細菌をハックしてがんと闘う ―タル・ダニーノ
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0:06 - 0:111884年 ある患者は
運に見放されたように思われました -
0:11 - 0:14頸部に 急速に成長するがんができ
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0:14 - 0:19さらに がんと無関係な
細菌性皮膚感染症を発症したのです -
0:19 - 0:22しかしすぐに
予期せぬコトが起きました -
0:22 - 0:27感染症から回復するにつれて
がんも退縮し始めたのです -
0:27 - 0:32ウィリアム・コーリーという医師が
7年後にその患者を診察したところ -
0:32 - 0:34がんの形跡は見当たりませんでした
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0:34 - 0:37驚くべきコトが起きていると
コーリー医師は確信しました -
0:37 - 0:41細菌性感染症が
患者の免疫系を刺激し -
0:41 - 0:44がんを撃退したに違いない
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0:44 - 0:47コーリー医師の
この幸運な発見によって -
0:47 - 0:51細菌の意図的な注射による
がん治療の道が開けました -
0:51 - 0:571世紀以上を経て 合成生物学者が
さらに優れた方法を発見しました -
0:57 - 0:59かつては味方とは思えなかった細菌を
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0:59 - 1:04プログラムし
薬を安全に 直接腫瘍に届ける方法です -
1:04 - 1:08がんは 細胞の正常機能が
変化することで発生し -
1:08 - 1:13細胞が急速に増殖し
腫瘍を形成したものです -
1:13 - 1:17放射線治療、化学療法、免疫療法などの
治療法は -
1:17 - 1:20悪性細胞を死滅させることが狙いですが
全身に影響を及ぼし -
1:20 - 1:23その過程で
健康な組織も破壊してしまいます -
1:23 - 1:26しかし 大腸菌のような細菌は
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1:26 - 1:32腫瘍の中で選択的に育つという
ユニークな特性を持ちます -
1:32 - 1:35実際 腫瘍の中心部は
細菌にとって理想的な環境であり -
1:35 - 1:39そこで免疫細胞から隠れて
安心して増殖できるのです -
1:39 - 1:41感染症を引き起こす代わりに
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1:41 - 1:45腫瘍に抗がん剤を運ぶよう
細菌を再プログラムし -
1:45 - 1:50トロイの木馬のように
内部から腫瘍を狙えます -
1:50 - 1:55細菌をプログラムし 新たな方法で
周囲を感知し反応させるという発想は -
1:55 - 2:00合成生物学と呼ばれる分野の中で
最も注目されています -
2:00 - 2:02では どうすれば
細菌をプログラムできるのでしょうか -
2:02 - 2:05その鍵は 細菌の遺伝子操作にあります
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2:05 - 2:08細菌に特定の遺伝子塩基配列を挿入すると
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2:08 - 2:12様々な分子を合成するよう
指示できます -
2:12 - 2:15がんの成長を阻害する分子も
合成させられます -
2:15 - 2:18また 生物学的回路のおかげで
非常に特異的な行動も -
2:18 - 2:21とれるようになります
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2:21 - 2:25特定の因子の有無や組合せによって
異なった行動をとるようプログラムします -
2:25 - 2:28特定の因子の有無や組合せによって
異なった行動をとるようプログラムします -
2:28 - 2:32例えば
腫瘍は 低酸素でpH値が低く -
2:32 - 2:35特定の分子を過剰に産生します
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2:35 - 2:39合成生物学者は 細菌をプログラムし
これらの状態を感知させることが可能です -
2:39 - 2:44そうすることで 健康な組織を避けながらも
腫瘍に応答できるようになります -
2:44 - 2:46生物学的回路の1つである
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2:46 - 2:50「同期溶解回路」
いわゆる「SLC」では -
2:50 - 2:53細菌による薬物輸送が
可能となるだけでなく -
2:53 - 2:56スケジュールに沿った輸送も可能となります
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2:56 - 2:58まず 健康な組織を傷つけないために
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2:58 - 3:02抗がん物質の産生が
細菌の成長とともに -
3:02 - 3:05腫瘍の中だけで起こります
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3:05 - 3:08抗がん物質が産生された後
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3:08 - 3:11菌体密度が閾値に達すると
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3:11 - 3:14自滅スイッチが作動し
細菌が破裂します -
3:14 - 3:18これにより 抗がん物質が放出され
細菌の数は減少します -
3:18 - 3:23しかし 一定数の細菌は生き残り
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3:23 - 3:25コロニーを再構築します
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3:25 - 3:29やがてまた細菌が増殖すると
自滅スイッチが作動します -
3:29 - 3:31このサイクルが繰り返されます
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3:31 - 3:33この回路は 微調整が可能で
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3:33 - 3:38がんとの闘いに最も適した
周期的なスケジュールで薬物を輸送できます -
3:38 - 3:42このアプローチは マウスを用いた実験で
有望であると科学的に証明されています -
3:42 - 3:45科学者たちは
細菌を直接腫瘍内に注射することで -
3:45 - 3:48リンパ腫の除去に成功しただけでなく
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3:48 - 3:51免疫系を刺激し
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3:51 - 3:55マウスの全身に転移した
未治療のリンパ腫を検知し攻撃するよう -
3:55 - 3:58免疫細胞に能力を与えました
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3:58 - 3:59他の多くの治療法とは異なり
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3:59 - 4:02細菌は 特定のがんを
標的にするというよりは -
4:02 - 4:08むしろ 全ての固形腫瘍に共通する
一般的な特徴を標的とします -
4:08 - 4:12さらに プログラム可能な細菌は
単にがんと闘うだけではありません -
4:12 - 4:15それどころか
洗練されたセンサーとして -
4:15 - 4:18将来起こりうる病気を監視できるのです
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4:18 - 4:22安全な腸内細菌は恐らく
私たちの腸内で休眠しています -
4:22 - 4:25そして 症状が起きる前に
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4:25 - 4:28病気を検知、予防、治療します
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4:28 - 4:32技術が進歩し
機械的なナノボットによる -
4:32 - 4:36個別化医療の未来に
希望がもたらされていますが -
4:36 - 4:38数十億年にわたる進化のおかげで
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4:38 - 4:40私たちはすでに
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4:40 - 4:44細菌という意外な生物学的形態を
スタート地点として持っているかもしれません -
4:44 - 4:47これに合成生物学が加わることで
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4:47 - 4:50これから何が可能になるかが
大いに期待されるところです
- Title:
- 細菌をハックしてがんと闘う ―タル・ダニーノ
- Speaker:
- タル・ダニーノ
- Description:
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1884年、頸部に急速に成長するがんを持つ不幸な患者が、がんと無関係な細菌性皮膚感染症を発症しました。感染症から回復するにつれて、がんが退縮し始めました。感染症が患者の免疫系を刺激したのです。今日では、合成生物学者が細菌をプログラムし、薬を安全に、直接腫瘍に届けます。どうすればこんなことが可能なのでしょうか?タル・ダニーノが解説します。
講師:タル・ダニーノ、 監督: クリス・ビショップ
*このビデオの教材: https://ed.ted.com/lessons/hacking-bacteria-to-fight-cancer-tal-danino - Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TED-Ed
- Duration:
- 04:51
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