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バーチャルリアリティが現実を変える | 鳴海拓志 | TEDxKobe

  • 0:24 - 0:28
    こんにちは
    東京大学の鳴海拓志と申します
  • 0:28 - 0:31
    私はバーチャルリアリティの
    研究をしています
  • 0:31 - 0:35
    バーチャルリアリティというとですね
    こういうイメージかなと思います
  • 0:35 - 0:39
    「ヘッドマウントディスプレイ」と呼ばれる
    頭につけるようなディスプレイを装着して
  • 0:39 - 0:44
    全然この現実とは違う世界に行って
    何か楽しんで帰ってくると
  • 0:45 - 0:48
    エンターテインメントとか
    そういうイメージがありますよね
  • 0:49 - 0:50
    で 実際にですね
  • 0:50 - 0:55
    こういう家庭用のゲーム機で使える
    ヘッドマウントディスプレイが売り出されたり
  • 0:55 - 0:58
    1,000円で買えるダンボールの
    ヘッドマウントディスプレイが
  • 0:58 - 1:00
    売り出されたりとか
  • 1:00 - 1:03
    かなり そろそろ普及してきているのかな
    と思っています
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    2016年ぐらいには
  • 1:05 - 1:08
    バーチャルリアリティ元年みたいなことが
  • 1:08 - 1:10
    結構ニュースなんかでも
    話題になったと思います
  • 1:10 - 1:13
    この中でバーチャルリアリティ
    聞いたことある方
  • 1:13 - 1:15
    どれくらいいらっしゃいますか?
  • 1:15 - 1:19
    まあ ほとんどもう みなさん
    馴染みのものになってきていると思います
  • 1:19 - 1:21
    「こんなに馴染んでいたら
  • 1:21 - 1:24
    もう研究者って何にも
    やることないんじゃないの?」って
  • 1:24 - 1:26
    たまに意地悪なことを言われます
  • 1:26 - 1:29
    で じゃあ 僕らが何をやっているか
    っていうところから
  • 1:29 - 1:30
    ちょっと話していきたいんですが
  • 1:31 - 1:35
    僕らはVRを通じて自分の内面を知って
  • 1:35 - 1:38
    さらにそれを変えていくというような
    研究をしています
  • 1:39 - 1:42
    で その前にですね
    その基盤的な技術として
  • 1:42 - 1:46
    「どうやって今のバーチャルリアリティの
    限界を突破することができるか」
  • 1:46 - 1:47
    ということを考えています
  • 1:48 - 1:51
    たとえば ゲームをプレイする時
    こういうふうに座ってプレイして
  • 1:52 - 1:53
    自分の身体で動き回ることができません
  • 1:54 - 1:57
    で この限界を突破したい時に
    どういうことができるかということを
  • 1:57 - 1:59
    一つ紹介したいと思います
  • 2:01 - 2:02
    なぜ歩けないかというとですね
  • 2:02 - 2:06
    たとえば 歩いた時に
    人の身体を追いかける装置があれば
  • 2:06 - 2:09
    バーチャルリアリティの中で
    動けるんですけれど
  • 2:09 - 2:11
    実際にそれをやろうとすると
  • 2:12 - 2:16
    体験したい空間と同じ大きさの部屋が
    必要になってきます
  • 2:16 - 2:18
    もしみなさんのご家庭で
  • 2:18 - 2:22
    すごく広い街 たとえば神戸の街を
    VRで再現しました というのを
  • 2:22 - 2:24
    歩いて体験できるようにしようとしても
  • 2:25 - 2:28
    おそらく皆さんの家庭だと
    壁にぶつかってしまいます
  • 2:28 - 2:30
    もしかしたら 皆さん
    大富豪かもしれないので
  • 2:30 - 2:32
    とても広いお家を
    お持ちかもしれないですが
  • 2:33 - 2:34
    一般家庭ではやっぱり
  • 2:34 - 2:36
    3メートル×3メートルぐらいしか
    動けなくて
  • 2:36 - 2:39
    それ以上行こうとすると
    壁に当たってしまう
  • 2:39 - 2:41
    そこで考えたのがこういうシステムです
  • 2:42 - 2:45
    図にあるように壁が曲がっています
  • 2:45 - 2:50
    でも ヘッドマウントディスプレイを
    掛けた人には真っ直ぐな壁が見えている
  • 2:50 - 2:55
    で この壁を触ろうとすると
    実際に曲がった壁があるので
  • 2:55 - 2:57
    触れることができるわけです
  • 2:57 - 3:01
    そうすると「あれ?ここに
    真っ直ぐな壁があるぞ?」と思う
  • 3:01 - 3:03
    こういう状況です
  • 3:03 - 3:06
    で 真っ直ぐな壁に触れながら
  • 3:06 - 3:08
    真っ直ぐに見える壁に触れながら
  • 3:09 - 3:12
    実際には曲がった壁の周りを
    ぐるぐる回っているんですが
  • 3:12 - 3:17
    この人は 真っ直ぐな壁を見て
    触ったらそこに(壁が)あるから
  • 3:17 - 3:19
    「絶対真っ直ぐな壁だ」と信じていて
  • 3:19 - 3:21
    歩くと真っ直ぐ歩いているように
    感じてしまう
  • 3:21 - 3:23
    ということが分かります
  • 3:24 - 3:28
    で 実はこれ 直径6メートルのところを
    ぐるぐるしているだけなんですが
  • 3:28 - 3:30
    この人は無限に真っ直ぐ
    歩いているような感覚を
  • 3:30 - 3:31
    得ることができるわけです
  • 3:32 - 3:34
    我々が現実を感じる時に
  • 3:34 - 3:37
    空間っていうのがどういうふうに
    構成されているかっていうと
  • 3:37 - 3:40
    実際に体を使って歩いた感覚よりも
  • 3:40 - 3:43
    目で見て信じているとか
    触って信じていることがすごく強いので
  • 3:43 - 3:46
    こういうことが起こるのだ
    ということが分かってきました
  • 3:48 - 3:50
    もう一つ 例を挙げてみましょう
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    これは味を変える装置です
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    と言っても 食べ物は変わらないんですね
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    どういう装置かというと
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    このゴーグルを通して見ると
    普通のクッキーがですね
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    いきなりチョコレートのクッキーに変わる
  • 4:01 - 4:03
    見た目が変わるだけじゃなくて
  • 4:03 - 4:05
    ちょっとこれ ごつい装置になっていますが
  • 4:05 - 4:07
    香りを出す装置が付いています
  • 4:07 - 4:11
    チョコレートの見た目で
    チョコレートの香りを感じながら食べると
  • 4:11 - 4:14
    この人は味がチョコレートに
    感じてしまう訳です
  • 4:14 - 4:19
    大体8割とか8割5分ぐらいの人が
    そういうふうに感じてしまいます
  • 4:19 - 4:23
    もちろん 匂いと見た目の組合せは
    好きに変えられるので
  • 4:23 - 4:27
    全く同じものを食べているのに
    急にアーモンドクッキーになったり
  • 4:27 - 4:29
    ストロベリークッキーになったり
    そういうことができます
  • 4:29 - 4:32
    そうすると たとえば
    病院食がおいしくなったり
  • 4:33 - 4:37
    塩分を抑えて塩気が強いとか
    そういうこともできるようになりますよね
  • 4:38 - 4:41
    で こういうふうに
    実は 味っていうのは
  • 4:42 - 4:45
    舌で感じているものだけではなくて
    鼻や目で感じている
  • 4:45 - 4:49
    もちろん盛付けみたいなのも
    すごく料理に大事ですけれど
  • 4:49 - 4:50
    そういうところを考えてみると
  • 4:51 - 4:54
    味を簡単に出すことができる
    ということが分かってきます
  • 4:54 - 4:57
    こういうことができるのは
    なぜかというと
  • 4:57 - 4:59
    五感って 教科書レベルでは
  • 4:59 - 5:03
    セパレートして 独立したものだと
    習っていると思うのですが
  • 5:03 - 5:05
    実際には 感覚の垣根を越えて
  • 5:05 - 5:08
    お互いに影響し合っている
    からなんですね
  • 5:09 - 5:12
    最近の脳科学とか
    認知科学の研究のおかげで
  • 5:12 - 5:15
    こういう影響が結構強いんだ
    ということが分かってきました
  • 5:15 - 5:19
    こういう感覚の垣根を越えて
    お互いに影響し合っていることを
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    「クロスモーダル知覚」といいます
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    特によく起こる組合せ同士の
    感覚っていうのは
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    すごく結びつきが深くなっていく
  • 5:28 - 5:33
    なので「見た目がチョコレートで
    香りがチョコレートだよね」ってなったら
  • 5:33 - 5:37
    もう脳がそこで複雑な処理をするよりも
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    「もう味がチョコレートが来るに
    決まってるよね」って想像をして
  • 5:40 - 5:43
    それで補ってしまう
    ということが起こります
  • 5:43 - 5:45
    なので こういう現象を
    使ってあげるとですね
  • 5:45 - 5:49
    出すのが難しい感覚でも
    意外と簡単に出せたりする
  • 5:49 - 5:51
    ということが分かってきます
  • 5:51 - 5:54
    なので 我々の感覚って
    結構あやふやなんですけれど
  • 5:54 - 5:57
    そこを突いてあげると
    VRで色々なことができるというわけです
  • 5:58 - 6:00
    もう1個 例を紹介してみましょう
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    これはですね 「拡張満腹感」と
    呼んでいるんですけれど
  • 6:03 - 6:04
    どういうものかっていうと
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    物を食べようとすると
    食べ物が大きく見えます
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    大きく見える状態で食べると
    お腹いっぱいにすぐなる
  • 6:12 - 6:13
    まあ すごい安直な研究ですよね
  • 6:13 - 6:16
    これがですね 実際にどれぐらい効くか
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    学生さんに「おやつ食べ放題の実験が
    あるんだけど来る?」って言ったら
  • 6:20 - 6:21
    みんな喜んで来てくれるんですね
  • 6:21 - 6:23
    「そんな夢みたいな実験
    あるんですか?」って
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    まあ実際にはですね 3日間できるだけ
    コンディションを整えてもらって
  • 6:28 - 6:30
    同じような状態で食べて貰うんですけれど
  • 6:30 - 6:32
    この時に たとえばこの子は
  • 6:32 - 6:38
    「小さいと13枚 普通の時11枚で
    大きいと もう7枚でお腹一杯になっちゃう」
  • 6:38 - 6:40
    ということが分かりました
  • 6:41 - 6:45
    なので この子は結構効きやすい子
    だったんですけれど
  • 6:45 - 6:47
    いっぱい被験者を取ってみると
  • 6:47 - 6:52
    アベレージでプラスマイナス10%ぐらい
    食べる量を変えることができます
  • 6:52 - 6:56
    で 被験者の人に「どれぐらい
    食べる量を変えましたか?」って聞くと
  • 6:56 - 6:58
    「いや 変えてないですよ?」と
  • 6:58 - 7:02
    「だって 実験では 同じだけ
    満足感が得られるまで
  • 7:02 - 7:06
    同じぐらい満腹になるまで食べて下さいと
    指示されてるじゃないですか?」
  • 7:06 - 7:09
    と言っているわけで 本人は無意識に
    食べる量を変えているわけです
  • 7:09 - 7:13
    なので ある意味ではこれは
    無意識にダイエットする方法なわけですね
  • 7:13 - 7:16
    で なぜこういう事が起こるかというと
  • 7:16 - 7:20
    我々はお腹にバネ秤が
    付いているわけじゃないので
  • 7:20 - 7:22
    何グラム食べましたとか分からないんで
  • 7:22 - 7:25
    その手掛りを見た目から得ているわけです
  • 7:25 - 7:28
    なので 見た目を変えるだけで
    我々はどれくらいお腹いっぱいになるとか
  • 7:28 - 7:33
    どれくらい食べるっていう感覚とか
    行動が変わってしまうというわけですね
  • 7:33 - 7:36
    なので こういう感覚の影響を
    使ってあげると
  • 7:36 - 7:38
    我々は 実際に振る舞いを変えて
  • 7:38 - 7:41
    食生活を改めることが
    できるようになるかもしれない
  • 7:42 - 7:46
    もうちょっと 考えてみると
    そういう感覚の影響っていうのが
  • 7:46 - 7:49
    だんだん自分にも返ってくる
    ということが分かってきます
  • 7:49 - 7:52
    で たとえば
    さっきまでの話っていうのは
  • 7:52 - 7:55
    自分の外にある物の見え方を変えていました
  • 7:55 - 7:58
    じゃあ 次は 自分の見え方を
    変えたらどうなるでしょう
  • 7:58 - 8:03
    そういう研究をちょっとやってみた例が
    この「扇情的な鏡」という研究です
  • 8:03 - 8:07
    どういう研究かというと
    鏡のように見えるんですけれど
  • 8:07 - 8:09
    実際には そこに映し出されているのは
  • 8:09 - 8:13
    自分の今の顔と ちょっと違う顔が
    映っているんです
  • 8:13 - 8:16
    少しだけ口角が上がって笑顔になっていたり
  • 8:16 - 8:19
    少しだけ眉が下がって悲しい顔に見える
  • 8:19 - 8:21
    その時にどうなるかというと
  • 8:21 - 8:24
    鏡に映った顔に引きずられて
    感情が変わっていくんです
  • 8:25 - 8:28
    鏡の中の自分が笑っていると
    それに引きずられて
  • 8:28 - 8:29
    自分もどんどん楽しくなっていく
  • 8:29 - 8:33
    逆にちょっと悲しい顔を見ていると
    ちょっと悲しい気分になったりする
  • 8:34 - 8:35
    で こういうふうにですね
  • 8:35 - 8:39
    実は 自分がどう見えているか
    ということを利用してあげると
  • 8:39 - 8:42
    自分の感情をコントロールすることができる
  • 8:42 - 8:44
    もちろん使い方を誤ると怖いですけれど
  • 8:44 - 8:48
    もしかすると上手く自分の感情と付き合って
    いくことができるようになるかもしれない
  • 8:48 - 8:51
    たとえば 「ちょっと落ち込んだ時に
    明るい気分にしてあげる」
  • 8:51 - 8:54
    というようなことのために
    こういうものが使えると思っています
  • 8:54 - 8:56
    で なぜこの文脈でこれを紹介したかというと
  • 8:57 - 9:01
    実は これをビデオチャットで使う
    ということを考えてみました
  • 9:01 - 9:06
    皆さん もしかしたら
    遠隔地の人とお仕事をされる時に
  • 9:06 - 9:09
    ビデオチャットみたいなものを
    使うことがあるかもしれません
  • 9:09 - 9:12
    で 大体ですね ビデオチャットで話しても
  • 9:12 - 9:15
    「なんかリアルで会った方が良かったな」
    ってなるわけですけれど
  • 9:15 - 9:17
    ここではちょっと変なことをやります
  • 9:17 - 9:21
    お互い2人でアイデアを出す
    ブレインストーミングをやるんですが
  • 9:21 - 9:24
    普通にアイデアを出すと
    東大生を呼びつけて
  • 9:24 - 9:28
    「5分でいっぱいアイデアを出してね」
    って言うと大体8つくらい出るんですね
  • 9:28 - 9:30
    で その後にですね
  • 9:31 - 9:34
    お互いが笑顔に見えるように
    さっきの技術を使ってあげます
  • 9:34 - 9:36
    そうすると それだけで
  • 9:36 - 9:40
    なんとアイデアが出る数が
    12個なので1.5倍になったんです
  • 9:41 - 9:44
    つまり なんかポジティブな状況で
    人と接するだけで
  • 9:44 - 9:46
    我々はクリエイティブになるわけですね
  • 9:46 - 9:49
    「勉強しなくてもいい
    我々のパワーが出せる」
  • 9:49 - 9:51
    ということが分かってきました
  • 9:51 - 9:54
    なので こういうふうに
    コミュニケーションの中で
  • 9:54 - 9:55
    「自分がどう見えるか?」とか
  • 9:55 - 9:59
    「相手からどう受け取られているか?」
    っていう印象を変えてあげるってことを
  • 9:59 - 10:02
    VRの技術みたいなものを
    応用してあげることによって
  • 10:02 - 10:06
    我々はもっと能力が引き出せる環境を
    作れるということを確かめています
  • 10:07 - 10:08
    [分身で同調圧力を低減する]
  • 10:09 - 10:12
    ちょっと こういう研究について
    もう1個事例を紹介してみましょう
  • 10:13 - 10:15
    さっきのは自分の見た目を
    変えるということで
  • 10:15 - 10:17
    ある意味では変身を扱った研究ですが
  • 10:17 - 10:19
    今度は分身を扱った研究です
  • 10:19 - 10:22
    たとえば みんなで話し合いをして
  • 10:22 - 10:25
    何か答えを出さないといけない
    シチュエーションというのがあります
  • 10:25 - 10:29
    たとえば ここに書いてあるのは
    「砂漠遭難課題」と呼ばれているんですけど
  • 10:29 - 10:31
    砂漠で飛行機が落ちました と
  • 10:32 - 10:36
    「あなたたち もう手にいっぱい
    荷物があるので1個しか持っていけません
  • 10:36 - 10:41
    ヘルメットか サングラスか マスク
    どれか1個選んで下さい
  • 10:41 - 10:44
    皆さんで話し合って1個決めて下さい」
    って言った時に
  • 10:44 - 10:47
    2人が最初に「サングラス」って言った後に
  • 10:47 - 10:50
    「ヘルメット」って
    なかなか切り出しにくいですよね
  • 10:50 - 10:52
    もしくは 切り出した時に
  • 10:52 - 10:56
    「みんなサングラスって言ってるんだから
    ちゃんとサングラスって言えよ」みたいな
  • 10:56 - 10:58
    圧力が掛かってしまうわけです
  • 10:58 - 11:00
    こういうのを同調圧力と呼んでいて
  • 11:00 - 11:04
    日本だと結構強いというふうに
    言われていますよね
  • 11:04 - 11:06
    でも 本当は冷静に議論して欲しい
  • 11:06 - 11:09
    ヘルメットもいいところが
    あるかもしれないので
  • 11:09 - 11:11
    ちゃんとそれをみんなが
    納得した上で決めたい
  • 11:11 - 11:15
    なので こういう同調圧力を
    なんとか低減できないかなと思いました
  • 11:16 - 11:17
    そこで さっきの影分身です
  • 11:18 - 11:21
    これは人数が2対1だから
    いけないんですよね
  • 11:21 - 11:24
    この1人の人が2人に
    なっちゃえば良いんです
  • 11:25 - 11:28
    かなり安直な方法ですけれど
    こういうのを作りました
  • 11:28 - 11:31
    「こちらは擬似同調効果生成システムの
    動作のデモ動画です」
  • 11:31 - 11:37
    「このように発言と発言の間の無音に従って
    発言音声を2つに分割します」
  • 11:37 - 11:40
    「それを2体のアバターに
    交互に喋らせることで
  • 11:40 - 11:42
    1人の話者を2人に見せかけます」
  • 11:43 - 11:45
    「こうすることで擬似同調効果の
    生成を図ります」
  • 11:46 - 11:47
    こういうふうにですね
  • 11:47 - 11:50
    1人が喋ってる話の切れ目を
    自動的に検出して
  • 11:52 - 11:56
    画面の中では2体のアバターに
    割り当ててあげるということをやります
  • 11:56 - 12:00
    そうすると この人は意識して努力して
    何かするんじゃなくて
  • 12:00 - 12:03
    無意識に 普通に
    ディスカッションしてるつもりで
  • 12:03 - 12:07
    2人の身体を使いこなして
    ディスカッションしていることになります
  • 12:08 - 12:14
    これをですね 先程の
    弱い意見の人に使ってもらう訳です
  • 12:14 - 12:16
    そうすると どうなるかというと
  • 12:17 - 12:22
    こちら側に見えているのが弱い意見の人に
    見えている画面なんですけれども
  • 12:22 - 12:26
    「自分と違う意見の人が2人いるな」
    と思って一生懸命説明する訳ですね
  • 12:26 - 12:29
    多数派だった人たちには
    どう見えているかというと
  • 12:29 - 12:31
    自分と同じ意見の人が1人いて
  • 12:31 - 12:34
    自分と意見の違う人が
    2人いるように見えます
  • 12:34 - 12:37
    この状態でディスカッションをすると
    どうなるかというと
  • 12:37 - 12:40
    なんと合意が形成された後に
  • 12:41 - 12:45
    みんなが納得しているという度合いが
    高まるということが分かりました
  • 12:45 - 12:50
    で 人数の影響とかって
    すごい些細なことのように見えるんですが
  • 12:50 - 12:53
    こういうふうに 結構冷静な議論を
    妨げたりする訳です
  • 12:53 - 12:57
    で「そういうような影響が
    人の考え方の癖がいっぱいあるよ」
  • 12:57 - 12:58
    っていうことを分かったら
  • 12:58 - 13:01
    それを打ち消す方向に働きかけたり
  • 13:01 - 13:04
    それをもっとポジティブに使う方向に
    働きかけることができるでしょう
  • 13:05 - 13:09
    こういうことをVRの力をもってすれば
    色々なことに使っていけるのではないか
  • 13:09 - 13:10
    ということを考えています
  • 13:11 - 13:15
    なので 人をもっと賢くするために
    人をもっと人に優しくするために
  • 13:15 - 13:17
    こういうことを使いたいと思っています
  • 13:18 - 13:20
    で ここで見てきたように
  • 13:20 - 13:24
    VRってのは 人の感覚とか
    認知の仕組みというのを
  • 13:24 - 13:29
    普段と違う環境を与えることによって
    白日のもとに晒し出してしまう訳です
  • 13:30 - 13:34
    なので 冒頭で
    「皆さん VRって何か違う世界に行って
  • 13:34 - 13:37
    ”あぁ 楽しかった!”と言って
    帰ってくるだけのものだと
  • 13:37 - 13:40
    思ってるんじゃないでしょうか?」
    という話をしたんですが
  • 13:40 - 13:42
    実はそうではない
  • 13:43 - 13:47
    VRの中で体験したことっていうのは
    我々の心を変えていて
  • 13:47 - 13:49
    我々はそれを現実に
    持って帰ってきているので
  • 13:49 - 13:54
    VRで体験したことは
    現実の世界を変えていっている訳ですね
  • 13:55 - 13:57
    なので 我々が食べた物から
    できてるように
  • 13:57 - 14:02
    我々は 情報として
    頭の中で処理したものをもってして
  • 14:02 - 14:04
    我々の心を作り出しているので
  • 14:04 - 14:09
    我々は 実はVRで体験したことを
    かなり現実に持ってきている訳です
  • 14:10 - 14:11
    ということは
  • 14:11 - 14:15
    「VRってのは現実を変えている」
    と言える訳ですね
  • 14:17 - 14:20
    それで 今日最後の質問にしたいと思います
  • 14:20 - 14:24
    皆さん どんなふうに 今 自分や現実を
    変えたいと思っているでしょうか?
  • 14:24 - 14:27
    おそらく まあ皆さん
    色々なことをお考えだと思います
  • 14:28 - 14:32
    身の回りの現実とか
    自分のことを変えたいなと思う瞬間が
  • 14:32 - 14:34
    結構あるんじゃないかと思うんですけれど
  • 14:34 - 14:39
    おそらくVRは それを手助け出来る未来が
    すぐにやってくると思います
  • 14:40 - 14:45
    でも VRで自分を変えてしまうって
    結構怖い技術ですよね
  • 14:46 - 14:49
    「じゃあ 何に使って良くて
    何に使っちゃいけないのか?」
  • 14:49 - 14:52
    っていうことを研究者だけでは
    考えることができません
  • 14:52 - 14:55
    なので「皆さんにVRの技術で
    何が出来るのか?」
  • 14:55 - 14:57
    っていうのを知ってもらって
  • 14:57 - 15:02
    そこから色んな日常に
    関係するところで想像してもらって
  • 15:02 - 15:05
    「あ こういう使い方は私は許せるけど
    こういう使い方は許せないな」
  • 15:05 - 15:07
    というのを想像して頂く
  • 15:07 - 15:09
    それを我々にフィードバックして頂けると
  • 15:09 - 15:13
    「こういう研究はしていいとか
    こういう研究はしてはいけない」っていうのが
  • 15:13 - 15:14
    だんだん分かってきます
  • 15:15 - 15:18
    薬は「用法 用量」ってのがありますよね
  • 15:18 - 15:21
    で あれはやっぱり長い蓄積のもとで
  • 15:21 - 15:25
    ここまで使ったら体にいいけれど
    これ以上使うと体に悪くなる っていうのが
  • 15:25 - 15:26
    分かってきている
  • 15:26 - 15:31
    おそらくVRにも用法とか用量
    っていうものが必要だと思っています
  • 15:31 - 15:35
    そういうものを決めていくためにも
    やっぱり皆さんの意見が大事なので
  • 15:35 - 15:40
    ぜひ皆さんもVRと社会のいい関係を
    どうやったら作れるかっていうところを
  • 15:40 - 15:45
    ちょっと身近な体験から出発して
    一緒に考えて頂けると今日は嬉しいです
  • 15:45 - 15:47
    ありがとうございました
  • 15:47 - 15:50
    (拍手)
Title:
バーチャルリアリティが現実を変える | 鳴海拓志 | TEDxKobe
Description:

あなたが現実と信じているものは、どこから生じているのだろうか。またその現実が、実は簡単に変わり、編集できると知った時、何を感じ、何を考えるのだろうか。

鳴海拓志は、その問いを投げかけ続けている。人間の行動や能力は、知覚から強い影響を受けている。彼の研究は、頭の中で構成される知覚をバーチャルリアリティ(VR)で編集し、「現実」を変える。

私たちが本当に信じるべきものはなんだろうか。

このビデオは、TEDカンファレンスの形式で地元コミュニティが独自に運営するTEDxイベントにおいて収録されたものです。詳しくは http://ted.com/tedx をご覧ください。

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Video Language:
Japanese
Team:
closed TED
Project:
TEDxTalks
Duration:
16:04

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