Return to Video

人類の進化のスピードは速くなっているのか、遅くなっているのか — ローレンス・ハースト

  • 0:07 - 0:13
    チベット高原は
    海抜約4,500メートルのところにあり
  • 0:13 - 0:17
    酸素含有量は平地のわずか60%に過ぎません
  • 0:17 - 0:21
    旅行客や移住者が高山病と闘う一方で
  • 0:21 - 0:25
    土着のチベット人は
    駆けるように山を登ります
  • 0:25 - 0:28
    トレーニングや練習によって
    この能力を得たのではなく
  • 0:28 - 0:32
    いくつかの遺伝子が変異した結果
  • 0:32 - 0:35
    限られた酸素を最大限に
    活用できるようになったのです
  • 0:35 - 0:38
    遺伝子変異による違いは
    誕生時から明らかで
  • 0:38 - 0:42
    チベット人の赤ん坊は 平均して
    出生時体重がより重く
  • 0:42 - 0:44
    血中酸素飽和度がより高く
  • 0:44 - 0:49
    この環境で生まれた他の種族の赤ん坊より
    生き残る可能性がはるかに高いです
  • 0:49 - 0:53
    これらの遺伝的変化は 推定によると
  • 0:53 - 0:57
    過去3千年ぐらいにわたる進化で
    現在も進行中です
  • 0:57 - 0:59
    長い期間だと思うかもしれませんが
  • 0:59 - 1:06
    人類の進化の中で
    最も速い適応になるでしょう
  • 1:06 - 1:09
    人類の進化が終わっていないことは確かです
  • 1:09 - 1:11
    では最近の変化では他に何があるでしょう?
  • 1:11 - 1:17
    技術や科学の革新は
    私たちの進化に影響を与えるでしょうか?
  • 1:17 - 1:18
    過去数千年で
  • 1:18 - 1:23
    多くの集団が現地の環境に適応するために
    遺伝的に進化してきました
  • 1:23 - 1:30
    シベリアと北極圏の高緯度地域の人々は
    極寒で生き残るため独自の適応をしてきました
  • 1:30 - 1:32
    彼らは凍傷にかかりにくく
  • 1:32 - 1:39
    他の種族よりはるかに長い間
    氷点下の気温で手を使い続けられます
  • 1:39 - 1:42
    体の熱生産量を増すために
    より高い新陳代謝率をもつ者が
  • 1:42 - 1:45
    生き残ってきたためです
  • 1:45 - 1:50
    さらに南の 東南アジアのバジャウ族は
    水中に70メートル潜り
  • 1:50 - 1:54
    ほぼ15分間とどまることができます
  • 1:54 - 1:58
    海で狩猟する遊牧民として
    何千年も暮らしてきた間に
  • 1:58 - 2:05
    遺伝的に酸素貯蔵庫として機能する
    並外れて大きな脾臓を持つようになり
  • 2:05 - 2:09
    水中により長く
    とどまれるようになりました
  • 2:09 - 2:13
    これは深海へ潜水する
    アザラシと同様の適応です
  • 2:13 - 2:16
    それに比べれば 面白くないですが
  • 2:16 - 2:20
    牛乳を飲む能力も
    また別の そのような適応といえます
  • 2:20 - 2:23
    すべての哺乳類は赤ん坊として
    母乳を飲むことができますが
  • 2:23 - 2:28
    離乳後は 母乳の消化を可能にする
    遺伝子のスイッチを「オフ」にします
  • 2:28 - 2:33
    しかしサハラ砂漠以南のアフリカ
    中東および北西ヨーロッパのコミュニティでは
  • 2:33 - 2:38
    乳を搾る目的で牛を飼育していたところ
    過去7~ 8千年にわたり
  • 2:38 - 2:44
    遺伝子スイッチが「オフ」になるのを防ぐ
    遺伝子変異体が急速に増加してきました
  • 2:44 - 2:49
    少なくともヨーロッパでは 牛乳は人間に
    カルシウムを供給してきたのかもしれません
  • 2:49 - 2:53
    これはビタミンDの体内生産補助のためで
    彼らが北に移動したことにより
  • 2:53 - 2:57
    ビタミンDの通常の供給源である
    日光に当たる機会が減少したからです
  • 2:57 - 2:59
    必ずしも明らかな方法でとは限りませんが
  • 2:59 - 3:04
    これらすべての変化は人々が生殖年齢まで
    生き残るチャンスを高めます
  • 3:04 - 3:10
    これこそが 自然淘汰という
    進化の背後にある力を推進しているのです
  • 3:10 - 3:14
    現代医学は
    これら自然淘汰を進める力の多くを
  • 3:14 - 3:16
    淘汰されるはずの命を
    生かすことで退けます
  • 3:16 - 3:19
    時には 遺伝子が感染症と一緒になって
    宿主を殺すところを
  • 3:19 - 3:21
    医学が救うのです
  • 3:21 - 3:25
    抗生物質 ワクチン
    きれいな水と よい衛生状態等のすべてが
  • 3:25 - 3:29
    私たちの遺伝子の違いの
    重要性を低くします
  • 3:29 - 3:32
    同様に 私たちの小児癌の治療能力や
  • 3:32 - 3:37
    炎症を起こした虫垂の切除や
  • 3:37 - 3:41
    そして命に関わる妊婦特有の病気にかかった
    母親の出産 —
  • 3:41 - 3:46
    それらすべてがより多くの人々を
    生殖年齢まで生き延びさせ
  • 3:46 - 3:48
    自然淘汰の流れを遮る傾向があります
  • 3:48 - 3:52
    しかしたとえ地球上のすべての人が
    現代医学の恩恵を受けたとしても
  • 3:52 - 3:55
    人類の進化が終わるという
    意味ではありません
  • 3:55 - 4:00
    進化には自然淘汰に加えて
    他の側面もあるからです
  • 4:00 - 4:02
    現代医学の力は遺伝子変異体を
  • 4:02 - 4:06
    自然淘汰によって
    ふるい落とされる対象から
  • 4:06 - 4:10
    「遺伝的浮動」と呼ばれる対象にします
  • 4:10 - 4:15
    「遺伝的浮動」では 遺伝子の差異は
    母集団内でランダムに変化します
  • 4:15 - 4:20
    現代医学は実際 遺伝子レベルにおける
    多様性を高めるのかもしれません
  • 4:20 - 4:24
    医学の介入で 有害な突然変異が
    宿主を殺さなくなり 排除されないからです
  • 4:24 - 4:29
    しかし この遺伝子の多様性は必ずしも
    「表現型」つまり観察可能な
  • 4:29 - 4:32
    人々の間の相違として表れるとは限りません
  • 4:32 - 4:36
    研究者たちは 遺伝的適応が特定の環境下で
  • 4:36 - 4:41
    非常に速く起きる可能性があるかどうか
    調べています —
  • 4:41 - 4:44
    遺伝子そのものは変化しませんが
    「エピジェネティック修飾」という
  • 4:44 - 4:49
    特定の遺伝子の発現 および
    その発現時期によりもたらされる適応です
  • 4:49 - 4:51
    これらの変化は
    一生の間に生じる可能性があり
  • 4:51 - 4:54
    子孫に受け継がれる可能性すらありますが
  • 4:54 - 4:59
    これまでのところ研究者たちは
    エピジェネティック修飾が
  • 4:59 - 5:02
    本当に何世代にもわたり
    持続可能かどうか
  • 5:02 - 5:07
    および母集団の中の永続的な変化に
    つながるかどうかで対立しています
  • 5:07 - 5:10
    人類の進化には他にも
    寄与しているものがあるかもしれません
  • 5:10 - 5:13
    現代医学と科学技術は
    人類史上ではごく最近のもので
  • 5:13 - 5:17
    自然淘汰による最もスピードの速い
    直近の変化と比べても新しいのです
  • 5:17 - 5:22
    ですから現在がどのように私たちの未来を
    形作るかは 時が経たないと分かりません
Title:
人類の進化のスピードは速くなっているのか、遅くなっているのか — ローレンス・ハースト
Speaker:
ローレンス・ハースト
Description:

過去3千年間で、多くの集団が現地の環境に適応するために遺伝的に進化してきました。シベリアと北極圏の高緯度地域の人々は、極寒で生き残るため独自の適応をしてきました。バジャウ族は水中に70メートル潜り、ほぼ15分間とどまることができます。ローレンス・ハーストが、他の最近の変化には何があるのか、そして科学技術の革新は私たちの進化に影響を与えるのかを探ります。

講師:ローレンス・ハースト
監督:フィリップ・ピアジェとリッケ・プラネタ

*このビデオの教材: https://ed.ted.com/lessons/is-human-evolution-speeding-up-or-slowing-down-laurence-hurst

more » « less
Video Language:
English
Team:
closed TED
Project:
TED-Ed
Duration:
05:25

Japanese subtitles

Revisions