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東北に必要な視点とは|亀井潤|TEDxAizuwakamatsu

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    2014年の11月に
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    東北大学の研究室の
    隅っこの方に座ってたんですけど
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    その時に 突然 僕の携帯に電話が入りました
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    普段は携帯に出ないんですよ
    研究しているときは
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    でも その時は ちょっと
    出てみようと思って出てみたら
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    気仙沼の方からの電話でした
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    気仙沼の方からの電話 誰だろう?
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    「はい 誰ですか?」
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    「気仙沼の方でデニムを作っている会社です」
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    「ちょっと 亀井さんに
    ご相談があって電話をしました」
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    「亀井さん 確かいろいろ
    自然界の材料を使って
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    いろんな[物]を作ってましたよね?」
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    いや はい そうです
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    ちょうど今もですね 魚の鱗を使って
    絶対汚れない表面を作ってるとこでした
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    「ちょうどよかったです
    あの 魚の話なんですよ
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    実は 私たち 魚で服を作ってしまいました」
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    [魚から服を作った]
    (笑)
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    なんと!
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    で この方が 後ほど僕の人生を変える
    オイカワデニムの及川洋さんっていう方です
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    少し このオイカワデニムについて
    お話ししましょう
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    オイカワデニムは
    気仙沼の本吉という所にある
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    小さなデニム会社です
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    でも しかしこの小さなこの本吉の工場から
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    メイドインジャパンの
    最高級のデニム商品を作り
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    ロンドン ロシア アメリカ
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    さまざまな所で名を馳せている
    すごい企業だったのです
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    この人たちは2011年に東北の津波を経験し
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    今までとは違った新しい商品を作って
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    地域に貢献出来ないか
    ということを考えてたのです
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    彼らがちょうど私に相談したことは
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    この気仙沼でよく獲れるカジキマグロ
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    このカジキマグロ すごく獲れるんですね
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    年間に数百トン
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    でもこのカジキマグロの角
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    この角が 30トンほど
    毎年毎年廃棄されてしまう
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    これを なんとか有効活用出来ないか?
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    これを何とか自分たちが作っている
    デニムに応用できないか?
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    そしてその成分そのものに
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    何か有効なものがないのか
    といった相談だったんです
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    で 僕はもう これはすごいチャンスだ
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    今まで魚の鱗で ちまちまとした
    1センチ角にモノをつくってたけど
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    これで僕も有名になるかもしれないと思って
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    (笑)
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    すぐさま気仙沼の方に伺いました
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    気仙沼の方に伺うと
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    なんとなんと 僕が想像した以上に
    物事が進んでいたんですね
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    その時 見せられたのが
    出来上がったジーパンだったんです
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    なんと もうできているのか!
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    (笑)
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    だったら 僕の出る幕はないのじゃないのかな
    と思って落胆したところ
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    そこで出てきた話がですね
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    「いや 実は亀井さん
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    カジキマグロの方の成分の分析は
    もちろんお願いしたいんですよ
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    但し もう一つあります」
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    気仙沼という所には実は
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    ホヤ養殖ということをされている
    漁師さんがいっぱいます
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    実はこのホヤ
    皆さん見られたことありますか?
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    こんな形をしています
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    もう悪魔の実みたいな形ですね
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    (笑)
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    でも日本酒と合わせると本当に美味しいんです
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    このホヤというもの
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    実は毎年毎年
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    水揚げ量がどうやら
    3000から8000トンらしいんですよ
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    カジキマグロと1桁違うぞ
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    そして同じように年間300トン
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    こちらのホヤの殻 ゴミとして出てしまいます
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    それが実は 想像以上に地方自治体を
    2014年から苦しめていました
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    今まで漁師さんは自分たちで獲ったホヤ
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    そこの殻を海に静かに
    誰にも見られないように捨てていました
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    だがしかし そうですね
    地方自治体もそれは見逃しません
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    2015年から「これからホヤの殻は
    産業廃棄物として処理してください」
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    という規則ができたのです
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    そうすると このホヤを作っている人
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    ホヤを加工して商品を作っている人たちは
    すごく困ってしまいます
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    それはなぜかというと このホヤの殻
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    1トンを処理するだけで
    1万円の負荷がかかってしまうんですね
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    それは皆さん聞かれたら
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    そんなに大きくないコストだろう
    と思うかもしれませんが
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    この1次産業において
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    そのコストというものは
    非常に重い荷なのです
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    だからこれで何かできないかということを
    及川さんに持ち掛けられました
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    それでここで300トンか
    30トンの10倍だなと
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    これはチャレンジしてみようということで
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    そこから実際私が一番得意としている
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    自然から学び それを工学及びプロダクトに
    応用しているということを始めました
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    こちらに見えるのが ホヤの殻です
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    実は 何日も徹夜をして
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    やっと分かったことなんですけど
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    ホヤは海の中で唯一
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    木と同じ成分を持っている生物らしいです
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    木はセルロースというもので出来ています
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    セルロースは私たちの身の回りに
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    様々な形に姿を変えて
    日常の中に溶け込んでいます
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    例えば今 皆さんが持たれている
    TEDxAizuwakamatsu のパンフレット
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    それも紙で出来ています
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    で 紙はセルロースで出来ています
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    ここで考えたのが
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    セルロースで出来ているということは
    紙に出来るはずだ
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    そして実際調べたところ
    このような細かい繊維を持ち
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    真っ白な和紙を 海の廃棄物から
    作ることができました
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    これは 一見大したことがないように
    見えるかもしれないんですけど
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    海の捨てられてたものが
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    今までは山の木を切って
    わざわざ作ってたものに
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    変えられるんだという新しい気付きが
    ここで生まれたんですね
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    今この材料というものを
    このホヤ由来の繊維単体だけではなくて
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    再生されたPET繊維であったり
    様々なものと折り合わすことによって
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    プロダクトに使える材料に
    姿を変え始めています
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    PET繊維を加えることによって
    防水性も増しますし強度も増します
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    そうすると単純に紙として使うだけでなくて
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    バッグの材料であったりとか
    あとは服であったりとか
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    そういったものに
    応用ができるようになりました
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    この及川さんと一緒に始めたプロジェクトで
    一番大きな学びとしては
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    自然の中にあるものを
    形そのものとして捉えてはいけない
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    その背景にある 何で出来ているのか
    という所まで物事を深めてみることによって
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    海と山が繋がり
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    そして その成果物が私たちの生活の中に
    還元されるということが分かりました
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    私は2011年に 東日本大震災の時に
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    東北大学で工学を学んでいました
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    その時 自然界の中にある
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    様々な造形であったり様々な材料の
    最先端の研究をしていたのですが
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    すぐさま地震があった時に
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    自分がいかに無力なのかということを
    思い知らされてしまいました
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    ずっとずっと自分が今まで蓄積してきた
    知識であったりとか技術
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    そういったものを何かできないか
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    何か東北に還元できないか
    というモヤモヤを持ちながら
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    その3年 過ごしていました
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    その間 自分が得意としていた
    材料工学からは離れて
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    TEDxTohokuという新しいコミュニティ
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    新しいプラットフォームを作りました
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    こちらは東北の
    さまざまな場面で活躍されている —
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    東北のさまざまな場面で
    課題解決であったり
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    魅力を活用したアイディアを作られている方々
    その人たちをお招きして
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    東北の方々であったり世界に発信していく
    そのことによって
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    東北の未来を作っていくアイデアを
    生み出していき 尚且つ育んでいこうという
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    そういったプロジェクトでした
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    そこで私はずっと
    このような形で登壇する側ではなく
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    一人のオーガナイザーとして
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    そういった方々のサポートをする
    立ち位置にいたんですね
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    でもそれが今度 役割が変わろうとしています
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    このような素晴らしい方々
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    片方はそうですね宗教 —
    宗教と東北
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    そして「今後東北の未来が
    どう変わっていくのか」
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    という観点でお話する人だったりとか
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    「農業とIT化が どう東北の
    未来を変えていくか」
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    または 「海外から来た研究者が
    どう福島原発の影響について
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    成果及びその研究を行うことが出来るか」
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    そういったいろんな観点で
    知見を集めてきたのですが
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    その知見の中から 尚且つ私自身の
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    及川さんと一緒に作った
    「ホヤから生まれた材料」
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    その中から 東北の未来において
    大事な視点 —
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    大事な1つの気付きというものは
    何なのかということを
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    この2年考えてきました
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    それを今回 皆様にすごいシンプルな形で
    お伝えしようと思います
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    [変革の時代]
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    まずでも大きな前提として
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    2011年以降 東北地方は
    大きな地震 大きな津波
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    そして福島の原子力発電所の事故を経て
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    変革の時代に突入しています
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    これは破壊を経た故に
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    新しく街であったり
    仕組みというものを作り直そう
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    そういった雰囲気が
    この地方全体に漂っています
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    しばしこの変革の時代と
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    多くの方が 明治維新を重ねられています
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    明治維新は皆様ご存知の通り
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    西洋文化を積極的に日本は取り入れ
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    列強の一員として 大国として成り上がる
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    その一つの大きなきっかけとなる出来事でした
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    これと同じように
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    新しいものを外から取り入れて
    新しい街 新しい地域を作っていこう —
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    そういった動きが
    東北に出てきていると思います
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    しかし実は 私自身はこのことに関して
    少し疑問を持っていました
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    なぜかというと日本の歴史の中を
    よーくよーく見ていくと
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    この明治維新というものは
    大切な日本特有の価値が
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    少しずつ消えていった
    1つのきっかけでもあったからです
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    歴史の中に もっと深く潜り込んでみますと
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    その一つの影響を 実際身近に感じた地域
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    それは福島の会津にあります
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    だからこそ ここにいる会場の方々は
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    復興というものと明治維新を繋げて考えると
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    恐らく私と同じように何か違和感を
    持つのではないかという風に思っております
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    ここでですね 東北の未来というものは
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    「変化」それだけではないんじゃないか?
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    求められてるのは変化なのか?
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    もっと深く言って 変化の「質」が
    求められているのではないか?
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    ではその変化の質 「新しいことをしていく」
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    それよりも大切な視点って
    何なんだろう?というのを
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    今までの経験から考えてみました
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    [豊かな未来]
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    東北にとって
    それは押し付けられた未来ではなくて
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    東北にとって
    一番豊かな未来っていうのは何なのか?
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    それを考えるために一番重要な視点
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    これは「NEW」ではなく「FRESH」
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    この一言に尽きるんじゃないかな
    というのが私の意見です
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    今まで 復興する過程で
    この東北という土地は 外を見て
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    いかに新しいものを この土地に
    もたらせるか?という
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    そういう視点で考えてきました
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    でも実はその「見た目の新しさ」ではなくて
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    「本質的な新しさ」を
    発見するために「新しい視点」
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    これこそが東北の未来を考えるために
    非常に重要となります
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    この「新しい視点」
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    それはどのようにしたら
    培っていけるのでしょうか?
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    それは単純です
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    外から新しいものを取り組む前に
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    まず一人一人が 東北の自然
    東北の課題 東北の街に繰り出て
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    「これは面白いな」
    「これは何で出来ているんだろう?」
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    「これ何かに生かせないか?」
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    そういったおもしろさ 不思議に感じる —
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    今まで問題だと思ってたものを
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    ホヤの和紙と同じように チャンスに変える
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    こういったことが必要となると思います
  • 14:10 - 14:15
    ですので今回 私のプレゼンテーションで
    唯一覚えててほしいのは
  • 14:16 - 14:19
    地域にとって一番幸せな未来を作るためには
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    新しさではなく新しい視点
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    この新しい視点をいかに培うかということを
    意識して欲しいということです
  • 14:29 - 14:30
    ありがとうございます
  • 14:30 - 14:33
    (拍手)
Title:
東北に必要な視点とは|亀井潤|TEDxAizuwakamatsu
Description:

マテリアル・デザイナーの亀井潤 は、東日本大震災をきっかけに廃棄物を有効活用するプロジェクトを開始する。デザイン、エンジニアリング、バイオテクノロジーなどの切り口で様々なアイデアを形にする中で、本質的な新しさを発見するために必要なものは何かについて披露しています。

このビデオは、TEDカンファレンスの形式で地元コミュニティが独自に運営するTEDxイベントにおいて収録されたものです。詳しくは http://ted.com/tedx をご覧ください。

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Video Language:
Japanese
Team:
closed TED
Project:
TEDxTalks
Duration:
14:37

Japanese subtitles

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