政治的な問題をうまく議論するには
-
0:01 - 0:04皆さんは きっと
こう感じられていることでしょう -
0:04 - 0:07この国の二極化がどんどん進んでおり
-
0:08 - 0:11左派と右派との隔たりは
-
0:11 - 0:15誰もが経験したことのないくらい
悪化していると -
0:15 - 0:20でも そんな直観を裏付ける研究があるのか
と思われているかもしれません -
0:21 - 0:25一言で言うと
残念ながら あります -
0:27 - 0:29研究に次ぐ研究で
-
0:29 - 0:33リベラル派と保守派間の隔たりが
大きくなっていると示されています -
0:33 - 0:38それぞれが 自分たちの
政治的イデオロギーの殻に閉じこもり -
0:38 - 0:42違うニュースを聞き
似た考えを持つ人とだけ付き合い -
0:42 - 0:46ますます 異なる場所で暮らすことを
選ぶようになっています -
0:47 - 0:50そして最も警戒すべきなのは
-
0:50 - 0:54両サイドからの敵対心が
高まっていることです -
0:54 - 0:56リベラル派と保守派
-
0:56 - 0:58民主党と共和党
-
0:58 - 1:01ますますお互いが
嫌いになってきている -
1:02 - 1:04いろんな形で
目にされているでしょう -
1:04 - 1:08お互いに 友達やデートの相手に
したくないとか -
1:08 - 1:11知り合っても 相手が向こうの人と分かったら
魅力を感じなくなるとか -
1:11 - 1:14他の政党を支持している人とは
-
1:14 - 1:16子供を結婚させたがらないとか
-
1:16 - 1:18かなりショッキングな統計です
-
1:20 - 1:22研究室で学生たちと
-
1:22 - 1:26ある種の社会的行動パターンについて
話しているのですが -
1:26 - 1:29私が映画ファンなこともあって
よくこう聞きます -
1:30 - 1:32このパターンを表しているのは
どんな映画だろう -
1:33 - 1:36政治的二極化のこの社会は
どんな映画がピッタリくるでしょう? -
1:37 - 1:40大災害パニック映画かもしれない
-
1:41 - 1:43確かに大災害のようですね
-
1:43 - 1:45または戦争映画かもしれない
-
1:46 - 1:47これもピッタリです
-
1:47 - 1:51でも 私の考えでは
ゾンビによる世界の終末ものですね -
1:51 - 1:53(笑)
-
1:53 - 1:55そうでしょう?その種の映画です
-
1:55 - 1:58映画には群れをなして
うろうろする人々が出てきます -
1:58 - 1:59自分たちで物事を考えられず
-
1:59 - 2:01群集心理にとらわれて
-
2:01 - 2:04ゾンビの感染を広めて
社会を壊そうとしている人々です -
2:05 - 2:08ゾンビ映画ではご自分が善人の役だと
-
2:08 - 2:11私も含めて誰もが
思っていることでしょう -
2:11 - 2:15そして全ての憎しみや分断は
向こうの人々が広めたとお思いでしょう? -
2:15 - 2:17だって私たちはブラッド・ピットですから
-
2:18 - 2:21自由に考え 正義の味方で
-
2:21 - 2:23大切なものを守ろう
としているだけであって -
2:23 - 2:27死にきれないゾンビの一軍の
歩兵ではありません -
2:27 - 2:28違います
-
2:28 - 2:29決して違う
-
2:30 - 2:32でもここが重要です
-
2:32 - 2:34相手は 自分がどんな役回りだと
考えているでしょう? -
2:35 - 2:37いいですか?
-
2:37 - 2:39向こうも ゾンビ映画の中の
正義の味方だと -
2:39 - 2:41絶対に思っていますよ
-
2:41 - 2:44自分がブラッド・ピットで
-
2:44 - 2:46こちらがゾンビだと思っているでしょうね
-
2:49 - 2:51彼らが間違っていると
誰が言えますか? -
2:52 - 2:56ただ確かなのは
皆が この一部になっている ということです -
2:56 - 2:59つまり 幸いにも私達は
問題解決の役割の一部を担えるのです -
3:00 - 3:02では どうすれば良いのでしょう?
-
3:03 - 3:08日常の中でこの二極化を
どうすれば崩していけるのでしょう? -
3:08 - 3:11政治的に対立している相手と
どのように繋がり -
3:11 - 3:13話していけばいいのでしょう?
-
3:14 - 3:18この疑問こそ私と
同僚のマット・フェインバーグが -
3:18 - 3:20
数年前に強く関心を抱いたことでした -
3:20 - 3:22そして これについて
研究を始めました -
3:23 - 3:29二極化を理解するのに役立つ
最初の発見は -
3:29 - 3:31政治の分断は
-
3:31 - 3:35根深い道徳的価値観の隔たりに
裏付けられている ということです -
3:35 - 3:40政治心理学史上
最も確固たる発見の一つに -
3:40 - 3:44ジョナサン・ハイトとジェシー・グラハム
という心理学者が発見した― -
3:44 - 3:45行動パターンがあるのですが
-
3:45 - 3:49それはリベラル派と保守派は
さまざまな価値観を支持する度合いが -
3:49 - 3:50異なるというものです
-
3:51 - 3:56例えばリベラル派なら
平等や公平 -
3:56 - 4:00弱者へのケアや
危害からの保護といった価値観を -
4:00 - 4:02保守派より強く支持しています
-
4:02 - 4:07保守派なら集団への忠誠、愛国心
-
4:07 - 4:11権威の尊重、道徳的純潔さ
といった価値観を -
4:11 - 4:13リベラル派より強く支持しています
-
4:14 - 4:18私たちはこの道徳観の隔たりを
-
4:18 - 4:21キーとして読み解けるのではと
考えたのです -
4:21 - 4:24リベラル派と保守派がどのように話し合い
-
4:24 - 4:26なぜ話がかみ合わないことが
-
4:26 - 4:27多いのかをです
-
4:27 - 4:29そこで私たちは実験を行いました
-
4:29 - 4:32リベラル派を募り
-
4:32 - 4:35保守派を説得させる目的で
-
4:35 - 4:39同性婚を支持する論文を書いてもらいました
-
4:40 - 4:43結果 リベラル派は
平等、公平といった― -
4:43 - 4:47リベラル派の道徳観を訴えて
議論する傾向があることが分かりました -
4:47 - 4:49例えば彼らの論文には
-
4:49 - 4:52「皆は自分の選んだ人を
愛することができる権利を持つ」とか -
4:52 - 4:55また「同性愛者は
-
4:55 - 4:58他の米国民と同じ権利を享受すべきだ」
と書いてありました -
4:58 - 5:0269%のリベラル派が論文を書く際
-
5:02 - 5:07彼らの道徳観に響く論文を書き
-
5:07 - 5:11保守派の道徳観に訴える
論文を書いたのはたったの9%でした -
5:11 - 5:14保守派を説得するのが目的だったにも
かかわらずです -
5:14 - 5:18逆に保守派の人に書いてもらったのは
-
5:19 - 5:21英語公用語化を説得する論文でした
-
5:21 - 5:24伝統的な保守派の政治的ポジションです
-
5:24 - 5:26結果 彼らも同じように
-
5:26 - 5:2859%の人が
-
5:28 - 5:31保守派の価値観に響くような論文で
-
5:31 - 5:338%がリベラル派の道徳観に
訴えるエッセイでした -
5:33 - 5:36リベラル派を説得する狙いだったにも
かかわらずです -
5:37 - 5:42さあ 困りました
-
5:42 - 5:46道徳観は
心に深く根付いている信念で -
5:46 - 5:49人はこれを守るためなら
戦って死んでもいいとさえ思うものです -
5:50 - 5:52たいして賛同したいとも
思わないようなことのために -
5:52 - 5:56この道徳観を投げ出そうなんて
誰が思うでしょう -
5:56 - 5:59あなたが保守派の叔父さんを
説得しようとする時 -
5:59 - 6:02特定のことに対する
意見だけではなく -
6:02 - 6:04道徳観まで変えさせるような
言い方をしたら -
6:04 - 6:05成功しないでしょう
-
6:06 - 6:08そこで効果的な方法として
-
6:08 - 6:12「モラル・リフレーミング」という
手法が使えると考えています -
6:13 - 6:15私たちは一連の実験を通して
この手法を研究しました -
6:15 - 6:17ある実験では
-
6:17 - 6:20リベラル派と保守派の人を募り
-
6:20 - 6:223つのうち1つの論文を
読んでもらいました -
6:22 - 6:25その後 環境問題に対する姿勢について
調査してみました -
6:26 - 6:271つ目の論文は
-
6:27 - 6:31わりと昔からある
環境保護重視の考え方で -
6:31 - 6:35危害から弱者を守り ケアするといった
リベラル派の価値観に訴えるものでした -
6:35 - 6:37例えば「あらゆる重要な形で
-
6:37 - 6:40私たちが住まう土地に
自ら危害をもたらしている」とか -
6:40 - 6:43「これ以上 地球が破壊されないよう
守るためには -
6:43 - 6:46今 対策を講じることが不可欠だ」
-
6:47 - 6:49第2の参加者グループには
-
6:49 - 6:51異なる論文を読んでもらいました
-
6:51 - 6:55道徳的純潔という保守派の価値観に
はまるように書かれた論文で -
6:56 - 6:58同時に環境保護を
訴えるものでもありました -
6:58 - 7:00例を挙げると
-
7:00 - 7:04「森林や飲み水、空を純粋な形で
維持することは とても重要なことです」 -
7:05 - 7:06「ここで起きている公害を
-
7:07 - 7:09汚らわしいものと考えるべきだ」
-
7:09 - 7:11「公害を減らすことにより
-
7:11 - 7:14ここにある純粋で美しい物を
守ることができるのだ」など -
7:16 - 7:17第3のグループには
-
7:17 - 7:20政治色のない論文を読んでもらいました
-
7:20 - 7:23このグループを基準として
データを比較するためです -
7:23 - 7:24そして調査したところ
-
7:24 - 7:26その後の環境問題に関する姿勢は
-
7:26 - 7:29リベラル派の場合
どの論文を読んでも あまり影響はなく -
7:29 - 7:32環境保護に対する強い姿勢が見られました
-
7:32 - 7:35リベラル派は皆
環境保護を推進する立場なのです -
7:35 - 7:37逆に保守派が
-
7:37 - 7:41急進的な環境政策や環境保護を
支持する姿勢を -
7:41 - 7:43見せたのは
-
7:43 - 7:45道徳的純潔の論文を読んだ時が
-
7:45 - 7:47他の2つの論文を読んだ時よりも
顕著でした -
7:48 - 7:51また 道徳的純潔の論文を読んだ保守派に
-
7:51 - 7:55特に見られた傾向は地球温暖化を信じ
-
7:55 - 7:57懸念を感じるといった姿勢でした
-
7:57 - 7:59その論文は地球温暖化のことには
触れておらず -
7:59 - 8:02環境問題に関連していただけです
-
8:02 - 8:05モラル・リフレーミングが
強く影響を及ぼしていました -
8:06 - 8:10私たちは 様々な政治的問題につき
同じ調査研究を行いました -
8:10 - 8:13もし 同性婚や国民皆保険など
リベラルな問題について -
8:13 - 8:17保守派を説得したいならば
-
8:17 - 8:20彼らの価値観と絡めて話すと
うまくいくでしょう -
8:20 - 8:23たとえば愛国心とか道徳的純潔さ
といった価値観です -
8:24 - 8:26また逆も調査してみました
-
8:26 - 8:30もしリベラル派の人に
保守派の政策問題 -
8:30 - 8:34例えば 軍事費支出や英語公用化などを
-
8:34 - 8:36説得したければ
-
8:36 - 8:39リベラル派の価値観
例えば -
8:39 - 8:41平等や公平を絡めると
伝わるでしょう -
8:43 - 8:45これら全ての研究から得られた結論は
同じで明確でした -
8:46 - 8:48ある政策について誰かを納得させたければ
-
8:48 - 8:52その人の心に深く根付く道徳観と
結びつけると上手くいくということです -
8:54 - 8:56そんなこと当然ですよね
-
8:56 - 8:57言うまでもありません
-
8:57 - 8:59では何の為にここに来たのでしょう?
-
8:59 - 9:00なぜでしょう?
-
9:00 - 9:02(笑)
-
9:02 - 9:04直感的に分かっていることです
-
9:05 - 9:09それでも本当に私たちは苦労しています
-
9:09 - 9:13政治的な問題について
説得すると言いながら 結局は -
9:13 - 9:15鏡の中にいる自分に向かって
話しかけているだけなのです -
9:15 - 9:20つまり 特定の政治的立場を取る
自分なりの理由を繰り返すだけで -
9:20 - 9:23相手を説き伏せようとは
いていないのです -
9:23 - 9:28道徳観に訴える主張を考えるとき
私たちは繰り返し言っているのは -
9:28 - 9:30共感と尊重、共感と尊重です
-
9:31 - 9:32そして共感と尊重に配慮したとき
-
9:33 - 9:34相手と繋がることができるのです
-
9:34 - 9:37そして この国の誰かの心を
変えることができるかもしれません -
9:38 - 9:40そこでまた考えてみましょう
-
9:40 - 9:42私たちがいるのは どんな映画ですか?
-
9:43 - 9:45先ほどは 図に乗っていたかも
-
9:45 - 9:47ゾンビ映画ではなく
もしかしたら― -
9:48 - 9:49警官二人組の映画かもしれません
-
9:50 - 9:52(笑)
-
9:52 - 9:54ということにしておいて下さい
-
9:54 - 9:56(笑)
-
9:56 - 9:59ご存知でしょう?
白人と黒人の警官コンビで -
9:59 - 10:01一方がだらしなく もう一方がまめで
-
10:01 - 10:03何であれ 仲が悪い
-
10:03 - 10:05こんなに違うからです
-
10:06 - 10:09でも最後には力を合わせて
協力するようになり -
10:09 - 10:11より強い結びつきを感じるようになる
-
10:11 - 10:14何故なら彼らが越えなければならなかった溝は
とても深かったから -
10:15 - 10:17この種の映画は
-
10:17 - 10:20第2幕が大抵最悪で
-
10:20 - 10:23主役の二人が今まで以上に
離れていってしまいます -
10:23 - 10:26まるで今のこの国を表しているようです
-
10:26 - 10:28第2幕の後の方では―
-
10:28 - 10:31(笑)
-
10:31 - 10:34二人は引き裂かれるけど
また よりを戻すところまでいきます -
10:35 - 10:37幸先よく聞こえますが
-
10:37 - 10:39この国に同じ道をたどってほしければ
-
10:39 - 10:42私たちから変えていかなければならない
と思うのです -
10:43 - 10:45皆さんに訴えたい―
-
10:45 - 10:47この国を再び一つに戻しましょう
-
10:49 - 10:52たとえ政治家や
-
10:52 - 10:55メディアやフェースブック、ツイッター
-
10:55 - 10:57選挙区割りなど
-
10:57 - 10:59私たちが どんなに隔てられようとも
-
11:00 - 11:03やりましょう
それは正しいことだから -
11:04 - 11:08そしてこの憎悪や軽蔑の感情が
-
11:08 - 11:11毎日 私たちの心の中を荒らし
-
11:11 - 11:15醜くし腐敗させるから
-
11:15 - 11:18そして その醜い心は
社会の土台までをも脅かすから -
11:20 - 11:23私たちはお互いに
そしてこの国のために -
11:23 - 11:25手を差し伸べ
理解し合わなければなりません -
11:26 - 11:29このまま憎み続け
-
11:30 - 11:32憎まれるままに
しておくわけにはいきません -
11:34 - 11:35共感と尊重
-
11:36 - 11:37共感と尊重
-
11:38 - 11:42仲間のために せめて これくらいは
するべきではないでしょうか? -
11:42 - 11:44ありがとうございました
-
11:44 - 11:46(拍手)
- Title:
- 政治的な問題をうまく議論するには
- Speaker:
- ロブ・ウィラー
- Description:
-
ロブ・ウィラーは、私たちを統一し分断する力について研究しており、社会心理学者として、分断の原因とされる道徳的価値観をいかに使って人々を一つにすることができるかも研究しています。ウィラーは、どうすればイデオロギーによる隔たりに橋をかけ、政治について議論するときにうまく相手を説得できるか、力強い考察を述べます。
- Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TEDTalks
- Duration:
- 12:01
Yuko Yoshida accepted Japanese subtitles for How to have better political conversations | ||
Yuko Yoshida edited Japanese subtitles for How to have better political conversations | ||
Kazumi Kettery edited Japanese subtitles for How to have better political conversations | ||
Yuko Yoshida declined Japanese subtitles for How to have better political conversations | ||
Yuko Yoshida edited Japanese subtitles for How to have better political conversations | ||
Yuko Yoshida edited Japanese subtitles for How to have better political conversations | ||
Yuko Yoshida edited Japanese subtitles for How to have better political conversations | ||
Kazumi Kettery edited Japanese subtitles for How to have better political conversations |