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洗脳の国を脱出した理由 |イ・ヒョンソ | TEDxKyoto

  • 0:12 - 0:14
    想像してください
  • 0:14 - 0:18
    自分は別の星に生まれ育ったのだと
    ある日気付くのです
  • 0:18 - 0:21
    教わったこと全てが嘘
  • 0:21 - 0:24
    国の歴史はひどく書き換えられ
  • 0:24 - 0:27
    周囲の人は皆 洗脳され
  • 0:27 - 0:32
    崇めていた英雄たちは
    恐ろしい怪物ばかり
  • 0:32 - 0:36
    SF小説のようですが
  • 0:36 - 0:40
    これが北朝鮮の恐るべき真実なのです
  • 0:42 - 0:43
    生まれた瞬間から
  • 0:43 - 0:49
    初代主席 金日成を崇拝するよう
    教えられてきました
  • 0:49 - 0:55
    北朝鮮のどの家庭にも掲げられている
    彼の写真に 毎日頭を下げました
  • 0:57 - 1:01
    国民にとって彼は
    サンタクロースであり神でした
  • 1:02 - 1:08
    祝日にはプレゼントを届け
    数々の奇跡を起こすのでした
  • 1:08 - 1:11
    彼が我々の敵と戦った時には
  • 1:11 - 1:14
    松かさを爆弾に変え
  • 1:15 - 1:18
    砂粒を米に変え
  • 1:18 - 1:21
    木の葉の船で川を渡り
  • 1:21 - 1:24
    虹の橋を渡ったのでした
  • 1:24 - 1:27
    だから 子供の時には
  • 1:27 - 1:31
    私も虹の橋を渡れると信じていました
  • 1:34 - 1:37
    プロパガンダの情報源は一つだけ
  • 1:37 - 1:41
    それ以外の情報は一切入りません
  • 1:41 - 1:43
    私は 何も知らずに育ったのです
  • 1:43 - 1:46
    この国に住むには これが好都合でした
  • 1:49 - 1:52
    政府は国民に
  • 1:52 - 1:56
    無知と恐怖を強要しているので
  • 1:56 - 2:00
    オーウェル風の悪夢から
    目を覚ましたくても
  • 2:00 - 2:04
    自ら眠りに戻ることを
    選んでしまうのです
  • 2:04 - 2:06
    目を覚まそうものなら
  • 2:06 - 2:11
    家族のすべてが
    時には 一族の三世代が
  • 2:11 - 2:15
    夜中に捕えられて
    政治犯収容所に送られます
  • 2:15 - 2:20
    収容所では
    飢えや拷問が当たり前なのです
  • 2:21 - 2:24
    友人の父親もそんな目に遭いました
  • 2:24 - 2:30
    彼は親友に「この国は狂っている」と
    言っただけなのです
  • 2:31 - 2:37
    だから母は 私が子供の頃から
    こう戒めてきました
  • 2:37 - 2:40
    「昼は鳥が聞いている
  • 2:40 - 2:43
    夜にはネズミが聞いている」
  • 2:45 - 2:48
    無知であることが安心をもたらしました
  • 2:49 - 2:52
    政府の言うことを
    鵜呑みにして信じました
  • 2:52 - 2:58
    とりわけ 他国は惨めで危険だと
    信じていました
  • 2:58 - 3:03
    尊敬する金日成様が
    米国の帝国主義から
  • 3:03 - 3:06
    私たちを守ってくださるのです
  • 3:06 - 3:11
    その奴隷にされた韓国は 今でも
    恐ろしい資本主義地獄に囚われているのです
  • 3:11 - 3:12
    その奴隷にされた韓国は 今でも
    恐ろしい資本主義地獄に囚われているのです
  • 3:12 - 3:14
    そして また
  • 3:14 - 3:17
    韓国や米国のような資本主義の国では
  • 3:17 - 3:23
    医療費が払えず 病院に行けなくて
    死ぬ人がたくさんいると信じていました
  • 3:24 - 3:26
    だから 私たちは
    共産主義の楽園に
  • 3:26 - 3:30
    暮らせることを
    深く深く感謝していました
  • 3:32 - 3:36
    しかし 90年代中頃から
    深刻な食糧不足に陥り
  • 3:36 - 3:40
    何かがおかしいと感じ始めました
  • 3:40 - 3:44
    餓死する人がいるのです
  • 3:45 - 3:50
    「理想の共産主義社会でなぜ
    こんなことが起こるのか」と
  • 3:51 - 3:54
    真剣に考えるようになりました
  • 3:54 - 3:58
    物乞いや死体が 道にあふれ
  • 3:58 - 4:03
    学校から歩いて帰るのが
    恐ろしくなりました
  • 4:03 - 4:07
    死体の腐る臭いが
    することもありました
  • 4:09 - 4:14
    やがて 違法な中国のテレビ放送を
    夜中に毛布に潜って
  • 4:15 - 4:18
    真っ暗な秘密の空間で
    視るようになると
  • 4:19 - 4:24
    世界から隔絶された
    北朝鮮の真実を知りました
  • 4:24 - 4:27
    中国のテレビ放送は
    見るものすべてが初めてでした
  • 4:27 - 4:29
    中国のテレビ放送は
    見るものすべてが初めてでした
  • 4:32 - 4:36
    見たことのない商品のコマーシャル
  • 4:36 - 4:41
    髪を染め
    破れたジーンズをはいている若者たち
  • 4:41 - 4:45
    まさに近代的で
    活気あふれる世界でした
  • 4:45 - 4:50
    これでやっと 北朝鮮が
    楽園でないことに気づいたのです
  • 4:51 - 4:55
    私の家族には 国境警備隊に
    親しい知り合いがいました
  • 4:55 - 5:00
    ある隊員の助けを受けて 私は 
    国境を越え中国に渡りました
  • 5:00 - 5:05
    新しい世界の
    魅力に期待をふくらませ
  • 5:05 - 5:09
    大胆にも脱北をして 真実を知ろうと
    決意したのです
  • 5:09 - 5:11
    大胆にも脱北をして 真実を知ろうと
    決意したのです
  • 5:13 - 5:16
    ここから 新しい人生を
    歩むことになりました
  • 5:17 - 5:19
    中国に入ってから
  • 5:19 - 5:22
    祖国に帰れるなどとは
    考えませんでした
  • 5:22 - 5:25
    私の脱北が知れ渡ってしまい
  • 5:25 - 5:28
    何度 名前を変えても
  • 5:28 - 5:32
    中国警察に追われ続けました
  • 5:32 - 5:35
    『7つの名前を持つ少女』の誕生です
  • 5:36 - 5:39
    めざましく発展する中国も
  • 5:41 - 5:44
    脱北者には優しくありません
  • 5:45 - 5:46
    私も歓迎されません
  • 5:46 - 5:50
    恐怖と孤独の中
    隠れて暮らす毎日でした
  • 5:50 - 5:53
    ここでもさらに
    北朝鮮について学びました
  • 5:54 - 5:55
    すべてが衝撃的でした
  • 5:55 - 5:58
    教えられた歴史は全部
    ひどいプロパガンダでした
  • 5:58 - 6:04
    北朝鮮の経済は韓国の足元にも
    及ばないほどでした
  • 6:04 - 6:07
    極貧の国だとばかり
  • 6:07 - 6:10
    聞かされてきた韓国の実情です
  • 6:11 - 6:12
    一番の衝撃は
  • 6:12 - 6:17
    恐怖 飢え 圧政が
  • 6:17 - 6:20
    国民に対する犯罪であると
    気づいたことです
  • 6:21 - 6:27
    そのうち 朝鮮半島の
    反対側を知りたくなり
  • 6:27 - 6:31
    大きな決断をしました
  • 6:31 - 6:35
    中国から韓国へ
    空路で行くことにしたのです
  • 6:36 - 6:40
    でも 朝鮮民族の国である韓国に
    渡るというのに
  • 6:40 - 6:45
    家族からさらに離れていく気がしました
  • 6:45 - 6:46
    韓国に着いた時
  • 6:46 - 6:51
    二国を分断するDMZのことを考えました
  • 6:51 - 6:53
    そして自問しました
  • 6:53 - 6:57
    「家族とは永遠に離れ離れなのだろうか」
  • 7:00 - 7:04
    韓国の空港に着き
    希望を胸に 亡命を求めたのに
  • 7:04 - 7:09
    歓迎どころか ひどい扱いを受けました
  • 7:09 - 7:15
    二人の職員が
    中国の偽造パスポートとビザを調べました
  • 7:15 - 7:19
    疑いの目で 私を見ながら 尋ねました
  • 7:19 - 7:20
    「これらは本物だが
  • 7:21 - 7:23
    本当に脱北者なのか」
  • 7:24 - 7:27
    私が中国人で
  • 7:27 - 7:30
    韓国の永住権を得ようとしていると
    疑ったのです
  • 7:30 - 7:34
    そして 次の中国行きの便で
    戻るように命じました
  • 7:35 - 7:39
    さもなければ
    法により刑罰に処された後
  • 7:39 - 7:41
    国外追放されると言うのです
  • 7:45 - 7:47
    この瞬間
    今までの記憶が蘇り 思いました
  • 7:47 - 7:49
    韓国にまで来たのに
  • 7:49 - 7:55
    中国に返され その上
    北朝鮮へまで逆戻りさせられるのかと
  • 7:55 - 7:57
    そして 拷問にかけられ
  • 7:57 - 8:01
    韓国に行った罪で
    公開処刑されるのかと
  • 8:02 - 8:05
    失神しそうになりました
  • 8:07 - 8:09
    その後 長時間にわたる尋問を通じて
  • 8:09 - 8:12
    韓国官憲に必死で説明しました
  • 8:12 - 8:16
    私は 北朝鮮のスパイでもなく
    中国人でもないと
  • 8:17 - 8:21
    皮肉なものです
    中国に潜伏していた時は
  • 8:21 - 8:27
    中国官憲に
    脱北者ではないと思わせ
  • 8:28 - 8:31
    韓国官憲の前では
  • 8:31 - 8:35
    脱北者だと信じてもらおうと
    必死になっていたのです
  • 8:37 - 8:39
    この後 2009年
  • 8:39 - 8:44
    再び北朝鮮と中国の国境に戻り
  • 8:44 - 8:49
    今度は 私の家族の脱北を計画しました
  • 8:50 - 8:55
    家族は 極寒の冷たい川を
    歩いて渡りました
  • 8:55 - 8:59
    7人の国境警備隊員が友人として
  • 8:59 - 9:01
    手助けしてくれました
  • 9:01 - 9:06
    中国では何度も
    捕まりそうになりました
  • 9:07 - 9:10
    中国に入って5分も経たないうちに
  • 9:10 - 9:15
    兵士がバスに乗り込み
    IDをチェックし始めました
  • 9:17 - 9:21
    家族は中国語が話せないので
    脱北者だとすぐにバレてしまいます
  • 9:23 - 9:26
    兵士が近づくと
  • 9:26 - 9:31
    弟の顔は真っ青になり
    今にも死にそうなくらいです
  • 9:33 - 9:38
    私は 通路にたちはだかって
    兵士の前を塞ぎ
  • 9:38 - 9:43
    注意をそらせるために
    兵士の顔を何枚も撮影しました
  • 9:45 - 9:48
    兵士が叫び 私は謝りました
  • 9:49 - 9:52
    結局 兵士は怒って
    去って行きました
  • 9:53 - 9:58
    この後家族は 中国横断の
    2,000キロもの旅を生き延びました
  • 9:58 - 10:02
    途中で二度も投獄されるなどの
    地獄のような目に遭いながら
  • 10:02 - 10:05
    とうとうラオスに到着しました
  • 10:06 - 10:12
    母を助け出すため
    収容所を訪れた時
  • 10:12 - 10:16
    母の弱った体と痩せこけた頰を見て
    動揺しました
  • 10:18 - 10:22
    14年もの離れ離れの時を経て
  • 10:23 - 10:27
    2010年 私と家族はやっと
    韓国で再会できました
  • 10:28 - 10:31
    しかし 自由を得たのも つかの間
  • 10:31 - 10:36
    北朝鮮政府から逃れられないことを
    知りました
  • 10:37 - 10:40
    中枢部が怒りを露わにしはじめたのです
  • 10:40 - 10:45
    私をはじめ 脱北者が
    世界に実情を語り
  • 10:45 - 10:49
    北朝鮮の人権侵害の実態を伝え
  • 10:49 - 10:55
    それを受けて昨年 国連調査委員会が
    報告を発表したからです
  • 10:56 - 11:02
    北朝鮮政府は
    脱北者批判のビデオを作りました
  • 11:02 - 11:07
    脱北者たちが北朝鮮に残した
    家族や親類を取り上げ
  • 11:09 - 11:14
    大きな亀裂や精神的苦痛を
  • 11:14 - 11:17
    描いたのです
  • 11:18 - 11:23
    しかし同時に 政府は
    その存続にかかわる―
  • 11:23 - 11:28
    2つの大きな脅威に直面して
    苦戦していました
  • 11:28 - 11:32
    流入する情報と
    流出する国民です
  • 11:32 - 11:34
    特に韓国から入る
  • 11:35 - 11:39
    ドラマや映画の影響で
  • 11:39 - 11:44
    北朝鮮民は韓国に
    憧れるようになりました
  • 11:44 - 11:48
    その結果
    政府のプロパガンダの効力が衰えました
  • 11:48 - 11:50
    これに対抗し
  • 11:50 - 11:55
    北朝鮮政府は脱北を阻止するため
    国境警備を強化し
  • 11:55 - 12:01
    さらに 予想外の手段を講じてきました
  • 12:01 - 12:04
    脱北者による記者会見を行ったのです
  • 12:06 - 12:08
    これは 一旦は脱北して
    韓国へ逃げたものの
  • 12:08 - 12:13
    結局北朝鮮へ戻った
  • 12:13 - 12:16
    脱北者の会見でした
  • 12:17 - 12:19
    この会見で語られたのは
  • 12:19 - 12:23
    どれも同じような話でした
  • 12:24 - 12:30
    韓国の工作員にそそのかされ
    脱北を試みた結果
  • 12:30 - 12:35
    恐ろしい資本主義社会で
    悲惨な目にあい
  • 12:35 - 12:39
    北朝鮮へ戻ることを切望した
  • 12:39 - 12:45
    最高指導者の金正恩様は
    裏切りを許して
  • 12:45 - 12:47
    祖国へ歓迎してくださったというのです
  • 12:47 - 12:54
    しかし 彼らが無理やり国へ連れ戻され
  • 12:55 - 12:58
    会見をさせられたという証拠があります
  • 12:58 - 13:03
    ただし 脱北者が 今でも
  • 13:03 - 13:05
    韓国で悲惨な目にあっているのは事実です
  • 13:05 - 13:09
    すべてを犠牲にし
  • 13:10 - 13:12
    やっと自由が手に入っても
  • 13:12 - 13:15
    あらゆる困難に
    立ち向かわなければなりません
  • 13:15 - 13:18
    さらに北朝鮮政府も相手に
    しなければなりません
  • 13:19 - 13:25
    今 私たち脱北者が先頭に立ち
    独裁政権を相手に
  • 13:25 - 13:29
    人権擁護団体とともに闘っています
  • 13:29 - 13:31
    そして 勝利へ向かっています
  • 13:31 - 13:35
    世界中から支えてくださる方々と
  • 13:35 - 13:39
    共に闘ってくださる方々に感謝します
  • 13:39 - 13:43
    私たちの話を
    どうぞ広めてください
  • 13:43 - 13:47
    真実が全世界に伝わるように
  • 13:47 - 13:50
    私の祖国 北朝鮮の真実が
  • 13:50 - 13:51
    ありがとうございました
  • 13:51 - 13:53
    (拍手)
Title:
洗脳の国を脱出した理由 |イ・ヒョンソ | TEDxKyoto
Description:

北朝鮮からの脱北者イ・ヒョンソが、長い間隠されてきた祖国の人権侵害の真実を世界に知らせるため、自らの経験を語ります。
生まれた時から世界一の国と信じてきた祖国が、飢えや死や暴力のはびこる恐ろしい国だと気づき脱北。過酷な逃亡生活の後、国連をはじめ様々な機会で北朝鮮の実情を語り、世界中の新聞や雑誌でも取り上げられています。自らの悲惨な体験を共有することで、根強く残る深刻な人権問題に光を当て、未来へ希望を託します。

このビデオは、TEDカンファレンスの形式で地元コミュニティが独自に運営するTEDxイベントにおいて収録されたものです。詳しくは http://ted.com/tedx をご覧ください。

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDxTalks
Duration:
13:58

Japanese subtitles

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