Return to Video

現代ポピュリズムの誕生 / タキス・S・パパス

  • 0:07 - 0:11
    1970年代半ば
    何十年も 政治混乱が続いたあと
  • 0:11 - 0:15
    ギリシャはようやく安定への道を
    たどり始めたかのように見えました
  • 0:15 - 0:21
    新しい憲法の制定 そして 欧州諸団体への
    加入交渉の準備を進めていたことから
  • 0:21 - 0:22
    アナリストの多くが
  • 0:22 - 0:27
    ギリシャ政治は より勢力のある
    欧米勢に続くと予測していました
  • 0:27 - 0:32
    その後 1981年には
    PASOKと呼ばれる政党が政権を握りました
  • 0:32 - 0:35
    カリスマ的な党首
    ゲオルギオス・アンドレアス・パパンドレウは
  • 0:35 - 0:42
    新憲法を酷評し 政治権力者たちに対しても
    「国民を裏切っている」と非難しました
  • 0:42 - 0:47
    NATOと欧州経済共同体への加盟に
    反対を示しつつ
  • 0:47 - 0:49
    パパンドレウは公約で
  • 0:49 - 0:53
    何をさしおいても「大衆」の生活向上を
    優先すると約束しました
  • 0:53 - 0:59
    「制度などない あるのは民のみだ」と
    宣言したのは有名な話です
  • 0:59 - 1:02
    パパンドレウの台頭は
    特に珍しい話ではありません
  • 1:02 - 1:05
    世界中の多くの民主主義国で
  • 1:05 - 1:10
    カリスマ的な指導者が
    反対勢力を非難し 制度を酷評し
  • 1:10 - 1:13
    人気のある政治家を蹴落として
    後釜に座ります
  • 1:13 - 1:17
    このような動きを 独裁主義的または
    ファシスト的と呼ぶ評論家もいますし
  • 1:17 - 1:20
    多くは このような指導者に対し
    人の感情に訴えかけ
  • 1:20 - 1:23
    有権者を操り 騙していると
    指摘しています
  • 1:23 - 1:27
    しかし この政治形態は
    倫理的であろうと なかろうと
  • 1:27 - 1:32
    民主主義であることは確かで
    「ポピュリズム」と呼ばれています
  • 1:32 - 1:35
    ポピュリズムという言葉は
    古代ローマ時代から存在し
  • 1:35 - 1:40
    ラテン語の “populus” つまり
    “the people (大衆) "に由来しています
  • 1:40 - 1:45
    それ以来 ポピュリズムは
    様々な政治活動を表す言葉として用いられ
  • 1:45 - 1:49
    多くの場合 違和感のある
    時には 矛盾するような目標を掲げます
  • 1:49 - 1:51
    ポピュリズムの運動として
  • 1:51 - 1:56
    君主制や 市場の独占や
    権力を持つ様々な機関への反抗がみられます
  • 1:56 - 2:00
    ここでは この言葉の歴史を 全て
    説明することはできませんが
  • 2:00 - 2:04
    ある 特徴的なポピュリズムの形に
    焦点を当てましょう
  • 2:04 - 2:10
    パパンドレウ政権をはじめ
    過去70年に現れた数々の政権が当てはまる
  • 2:10 - 2:12
    現代ポピュリズム と呼ばれるものです
  • 2:12 - 2:17
    政治研究家が この政治現象を
    どう定義しているかを理解するため
  • 2:17 - 2:21
    まず 現代ポピュリズムの
    原動力を見ていきます
  • 2:21 - 2:22
    第2次世界大戦 直後
  • 2:22 - 2:27
    多くの国が 全体主義的イデオロギーから
    抜け出したいと願っていました
  • 2:27 - 2:29
    ここで求められた新政治体制は
  • 2:29 - 2:32
    個人と社会の権利を優先し
  • 2:32 - 2:36
    政治的コンセンサスを目指し
    法による支配を尊重する体制でした
  • 2:36 - 2:41
    その結果 ほとんどの欧米諸国は
    古くから存在する政体を採用しました
  • 2:41 - 2:43
    自由民主主義です
  • 2:43 - 2:47
    ここでの“liberal (自由主義の)” は
    特定の政党を指さず
  • 2:47 - 2:51
    3つの重要な要素で構成される
    民主主義の1つです
  • 2:51 - 2:54
    自由民主主義の3要素の1つ目は
  • 2:54 - 2:59
    対立の元になる 領域をまたいだ
    分断に満ちた社会を受容すること
  • 2:59 - 3:02
    2つ目は 多くの対立しあう勢力が
    分断の壁を越えて
  • 3:02 - 3:06
    共通の基盤を求める必要性があること
  • 3:06 - 3:07
    3つ目は
  • 3:07 - 3:12
    法による支配と少数派の権利の保護を
    よりどころにしており
  • 3:12 - 3:15
    憲法や法令にそう定めていること
  • 3:15 - 3:22
    つまり これらは 私たちを不寛容から守る
    寛容や制度を提案しており
  • 3:22 - 3:27
    機能的で 多様な民主的社会の
    根本となっています
  • 3:27 - 3:31
    自由民主主義は
    採用した国の安定に寄与しましたが
  • 3:31 - 3:35
    どんな政治体制にも言えるように
    万能ではありませんでした
  • 3:35 - 3:39
    問題の中でも
    特に貧富差の拡大は
  • 3:39 - 3:41
    行政が行き届かない層を
    生み出しました
  • 3:41 - 3:46
    富裕層と政治家へ不信感を抱く人々です
  • 3:46 - 3:51
    時には 腐敗した政治で
    国民の信頼はさらに失われていきました
  • 3:51 - 3:55
    そんな政治家への疑念や怒りが膨らみ
  • 3:55 - 3:58
    国民が新たなタイプの指導者を
    求める土壌が生まれました
  • 3:58 - 4:02
    現行の体制を疑い
    国民の要望を最優先してくれる
  • 4:02 - 4:03
    新しい指導者です
  • 4:03 - 4:07
    色々な意味で このような反応は
    民主主義を体現しているといえます
  • 4:07 - 4:12
    もし 国民の大多数が 自分たちの利益を
    代弁する声が足りないと感じれば
  • 4:12 - 4:17
    既存の民主的な仕組みを利用し
    現状打破のため新たな指導者を選出できます
  • 4:17 - 4:23
    しかし 自己主張の強い現代ポピュリストに
    民主主義が打ち負かされる局面にもなりえます
  • 4:23 - 4:29
    現代ポピュリストたちは
    「民意」の体現者を名乗り
  • 4:29 - 4:32
    個人や社会の権利を保護する制度よりも
  • 4:32 - 4:35
    大衆の利益に重きを置きます
  • 4:35 - 4:37
    また これらの制度を
  • 4:37 - 4:42
    利己的な少数の支配者層が牛耳り
  • 4:42 - 4:46
    道徳的な大衆のコントロールを
    試みているのだと主張します
  • 4:46 - 4:49
    その結果 政治は
    寛容な民主主義制度を通じて
  • 4:49 - 4:54
    妥協案や合意を探るという本質を
    失ってしまいます
  • 4:54 - 5:00
    それどころか ポピュリストは自分たちが
    破綻しているとみなす制度の転覆を試みます
  • 5:00 - 5:02
    つまり 自由民主主義は
  • 5:02 - 5:08
    法廷 報道の自由 憲法などの制度に対して
    最大限の敬意を払う制度であるのに
  • 5:08 - 5:10
    現代のポピュリストは
  • 5:10 - 5:16
    いわゆる「共通の意思」に沿わない制度は
    全て否定するのです
  • 5:16 - 5:19
    現代ポピュリストの政党は
    あちこちで誕生していますが
  • 5:19 - 5:22
    そういったポピュリズム運動の指導者たちは
    おどろくほど類似しています
  • 5:22 - 5:29
    多くが 自らを「民意」の体現者と称する
    カリスマ的な人物なのです
  • 5:29 - 5:32
    支持者に対し 実現不可能なほどの
    行き過ぎた公約をし
  • 5:32 - 5:37
    反対勢力に対しては
    国を蝕む反逆者呼ばわりします
  • 5:37 - 5:42
    彼らが 本当に信念に従って動いていようが
    人の心を巧みに操る日和見主義者であろうが
  • 5:42 - 5:43
    彼らの勢いに押されて
  • 5:43 - 5:47
    自由民主主義がひどく弱体化してしまう
    可能性があります
  • 5:47 - 5:49
    仮に 現代ポピュリストの指導者が
  • 5:49 - 5:53
    過激な公約を果たさなかったとしても
  • 5:53 - 5:58
    世論や法の支配 そして
    国民の信頼に及ぼした影響は
  • 5:58 - 6:01
    在任期間が終わっても 長く後を引くのです
Title:
現代ポピュリズムの誕生 / タキス・S・パパス
Speaker:
タキス・S・パパス
Description:

世界中の多くの民主主義国で、カリスマ的な指導者が、反対勢力を非難し、制度を酷評し、主導権を主張します。このような動きを 独裁主義的またはファシスト的と呼ぶ評論家もいますし、多くは このような指導者に対し、人の感情に訴えかけ有権者を操り 騙していると指摘しています。この政治形態は、「ポピュリズム」と呼ばれています。タキス・S・パパスがポピュリストの政治現象とその影響力を探ります。

講師:タキス・S・パパス、監督:パトリック・スミス

このビデオの教材 : https://ed.ted.com/lessons/the-rise-of-modern-populism-takis-s-pappas

more » « less
Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TED-Ed
Duration:
06:02

Japanese subtitles

Revisions