バーチャルリアリティが現実を変える | 鳴海拓志 | TEDxKobe
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0:24 - 0:28こんにちは
東京大学の鳴海拓志と申します -
0:28 - 0:31私はバーチャルリアリティの
研究をしています -
0:31 - 0:35バーチャルリアリティというとですね
こういうイメージかなと思います -
0:35 - 0:39「ヘッドマウントディスプレイ」と呼ばれる
頭につけるようなディスプレイを装着して -
0:39 - 0:44全然この現実とは違う世界に行って
何か楽しんで帰ってくると -
0:45 - 0:48エンターテインメントとか
そういうイメージがありますよね -
0:49 - 0:50で 実際にですね
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0:50 - 0:55こういう家庭用のゲーム機で使える
ヘッドマウントディスプレイが売り出されたり -
0:55 - 0:581,000円で買えるダンボールの
ヘッドマウントディスプレイが -
0:58 - 1:00売り出されたりとか
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1:00 - 1:03かなり そろそろ普及してきているのかな
と思っています -
1:04 - 1:052016年ぐらいには
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1:05 - 1:08バーチャルリアリティ元年みたいなことが
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1:08 - 1:10結構ニュースなんかでも
話題になったと思います -
1:10 - 1:13この中でバーチャルリアリティ
聞いたことある方 -
1:13 - 1:15どれくらいいらっしゃいますか?
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1:15 - 1:19まあ ほとんどもう みなさん
馴染みのものになってきていると思います -
1:19 - 1:21「こんなに馴染んでいたら
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1:21 - 1:24もう研究者って何にも
やることないんじゃないの?」って -
1:24 - 1:26たまに意地悪なことを言われます
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1:26 - 1:29で じゃあ 僕らが何をやっているか
っていうところから -
1:29 - 1:30ちょっと話していきたいんですが
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1:31 - 1:35僕らはVRを通じて自分の内面を知って
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1:35 - 1:38さらにそれを変えていくというような
研究をしています -
1:39 - 1:42で その前にですね
その基盤的な技術として -
1:42 - 1:46「どうやって今のバーチャルリアリティの
限界を突破することができるか」 -
1:46 - 1:47ということを考えています
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1:48 - 1:51たとえば ゲームをプレイする時
こういうふうに座ってプレイして -
1:52 - 1:53自分の身体で動き回ることができません
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1:54 - 1:57で この限界を突破したい時に
どういうことができるかということを -
1:57 - 1:59一つ紹介したいと思います
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2:01 - 2:02なぜ歩けないかというとですね
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2:02 - 2:06たとえば 歩いた時に
人の身体を追いかける装置があれば -
2:06 - 2:09バーチャルリアリティの中で
動けるんですけれど -
2:09 - 2:11実際にそれをやろうとすると
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2:12 - 2:16体験したい空間と同じ大きさの部屋が
必要になってきます -
2:16 - 2:18もしみなさんのご家庭で
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2:18 - 2:22すごく広い街 たとえば神戸の街を
VRで再現しました というのを -
2:22 - 2:24歩いて体験できるようにしようとしても
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2:25 - 2:28おそらく皆さんの家庭だと
壁にぶつかってしまいます -
2:28 - 2:30もしかしたら 皆さん
大富豪かもしれないので -
2:30 - 2:32とても広いお家を
お持ちかもしれないですが -
2:33 - 2:34一般家庭ではやっぱり
-
2:34 - 2:363メートル×3メートルぐらいしか
動けなくて -
2:36 - 2:39それ以上行こうとすると
壁に当たってしまう -
2:39 - 2:41そこで考えたのがこういうシステムです
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2:42 - 2:45図にあるように壁が曲がっています
-
2:45 - 2:50でも ヘッドマウントディスプレイを
掛けた人には真っ直ぐな壁が見えている -
2:50 - 2:55で この壁を触ろうとすると
実際に曲がった壁があるので -
2:55 - 2:57触れることができるわけです
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2:57 - 3:01そうすると「あれ?ここに
真っ直ぐな壁があるぞ?」と思う -
3:01 - 3:03こういう状況です
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3:03 - 3:06で 真っ直ぐな壁に触れながら
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3:06 - 3:08真っ直ぐに見える壁に触れながら
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3:09 - 3:12実際には曲がった壁の周りを
ぐるぐる回っているんですが -
3:12 - 3:17この人は 真っ直ぐな壁を見て
触ったらそこに(壁が)あるから -
3:17 - 3:19「絶対真っ直ぐな壁だ」と信じていて
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3:19 - 3:21歩くと真っ直ぐ歩いているように
感じてしまう -
3:21 - 3:23ということが分かります
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3:24 - 3:28で 実はこれ 直径6メートルのところを
ぐるぐるしているだけなんですが -
3:28 - 3:30この人は無限に真っ直ぐ
歩いているような感覚を -
3:30 - 3:31得ることができるわけです
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3:32 - 3:34我々が現実を感じる時に
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3:34 - 3:37空間っていうのがどういうふうに
構成されているかっていうと -
3:37 - 3:40実際に体を使って歩いた感覚よりも
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3:40 - 3:43目で見て信じているとか
触って信じていることがすごく強いので -
3:43 - 3:46こういうことが起こるのだ
ということが分かってきました -
3:48 - 3:50もう一つ 例を挙げてみましょう
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3:50 - 3:52これは味を変える装置です
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3:52 - 3:54と言っても 食べ物は変わらないんですね
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3:55 - 3:56どういう装置かというと
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3:56 - 3:59このゴーグルを通して見ると
普通のクッキーがですね -
3:59 - 4:01いきなりチョコレートのクッキーに変わる
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4:01 - 4:03見た目が変わるだけじゃなくて
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4:03 - 4:05ちょっとこれ ごつい装置になっていますが
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4:05 - 4:07香りを出す装置が付いています
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4:07 - 4:11チョコレートの見た目で
チョコレートの香りを感じながら食べると -
4:11 - 4:14この人は味がチョコレートに
感じてしまう訳です -
4:14 - 4:19大体8割とか8割5分ぐらいの人が
そういうふうに感じてしまいます -
4:19 - 4:23もちろん 匂いと見た目の組合せは
好きに変えられるので -
4:23 - 4:27全く同じものを食べているのに
急にアーモンドクッキーになったり -
4:27 - 4:29ストロベリークッキーになったり
そういうことができます -
4:29 - 4:32そうすると たとえば
病院食がおいしくなったり -
4:33 - 4:37塩分を抑えて塩気が強いとか
そういうこともできるようになりますよね -
4:38 - 4:41で こういうふうに
実は 味っていうのは -
4:42 - 4:45舌で感じているものだけではなくて
鼻や目で感じている -
4:45 - 4:49もちろん盛付けみたいなのも
すごく料理に大事ですけれど -
4:49 - 4:50そういうところを考えてみると
-
4:51 - 4:54味を簡単に出すことができる
ということが分かってきます -
4:54 - 4:57こういうことができるのは
なぜかというと -
4:57 - 4:59五感って 教科書レベルでは
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4:59 - 5:03セパレートして 独立したものだと
習っていると思うのですが -
5:03 - 5:05実際には 感覚の垣根を越えて
-
5:05 - 5:08お互いに影響し合っている
からなんですね -
5:09 - 5:12最近の脳科学とか
認知科学の研究のおかげで -
5:12 - 5:15こういう影響が結構強いんだ
ということが分かってきました -
5:15 - 5:19こういう感覚の垣根を越えて
お互いに影響し合っていることを -
5:19 - 5:21「クロスモーダル知覚」といいます
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5:21 - 5:26特によく起こる組合せ同士の
感覚っていうのは -
5:26 - 5:28すごく結びつきが深くなっていく
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5:28 - 5:33なので「見た目がチョコレートで
香りがチョコレートだよね」ってなったら -
5:33 - 5:37もう脳がそこで複雑な処理をするよりも
-
5:37 - 5:40「もう味がチョコレートが来るに
決まってるよね」って想像をして -
5:40 - 5:43それで補ってしまう
ということが起こります -
5:43 - 5:45なので こういう現象を
使ってあげるとですね -
5:45 - 5:49出すのが難しい感覚でも
意外と簡単に出せたりする -
5:49 - 5:51ということが分かってきます
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5:51 - 5:54なので 我々の感覚って
結構あやふやなんですけれど -
5:54 - 5:57そこを突いてあげると
VRで色々なことができるというわけです -
5:58 - 6:00もう1個 例を紹介してみましょう
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6:00 - 6:03これはですね 「拡張満腹感」と
呼んでいるんですけれど -
6:03 - 6:04どういうものかっていうと
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6:04 - 6:07物を食べようとすると
食べ物が大きく見えます -
6:08 - 6:11大きく見える状態で食べると
お腹いっぱいにすぐなる -
6:12 - 6:13まあ すごい安直な研究ですよね
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6:13 - 6:16これがですね 実際にどれぐらい効くか
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6:17 - 6:20学生さんに「おやつ食べ放題の実験が
あるんだけど来る?」って言ったら -
6:20 - 6:21みんな喜んで来てくれるんですね
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6:21 - 6:23「そんな夢みたいな実験
あるんですか?」って -
6:23 - 6:28まあ実際にはですね 3日間できるだけ
コンディションを整えてもらって -
6:28 - 6:30同じような状態で食べて貰うんですけれど
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6:30 - 6:32この時に たとえばこの子は
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6:32 - 6:38「小さいと13枚 普通の時11枚で
大きいと もう7枚でお腹一杯になっちゃう」 -
6:38 - 6:40ということが分かりました
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6:41 - 6:45なので この子は結構効きやすい子
だったんですけれど -
6:45 - 6:47いっぱい被験者を取ってみると
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6:47 - 6:52アベレージでプラスマイナス10%ぐらい
食べる量を変えることができます -
6:52 - 6:56で 被験者の人に「どれぐらい
食べる量を変えましたか?」って聞くと -
6:56 - 6:58「いや 変えてないですよ?」と
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6:58 - 7:02「だって 実験では 同じだけ
満足感が得られるまで -
7:02 - 7:06同じぐらい満腹になるまで食べて下さいと
指示されてるじゃないですか?」 -
7:06 - 7:09と言っているわけで 本人は無意識に
食べる量を変えているわけです -
7:09 - 7:13なので ある意味ではこれは
無意識にダイエットする方法なわけですね -
7:13 - 7:16で なぜこういう事が起こるかというと
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7:16 - 7:20我々はお腹にバネ秤が
付いているわけじゃないので -
7:20 - 7:22何グラム食べましたとか分からないんで
-
7:22 - 7:25その手掛りを見た目から得ているわけです
-
7:25 - 7:28なので 見た目を変えるだけで
我々はどれくらいお腹いっぱいになるとか -
7:28 - 7:33どれくらい食べるっていう感覚とか
行動が変わってしまうというわけですね -
7:33 - 7:36なので こういう感覚の影響を
使ってあげると -
7:36 - 7:38我々は 実際に振る舞いを変えて
-
7:38 - 7:41食生活を改めることが
できるようになるかもしれない -
7:42 - 7:46もうちょっと 考えてみると
そういう感覚の影響っていうのが -
7:46 - 7:49だんだん自分にも返ってくる
ということが分かってきます -
7:49 - 7:52で たとえば
さっきまでの話っていうのは -
7:52 - 7:55自分の外にある物の見え方を変えていました
-
7:55 - 7:58じゃあ 次は 自分の見え方を
変えたらどうなるでしょう -
7:58 - 8:03そういう研究をちょっとやってみた例が
この「扇情的な鏡」という研究です -
8:03 - 8:07どういう研究かというと
鏡のように見えるんですけれど -
8:07 - 8:09実際には そこに映し出されているのは
-
8:09 - 8:13自分の今の顔と ちょっと違う顔が
映っているんです -
8:13 - 8:16少しだけ口角が上がって笑顔になっていたり
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8:16 - 8:19少しだけ眉が下がって悲しい顔に見える
-
8:19 - 8:21その時にどうなるかというと
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8:21 - 8:24鏡に映った顔に引きずられて
感情が変わっていくんです -
8:25 - 8:28鏡の中の自分が笑っていると
それに引きずられて -
8:28 - 8:29自分もどんどん楽しくなっていく
-
8:29 - 8:33逆にちょっと悲しい顔を見ていると
ちょっと悲しい気分になったりする -
8:34 - 8:35で こういうふうにですね
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8:35 - 8:39実は 自分がどう見えているか
ということを利用してあげると -
8:39 - 8:42自分の感情をコントロールすることができる
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8:42 - 8:44もちろん使い方を誤ると怖いですけれど
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8:44 - 8:48もしかすると上手く自分の感情と付き合って
いくことができるようになるかもしれない -
8:48 - 8:51たとえば 「ちょっと落ち込んだ時に
明るい気分にしてあげる」 -
8:51 - 8:54というようなことのために
こういうものが使えると思っています -
8:54 - 8:56で なぜこの文脈でこれを紹介したかというと
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8:57 - 9:01実は これをビデオチャットで使う
ということを考えてみました -
9:01 - 9:06皆さん もしかしたら
遠隔地の人とお仕事をされる時に -
9:06 - 9:09ビデオチャットみたいなものを
使うことがあるかもしれません -
9:09 - 9:12で 大体ですね ビデオチャットで話しても
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9:12 - 9:15「なんかリアルで会った方が良かったな」
ってなるわけですけれど -
9:15 - 9:17ここではちょっと変なことをやります
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9:17 - 9:21お互い2人でアイデアを出す
ブレインストーミングをやるんですが -
9:21 - 9:24普通にアイデアを出すと
東大生を呼びつけて -
9:24 - 9:28「5分でいっぱいアイデアを出してね」
って言うと大体8つくらい出るんですね -
9:28 - 9:30で その後にですね
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9:31 - 9:34お互いが笑顔に見えるように
さっきの技術を使ってあげます -
9:34 - 9:36そうすると それだけで
-
9:36 - 9:40なんとアイデアが出る数が
12個なので1.5倍になったんです -
9:41 - 9:44つまり なんかポジティブな状況で
人と接するだけで -
9:44 - 9:46我々はクリエイティブになるわけですね
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9:46 - 9:49「勉強しなくてもいい
我々のパワーが出せる」 -
9:49 - 9:51ということが分かってきました
-
9:51 - 9:54なので こういうふうに
コミュニケーションの中で -
9:54 - 9:55「自分がどう見えるか?」とか
-
9:55 - 9:59「相手からどう受け取られているか?」
っていう印象を変えてあげるってことを -
9:59 - 10:02VRの技術みたいなものを
応用してあげることによって -
10:02 - 10:06我々はもっと能力が引き出せる環境を
作れるということを確かめています -
10:07 - 10:08[分身で同調圧力を低減する]
-
10:09 - 10:12ちょっと こういう研究について
もう1個事例を紹介してみましょう -
10:13 - 10:15さっきのは自分の見た目を
変えるということで -
10:15 - 10:17ある意味では変身を扱った研究ですが
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10:17 - 10:19今度は分身を扱った研究です
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10:19 - 10:22たとえば みんなで話し合いをして
-
10:22 - 10:25何か答えを出さないといけない
シチュエーションというのがあります -
10:25 - 10:29たとえば ここに書いてあるのは
「砂漠遭難課題」と呼ばれているんですけど -
10:29 - 10:31砂漠で飛行機が落ちました と
-
10:32 - 10:36「あなたたち もう手にいっぱい
荷物があるので1個しか持っていけません -
10:36 - 10:41ヘルメットか サングラスか マスク
どれか1個選んで下さい -
10:41 - 10:44皆さんで話し合って1個決めて下さい」
って言った時に -
10:44 - 10:472人が最初に「サングラス」って言った後に
-
10:47 - 10:50「ヘルメット」って
なかなか切り出しにくいですよね -
10:50 - 10:52もしくは 切り出した時に
-
10:52 - 10:56「みんなサングラスって言ってるんだから
ちゃんとサングラスって言えよ」みたいな -
10:56 - 10:58圧力が掛かってしまうわけです
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10:58 - 11:00こういうのを同調圧力と呼んでいて
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11:00 - 11:04日本だと結構強いというふうに
言われていますよね -
11:04 - 11:06でも 本当は冷静に議論して欲しい
-
11:06 - 11:09ヘルメットもいいところが
あるかもしれないので -
11:09 - 11:11ちゃんとそれをみんなが
納得した上で決めたい -
11:11 - 11:15なので こういう同調圧力を
なんとか低減できないかなと思いました -
11:16 - 11:17そこで さっきの影分身です
-
11:18 - 11:21これは人数が2対1だから
いけないんですよね -
11:21 - 11:24この1人の人が2人に
なっちゃえば良いんです -
11:25 - 11:28かなり安直な方法ですけれど
こういうのを作りました -
11:28 - 11:31「こちらは擬似同調効果生成システムの
動作のデモ動画です」 -
11:31 - 11:37「このように発言と発言の間の無音に従って
発言音声を2つに分割します」 -
11:37 - 11:40「それを2体のアバターに
交互に喋らせることで -
11:40 - 11:421人の話者を2人に見せかけます」
-
11:43 - 11:45「こうすることで擬似同調効果の
生成を図ります」 -
11:46 - 11:47こういうふうにですね
-
11:47 - 11:501人が喋ってる話の切れ目を
自動的に検出して -
11:52 - 11:56画面の中では2体のアバターに
割り当ててあげるということをやります -
11:56 - 12:00そうすると この人は意識して努力して
何かするんじゃなくて -
12:00 - 12:03無意識に 普通に
ディスカッションしてるつもりで -
12:03 - 12:072人の身体を使いこなして
ディスカッションしていることになります -
12:08 - 12:14これをですね 先程の
弱い意見の人に使ってもらう訳です -
12:14 - 12:16そうすると どうなるかというと
-
12:17 - 12:22こちら側に見えているのが弱い意見の人に
見えている画面なんですけれども -
12:22 - 12:26「自分と違う意見の人が2人いるな」
と思って一生懸命説明する訳ですね -
12:26 - 12:29多数派だった人たちには
どう見えているかというと -
12:29 - 12:31自分と同じ意見の人が1人いて
-
12:31 - 12:34自分と意見の違う人が
2人いるように見えます -
12:34 - 12:37この状態でディスカッションをすると
どうなるかというと -
12:37 - 12:40なんと合意が形成された後に
-
12:41 - 12:45みんなが納得しているという度合いが
高まるということが分かりました -
12:45 - 12:50で 人数の影響とかって
すごい些細なことのように見えるんですが -
12:50 - 12:53こういうふうに 結構冷静な議論を
妨げたりする訳です -
12:53 - 12:57で「そういうような影響が
人の考え方の癖がいっぱいあるよ」 -
12:57 - 12:58っていうことを分かったら
-
12:58 - 13:01それを打ち消す方向に働きかけたり
-
13:01 - 13:04それをもっとポジティブに使う方向に
働きかけることができるでしょう -
13:05 - 13:09こういうことをVRの力をもってすれば
色々なことに使っていけるのではないか -
13:09 - 13:10ということを考えています
-
13:11 - 13:15なので 人をもっと賢くするために
人をもっと人に優しくするために -
13:15 - 13:17こういうことを使いたいと思っています
-
13:18 - 13:20で ここで見てきたように
-
13:20 - 13:24VRってのは 人の感覚とか
認知の仕組みというのを -
13:24 - 13:29普段と違う環境を与えることによって
白日のもとに晒し出してしまう訳です -
13:30 - 13:34なので 冒頭で
「皆さん VRって何か違う世界に行って -
13:34 - 13:37”あぁ 楽しかった!”と言って
帰ってくるだけのものだと -
13:37 - 13:40思ってるんじゃないでしょうか?」
という話をしたんですが -
13:40 - 13:42実はそうではない
-
13:43 - 13:47VRの中で体験したことっていうのは
我々の心を変えていて -
13:47 - 13:49我々はそれを現実に
持って帰ってきているので -
13:49 - 13:54VRで体験したことは
現実の世界を変えていっている訳ですね -
13:55 - 13:57なので 我々が食べた物から
できてるように -
13:57 - 14:02我々は 情報として
頭の中で処理したものをもってして -
14:02 - 14:04我々の心を作り出しているので
-
14:04 - 14:09我々は 実はVRで体験したことを
かなり現実に持ってきている訳です -
14:10 - 14:11ということは
-
14:11 - 14:15「VRってのは現実を変えている」
と言える訳ですね -
14:17 - 14:20それで 今日最後の質問にしたいと思います
-
14:20 - 14:24皆さん どんなふうに 今 自分や現実を
変えたいと思っているでしょうか? -
14:24 - 14:27おそらく まあ皆さん
色々なことをお考えだと思います -
14:28 - 14:32身の回りの現実とか
自分のことを変えたいなと思う瞬間が -
14:32 - 14:34結構あるんじゃないかと思うんですけれど
-
14:34 - 14:39おそらくVRは それを手助け出来る未来が
すぐにやってくると思います -
14:40 - 14:45でも VRで自分を変えてしまうって
結構怖い技術ですよね -
14:46 - 14:49「じゃあ 何に使って良くて
何に使っちゃいけないのか?」 -
14:49 - 14:52っていうことを研究者だけでは
考えることができません -
14:52 - 14:55なので「皆さんにVRの技術で
何が出来るのか?」 -
14:55 - 14:57っていうのを知ってもらって
-
14:57 - 15:02そこから色んな日常に
関係するところで想像してもらって -
15:02 - 15:05「あ こういう使い方は私は許せるけど
こういう使い方は許せないな」 -
15:05 - 15:07というのを想像して頂く
-
15:07 - 15:09それを我々にフィードバックして頂けると
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15:09 - 15:13「こういう研究はしていいとか
こういう研究はしてはいけない」っていうのが -
15:13 - 15:14だんだん分かってきます
-
15:15 - 15:18薬は「用法 用量」ってのがありますよね
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15:18 - 15:21で あれはやっぱり長い蓄積のもとで
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15:21 - 15:25ここまで使ったら体にいいけれど
これ以上使うと体に悪くなる っていうのが -
15:25 - 15:26分かってきている
-
15:26 - 15:31おそらくVRにも用法とか用量
っていうものが必要だと思っています -
15:31 - 15:35そういうものを決めていくためにも
やっぱり皆さんの意見が大事なので -
15:35 - 15:40ぜひ皆さんもVRと社会のいい関係を
どうやったら作れるかっていうところを -
15:40 - 15:45ちょっと身近な体験から出発して
一緒に考えて頂けると今日は嬉しいです -
15:45 - 15:47ありがとうございました
-
15:47 - 15:50(拍手)
- Title:
- バーチャルリアリティが現実を変える | 鳴海拓志 | TEDxKobe
- Description:
-
あなたが現実と信じているものは、どこから生じているのだろうか。またその現実が、実は簡単に変わり、編集できると知った時、何を感じ、何を考えるのだろうか。
鳴海拓志は、その問いを投げかけ続けている。人間の行動や能力は、知覚から強い影響を受けている。彼の研究は、頭の中で構成される知覚をバーチャルリアリティ(VR)で編集し、「現実」を変える。
私たちが本当に信じるべきものはなんだろうか。
このビデオは、TEDカンファレンスの形式で地元コミュニティが独自に運営するTEDxイベントにおいて収録されたものです。詳しくは http://ted.com/tedx をご覧ください。
- Video Language:
- Japanese
- Team:
- closed TED
- Project:
- TEDxTalks
- Duration:
- 16:04
Riaki Ponist approved Japanese subtitles for バーチャルリアリティが現実を変える | 鳴海拓志 | TEDxKobe | ||
Riaki Ponist edited Japanese subtitles for バーチャルリアリティが現実を変える | 鳴海拓志 | TEDxKobe | ||
Koichiro YODA accepted Japanese subtitles for バーチャルリアリティが現実を変える | 鳴海拓志 | TEDxKobe | ||
Koichiro YODA edited Japanese subtitles for バーチャルリアリティが現実を変える | 鳴海拓志 | TEDxKobe | ||
Koichiro YODA declined Japanese subtitles for バーチャルリアリティが現実を変える | 鳴海拓志 | TEDxKobe | ||
Koichiro YODA edited Japanese subtitles for バーチャルリアリティが現実を変える | 鳴海拓志 | TEDxKobe | ||
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