The Convict's Piano

「囚人のピアノ」

さあ

さあ来い!

やめろ!

待ってろよ!

切られた
手が切れてる

感染防止に洗うが

傷は深くない

左手でよかったよ

速く動かせないから

ビリー・ジョエルになれなかった

リック...

刑務所の暮らしに
慣れようとしてるか？

ええと...

答えなくていいが

いや　いいんだ

答えるよ

ちゃんと慣れてる

部屋はいいし

二人の同室者はいい奴だ

模様替え中だ

運動も沢山してる

そういうことじゃないんだ

どういうこと?

君は溶け込まない

白人集団には
目をつけられてるし

レイ・チャールズのように
弾いたって

黒人集団には入れない

どうすればいいんだ?

誰かが刺されるのを
黙ってみてるか?

それじゃ他の連中と
変わらないだろ？

陪審員が何と言おうと
僕は誰も殺してない

ここは僕の居場所じゃない

僕の居場所のふりをする
気もない

じゃ私達は何度も
会うことになるな

じゃ注射針を消毒しておいてくれ

賢い手だな　フロスト

ちょっと怪我して

重い作業からはずれた

俺もそれを考えればよかったよ

エディー　別の魚だ

有難う

火はあるか?

ああ

フロストだね?

- ああ
- ピアノ弾き？

彼女を殺した

あれは元彼女だった

僕の車の中で発見されたんだ
盗まれたんだが

証明できなかった

見た目も罪人らしくないな

一度駐車違反をしたよ

エディー・オハラだ

調子は?

大丈夫だ

私達の仕事は--

椅子を並べるんだ
司教閣下のためにな

来週ミサをやるんだ

もしピアノがあれば

「アベマリア」のようなのを
弾いてくれるか？

ああ　いいよ

一体どこでピアノを
手に入れるんだ?

何でここにピアノが？

昔の友達ミッキー・ショネシー
からの贈物だ

彼が姿を消してすぐ
送られてきた

ミッキー・ショネシー--
確かギャング?

ダッチ・シュルツ
アル・カポネの頃の

- 彼等は...
- ああ　同じだった

だが彼の領域はショービジネスで--

演芸　バンド　クラブ

シャムロッククラブは
彼のものだった

彼は音楽が好きだった

男が集まり歌えるように

このピアノを寄越したのかもな

あまり使ってないね？

エディー

ああ　すぐ行く

マックスに話すよ

これを礼拝堂に移動して
貰えるだろう

ああ いいよ

スコット・ジョプリン

「楓の葉ラグタイム」

1899年作

おい　リッキー

一緒にボールをやろう

悪いが　怪我してるんで

彼に構うな

有難う　借りができたな

ああ　そうだな

エディー
君はここは長いね？

ああ　50年を長いと言うならな

どうやって自分をほっといて
もらうんだ？

私は11番目の戒めを
信じてるのさ

自分の欲することを
人にせよ

だが先に人にせよ

ひどい生き方だ

だが死なない

私は乱暴な子だった--

乱暴な連中と動き回り

面倒になりそうな時もあった

だが言っておくが--

そいつを殺してないんだ

ミッキーがはめたのさ

ショーネシーは友達じゃ
なかったか

ああ　そうだった

それは昔の話だ

私達には問題があった

二人とも同じ女を愛したんだ

ミッキーは彼女をスターに
すると言い

彼女が歌うときは自分で
ピアノを弾いたりもした

それで競争相手を消すことに
したわけか

ああ

なあ　昨日はどこへ消えたんだ？

マックスとあちこち探したぞ

自分で分かったらすぐ
教えるよ

そうしろよ

- 私に借りがあるだろ
- ああ

他の曲でも幻覚になるか
調べよう

「彼方へ」　ジョージ・コーエン

1917年

よし

米軍が来たぞ

嘆願せよ

言伝てよ　言伝てよ
彼方へ

我らが来たと
我らは来たぞ

戻りはしない
そこで終わるまで

彼方へ　欧州へと

言伝てよ 　言伝てよ
彼方へ

米軍が来たぞと

米軍が来たぞ

至るところ戦鼓の轟き

場所を言え　嘆願しろ

言伝てよ 　言伝てよ
彼方へ

やあ　元気?

元気だ

君はどこから？

ここからだと...

南からだね

アーカンソー? テキサス?

いや　 103番通り

-103番通り
- そう

ビールをおごるから
もう一回弾いて

ああ　いいよ

ちょっと待って

- 有難う
- ああ

これで絶対弾けるね

ここまでは順調だ

くそっ!

人生で一番変なことだった

二回とも昔の歌を弾いた

ブン! 僕はその時代にいた

最初は...公園の中だった

次はシャムロッククラブの
どこかにいた

奇妙なのはビールの味が分かり

タバコの匂いもしたことだ

頭がおかしいと思ってるね？

かもな

ずっと考えてるんだ

もしうまく選べば

その音楽と...

その年をだ

僕はそこに留まれると

な　やれやれ

私を当てにするな

頭がよかったら

ここで働いてないよ

抜糸してくれて有難う

じゃ　またいつか

おい...

どこかへ行くのか?

さあ

そう願ってるよ

マックス　エディーを見たか？

自分の問題でも沢山なのに...

僕が探してると伝えてくれ

やってみよう

そうだねぇ

お前にムショの歓迎を
してないな　リッキー

問題は　今すぐ殺すか

不具にするかだ

生かしておいたら
有難いかな？

看守が来るぞ!

後でな

町を出るなよ

よし

「優しくして」　違う違う

「シェイキング...」 違う違う

「誰かに見られてる」

1928年　これはいいな

カルビン・クーリッジ　 フラッパー
自家製ジン

すごいな

トンプソンは心配するな

観葉植物の脳みそだ

何か用か?

ちょっと考えてることがあるんだ

もし又ショーネシーにじかに
会ったらどうする？

- ミックに会う?
- そうだ

地獄で一年暮らしていいよ
何故？

ピアノに両手を

- 何?
- ピアノにおいて

ほら　 これを見て

シャムロック...
シャムロッククラブ?!

ショーネシーのところだ

だが真新しくみえる

昨日そこにいたからだ

シカゴのシャムロッククラブに

考えが当たってれば

僕がぴったりの曲を弾くだけで

君と僕は1928年のシカゴに
さかのぼれる

1928年

ピアノに両手をつけてないと
効き目がないよ

君が何を言ってるか分からない

だが50年も刑務所にいれば

もう魔法を信じないよ

僕はやらなくちゃ

じゃやれよ　好きなように

ジミーはどこだ?

ジミーって?

シャムロックのピアニストだ

今夜ここにいる筈の男だ

さあ

病気じゃないですかね

組合が僕を寄越したから

- 組合?
- ええ

ショーティ
書きとめろ

明日クラブでジミーに会いたい

ジミー　シャムロック　明日

分かりました
ショーネシーさん

ミッキー・ショーネシー?

ああ　誰だと思ってる--
ベイブ・ルースか?

ここは俺の家だ

お前が弾いてるのは
俺のピアノだ

彼はピアノがうまいわよ

それにジミーよりいい男だわ

くそ

ショーティ!

明日新しい高級ピアノを
もってこい--

何と言うんだ?
グランドピアノだ

この売春宿の曲をやめろ

このピアノはどうします？

刑務所にいるエレンの旧友

オハラに送ったらどうだ

その気持ちに感謝するさ

お前にもう一回チャンスを
やろう

みんなが踊るのを見たいんだ

ガーシュインの新曲を
弾いたらどうだ

「ス・ワンダフル」をな

ええと... ニ三節ハミングを
よく知らないので

今年の歌なのに知らないのか？

ええ

彼に弾いてみせたら　ミッキー？

きっと彼は感謝するわよ

そっちへつめて

ゆっくりだと...

もう少し

テンポを上げて

踊れるでしょ?

ええ　いいですよ

ミッキーの心配はいいわ

ここはいったい？

ミッキー・ショーネシー?

お前は誰だ?

お... 俺はお前を知ってるのか?

私に見覚えがないか　ミッキー?

エディー・オハラだ

お前の旧友だ

エディー・オハラ

ここはどこだ?

俺がどこにいるか教えろ

お前にぴったりの場所に
いるのさ　ミッキー--

私と一緒にな

私が最初にムショの

歓迎をしてやるよ

ミッキーがどこへ行ったか
知ってる？

ああ　知ってる

彼は... 外へ行ったよ

暫く留守にすると言ってた

初めてじゃないわよ

あなた大丈夫?

ああ
ああ　大丈夫だ

実際　いい気分だ