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建築はいかに我々を結び付けるか

  • 0:01 - 0:03
    お名前は何と言いますか
    (観客)ハワード
  • 0:03 - 0:08
    ハワード? 私の席はハワードの隣でした
    見てのとおり 知り合いではありません
  • 0:08 - 0:10
    彼は席を立ちますが
    みなさん 後に続かないように
  • 0:10 - 0:14
    (笑)
  • 0:17 - 0:19
    いや素晴らしいパフォーマンスでした
  • 0:19 - 0:23
    あやうくこれからの話を
    きれいさっぱり忘れるところでした
  • 0:23 - 0:29
    まあ話をはじめましょう
    私の興味対象はー
  • 0:29 - 0:33
    今見たものとある意味似ていますが
    体を使ったりはしません(笑)
  • 0:35 - 0:38
    人間の身体によって
  • 0:38 - 0:44
    時間や空間の認識を発展させる代わりに
  • 0:44 - 0:46
    私は 無機的な世界で
  • 0:47 - 0:51
    いわば不活性物質に取り組み
    それを体系化していきます
  • 0:51 - 0:56
    建築家の仕事は
    ダンス集団などとは少し違います
  • 0:56 - 1:00
    最後に残る違いは 建築家は
    2つの世界の交渉を行うということです
  • 1:00 - 1:02
    一方は私的な世界
    概念的で
  • 1:02 - 1:08
    アイデアと憧れと革新に満ちた世界
  • 1:08 - 1:15
    もう一方は外的世界
    制約や否定的意見に満ちた世界
  • 1:15 - 1:18
    これまでの仕事の経験を通じて
  • 1:18 - 1:21
    絶え間なく存在したのは
    “無理だ”という声でした
  • 1:21 - 1:23
    私が今まで行ったことや
    試みてきたことにかかわらず
  • 1:23 - 1:25
    不可能だと 皆に言われました
  • 1:25 - 1:28
    そのような声は
    現実世界の至る所に隈なく存在し
  • 1:28 - 1:31
    アイデアの前に立ちはだかります
  • 1:31 - 1:36
    建築家とは 右と左とをどうにか
    折り合わせる仕事です
  • 1:36 - 1:40
    アイデアが生ずる私的空間と
    外の世界の間に立ち
  • 1:40 - 1:44
    アイデアを理解させる仕事です
  • 1:44 - 1:49
    議論は どこからでも始められます
    なぜなら私が思うに このプロセスは
  • 1:49 - 1:52
    午前中の他の講演のアイデアとは
    大きく異なっているからです
  • 1:52 - 1:56
    非常に明快で真っすぐなアイデアでした
  • 1:56 - 1:58
    ハワードのアイデアもそうです
  • 1:58 - 2:03
    しかし 私の考える建築の創造の過程
    つまり設計の過程は
  • 2:03 - 2:06
    非常に遠回りで
    迷宮のようです
  • 2:06 - 2:10
    カルビーノの考えによれば
    2点の間を最速で結ぶのは
  • 2:10 - 2:12
    直線ではなく
    回り道だと言います
  • 2:12 - 2:14
    私の人生は
    まさに回り道の一部です
  • 2:14 - 2:16
    まずは 物事を体系化するための
  • 2:16 - 2:18
    シンプルな考え方から話します
  • 2:18 - 2:22
    基本的に 我々が目指すのは
    世界に一貫性を与えることです
  • 2:22 - 2:24
    我々は物理的な建物を作ります
  • 2:24 - 2:27
    建物は都市を形成する
    付加過程の一部となります
  • 2:27 - 2:32
    都市には
    その形成過程と誕生した時代が
  • 2:32 - 2:34
    反映されるのです
  • 2:34 - 2:38
    私が目指すものは
    人間の世界観を
  • 2:38 - 2:44
    生成的素材として有用な領域と
    統合することです
  • 2:45 - 2:48
    私は建築家として常々
  • 2:48 - 2:52
    生成過程に興味を持ってきました 
    それこそが建築設計です
  • 2:52 - 2:54
    生成過程は
    先験的な知識に基づくものではありません
  • 2:54 - 2:58
    私の脳内で何かを考え出し
    “これが完成図です”などと
  • 2:58 - 3:01
    言うことには
    私は一切興味ありません
  • 3:01 - 3:03
    エバンの講演の紹介の時だったか
  • 3:03 - 3:05
    建築家とは何かという話で
  • 3:05 - 3:07
    誰かが言ったようですが
    ビジネスや経営の世界の住人が
  • 3:07 - 3:10
    建築家のところにやって来ては
  • 3:10 - 3:13
    最終的にこんな外観を希望しますって?
    いやはや
  • 3:13 - 3:15
    私の考える建築は
    そんな風にはできません
  • 3:15 - 3:17
    そのようなものに
    一切興味はありません
  • 3:17 - 3:19
    建築は 何かのはじまりです
  • 3:19 - 3:23
    第一原理 つまり
    絶対的な原理に関わることを怠り
  • 3:23 - 3:28
    生成過程の始まりを抑えなければ
    ケーキの装飾と変わりありません
  • 3:28 - 3:31
    別にケーキ装飾やその職人に
    恨みはありませんよ
  • 3:31 - 3:33
    ケーキの装飾に関わる人が
    いらっしゃったら
  • 3:33 - 3:35
    私は興味がないという話です
    (笑)
  • 3:35 - 3:37
    さて 物体を形成するとき
  • 3:37 - 3:43
    つまり形態を与え具体化する際に
  • 3:43 - 3:46
    その出発点は 人は物事をいかに
    体系化するのかという概念です
  • 3:46 - 3:51
    私が30年間 興味を抱き続けているのは
    こうした複雑な事象の連なりです
  • 3:52 - 3:54
    つまり まず様々な
    内外の圧力が加えられ
  • 3:54 - 3:58
    その結果辿り着いた最終結果から
    本質を理解した上で
  • 3:58 - 4:00
    建物として体現するという
    過程です
  • 4:02 - 4:07
    私的なものである創案と
    いつも私にとって重要である現実世界は
  • 4:07 - 4:09
    絶えず関係し合っています
  • 4:09 - 4:14
    このプロジェクトは10年前に
    コペンハーゲンの展示会に出品したもので
  • 4:14 - 4:16
    海馬の形状モデルです
  • 4:16 - 4:19
    海馬とは人間の脳内で
    短期記憶を留めておく領域です
  • 4:19 - 4:23
    図面一式は
    想像上の記録文書です
  • 4:23 - 4:29
    つまり海馬の経験を
    図面を通して体系化しようとしたのです
  • 4:29 - 4:32
    1キロメートルの歩行ということを
    切り口にしました
  • 4:32 - 4:35
    1キロ歩くごとに
    これはという所望の物体を観察し
  • 4:35 - 4:37
    それを図面に書き込むのです
  • 4:37 - 4:40
    つまり 物事の体系化にあたっては
    連続した一貫性がなくとも
  • 4:40 - 4:46
    不連続でランダムな基礎の上でも
    体系化が可能だという考え方です
  • 4:46 - 4:49
    私はこのランダムさという概念に
    非常に興味があります
  • 4:49 - 4:51
    ランダムさが
    建築作品を生みます
  • 4:51 - 4:53
    また 付加過程という
    都市の概念にも
  • 4:53 - 4:55
    結びつくことも間違いありません
  • 4:55 - 4:58
    このプロジェクトでは
    多様な体系化のアイデアを得ました
  • 4:58 - 5:01
    そして建物に対する捉え方も
    広がりました
  • 5:01 - 5:05
    建物とは 膨大な数のシステムを束ねて
    合意に至るものです
  • 5:05 - 5:08
    作品を作るのは決して
    たった1つのシステムではありません
  • 5:08 - 5:09
    関係性が作るのです
  • 5:09 - 5:15
    システム間に働く動的な力が
    変形させ 考案させ 建築を生み出すのです
  • 5:15 - 5:18
    これなしに
    建築は存在し得ません
  • 5:20 - 5:24
    システムを特定し グルーピングすることも
    できるかもしれません
  • 5:24 - 5:28
    現代では コンピュータ技術や
    短納期の試作技術を適用できるので
  • 5:28 - 5:31
    これらのシステムを理解しそれに応じて
  • 5:31 - 5:38
    多様な機能の要求に沿って
    調整する仕組みを活用できます
  • 5:38 - 5:40
    これが 我々のやっている
    仕事全てなのです
  • 5:40 - 5:43
    我々は 人間活動を受け入れるための
    空間を作っています
  • 5:43 - 5:46
    私が興味を惹かれるのは
    見かけを整えることではなく
  • 5:46 - 5:51
    空間の関係性です なぜなら
    関係性によって 活動は強化されるのです
  • 5:52 - 5:55
    これは都市づくりのアイデアにも
    直接つながっています
  • 5:55 - 5:57
    先日終了した
    ペナンのプロジェクトです
  • 5:57 - 6:01
    非常に大規模な都市プロジェクトで
    先に述べたプロセスから生まれたものです
  • 6:01 - 6:05
    つまり 都市を生み出すための
    膨大な数の様々な力の 結果なのです
  • 6:07 - 6:09
    さてこれも途方もないコンペでしたが
  • 6:09 - 6:11
    敷地はニューヨークのハドソン川沿いです
  • 6:11 - 6:14
    3年前に依頼を受けて設計し
    同様のプロセスを適用しました
  • 6:14 - 6:17
    この作品は ひとつの方法論を
  • 6:17 - 6:23
    都市の形成に適用することへの
    可能性を示しています
  • 6:23 - 6:26
    つまり 都市が集合体として
    ますます大規模化していく場合に
  • 6:26 - 6:31
    その設計に関わる
    重大かつ複雑な問題を
  • 6:31 - 6:34
    多数の力という概念を用いて
    処理するのです
  • 6:34 - 6:36
    なぜなら これは今日の
    課題の一つなのです
  • 6:36 - 6:41
    経済上の集合体が
    開発の集合体化を推進し
  • 6:41 - 6:43
    集合体が大きくなるほど
  • 6:43 - 6:48
    問題解決のために
    より複雑な探求の過程が要求されます
  • 6:49 - 6:51
    これは次に オリンピック村の
    プロジェクトへつながりました
  • 6:51 - 6:54
    月曜にニューヨークで
    IOC相手にプレゼンしました
  • 6:54 - 6:58
    コンペに勝ったのは
    たしか9ヶ月ほど前です
  • 6:58 - 7:02
    非常に複雑かつ大規模な
    有機体を開発するために
  • 7:02 - 7:06
    同じプロセスを適用しました
  • 7:06 - 7:09
    また幅広い戦略も利用しました
  • 7:09 - 7:14
    ここでは25万平方メートルの敷地のうち
    わずか6万平方メートルを使用し
  • 7:14 - 7:18
    残り19万平方メートルは公園とし
    オリンピック終了後も残される予定です
  • 7:18 - 7:22
    クイーンズ地区で2番目に大きな
    公園ともなるはずです
  • 7:23 - 7:26
    立地は マンハッタン中心部の
    ハンターズポイントです
  • 7:26 - 7:30
    都市づくりの
    アイデアの幅が広がると
  • 7:30 - 7:33
    建築も影響を受け始めます
  • 7:33 - 7:36
    建物自体が
    その計画の幅を広げ
  • 7:36 - 7:39
    我々を導いてくれるようになります
  • 7:41 - 7:43
    私にとって建築とは
  • 7:43 - 7:47
    まさにあらゆる場所から出現する
    膨大な数の力を 研究することです
  • 7:48 - 7:52
    だからこの議論は
    どの地点からでも始められるのです
  • 7:52 - 7:54
    ここまでいくつかの観点を
    紹介してきました
  • 7:54 - 8:02
    また 建築が接する
  • 8:02 - 8:03
    広大な領域にも興味があります
  • 8:03 - 8:08
    知識ベースという意味では
    建築はまさに すべてに繋がっています
  • 8:08 - 8:13
    何らかの形で結合組織が
    伸びていない領域など存在しません
  • 8:13 - 8:17
    これはジム・ダインの作品です
    存在の不在とか そのようなものです
  • 8:17 - 8:20
    表皮としての衣服であり
    人物は不在です
  • 8:20 - 8:24
    作品の表面という概念について
    ここからあるアイデアが生まれました
  • 8:24 - 8:29
    あるプロジェクトにそのアイデアを使い
    表面に切り込んでいくことに成功しました
  • 8:29 - 8:33
    造形に関するアイデアで
    表面を折りたたむことで
  • 8:33 - 8:36
    きわめて複雑な空間を作るのです
  • 8:36 - 8:40
    空間の関係性という
    アイデアです
  • 8:40 - 8:43
    画像を折り曲げることで
    空間が生まれます
  • 8:43 - 8:48
    明快な画像や形状と 空間との間に
    弁証法的な対立が発生し
  • 8:48 - 8:52
    両者の対話の中から
    空間の複雑性が生じます
  • 8:52 - 8:55
    このようにして 我々は
    仕事や創造の仕方についての全概念を
  • 8:55 - 8:57
    再考させられました
  • 8:57 - 9:01
    そして 服飾デザインに近い
    考え方に至りました
  • 9:01 - 9:06
    表面を平面上に展開してから まとめ直し
    空間上の結びつきを生み出すのです
  • 9:06 - 9:09
    韓国の 最初のプロトタイプです
  • 9:09 - 9:12
    ここで扱っているのは
    生き生きと振る舞う外皮であり
  • 9:12 - 9:15
    布地と同じ特徴を
    もつものです
  • 9:15 - 9:20
    素材としての独自性があり
    透光性で 多孔質です
  • 9:20 - 9:24
    我々は 建物の外皮の定義について
    全く違った概念を得ることができました
  • 9:24 - 9:26
    すぐに別の作品にも
    適用しました
  • 9:26 - 9:29
    ロサンゼルスの
    カルトランスビルです
  • 9:29 - 9:33
    見えているのは外皮で
    建物とは別物です
  • 9:33 - 9:35
    やはり きわめて単純な概念です
  • 9:35 - 9:37
    建物を目にする際
    たいていは外装が見え
  • 9:37 - 9:39
    それが建物本体でもあります
  • 9:39 - 9:41
    我々はそれを
    唐突に引き剥がしました
  • 9:41 - 9:43
    外皮は本体から
    切り離されています
  • 9:43 - 9:45
    これにより性能基準の幅が広がります
  • 9:45 - 9:47
    これについては
    また後で話しましょう
  • 9:47 - 9:49
    ご覧の外皮は
    本体とは分離しつつ
  • 9:49 - 9:51
    垂れ下がって
    本体を覆っています
  • 9:51 - 9:54
    建物本体について
    話しましょう
  • 9:54 - 9:57
    ロサンゼルス中心部
    市庁舎の真向かいにあります
  • 9:57 - 10:00
    建物の動きが 大地の一部を拾い上げて
    建物が起き上がるようです
  • 10:00 - 10:02
    建物は標識の役目も果たします
  • 10:02 - 10:04
    つまりロサンゼルスの
    遺物とも言えるーー
  • 10:04 - 10:07
    二次元や三次元の
    標識の一部となるのです
  • 10:09 - 10:12
    人々は この作品の中を
    通り抜けられるようになっています
  • 10:12 - 10:16
    透明性をもつことで
    理解の助けになると私は考えます
  • 10:16 - 10:18
    どんな建物であれ
    一番面白いのは
  • 10:18 - 10:21
    実際に造り上げる建設プロセスです
  • 10:21 - 10:26
    おそらく建築家の仕事のうち
    最も強烈な領域です
  • 10:26 - 10:28
    誰のものでもない領域です
  • 10:28 - 10:31
    なぜなら
    建築が最も面白いのは
  • 10:31 - 10:33
    複数のメカニズムが
    機能性から切り離された時です
  • 10:33 - 10:35
    建設段階では それが可能になるのです
  • 10:35 - 10:38
    さて次に 外皮は
    別の素材へ変貌を始めます
  • 10:38 - 10:40
    この建物では
    照明を建築素材として使用しました
  • 10:40 - 10:42
    ニューヨークの
    キース・ソニアとの協同です
  • 10:42 - 10:44
    広い屋外空間が
  • 10:44 - 10:47
    ロサンゼルスの地で
    実現されました
  • 10:47 - 10:51
    これは 渋谷、メキシコシティ、
    サンパウロ等で見られるような
  • 10:51 - 10:56
    現代の都市環境を
    そっくり反映するもので
  • 10:56 - 11:00
    従来より長期的スパンでの
    都市活性化という考え方を持ちます
  • 11:00 - 11:02
    このプロジェクトにおいて
    その考え方は
  • 11:02 - 11:05
    都市が目指すものという概念の
    大部分を占めています
  • 11:07 - 11:10
    この箇所も全て
    同様に透明性を促進しています
  • 11:10 - 11:17
    この写真が 媒体としての照明利用を
    上手く表現しているかもしれません
  • 11:17 - 11:20
    照明はまさに
    建築素材になっています
  • 11:20 - 11:24
    瞬時に 照明の幅は広がり
    領域となりました
  • 11:24 - 11:28
    サンフランシスコのビルの
    初期スケッチです
  • 11:28 - 11:30
    私の現時点の理解では
  • 11:30 - 11:33
    外皮とは 地面とタワーの間で
    推移する存在となり得ます
  • 11:33 - 11:36
    このビルは
    現在建設中ですが
  • 11:36 - 11:40
    広く物議を醸すことになりました
  • 11:40 - 11:42
    それは性能に関わるもので
  • 11:42 - 11:44
    米国で初となる
    空調不使用を目指し
  • 11:44 - 11:47
    いや 空調設備なしとまでは言えませんが
    ハイブリッドの建物です
  • 11:47 - 11:49
    純粋な建物をめざしましたが
    そこまでは実現しませんでした
  • 11:49 - 11:52
    実際はハイブリッドの方が
    面白いだろうに 妙なものです
  • 11:52 - 11:54
    我々は タワー部分には
    空調機器を配置しませんでした
  • 11:54 - 11:56
    低層部に少しだけ
    残されています
  • 11:56 - 11:58
    外皮は流体の作用で動きます
  • 11:58 - 12:02
    無風の際は ベンチュリ効果で
    空気の流れを作ります
  • 12:02 - 12:05
    常時調整がなされます
    だから空調は設置しませんでした
  • 12:05 - 12:09
    莫大な差です
    年間50万ドルの差が生じます
  • 12:09 - 12:11
    こんなビルが10棟もあれば
  • 12:11 - 12:13
    広さ8万平方メートル程度ですが
  • 12:13 - 12:16
    差異が サウサリート市の
    電力に相当します
  • 12:16 - 12:19
    ご覧の通り
  • 12:19 - 12:24
    プロジェクトのスケールが拡大するほど
    直面する問題も増えます
  • 12:24 - 12:29
    すると 性能という面では
    可能性が拡大します
  • 12:30 - 12:32
    さて 建築設計の出発点は
    他にもあります
  • 12:32 - 12:34
    より生物学的な意味で
  • 12:34 - 12:38
    建物と地面との関係性を
    捉えることも可能です
  • 12:38 - 12:41
    私のような 60年代後半に
    学生だった世代の取り組みは
  • 12:41 - 12:43
    間違いなく
    ひとつの流れを作りました
  • 12:43 - 12:49
    建築だけに注力し
    建築領域だけを見るという
  • 12:49 - 12:51
    内向きな考え方から脱したのです
  • 12:51 - 12:53
    映画や芸術分野の潮流に
  • 12:53 - 12:55
    影響を受けた世代でもあります
  • 12:55 - 12:57
    マイケル・ハイザーの作品です
  • 12:57 - 13:01
    写真 そして現地で
    これを見た瞬間
  • 13:01 - 13:05
    私の考え方はすっかり
    変えられてしまいました
  • 13:05 - 13:07
    実に建物とは
    地表面を拡張したものになり得ると
  • 13:07 - 13:10
    そう理解したのです
  • 13:10 - 13:14
    建物の敷地に対する
    基本的な考え方が変わりました
  • 13:14 - 13:17
    彼はおそらく
    ナスカの地上絵を見たのでしょう
  • 13:17 - 13:24
    700年前の 4キロに渡る
    素晴らしい大地の彫刻です
  • 13:24 - 13:26
    とにかく偉大としか
    言いようがない
  • 13:26 - 13:30
    こうして我々のデザイン手法や
    仕事の進め方は 完全に再考させられました
  • 13:30 - 13:33
    ポモナ市の高校の
    最初のスケッチ図です
  • 13:33 - 13:37
    いや 形状やコンセプトや
    アイデアを示したものと言うべきか
  • 13:37 - 13:41
    地球を 占有使用できる形状に
    作り変えました
  • 13:41 - 13:46
    高校の機能を果たす
    2万平方メートルの物体が
  • 13:46 - 13:48
    地表面に置かれました
  • 13:48 - 13:51
    次にこれを発展させ 形状を作りました
    作品の片鱗が見えました
  • 13:51 - 13:55
    それからさらに 構造学的な面を解決しました
  • 13:55 - 13:57
    そして学校ができました
  • 13:57 - 13:59
    もちろん我々は
  • 13:59 - 14:01
    教育への参加にも
    関心があります
  • 14:01 - 14:03
    単に機能を羅列しただけの
    建物づくりには
  • 14:03 - 14:05
    私は一切興味がありません
  • 14:05 - 14:07
    私が興味を抱いているのは
  • 14:07 - 14:10
    このアイデアが 若者の教育過程に
    いかに寄与するかです
  • 14:10 - 14:12
    そのため
    一種の問いかけも要求されます
  • 14:12 - 14:14
    建築はシステムであり
    彫刻制作ではない
  • 14:14 - 14:17
    このアイデアについては
    最初に述べた通りです
  • 14:17 - 14:20
    つまりは 幅広く一貫した
    論理に関わるものです
  • 14:20 - 14:24
    その論理は 建物が使用に供された時に
    理解されるでしょう
  • 14:24 - 14:26
    ここには
  • 14:26 - 14:29
    変わった方法で土地に結びついた建物という
    明白な概念があります
  • 14:29 - 14:31
    少なくとも
    その概念を作ろうと試みました
  • 14:31 - 14:34
    私は 訓示的な問題解決手法に
    興味を引かれたのです
  • 14:34 - 14:36
    理解下さる方もいるでしょう
  • 14:36 - 14:38
    次はロサンゼルスで完成した
    ばかりの作品
  • 14:38 - 14:42
    同じアイデアを一部採用しています
    景観をアイデアの主要部とします
  • 14:42 - 14:45
    次は 進行中のプロジェクト
  • 14:45 - 14:48
    アメリカ海洋大気庁
    (NOAA)本部です
  • 14:48 - 14:50
    首都近郊の
    メリーランド州にあります
  • 14:50 - 14:52
    こういう衛星写真を撮っています
  • 14:52 - 14:56
    人工衛星22基を所有し
    150キロ前後の高度を飛び回っています
  • 14:56 - 14:58
    赤色部分が敷地です
  • 14:58 - 15:01
    この中に建築家がいるかは
    分かりませんが
  • 15:01 - 15:04
    これはロージエの小屋です
    始原の建築の概念です
  • 15:04 - 15:06
    提唱されてから
    結構な年月を経ていますが
  • 15:06 - 15:08
    私は建築家として
    まさにこれを建てたかったのです
  • 15:08 - 15:12
    NOAAは 世界の
    管理人役を自認していますが
  • 15:12 - 15:14
    我々は NOAA の衛星から
    3万平方メートルのその敷地を
  • 15:14 - 15:16
    見下ろして
    欲しかったのです
  • 15:16 - 15:19
    また痕跡を何も残さず
    緑地のままとしたかったのです
  • 15:19 - 15:21
    実際は 現在ここに
    野球場が3つあり
  • 15:21 - 15:22
    今後も残るでしょう
  • 15:22 - 15:24
    大きな構造を1つ
    南北方向に置きました
  • 15:24 - 15:27
    アンテナを支える部分が
    側面から突出しています
  • 15:27 - 15:31
    この下部に
    プロセスや打ち上げを司る管制室があり
  • 15:31 - 15:34
    その他の空間はすべて
    直下の地中に埋まっています
  • 15:34 - 15:36
    これは空母の
    イメージなのです
  • 15:36 - 15:40
    円錐形のパラボラアンテナの視野に
    規定された形態です
  • 15:40 - 15:44
    建物本体は
    下部に占有空間が広がり
  • 15:44 - 15:46
    一連の中庭で区切られた
  • 15:46 - 15:49
    2万平方メートルのひと続きの
    水平空間が広がっています
  • 15:49 - 15:52
    管理事務などのオフィスになっています
  • 15:52 - 15:56
    これは次に 更に大規模な
    プロジェクトにつながりました
  • 15:56 - 15:59
    景観と建物の相互作用
    という概念は
  • 15:59 - 16:01
    この作品では
    結合組織となりました
  • 16:01 - 16:07
    4年前のもので 首都ベルリンでの
    欧州中央銀行のコンペです
  • 16:07 - 16:09
    先日終了し
  • 16:09 - 16:12
    実はウィーンのコープ・
    ヒンメルブラウが勝ちましたが
  • 16:12 - 16:18
    我々の案では 建物は分割されて
    複数の景観要素に分かれ
  • 16:18 - 16:24
    河沿いの公園から伸びる
    結合組織の一部をなしています
  • 16:24 - 16:30
    建物自らが結合繊維になる
    というアイデアを発展させました
  • 16:30 - 16:35
    社会、文化、景観、レクリエーションという
    要素が都市を織り成すのです
  • 16:35 - 16:37
    建物は もはや自立した存在とは
    見なされません
  • 16:37 - 16:39
    ただ その時その都市その場所に
  • 16:39 - 16:41
    密接に結合したものなのです
  • 16:41 - 16:45
    それを強く認識したのがこの作品
    オーストリアの銀行です
  • 16:45 - 16:48
    結合の類型というアイデアを
    ここでも採用しました
  • 16:48 - 16:51
    従来の建築と形態とを
    複合させたのです
  • 16:51 - 16:54
    形態学とは 土地開発における
    関係性のアイデアです
  • 16:54 - 16:58
    この複合物は 部分的に見えている都市の
    その一片であり
  • 16:58 - 17:00
    このように
    ただただ増大していきます
  • 17:00 - 17:03
    土地の動きのアイデアとは 
    地面を持ち上げて使用するという
  • 17:03 - 17:04
    単純なものですが
  • 17:04 - 17:08
    こうした土地や 他の部分の動きは
    更に活動的で強烈です
  • 17:08 - 17:10
    強烈さについて話しましょう
  • 17:10 - 17:13
    発生する事象同士の衝突
    という意味で言えば
  • 17:13 - 17:16
    強烈さとは
    システム間の統合と関連します
  • 17:16 - 17:19
    その一部は地中へ
    一部は逆に上方へ配されます
  • 17:19 - 17:23
    人は建物へ入ると
    地面から浮きあがり
  • 17:23 - 17:25
    アイデアの一部となります
  • 17:25 - 17:28
    そして 建物の外縁にある外皮が
  • 17:28 - 17:31
    建物にダイナミックな動きを与えます
  • 17:31 - 17:35
    土地が 地震のように変動し
    地理学的に変動するのです
  • 17:35 - 17:38
    この変動が
    事象が起こる空間を生み
  • 17:38 - 17:41
    空間は複数の場に分けられ
    その内部が可視化される
  • 17:41 - 17:44
    そして内部空間は再び
    執務空間の透過性を促すのです
  • 17:44 - 17:47
    これこそが我々の
    長年の興味対象です
  • 17:49 - 17:52
    次はもう少し伝統的な
    背景を持った作品です
  • 17:52 - 17:54
    トロントの大学院生の寮です
  • 17:54 - 17:57
    この作品で強く扱ったのは
  • 17:57 - 18:00
    都市への結合組織となる建物の
    関係性というものです
  • 18:00 - 18:03
    基本的アイデアは
    ゲートウェイです
  • 18:03 - 18:07
    敷地を分割して 公的空間と私的空間の
    両方を建物が占めます
  • 18:07 - 18:11
    現地写真です
    何度も訪れましたが
  • 18:11 - 18:14
    2キロメートル先からでも
    見えるような代物です
  • 18:14 - 18:18
    この文字は街路の中央まで
    突き出しています
  • 18:18 - 18:20
    全体的な概念は
    公的に関与させること
  • 18:20 - 18:25
    都市の公的組織の一部として
    建物を関与させることでした
  • 18:26 - 18:30
    最後です 非常に興味深い
    裁判所のプロジェクトです
  • 18:30 - 18:33
    これはご存知
    アメリカ合衆国最高裁判所です
  • 18:33 - 18:37
    私は現在 オレゴン州裁判長の
    マイケル・ホーガンと検討を進めています
  • 18:37 - 18:41
    相手との関係性や
    裁判所についての先方の認識と
  • 18:41 - 18:45
    自らの価値観との間で
    せめぎ合いが起こります
  • 18:45 - 18:49
    この交渉なくしては
    前に進めないのです
  • 18:49 - 18:52
    私は彼に コルビュジエの
    サヴォワ邸を見せました
  • 18:52 - 18:55
    1928年 モダニズム建築
    初期のものです
  • 18:55 - 18:58
    それからこの写真も見せました
  • 18:58 - 19:02
    ここがプロジェクトの
    はじまりなのです
  • 19:02 - 19:07
    私は現場で起こる現象に
    興味があるのです
  • 19:07 - 19:11
    我々は実際 現実を建設することを
    論じているのです
  • 19:11 - 19:13
    私という人間が
    強く興味を惹かれるのは
  • 19:13 - 19:17
    造られた現実の中に存在する
    自然というものです
  • 19:17 - 19:20
    なぜならもはや 自然など存在しません
    消滅したのです
  • 19:20 - 19:22
    自然とは19世紀の考え方です
    いいですか
  • 19:22 - 19:25
    今日 自然とは文化的殿堂に
    すぎないのです
  • 19:25 - 19:28
    人間が自然を造り
    自然というアイデアを造るのです
  • 19:28 - 19:31
    この男は カリフォルニアの知事
    シュワルツェネッガーです
  • 19:31 - 19:36
    驚くなかれ ホーガン判事とは
    コナンの映画の話もしました
  • 19:36 - 19:40
    そして我々の住む
    法律と芸術と建築の世界から
  • 19:40 - 19:42
    全く異なる世界へ
    話は発展していき
  • 19:42 - 19:45
    実にいろいろな話をしました
  • 19:45 - 19:49
    我々の仕事に対する考え方 
    仕事のダイナミクス 仕事の原動力など
  • 19:49 - 19:52
    これが裁判所のプロジェクトに
    つながりました
  • 19:52 - 19:55
    この裁判所は確実に
    伝統的裁判所の要素と
  • 19:55 - 19:58
    伝統そのものとの間の
    交渉の結果です
  • 19:58 - 20:00
    本家の連邦裁判所と
    全く同じ長さの階段や
  • 20:00 - 20:03
    ルネサンス期に使用された装置
    ピアノ・ノビーレがあります
  • 20:03 - 20:05
    裁判所はこのような造りで
  • 20:05 - 20:10
    外皮は 田舎風の石積みを模した
    層状のデザインで
  • 20:10 - 20:14
    憲法の文言が周囲に
    散りばめられています
  • 20:14 - 20:16
    これもまた小さな
    プロセスの一部です
  • 20:16 - 20:18
    コミュニティが
    基礎の土台を規定しているのです
  • 20:18 - 20:20
    ありがとうございました
  • 20:20 - 20:23
    (拍手)
Title:
建築はいかに我々を結び付けるか
Speaker:
トム・メイン
Description:

建築家のトム・メインは、常に安易な道は選びません。トムがガイドする作品群のミニツアーをお楽しみください。彼の建築は大きなアイデアを物質化したものなのです。

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Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TEDTalks
Duration:
20:23

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