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Linuxの背後にある精神

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    (クリス・アンダーソン) 奇妙な話です
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    あなたのソフトウェアであるLinuxは
    何百万というコンピュータの中にあり
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    インターネットのかなりの部分を
    動かしています
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    さらに実際に使われている
    Android端末が
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    15億台くらいあって
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    その1台1台にも
    あなたのソフトウェアが入っています
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    これはすごいことで
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    その開発本部ともなれば
    さぞ大層な施設なんだろうなと思っていたので
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    この写真を見たときは
    びっくりしましたよ
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    これが その —
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    Linux 世界本部なんですよね?
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    (笑)
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    (拍手)
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    (リーナス・トーバルズ) 大したものには
    見えませんよね
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    この写真の中で
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    最も興味深く
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    多くの人が反応する部分は
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    あのトレッドミル・デスクです
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    私の仕事場で一番
    興味深いものですが
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    私はもう使っていません
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    この2つは関連
    していると思います
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    私の働き方として —
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    外的な刺激を
    なくしたいんです
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    壁が薄緑色なのが
    分かるでしょう
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    精神病院で壁に使っている色だと
    言われましたけど
  • 1:16 - 1:17
    (笑)
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    落ち着く色です
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    刺激されることがありません
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    ここにコンピュータ本体は写ってなくて
    ディスプレイしかありませんが
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    私が自分のコンピュータについて
    主に気にかけるのは
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    そんなにパワフルでなくとも良く —
    それはそれでいいんですが
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    まったく静音である
    必要があります
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    Googleで働いている
    知人がいて
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    彼らは自宅に小さなデータセンターを
    持っていたりしますが
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    私はやりません
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    私の仕事場は
    およそ退屈なものです
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    私はそこに独り
    静かに座っています
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    猫が入ってくると
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    私の膝にのります
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    猫が喉を鳴らすのを
    聞くのはいいですが
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    コンピュータのファンの音は
    聞きたくありません
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    (クリス) 驚きですね
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    そのような働き方をしながら
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    この巨大な技術の帝国
    とも呼ぶべきものを
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    運営できる
    というのは
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    オープンソースの持つ力の
    見事な証明と言えるでしょう
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    どのようにしてオープンソースを
    理解するようになり
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    それがLinuxの開発に
    繋がったのでしょうか?
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    (リーナス) 私は今も
    独りで仕事しています
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    独り自宅で
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    時にはバスローブ姿のままで
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    あの写真では
    カメラマンが来たので
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    ドレスアップしていますが —
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    (笑)
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    私はいつもそんな風に
    働いてきました
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    Linuxを始めたのもそうです
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    Linuxは共同プロジェクトとして
    始めたわけではありません
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    自分のためにやっていた ―
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    沢山のプロジェクトの
    1つとして始めたものです
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    欲しいものを
    作ろうとしてのことですが
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    それ以上にプログラミング自体を
    楽しんでいました
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    道のりの最後の目的地には
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    25年経っても まだ
    たどり着いていませんが
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    私は自分自身のための
    プロジェクトを探していたのであって
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    オープンソースというのは
    私の視野には入っていませんでした
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    そのうちに —
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    プロジェクトが大きくなって
    人に見せたくなりました
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    それは 「ねぇ 僕の作ったもの見てよ!」
    というのに近く
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    当時は本当に 大したものでは
    ありませんでした
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    公開はしましたが
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    その時点では
    オープンソースではありませんでした
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    ソースは公開していても
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    現在のような
    改良していくために
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    オープンソース手法を取る
    という意図はありませんでした
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    それはむしろ
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    「半年これに取り組んで
    きたんだけど
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    意見を聞かせてほしい」
    というものでした
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    すると他の人たちが
    寄ってきました
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    ヘルシンキ大学で
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    当時は主に「フリーソフトウェア」
    と呼ばれていた
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    オープンソースをやっている
    友人がいて
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    彼が教えてくれました
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    オープンソースライセンスを使うといいよと
    そういうのが既にありましたから
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    私はしばらく
    考えていました
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    商業的な利害が出てくることを
    懸念していたんです
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    始めようとする人の多くが抱く
    不安の1つは
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    自分の成果を誰かに食い物に
    されるんじゃないかということです
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    私はやることにしました
    「どうとでもなれ」と
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    そうしたら —
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    (クリス) そうしたら誰かが
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    ソースコードに寄与してくれて
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    「へえ 面白いな
    こんなの予想してなかった
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    これで改良できるぞ」と
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    (リーナス) 当初の貢献は
    ソースコードではなく
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    むしろアイデアでした
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    誰かが自分のプロジェクトを
    見てくれるというだけでも —
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    他のことでも
    そうだと思いますが
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    プログラミングではなおさら
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    自分のプログラムに
    誰かが興味を示し
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    フィードバックやアイデアを
    返せるくらいに
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    ちゃんと見てもらえるなんて
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    私にとっては
    大したことだったんです
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    当時21歳でしたが
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    既に人生の半分は
    プログラミングをしていました
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    それ以前のプロジェクトは
    完全に個人的なもので
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    自分のコードにコメントや
    フィードバックをもらえるというのは
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    驚くようなことだったんです
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    ソースコードを
    受け取るようになる前に
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    そういう 私にとって
    大きな瞬間があって
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    「人間っていいな」
    と思ったんです
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    どうか誤解しないで
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    私は決して人付き合いの
    良い人間なんかじゃありません
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    (笑)
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    人が本当に好き
    というわけではありません
  • 5:40 - 5:41
    (笑)
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    私はコンピュータが好きで
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    人とのやり取りには
    メールを使うのを好みます
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    一種のクッションに
    なってくれるので
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    でも自分のプロジェクトに
    コメントし協力してくれる人は好きです
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    そのおかげで
    ずっと大きなものになったんです
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    (クリス) 「この瞬間」というのは
    あったんですか?
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    成長していき
    軌道に乗り始めるのを目にして
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    「待てよ これは素敵なコメントをもらえる
    個人プロジェクトというのに留まらず
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    テクノロジーの世界全体で
    爆発的に発展するような
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    すごく大きなものに
    なるかもしれないぞ」という
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    (リーナス) ないですね
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    私にとって大きな変化は
    それが巨大なものになったときではなく
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    小さなものに
    なったときでした
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    独りでやっていたのが
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    10人とか100人という人が
    関わるようになった —
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    それが私にとって
    大きな変化でした
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    それ以外は
    徐々に起きたことで
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    100人から100万人というのは
    大したことではありませんでした
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    いや 大したことかも
    しれませんが
  • 6:40 - 6:41
    (笑)
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    もし成果を売ろうと
    思っていたなら
  • 6:43 - 6:45
    大したことでしょう
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    しかし関心があるのが
    テクノロジーや
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    プロジェクト自体であるなら
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    コミュニティができるというのが
    大きな部分で
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    それからコミュニティが
    ゆっくり成長していきました
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    何か特定の「すごい 大成功だ!」
    と思う時点が
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    あったわけではありません
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    結構長い時間が
    かかっているわけですし
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    (クリス) 私が話した
    技術畑の人はみんな
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    仕事の仕方を大きく変えたと
    あなたのことを高く評価しています
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    それにはLinuxばかりでなく
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    Git というのもあります
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    ソフトウェア開発管理のための
    システムです
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    それに関して あなたの果たした役割を
    教えてください
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    (リーナス) 私たちの抱えていた問題は
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    しばらくして
    現れ始めたことですが
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    10人とか100人という人が
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    プロジェクトに
    取り組んでいるところから
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    1万人へと
    成長するというのは —
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    現在ではカーネルだけでも
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    各リリースに
    千人が携わっていて
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    それが2、3ヶ月に1度あります
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    多くのことを
    しない人もいます
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    ごく小さな変更をする人が
    沢山いるんです
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    そのような規模の変更を
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    どうやってまとめたものか ―
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    それが長らく苦痛でした
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    ソースコード管理だけのための
    プロジェクトがいろいろあります
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    CVSが最も一般的に
    使われていたものでしたが
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    私は大嫌いで
    触るのも拒否し
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    何か根本的に違う
    面白いやり方を試みましたが
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    みんなは嫌がっていました
  • 8:19 - 8:20
    (笑)
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    協力したい人が
    何千人もいるのに
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    私が一種の
    ブレークポイントになり
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    つっかえているという
    まずい状況でした
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    何千人と一緒に
    作業できるほど
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    私は伸縮自在では
    なかったんです
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    Gitは私にとって2番目の
    大プロジェクトですが
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    それはただ自分の最初の大プロジェクトを
    維持管理するために作ったんです
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    それが私の
    仕事の仕方なんです
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    ただ楽しみのために
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    プログラムを
    書くこともありますが
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    私は役に立つプログラムを
    作りたいんです
  • 8:53 - 8:55
    だから 私のプロジェクトはどれも
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    私自身が必要としていた
    ものでした
  • 8:58 - 9:00
    (クリス) つまりLinuxにせよGitにせよ
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    あまり多くの人と働かずに
    済むようにしたいという
  • 9:03 - 9:06
    あなたの欲求から予期せず生まれた
    結果だったわけですね
  • 9:06 - 9:08
    (リーナス) まったくもってそうです
  • 9:08 - 9:09
    (笑)
  • 9:09 - 9:10
    (クリス) いやはや驚きです
    (リーナス) まったく
  • 9:10 - 9:12
    (拍手)
  • 9:12 - 9:15
    (クリス) あなたはテクノロジーを
    1度ならず
  • 9:15 - 9:17
    2度まで変革したわけですが
  • 9:17 - 9:19
    なぜそんなことが出来たのか
    知りたいですね
  • 9:19 - 9:21
    いくつか手がかりを
    もらいましたが —
  • 9:21 - 9:26
    これは子供時代のあなたの写真で
    ルービックキューブをやっています
  • 9:26 - 9:28
    10歳か11歳の頃から
  • 9:28 - 9:31
    プログラミングをしていた
    ということでしたが
  • 9:31 - 9:35
    あなたはコンピュータの天才
    というかオタクだったのか
  • 9:35 - 9:37
    何でもできる
    学校の人気者だったのか
  • 9:37 - 9:39
    どんな子供だったんですか?
  • 9:40 - 9:43
    (リーナス) 典型的な
    オタクだったと思います
  • 9:43 - 9:44
    当時は —
  • 9:45 - 9:47
    人付き合いの良い人間では
    ありませんでした
  • 9:47 - 9:50
    あれは弟ですが
  • 9:50 - 9:52
    明らかに弟なんかより
  • 9:52 - 9:54
    ルービックキューブに
    関心がありました
  • 9:54 - 9:55
    (笑)
  • 9:55 - 9:58
    妹の方はこの写真に
    写っていませんが
  • 9:58 - 10:01
    親戚の集まりがあったとき
  • 10:01 - 10:05
    そんな大家族ではなく
    従兄弟が2人いたくらいですが
  • 10:05 - 10:07
    妹が前もって私に
    心の準備をさせたものです
  • 10:07 - 10:10
    部屋に入る前に
  • 10:10 - 10:13
    「こういうわけだから・・・いい?」と
  • 10:14 - 10:15
    なにしろ
  • 10:15 - 10:17
    私は技術馬鹿で
  • 10:18 - 10:19
    コンピュータとか
  • 10:19 - 10:20
    数学とか
  • 10:20 - 10:21
    物理が好きでした
  • 10:21 - 10:22
    得意でしたが
  • 10:22 - 10:25
    飛び抜けていたとは
    思いません
  • 10:26 - 10:31
    妹によると
    私の最も非凡な点は —
  • 10:31 - 10:35
    決して諦めないことだそうです
  • 10:36 - 10:38
    (クリス) そこをもう少し聞きましょう
    面白そうだ
  • 10:38 - 10:39
    諦めない
  • 10:39 - 10:43
    それは技術の達人ということでも
    頭が良いということでもなく
  • 10:43 - 10:45
    頑固ということ
    なんでしょうか?
  • 10:45 - 10:47
    (リーナス) 頑固でしょうね
  • 10:47 - 10:48
    それはつまり
  • 10:49 - 10:51
    何かを始めたとき
  • 10:51 - 10:56
    「もういいや 何か他の
    イカしたものをやろう」
  • 10:56 - 10:58
    とはならないんです
  • 10:59 - 11:02
    私の人生の
    他の面でもそうです
  • 11:03 - 11:07
    私はシリコンバレーに
    7年住んでいて
  • 11:07 - 11:09
    その間ずっと
  • 11:09 - 11:13
    シリコンバレーの
    同じ会社で働いています
  • 11:13 - 11:15
    そんなの聞いたことがない
  • 11:15 - 11:17
    シリコンバレーは
    そういう所ではありません
  • 11:17 - 11:21
    シリコンバレーの要点は
    人が職から職へと跳び回って
  • 11:21 - 11:23
    まぜこぜになることでしょう
  • 11:23 - 11:25
    でも私はそういうタイプの
    人間ではないんです
  • 11:25 - 11:28
    (クリス) しかしLinuxの開発においては
  • 11:28 - 11:32
    その頑固さが他の人との
    摩擦を生じることも あったわけですね
  • 11:32 - 11:34
    その点について伺いましょう
  • 11:34 - 11:40
    あなたが作っているもののクオリティを維持するために
    それは不可欠なことなんでしょうか?
  • 11:40 - 11:42
    あなたから見ると
    どういうことなんでしょう?
  • 11:42 - 11:45
    (リーナス) 不可欠なのかは分かりません
  • 11:45 - 11:48
    人付き合いの良い人間でない
    という話に戻りますが
  • 11:48 - 11:50
    私は時々 —
  • 11:52 - 11:54
    何というか
  • 11:54 - 11:57
    他人の感情に
    「ド近眼」になることがあり
  • 11:58 - 12:03
    それで他の人を傷つけるようなことを
    言うこともあります
  • 12:03 - 12:07
    その点を良いことだとは
    思っていません
  • 12:07 - 12:08
    (拍手)
  • 12:08 - 12:10
    一方で
  • 12:11 - 12:14
    もっと人に優しくすべきだと
    言ってくる人がいるので
  • 12:15 - 12:18
    説明してやろうと思って
  • 12:18 - 12:23
    君は人に優しいのかしらんけど
    もっと押しが強くなった方がいいよと言うと
  • 12:23 - 12:26
    それがイヤな奴と取られるんです
  • 12:26 - 12:28
    (笑)
  • 12:28 - 12:31
    私が言いたいのは
    人は違うということです
  • 12:31 - 12:32
    私は人付き合いが良くなく
  • 12:32 - 12:35
    その点 良いこととは
    思っていませんが
  • 12:35 - 12:36
    それが私なんです
  • 12:36 - 12:39
    私がオープンソースの
    本当に好きな点は
  • 12:39 - 12:45
    異なる人々が一緒に働けるように
    してくれるということです
  • 12:45 - 12:46
    互いを好きな必要はなく
  • 12:46 - 12:49
    本当に互いに嫌っている
    こともあります
  • 12:49 - 12:52
    とても激しく議論を
    することもあります
  • 12:52 - 12:55
    何しろそれは —
  • 12:56 - 12:59
    意見の違いを
    認め合ってさえなく
  • 12:59 - 13:02
    ただすごく違ったことに
    関心があるということです
  • 13:02 - 13:05
    さっき 自分の成果を
    食い物にする
  • 13:05 - 13:09
    営利的な人々への怖れ
    という話をしましたが
  • 13:09 - 13:11
    すぐに分かったのは
  • 13:11 - 13:15
    そういう商業的な人たちが
    実に感じの良い人たちだということです
  • 13:15 - 13:18
    私がまったくやろうとも思わない
    様々なことをやり
  • 13:18 - 13:20
    私とはまったく違う
    目的を持っています
  • 13:20 - 13:26
    彼らがオープンソースを使おうとする
    やり方は気に入りませんでしたが
  • 13:26 - 13:28
    オープンソースなので
    彼らはやることができて
  • 13:28 - 13:31
    実はその組み合わせが
    見事に機能するんです
  • 13:31 - 13:33
    同じ仕組みなんだと思います
  • 13:33 - 13:36
    そういう人たちも必要なんです
    人付き合いの上手い人たち
  • 13:36 - 13:38
    コミュニケーター
    温かくてフレンドリーな
  • 13:38 - 13:39
    こう —
  • 13:39 - 13:40
    (笑)
  • 13:40 - 13:43
    本当に抱きしめて仲間に
    迎え入れてくれるような人々です
  • 13:43 - 13:45
    みんながそうではなく
  • 13:45 - 13:46
    私は違います
  • 13:46 - 13:48
    私は技術に関心があり
  • 13:48 - 13:50
    ユーザインタフェースに
    関心がある人もいます
  • 13:50 - 13:53
    私は 命が助かるためだろうと
    やれませんが
  • 13:53 - 13:55
    もし無人島に取り残され
  • 13:55 - 13:59
    島を抜け出せる唯一の方法が
    小綺麗なユーザインタフェースを作ることだとしたら
  • 13:59 - 14:01
    私はそこで
    のたれ死ぬでしょう
  • 14:01 - 14:02
    (笑)
  • 14:02 - 14:04
    違う種類の人間が
    いるということです
  • 14:04 - 14:07
    言い訳しようというのではなく
    説明しようとしているだけです
  • 14:07 - 14:08
    (クリス) 先週話したとき
  • 14:08 - 14:11
    あなたの別な特質について
    触れていて
  • 14:11 - 14:12
    私はそれを とても面白いと
    思ったんですが
  • 14:12 - 14:14
    センスと呼ばれるものです
  • 14:14 - 14:16
    2つ画像がありますが
  • 14:16 - 14:20
    こちらのプログラムは
    あまりセンスが良くない例で
  • 14:20 - 14:23
    こちらの方が
    センスが良いのは
  • 14:23 - 14:25
    一目で分かるのだと
  • 14:25 - 14:28
    この2つの違いは
    何なのでしょう?
  • 14:29 - 14:30
    (リーナス) 皆さんの中で
  • 14:30 - 14:33
    プログラミングしたことのある人は
    どれくらいいますか?
  • 14:33 - 14:35
    (クリス) こんなにいるんだ
  • 14:35 - 14:36
    (リーナス) 手を挙げた皆さんは
  • 14:36 - 14:39
    単方向リストを作ったことが
  • 14:39 - 14:41
    あるかと思います
  • 14:41 - 14:43
    こちらの
  • 14:43 - 14:46
    あまりセンスの良くないやり方は
  • 14:46 - 14:51
    初歩のプログラミングで
    教わるものです
  • 14:51 - 14:53
    このコードは別に
    理解できなくて構いません
  • 14:53 - 14:55
    ここで最も興味深い点は
  • 14:55 - 14:57
    最後の if 文です
  • 14:59 - 15:01
    単方向リストで起きるのは
  • 15:01 - 15:05
    ここでは既存の要素を
    削除しようとしているんですが
  • 15:05 - 15:09
    要素が最初か
    最初以外かで
  • 15:09 - 15:11
    処理が異なるということです
  • 15:11 - 15:12
    最初の要素の場合は
  • 15:12 - 15:15
    先頭要素へのポインタを
    書き換えなければなりませんが
  • 15:15 - 15:17
    中間要素の場合は
  • 15:17 - 15:19
    手前の要素のポインタを
    書き換える必要があります
  • 15:19 - 15:21
    まったく異なる
    2つのケースがあるわけです
  • 15:21 - 15:22
    (クリス) その点こちらの方が良いと
  • 15:22 - 15:24
    (リーナス) こちらの方が良いです
  • 15:24 - 15:26
    if 文がありません
  • 15:27 - 15:29
    なぜ if 文がないのか
  • 15:29 - 15:32
    分からなくて構いませんが
  • 15:32 - 15:33
    分かってほしいのは
  • 15:33 - 15:37
    問題を違った見方をして
    書き換えることで
  • 15:37 - 15:39
    特殊ケースを 一般ケースに
  • 15:39 - 15:41
    変えられることが
    あるということです
  • 15:41 - 15:43
    そういうのが良いコードです
  • 15:43 - 15:45
    これはごく単純な
  • 15:45 - 15:48
    プログラミング入門のコードで
    重要なものではありません
  • 15:48 - 15:49
    細部は大事ですけど
  • 15:50 - 15:54
    私が一緒に働きたいと思うような人の
    目印になるのは
  • 15:54 - 15:57
    良いセンスを持っている
    ということです
  • 15:57 - 15:59
    このつまらない例は
  • 15:59 - 16:02
    小さすぎて あまり意味が
    ありませんが
  • 16:02 - 16:04
    センスの良さというのは
    もっと大きなものです
  • 16:04 - 16:08
    センスが良いというのは
    大きなパターンを見て取って
  • 16:08 - 16:12
    直感的に正しいやり方が
    分かるということです
  • 16:12 - 16:15
    (クリス) ちょっと整理しましょう
  • 16:16 - 16:18
    あなたには良いセンスがある —
  • 16:18 - 16:21
    ソフトウェア界隈の人には
    意味を持つような
  • 16:21 - 16:22
    あなたは —
  • 16:22 - 16:23
    (笑)
  • 16:23 - 16:27
    (リーナス) この中にも
    わかる人はいるはずですよ!
  • 16:28 - 16:31
    (クリス) あなたはプログラマとして
    非常に聡明で
  • 16:31 - 16:33
    どうしようもなく頑固だと
  • 16:34 - 16:35
    でも他にも
    何かあるはずです
  • 16:35 - 16:37
    あなたは未来を変えました
  • 16:37 - 16:39
    未来についての大きなビジョンを
    お持ちなんだと思います
  • 16:39 - 16:41
    あなたはビジョナリーなんですよね?
  • 16:41 - 16:43
    (リーナス) この2日間TEDにいて
  • 16:43 - 16:46
    少し居心地が悪く
    感じていました
  • 16:46 - 16:49
    ビジョンの話が
    たくさんされていますが
  • 16:49 - 16:50
    私はビジョナリーではありません
  • 16:50 - 16:53
    5カ年計画なんて
    持っていません
  • 16:53 - 16:54
    私はエンジニアです
  • 16:54 - 16:56
    歩き回っては雲を見つめ
  • 16:56 - 16:58
    星を見上げ
  • 16:58 - 17:02
    「あそこに行きたいものだ」と言う人々と
    一緒にいるのは
  • 17:02 - 17:03
    まったく問題ありません
  • 17:03 - 17:05
    でも 私の方は
    地面を見ていて
  • 17:05 - 17:08
    目の前にある穴を
    どうにかしたいと思っています
  • 17:08 - 17:09
    落っこちる前に
  • 17:09 - 17:11
    私はそういう人間なんです
  • 17:11 - 17:12
    (歓声)
  • 17:12 - 17:13
    (拍手)
  • 17:13 - 17:17
    (クリス) 先週 この2人について
    話を伺いましたが
  • 17:17 - 17:20
    彼らは誰で
    どのようにお考えなんでしょう?
  • 17:20 - 17:23
    (リーナス) この
    テスラ対エジソンというのは
  • 17:23 - 17:26
    テクノロジー分野では
    言い古された感がありますが
  • 17:26 - 17:31
    テスラはビジョンを持った科学者
    すごいアイデア・マンとして見られていて
  • 17:31 - 17:34
    みんなテスラが大好きです
  • 17:34 - 17:37
    その名を会社名にしている
    人たちもいます
  • 17:37 - 17:38
    (笑)
  • 17:39 - 17:42
    もう一方のエジソンは
  • 17:42 - 17:46
    もっと凡俗で
    悪く言われることが多いです
  • 17:46 - 17:47
    そして彼の
  • 17:47 - 17:50
    最も有名な
    言葉というのが あの
  • 17:50 - 17:55
    「天才とは1%のひらめきと99%の努力」です
  • 17:55 - 17:57
    私はエジソンの側なんです
  • 17:57 - 18:00
    みんなは あまり
    好きでないかもしれませんが
  • 18:00 - 18:02
    2人を比べたとき
  • 18:02 - 18:06
    テスラは近頃の人の
    心を掴んでいますが
  • 18:06 - 18:09
    実際に世界を変えたのは
    どちらでしょう?
  • 18:10 - 18:13
    エジソンは いい奴では
    なかったかもしれません
  • 18:13 - 18:16
    いろいろやっています
  • 18:16 - 18:19
    そんなに知的でなく
  • 18:19 - 18:21
    ビジョナリーでは
    ないかもしれません
  • 18:21 - 18:25
    でも私はテスラよりは
    エジソンに近いと思います
  • 18:26 - 18:27
    (クリス) 今回のTEDのテーマは
  • 18:27 - 18:29
    大胆で野心的な
    大いなる「夢」ですが
  • 18:29 - 18:31
    あなたは その反対ですね
  • 18:31 - 18:33
    (リーナス) 私は少し
    引き戻そうとしています
  • 18:33 - 18:35
    (クリス) そりゃいい
  • 18:35 - 18:36
    (笑)
  • 18:36 - 18:37
    歓迎しますよ
  • 18:39 - 18:41
    Googleやその他の企業は
  • 18:41 - 18:44
    あなたのソフトウェアで
    何十億ドルも儲けています
  • 18:44 - 18:45
    そのことを不快に思いますか?
  • 18:45 - 18:46
    (リーナス) ちっとも
  • 18:46 - 18:49
    理由はいくつかあります
  • 18:49 - 18:51
    私自身上手くやっていて
  • 18:51 - 18:53
    別に問題ないというのがひとつ
  • 18:53 - 18:55
    別の理由は
  • 18:55 - 19:00
    もしオープンソースにして
    自由に使えるようにしていなければ
  • 19:00 - 19:02
    Linuxが今のようになることは
    なかったということです
  • 19:02 - 19:07
    それによって 苦手なことも経験する
    ことになりました 人前で話すとか
  • 19:07 - 19:10
    しかし これも1つの
    経験だと思っています
  • 19:10 - 19:11
    本当に
  • 19:11 - 19:16
    だから私を幸せな人間にする
    沢山のことが起きていて
  • 19:16 - 19:19
    自分は正しい選択を
    したと思うわけです
  • 19:19 - 19:20
    (クリス) これは
  • 19:20 - 19:23
    最後の質問になりますが
  • 19:23 - 19:27
    オープンソースの考えは
    現在の世界ですっかり実現されているのか
  • 19:27 - 19:30
    それとも もっとやれることが
  • 19:30 - 19:32
    あるのでしょうか?
  • 19:33 - 19:35
    (リーナス) どちらとも言いかねますね
  • 19:35 - 19:39
    オープンソースがプログラミングにおいて
    こうも上手く機能するのは
  • 19:40 - 19:42
    結局のところプログラムは
  • 19:42 - 19:45
    黒白つけられるもの
    だからだと思います
  • 19:45 - 19:49
    これは良い これは良くない
    というのを判断できる
  • 19:49 - 19:53
    適当な方法があることが
    多いのです
  • 19:53 - 19:56
    プログラムは動くか動かないかの
    どちらかで
  • 19:56 - 20:00
    議論の余地が
    あまりありません
  • 20:00 - 20:04
    それでも結構
    議論していますが
  • 20:04 - 20:06
    他の領域でも
  • 20:06 - 20:10
    オープン・ポリティクスなどについて
    議論されていますが
  • 20:10 - 20:13
    同じ原理を他の領域にも
    適用できるとは
  • 20:13 - 20:16
    言い難い場合があります
  • 20:17 - 20:22
    黒か白かが
    グレーになるだけでなく
  • 20:22 - 20:24
    他の色まで出てきます
  • 20:24 - 20:28
    科学におけるオープンソースが
    復活しているようです
  • 20:28 - 20:31
    はじめはオープン化していたのに
  • 20:31 - 20:33
    やがて閉じたものになってしまい
  • 20:33 - 20:37
    非常に高価な学術誌の問題
    なんかがあります
  • 20:37 - 20:41
    arXivや オープンアクセス・ジャーナル
    のようなものによって
  • 20:41 - 20:45
    科学分野でオープンソースが
    復活しつつあります
  • 20:47 - 20:49
    ウィキペディアもまた
    世界を変えました
  • 20:49 - 20:51
    他にも例はあります
  • 20:51 - 20:54
    間違いなくもっと出てくるでしょう
    しかし私は —
  • 20:54 - 20:55
    (クリス) あなたは
    ビジョナリーではないので
  • 20:55 - 20:57
    予想はあなたの役割では
    ないでしょう
  • 20:57 - 20:58
    (リーナス) 違いますとも!
  • 20:58 - 20:59
    (笑)
  • 20:59 - 21:01
    それをするのは
    あなた方でしょう?
  • 21:01 - 21:03
    (クリス) まったく
  • 21:03 - 21:04
    リーナス・トーバルズ
  • 21:04 - 21:06
    Linuxをありがとう
    インターネットをありがとう
  • 21:06 - 21:08
    Androidをありがとう
  • 21:08 - 21:11
    TEDに来て ご自身のことを こんなにも
    話していただき 感謝しています
  • 21:11 - 21:12
    (リーナス) こちらこそ
  • 21:12 - 21:17
    (拍手)
Title:
Linuxの背後にある精神
Speaker:
リーナス・トーバルズ
Description:

リーナス・トーバルズはテクノロジーを2度変革しました。インターネットを支えるLinuxカーネルで1度、そして世界中の開発者が使うソースコード管理システムのGitによってもう1度。TEDのキュレーターであるクリス・アンダーソンとのこの珍しいインタビューで、トーバルズは仕事や技術や人生に対する彼独特の考えの元になっている性格的特徴について驚くほどオープンに話しています。トーバルズは言います。「私はビジョナリーではなく、エンジニアです。歩き回って雲ばかり眺めている人々と一緒にいるのはまったく問題ありません。でも私の方は地面を見ていて、目の前にある穴をどうにかしたいと思っています—落っこちる前に」

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDTalks
Duration:
21:30
Yasushi Aoki approved Japanese subtitles for The mind behind Linux
Yasushi Aoki edited Japanese subtitles for The mind behind Linux
Yasushi Aoki edited Japanese subtitles for The mind behind Linux
Yasushi Aoki edited Japanese subtitles for The mind behind Linux
Natsuhiko Mizutani accepted Japanese subtitles for The mind behind Linux
Natsuhiko Mizutani edited Japanese subtitles for The mind behind Linux
Natsuhiko Mizutani edited Japanese subtitles for The mind behind Linux
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