サラ・セイ： 即興/ 【独占】/ Art21

エピソード162： 2010年、フランス、ニースにある現代美術館にて、サラ・セイは作品の製作過程における即興性と自発性の重要性を語っている。元は『The Uncountables (Encyclopedia)』（2010）としてニューヨーク市の展示場で公開されたものが、フランスの地域の素材を取り入れて再構築された。即興性を取り入れたセイの作品を見る人は、作品を念入りに探求することでその製作過程を垣間見ることができる。

サラ・セイはその作品設置や入り組んだ彫刻を製作する過程において、日常で見つかる些細なもの、平凡な材料、印、手法を驚くような方法で使用している。退廃物や事務用具などを奇妙なミニチュアに変え、彼女はフラクタルのような,建築規模の作品を創り上げる。会場に適応させたり街の一部を変えたりするセイのパッチワークは、気まぐれな発想と相互関連性、持続可能性といったエコなテーマとのバランスを取りながら、即興的な要素を持つ街を映し出しているともいえる。

サラ・セイについてもっと知りたい方は：
http://www.art21.org/artists/sarah-sze

CREDITS: Producer: Ian Forster. Consulting Producer: Wesley Miller & Nick Ravich. Interview: Susan Sollins. Field Producer: Agnes Jammal. Camera: Miguel Sanchez Martin. Sound: Roger Phenix. Editor: Morgan Riles & Mark Sutton. Artwork Courtesy: Sarah Sze & Tanya Bonakdar Gallery. Special Thanks: Museum of Modern and Contemporary Art, Nice. Theme Music: Peter Foley.

[これ引っぱればいい？]

[強めに？]

[強く引っぱっていいの？]

即興性がなくちゃいけない

作品が生のものであってほしいから

たった今創られたっていう感じ

今ここで選択がなされていく

生でスポーツを見るように

ジャズを聴くように

自然と湧き上がるものが一番おもしろいの

アーティストにも見る人にもね

フランスで紹介された『Encyclopedia』という作品では

地域のお店に行って

ううん、実際お店に行かなくても

食べてるものだったり

ホテルにあるものだったり

なんでも作品に取り入れたの

どんなに時間をかけてコンセプトを考えても

実際の作業に取りかかってみると

なにか自然と生まれてくるものがあって

どれだけ考えたって

実際なにが起こるかわからない

それが起こったときが一番おもしろいの

作品に取りかかると

製作過程だとか

壊すときのことも考える

でも実際やってみると

今このときだけに集中するの

この作品は科学実験みたいだったり

誰かのアートスタジオみたいだったり

実験室みたいに見える

製作過程をその場で見るから

完成品がなんなのかはっきりしない

ある箇所では小さいものがあって

宝石みたいに見えたり

でも宝石みたいに見えすぎちゃうと

靴屋さんのように見せかけたり

でも靴屋さんらしく見えすぎちゃうと

死体の安置所みたいにしたり

私の作品の芯になっているのは

現実世界とアートの境目なの

いつも見る人に

その境目を行き来してほしいの

だから見慣れたものがあり

それと並んで見慣れないものがある

よく目を見張れば

製作過程を見ることができる

私たちがいじくり回したものをね

そんなものがいっぱいある

この作品を見る人は

私と同じように発見することを楽しむのよ