目指していました 128 00:05:31,016 --> 00:05:34,018 自分自身の文化的背景や 民族性など 129 00:05:34,042 --> 00:05:35,684 扱いたいとも思いませんでした 130 00:05:35,708 --> 00:05:37,726 実際 話す相手もおらず 131 00:05:37,750 --> 00:05:40,091 大学で率直に語り合える人は いませんでした 132 00:05:40,091 --> 00:05:42,307 いたとしたって 何を話すと言うんでしょう? 133 00:05:42,307 --> 00:05:44,851 ですから それは無視して 人生のコマを進めました 134 00:05:44,875 --> 00:05:46,893 早送りすること15年後 135 00:05:46,917 --> 00:05:48,338 私はハリウッドにいました 136 00:05:48,338 --> 00:05:49,851 スピルバーグに見いだされ 137 00:05:49,875 --> 00:05:53,605 ドウェイン・ジョンソンや ブルース・ウィリス ジャスティン・ビーバーと仕事をし 138 00:05:53,605 --> 00:05:58,101 自分のダンスカンパニーLXDを紹介するのに TEDの舞台にも上がり 139 00:05:58,101 --> 00:05:59,518 とても順調でした 140 00:05:59,542 --> 00:06:00,934 でも 数年前に 141 00:06:00,958 --> 00:06:03,750 創作面でちょっと行き詰まりました 142 00:06:04,000 --> 00:06:05,893 エンジンの調子が少し悪くなり 143 00:06:05,917 --> 00:06:07,912 そして合図を受け取りました 144 00:06:08,417 --> 00:06:10,448 空から声が聞こえたんです 145 00:06:11,417 --> 00:06:13,268 声というより さえずりのような 146 00:06:13,292 --> 00:06:14,601 ぶっちゃけ Twitterです 147 00:06:14,625 --> 00:06:15,893 Twitterで― 148 00:06:15,917 --> 00:06:17,184 (笑) 149 00:06:17,208 --> 00:06:18,685 コンスタンス・ウーも 150 00:06:18,709 --> 00:06:20,643 ダニエル・デイ・キムも 151 00:06:20,667 --> 00:06:22,976 この会場にも来ている ジェニー・ヤンも 152 00:06:23,000 --> 00:06:24,268 アラン・ヤンも― 153 00:06:24,292 --> 00:06:27,601 こういった人たちが ハリウッドの人種的偏りに 154 00:06:27,625 --> 00:06:30,351 不満を綴っていました 155 00:06:30,375 --> 00:06:31,726 私は はっとしました 156 00:06:31,750 --> 00:06:34,309 感じてはいても 意識していなかったことでした 157 00:06:34,333 --> 00:06:35,643 私は仕事に集中して 158 00:06:35,667 --> 00:06:37,420 働けることを 幸運に思っていたんです 159 00:06:37,420 --> 00:06:38,852 でも気づきました 160 00:06:38,852 --> 00:06:40,393 ハリウッドは何をしているんだ? 161 00:06:40,417 --> 00:06:41,768 なんで正さないのかと 162 00:06:41,792 --> 00:06:45,900 そして鏡で自分の姿を見て 自分もハリウッド側なんだと気づきました 163 00:06:45,900 --> 00:06:47,018 文字通り― 164 00:06:47,042 --> 00:06:49,101 ステージに上がる前に 襟を立ててきたくらいに 165 00:06:49,101 --> 00:06:50,583 ハリウッドに染まっているのです 166 00:06:50,583 --> 00:06:51,476 (笑) 167 00:06:51,500 --> 00:06:53,476 まだ襟立ってますか? よし 168 00:06:53,500 --> 00:06:55,000 (拍手) 169 00:06:56,292 --> 00:07:00,968 多くのものを与えられながら 自分は映画界に何を返しただろうと 170 00:07:00,968 --> 00:07:03,276 ずっと感じていました 171 00:07:03,276 --> 00:07:04,944 確かに幸運だったけれど 172 00:07:04,944 --> 00:07:07,976 ここで仕事ができるのは運だけではないと そのとき気づきました 173 00:07:08,000 --> 00:07:09,601 ここにいる資格があるんだ 174 00:07:09,625 --> 00:07:11,309 資格を勝ち取ってきたんだと 175 00:07:11,333 --> 00:07:14,722 寝る間も惜しんで 金曜の夜に パーティーにも行かず働いたり 176 00:07:14,722 --> 00:07:18,194 映像編集ばかりしていて 友人や彼女をなくしもしました 177 00:07:18,194 --> 00:07:21,586 そうして 勝ち取ってきたのは 発言力を得るためだけではなく 178 00:07:21,586 --> 00:07:23,608 何か大事なことを 言うためなのだと 179 00:07:23,608 --> 00:07:25,393 実は 自分には 180 00:07:25,417 --> 00:07:29,648 物事のあり方を変えたければ変えられる スーパーパワーがあったんです 181 00:07:30,375 --> 00:07:33,434 自分の物語を語ることや 182 00:07:33,458 --> 00:07:35,964 自分や家族に似た人たちの 話をするのは 183 00:07:35,964 --> 00:07:37,207 怖くもあります 184 00:07:37,207 --> 00:07:39,485 疎外感を感じた日々が 蘇りもしました 185 00:07:39,485 --> 00:07:41,428 でもインターネットが 教えてくれたんです 186 00:07:41,428 --> 00:07:44,420 私を待っている味方が たくさんいて 187 00:07:44,420 --> 00:07:46,934 私を支えてくれ 好きになってくれることを 188 00:07:46,958 --> 00:07:51,226 そこでケヴィン・クワンの素晴らしい小説 『クレイジー・リッチ・アジアンズ』に出会い 189 00:07:51,250 --> 00:07:52,581 これをやろうと思いました 190 00:07:52,581 --> 00:07:54,280 映画化したんです 191 00:07:54,280 --> 00:07:55,965 全キャストをアジア系で― 192 00:07:55,965 --> 00:07:59,101 現代物として25年ぶりの 全アジア系キャストです 193 00:07:59,125 --> 00:08:02,268 (拍手と歓声) 194 00:08:02,292 --> 00:08:07,143 製作当初 成功の保証は 全くありませんでした 195 00:08:07,167 --> 00:08:09,927 こういった映画に 無料招待券はありません 196 00:08:09,927 --> 00:08:11,934 市場調査をする度に分かったのは 197 00:08:11,958 --> 00:08:13,851 客が入らないということでした 198 00:08:13,875 --> 00:08:15,667 実際に 無料で鑑賞券を配る 試写会でさえも 199 00:08:15,667 --> 00:08:18,809 実際に 無料で鑑賞券を配る 試写会でさえも 200 00:08:18,833 --> 00:08:20,851 25分の1の割合でした 201 00:08:20,875 --> 00:08:23,226 25人に配ってようやく 1人が来るといった具合で 202 00:08:23,250 --> 00:08:25,393 試写会にしては 非常に低い割合です 203 00:08:25,417 --> 00:08:28,535 小説を知っているアジア系の人々は ハリウッドを信用しておらず 204 00:08:28,535 --> 00:08:32,105 小説を知らないアジア系の人々は タイトルが失礼だと感じ 205 00:08:32,105 --> 00:08:36,268 アジア系でない人々は 自分向きの映画ではないと思ったのです 206 00:08:36,292 --> 00:08:38,809 かなりの窮地でした 207 00:08:38,833 --> 00:08:41,351 幸い ワーナーブラザーズは 見捨てませんでした 208 00:08:41,375 --> 00:08:43,965 それから また電子空間で 何かが起こりました 209 00:08:43,965 --> 00:08:49,643 多くのアジア系アメリカ人の 作家や記者やブロガーたち― 210 00:08:49,667 --> 00:08:54,704 それぞれの媒体で何年もかけて 地位を築いてきた人たちが 211 00:08:54,704 --> 00:08:56,851 私の知らぬ間に 力になってくれ 212 00:08:56,875 --> 00:08:58,557 様々な投稿を始めました 213 00:08:58,557 --> 00:09:02,121 ここにいるテック企業の創業者も ソーシャルメディアに書き込みをし 214 00:09:02,121 --> 00:09:05,606 『LAタイムズ紙』や 『ハリウッド・リポーター』 215 00:09:05,606 --> 00:09:08,565 『エンターテインメント・ウィークリー』に 映画のことを書いてくれました 216 00:09:08,565 --> 00:09:14,601 自分たちをニュースにしようという 草の根運動さながらでした 217 00:09:14,625 --> 00:09:16,527 実に素晴らしい光景でした 218 00:09:17,250 --> 00:09:23,151 支持の盛り上がりが オンラインでの対話へとつながり 219 00:09:23,151 --> 00:09:25,145 アジア系アメリカ人たちの間で 220 00:09:25,167 --> 00:09:27,268 議論が交わされ 話し合われました 221 00:09:27,268 --> 00:09:28,919 どんな物語を伝えたいか 222 00:09:28,919 --> 00:09:30,697 伝えるべきことと そうでないことは何か 223 00:09:30,697 --> 00:09:32,805 自虐はありなのか? 224 00:09:32,805 --> 00:09:34,604 キャスティングは? 225 00:09:34,604 --> 00:09:36,025 何が許されるのか? 226 00:09:36,025 --> 00:09:38,786 意見は一致しなかったし 今もしていませんが 227 00:09:38,786 --> 00:09:40,629 それは重要ではないのです 228 00:09:40,629 --> 00:09:43,143 対話が起こったこと自体が 重要でした 229 00:09:43,167 --> 00:09:47,018 対話の流れがインフラとなりました 230 00:09:47,042 --> 00:09:50,726 同じことを成し遂げたいと考える 様々なグループが集まって 231 00:09:50,750 --> 00:09:54,647 互いに結びついた組織になったのです 232 00:09:54,647 --> 00:09:56,249 もちろん完璧ではありません 233 00:09:56,249 --> 00:10:00,502 でも映画で自分たちをどう描くかを 決める出発点になりました 234 00:10:01,667 --> 00:10:04,768 映画館に足を運ぶと もっと実感として迫ってきました 235 00:10:04,792 --> 00:10:07,476 あのオープニングの週末を 忘れることはないでしょう 236 00:10:07,500 --> 00:10:10,143 映画館に入ると アジア系だけでなく 237 00:10:10,167 --> 00:10:11,434 様々な人々がいて 238 00:10:11,458 --> 00:10:12,768 私も席に着くと 239 00:10:12,792 --> 00:10:15,661 観客は笑ったり泣いたりしました 240 00:10:16,333 --> 00:10:18,976 終わってロビーに出てみると 241 00:10:19,000 --> 00:10:20,499 観客が残っていました 242 00:10:20,750 --> 00:10:22,643 まだ帰りたくないという風に 243 00:10:22,667 --> 00:10:24,476 ハグをし合ったり 244 00:10:24,500 --> 00:10:26,449 ハイタッチをしたり セルフィーを撮ったり 245 00:10:26,449 --> 00:10:28,600 議論をしたり 笑い合ったりしていました 246 00:10:28,600 --> 00:10:30,268 色んな反応がありました 247 00:10:30,292 --> 00:10:33,601 この映画は自分にとって すごく近しいものでしたが 248 00:10:33,625 --> 00:10:36,726 実際に公開され そういうことが起きるまで 249 00:10:36,750 --> 00:10:39,768 自分たちの作っているものを 本当には理解していませんでした 250 00:10:39,792 --> 00:10:44,768 あの日 家のリビングで ホームビデオを見て両親が感じたことと 251 00:10:44,792 --> 00:10:46,643 同じだったのです 252 00:10:46,667 --> 00:10:50,059 画面に映る自分たちの姿を見るのは 力強い経験です 253 00:10:50,083 --> 00:10:52,893 誇りとしか 言いようがないものです 254 00:10:52,917 --> 00:10:56,351 この言葉を ずっと頭では分かっていて 255 00:10:56,375 --> 00:10:58,643 口にもしていたでしょうが 256 00:10:58,667 --> 00:11:00,476 実際に 誇りを感じることは― 257 00:11:00,500 --> 00:11:03,082 感じたことのある人は 分かってくれるでしょうが 258 00:11:03,082 --> 00:11:07,212 ひたすら そこら中の人を触ったりつかんだり 走り回りたい気分になるんです 259 00:11:07,212 --> 00:11:08,351 ものすごく 260 00:11:08,375 --> 00:11:09,643 説明できないような― 261 00:11:09,667 --> 00:11:11,351 身体に湧き上がってくる感情です 262 00:11:11,375 --> 00:11:15,435 それもすべて長い長い 結びつきが生み出すものです 263 00:11:16,500 --> 00:11:18,726 映画は私にとって贈り物でした 264 00:11:18,750 --> 00:11:21,434 何年もかけて 多くのことを学びました 265 00:11:21,458 --> 00:11:24,601 計画を立て 脚本を書き 絵コンテを描いていると 266 00:11:24,625 --> 00:11:25,996 ある時点で 267 00:11:26,875 --> 00:11:29,162 自分の映画が 語りかけてくる瞬間があります 268 00:11:29,162 --> 00:11:31,724 それに耳を傾けなければなりません 269 00:11:31,724 --> 00:11:34,135 映画は生き物で主張してきます 270 00:11:34,135 --> 00:11:36,480 それが手をすり抜ける前に 捕まえなければなりません 271 00:11:36,480 --> 00:11:39,073 それが映画づくりの醍醐味です 272 00:11:39,073 --> 00:11:41,246 人生を考えてみても 実は結構似ています 273 00:11:41,246 --> 00:11:45,896 私は多くの結びつきという パンのかけらを辿ってきました 274 00:11:45,896 --> 00:11:48,809 それは人であったり 状況であったり 275 00:11:48,833 --> 00:11:50,563 幸運であったりしました 276 00:11:50,563 --> 00:11:53,642 物事が変わったのは こう気づいてからです 277 00:11:53,642 --> 00:11:57,443 静かな間や 周囲の雑音に 耳を傾け始めれば 278 00:11:57,443 --> 00:12:01,768 自分のために作られた美しい交響曲が そこにあるのだと 279 00:12:01,792 --> 00:12:04,605 自分の運命へ 真っ直ぐ伸びる道のりであり 280 00:12:04,667 --> 00:12:06,226 自分のスーパーパワーです 281 00:12:06,250 --> 00:12:09,311 映画は私にとって贈り物でした 282 00:12:10,417 --> 00:12:15,434 両親によって刺激されて コミュニティに支えられた贈り物です 283 00:12:15,458 --> 00:12:19,046 そうなるべき時に なりたい自分になれました 284 00:12:19,625 --> 00:12:21,982 先日 母がFacebookに 何か投稿していました 285 00:12:21,982 --> 00:12:24,940 大抵は声に出して言うのも はばかられるようなことで 286 00:12:25,928 --> 00:12:28,143 Facebookをすべきじゃないと 思いますが 287 00:12:28,167 --> 00:12:29,518 (笑) 288 00:12:29,542 --> 00:12:31,857 先日の投稿はメッセージ入りの画像でした 289 00:12:31,857 --> 00:12:33,248 よくあるやつです 290 00:12:33,248 --> 00:12:36,263 「変わりたくない人を 変えることはできないが 291 00:12:36,263 --> 00:12:39,239 種を植えることの力を 見くびってはいけない」 292 00:12:39,239 --> 00:12:41,696 このトークの最後の仕上げを している時に 293 00:12:41,696 --> 00:12:44,499 人生で起こった 強力な結びつきはすべて 294 00:12:44,499 --> 00:12:51,018 寛容と親切心と愛と希望の おかげだったと気づきました 295 00:12:51,042 --> 00:12:54,434 『クレイジーリッチ!』や 制作中の『イン・ザ・ハイツ』など 296 00:12:54,458 --> 00:12:56,110 自分の映画について考える時は― 297 00:12:56,125 --> 00:12:57,434 (拍手と歓声) 298 00:12:57,434 --> 00:12:58,670 良い話ですよ 299 00:12:59,394 --> 00:13:03,809 喜びと希望を表現することだけを 考えています 300 00:13:03,833 --> 00:13:07,476 良い時代は過ぎ去ったなどと 考えたくはないからです 301 00:13:07,500 --> 00:13:09,893 本当は すぐそこで待ってるんです 302 00:13:09,917 --> 00:13:11,184 なぜなら 愛が― 303 00:13:11,208 --> 00:13:14,143 愛こそが私に与えられた スーパーパワーなのだから 304 00:13:14,167 --> 00:13:18,893 愛は私に受け継がれた スーパーパワーです 305 00:13:18,917 --> 00:13:23,143 愛だけが 加速する銃弾を 銃から飛び出す前に 306 00:13:23,167 --> 00:13:24,809 止めることのできるものです 307 00:13:24,833 --> 00:13:27,351 愛だけが 建物をゆうに飛び越えて 308 00:13:27,375 --> 00:13:30,433 コミュニティのみんなに 空を仰がせるものです 309 00:13:30,958 --> 00:13:32,309 手に手を取って 310 00:13:32,333 --> 00:13:36,272 自分たちより遙かに大きなものに 立ち向かう勇気をくれるものです 311 00:13:36,792 --> 00:13:39,726 ここにいる皆さんと 自分への宿題があります 312 00:13:39,750 --> 00:13:42,184 自分のやりたいことや会社に 313 00:13:42,208 --> 00:13:43,518 取り組んでいる時には 314 00:13:43,542 --> 00:13:47,851 物事に命を注ぎ込み 不可能を可能にしようとする時には 315 00:13:47,875 --> 00:13:51,284 互いへのやさしさを 忘れないようにしましょう 316 00:13:51,750 --> 00:13:55,059 なぜなら それこそが 私達が世界に与えられる 317 00:13:55,083 --> 00:13:56,839 最も力強い結びつきだからです 318 00:13:56,839 --> 00:13:59,893 私たちの未来が それにかかっています 319 00:13:59,917 --> 00:14:01,184 ありがとうございました 320 00:14:01,208 --> 00:14:03,518 (拍手と歓声) 321 00:14:03,542 --> 00:14:04,976 ありがとう 322 00:14:05,000 --> 00:14:07,292 (拍手)