犬でマラリアを嗅ぎ出せるとしたら?
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0:01 - 0:07世界では マラリアが今も
死亡原因の上位に入っています -
0:07 - 0:12この20年間の私たちの取り組みで
状況は大きく改善しました -
0:12 - 0:16それでも 世界人口の半分は 依然として
マラリアの危険にさらされています -
0:16 - 0:18実際 2分に1人の割合で
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0:18 - 0:232歳未満の乳幼児が
マラリアにかかって死亡しています -
0:23 - 0:26対策が難航しているのは明らかです
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0:26 - 0:32マラリアへの取り組みには
問題点がいくつもあります -
0:32 - 0:34そのうちのひとつが
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0:34 - 0:38そもそも どのようにしてマラリア感染者を
特定するのかという問題です -
0:38 - 0:42たとえば マラリアに対して
一定の免疫がある人が感染した場合 -
0:42 - 0:49人にうつる状態になっても
症状は全く出ないということがあります -
0:49 - 0:52こうした症状のない人の特定が
大きな課題です -
0:52 - 0:55闇夜に針の穴を通すような難題です
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0:56 - 1:00この問題に科学者たちは
何年も取り組んできましたが -
1:00 - 1:07今日は 解決策が実はすぐ鼻の先に
あったかもしれないという話を -
1:07 - 1:09したいと思います
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1:09 - 1:13さて のっけから重大な統計情報ばかりで
重苦しかったと思いますので -
1:13 - 1:15ここで ちょっと一緒に
リラックスしましょう -
1:15 - 1:17私の緊張も少しほぐれると思います
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1:17 - 1:20深呼吸しましょう
大きく息を吸い込んで… -
1:20 - 1:22(笑)
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1:22 - 1:23フーッと息をはいて…
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1:23 - 1:26おっと 吹き飛ばされちゃいそうです
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1:26 - 1:28もう一度 やってみましょう
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1:28 - 1:31でも今度は鼻だけで
深呼吸してみてください -
1:31 - 1:35そして周囲の様子を
しっかり感じ取ってください -
1:35 - 1:38それにとどまらず 隣の人のニオイも
嗅いでみてください -
1:38 - 1:40知り合いじゃなくても 大丈夫です
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1:40 - 1:43ここは大胆に 脇の下へ
鼻をグイッと押し込みましょう -
1:43 - 1:44ほらほら 遠慮しないで
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1:44 - 1:48脇の下のところで大きく息を吸って
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1:48 - 1:50ニオイを感じてみてください
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1:50 - 1:53(笑)
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1:53 - 1:55皆さん1人1人
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1:55 - 1:59全く違うことを感じたはずです
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1:59 - 2:02「いい香り」と思った人も
いるかもしれません -
2:02 - 2:03香水の香りとか
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2:03 - 2:06反対に不快に感じた人もいるでしょう
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2:06 - 2:11誰かの口臭や体臭がしたとか
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2:11 - 2:13自分の体臭を嗅いだ人も
いるかもしれません -
2:13 - 2:15(笑)
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2:15 - 2:17おそらく何か理由があって
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2:17 - 2:21人によって特定の体臭を
苦手に感じるんだと思います -
2:22 - 2:23歴史を振り返ると
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2:25 - 2:29ニオイに関連付けられた病気は
たくさんあります -
2:29 - 2:33たとえば 腸チフスは黒パンを焼いたような
ニオイがする と言われています -
2:34 - 2:35なかなか いいニオイですよね
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2:35 - 2:38ここからは そうはいきません
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2:38 - 2:40結核は気の抜けたビールのニオイ
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2:40 - 2:45黄熱病は 肉屋のニオイ
生肉のニオイがするといいます -
2:45 - 2:47さらに 病気を表現する言葉に
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2:48 - 2:49注目してみると
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2:49 - 2:51よく使われているのは
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2:51 - 2:56「腐ったような」「腐敗した」
「悪臭がする」「刺激性の」などです -
2:56 - 2:57そういうわけで 当然
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2:57 - 3:00ニオイも体臭も
評判はよくありません -
3:01 - 3:03「におう」と言われたときに
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3:03 - 3:08褒め言葉として受け取る人はいませんよね
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3:08 - 3:11ですが先ほどの実験でお分かりのように
人にはニオイがあります -
3:11 - 3:13これは科学的事実です
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3:13 - 3:15でも これを逆手にとって
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3:15 - 3:18ニオイをプラスのものと捉え
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3:18 - 3:19役立てられるとしたら?
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3:19 - 3:24病気になったときに体が発する
化学物質を検知して -
3:24 - 3:27診断に役立てられるとしたら?
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3:27 - 3:31そのためには高性能センサーの開発が
必要になると思いますよね -
3:31 - 3:36ところが 非常に優れたセンサーが
すでに存在しているんです -
3:36 - 3:39動物と呼ばれるセンサーです
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3:39 - 3:41動物は生来 嗅覚が優れていて
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3:41 - 3:44鼻に頼って生きています
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3:44 - 3:45周囲の様子を感じとり
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3:46 - 3:48重要な情報を得ています
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3:48 - 3:50ようは生死を分かつ重要な情報です
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3:50 - 3:52自分が蚊になったと
想像してみてください -
3:52 - 3:55外から建物に入って
この会場に舞い込んだとします -
3:55 - 3:58ここは非常に複雑な世界です
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3:58 - 4:00四方八方から色々なニオイがします
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4:00 - 4:03さっき実験したとおり
人間には強いニオイがあります -
4:03 - 4:06生成される揮発性化学物質は
人それぞれに違います -
4:06 - 4:08「体臭」の一言では
片付けられないほど -
4:08 - 4:09たくさんの種類があります
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4:09 - 4:11人だけではありません
会場の座席もですし -
4:11 - 4:14カーペットも
カーペットの接着剤も -
4:14 - 4:16壁の塗装も 屋外の木々も
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4:16 - 4:19周囲の全てが ニオイを発しています
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4:19 - 4:23蚊は 非常に複雑な世界を
飛んでいるわけです -
4:23 - 4:27そして この複雑な世界で
あなたを探し出さなければなりません -
4:27 - 4:30皆さん誰もが
答えをご存知の質問をしましょう -
4:30 - 4:32蚊に刺されやすい人は
手を挙げてください -
4:33 - 4:34では 刺されない人は?
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4:34 - 4:38必ず1人か2人 蚊に刺されたことがない
という憎たらしい人がいるんですよね -
4:38 - 4:41蚊にとって あなたを探すのは
至難のわざです -
4:41 - 4:43ニオイを嗅ぎ分けるしかないのですから
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4:43 - 4:46蚊に好かれない人は
嫌なニオイを発しています -
4:46 - 4:48つまりー
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4:48 - 4:49(笑)
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4:49 - 4:52ここでの嫌なニオイは もちろん
蚊にとって嫌なニオイです -
4:52 - 4:53人にとってではなく
-
4:53 - 4:54(笑)
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4:54 - 4:56今わかっているのは
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4:56 - 5:00これを制御しているのは
遺伝子だということです -
5:00 - 5:01蚊が人を選べるのは
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5:01 - 5:04非常に優れた嗅覚を持っているからです
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5:04 - 5:07ごちゃまぜになったニオイを
嗅ぎ分けられるのです -
5:07 - 5:12だから あなたに狙いを定めて
血を吸いに来るのです -
5:12 - 5:17次に 皆さんのうち1人がマラリアに
感染していると どうなるでしょうか -
5:17 - 5:20まずマラリアのライフサイクルを
見てみましょう -
5:20 - 5:21なかなか複雑です
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5:21 - 5:25基本的に 蚊がマラリアに感染するのは
人を刺したときだけです -
5:25 - 5:27蚊がマラリア感染者を刺すと
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5:27 - 5:30マラリア原虫が口から中腸へと侵入します
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5:30 - 5:33そして 中腸を突き破って嚢胞を作ると
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5:33 - 5:35原虫の増殖が始まります
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5:35 - 5:39次にマラリア原虫は
中腸から唾液腺まで移動して -
5:39 - 5:43次の人を刺すときに
一緒に送り込まれます -
5:43 - 5:45蚊は人を刺すとき
唾液を注入するからです -
5:45 - 5:48そして 人の体内で
次のサイクルが始まります -
5:48 - 5:50次のステージでは
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5:50 - 5:52肝臓段階を経て 形が変わり
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5:52 - 5:53また血流に乗って
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5:53 - 5:57最終的に人にうつる状態になります
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5:57 - 6:00寄生虫について
1つわかっているのが -
6:00 - 6:03やつらは宿主を操ることに
非常に長けている という点です -
6:03 - 6:05目的は 感染力を高め
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6:05 - 6:07確実に次の宿主にうつしてもらうこと
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6:07 - 6:09マラリアの場合はどうでしょう?
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6:09 - 6:14ニオイに関係する何かを操っていると
考えるのが妥当でしょう -
6:14 - 6:16なぜなら 蚊の世界では
ニオイこそが -
6:16 - 6:18人間を探し出す
手がかりなのですから -
6:19 - 6:23これが いわゆる
マラリアによる宿主操作の仮説で -
6:23 - 6:26この数年 私たちが研究している
題材でもあります -
6:27 - 6:30この研究で最初に確認したかったことが
いくつかあって -
6:30 - 6:34その1つが マラリアに感染すると
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6:34 - 6:37本当に蚊が寄って来やすくなるのか
という点でした -
6:37 - 6:40このために 同僚と
ケニアで実験を計画しました -
6:40 - 6:44ケニアの子どもにテントで
寝泊まりしてもらいます -
6:44 - 6:48そして テントのニオイを
蚊の入った小屋に送り込みます -
6:48 - 6:51蚊がニオイに反応して
どんな行動を取るのかを観察しました -
6:51 - 6:54ニオイに近づいていくのか
それとも 遠ざかるか -
6:54 - 6:56これは そのニオイを
好きか否かで決まります -
6:56 - 6:59被験者には マラリア感染者と
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6:59 - 7:01非感染者がいましたが
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7:01 - 7:02重要な点として
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7:02 - 7:05どの子もマラリアの症状は皆無でした
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7:07 - 7:11結果を目にしたときは
唖然としました -
7:11 - 7:13マラリアに感染している子どもは
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7:13 - 7:17感染していない子どもよりも
ずっと蚊に好かれていたのです -
7:17 - 7:18グラフで説明しましょう
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7:18 - 7:21「子どもに近づいていった蚊の数」を
示しています -
7:21 - 7:24データは治療前と治療後の
2種類あります -
7:24 - 7:25棒グラフの左端は
-
7:25 - 7:28感染していない被験者グループです
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7:28 - 7:30右に移動するにつれて
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7:30 - 7:32感染が進んでいき
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7:32 - 7:35人にうつる状態になっていきます
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7:35 - 7:37この状態の子どもには
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7:37 - 7:40寄っていく蚊が急増しているのです
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7:40 - 7:42この研究の次のステップは
-
7:42 - 7:44もちろん子どもたちの治療です
-
7:44 - 7:47マラリア原虫を駆除してから
もう1度同じ実験をしました -
7:48 - 7:52すると 蚊が寄っていきやすい
という以前の特徴が -
7:52 - 7:54治療後には消えていたのです
-
7:54 - 7:56つまり 単に蚊に好かれるタイプ
というだけではなく -
7:56 - 8:00寄生しているマラリア原虫が
何らかの方法で宿主を操って -
8:00 - 8:02蚊に好かれるようにしていたのです
-
8:02 - 8:06宿主をはっきりと目立たせて
蚊をおびき寄せることで -
8:06 - 8:08ライフサイクルを
続けられるようにしていたのです -
8:08 - 8:10次に確認したかったのは
-
8:10 - 8:13蚊はいったい何のニオイを嗅ぎ
何を検知しているのかという点でした -
8:13 - 8:17このためには 被験者の体臭を
集める必要があります -
8:17 - 8:20そこで被験者の足を袋に入れて
-
8:20 - 8:22足から出る揮発性のニオイを集めました
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8:22 - 8:24足は蚊にとって非常に特別です
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8:24 - 8:27蚊は足のニオイに目がないのです
-
8:27 - 8:28(笑)
-
8:28 - 8:31特にチーズ臭の足が大好物
チーズ臭の足の人はいますか? -
8:31 - 8:33蚊にとっては
たまらないニオイです -
8:33 - 8:35こういうわけで 足に重点を置いて
体臭を集めました -
8:35 - 8:39こと蚊と嗅覚の話になると
蚊の嗅覚は -
8:39 - 8:40とても複雑です
-
8:40 - 8:431つの化学物質しか検知しないのなら
いいのですが -
8:43 - 8:45そうはいきません
-
8:45 - 8:48蚊はたくさんの化学物質を
-
8:48 - 8:53正しい濃度、比率、組合せで
検知しなければなりません -
8:54 - 8:57ある意味 楽曲のようなものです
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8:57 - 9:01音符を間違えたり
強弱を変えたりすると -
9:01 - 9:02おかしくなります
-
9:02 - 9:04あるいはレシピのようなもの
材料を間違えたり -
9:04 - 9:08調理時間に過不足があったりすると
狙った味にはなりません -
9:08 - 9:10ニオイも同じで
-
9:10 - 9:13ひと揃いの化学物質が正しく組み合わされて
はじめて そのニオイになります -
9:13 - 9:15うちのラボにある設備は
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9:16 - 9:19こういった複雑な信号の区別が
あまり得意ではありません -
9:19 - 9:23でも動物にはこの能力があります
こういうわけで ラボでは -
9:23 - 9:28蚊の触覚に微小電極をつなぐ
ということをしています -
9:28 - 9:30緊張感いっぱいの作業です
-
9:30 - 9:31(笑)
-
9:31 - 9:35しかも 触覚を構成する細胞の
1つ1つにつなぐんです -
9:35 - 9:37信じられないでしょう
-
9:37 - 9:40当然 この実験中のクシャミは禁物です
-
9:40 - 9:42この作業を行うことで
-
9:42 - 9:45触覚にある嗅受容器の電気的反応を
測定できるようになるので -
9:45 - 9:49蚊が何のニオイを嗅いでいるかを
視覚化できます -
9:49 - 9:51どんな風に見えるかお見せしましょう
-
9:51 - 9:52ここに虫の細胞があります
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9:52 - 9:55私がこのボタンを押すと
すぐに反応が始まり -
9:55 - 9:58最初はまばらな波が見えます
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9:58 - 10:00細胞にニオイを吹きかけると
-
10:00 - 10:02反応が激しくなり
ブーンという振動音に変わります -
10:02 - 10:06そしてニオイを止めると
静止電位に戻ります -
10:06 - 10:13(高ペースの反応音)
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10:13 - 10:19(うなるような低い反応音)
-
10:19 - 10:26(高ペースの反応音)
-
10:26 - 10:27こんな感じです
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10:27 - 10:29これでお家の人に自慢できますね
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10:29 - 10:35虫がニオイを嗅ぐのを見て 音まで聞いた と
奇妙な切り口ですが 非常に有効な方法です -
10:35 - 10:38蚊が何を検知しているのかが
これでわかります -
10:38 - 10:41手持ちのマラリアのサンプルを
この方法で調べることで -
10:41 - 10:44蚊が何を検知しているかを
突き止めることができました -
10:44 - 10:47マラリアを区別するための
化合物がわかったのです -
10:47 - 10:52主にアルデヒド類で マラリアを示す
信号となるニオイの化合物群です -
10:52 - 10:54これがマラリアのニオイの正体です
-
10:54 - 10:57蚊をバイオセンサーとして使って
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10:57 - 11:01マラリアのニオイが実は何なのか
解明したというわけです -
11:01 - 11:03想像してみてください
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11:03 - 11:07ちっぽけな蚊にハーネスのような
ベルトを取り付けて -
11:07 - 11:09ヒモにつないで街を散歩しながら
-
11:09 - 11:13人のニオイを嗅がせることができたら?
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11:13 - 11:17それで実際にマラリア患者を見つけられるか
実験できたら と思うことがあります -
11:17 - 11:20もちろん現実的には無理な話ですが
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11:21 - 11:24ところが このアイデアを実現できる
動物がいたのです -
11:24 - 11:27犬は非常に鋭い嗅覚を持っていて
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11:27 - 11:29しかも それ以上に重要な特徴を
備えています -
11:29 - 11:31学習能力です
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11:31 - 11:33皆さんご存知のように
このコンセプトで -
11:33 - 11:38空港では 列に並ぶ人や荷物を
犬に嗅がせて -
11:38 - 11:41麻薬や爆発物 さらに食物まで
チェックしています -
11:41 - 11:47そこで 実際に犬にマラリアのニオイを
教えられるのか知りたくなったわけです -
11:48 - 11:51メディカル・ディテクション・ドッグ
という慈善団体と協力して -
11:52 - 11:56犬にマラリアのニオイを覚えさせるという
訓練に取り組んでいます -
11:56 - 11:59このためにガンビアに行って
さらにニオイを収集してきました -
11:59 - 12:01感染者と非感染者の子どものニオイです
-
12:01 - 12:04今回はニオイを集めるために
-
12:04 - 12:07子どもたちに靴下やストッキングを
履いてもらいました -
12:07 - 12:08体臭を採取するためです
-
12:08 - 12:10この靴下を英国に持ち帰り
-
12:10 - 12:14この団体に渡して
実験してもらいました -
12:15 - 12:19ここでグラフをお見せして
実験の様子を説明することもできます -
12:19 - 12:21でも それでは少しつまらないですよね
-
12:23 - 12:29子どもや動物の生出演は避けるように
と言われていますが -
12:29 - 12:31今日はこの掟を破ります
-
12:31 - 12:35それではステージに登場してもらいましょう
フレヤです -
12:35 - 12:37(拍手)
-
12:37 - 12:42そして トレーナーのマークとサラです
-
12:42 - 12:45(拍手)
-
12:45 - 12:47今日の本当の主役は もちろんフレヤです
-
12:47 - 12:48(笑)
-
12:48 - 12:50ここで 皆さんにお願いがあります
-
12:50 - 12:55なるべく声を立てずに
じっとしていてください -
12:55 - 12:57この場はフレヤにとって
全く慣れない環境です -
12:57 - 12:59皆さんのことが非常に気になっています
-
12:59 - 13:02ですので できるだけ
静かにしてあげてください -
13:03 - 13:06さて ここでフレヤに
何をしてもらうか というと -
13:06 - 13:08一列に並べた装置の前を
歩いてもらいます -
13:08 - 13:11それぞれの装置には
容器が入っています -
13:11 - 13:15容器の中にはガンビアの
子どもの靴下が1枚ずつ入っています -
13:15 - 13:193枚はマラリアに感染していない
子どもが履いた靴下です -
13:19 - 13:23マラリアに感染した子どもの靴下が
1枚だけあります -
13:23 - 13:26これが空港で見るような人の列だと
想像してみてください -
13:26 - 13:29犬が順番にニオイを確認していく
という状況です -
13:29 - 13:33フレヤがマラリアを検知する様子を
そして検知できるかどうかを -
13:33 - 13:34見ていただきましょう
-
13:34 - 13:37フレヤには非常に特殊な環境なので
とても難しいテストです -
13:37 - 13:40では マークにバトンタッチします
-
13:56 - 13:59(笑)
3番目ですね -
13:59 - 14:00(拍手)
-
14:00 - 14:01こんな感じです
-
14:01 - 14:04どの容器が正解だったのかは
私もマークも知りません -
14:04 - 14:07正真正銘のブラインド・テストです
サラ 正しい箱でしたか? -
14:07 - 14:08(サラ)はい
-
14:08 - 14:12正解でした フレヤ よくやった!
素晴らしい出来です -
14:12 - 14:14(拍手)
-
14:14 - 14:16本当に見事でした
-
14:16 - 14:19それでは ここでサラに容器を
入れ替えてもらい -
14:19 - 14:22マラリアのニオイをつけた靴下を
取り除いて -
14:22 - 14:28今度は マラリアに感染していない子どもの
靴下を入れた容器だけを使います -
14:28 - 14:31理論上は フレヤは止まらずに
列を進んでいくはずです -
14:31 - 14:33これも非常に重要なことです
-
14:33 - 14:37非感染者の特定も必要だからです
この判別もできなければなりません -
14:37 - 14:38非常に難しいことをしています
-
14:38 - 14:422年間 冷凍庫で保管されていた靴下ですし
-
14:42 - 14:44それをさらに切り取った
小さな布を使っています -
14:44 - 14:48人を嗅ぐときと違って
あからさまな手がかりが得られないので -
14:48 - 14:49ものすごいことなんです
-
14:49 - 14:51では マーク お願いします
-
14:58 - 14:59(笑)
-
14:59 - 15:00(拍手)
-
15:00 - 15:02よくやった 素晴らしい
-
15:02 - 15:05(拍手)
-
15:05 - 15:09フレヤ、マーク、サラ ありがとう
盛大な拍手をお願いします -
15:09 - 15:10見事でした
-
15:11 - 15:13(拍手)
-
15:13 - 15:17本当に優秀な子ですね
あとでオヤツをもらえるはずです -
15:17 - 15:18素晴らしい出来でした
-
15:19 - 15:21今 皆さんにお見せしたのは
-
15:21 - 15:24正真正銘のライブです
私もハラハラしました -
15:24 - 15:26うまくいって本当によかったです
-
15:26 - 15:27(笑)
-
15:28 - 15:30これは本当にすごいことなんです
-
15:30 - 15:32今のところ 探知犬たちは
-
15:32 - 15:3781%の割合でマラリア感染者を
正しく判別できます -
15:37 - 15:38並外れています
-
15:38 - 15:43非感染者の場合は92%の割合で
正しく判別できます -
15:43 - 15:44この数字はどちらも
-
15:44 - 15:49世界保健機関(WHO)の定める
診断基準を上回っています -
15:49 - 15:55私たちは 各国 とりわけ入国港に
犬を配置できないか真剣に検討しています -
15:55 - 15:58そこでマラリア感染者を
検知させるのです -
15:58 - 16:00これが現実になる日が来るかもしれません
-
16:01 - 16:03その一方で 犬は
どこにでも配置できるわけではありません -
16:03 - 16:09ですので 同時進行で技術開発の
検討も進めています -
16:09 - 16:15身に着けた人が自己診断できるような
ウェアラブル技術です -
16:15 - 16:17たとえば肌にパッチを貼り付けて
-
16:17 - 16:22汗からマラリア感染を検知すると
変色するというものもいいでしょう -
16:22 - 16:24あるいは もう少しハイテクなもの
-
16:24 - 16:28マラリアに感染したことを教えてくれる
スマートウォッチもいいかもしれません -
16:28 - 16:32これをデジタル化して
データ収集できるとしたら? -
16:32 - 16:37世界規模で収集できるデータ量を
想像してみてください -
16:37 - 16:39今までに全くなかった方法で
-
16:39 - 16:41病気伝播を追跡したり
-
16:41 - 16:45予防対策を立てたり 集団発生に対応したり
できるかもしれないのです -
16:45 - 16:49最終的にマラリアの撲滅に貢献する
可能性を秘めています -
16:49 - 16:51マラリアだけではありません
-
16:51 - 16:54ニオイがすることがわかっている
他の病気も同じです -
16:54 - 16:57自然の力を利用して
ニオイの正体を突き止められれば -
16:57 - 17:00同じように実用化できます
-
17:01 - 17:04科学者としての私たちの使命は
-
17:04 - 17:08新しいアイディアや
新しい考え方・技術を見つけて -
17:08 - 17:12世界の大きな問題に取り組むことです
-
17:12 - 17:14いつも驚かされるのですが
-
17:14 - 17:19自然界に解決策を教えられることは
少なくありません -
17:19 - 17:20答えは
-
17:20 - 17:22鼻のすぐ先にあったのです
-
17:23 - 17:24ありがとうございました
-
17:24 - 17:27(拍手)
- Title:
- 犬でマラリアを嗅ぎ出せるとしたら?
- Speaker:
- ジェームズ・ローガン
- Description:
-
人の体が発するニオイを使って、世界で猛威を振るう病気を診断できるとしたら? 生物学者ジェームズ・ローガンの臨場感あふれるトークは話だけにとどまりません。マラリア探知犬フレヤをステージに呼んで、動物のもつ嗅覚という素晴らしい力を借りて、伝染病の化学的な識別特性を検出するという、革新的な病気の診断方法を披露します。
- Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TEDTalks
- Duration:
- 17:40
Riaki Ponist edited Japanese subtitles for How we're using dogs to sniff out malaria | ||
Riaki Ponist approved Japanese subtitles for How we're using dogs to sniff out malaria | ||
Riaki Ponist accepted Japanese subtitles for How we're using dogs to sniff out malaria | ||
Riaki Ponist edited Japanese subtitles for How we're using dogs to sniff out malaria | ||
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Masako Essick edited Japanese subtitles for How we're using dogs to sniff out malaria | ||
Masako Essick edited Japanese subtitles for How we're using dogs to sniff out malaria |