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マイケル・アーチャー 「絶滅種 カモノハシガエル、タスマニアン・タイガーの再生計画」

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    皆さんの関心が高い
    この命題をぜひ検証したいと思います
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    「絶滅は永遠でなければならないのか?」
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    私が関わっている
    2つのプロジェクトについてお話しします
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    1つは フクロオオカミ・プロジェクト
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    もう1つはラザロ・プロジェクトで
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    胃の中で子どもを育てる
    カモノハシガエルが対象です
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    当然 こう思われるでしょう
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    「なぜ この二つの動物なのか?」
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    第一に どちらも
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    それぞれが属する科の
    最後の種だったからです
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    科に属する種全てを失ったのです
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    つまり 全世界のゲノムの
    大部分をなくしました
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    私はそれを取り戻したいのです
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    二つ目の理由は
    私たちがこれらを殺したからです
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    フクロオオカミは
    残念ながら
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    人間が 一匹残らず撃ち殺しました
    大虐殺したのです
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    カモノハシガエルの場合は
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    私たちは 「細菌兵器」で殺したと言えます
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    ある恐ろしいカビが
    世界に広まっていて
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    ツボカビと呼ばれているものですが
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    世界中のカエルを苦しめています
    カモノハシガエルも―
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    ツボカビにやられたと考えています
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    このツボカビを広めているのは
    人間なのです
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    ここから とても重要な
    倫理的な問題が導かれます
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    皆さんは この話題になる度に
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    何度も聞かれたことがあるでしょう
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    私が重要だと思うのは
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    私たちが これらの種を絶滅させたのが
    明らかである以上
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    道徳的な義務から
    何ができるか考えようとする―
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    だけでなく
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    やれる限りは何かすべきというのは
    道徳的責任だと思います
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    では ラザロ・プロジェクトについて
    お話しましょう
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    カエル
    たかがカエルと思うでしょう
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    でも ただのカエルではなかったんです
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    普通のカエルは
    水中に卵を産み付けて
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    そこから立ち去り
    運を天に任せます
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    でも このカエルは
    受精卵を飲み込みました
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    食べ物のための胃に
    卵を送り込みますが
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    卵は消化せず
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    胃を子宮に変えます
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    胃の中で
    卵はオタマジャクシに
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    さらに 胃の中で
    オタマジャクシはカエルになり
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    胃の中で
    卵はオタマジャクシになります
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    かわいそうな親カエルの
    お腹がはち切れそうになる頃
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    親カエルが
    小さな咳としゃっくりをした拍子に
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    小さなカエルたちが跳び出します
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    生物学者がこれを見たときは
    もう大騒ぎ
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    これは素晴らしいと思ったんです
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    動物 ましてやカエルが
    こんなこと―
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    ある器官を別の器官に変えられるなんて
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    医学界も大騒ぎになったのは
    想像に難くないでしょう
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    もし このカエルがどうやって
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    お腹の働きを
    コントロールしているか分かれば
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    それを使って人間自身の
    体の仕組みを理解したり
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    医学的に応用できるのでは
    ないでしょうか?
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    子どもを胃の中で育てたいと
    言っているわけではなく
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    胃液分泌をコントロールすることも
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    可能になると言っているのです
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    こうして皆が沸き返った そのとき
    バーン!
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    絶滅しました
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    私は友人に電話しました
    マイク・タイラー
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    アデレード大学教授です
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    このカエルを飼っていたのは
    彼が最後で
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    研究室に 一群れいました
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    私は言いました
    「マイク もしかして―」
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    これは3、40年前のことです
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    「もしかして このカエルの組織を
    凍結保存していなかったか?」
  • 2:57 - 3:00
    彼は考えをめぐらせ
    冷凍庫に向かいました
  • 3:00 - 3:02
    摂氏マイナス20度の冷凍庫です
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    彼は中のもの全てをひっくり返し
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    一番底に瓶を見つけ
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    それには このカエルの組織が
    入っていました
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    ワクワクしました
    でも―
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    これがうまく行く保証はありません
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    この組織には
    抗凍結剤が入っておらず
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    凍結時に
    凍らないようにされていなかったのです
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    通常 水が凍ると
    ご存知の通り 膨張します
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    細胞内でも同じことが起こります
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    組織を凍結させると 水が膨張し
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    細胞壁が傷ついたり 破裂したりします
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    しかし 顕微鏡で組織を観察してみると
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    悪い状態ではなく
    細胞壁には傷がありませんでした
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    だから思ったんです
    やってみようと
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    私たちが行ったのは いわゆる―
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    体細胞核移植
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    遠い親戚にあたるカエルの卵を取り出し
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    卵の細胞核を不活性化します
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    紫外線放射を使いました
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    そして 絶滅したカエルの死んだ組織から
    死んだ細胞核を取り出し
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    その細胞核を 卵に移植したのです
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    当然 これは一種のクローン・プロジェクトで
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    羊のドリーのようなものですが
    実際は全く違います
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    ドリーの場合は
    生きた羊に生きた細胞を移植しています
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    それは 奇跡でしたが
    不可能ではなかった
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    私たちがやっているのは
    絶滅種の死んだ細胞核を取り出し
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    それを全く違う種に移植して
    甦らせようというもの
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    成功を期待できる理由なんて
    ありませんでした
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    でも 何百回もこれをしました
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    そして この2月
    直近の実験のとき
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    まさに奇跡が始まったのを見ました
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    ほとんどの卵はダメだったのですが
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    突然 一つの卵が分裂を始めたのです
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    胸が躍りました
    そして 卵はまた分裂
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    こうして分裂を繰り返し
    すぐに
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    何百の細胞からなる
    初期の胚になりました
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    この細胞のDNAを調べた結果
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    絶滅したカエルのDNAを確認しました
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    本当に興奮しました
    まだオタマジャクシにも
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    カエルにもなっていませんが
    絶滅した種を
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    再生し 取り戻すまでは
    長い道のりですから
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    ちなみに初公開です
    これまでは未公表でした
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    ワクワクしています
    第一関門は突破しました
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    次は 細胞の塊が
    原腸を形成し
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    そこから 他の組織を
    作ってほしいと思っています
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    そして そのままオタマジャクシ
    カエルになるのです
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    よく見ていてください
    私は このカエルが
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    この世界に喜び 飛び戻ってくると
    考えています
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    ありがとうございます (拍手)
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    まだそこまで至っていませんが
    拍手の準備をお願いします
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    二つ目のフクロオオカミ・プロジェクトについて
    お話しします
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    フクロオオカミは ほとんどの人の目には
    犬のように映るでしょう
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    縞模様があるから
    トラかもしれない
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    でも そのどちらとも関係はありません
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    フクロオオカミは有袋動物で
    袋の中で育てられます
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    コアラやカンガルーのようにです
  • 5:48 - 5:53
    それには 長い歴史
    長くて素晴らしい歴史があり
  • 5:53 - 5:56
    2,500万年にもなります
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    でも それはまた
    悲劇の歴史でもあります
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    フクロオオカミが出現したのは
    約2,500万年前の
  • 6:02 - 6:05
    オーストラリアの古代熱帯雨林と
    されています
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    ナショナル・ジオグラフィック協会の支援で
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    ここ リバーズレーの
    化石堆積層を調査しました
  • 6:11 - 6:14
    化石の中には
    すごい動物がいました
  • 6:14 - 6:16
    フクロライオンや
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    肉食カンガルーもです
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    カンガルーと言っても
    想像とは違い
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    動物を殺し その肉を食べます
  • 6:23 - 6:25
    世界最大の鳥も見つけました
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    マダガスカルにいるものより
    さらに大きく
  • 6:27 - 6:31
    これもまた肉食でした
    巨大で変なアヒルです
  • 6:31 - 6:34
    ワニも 当時は今と違います
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    ワニと言えば
    恐ろしいことをする動物で
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    水の中に佇んでいると思いますが
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    このワニは 地上で生活し
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    さらに 木に登って
    地上にいる獲物に
  • 6:44 - 6:45
    飛びかかりました
  • 6:45 - 6:50
    オーストラリアにはキノボリワニがいました
    実際にいるんです
  • 6:50 - 6:53
    何を上から襲っていたかと言えば
  • 6:53 - 6:55
    他の不思議な動物だけでなく
    フクロオオカミもなのです
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    この古代熱帯雨林には
    5種類のフクロオオカミがいて
  • 6:59 - 7:03
    大きさは 非常に大きなものから中型
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    そして チワワくらいの
    小さなものまで いました
  • 7:07 - 7:09
    パリス・ヒルトンでも
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    小さなハンドバックで
    一匹 運べるくらいです
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    あのワニに 上から襲われるまではね
  • 7:13 - 7:15
    とにかく そこは魅力的な場所でした
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    ただ 残念なことに
    オーストラリアは変化の時を迎えます
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    気候変動が
    長期間 世界に影響を与え
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    徐々に 熱帯雨林も消えて行きました
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    土地も干上がり始め
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    フクロオオカミの種類も減り
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    500万年前には
    1種類だけになりました
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    1万年前には
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    ニューギニアから姿を消し
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    不幸にも
    4千年前には 誰かが
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    誰かは分からないけれども
    ディンゴという
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    とても古代的な犬を
    オーストラリアに持ち込みました
  • 7:47 - 7:49
    ご覧の通り
    ディンゴは その体つきが
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    フクロオオカミとよく似ていますから
  • 7:51 - 7:54
    おそらく 競争関係にありました
  • 7:54 - 7:56
    同じような物を食べていました
  • 7:56 - 7:58
    アボリジニーが
    ディンゴをペットとして
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    飼っていた可能性もありますから
  • 8:01 - 8:04
    生存競争の上では
    ディンゴが有利だったかもしれません
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    分かっているのは
    ディンゴが持ち込まれた直後に
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    フクロオオカミが
    オーストラリア本土から姿を消し
  • 8:09 - 8:14
    その後は タスマニアで唯一
    生き延びていたことです
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    そして 不幸にも
    次の悲運が待ち構えていました
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    1788年にヨーロッパ人が上陸し
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    羊を始めとする 彼らにとって
    価値があるものを持ち込みました
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    タスマニアのフクロオオカミを一目見て
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    彼らは思いました
    「待て これは困った
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    こいつは 私たちの羊を皆食べてしまう」
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    実際はそんなことは
    起こりませんでした
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    羊を食べたのは野生犬で
    フクロオオカミは冤罪です
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    でもすぐ 政府は見切りをつけ
    お達しを出します
  • 8:41 - 8:44
    「フクロオオカミを退治すべし」と
    政府は 奨励金を出して
  • 8:44 - 8:46
    フクロオオカミを根こそぎ殺させました
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    1930年代初頭には
    3千から4千頭のフクロオオカミが
  • 8:51 - 8:54
    殺されました
    大惨事です
  • 8:54 - 8:57
    まさにピンチです
  • 8:57 - 9:00
    この映像をご覧ください
  • 9:00 - 9:03
    本当に悲しくなります
    こんな素晴らしい動物がいて
  • 9:03 - 9:08
    こうして映像に残す技術もあったのに
  • 9:08 - 9:12
    フクロオオカミが絶滅へと
    追いやられる前に
  • 9:12 - 9:15
    残念ながら
    私たちは この種の繁栄につき
  • 9:15 - 9:19
    一時たりとも
    思いを寄せることはなかったのです
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    これは 最後まで生き残った
    フクロオオカミのベンジャミンで
  • 9:23 - 9:26
    ホバートのビューマリス動物園で
    飼育されていました
  • 9:26 - 9:29
    この種をほぼ一掃された上
    さらに追い打ちをかけるように
  • 9:29 - 9:33
    飼育が不十分だったため
    ベンジャミンは死にました
  • 9:33 - 9:35
    飼育員が小屋に入れ忘れ
  • 9:35 - 9:40
    ホバートの凍てつく夜に
    寒さにさらされ死んだのです
  • 9:40 - 9:42
    翌朝に 飼育員が気づきましたが
  • 9:42 - 9:45
    それでも まだ
    ぞんざいに扱われ
  • 9:45 - 9:48
    死骸は ゴミ捨て場に投げ捨てられました
  • 9:48 - 9:51
    このままでいいんでしょうか?
  • 9:51 - 9:54
    1990年 私はオーストラリア博物館にいました
  • 9:54 - 9:58
    フクロオオカミに魅了され
    以来ずっと こうした動物に心奪われています
  • 9:58 - 10:00
    私は 頭蓋骨を調べて
  • 10:00 - 10:02
    他の動物との関係を見出そうとしました
  • 10:02 - 10:06
    この瓶を見ると その中に入っていたのは
  • 10:06 - 10:10
    フクロオオカミの小さなメスの赤ちゃんで
    生後6ヶ月くらいでした
  • 10:10 - 10:13
    これを見つけて
    母親オオカミを殺した人間は
  • 10:13 - 10:16
    子どもを アルコール漬けにして
    保存していたのです
  • 10:16 - 10:20
    私は古生物学者ですが
    アルコールでDNA保存ができると知っていました
  • 10:20 - 10:24
    でも 当時は1990年
    私は遺伝学者の友人に聞きました
  • 10:24 - 10:27
    「このオオカミの子どもを調べて
  • 10:27 - 10:30
    DNAがあれば DNAを取り出して
  • 10:30 - 10:32
    将来 このDNAを使って
  • 10:32 - 10:34
    フクロオオカミを甦らせられないだろうか?」
  • 10:34 - 10:39
    遺伝学者は一笑に付しました
    でも これはドリーが生まれる6年前
  • 10:39 - 10:41
    クローニングはSFだけで
    現実ではなかったころです
  • 10:41 - 10:44
    それから突然 クローンが成功しました
  • 10:44 - 10:46
    オーストラリア博物館の館長になった時クローニングはSFだけで
    現実ではなかったころです
  • 10:46 - 10:49
    私は思いました
    やってみるぞ
  • 10:49 - 10:50
    私はチームを立上げて
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    その子どもを調べて
    何か残っていないか見ました
  • 10:53 - 10:56
    フクロオオカミのDNAはありました
    発見の瞬間です
  • 10:56 - 10:57
    本当に興奮しました
  • 10:57 - 11:01
    ただ 残念だったのは
    たくさんの人間のDNAも含まれていたこと
  • 11:01 - 11:04
    あの博物館で働いていた学芸員は皆
  • 11:04 - 11:06
    この素晴らしい標本を見つけては
  • 11:06 - 11:08
    中に手を突っ込んで
    取り出して
  • 11:08 - 11:11
    「わー すごい」と言って
    中に戻していたのです
  • 11:11 - 11:13
    標本は汚染されてしまいました
  • 11:13 - 11:16
    心配でした
    DNAを取り出して それを使って
  • 11:16 - 11:20
    フクロオオカミを甦らせることが目的だったので
  • 11:20 - 11:23
    避けたかったのは
    その情報を
  • 11:23 - 11:25
    機械にかけて動かして
  • 11:25 - 11:27
    作業が完了したときに
    機械から しわくちゃの―
  • 11:27 - 11:30
    おぞましい学芸員の姿が
    出てくることでした(笑)
  • 11:30 - 11:32
    学芸員はハッピーかもしれないけど
  • 11:32 - 11:34
    私たちは喜べない
  • 11:34 - 11:37
    だから 私たちは標本に立ち返り
    さらに詳しく調査しました
  • 11:37 - 11:40
    特に頭蓋骨の歯をよく調べました
  • 11:40 - 11:43
    硬い部分で 人間が指を入れられないところで
  • 11:43 - 11:46
    そこに もっと良質のDNAがありました
  • 11:46 - 11:49
    ミトコンドリア遺伝子が
    そこにあったんです
  • 11:49 - 11:50
    やりました
  • 11:50 - 11:52
    それで これで何ができるでしょう?
  • 11:52 - 11:54
    ジョージ・チャーチは
    著書『復活』で
  • 11:54 - 11:57
    断片的なDNAを分析する
    多くの技術が急速に進歩していると
  • 11:57 - 11:59
    言っています
  • 11:59 - 12:02
    私たちは DNAを生き返らせて
  • 12:02 - 12:06
    ラザロ・プロジェクトでやったように
  • 12:06 - 12:10
    他の種の卵に埋め込めるように
    なることを希望しています
  • 12:10 - 12:11
    卵は違う種であるべきです
  • 12:11 - 12:14
    では何がいいか?
    タスマニアン・デビルはどうか?
  • 12:14 - 12:16
    フクロオオカミの遠い親戚です
  • 12:16 - 12:19
    タスマニアン・デビルが
  • 12:19 - 12:21
    フクロオオカミを産む
  • 12:21 - 12:24
    このプロジェクトを批判する人は言います
  • 12:24 - 12:28
    フクロオオカミとタスマニアン・デビル?
    なんと痛ましいと
  • 12:28 - 12:31
    いや そこんなことはありません
    いずれも有袋類で
  • 12:31 - 12:34
    赤ちゃんは ゼリー・ビーンくらいの大きさです
  • 12:34 - 12:37
    タスマニアン・デビルは
    出産したことさえ気づかず
  • 12:37 - 12:40
    やがて 世界で一番醜い
    タスマニアン・デビルの―
  • 12:40 - 12:42
    子どもを授かったと思うでしょう
  • 12:42 - 12:46
    育てさせるのに
    多少の支援は必要かもしれません
  • 12:46 - 12:49
    アンドリュー・パスクとその同僚は
  • 12:49 - 12:51
    これは時間の無駄ではないと示しました
  • 12:51 - 12:53
    これは先の話で
    まだ そこまでは至っていません
  • 12:53 - 12:54
    でも 私たちが考えたいことです
  • 12:54 - 12:58
    パスクたちは
    同じフクロオオカミのDNAを使い
  • 12:58 - 13:02
    ネズミの遺伝子に接合させました
  • 13:02 - 13:04
    そのとき 目印となるマーカーを挿入し
  • 13:04 - 13:07
    ネズミの子どもが生まれたとき
  • 13:07 - 13:10
    オオカミのDNAが作り出した組織は
    青緑色になるようにしました
  • 13:10 - 13:13
    言い換えれば フクロオオカミの組織は
  • 13:13 - 13:16
    フクロオオカミのDNAから組成されるので
    認識できると言うわけです
  • 13:16 - 13:20
    子どもが生まれたとき
    青緑色の組織でいっぱいでした
  • 13:20 - 13:23
    つまり 遺伝子を一通りそろえて
  • 13:23 - 13:27
    生きた細胞に移植すれば
    フクロオオカミを生み出せるのです
  • 13:27 - 13:29
    これは危険ですか?
  • 13:29 - 13:31
    ある動物をちょっとずつ使って
  • 13:31 - 13:34
    混ぜて 違う動物の細胞に入れる
  • 13:34 - 13:36
    フランケンシュタインでも作ると?
  • 13:36 - 13:38
    それとも ハイブリッド・キメラ?
  • 13:38 - 13:40
    答えは ノーです
  • 13:40 - 13:43
    ハイブリッド細胞に入れられる
    唯一のDNA核が
  • 13:43 - 13:46
    フクロオオカミのものであれば
    デビルからは
  • 13:46 - 13:48
    フクロオオカミしか生まれません
  • 13:48 - 13:52
    そう もしこれができたら
    戻せるのでしょうか?
  • 13:52 - 13:54
    これは 誰にとっても重要な問いです
  • 13:54 - 13:55
    研究室にずっといないといけないのか
  • 13:55 - 13:57
    それとも 野生に返せるのか?
  • 13:57 - 14:00
    フクロオオカミを
    もともと生息していたタスマニアの
  • 14:00 - 14:02
    百獣の王の支配下に戻し
    生態系を取り戻せるのか?
  • 14:02 - 14:05
    タスマニアはすでに変わりすぎて
  • 14:05 - 14:07
    もはや無理なのか?
  • 14:07 - 14:10
    私はタスマニアにも
    フクロオオカミが良く生息していた―
  • 14:10 - 14:11
    多くの場所にも行きました
  • 14:11 - 14:15
    地元の人々とも話しました
    ピーター・カーターもその一人
  • 14:15 - 14:17
    私と話した時は もう90歳でした
  • 14:17 - 14:21
    1926年 彼は
    父親 兄と フクロオオカミを
  • 14:21 - 14:24
    捕えたと言うのです
    罠にかけたのです
  • 14:24 - 14:25
    彼と話していたとき
  • 14:25 - 14:28
    彼の目を覗き込みながら
  • 14:28 - 14:30
    この目の奥にある脳には
  • 14:30 - 14:34
    たくさんの記憶があるんだなと
    思っていました
  • 14:34 - 14:37
    触った感じ 臭いや鳴き声など
  • 14:37 - 14:38
    彼は ロープで自由に操りました
  • 14:38 - 14:40
    彼が経験したことは
  • 14:40 - 14:44
    私が左足を差し出してでも
    ほしいものです
  • 14:44 - 14:46
    皆 そんなことができたらいいのに
    と思っています
  • 14:46 - 14:49
    私はピーターにお願いをしました
    もしできれば―
  • 14:49 - 14:51
    フクロオオカミを捕まえた場所に
    連れて行ってほしいと
  • 14:51 - 14:53
    私は 環境が変わったか
    知りたかったのです
  • 14:53 - 14:56
    彼は一生懸命思い出してくれました
    その小屋にいたのは
  • 14:56 - 14:58
    もう80年も前でした
  • 14:58 - 15:00
    ともかく 彼は道なき道を行き
  • 15:00 - 15:03
    ちょうど彼の記憶通りに
    小屋がありました
  • 15:03 - 15:06
    彼の目には涙があふれてきました
  • 15:06 - 15:07
    彼は小屋を見つめていました
  • 15:07 - 15:09
    小屋に入ると
    両側に木の板がありました
  • 15:09 - 15:12
    そこで 彼は 父と兄と寝ていたのです
  • 15:12 - 15:15
    彼は話してくれました
    記憶が次から次に蘇ってきました
  • 15:15 - 15:18
    「フクロオオカミは
    この小屋の周りをうろうろして
  • 15:18 - 15:20
    中に何がいるのか探っていた」
    というのです
  • 15:20 - 15:23
    そして「イップ!イップ!イップ!」と鳴いたそうです
  • 15:23 - 15:26
    これらは全て
    彼の人生や記憶の一部となっていることです
  • 15:26 - 15:29
    そして ピーターに聞きたかった
    質問をしました
  • 15:29 - 15:31
    「環境変化は?」
    彼はノーと答えました
  • 15:31 - 15:33
    彼の小屋を取り囲む
    南部のブナ林は
  • 15:33 - 15:36
    彼がそこにいた1926年当時のままでした
  • 15:36 - 15:38
    草原が広がっていて
  • 15:38 - 15:40
    典型的な フクロオオカミの生息地でした
  • 15:40 - 15:42
    そこに生息していた動物も
  • 15:42 - 15:43
    フクロオオカミがいた頃と同じでした
  • 15:43 - 15:47
    だから 戻せるか?
    イエスです
  • 15:47 - 15:50
    私たちがするのは そこまでか?
    これは興味深い質問です
  • 15:50 - 15:53
    時には 元に戻せるでしょう
  • 15:53 - 15:54
    でも それが再び絶滅させない―
  • 15:54 - 15:57
    最も安全な方法なんでしょうか?
    私はそうは思いません
  • 15:57 - 16:00
    世界中の種を見ていくうち
    私は次第に思い始めました
  • 16:00 - 16:03
    野生動物は 野生では
    より安全でなくなっているというのは
  • 16:03 - 16:05
    もはや決まり文句なのか
  • 16:05 - 16:07
    そう思いたいですが
    事実は違います
  • 16:07 - 16:09
    私たちは 他の戦略も
    平行して進める必要があります
  • 16:09 - 16:11
    これも面白いものです
  • 16:11 - 16:13
    動物園や保護区に入れられた
    フクロオオカミは
  • 16:13 - 16:15
    博物館にいるものさえもそうですが
  • 16:15 - 16:17
    首に 首輪の跡が残っています
  • 16:17 - 16:19
    ペットとして飼われていたのです
  • 16:19 - 16:22
    お蔭で そうした飼い主たちの
  • 16:22 - 16:24
    記憶から色々分かりました
  • 16:24 - 16:26
    素晴らしく フレンドリーだったそうです
  • 16:26 - 16:29
    このフクロオオカミは
    森から出てきて
  • 16:29 - 16:32
    この男の子を舐めて
    暖炉の前で
  • 16:32 - 16:34
    丸くなって眠りにつきました
    野生動物ですよ
  • 16:34 - 16:37
    私は問いたい
    私たち皆が―
  • 16:37 - 16:39
    考えるべき問題として
  • 16:39 - 16:43
    もしフクロオオカミをペットとして飼うのが
    違法ではなかったら
  • 16:43 - 16:46
    フクロオオカミは絶滅していただろうか?
  • 16:46 - 16:48
    絶対に そんなことはないんです
  • 16:48 - 16:51
    今 これを考えないといけない
  • 16:51 - 16:54
    動物を我々のそばに置き
  • 16:54 - 16:57
    大切にしたら
    絶滅も防げるのではないか?
  • 16:57 - 16:59
    これは私たちにとって重要な問題です
  • 16:59 - 17:02
    私たちがそうしなければ
  • 17:02 - 17:05
    もっと多くの動物が絶滅の道を歩むのを
    見ることになるのだから
  • 17:05 - 17:07
    私について言えば
  • 17:07 - 17:10
    これが こうした再生プロジェクトをする理由です
  • 17:10 - 17:14
    私たちが壊してしまった
    自然のバランスを
  • 17:14 - 17:16
    取り戻すのです
  • 17:16 - 17:17
    ありがとうございました
  • 17:17 - 17:20
    (拍手)
Title:
マイケル・アーチャー 「絶滅種 カモノハシガエル、タスマニアン・タイガーの再生計画」
Speaker:
Michael Archer
Description:

カモノハシガエルは、他のカエルと同じように卵を産みますが、その後、卵をまるごと飲み込んで育てます。正確には、絶滅する30年前まではそうだったということです。古生物学者のマイケル・アーチャーは、絶滅したカモノハシガエルと、タスマニアン・タイガーとして知られるフクロオオカミの再生について語ります。(TEDxDeExtinctionで撮影)

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDTalks
Duration:
17:36

Japanese subtitles

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