建築はいかに我々を結び付けるか
-
0:01 - 0:03お名前は何と言いますか
(観客)ハワード -
0:03 - 0:08ハワード? 私の席はハワードの隣でした
見てのとおり 知り合いではありません -
0:08 - 0:10彼は席を立ちますが
みなさん 後に続かないように -
0:10 - 0:14(笑)
-
0:17 - 0:19いや素晴らしいパフォーマンスでした
-
0:19 - 0:23あやうくこれからの話を
きれいさっぱり忘れるところでした -
0:23 - 0:29まあ話をはじめましょう
私の興味対象はー -
0:29 - 0:33今見たものとある意味似ていますが
体を使ったりはしません(笑) -
0:35 - 0:38人間の身体によって
-
0:38 - 0:44時間や空間の認識を発展させる代わりに
-
0:44 - 0:46私は 無機的な世界で
-
0:47 - 0:51いわば不活性物質に取り組み
それを体系化していきます -
0:51 - 0:56建築家の仕事は
ダンス集団などとは少し違います -
0:56 - 1:00最後に残る違いは 建築家は
2つの世界の交渉を行うということです -
1:00 - 1:02一方は私的な世界
概念的で -
1:02 - 1:08アイデアと憧れと革新に満ちた世界
-
1:08 - 1:15もう一方は外的世界
制約や否定的意見に満ちた世界 -
1:15 - 1:18これまでの仕事の経験を通じて
-
1:18 - 1:21絶え間なく存在したのは
“無理だ”という声でした -
1:21 - 1:23私が今まで行ったことや
試みてきたことにかかわらず -
1:23 - 1:25不可能だと 皆に言われました
-
1:25 - 1:28そのような声は
現実世界の至る所に隈なく存在し -
1:28 - 1:31アイデアの前に立ちはだかります
-
1:31 - 1:36建築家とは 右と左とをどうにか
折り合わせる仕事です -
1:36 - 1:40アイデアが生ずる私的空間と
外の世界の間に立ち -
1:40 - 1:44アイデアを理解させる仕事です
-
1:44 - 1:49議論は どこからでも始められます
なぜなら私が思うに このプロセスは -
1:49 - 1:52午前中の他の講演のアイデアとは
大きく異なっているからです -
1:52 - 1:56非常に明快で真っすぐなアイデアでした
-
1:56 - 1:58ハワードのアイデアもそうです
-
1:58 - 2:03しかし 私の考える建築の創造の過程
つまり設計の過程は -
2:03 - 2:06非常に遠回りで
迷宮のようです -
2:06 - 2:10カルビーノの考えによれば
2点の間を最速で結ぶのは -
2:10 - 2:12直線ではなく
回り道だと言います -
2:12 - 2:14私の人生は
まさに回り道の一部です -
2:14 - 2:16まずは 物事を体系化するための
-
2:16 - 2:18シンプルな考え方から話します
-
2:18 - 2:22基本的に 我々が目指すのは
世界に一貫性を与えることです -
2:22 - 2:24我々は物理的な建物を作ります
-
2:24 - 2:27建物は都市を形成する
付加過程の一部となります -
2:27 - 2:32都市には
その形成過程と誕生した時代が -
2:32 - 2:34反映されるのです
-
2:34 - 2:38私が目指すものは
人間の世界観を -
2:38 - 2:44生成的素材として有用な領域と
統合することです -
2:45 - 2:48私は建築家として常々
-
2:48 - 2:52生成過程に興味を持ってきました
それこそが建築設計です -
2:52 - 2:54生成過程は
先験的な知識に基づくものではありません -
2:54 - 2:58私の脳内で何かを考え出し
“これが完成図です”などと -
2:58 - 3:01言うことには
私は一切興味ありません -
3:01 - 3:03エバンの講演の紹介の時だったか
-
3:03 - 3:05建築家とは何かという話で
-
3:05 - 3:07誰かが言ったようですが
ビジネスや経営の世界の住人が -
3:07 - 3:10建築家のところにやって来ては
-
3:10 - 3:13最終的にこんな外観を希望しますって?
いやはや -
3:13 - 3:15私の考える建築は
そんな風にはできません -
3:15 - 3:17そのようなものに
一切興味はありません -
3:17 - 3:19建築は 何かのはじまりです
-
3:19 - 3:23第一原理 つまり
絶対的な原理に関わることを怠り -
3:23 - 3:28生成過程の始まりを抑えなければ
ケーキの装飾と変わりありません -
3:28 - 3:31別にケーキ装飾やその職人に
恨みはありませんよ -
3:31 - 3:33ケーキの装飾に関わる人が
いらっしゃったら -
3:33 - 3:35私は興味がないという話です
(笑) -
3:35 - 3:37さて 物体を形成するとき
-
3:37 - 3:43つまり形態を与え具体化する際に
-
3:43 - 3:46その出発点は 人は物事をいかに
体系化するのかという概念です -
3:46 - 3:51私が30年間 興味を抱き続けているのは
こうした複雑な事象の連なりです -
3:52 - 3:54つまり まず様々な
内外の圧力が加えられ -
3:54 - 3:58その結果辿り着いた最終結果から
本質を理解した上で -
3:58 - 4:00建物として体現するという
過程です -
4:02 - 4:07私的なものである創案と
いつも私にとって重要である現実世界は -
4:07 - 4:09絶えず関係し合っています
-
4:09 - 4:14このプロジェクトは10年前に
コペンハーゲンの展示会に出品したもので -
4:14 - 4:16海馬の形状モデルです
-
4:16 - 4:19海馬とは人間の脳内で
短期記憶を留めておく領域です -
4:19 - 4:23図面一式は
想像上の記録文書です -
4:23 - 4:29つまり海馬の経験を
図面を通して体系化しようとしたのです -
4:29 - 4:321キロメートルの歩行ということを
切り口にしました -
4:32 - 4:351キロ歩くごとに
これはという所望の物体を観察し -
4:35 - 4:37それを図面に書き込むのです
-
4:37 - 4:40つまり 物事の体系化にあたっては
連続した一貫性がなくとも -
4:40 - 4:46不連続でランダムな基礎の上でも
体系化が可能だという考え方です -
4:46 - 4:49私はこのランダムさという概念に
非常に興味があります -
4:49 - 4:51ランダムさが
建築作品を生みます -
4:51 - 4:53また 付加過程という
都市の概念にも -
4:53 - 4:55結びつくことも間違いありません
-
4:55 - 4:58このプロジェクトでは
多様な体系化のアイデアを得ました -
4:58 - 5:01そして建物に対する捉え方も
広がりました -
5:01 - 5:05建物とは 膨大な数のシステムを束ねて
合意に至るものです -
5:05 - 5:08作品を作るのは決して
たった1つのシステムではありません -
5:08 - 5:09関係性が作るのです
-
5:09 - 5:15システム間に働く動的な力が
変形させ 考案させ 建築を生み出すのです -
5:15 - 5:18これなしに
建築は存在し得ません -
5:20 - 5:24システムを特定し グルーピングすることも
できるかもしれません -
5:24 - 5:28現代では コンピュータ技術や
短納期の試作技術を適用できるので -
5:28 - 5:31これらのシステムを理解しそれに応じて
-
5:31 - 5:38多様な機能の要求に沿って
調整する仕組みを活用できます -
5:38 - 5:40これが 我々のやっている
仕事全てなのです -
5:40 - 5:43我々は 人間活動を受け入れるための
空間を作っています -
5:43 - 5:46私が興味を惹かれるのは
見かけを整えることではなく -
5:46 - 5:51空間の関係性です なぜなら
関係性によって 活動は強化されるのです -
5:52 - 5:55これは都市づくりのアイデアにも
直接つながっています -
5:55 - 5:57先日終了した
ペナンのプロジェクトです -
5:57 - 6:01非常に大規模な都市プロジェクトで
先に述べたプロセスから生まれたものです -
6:01 - 6:05つまり 都市を生み出すための
膨大な数の様々な力の 結果なのです -
6:07 - 6:09さてこれも途方もないコンペでしたが
-
6:09 - 6:11敷地はニューヨークのハドソン川沿いです
-
6:11 - 6:143年前に依頼を受けて設計し
同様のプロセスを適用しました -
6:14 - 6:17この作品は ひとつの方法論を
-
6:17 - 6:23都市の形成に適用することへの
可能性を示しています -
6:23 - 6:26つまり 都市が集合体として
ますます大規模化していく場合に -
6:26 - 6:31その設計に関わる
重大かつ複雑な問題を -
6:31 - 6:34多数の力という概念を用いて
処理するのです -
6:34 - 6:36なぜなら これは今日の
課題の一つなのです -
6:36 - 6:41経済上の集合体が
開発の集合体化を推進し -
6:41 - 6:43集合体が大きくなるほど
-
6:43 - 6:48問題解決のために
より複雑な探求の過程が要求されます -
6:49 - 6:51これは次に オリンピック村の
プロジェクトへつながりました -
6:51 - 6:54月曜にニューヨークで
IOC相手にプレゼンしました -
6:54 - 6:58コンペに勝ったのは
たしか9ヶ月ほど前です -
6:58 - 7:02非常に複雑かつ大規模な
有機体を開発するために -
7:02 - 7:06同じプロセスを適用しました
-
7:06 - 7:09また幅広い戦略も利用しました
-
7:09 - 7:14ここでは25万平方メートルの敷地のうち
わずか6万平方メートルを使用し -
7:14 - 7:18残り19万平方メートルは公園とし
オリンピック終了後も残される予定です -
7:18 - 7:22クイーンズ地区で2番目に大きな
公園ともなるはずです -
7:23 - 7:26立地は マンハッタン中心部の
ハンターズポイントです -
7:26 - 7:30都市づくりの
アイデアの幅が広がると -
7:30 - 7:33建築も影響を受け始めます
-
7:33 - 7:36建物自体が
その計画の幅を広げ -
7:36 - 7:39我々を導いてくれるようになります
-
7:41 - 7:43私にとって建築とは
-
7:43 - 7:47まさにあらゆる場所から出現する
膨大な数の力を 研究することです -
7:48 - 7:52だからこの議論は
どの地点からでも始められるのです -
7:52 - 7:54ここまでいくつかの観点を
紹介してきました -
7:54 - 8:02また 建築が接する
-
8:02 - 8:03広大な領域にも興味があります
-
8:03 - 8:08知識ベースという意味では
建築はまさに すべてに繋がっています -
8:08 - 8:13何らかの形で結合組織が
伸びていない領域など存在しません -
8:13 - 8:17これはジム・ダインの作品です
存在の不在とか そのようなものです -
8:17 - 8:20表皮としての衣服であり
人物は不在です -
8:20 - 8:24作品の表面という概念について
ここからあるアイデアが生まれました -
8:24 - 8:29あるプロジェクトにそのアイデアを使い
表面に切り込んでいくことに成功しました -
8:29 - 8:33造形に関するアイデアで
表面を折りたたむことで -
8:33 - 8:36きわめて複雑な空間を作るのです
-
8:36 - 8:40空間の関係性という
アイデアです -
8:40 - 8:43画像を折り曲げることで
空間が生まれます -
8:43 - 8:48明快な画像や形状と 空間との間に
弁証法的な対立が発生し -
8:48 - 8:52両者の対話の中から
空間の複雑性が生じます -
8:52 - 8:55このようにして 我々は
仕事や創造の仕方についての全概念を -
8:55 - 8:57再考させられました
-
8:57 - 9:01そして 服飾デザインに近い
考え方に至りました -
9:01 - 9:06表面を平面上に展開してから まとめ直し
空間上の結びつきを生み出すのです -
9:06 - 9:09韓国の 最初のプロトタイプです
-
9:09 - 9:12ここで扱っているのは
生き生きと振る舞う外皮であり -
9:12 - 9:15布地と同じ特徴を
もつものです -
9:15 - 9:20素材としての独自性があり
透光性で 多孔質です -
9:20 - 9:24我々は 建物の外皮の定義について
全く違った概念を得ることができました -
9:24 - 9:26すぐに別の作品にも
適用しました -
9:26 - 9:29ロサンゼルスの
カルトランスビルです -
9:29 - 9:33見えているのは外皮で
建物とは別物です -
9:33 - 9:35やはり きわめて単純な概念です
-
9:35 - 9:37建物を目にする際
たいていは外装が見え -
9:37 - 9:39それが建物本体でもあります
-
9:39 - 9:41我々はそれを
唐突に引き剥がしました -
9:41 - 9:43外皮は本体から
切り離されています -
9:43 - 9:45これにより性能基準の幅が広がります
-
9:45 - 9:47これについては
また後で話しましょう -
9:47 - 9:49ご覧の外皮は
本体とは分離しつつ -
9:49 - 9:51垂れ下がって
本体を覆っています -
9:51 - 9:54建物本体について
話しましょう -
9:54 - 9:57ロサンゼルス中心部
市庁舎の真向かいにあります -
9:57 - 10:00建物の動きが 大地の一部を拾い上げて
建物が起き上がるようです -
10:00 - 10:02建物は標識の役目も果たします
-
10:02 - 10:04つまりロサンゼルスの
遺物とも言えるーー -
10:04 - 10:07二次元や三次元の
標識の一部となるのです -
10:09 - 10:12人々は この作品の中を
通り抜けられるようになっています -
10:12 - 10:16透明性をもつことで
理解の助けになると私は考えます -
10:16 - 10:18どんな建物であれ
一番面白いのは -
10:18 - 10:21実際に造り上げる建設プロセスです
-
10:21 - 10:26おそらく建築家の仕事のうち
最も強烈な領域です -
10:26 - 10:28誰のものでもない領域です
-
10:28 - 10:31なぜなら
建築が最も面白いのは -
10:31 - 10:33複数のメカニズムが
機能性から切り離された時です -
10:33 - 10:35建設段階では それが可能になるのです
-
10:35 - 10:38さて次に 外皮は
別の素材へ変貌を始めます -
10:38 - 10:40この建物では
照明を建築素材として使用しました -
10:40 - 10:42ニューヨークの
キース・ソニアとの協同です -
10:42 - 10:44広い屋外空間が
-
10:44 - 10:47ロサンゼルスの地で
実現されました -
10:47 - 10:51これは 渋谷、メキシコシティ、
サンパウロ等で見られるような -
10:51 - 10:56現代の都市環境を
そっくり反映するもので -
10:56 - 11:00従来より長期的スパンでの
都市活性化という考え方を持ちます -
11:00 - 11:02このプロジェクトにおいて
その考え方は -
11:02 - 11:05都市が目指すものという概念の
大部分を占めています -
11:07 - 11:10この箇所も全て
同様に透明性を促進しています -
11:10 - 11:17この写真が 媒体としての照明利用を
上手く表現しているかもしれません -
11:17 - 11:20照明はまさに
建築素材になっています -
11:20 - 11:24瞬時に 照明の幅は広がり
領域となりました -
11:24 - 11:28サンフランシスコのビルの
初期スケッチです -
11:28 - 11:30私の現時点の理解では
-
11:30 - 11:33外皮とは 地面とタワーの間で
推移する存在となり得ます -
11:33 - 11:36このビルは
現在建設中ですが -
11:36 - 11:40広く物議を醸すことになりました
-
11:40 - 11:42それは性能に関わるもので
-
11:42 - 11:44米国で初となる
空調不使用を目指し -
11:44 - 11:47いや 空調設備なしとまでは言えませんが
ハイブリッドの建物です -
11:47 - 11:49純粋な建物をめざしましたが
そこまでは実現しませんでした -
11:49 - 11:52実際はハイブリッドの方が
面白いだろうに 妙なものです -
11:52 - 11:54我々は タワー部分には
空調機器を配置しませんでした -
11:54 - 11:56低層部に少しだけ
残されています -
11:56 - 11:58外皮は流体の作用で動きます
-
11:58 - 12:02無風の際は ベンチュリ効果で
空気の流れを作ります -
12:02 - 12:05常時調整がなされます
だから空調は設置しませんでした -
12:05 - 12:09莫大な差です
年間50万ドルの差が生じます -
12:09 - 12:11こんなビルが10棟もあれば
-
12:11 - 12:13広さ8万平方メートル程度ですが
-
12:13 - 12:16差異が サウサリート市の
電力に相当します -
12:16 - 12:19ご覧の通り
-
12:19 - 12:24プロジェクトのスケールが拡大するほど
直面する問題も増えます -
12:24 - 12:29すると 性能という面では
可能性が拡大します -
12:30 - 12:32さて 建築設計の出発点は
他にもあります -
12:32 - 12:34より生物学的な意味で
-
12:34 - 12:38建物と地面との関係性を
捉えることも可能です -
12:38 - 12:41私のような 60年代後半に
学生だった世代の取り組みは -
12:41 - 12:43間違いなく
ひとつの流れを作りました -
12:43 - 12:49建築だけに注力し
建築領域だけを見るという -
12:49 - 12:51内向きな考え方から脱したのです
-
12:51 - 12:53映画や芸術分野の潮流に
-
12:53 - 12:55影響を受けた世代でもあります
-
12:55 - 12:57マイケル・ハイザーの作品です
-
12:57 - 13:01写真 そして現地で
これを見た瞬間 -
13:01 - 13:05私の考え方はすっかり
変えられてしまいました -
13:05 - 13:07実に建物とは
地表面を拡張したものになり得ると -
13:07 - 13:10そう理解したのです
-
13:10 - 13:14建物の敷地に対する
基本的な考え方が変わりました -
13:14 - 13:17彼はおそらく
ナスカの地上絵を見たのでしょう -
13:17 - 13:24700年前の 4キロに渡る
素晴らしい大地の彫刻です -
13:24 - 13:26とにかく偉大としか
言いようがない -
13:26 - 13:30こうして我々のデザイン手法や
仕事の進め方は 完全に再考させられました -
13:30 - 13:33ポモナ市の高校の
最初のスケッチ図です -
13:33 - 13:37いや 形状やコンセプトや
アイデアを示したものと言うべきか -
13:37 - 13:41地球を 占有使用できる形状に
作り変えました -
13:41 - 13:46高校の機能を果たす
2万平方メートルの物体が -
13:46 - 13:48地表面に置かれました
-
13:48 - 13:51次にこれを発展させ 形状を作りました
作品の片鱗が見えました -
13:51 - 13:55それからさらに 構造学的な面を解決しました
-
13:55 - 13:57そして学校ができました
-
13:57 - 13:59もちろん我々は
-
13:59 - 14:01教育への参加にも
関心があります -
14:01 - 14:03単に機能を羅列しただけの
建物づくりには -
14:03 - 14:05私は一切興味がありません
-
14:05 - 14:07私が興味を抱いているのは
-
14:07 - 14:10このアイデアが 若者の教育過程に
いかに寄与するかです -
14:10 - 14:12そのため
一種の問いかけも要求されます -
14:12 - 14:14建築はシステムであり
彫刻制作ではない -
14:14 - 14:17このアイデアについては
最初に述べた通りです -
14:17 - 14:20つまりは 幅広く一貫した
論理に関わるものです -
14:20 - 14:24その論理は 建物が使用に供された時に
理解されるでしょう -
14:24 - 14:26ここには
-
14:26 - 14:29変わった方法で土地に結びついた建物という
明白な概念があります -
14:29 - 14:31少なくとも
その概念を作ろうと試みました -
14:31 - 14:34私は 訓示的な問題解決手法に
興味を引かれたのです -
14:34 - 14:36理解下さる方もいるでしょう
-
14:36 - 14:38次はロサンゼルスで完成した
ばかりの作品 -
14:38 - 14:42同じアイデアを一部採用しています
景観をアイデアの主要部とします -
14:42 - 14:45次は 進行中のプロジェクト
-
14:45 - 14:48アメリカ海洋大気庁
(NOAA)本部です -
14:48 - 14:50首都近郊の
メリーランド州にあります -
14:50 - 14:52こういう衛星写真を撮っています
-
14:52 - 14:56人工衛星22基を所有し
150キロ前後の高度を飛び回っています -
14:56 - 14:58赤色部分が敷地です
-
14:58 - 15:01この中に建築家がいるかは
分かりませんが -
15:01 - 15:04これはロージエの小屋です
始原の建築の概念です -
15:04 - 15:06提唱されてから
結構な年月を経ていますが -
15:06 - 15:08私は建築家として
まさにこれを建てたかったのです -
15:08 - 15:12NOAAは 世界の
管理人役を自認していますが -
15:12 - 15:14我々は NOAA の衛星から
3万平方メートルのその敷地を -
15:14 - 15:16見下ろして
欲しかったのです -
15:16 - 15:19また痕跡を何も残さず
緑地のままとしたかったのです -
15:19 - 15:21実際は 現在ここに
野球場が3つあり -
15:21 - 15:22今後も残るでしょう
-
15:22 - 15:24大きな構造を1つ
南北方向に置きました -
15:24 - 15:27アンテナを支える部分が
側面から突出しています -
15:27 - 15:31この下部に
プロセスや打ち上げを司る管制室があり -
15:31 - 15:34その他の空間はすべて
直下の地中に埋まっています -
15:34 - 15:36これは空母の
イメージなのです -
15:36 - 15:40円錐形のパラボラアンテナの視野に
規定された形態です -
15:40 - 15:44建物本体は
下部に占有空間が広がり -
15:44 - 15:46一連の中庭で区切られた
-
15:46 - 15:492万平方メートルのひと続きの
水平空間が広がっています -
15:49 - 15:52管理事務などのオフィスになっています
-
15:52 - 15:56これは次に 更に大規模な
プロジェクトにつながりました -
15:56 - 15:59景観と建物の相互作用
という概念は -
15:59 - 16:01この作品では
結合組織となりました -
16:01 - 16:074年前のもので 首都ベルリンでの
欧州中央銀行のコンペです -
16:07 - 16:09先日終了し
-
16:09 - 16:12実はウィーンのコープ・
ヒンメルブラウが勝ちましたが -
16:12 - 16:18我々の案では 建物は分割されて
複数の景観要素に分かれ -
16:18 - 16:24河沿いの公園から伸びる
結合組織の一部をなしています -
16:24 - 16:30建物自らが結合繊維になる
というアイデアを発展させました -
16:30 - 16:35社会、文化、景観、レクリエーションという
要素が都市を織り成すのです -
16:35 - 16:37建物は もはや自立した存在とは
見なされません -
16:37 - 16:39ただ その時その都市その場所に
-
16:39 - 16:41密接に結合したものなのです
-
16:41 - 16:45それを強く認識したのがこの作品
オーストリアの銀行です -
16:45 - 16:48結合の類型というアイデアを
ここでも採用しました -
16:48 - 16:51従来の建築と形態とを
複合させたのです -
16:51 - 16:54形態学とは 土地開発における
関係性のアイデアです -
16:54 - 16:58この複合物は 部分的に見えている都市の
その一片であり -
16:58 - 17:00このように
ただただ増大していきます -
17:00 - 17:03土地の動きのアイデアとは
地面を持ち上げて使用するという -
17:03 - 17:04単純なものですが
-
17:04 - 17:08こうした土地や 他の部分の動きは
更に活動的で強烈です -
17:08 - 17:10強烈さについて話しましょう
-
17:10 - 17:13発生する事象同士の衝突
という意味で言えば -
17:13 - 17:16強烈さとは
システム間の統合と関連します -
17:16 - 17:19その一部は地中へ
一部は逆に上方へ配されます -
17:19 - 17:23人は建物へ入ると
地面から浮きあがり -
17:23 - 17:25アイデアの一部となります
-
17:25 - 17:28そして 建物の外縁にある外皮が
-
17:28 - 17:31建物にダイナミックな動きを与えます
-
17:31 - 17:35土地が 地震のように変動し
地理学的に変動するのです -
17:35 - 17:38この変動が
事象が起こる空間を生み -
17:38 - 17:41空間は複数の場に分けられ
その内部が可視化される -
17:41 - 17:44そして内部空間は再び
執務空間の透過性を促すのです -
17:44 - 17:47これこそが我々の
長年の興味対象です -
17:49 - 17:52次はもう少し伝統的な
背景を持った作品です -
17:52 - 17:54トロントの大学院生の寮です
-
17:54 - 17:57この作品で強く扱ったのは
-
17:57 - 18:00都市への結合組織となる建物の
関係性というものです -
18:00 - 18:03基本的アイデアは
ゲートウェイです -
18:03 - 18:07敷地を分割して 公的空間と私的空間の
両方を建物が占めます -
18:07 - 18:11現地写真です
何度も訪れましたが -
18:11 - 18:142キロメートル先からでも
見えるような代物です -
18:14 - 18:18この文字は街路の中央まで
突き出しています -
18:18 - 18:20全体的な概念は
公的に関与させること -
18:20 - 18:25都市の公的組織の一部として
建物を関与させることでした -
18:26 - 18:30最後です 非常に興味深い
裁判所のプロジェクトです -
18:30 - 18:33これはご存知
アメリカ合衆国最高裁判所です -
18:33 - 18:37私は現在 オレゴン州裁判長の
マイケル・ホーガンと検討を進めています -
18:37 - 18:41相手との関係性や
裁判所についての先方の認識と -
18:41 - 18:45自らの価値観との間で
せめぎ合いが起こります -
18:45 - 18:49この交渉なくしては
前に進めないのです -
18:49 - 18:52私は彼に コルビュジエの
サヴォワ邸を見せました -
18:52 - 18:551928年 モダニズム建築
初期のものです -
18:55 - 18:58それからこの写真も見せました
-
18:58 - 19:02ここがプロジェクトの
はじまりなのです -
19:02 - 19:07私は現場で起こる現象に
興味があるのです -
19:07 - 19:11我々は実際 現実を建設することを
論じているのです -
19:11 - 19:13私という人間が
強く興味を惹かれるのは -
19:13 - 19:17造られた現実の中に存在する
自然というものです -
19:17 - 19:20なぜならもはや 自然など存在しません
消滅したのです -
19:20 - 19:22自然とは19世紀の考え方です
いいですか -
19:22 - 19:25今日 自然とは文化的殿堂に
すぎないのです -
19:25 - 19:28人間が自然を造り
自然というアイデアを造るのです -
19:28 - 19:31この男は カリフォルニアの知事
シュワルツェネッガーです -
19:31 - 19:36驚くなかれ ホーガン判事とは
コナンの映画の話もしました -
19:36 - 19:40そして我々の住む
法律と芸術と建築の世界から -
19:40 - 19:42全く異なる世界へ
話は発展していき -
19:42 - 19:45実にいろいろな話をしました
-
19:45 - 19:49我々の仕事に対する考え方
仕事のダイナミクス 仕事の原動力など -
19:49 - 19:52これが裁判所のプロジェクトに
つながりました -
19:52 - 19:55この裁判所は確実に
伝統的裁判所の要素と -
19:55 - 19:58伝統そのものとの間の
交渉の結果です -
19:58 - 20:00本家の連邦裁判所と
全く同じ長さの階段や -
20:00 - 20:03ルネサンス期に使用された装置
ピアノ・ノビーレがあります -
20:03 - 20:05裁判所はこのような造りで
-
20:05 - 20:10外皮は 田舎風の石積みを模した
層状のデザインで -
20:10 - 20:14憲法の文言が周囲に
散りばめられています -
20:14 - 20:16これもまた小さな
プロセスの一部です -
20:16 - 20:18コミュニティが
基礎の土台を規定しているのです -
20:18 - 20:20ありがとうございました
-
20:20 - 20:23(拍手)
- Title:
- 建築はいかに我々を結び付けるか
- Speaker:
- トム・メイン
- Description:
-
建築家のトム・メインは、常に安易な道は選びません。トムがガイドする作品群のミニツアーをお楽しみください。彼の建築は大きなアイデアを物質化したものなのです。
- Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TEDTalks
- Duration:
- 20:23
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