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Title:
インターネットの申し子: アーロン・スワーツの物語
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Description:
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[♪ ♪ ♪]
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不正な法律が存在する;
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その時私たちは甘んじてそれに従えばよいのか、
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あるいはそれを修正しようと努め、
その試みが成功するまではそれに従う方がいいのか、
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それともただちに法を犯す方がいいのか?
─ ヘンリー・デイヴィッド・ソロー
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ソーシャルニュースサイトRedditの共同設立者が
遺体となって発見されました。
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彼はまさに神童でしたが、
彼自身はそう考えてはいませんでした。
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彼はビジネスや金儲けには
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全く興味がありませんでした。
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今夜、アーロン・スワーツの地元ハイランドパークでは
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インターネットの名士の1人に別れを告げようと、
彼の死を深く悼んでいます。
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自由、オープンアクセス、コンピューター、
それぞれの活動家らが彼の死に哀悼の意を示しています。
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彼を知る人によれば「驚くべき頭脳の持ち主」。
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その彼は自身の持つ基本原則をすべて裏切った
政府とMITによって殺されました。
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彼らはアーロンを見せしめにしたかったのでしょうか?
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政府にはコントロールしたいという貪欲さがあるのです。
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彼は35年の服役と100万ドルの罰金を
受ける可能性があります。
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訴追への熱意に対し疑問を提起します、
もっと言えば職権乱用であるように私は思います。
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どういった根拠を調査し、この結論に至ったのですか?
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成長するってのはつまり、身の回りの物や、
僕に語りかける人々全てが
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[アーロン・スワーツ 2010年]:
自然な、あるべき姿で存在するってことを
少しずつ自覚するプロセスなんだ。
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全てが自然だというわけじゃない、
その中には変わっていくものもあれば、
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もっと重要な、間違っていて、
変えなければならないものもある。
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一度それを理解したら、もう後には引けないんだ。
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インターネットの申し子
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絵本を読む時間だよ。
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本の名前は「パディントンとゆうえんち」。
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[アーロンの父親]:
そう、彼はハイランドパークで生まれ育ちました。
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アーロンは3人兄弟の1人で、とても利発な子でした。
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「ほら、箱がひっくり返るわよ……」
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「もう自由よ……」
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[アーロンの兄弟]:
兄弟みな、お行儀のいい子供じゃなかったですね。
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しょっちゅう走り回っていて、問題を起こしてました。
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「こら、だめ、だめよ!」
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- アーロン!
- どうしたの?
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でもアーロンがとても若くして
学び方を習得していることに気付いていました。
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「ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ、
シックス、セブン、エイト、ナイン、テン」
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- トン!トン!
- だぁれ?
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- アーロンだよ。
- アーロンって?
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- 芸人アーロンだよ。
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やりたいことがわかっていて、
そしていつもやりたがっていました。
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[アーロンの母親]:
やりたいことには常に秀でていました。
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彼の好奇心は尽きることがなかった。
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「惑星についての図表だよ」
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「それぞれの惑星は記号を持ってる、水星の記号、
金星の記号、地球の記号、火星の記号、木星の記号」
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ある日、彼がSusanに、「この『ハイランドパーク
商業地区家族向け無料イベント』って何?」
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「ハイランドパーク商業地区で家族向け無料イベント」
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この時3歳ですよ。
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妻が、「一体何のこと?」と聞くと、
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彼は、「見て、冷蔵庫に貼ってあるよ、
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『ハイランドパーク商業地区家族向け無料イベント』」
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妻は読めることにとても驚いていました。
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これは「私の家族のセデル」。
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『このセデル(訳注:ユダヤ教の過ぎ越しの祭りの初日に
開かれる晩餐)は他と違う特別な夜なのです』
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シカゴ大学図書館でのことを覚えているよ。
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19世紀末からあるような本棚から本を取り出して、
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それを彼に見せながら、
「わかるかい、ここは特別な場所なんだ」
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僕たちは皆好奇心旺盛な子どもだったけど、
アーロンは学ぶのも教えるのも本当に好きでしたね。
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「今日教えるのは、逆順のABCです」
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「Z、 Y、 X、 W、 V、 U、 T……」
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彼が初めての代数の授業から
家に帰ってきた時のことを思い出します。
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彼が、「ノア、代数を教えてあげる!」
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そして僕が、「代数って?」という感じで。
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彼はいつもそんな調子でした。
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「ここでクリックボタンを押そう、それ!よしできた」
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「ピンクに塗られたよ」
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彼が2、3歳の頃、夫が彼にコンピューターを教えたんです。
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それ以来彼は我を忘れてコンピューターに夢中になりました。
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[赤ちゃん言葉]
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みんなコンピューターを持ってましたが、
アーロンは本当にパソコンに、ネットにはまってましたね。
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- コンピューター使ってるの?
- ううん……
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これ……ねぇママ、どうして動かないの?
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彼はとても小さい頃からプログラミングを始めました。
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[アーロンの兄弟]:
私が一緒に書いた最初のプログラムはBasicで、
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スターウォーズのトリビアゲームでした。
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彼はコンピューターのある地下室で一緒に座って、
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何時間も、そのゲームをプログラミングしていました。
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彼に対して僕が抱えていた問題は、
僕にはもうやりたいことがないけれど、
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でも彼には、いつもやりたいことがある。
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いつもプログラミングで解決できる何かがあったんです。
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アーロンはいつも、プログラミングは
魔法だと捉えていました。
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普通の人間にはできないことを彼はやり遂げることができた。
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アーロンはマッキントッシュや段ボール箱などを
使ってATMを製作しました。
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ある年のハロウィン、
僕が何をすべきか思いつかなかった時、
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彼は自分の新しいお気に入りのコンピューターの
仮装をしたらとてもクールなんじゃないかと考えたんだ、
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初期モデルのiMacにね。
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彼はハロウィンの仮装は嫌がっていたけど、
自分が見たい仮装を
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他人に着させるよう説得するのが好きでしたね。
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「司会はアーロン、もう!ほらこっちへ来て、カメラを見て!」
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「スパイダーマンもカメラを見て!」
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彼は人々が情報を書き込むことのできる
The Infoという名のウェブサイトを作りました。
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金箔の箔置きについてなら何でも詳しい人がいるとしましょう。
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このウェブサイトにはそうした人たちが知識を書くことが
できる。そして他の人たちが後からやって来て、
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そして情報を読み、悪いところがあれば
それを編集できる。
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Wikipediaとちっとも違わないでしょう?
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そしてこれはWikipediaのスタート前で、
彼は12歳でこれを開発したんです、
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彼の部屋で、古い技術を使って
自分自身で小さいサーバーを走らせていました。
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ある先生の反応は、こんな感じでした:
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「ひどいアイデアだ、他人に辞書、
百科辞典の編纂をさせるなんて。
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学者たちは私たちにこういった本を
書くために存在するんだ。
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どうしてこんなひどいアイデアを考えた?」
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僕たち兄弟はその後、
「ああ、Wikipedia、クールだね。
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でも家にあったよ、そう、5年前にね。」
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アーロンのサイト、theinfo.orgは
ケンブリッジにあるウェブデザイン会社、
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ArsDigitaが主催した学校コンテストで受賞した。
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ケンブリッジに行くことになったんだ……、
彼がArsDigita賞を取ったので、
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アーロンが何をしたのか皆目見当がつかなかった。
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その賞がとても重要なんだということはわかっていたけど。
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程なくアーロンはオンラインのプログラミング
コミュニティと関わりを持つようになり、
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Webの新しいツールを構想していく。
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彼がやってきて僕に言ったんだ: 「ベン、
僕が作ってるすごいものがある」
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「これをぜひ聞いて欲しいんだ!」
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「へぇ、なんだいそれ?」
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「RSSっていうんだ」
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それから彼はRSSがどういうものか説明してくれて……
「なんで便利なの、アーロン?」
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「それをサイトに使ったとして、一体なぜ使いたくなるの?」
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RSSや、もっと一般的なXMLといったものを
開発している人たちのメーリングリストがある。
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そしてそこにはアーロン・スワーツという名の
人物がいて、とても負けず嫌いで頭が良く、
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[作家、活動家、ジャーナリスト、アーロンの友人]:
たくさんの良いアイデアを持っていて、
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でも顔合わせのミーティングには来たことがないんです。
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そこでいつかミーティングに来ないの?と聞いたら、
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彼が言うには、「その、母がなんと言うかわからないんです。
僕は……14歳になったばかりなので。」
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その時の彼らの最初の反応は、「えーっと、
この1年一緒に働いていたこの同僚は
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その時13歳で、今ちょうどたったの14歳か」
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次の反応は、
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「なんてことだ、これはぜひ会わなきゃ。
こりゃすごいことだぞ!」
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彼はRSSの仕様を策定する委員会の1人でした。
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彼は最新のハイパーテキストを
パイプライン処理する機能の構築を手伝っていました。
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RSSにおいて彼が作業していた箇所は、
他のウェブページに載っているものから
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[電子フロンティア財団 技術プロジェクトディレクター
アーロンとは以前ルームメイト]:
要約を作ることができるツールでした。
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通常は、ブログにこのツールを使える。
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読みたいブログが10から20あったとする。
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そのRSSフィード、ブログに今
書かれている記事の要約を使って、
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そういったもの全てをひとまとめにした
リストを作ることができる。
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アーロンはとても若かったけど、この技術を
理解していたし、これを不完全だと見ていて
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もっと良くする方法を探していました。
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それから彼の母親が彼をシカゴの空港から見送り、
私たちはサンフランシスコで彼を迎え、
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彼との議論に興味を持つ人たちと引き合わせた、
そして彼の奇妙な食習慣には驚かされましたよ。
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彼は蒸した米といった白い食べ物しか
食べないんです、炒めた米は十分白くないからと、
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それに白いパンなど……。
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そしてその少年の小さな口から飛び出す、
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議論の質の高さにも驚かされました。
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偏食による壊血病で死んだりしなければ、
きっと何かやり遂げると思える少年でした。
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アーロン、君の番だ!
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違いは、ドットコム企業は
作れないということだと思います。
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確かにインターネットでドックフードを売ったり、
携帯でドックフードを売ったりはできないでしょう。
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でも、まだ多くのイノベーションが今起こっている。
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このイノベーションが見えていないというなら、
あなたは現実から目を背けているんだ。
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かれはまるでオタクのリーダーのように振舞っていました、
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こんな感じで、「僕はあなたより賢い、
賢いからあなたより鋭い、
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だから何をすべきか断言できるんだ」
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なんというか、不愉快な奴を
もっとひどくした感じでした。
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そしてそれらのコンピューターを1つにまとめて、
大規模な課題を解決することができる、
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宇宙人を探すとか、がんを治すとか言った課題に。
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最初の出会いはIRC、つまり
インターネットリレーチャットでした。
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[WWWの発案者]:
彼はコードを書くだけでなく、自分が見つけた問題を
解決することに熱心な人間を見つけてくるんです。
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彼は知らない人同士をつなぐ「コネクター」でした。
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彼の意欲の大部分はフリーカルチャー運動から来ていましたね。
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アーロンは世界を機能させようとしていたんだと
思います。世界を修理しようと。
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[マギル大学・ウルフ科学技術リテラシー講座 教授]:
彼は時々はっきりと腹を立てるような
とても強い個性を持っていました。
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この一件では彼は必ずしも常に世界に満足していなかったし、
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世界も、彼を満足させなかったんです。
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アーロンは高校に進むと学校にとてもうんざりしていました。
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彼は学校が、行われたどんな授業も、
先生も気に入りませんでした。
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アーロンは情報を得る方法を知りたがってました。
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彼いわく:「幾何学の方法を学ぶために
先生のところに行く必要はない。
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幾何学の本を読めばいい。
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アメリカの歴史についての見解を学ぶために
先生のところに行く必要はない。
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僕は3つの史料を持っていて、それを読めばいい。
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そして僕の興味はそんなことじゃない、ウェブなんだ」
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学校にとても不満を感じていたんだ、先生たちは
自分たちが話してる内容を理解してないと思う。
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彼らは支配的で管理的、宿題なんてのはまやかしで、
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生徒たちを全員閉じ込めて勉強を強制する手段でしか無い。
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そして教育の歴史、この教育システムがどのように
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開発されたのかに関する本を読み始めた。
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そして、その代替手段、先生たちから
言われたことを鵜呑みにするだけの
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教育とは対照的な、本当に物事を学べる手段について。
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どうしてここにいるのかを学校に問いかけたその時から、
物事を問いかける生き方を歩むようになった、
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学校を作った社会に問いかけ、
学校で訓練を受ける目的である企業に問いかけ、
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こういった体制を築いた政府に問いかけてきた。
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彼が特に初期の頃に熱心だったものの1つが、著作権ですね。
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著作権は出版社と読者にとって常に負担となってきました、
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しかしそれは過度の負担ではなく、
人々が対価を支払うことを確実にするために
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講じられた、合理的な制度でした。
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アーロンの世代が経験したのは、この古い著作権システムと、
インターネットとウェブによって
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構築される新しい素晴らしいものとの間での衝突でした。
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そうしたものがぶつかり合い、カオスとなったのです。
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彼はその後ハーバード大学の法律学教授、その時最高裁で
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著作権法を変えようとしていたローレンス・レッシグに出会う。
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若かりしアーロン・スワーツは最高裁審理を
傍聴しにワシントンに飛んだ。
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僕はアーロン・スワーツ、エルドラッド論争(訳注:著作権保護
期間延長法に対する違憲訴訟)を傍聴しにここに来ました。
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なぜエルドラッド論争を見るためにシカゴから飛行機で
かれこれここまでやってきたの?
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それはちょっと難しい質問ですね……、
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よくわからない、最高裁を傍聴することに
とても興奮している、
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特に今回のような名高い事例では。
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レッシグはインターネット上での著作権を
規定する新しい方法を押し進めていた。
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それがクリエイティブ・コモンズだ。
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クリエイティブ・コモンズの基本アイデアは
人々、クリエイターたちの
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[ハーバード大学エドモンド・J・サフラ財団倫理センター所長
クリエイティブ・コモンズ創設者]:
創作性に対し、その自由な
取り扱い方を表示するシンプルな方法です。
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著作権が「全ての版権を所有します」だとすると、
これは「いくつかの版権を所有します」といったモデルです。
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こういったことを簡単にあなたに伝えたい:
私の創作物を使ってこういうことができます、
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事前に私からの許可が必要なことがあっても。
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そしてアーロンはコンピューターの部分を担当していました。
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シンプルで理解でき、
機械が処理できる形で表される
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ライセンスをどのように設計するかといったことを。
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人々は、「なぜ15歳の少年にクリエイティブ・コモンズの
仕様書を書かせているんだ?
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大問題だと思わないのか?」
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レッシグは、「一番の問題は私たちが
この少年のことを聞き及んでいないことだ」
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彼はなんとか演壇に立てるぐらいしか背が高くなくて、
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加えて移動式の演壇だったので、扱いに厄介で、
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液晶画面を開くと、誰も
顔を見られなくなってしまってね。
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この私たちのウェブサイトを訪れた際、
「ライセンスを選ぶ」ページへ行きます。
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オプションのリストが表示され、
その内容が説明され、3つの質問を受けます。
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「著作権者表示を求めますか?」
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「あなたの作品の商用利用を認めますか?」
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「あなたの作品の改変を認めますか?」
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大人たちが息子を大人として扱っていることにとても驚きました。
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そしてアーロンは満員の観衆の前に立ち、
そしてクリエイティブ・コモンズのために
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作成したプラットフォームについて語り始めました。
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観衆全員が息子の話を聞き、そして……
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私はその後ろに座ってこう思っていました:
息子はまだ子どもよ、なぜみんな耳を傾けてるの?
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でも彼らは聞いていました。
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ええ、私には完全に理解できたとは思いません。
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アーティストへの対価の保証が
足りないという批評にもかかわらず、
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クリエイティブ・コモンズの成功は甚大なものだった。
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現在ウェブサイトFlickrだけでも、2億人以上が何らかの
形でクリエイティブ・コモンズライセンスを利用している。
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彼は自身の技術的才能を通じて貢献し、
なおかつそれは彼にとって技術的課題以上のものでした。
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アーロンは自身のブログにたびたび率直に綴っている:
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僕は深く物事について考えている、
そして同じように人々にも深く考えて欲しい。
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僕はアイデアのために活動し、そして人々から学ぶ。
人間を埒外に置くのは好きではない。
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僕は完璧主義者だ、しかし出版の
妨げになるようなことはしたくない。
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教育やエンターテインメントを別にすれば、
影響を与えないようなことに
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時間を無駄にしたくないんだ。
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みんなと友達になりたい、しかし
僕に対し真剣でない時は嫌うよ。
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恨んだりはしない、だって生産的じゃないから、
でもそれは経験として学ばせてもらう。
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僕は世界をより良くしたいんだ。
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2004年、スワーツはハイランドパークを離れ、
スタンフォード大学に入学する。
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彼はとても厄介な潰瘍性大腸炎に罹り、
投薬を受けている彼がとても気がかりでした。
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彼は入院し、毎日たくさんの薬を飲まなければならなかった、
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そしてそのうちの1つがステロイド剤で、
彼の成長を阻害し、
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他の学生たちと自分は違うんだと考えるようになっていきました。
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アーロンはたぶん奨学金のために大学に顔を出し、
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この4年間で企業のリーダーや1%の富裕層になるような
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早熟の高校生をまるで子守でもするような
プログラムをあざとく見つけるんだろうな、
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そしてそれは彼を狂わせるのでは、と思っていました。
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2005年、1年だけ在学したあと、
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スワーツはポール・グレアム率いる新しいスタートアップ
インキュベーション、Y Combinatorの出資を受ける。
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彼は、「やあ、ウェブサイトのアイデアがあるんだ」
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ポール・グレアムは彼を気に入ってて、
「ああ、いいとも」って。
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アーロンは大学をドロップアウトして、
このアパートに移り住んで……
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ここがアーロンが使っていたアパートだ。
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アーロンが金もなく、その上大学を
ドロップアウトしたせいで、アパートを借りるのが
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どんなに大変だったかを父が話してくれた、
そんな漠然とした記憶があるよ。
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アーロンは今リビングルームになってる所に住んでて、
住んでた頃に貼ってあったポスターがいくつか残ってるよ。
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そしてここが書庫、もっと本があるけど、
ほとんどはアーロンの本だ。
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Y combinatorの出資を受けたアーロンのサイトの名は
「infogami」、ウェブサイト構築ツールだ。
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しかしinfogamiはユーザーの獲得に苦しみ、
そこでスワーツは最終的に
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支援を必要としていた別のY Combinatorの
プロジェクトと自身の会社とを合併する。
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それがスティーブ・ホフマンとアレクシス・オハニアンを
リーダーとするプロジェクト、「Reddit」だ。
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ほとんど何もないところから
始めました。お金も、コードも、
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そして日に日に、人気のある巨大サイトへと成長していき、
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終わりそうにありません。
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最初の1000ユーザーから1万、そして2万、
そしてさらに、信じられません。
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Redditは巨大に、そしてインターネットの
オタクコーナーみたいなものになっていきました。
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ユーモアあり、アートあり、そしてサイトに群がる人々、
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毎朝ニュースをチェックしにやってくる
メインサイトになっていった。
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Redditはある面ではカオスさながら、
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そして一方ではその日のニュース、テクノロジー、
政治、諸問題を議論する場でもあり、
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さらに職場に適さないもの、不快なものもたくさんあり、
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荒らしが居場所を見つけるようなsubredditもある、
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つまりそういう意味で、Redditは議論の場なんです。
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狂気の沙汰にいるようなものです。
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Redditは巨大出版企業Condé Nastの目に留まり、
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Redditの買収を提案する。
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とても多すぎて、「どうやって保管するんだ?」と
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父を悩ませるほどの大金でした。
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- 大金ですか……
- 大金です。
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たぶん100万ドル以上でしょう、
でも私は正確なところを知りません。
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- その時彼はいくつ?
- 19か、20歳でした。
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そう、このアパートで起きたんです。
彼らは当時のままのこのカウチに座って、
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Redditをハックし、そしてRedditを売却したときは、
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大きなパーティーを開いて、
翌日に彼らは全員カリフォルニアに飛び発ち、
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私にアパートの鍵を預けていきました。
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面白いもので、自身のスタートアップを
売却した彼について、私たちはみな
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とても裕福な人間になったと思っていたのに、
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彼はというと、「僕はこの靴箱みたいな
小さい部屋にいるよ。これが必要なもの全てだ。」
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押し入れぐらいの部屋でしたよ。
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高価なものにお金をかけようという
考えは全く無いようでした。
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彼の説明では、「このアパートに住むよ、新しい場所で
暮らすことに大金を掛けたくないんだ。
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何も買うつもりはないし、
ジーンズとTシャツを着るのが好きだ。
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だから衣類にも一切お金を掛けない。
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ほんと、どうでもいいことだよ」
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スワーツにとって重大だったのはどのように
インターネットにトラフィックを流入させ、
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そして何によって彼らの注意を集めるかだった。
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[映画 Steal This Film IIより]:
古い放送システムでは、電波による送信容量が
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限られている。電波ではテレビが10チャンネル、
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ケーブルでも500チャンネルしか送信できない。
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インターネットなら、誰でもチャンネルを持てる。
みんながブログや、Myspaceページを持てる。
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みんなが自身を表現する手段を持てるんだ。
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今議論しているのは誰が電波を利用するのかの問題じゃない。
-
人々を見つける方法を誰がコントロールするかの問題だ。
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知ってのとおり、Googleのような、
ネットで行きたいところを教えてくれる門番のようなサイトに
-
権力が集中しているのを垣間見ている。
-
ニュースや情報のソースを提供してくれる人たち。
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そういった人たちは情報を伝える権限を
持つ人ばかりじゃない、今では全ての人が
-
情報を伝える権利を持っている。
これは誰からその情報を得るのかという問題なんだ。
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[Condé Nast サンフランシスコ支社 Wired、Redditが入居]
Condé Nastのあるサンフランシスコで
働き始めた後、彼がオフィスに入って行くと、
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彼らはくだらないものがインストールされた
コンピューターを与え、
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そしてこのコンピューターに新しいものを
インストールするなと言ったんです、
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開発者にとっては屈辱ものですよね。
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初日から、彼はこうしたもの全てに
不満をぶつけていた。
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「灰色の壁、灰色の机、灰色の雑音。
ここに来た初日から、本当に我慢できなかった。
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昼食の時間、文字通りトイレの個室に
鍵を掛け閉じこもり、そして涙が出てきた。
-
一日中がやがやとした中で
正気を保てるかどうか想像もできない、
-
ましてなにか仕事をやり終えるなんて。
-
ここでは仕事をこなしてる人は誰もいない。
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みんなしょっちゅう部屋に来ては
ぶらぶら、おしゃべり、そしてWiredが
-
テストしてる新しいビデオゲームに誘ったりしている」
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彼は人とは違う政治指向的な大志を持っていて、
-
そしてシリコンバレーは、政治的な目標のための技術活動に
-
進むといった文化をあまり持っていませんでした。
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アーロンは企業のために働くのを嫌っていました。
-
皆Condé Nastで働くことを嫌がっていましたが、
アーロンはただ1人、我慢できなくなったんです。
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そしてアーロンはもう仕事に出なくなり、
-
結果解雇されました。
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それは面倒な破局だったようだ。
アレクシス・オハニアンとスティーブ・ホフマンは両者とも
-
この映画のインタビューを断った。
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彼はビジネスの世界を拒絶したんです。
この選択について思い浮かぶ重要なことの1つは、
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[Wiredマガジンフリーライター]:
アーロンがスタートアップの文化から
離れることを決めた時、同時に
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彼を有名にし愛してくれたものから離れることになり、
そして彼のファンをがっかりさせる危険性があったことです。
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彼には向かわなければならない場所があり、
そうした自己認識を持っていた、
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一輪の薔薇を摘みとるためにゴミの山に登り、
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失った嗅覚を見つけようとする頑固さがあった、
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ゴミの山に座り、ここも悪くないよと言い、
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なんやかんやで薔薇を取って、
-
とても良いねと山を降りてくる、
そんな感じじゃなくてね。
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アーロンの物の見方は、プログラミングは魔法─
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普通の人間にはできないことを達成できる、
プログラミングによって。
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もしそんな魔法の力が使えたら、いいことに使うだろうか、
それとも大金の山を作るために使うだろうか?
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スワーツは子どもの頃に出会った
1人のビジョナリーに触発された、
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ワールドワイドウェブを発明した男、
ティム・バーナーズ=リーだ。
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1990年代、バーナーズ=リーはほぼ間違いなく
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20世紀最も富をもたらす発明の1つを産み育てたが、
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しかしWWWの発明から利益を得る代わりに、
彼は自由に使えるようにした。
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これがWWWが今日ある理由の1つだ。
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アーロンは確実にティムから深く影響を受けていました。
-
ティムは決して金儲けをすることのなかった、
まさにインターネット創成期の突出した天才でした。
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彼は大金を得られる方法を見つけることには
まったく関心がなかった。
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言われましたよ、「残念、大金を得られたのに」って、
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でもそうなるとその代わり大きな1つのウェブじゃなく、
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小さなウェブがたくさんできただろう、
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そしてそれらの小さな、様々な種類の
ウェブたちは機能しないだろう、
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なぜなら一方からもう一方へとリンクをたどれない。
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臨界量に達さないといけない、それはつまり地球全体だ、
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だから地球全体に広がらない限り機能しないんだ。
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この世界で生きていくには充分では
ないと強く感じる、あるがままに
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与えられるものを消費し、大人たちがやれということに従い、
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両親がやれということに従い、社会がやれということに従う。
僕はそういったことを問いかけるべきだと思う。
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僕はこの科学的な考え方を使っている、
つまり学んだこと全ては暫定的であって、
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常に取り消しや、反論や、質問の機会が開かれている、
そしてこれを社会にも適用したいんだ。
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僕が取り組めるような現実的で
重大な問題─根本的な問題─が
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存在することにひとたび気付くと、それを忘れることが
できない。何もしないわけにはいかないんだ。
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私たちは多くの時間を共に過ごし始めました、
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友達のような感じで。
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よく夜まで何時間も語り合いました。
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彼が私に気があることに気付くべきでした。
ある程度は感じていたんですが、
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私は、とんでもない、ありえないわ、だから
そんなことは起きないんだって振る舞おうとしていた。
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私の結婚生活が崩壊していたので、
行くところがなく困っていました。
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私たちはルームメイトになり、娘も連れてきました。
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引っ越して、家に家具を入れて、
それで本当に落ち着きました。
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私の人生はしばらく平穏とは言えず、
そしてそれは彼も同じでした。
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恋愛関係になってからはとても親密になりました。
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私たちは……、連絡を取り合っていました。
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でも私たち2人とも、とても扱いづらい人間なので(笑)。
-
アリー my Loveみたいなやりとりの中で、彼は自分の
テーマソングがあると白状し、そこで彼に再生してあげました。
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フィオナ・アップルの
「Extraordinary Machine」です。
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この曲にはちょっと思い悩んでいる感じがあって、
-
同時に、なんていうか、
その先に希望が満ちているところがあるんです。
-
♪一歩一歩、のんびりした足取りだけど、
居心地が悪いのには慣れっこだから、もう
-
この先ずっと変えられないの ♪
-
色んな意味で、アーロンはものすごく人生に
楽観的でした。彼自身がそう感じていない時でも、
-
人生についてすごく楽観的だったのかもしれません。
-
♪ わたしってへんてこマシンね ♪
-
(アーロン) - 何してるの?
(クイン) - Flickrにビデオ機能ができたの。
-
スワーツは公開情報へのアクセスに関する
-
一連の新しいプロジェクトに力を注ぎ始めた、
-
"Watchdog.net"という
アカウンタビリティーに関するサイト、
-
そしてプロジェクト、"The Open Library"。
-
Open Libraryプロジェクトとは、openlibrary.orgで
訪れることができるウェブサイトで、
-
その目的は巨大なwiki、1冊の本の情報を
1ページにまとめる編集可能なウェブサイトです。
-
これまでに出版された全ての本について、
出版社から、書店から、図書館から、読者からの
-
情報全てを組み合わせたウェブページを
1つのサイトに載せたい、
-
そしてその本をどこで買えるのか、借りられるのか、
閲覧できるかのリンクを提供する。
-
僕は図書館が好きです。新しい街へ行くと
すぐさま図書館を探すような人間です。
-
Open libraryの夢は、このウェブサイトを、本から本へ、
人から著者へ、テーマからアイデアへと
-
飛び回ることができ、また物理的な
巨大図書館の中で埋もれ、見つけるのが大変で、
-
オンラインでアクセスできないような知識の
系統樹を体験できるような場所に
-
構築することです。これはとても重要なことで、
なぜなら本は私たちの文化的遺産だからです。
-
本とは人々が事柄を著述するために向かう場であり、
-
そしてその場が一企業に全て囲い込まれて
しまうという……、これは恐ろしいことです。
-
どうすればパブリックドメインへ
アクセスする権利をもたらすことができるか?
-
[インターネット・アーカイブ創設者、デジタル司書]:
パブリックドメインへのアクセス権を持つことは
自明のことのように聞こえるかもしれませんが、
-
しかし実際は違います。つまりパブリックドメインはあらゆる人に
公開されるべきなのですが、しばしば遮断されています。
-
たいていは防護柵があるんです。周りを掘で囲まれた
ナショナルパークのような感じで、
-
万が一誰かがパブリックドメインを楽しもうと
やって来た時のためにガンタレットが配置されてるんです。
-
アーロンが特に興味を持っていたのは
パブリックドメインへのアクセス権の実現でした。
-
これが彼を多くのトラブルに巻き込んだ原因のひとつでした。
-
[ハーバード大学インターネット&ソサエティ
バークマンセンター元特別研究員]:
私はアメリカ合衆国の連邦裁判所記録へ
アクセスしようとしてきました。
-
そして見つけたのは、「裁判所電子記録への
パブリックアクセス」の略である、
-
"PACER"と呼ばれる難解なシステムでした。
-
それについて検索し始めた時、
カール・マラムドの名を見つけたんです。
-
アメリカでの法的資料へのアクセスは
毎年100億ドルもの額のビジネスとなっています。
-
[public.resource.org 創設者]:
PACERはまさに政府サービスの
信じられない恥部です。1ページにつき10セント、
-
見たこともない役立たずのコード。
検索できない。ブックマークもできない。
-
クレジットカードが必要なんです、
あるのは公記録ですよ。
-
連邦地方裁判所はとても重要です─
私たちに影響のある多くの訴訟の出発点です:
-
公民権訴訟、特許訴訟、そうしたもの全てです。
ジャーナリスト、学生、市民、そして弁護士たち、
-
全員がPACERへのアクセスが必要で、
あらゆる局面でこれと対峙することになる。
-
アメリカンエキスプレスゴールドカードを持っていない人は
簡単に訴訟を確かめることもできない。
-
正義へのアクセスに人頭税を課しているんです。
-
[オライリーメディア 創設者]:
当然ですが、法律というのは我々の民主主義の
OSです。それを見るのに課金が必要?
-
これってちっとも民主主義じゃないですよね。
-
彼らはPACERシステムで年間1億2000万ドルを稼ぎ、
-
そして彼ら自身の記録によれば、これに関する
コストは一切かかっていません。実際、これは違法です。
-
2002年米電子政府法では、裁判所が
PACERを稼働させるコストを支払うといったような、
-
必要経費に限り請求することができると定めています。
-
Public.Resource.Orgの創設者として、マラムドは
PACERの料金に抗議しようとした。
-
そこで彼は「PACERリサイクルプロジェクト」
という計画を開始、
-
既に支払いを済ませたPACERの文書を他の人が使えるように
-
自由なデータベースにアップロードできる。
-
PACERの人たちはパブリックアクセスについて
議会などから多くの非難を浴びたので、
-
そこでアメリカ国内17の図書館に自由に
PACERにアクセスできるシステムを導入しました。
-
つまり、22000平方マイル(訳注:北海道の約2/3)につき
1つの図書館です、まったく、不便もいいところです。
-
私はいわゆる「サムドライブ部隊」に
参加してくれるようにボランティアに呼びかけました、
-
アクセス権を持つ図書館から文書をダウンロードし、
PACERリサイクルサイトにアップロードしてもらうのです。
-
それらの図書館の1つにUSBメモリを持ち込み、
文書をまとめてダウンロードし、
-
そしてそれを私に送ってもらう。
だけど、これはただのジョークだったんです。
-
実際、「サムドライブ部隊」の部分をクリックすると、
オズの魔法使いの、
-
あのマンチキンが歌っているところの、
ビデオが再生されるんです:
-
♪ 我々はペロペロ飴組合…… ♪
-
ところがやはりシュルツとアーロンから私に電話があり、
-
「いいね、サムドライブ部隊に入るよ」
-
ちょうどその頃、会議でアーロンに会いました。
-
これは間違いなく、多くの様々な人たちによる
コラボレーションにしなければならない。
-
そこで彼と接触し、言いました、
-
「ねぇ、僕もPACER問題に介入しようと思うんだ」
-
シュルツはすでに公判記録図書館からPACERの文書を
自動的にダウンロードできる
-
プログラムを開発していた。
-
スワーツはそれを一目見たいと思った。
-
そこで彼にコードを見せて、
どうなるのかわからなかったけど、
-
結局、その会議から数時間かけて、
-
隅っこに座って私のコードを改良し、
図書館で彼の改良したコードをテストするために
-
目的の図書館の近くに住んでいる友人を雇いました、
-
この時点で裁判所の連中は
計画通りに事が進んでいないと気が付いた。
-
そしてデータがどんどん、どんどん、届き始め、
-
ついに760GB、2000万ページのPACER文書となりました。
-
公判記録図書館から回収した情報を使い、
-
スワーツはPACERシステムからの
大規模自動並列ダウンロードを行った。
-
連邦裁判所の270万の文書、テキストにして
約2000万ページを手に入れることができた。
-
今、当初のアクセス権プロジェクトを実行した
人たちの期待を上回るであろう、
-
2000万ページを取得できます、
しかし驚いたことに官僚は違法ではないと。
-
アーロンとカールは事の顛末について
ニューヨーク・タイムズに語ろうと決めていた。
-
彼らはFBIの目に留まり、イリノイ州のスワーツの
両親宅に張り込むようになった。
-
そしたら彼の母からツイートが来たんです、「電話して!!」
-
思ったんです、一体何が起きたんだ?、と。
-
それでアーロンに連絡を取って、
彼の母によると、「大変よ、FBI、FBI、FBI!」
-
FBIのエージェントの車が自宅の私道に入り、
アーロンが自室にいないか確認しようとしました。
-
その日のことを思い出します、なぜ車が私たちの
私道に入ってきたんだろうと思いました、
-
そして引き返して行きました。奇妙でしたね。
-
なので、5年後にFBIの資料を読んだときは、
「なんてことだ、FBIだったのか、私道に入ってきたのは」
-
彼は怯えていました。完全に怯えていました。
-
FBIが彼を電話で呼び出し、弁護士不在の元、
-
コーヒーショップから連れだそうと
策略したことでさらに怯えるようになったと。
-
彼いわく、家に帰ってベッドに横たわると、震えていたそうです。
-
このダウンロードのおかげで、裁判所文書中に
大規模なプライバシー侵害があることも発覚。
-
最終的に、結果として司法は自身の
ポリシーの変更を余儀なくされ、
-
そしてFBIは起訴することなく捜査を終えた。
-
今日に至るまで、注目すべきと感じる点は
-
とても辺ぴな田舎のFBIの出張所でさえ、
-
法体制を公開しようとしたという理由で
窃盗の罪で民衆を捜査することは
-
市民の税金の適切な使い道だとは
考えていないということです。
-
一体どうすれば、法執行官を名乗る人物が、
-
法体制を公開することで
この世界を悪くする可能性が
-
あると考えられるのでしょう?
-
アーロンは自分の信じる大義によって
危険にさらされることを厭わなかった。
-
貧富の格差が気になると、スワーツは技術の枠を超え、
広範囲な政治的目的へと移っていった。
-
私が連邦議会の一員となった時、議会に出入りし、しばらくの間
インターンとして働けるよう彼を招待しました、
-
[民主党議会補佐官、アーロンの友人]:
彼が政治的プロセスを学べられるようにと。
-
彼は新しいコミュニティ、新しいスキルを学び、
そしてなんというか、政治をハックすることを学びました。
-
鉱山労働者が汗水たらしてせっせと
働かなければならないというのは馬鹿げてる、
-
しかし彼らがあえてそれをやめれば、その夜の食事はなくなり、
-
一方僕はというと、座ってテレビを見ながら
毎日さらに大金を稼いでいる、という事実に直面する。
-
やはりどうもこの世界は馬鹿げている。
-
そこで、「進歩的変化キャンペーン委員会」と
いう名のグループを共同創設しました、
-
私たちのしようとすることは、進歩的な政治に
関心のあるネット上の人々を組織し、
-
より進歩的な方向へとこの国を動かしていく、
-
協力し、メーリングリストに参加し、キャンペーンに参加し、
-
国中の当選した進歩的な候補者を手助けすることで。
-
このグループはエリザベス・ウォーレン氏の上院議員選挙運動の
草の根の取り組みの引き金となった。
-
彼はきっと無意味なシステムだと思っていたんでしょうが、
彼いわく、「このシステムを学ぶ必要がある、
-
なぜならこれによってどんな社会システムも操られている」
-
しかし、彼の知識とライブラリーへの情熱が
二の次になることはなかった。
-
アーロンは学会誌論文を出版する機関を詳しく調べ始めた。
-
アメリカの一流大学の学生であるおかげで、
皆さんは幅広い分野の学会誌に
-
アクセスできる、そうですよね?
-
アメリカのほとんどすべての一流大学が、それ以外の
世界では読むことができないような学術誌に
-
アクセスするために、JSTORやトムソンISIのような組織に
ある程度のライセンス料を支払っています。
-
これらの学術誌と論文は基本的に
オンラインにおける人間の知識、その完全なる財産であり、
-
そしてその多くが納税者のお金や
政府の補助金によって支えられている、
-
しかしそれを読むには、たびたびリード・エルゼビアといった
出版社に法外な引き渡し料金をまた支払わないといけない。
-
こういったライセンス料はアメリカ以外の、インドなどで
勉強している人たちにとってはかなりの負担なので、
-
こうしたアクセスができない。彼らはこうした
学術誌すべてから締め出されている。
-
科学的遺産全体から締め出されている。
-
そう、こうした多くの学術誌は、啓蒙時代にまで遡る。
-
常に誰かが科学論文を書けば、それはスキャンされ、
デジタル処理され、こうしたコレクションに収蔵される。
-
これは興味深い仕事をしてきた人たち、科学者たちの
歴史によってもたらされた遺産だ。
-
庶民として、民衆として私たちが所有すべき遺産なのだが、
-
それどころか、これらの遺産は
そこから引き出せる最大の利益を得ようとする
-
一握りの利益追求型の企業によって
保管され、オンラインに公開されている。
-
[アメリカ自由人権協会
言論・プライバシー・技術プロジェクト主任技術者]:
つまり研究者は大学から給料をもらい、
あるいは人々は論文を出版し、
-
そしてプロセスのずっと一番最後の段階、
すべての仕事を終えた後、
-
独創的な研究─構想、研究室での作業、分析、
そうした全てが終わった後、
-
ようやく最後の段階になったら、研究者はこういった
何十億ドル規模の企業に著作権を譲り渡さないといけない。
-
これは異常です。勤労奉仕によって築かれた経済全体、
-
その頂点に出版社が居座り、上前をはねている。
-
[民主党女性下院議員、カリフォルニア19区]:
まさに詐欺ですよ。イギリスのある出版社は
昨年30億ドルもの利益をあげました。
-
つまり、ボロ儲けです。
-
JSTORはこの話の中では
とても小さな登場人物に過ぎませんが、
-
何らかの理由で、アーロンが対決しようと
選んだ相手がJSTORになったんです。
-
彼はオープンアクセスとオープンパブリッシングに
関するいくつかの会議に行っていました、
-
JSTORの人物が誰かについては存じ上げませんが、
-
彼らに─ある時期に、アーロンが質問したんだと思います、
-
[Sprout (民間の教育研究団体) 所長]:
「JSTORを永久にオープンにする
コストはいくらぐらいなのか?」
-
彼らは─おそらく2億ドルだろうと思いますが、そう答え、
-
アーロンは実に馬鹿げた話だと感じたのでしょう。
-
ハーバード大学のフェローシップとして働いていた彼は、
近所にあるMITの有名な公開高速ネットワーク上に
-
JSTORの財産へのアクセス権を持つユーザーを
知っていた。彼は機会をうかがっていた。
-
こうした扉を開く鍵を持っていて、
-
そしてちょっととしたシェルスクリプトの魔法で、
これらの学術論文を手に入れることができる。
-
2010年9月24日、
-
スワーツは新しく購入したAcerのラップトップを
-
MITのネットワークに登録した、
ラップトップの登録名は"Gary_Host"。
-
クライアント名は"GHost_laptop"として登録。
-
彼は伝統的な意味ではJSTORをハッキングしませんでした。
-
JSTORデータベースは整理されていたので、
-
いかにしてJSTORの論文全てをダウンロードするか
ということは全く取るに足らないことだった、
-
それらが基本的に番号付けされていたからです。
-
スラッシュ、スラッシュ、スラッシュ……
論文番号444024、そして25、26というように。
-
[ラジオ番組 "Flaming sword of justice" 司会者、
アーロンの友人]:
彼は次から次に論文を取得し続ける
-
Pythonスクリプト"keepgrabbing.py"を書いた。
-
次の日、GHost_laptopは論文の取得を開始、
-
しかし程なく、コンピューターのIPアドレスがブロックされた。
スワーツにとって、これはほとんど問題ではない。
-
彼は即座にIPアドレスを再割当てし、ダウンロードし続けた。
-
JSTORとMITは事態に気がついた時
-
これを妨害しようと多くの措置を取りましたが、
-
控えめな措置が功を奏さなかった際は、
-
ある段階で、JSTORはMITからの
データベースへのアクセスを遮断しました。
-
JSTORデータベースへのアクセスをめぐる
-
ネコとネズミの追いかけっこのようなものです。
-
アーロンは明白にネコの側でした、
防御側のJSTORデータベースの
-
人々より彼のほうが、技術的能力があったからです。
-
ついには、とあるビルの地下にあった
施錠されていない資材倉庫に
-
向かうと、WiFiの代わりに、
直接ネットワークにコンピューターを接続し、
-
外部ハードディスクを使って論文を
ダウンロードするために設置した。
-
スワーツの知らぬところで、
当局により彼のラップトップとハードディスクが発見された。
-
彼らはダウンロードを止めなかった。
-
代わりに、監視カメラを設置。
-
彼らはMITのビルの地下の部屋にコンピューターを見つけた。
-
[アーロンの弁護人]:
そのコンピューターのプラグを抜くこともできた。
犯人が来るのを待ち、「あんた、何やってんだ、
-
その電源を切れ。お前は誰だ?」と聞くこともできた。
-
その手のことができたはず、しかしそうはしなかった。
-
彼らがしたかったのは事件化のための
証拠集め用に撮影することだった。
-
それが撮影した唯一の理由なんです。
-
当初、映像に乱れのある監視カメラが捉えたのは、
-
倉庫にビン缶を置きに倉庫にやって来た人物だけだった。
-
しかし数日後、カメラはスワーツを捉えた。
-
スワーツはハードディスクを交換。
それをバックパックから取り出すと、
-
5分ほど画面から見切れて、
-
そして立ち去った。
-
彼らは張り込みでもしていたかのように
組織されていて、MITからバイクで家に帰る彼に
-
警察官が道路の両側からやってきて、
-
そんな感じで、彼の追跡を開始しました。
-
息子は警察に押し倒され暴行を受けたと言いました。
-
彼ら─後になるまで警察だとは気づかなかったが、
-
誰かが暴行しようとしたように感じたと。
-
彼らに殴られたとも言いました。
-
衝撃的でした。家族の皆誰にとっても、
刑事告発についてのイメージは
-
他所事で難解なものでした、
どうしていいかわからなかった。
-
彼らはアーロンの自宅、ケンブリッジにある彼のアパート、
そしてハーバート大学の事務所の捜査令状を執行しました。
-
逮捕の2日前、捜査はJSTORと
地元ケンブリッジ警察の管轄を超える。
-
彼らはアメリカ合衆国
シークレットサービスに捜査を引き継いだ。
-
シークレットサービスは1984年にコンピューターや
クレジットカード詐欺の捜査を開始したが、
-
9/11のテロの6週間後、彼らの任務が拡大された。
-
[拍手]
-
ブッシュ大統領は米国愛国者法に基づいて
電子犯罪特別対策部隊と呼ばれるネットワークを設立。
-
今私の目前にあるこの法律は、昨今のテロリストによる
新しい現実と脅威を考慮に入れている。
-
シークレットサービスが言うには、
彼らは主に経済的影響のある、
-
組織的犯罪者集団、あるいは新技術を使った
犯行計画の行使に対して活動しているとのこと。
-
シークレットサービスはスワーツの事件を
ボストンの米連邦検事事務所へ送致。
-
ボストン米連邦検事事務所には、
-
「コンピューター犯罪特別対策本部のトップ」の
肩書を持つ男がいる。
-
彼が他に何をやってきたのかは知りませんが、
-
コンピューター犯罪を起訴したこともないような人は
完全に「コンピューター犯罪検察官」向きではないですよね。
-
従って仮に彼が検察官の座を拒否し続けたとしたら、
職員や部隊の中に任命できる人間はいない、
-
それがスティーヴン・ヘイマンです。
-
検察官スティーヴン・ヘイマンはアーロン・スワーツの
逮捕以来公の場から姿を消しているが、
-
アーロンが逮捕された時期に撮影された
テレビ番組American Greedのエピソードで
-
彼の姿を見ることができる。
-
彼は以前扱った悪名高いハッカー、アルバート・ゴンザレスを
相手取った事件を説明している、
-
この事件でヘイマンは報道から膨大な注目と称賛を集めた。
-
ゴンザレスは1億件以上のクレジットカード番号
ならびにATM番号の窃盗を計画、
-
同様の不正行為としては歴史上最大のものだ。
-
ヘイマンはここで、ゴンザレスについて説明し、
ハッカーの考え方について自身の意見を述べている。
-
[連邦検事補]:
彼らは私たちを突き動かしている多くのものに
同様に突き動かされています。
-
彼らは自我を持ち、挑戦を好み、そしてもちろん
お金とそれで買えるものすべてが好きなのです。
-
ゴンザレスの事件に関与したとされる容疑者の
1人にジョナサン・ジェイムズという名の若いハッカーがいた。
-
ゴンザレスの犯罪に関与した容疑が掛けられていたが、
-
ジェイムズは捜査中に自殺を図った。
-
アーロン・スワーツの事件における政府の方針を
伝える初期の報道発表の中で、
-
ヘイマンの上司であるマサチューセッツ特別区
連邦検事のカーメン・オーティズは次のように語った:
-
「コンピューターコマンドにしろバールを使うにしろ、
ドキュメントやデータにしろお金を盗むにしろ、窃盗は窃盗だ」
-
それは違う。明らかに違います。
-
それに罪がないと言うことではないし、
-
また情報を盗むことを犯罪とすべきでないと
いうことではありません、
-
しかし、どういったものが厳密に害を及ぼすかを
-
判断しようとするときはより慎重でなければならない。
-
だからバールといったものは、
常にバールを使って何かを壊そうとする、
-
損害を与えようとする。これに疑いはない。
-
しかしアーロンはスクリプトを書いた、
-
内容は、1秒間に100回、「ダウンロード、
ダウンロード、ダウンロード……」、
-
誰も明白な損害を受けてない。
-
仮に彼が学術的研究のためにアーカイブを
集める目的で行ったのであれば、
-
誰もいかなる損害を一切受けていない。
-
彼は盗んでいない。彼は盗ったものを
売却していないし譲渡もしていない。
-
私の知る範囲では、彼はそう主張しました。
-
この逮捕はスワーツに痛手となった。
-
彼はこの件について話したがりませんでした。
-
つまり、かなりストレスを受けていました。
-
もしある日FBIが自宅の前までやって来て、
-
玄関に降りてきて、洗濯をしようとしたその時、
-
ドアに鍵をしていなかったので
彼らがアパートに押し入ってきたと考えてみてください、
-
きっと……かなりのストレスでしょう、
-
そして明らかにこのおかげで、
アーロンはいつも陰鬱とした気分でいました。
-
この期間ずっと彼は居場所に関わる
情報を出そうとしませんでした、
-
なぜなら彼を待ち受けようとするFBIを
ひどく恐れていたからです。
-
この時期、世の中は空前の社会的、
政治的行動主義ブームだった。
-
タイム誌は後に2011年の「今年の人」に
「抗議者」を選んだ。
-
進行中のハッカー活動の温床のようでした。
-
Wikileaksは外交公電の山を流出させ、
-
マニング米軍情報分析官はこのとき既に逮捕、
-
彼がリークの情報源かどうかわかっていなかった。
-
Anonymous、組織の中に多くのハッカーを
-
抱える一種の抗議集団、
-
彼らはお粗末な馬鹿騒ぎを色々とやっていた。
-
もしスワーツの行った事とこれらを比較するなら、
-
プライベートや専門的な問題において、
彼の事柄への対応は
-
MITやJSTORのために残置しておくべきだった。
-
刑事制度の注意を引くべきではなかった。
-
こうなるはずじゃなかった。
-
起訴される前、スワーツに司法取引の申し出があった、
-
刑務所に3ヶ月、更生訓練施設で過ごし、
-
その後1年間の自宅軟禁、
-
その間コンピューターの使用はすべて禁止。
-
スワーツが重犯罪に対し有罪であることを認める事が条件だった。
-
さて、この国家訴訟についての
開示する証拠も
-
証人もいない。
-
そして弁護士がこうしろと求めてくる
-
膨大な決断をしないといけない、
-
政府は交渉の余地のない要求をしてくる、
-
そしてあなたが有利な可能性は小さいと言われる。
-
だから、有罪か無罪かにせよ、
この取引に応じたほうが楽になる。
-
ボストンは
コンピューター犯罪対策課を持ち、
-
多くの、おそらく必要以上の弁護士がいます。
-
従って、起訴することがとても難しい
様々な事件を思い浮かべることができます、
-
例えばロシアで起きた事件であるとか、
-
1時間で500ドルから700ドル
稼ぐ弁護士と
-
対峙することになるような
会社の内部の人間であるとか、
-
それに加えて、この事件、彼の場合には
-
彼がやったことを証明するのはとてもたやすく、
-
そして彼は既にトラブルメーカーとして
FBIにマークされていた、
-
これでは彼らと立ち向かうには
タフになければならないですよね?
-
検察官にとっては問題ない。この国にとっては、
-
なぜなら彼らはすべての
テロリスト集団と戦っているから。
-
とても怖かったですね。
-
私のコンピューターが押収されるのが
とても怖かった。
-
コンピューターが押収されることで
刑務所に行くことになるのでは、とすごく恐れました。
-
前職で私のラップトップには情報源からの
機密情報を所持していたので、
-
そしてとりわけ、私の優先事項は─
情報源を守ることにある。
-
娘のエイダに何か起こるのでは、と
いうことがすごく怖かった。
-
アーロンからは、彼らが取引を
申し出てきたことを話してくれて、
-
彼は最終的に私が望むなら
取引を受け入れてもいいと、
-
それで私は、彼に寄り添って
言ったんです、「取引しましょう」と。
-
彼は2つの出来事の期間中、
そうした、成熟した、なんというか、
-
純粋な政治的野心を持っていました、
-
起業家人生を終えた瞬間と、
-
この政治活動を始めることになった
新しい人生を開始した時の間で、
-
そして彼は重罪を受けたまま人生を
続けていけると信じるがことができなかった。
-
そう、ある日ホワイトハウスを
一緒に通りかかった時、
-
彼は言いました、
「重罪人を働かせてはくれないよ」と。
-
そして彼は─彼は本当に
人生を自分らしく生きたかったんです。
-
彼は誰も殺しちゃいない。
誰も傷つけてない。
-
お金を盗んだりなどしちゃいない。
-
重罪に問われるようなことは
何1つやっちゃいないですよね? そして……
-
この思いはつまり、彼が行ったことで
重罪人の汚名を着せられ、
-
多くの州で投票する権利を剥奪すべきだという
-
理由は無いということだ。
常軌を逸している。
-
多額の罰金を課されたり、あるいはMITに再び
-
戻ることのないよう頼まれることは
筋が通っている。
-
ところが重罪人になる? 懲役に処されるって?
-
スワーツは司法取引を拒否。
-
ヘイマンは一層働きかけを強めました。
-
ヘイマンは私たちにあらゆるレベルで
プレッシャーを掛け続けてきました。
-
アーロンのAcerコンピューターのHDDとUSBから
-
押収した物的証拠だけでなく、
-
検察官たちは彼の動機も証拠として必要だった。
-
なぜアーロンはJSTORから論文をダウンロードしたのか、
-
そしてそれらを使い何を計画していたのか?
-
政府の主張では彼は論文を出版しようと計画していた。
-
彼の真意がどうであったかは私たちは知りません、
-
なぜならアーロンは論文から興味深いことを学ぶために
-
論文の巨大データを解析するプロジェクトを
行った経歴も持っていたからです。
-
動機に関する最も有力な確証は、
彼がスタンフォード大学にいた時、
-
彼は法律情報サービス会社Westlawの
法務データベースもダウンロードしていたことです。
-
スタンフォード大学の法学生のあるプロジェクトで、
-
スワーツはWestlawの法務データベースを
ダウンロードしていた。
-
彼は法律調査の資金提供先と彼らに
好ましい調査結果との間に厄介な
-
つながりがあることを明らかにした。
-
利益追求型企業が、石油流出事故におけるExxonのように、
-
都合のいい法律論文を書いてくれる法律学教授に
-
資金を提供していたという
素晴らしい分析を彼は行いました。
-
つまり粉飾目的の研究に資金を出す
非常に腐敗したシステムだったんです。
-
スワーツはWestlawの文書を公開しなかった。
-
理論上、JSTORデータベースにも同じ分析を行うことができた。
-
これは完全に問題ないでしょう。
-
一方、仮に彼がJSTORと競合するサービスを作る目的で、
-
ハーバード・ロー・レビューにアクセスするシステムを
-
自分たちで作り上げ、料金を徴収したら、
-
もちろん、それは犯罪行為になるでしょう、
-
なぜならその資料を商業目的で不正使用しようとしている、
-
しかし彼の行為からこういう推測をするのはまともじゃない。
-
そして、さらにその中間のケースもある、つまり、
もし彼があらゆる発展途上国にこれを解放しようとした場合だ、
-
しかし彼の行動次第では、法律が
どのようにこれを解釈すべきかについて
-
全く異なる特徴を形作る。政府はこの行為が
-
あたかも商業的な犯罪行為であるかのように彼を起訴した、
-
大量のクレジットカードの記録を盗んだかの
ような、そういった犯罪であるかのように。
-
このデータベースで何をしようと
していたのか私にはわからないが、
-
しかし彼の友人から聞いた話では、アーロンは
-
バイアスのある結果となった気候変動研究へ
企業の資金が流れた証拠を
-
データから分析するために行ったと話したそうです、
私はこの話を完全に信じています。
-
スティーブン検察官が私に話があると聞いたので、
-
この状況から抜け出すことのできる方法についての
-
話なのかと思いました、
-
そして自分のコンピューターが押収される
恐怖の中で生活したくなかった。
-
コンピューターの暗号を解くよう強要され、
-
法定侮辱罪で刑務所に入るのではという
恐怖の中で生活したくなかった。
-
彼らが来て「スティーブンから
あなたに話がある」と言った時、
-
なにか訳ありなんだと思いました。
-
彼らは「Queen For A Day文書」、あるいは「提案文書」
として知られるものを申し出た。
-
アーロンの事件についての事情聴取を
検察官に許可する文書だ。
-
聴取の間に明らかにされた情報によって
-
ノートンは検察官から訴追免除される。
-
気が進みませんでした。弁護士に繰り返し
-
言いました……、怪しい感じがして、
気が進まなかった、訴追免除を受けたくない、
-
訴追免除は必要ない、私は何もしていない、
-
でも彼らはとても差し迫った感じで、
-
捜査官らは訴追免除なしの検察官聴取をしようとしませんでした。
-
[インタビュアー] 確認ですが、それはQueen For A Dayに
よる取引、提案文書だったんですよね。
-
- そうです、提案文書です。
-
- 基本的にあなたが情報を渡すのと
引き換えに訴追から保護される。
-
- 情報の受け渡しではありませんでした。
─少なくとも、そういう風には思えません。
-
それはただの話し合い、
彼らとの面接でした。
-
- その、彼らがあなたに聴取し……
- 彼らは私に聴取しました。
-
- そして彼らが欲しい情報を聞くことができ、
- そうです。
-
- そして情報を得たら……
- 私はとても……
-
- 彼らはあなたを起訴できなくなる。
- そうです、私は繰り返しその保護は受けないよう努めました。
-
私は繰り返し、繰り返し、
この提案文書を拒否しようとしました。
-
具合を悪くしました。
私の弁護士から圧力を受けました。
-
混乱しました。
このことで調子がよくありませんでした。
-
気分が落ち込み、
私がいるこの状況が理解できませんでした。
-
なぜこんな状況になったのかわからなかった。
-
変わったことはしていないし、
まして悪いこともしていない。
-
私たちは気が狂いそうになりました。
-
アーロンはこのことで明らかにしても取り乱していました。
私たちも取り乱しました。
-
アーロンの弁護士もとても取り乱していました。
-
クインに弁護士を代えるよう説得しました。
-
大きな、完全武装した男たちと一緒に
いることに慣れず、
-
彼らは絶えず私が嘘をついていて、
何かをやったはずだと言ってきた。
-
私は彼らに、あなた方が起訴しようとしていることは
-
犯罪じゃないと言った。
-
あなたたちは歴史の暗部だと言いました。
-
このフレーズを使いました。
「あなたたちは歴史の暗部だ」って。
-
そして彼らはうんざりしていました。怒っていませんでした。
彼らはただうんざりしていました、
-
そして同じ会話ばかりすべきでないと感じ始めた。
-
つまり、たくさんのことを、なぜ論文をダウンロードしたのか
についてのことを話しました。
-
そして結局、─その時のことはよく思い出せないのですが─
-
彼が「ゲリラオープンアクセスマニュフェスト」という
ブログ記事を投稿したことに触れました。
-
これが「ゲリラオープンアクセスマニフェスト」、
-
たぶん2008年7月にイタリアで書かれたものだ。
-
「情報は力だ。しかし全ての力と同様に、
自分たちのためにその力を保持したい人たちがいる」
-
「世界全体の科学的文化的遺産、
何世紀と出版されてきた書籍や論文、
-
それらは次第に一握りの民間会社によって
デジタル化され隔離されている」
-
「その間、締め出された者たちは
ただ手をこまねいているわけではなかった」
-
「すき間から覗き込み、壁を乗り越え、
-
出版社によって隔離された情報を
解放し、仲間と分け合う」
-
「しかしこうした行為は秘密裏に、水面下で行われる」
-
「これは窃盗や海賊行為と呼ばれ、
あたかも豊富な知識を分け合うことが
-
船からの強奪やその船員の殺害と
倫理的に等しいかのように言われる」
-
「しかし分け合うことは道義に反しない。
─これは倫理的義務だ」
-
「欲に目のくらんだ者は
友人にコピーを作らせることを拒むだろう」
-
「不正な法に従うことに正義はない」
-
「今こそ陽の下に進み出て、
市民的不服従という素晴らしい伝統の中で
-
この公共文化の独占的強奪に対し
反対の意思を宣言しよう」
-
このマニフェスト自体は4人の異なる人物によって
書かれたとされ、そしてノートンが編集したものだが、
-
自身の名を署名をしたのはスワーツだった。
-
聴取が終わった時、すぐさまアーロンの元に行き、
覚えていることを全て話しました、
-
彼はすごく怒り出しました。
-
私がした事でこういう方向へ成り行きが進んでしまった。
-
まずいことをして、
全てが悪い方向に行ってしまった、
-
でも私は……
-
私はまだ憤慨しています。
-
まだ憤慨しています、正しいことをするために
こうした人々と最善を尽くすことができた、
-
そして全てが私に不利になってくると、
-
彼らはできる限りの手を使って
私を傷めつけようとしてきたことに。
-
そしてその瞬間、私がしてきたことを
話したことを後悔しました。
-
だけどさらなる後悔は、
このことで私たちが落ち着いてしまったことです。
-
このことを了解したことに。
-
この正義のシステムを了承したこと、
-
人々を小さな罠にはめてそうした人たちの人生を
台無しにすることができるシステムに。
-
ですから、そう、言わなければよかったのに、と。
-
でももっと憤慨していることは、
いま私がこうしてここにいることです。
-
1人の国民として、
このことを了承したことに。
-
彼女から情報を得ようと、思いつく限りの
あらゆる手を捜査官らは使ってきました、
-
アーロンにとって不利となる情報、
-
そしてアーロンを起訴するのに有利となる情報を、
-
しかし政府にとって有利となる情報を
彼女が持っていたとは私には思えません。
-
スワーツの友人と家族が迫り来る起訴を
待ちつつ数カ月が過ぎていった。
-
その頃、スワーツはネットの諸問題に対する
頼りになる専門家となっていった。
-
[RT インタビュアー] あなたに
質問したいのは、インターネットは
-
人権に留意すべきだと思いますか、そしてネットは
政府が奪い取ったりできないものだと?
-
はい。もちろん、つまり国家安全保障のために
ネットの遮断を許可するというこの考え方、
-
今まさにエジプトやシリア、
その他多くの国で伝え聞きます、
-
そして確かに、WikiLeaksといったサイトが
アメリカの政府が行ったことについての
-
厄介な資料を公開しようとしていて、
人々はそれに抗議しようと組織を作り、
-
政府に立ち向かい変えようとしている。
知ってのとおり、これはいいことです。
-
これらはすべて憲法修正第1条の表現の自由、
結社の自由に関わることです、
-
だからネットを遮断しようというこの考え方は
基本的なアメリカの原則に反していると思う。
-
この原則は、我々の建国の父が理解していたものの1つだと思う。
-
もしインターネットがその当時あったのなら、
-
憲法の「郵便局」と書かれた部分の
代わりに「ISP」と書いただろう。
-
[RT インタビュアー] ええ、
どうなるのか興味深いですが……
-
スワーツは活動家のタレン・スタインブリックナー=
カウフマンと出会い、2人は付き合うようになった。
-
[アーロン] 僕らには世界的な大規模民衆抗議が必要だ。
-
[タレン] 世界的な大規模民衆抗議がなければ、
世界を変えることはないわ。
-
この街の人間で世界的な
大規模民衆抗議を引き起こさなきゃ。
-
- もちろん、嘆願書への署名者が必要だわ。
-
スワーツは事の詳細を彼女には知らせず、何かに
巻き込まれていることを彼女に警告した、
-
彼はそれを単に「厄介事」と呼んでいた。
-
[企業監視機関 SumOfUs 事務局長、アーロンのパートナー]:
エリザベス・ウォーレンとのスキャンダルでもあったのだろうか、
とか、ちょっとおかしな想像をしていました。
-
ヒラリー・クリントンとエリザベス・ウォーレンの
2人を疑っていて、実際は……
-
たぶん7月末のあるとき、アーロンが電話してきて、
-
電話を取ると、彼いわく、その「厄介事」が
明日ニュースで流れると。
-
僕の口から聞きたいか、
それともニュースで知りたいか?と聞いてきて、
-
私は、「いいわ、あなたから聞きたい」と。
-
すると彼は、「その、僕は……僕は
-
学術論文を大量ダウンロードした罪で逮捕され、
僕を見せしめにしようとしているんだ」
-
私は、「そんなこと?それが大問題なの?
本当に?一大事には思えないわ」
-
2011年7月14日、連邦検事は4つの罪でスワーツを起訴。
-
LulzSecの構成員2人がイギリスで、また
複数のハッカーが逮捕されたのと
-
同じ日に起訴されました。そしてアーロンはまさに
ハッカーのような人物だったので、
-
首を杭に差してさらし首にするには充分でした。
-
アーロンは自首し、当局は彼を逮捕しました。
-
彼らは彼を裸にし所持品検査を行い、
-
靴紐を没収し、ベルトを没収し、
独房に入れた。
-
マサチューセッツ地区米連邦検事事務所は
声明を発表、
-
「スワーツは35年の懲役の後、
-
3年間監視下で保釈され、
-
賠償、科料、罰金は100万ドルに及ぶ」
-
彼は10万ドルの保釈金で保釈された。
-
同日、この事件の直接の被害者であるJSTORは
-
公式にスワーツに対する起訴を全て取り下げ、
この事件への追求を断った。
-
JSTORは─私たちの味方ではなく─
有益でも友好的ではなかったが、
-
しかし彼らは同時に
「私たちは無関係だ」といった様子でした。
-
JSTOR、そしてその親会社ITHAKAは
この映画へのインタビューの依頼を断った。
-
しかし当時、彼らは声明を発表、
-
「起訴するかどうかは政府の決定であり、
JSTORのものではない」
-
なので、この訴訟も終わるのだろうと確信しました。
-
スティーヴン・ヘイマンがこの訴訟を諦めるか、
何らかの合理的な方法で解決されるはずだと。
-
政府はそれを拒否しました。
-
[インタビュワー] なぜでしょう?
-
おそらく、アーロンを見せしめにしたかったんだと思います、
-
そして彼らが……すぐさま重罪判決と懲役の要求を
-
進めようとしなかった理由は、この訴訟を
-
抑止力として使いたかったからだと彼らは語りました。
-
[インタビュワー] そう言ったんですか?
- はい。
-
- これを見せしめにしようと?
- はい。
-
- 彼がこれを見せしめにしようと?
- はい。
-
スティーヴン・ヘイマンはそう言いました。
-
誰を抑止するんだ? うろつき回って
JSTORにログインして、
-
政治的な発言をするために論文をダウンロードする
人間を? ほんとに、彼らは誰を抑止したいのか?
-
[ニュースサイトSalon コラムニスト]:
もしオバマ政権が、例えばこの国が
-
過去100年間に垣間見てきた、
-
ウォール街の金融危機につながるような
-
最大級の経済犯罪を起訴してきた政権だというのであれば、
-
建前上はそれを抑止したいという
-
政権の立場も理解しやすいのですが。
-
抑止力という、この議論の余地のない
-
考えを展開し始めれば、
-
これは選択的に、
-
違法行為に対する公平な分析をやめ、
-
そして明確に政治的イデオロギーを基礎に置いた
-
法執行リソースの配備の決定に着手したことになる、
-
これはまさに非民主的なだけでなく、
非アメリカ的であると言えるでしょう。
-
後の報道によると、検察官スティーヴン・ヘイマンは
MITの外部弁護士に対し、
-
堪忍袋の緒を切るきっかけになったのは、
-
スワーツが立ち上げた"Demand Progress"という
組織が発表したプレスリリースだったと語った。
-
MITの報告によれば、ヘイマンは
この支持声明に対して反応し、
-
「馬鹿げたネットキャンペーン」、そしてこの事例を
-
一対一のレベルから組織的レベルへと
移行させようとする「愚行」と呼んだ。
-
それは良くない組み合わせでした:
メンツを潰されたくない、
-
近い将来政治キャリアを獲得する、
そしておそらく、出戻りなんてしたくない検察官。
-
図書館から大量の本を持ち出した人物の
逮捕に多額の税金を使い、
-
あげくは裁判でこてんぱんにやられる?
絶対にありえない!
-
それから私はMITが政府に赴き、
訴追停止を政府に要請するよう
-
MITに様々な圧力を掛けることにしました。
-
[インタビュワー] MITの反応は?
-
当時MITからの反応はなかったように思います。
-
MITはアーロンを守ろうとしなかった、
-
つまり、MITコミュニティの内部の人間を、
これは理不尽なことです、
-
なぜならMITは真の意味で
ハッキングを振興する場所だからです。
-
MITでは、立ち入りが許されない
屋根やトンネルを駆けまわろうという発想は
-
通過儀礼というだけじゃない、
MITキャンパスツアーの一部になっていて、
-
そして錠前破りがMITの冬期講習にありました。
-
MITは訴追を直ちに中止できる道徳的権限を持っていました。
-
MITは連邦捜査局に立ち向かい、「こういうことをやめろ。
-
こんなことはごめんだ。過剰反応だ。やりすぎだ」と
いう見解を示すことはなかった。
-
……先刻承知ですが。
-
MITはあたかも企業のように立ち振舞った。
彼らはなんと言うか─政府を支援し、
-
彼らが義務感を感じない限り私たちを助けようとせず、
そして、彼らは止めようとはしなかった。
-
MITはコメント依頼を繰り返し拒否してきたが、
-
彼らは後に報告を発表、そこで
中立の立場を守ろうとし、
-
ヘイマンと米連邦検事事務所は訴訟についての
MITからの考えや発言について関心を払わなかったとしている。
-
MITのこの態度はMITの精神と
まったく食い違っているように思う。
-
MITは見て見ぬふりをし、彼らのなすがままに
させてしまったんだ、と主張することもできる、
-
しかし彼らのこういった立場、中立な立場を取るということ
それ自体が、検察官支持の立場を取ることになる。
-
スティーブ・ジョブズと
スティーブ・ウォズニアックに目を向けると、
-
彼らは電話会社から回線をだまし取るよう
設計されたBlueBoxの販売を始めていた。
-
ビル・ゲイツとポール・アレンに目を向けると、
-
彼らは当初ハーバード大学のコンピューター利用
時間を使って自身のビジネスを始めていた、
-
これは非常に明らかにルールに反している。
-
アーロンと今私が言及した人々との違いは
-
アーロンは世界をより良くしようと欲し、
そしてお金儲けをしたかったわけではないんだ。
-
スワーツは様々なインターネットの
問題に対する率直な意見を続けていた。
-
知っての通り、インターネットが機能している
理由は、アイデアの競争市場があるからだ、
-
そして注目すべきは、政府についての情報、アクセシビリティ、
-
議論、討論は増えているのに、むしろ国会は
これらを締め出すことしか頭にないように見える。
-
アーロンは人々にとてもはっきりと世界を説明することで、
世界を変える事ができると考えていました。
-
[RT インタビュワー] フレームは文字通りあなたの
コンピューターを制御し、そしてあなたの偵察に成功する。
-
ようこそアーロン。この番組で再びお会いできて光栄です。
-
ご存知のように、昔スパイが使っていた手口は、
小型マイクを仕込み会話を盗聴していた、
-
今は同じことをするのにコンピューターを使う。
-
スワーツの政治的活動は継続していた、
-
彼の関心はオンライン海賊行為を制限するよう
作成された、会議を通過中の法案へと移った。
-
"SOPA"と呼ばれる法案だ。
-
ピーター・エカズリーのような活動家は
この法案は非常に行き過ぎで、
-
インターネットそのものの
技術的完全性を脅かすものと見ていた。
-
最初にしたことの1つが
アーロンへの電話でした。
-
「これに反対する大きなオンライン
キャンペーンをやらないか?」と。
-
「これは著作権に関する法案ではない」
-
「違うのか?」
-
「違う」彼は言った、
「これは接続の自由に関する法律だ」
-
だからその話に耳を傾けた。
-
そしてスワーツは少しの間法案について考え、
そして言いました、「そうだ」、と。
-
そして彼はDemand Progressを設立しました。
-
[Demand Progress 創設者、アーロンの友人]:
Demand Progressはオンラインの行動派組織で、
現在は150万人のメンバーで活動しています、
-
でも設立したのは2010年の秋でした。
-
アーロンはこの国の政府レベルの
社会正義問題に関わる
-
組織作りを手助けしたコミュニティの
中でも最も目立つ人物の1人でした。
-
[電子フロンティア財団 活動家]:
SOPAは音楽や映画のオンラインにおける海賊行為の
抑制を目的とした法案だった、
-
しかしその実際は、おおむね外科手術が必要な
問題にハンマーを持ち出すようなものでした。
-
もしこれが通過すれば、司法は正当な手続きを経ることなく、
ウェブサイトへの資金流入を遮断したり、
-
そのサイトリンクの除外をGoogleへ
強制したり、これらを企業に認めることになる。
-
企業が必要としていたのは
著作権侵害に対する1つの要求だった。
-
そしてそれは伝統的なメディアの巨人たちと、新しい
遥かに洗練されたリミックス文化とを対抗させることになった。
-
これによりウェブサイトを持つ誰もが警察官と出くわす事になる、
-
そして仮にそのサイトを、まさに違法性を持つ
目的で使用しようとする人間を確認する義務を
-
果たさなくても、審判請求なしに
サイト全体を遮断することができる。
-
これはやりすぎです。というか、大惨事です。
-
この法案はインターネットを使う人たち全ての
表現、市民の自由に対する深刻な脅威です。
-
ごく一握りの人間のみが、「見てみろ、
海賊行為を支持するつもりはないが、
-
[オレゴン州 民主党上院議員]:
しかしインターネットの構造、ドメインネームシステム
などの自由でオープンな多くのものを、
-
海賊行為に対する戦いという名の元に
破壊しようなんて意味がわからない」と声を上げた、
-
そしてアーロンはすぐさま立ち上がったのです。
-
自由、この憲法で保証された、
私たちの国を作り上げてきた自由が、
-
突然削除されることになる。
-
新しいテクノロジーが、さらなる自由を
もたらすのではなく、当たり前だと思っていた
-
基本的権利を消滅させるだろう。
-
そして僕はその日、ピーターと話し合った時に気がついた、
これを見逃すわけには行かないと。
-
SOPAが2011年10月に提出された時点で、
可決は避けられないと考えられていました。
-
最初に法案が登場した際の我々の戦略では、
うまくいけば法案の通過を遅らせる、
-
あるいは少しでも弱体化しようと
いったもので、まさか
-
法案通過を阻止できるとは考えていませんでした。
-
ワシントンで働いていた時に学んだのは、
ワシントンではたいてい、
-
議会闘争というのは、異なる企業資本絡みの
利権同士のだということです。
-
彼らはみな法案通過のために格闘します、
そしてその闘いが接戦となる時、
-
それは企業利権と別の企業利権同士の闘いで、
-
選挙献金とロビー活動の点において
財政的に互角である場合です。
-
こうした闘いは接戦になります。
-
そしてたいてい互角の闘いとならないものは、
-
全ての資金、全ての企業が一方にいて、
-
そして反対側には何百万の市民だけという場合です。
-
私が公職にいた間、PIPAやSOPAの
ようなものを見たことがなかった。
-
この法案を40人以上の
アメリカ上院議員が共同提案していた、
-
そのため審査手続きをすべてクリアするのに必要な
-
60票の投票を得るための長い道のりをすでに経てきていた。
-
僕でさえ我が身を疑い始めた。
大変な時期だった。
-
スワーツとDemand Progressは昔ながらの支援活動に加え、
とても簡単に国会議員に電話できるよう、
-
一般的なVoIPを組み合わせて、
莫大なサポートを集結させることができた、
-
技術面とキャンペーン戦略の面、その両方において
-
彼のようなレベルで運営できる人物に会ったことがありません。
-
何百万の市民が議会にコンタクトを取り、
SOPA反対請願に署名した。
-
議会は不意を突かれた。
-
法案を審議している馬鹿な議会議員、
-
我々はインターネットを規制できる、
-
オタク連中には止められないと断言する
彼らを垣間見てきた。
-
私はオタクじゃない。
-
オタクでは不十分だ……
-
私たちはこのことが実際どうなるのか
オタクたちに聞いてみるべきかもしれない。
-
公聴会を開こう、オタクたちを招いて……
-
[笑い声]
-
まじで?
-
[笑い声]
-
「オタク」だって?
-
[笑い声]
-
ねぇ、思うんだけど、あなた方が
お探しの単語って、「専門家」じゃないの?
-
[笑い声]
-
その法案が裏目に出てインターネットを
壊したりすることはない、って
-
啓蒙したければさ!
[観衆のさらなる笑い声と拍手]
-
私たちはギークという言葉を使いました、
でもそれを使うことにしたのは私たちがギークだったからです。
-
この経験で得た事実、
技術的な専門家との対話の欠如は、
-
この街に問題が存在するという
事実を反映している。
-
この私の目前に呼び出し、公聴会で証言し、「これが
君たちが間違っている理由だ」と言える人物を求めている。
-
かつては科学的、技術的なアドバイスを提供する
米国議会技術評価局があって、
-
議員らはそこへ行って、「これらの理解を
手伝ってくれないか」と頼むことができた。
-
ギングリッチがそれを潰してしまった。
お金の無駄だと言って。
-
それ以来ずっと、議会は暗黒時代に陥ってしまいました。
-
アーロンも含めて、SOPAを打ち負かすことができると
考えている人間はいなかったと思います。
-
試す価値はあるけど、勝てる見込みなんてないわ、と、
-
そしてたしか2、3ヶ月後、彼が私の方を向いて、
-
「僕たちは勝てるかもしれないぞ」って。
-
そして思いました、「なんてすごいことなんだろう」と。
-
議会への要求は続いた。
-
ドメインホスティングサイトGo Daddyが
法案の支持者になった際、
-
1万人以上のユーザーが抗議のために
自身のドメインを移管した。
-
1週間もせずに、恐縮したGo Daddyは
SOPAに対する立場を逆転させた。
-
レコード会社や映画会社に支持されていた
国会議員たちが、
-
この反発の存在に気がついた時、
彼らは法案の規模を若干縮小しました。
-
起こりつつある変化が見えた。
私たちの議論が共鳴し始めていた。
-
それはまるでアーロンがマッチで
火を着け、それが広がり、
-
また別のマッチに火を着け、それが広がり、
-
ついには本当の炎となるのに充分な
焚付に成長するまで彼が管理し、
-
そしてこの燃え盛る大火となったようでした。
-
2012年1月16日、ホワイトハウスは法案を
-
支持しないという声明を発表。
-
そして、それは起こった。
-
私は海賊行為の問題に
対処すべきだと大いに信じています、
-
そして我々も真剣に対処すべきでしょう、
しかしこの法案は正当な法案ではない。
-
ジミー・ウェールズがWikipediaの停止、
ブラックアウトを通じて運動を支援したその時、
-
世界第5位の有名サイト、
-
これはインターネット上で行われる
全てのクリックの7%にあたる。
-
Wikipediaがブラックアウト。
-
Redditがブラックアウト。
-
Craigslistがブラックアウト。
-
連邦議会の電話回線は
またたく間にパンク。
-
議会議員たちはたった2日前に
推進した法案への支持を
-
撤回する声明の作成に殺到し始めた。
-
24時間内に、議会内のSOPA反対派の数は、
-
これから……
(賛成80:反対31)
-
こうなった。
(賛成65:反対101)
-
上院、下院議員たちがブラックアウトの日を
通してゆっくりと態度を変えるのを見たのは、
-
とても信じられなかった。
-
100人近くの議員が移行した。
-
そしてその時、僕にとって
信じられないことだが、色々とあってついに、
-
私たちは勝利した。
-
皆が不可能だと言っていた、
-
いくつかの世界の大企業たちが
夢物語だとして片付けたことが、
-
起こってしまった。
-
私たちはやり遂げた。
-
私たちは勝った。
-
インターネットの政治問題、ひいてはアメリカの
政治問題にとって歴史的な1週間です。
-
ワシントンの、連邦議会のスタッフから聞いた話では:
-
今までに受け取った以上のメールや電話を
-
SOPAブラックアウトデイで受け取ったと。
-
あの時は非常に興奮した瞬間だと思う。
-
インターネットが政治的に成長した瞬間だった。
-
本当に起きたことが信じられないほど気分爽快だった。
-
背後に多額の資金力を持つ法案の通過が、簡単に
-
楽々と行われなかったことが信じられなかった。
-
そしてそれだけでなく、全く通過することがなかった。
-
時々自分が無力だと感じるのは簡単だ、
-
街に繰り出しデモ行進をし大声を上げても
誰にも聞き入れてもらえないときは。
-
しかし今日ここであなたたちに言いたい、
あなたたちにはパワーがある。
-
[観客の声援]
-
時々聞き入れてもらえてないと感じるかもしれない、
しかし今日ここであなたたちに言いたい。
-
あなたがたは聞き入れられている。
あなたがたは変革している。
-
闘うのをやめなければ
この法案を阻止できる。
-
[観客の声援]
-
PIPAを阻止しよう。
-
SOPAを阻止しよう。
-
[観客の声援]
-
最大級のインターネット企業のいくつかが、
あからさまに言えば、
-
小さな競合相手を検閲できるような世界から利益を得る。
-
私たちは見過ごすことはできない。
-
彼にとっては、大きな変革の内のごく一部の役割を果たすより
-
確実に小さな変革を成し遂げることに、
より興味がありました。
-
でもSOPAでは大きな変革で
大きな役割を果たしたんです、
-
なので彼にとっては、こういった
概念を実証したようなものでした、
-
「OK、僕の人生の目的は世界を変えることだ」
-
「僕の影響力を科学的な測定法で検討すると、
-
それは実現可能だと示された」
-
「僕の人生の目的は実現可能だ」
-
「ぼくはやり遂げられると証明された、
-
それはつまり、アーロン・スワーツは
世界を変えられるということだ」
-
自身をよくやったと心から感じたことがない、
つまりアーロンのことですが、そういう男にとって、
-
この出来事は、なにか良い事を
やり遂げたと彼自身が感じているのを、
-
これが唯一で最後となるかもしれない
ウイニングランだと感じているのを
-
見ることができた数少ない瞬間の1つでした。
-
SOPAを阻止する方法はないと皆が言っていた。
-
私たちはそれを阻止した。
-
3つの素晴らしい、幸先のいい勝利だった、
そして今年はまだ終わってない。
-
つまり、前向きになれる時があるなら、
それは今だ。
-
ご存知のように、彼は逮捕後、
その年にSOPAを打ち負かしました。
-
明らかに幸せな瞬間とは言えなかった。
多くのことが進行中でした。
-
彼はとても政治的プロセスへの参加に
順応していたので、彼を止められなかった。
-
スワーツが設立、ないし共同設立した
組織のリストは膨大で、
-
エドワード・スノーデンが広範囲にわたるインターネット
監視について暴露する何年も前の事だった。
-
スワーツの身はすでに案じられていた。
-
スパイ計画がどれほど大きいのか
といった基本的統計情報すら持っていないほど、
-
説明責任がとても曖昧だというのは衝撃的です。
-
もし回答が「ああ、たくさんの人間をスパイしてるので
カウントすることすらできない」だとしたら、
-
その人数は非常に大勢になるだろう。
-
もし回答が「見てくれ、我々は
スパイしている電話の本数は把握している、
-
これに対応する実際の人間の正確な数は
分からない」というなら話は別だ、
-
しかし彼らは戻ってきて言うには、
「その数字を答えることはできない」
-
これはとても……、つまり、
恐ろしいことだ、そしてこれが事実だ。
-
彼には途方もない圧力が掛けられ、
彼が稼いだ資金の全てが取り上げられました。
-
知ってのとおり、彼の身の自由も
奪い去られる危険がありました。
-
なぜそうしたのか分かりますか?
つまり、なぜ内部告発者を追い詰めようとしたのか?
-
なぜ様々な事柄について、つまり、銀行から、戦争、
-
政府の透明性にまで関わる真実を伝えようと
する人間を追い詰めようとしたのか?
-
そういうわけで、秘密主義はすでに権力を持つ側の役に立ち、
-
そして私たちは、政府が十中八九不法で違憲な
様々なことを行っている時代と
-
相重なるように、秘密主義の時代に生きている。
-
つまり、この2つは偶然じゃない。
-
この技術が海外の小さな国のためではなく、まさにここで、
-
アメリカで使うために、アメリカの政府によって
開発されたことは非常に明らかです。
-
スパイ計画の問題は、これが
長い期間にゆっくりと拡大していることです、
-
遡ることニクソン政権から、
-
ジョージ・W・ブッシュ政権下、
9/11以後に大きくなり始め、
-
オバマ政権下で拡大を続けている、
そしてこの問題はゆっくり、ますます悪化している、
-
しかしこういったように指摘できた瞬間はなかった、
-
「よし、我々には今こそ反対論の活性化が必要だ、なぜなら……」
-
私の見るところ、今回のアーロン・スワーツへの起訴は
オバマ政権を政治的脅威と見る
-
グループに特定の強烈なメッセージを送ることになった、
-
そのグループとは基本的に、ハッカーの、情報の、
そして民主主義活動家のコミュニティで、
-
こうしたコミュニティにオバマ政権が
送ろうとしたメッセージとは、
-
私の見立てでは、「あなたがたは既存体制に対し
トラブルを起こす能力があることを我々は知っている、
-
そして我々は、あなたがたの多くがこうしたトラブルを
引き起こしたくないと恐れるよう、
-
アーロン・スワーツを見せしめにしようとしている」
-
そして政府が言うには、「ああ、スパイ計画を合法化するのに
-
利用している法的意見についても機密事項だ、
-
だからあなたをスパイするのに
使っている法律も言うことはできない」
-
知ってのとおり、いつでも彼らは決まってそう言う、
「ああ、これは別の形のサイバー戦争だ。
-
サイバー犯罪が再び私たちを襲っている。
皆が危機に直面している。皆が脅威に晒されている」
-
ますます危険な法律を通過させるために
こうした言い訳を使っている。
-
[2012年7月10日、最後のインタビューとして
知られるものの1つ、映画 War For The Web より]
[インタビュワー] 続いての質問ですが、個人的に、
闘いが進行しているときどのように感じていますか?
-
ご想像にお任せしますよ!
-
わかってます。もちろん、でももう行かなければ……
-
知ってのとおり、2つの対立する見方があります、そう、
-
全てが偉大で、インターネットがこの自由で縛られない
ものたちを作り上げ、全てが素晴らしくなっていく、
-
一方は、全てがひどいもので、
-
インターネットがクラックやスパイ用のツール群を作り出し、
-
私たちの発言を統制している。
-
そしてこれは2つとも正しい、そうでしょう?
-
インターネットはこの2つのことを行う、
それらは素晴らしく、また衝撃的で、
-
長期間どちらを勝ち取るのかは私たち次第だ。
-
「ああ、こっちのほうが断然いいよね」と言ったところで
意味がない、ご存知のように、この2つの見方はどちらも正しい。
-
そしてどちらを力説し、どちらを生かしていくかは私たち次第だ、
-
なぜならこの2つの見方は現に存在し、
そして常にそこにあり続けるのだから。
-
2012年9月12日、連邦検事らは電子通信による不正行為、
コンピューターへの不正アクセスならびに不正行為における
-
訴因を追加した、スワーツに対する追加的変更の起訴状を提出。
-
これで、4つの重罪にかわって、
13の重罪に問われることになった。
-
検事らの影響力は劇的に増加、
-
スワーツの懲役と罰金を見込めるほどに。
-
彼らはさらなる変更を加えるために訴状を分けて提出した、
-
そしてなぜこの行為がこれら多くの連邦犯罪を構成し、
-
法律に基づいた数多くの処罰を加えられるのか
といった見解を持っていました。
-
その見解、そしてスワーツに対する検察側の言い分に
-
関連する法律は本来は1986年に作られたものだった。
-
「コンピュータ犯罪取締法」と呼ばれる法律だ。
-
コンピュータ犯罪取締法は
-
マシュー・ブロデリック主演の映画、ウォーゲームに
触発されたものでした─素晴らしい映画でした。
-
[ブロデリック] 頂くぞ。
-
この映画では、ある少年がコンピューター
ネットワークの魔法のような力で、
-
核攻撃を開始する能力を得ます。
-
[ミサイルの発射音]
-
[電子フロンティア財団 法務顧問]:
もちろん、実際には無理です、
そして80年代では確実に不可能ですが、
-
話によれば、この映画が当初のコンピュータ犯罪取締法を
-
通過させるに充分なほど、議会を怯えさせたようです。
-
これはまさに時代遅れの法律です、例えば、
-
合意などといった利用規約によっても罰せられる。
eHarmonyやMatch.comといったサイトで、
-
誰かが自身の個人的特徴を誇張したりすれば、
-
前触れもなしに、法域や検察官によっては
-
たくさんのトラブルに巻き込まれることになる。
-
「利用規約」の意味は皆がわかっている。
-
ほとんどの人はそれを読まない、
しかしそれらの規約を遵守しなければ、
-
重罪を犯したことになる。
-
ウェブサイトの利用規約はたいていこんな感じです:
-
「お互い仲良くしましょう」とか、
「不適切なことをしてはいけません」とか。
-
刑法の考えというのは何らかの
違反行為について述べたものであって、
-
たいていの人はクレージーだと感じるでしょう。
-
この一例は更に「クレージー」だ:
-
2013年5月に変更されるまで、
雑誌Seventeenのウェブサイトの利用規約では
-
サイトを読むには18歳でなければ
ならないと書かれていた。
-
コンピュータ犯罪取締法を司法省が解釈すれば、
-
私たちはおそらく皆違法だと言わざるを得ません。
-
曖昧で乱用されがちなコンピュータ犯罪取締法は、
広範囲のコンピューター関係の論争に使われる
-
万能サイズの鉄槌へとなっていった。
-
彼の訴訟での唯一の要因とは言えないが、
-
スワーツに対する13のうち11の容疑で
コンピュータ犯罪取締法が関係していた。
-
アーロン・スワーツの物語において繰り返し
もたげてくる「なぜ?」という疑問。
-
それは政府の原動力、
そしてこの訴訟をどうするつもりだったのか?
-
司法省は疑問への回答依頼を拒否したが、
-
オリン・カー教授は元検事で、今回の事例を研究していた。
-
[ジョージ・ワシントン大学 法律学教授]:
私は様々な理由で他の人よりも異なる視点から、
この事例について考えられると思います:
-
私は教職に入る前の3年間
-
司法省の連邦検事でした。政府は
-
どのような犯罪が行われたかを判断し、
それに基づいて起訴状を提出します、
-
純粋な法律家の問題として、
前例から判断し、法律から判断し、
-
歴史から判断し、これまでに
明らかになった事例から判断します、
-
こういったものに基づいたものが
公平な訴訟だと私は考えます。
-
この事件を起訴すべきだったかどうかに
ついて討論することもできます。
-
様々な意見の相違があります。オープンアクセス側の
立場の人たちもいれば、そうでない人もいる。
-
政府はスワーツの「ゲリラオープンアクセス
マニュフェスト」をとても重大に受け止め、
-
スワーツが不法だと捉えた
法律を乗り越え、破るといった
-
倫理的義務にかられて犯行を
犯した人物と捉えたんだと思います、
-
そして民主主義では、法律が不法だと感じれば、
その法律を変える方法があります。
-
スワーツがSOPAで見事に
成し遂げたように、議会に赴くか、
-
さもなければある意味法律を無効にしようと
法に違反することもできます、
-
検察官を駆り立てたのは、
スワーツが法律に違反しただけでなく、
-
法律が無効であることを実際に確かめようと
犯罪を犯したというこの印象にあると私は考えます、
-
「覆水盆に帰らず」というわけで、
-
皆がデータベースにアクセスできるようになる。
-
そうなれば、スワーツ側の勝ちでしょう。
-
不当な法律であるかどうかには
社会の中でも大きな意見の相違があり、
-
そして最終的に、それはアメリカ国民のために
議会を通して作り上げていく意思決定となる。
-
そして2つ目の問題だと私が考えるのは、
私たちがいまだ見つけ出そうとしているもの、
-
重罪と重罪でないものを分かつものは何か?
-
私たちは今までと異なるコンピューター、
その悪用という状況に入りつつあり、
-
そして我々は厳密に線引きする確固たる判断を未だ持っていない、
-
なぜなら今現在それに取り組んでいる。
-
これは訴追裁量のまずい使い方です。
-
司法省が人々を恐れさせようと、その鉄槌は
-
ますます大きく、大きくなりつつあります、
-
そしてたいていの人々は、自分の人生を
サイコロのように賭けたりしない。
-
第三者の電話を盗聴すべきでしょうか?
第三者を撮影すべきでしょうか?
-
人の裏をかいて別の人々に対する
不利な証言をさせるべきでしょうか?
-
連邦捜査員や連邦検事はそのように考えている。
-
彼らは訴訟を組み立て、訴訟を作っている。
-
スワーツは後戻りできない重犯罪刑事司法制度の
歯車に絡め取られてしまった、
-
アメリカという国が作った、
世界一の投獄率を誇るこの機械の歯車に。
-
この国では、恐怖や怒りといった政治判断によって
逮捕することを自身に許してしまっている、
-
[Equal Justice Initiative 事務局長]:
インターネットとそのアクセスの未来と言ったものを危惧し、
-
またそれに怒り、無意識のうちに刑事司法の介入を生み出し、
-
歴史的にかつて見たことのない刑事司法の諸問題を
-
解決するために、拘置所や刑務所、刑罰を使っている。
-
この脅迫や起訴を行いたいという衝動、
-
インターネット上の情報、そしてオンラインアクセスから
生み出されたこの討論と論争のうちの1つの論点、
-
これは他の分野で見られる論点と非常に一致している。
-
唯一の違いは、たいていこの種の
犯罪や刑務所に対する反応によって
-
ターゲットとなり、犠牲となる人々は
典型的に貧しく、またマイノリティです。
-
スワーツが抱える友人や家族からの孤立感は増していった。
-
彼は基本的に活動するのをやめてしまいました、
-
今回の事件は、もっと言えば、
彼の人生そのものを奪ってしまいました。
-
アーロンの弁護士の1人の話では、
検察官いわく、彼は感情的に弱く、
-
その上それを留意する必要があったので
その事実を知っていた、と語ったそうです。
-
この事は彼にとても重くのしかかっていました。
-
行動する気が起きないようで、
多少なりとも彼の行動は制限されていました、
-
そして彼をさんざん傷めつけた投獄への恐怖が
-
彼を怯えさせました。
-
息子は金融資産を完全に使い果たし、
-
そして多額の経費を使ったため、
彼はかなりの金額を工面しました、
-
その額は、そう、数百万ドルにのぼりました。
-
[インタビュワー] 法的弁護のために?
- はい。
-
- 数百万ドルも?
- はい。
-
彼は人々の重荷になりたくなかったんだと思います。
-
これが要因だったんだと思います、
「普段通りの生活を送っていたが、
-
その後解決しなければならない
このひどいトラブルを抱え、
-
可能な限りこのトラブルから距離を置こうとしたが、
-
それらは渾然一体となり、全てが不愉快に思えてきた」
-
スワーツは最も厳しい選択に迫られた:
-
罪を認めて生きていくのか、
-
それともこの破綻したシステムと闘うのか?
-
彼の訴訟事例の場合、答えはシンプルだった:
-
彼は最後の司法取引を拒否し、
公判期日が決定した。
-
アーロンは公正だと思えないものには屈せず、
-
受け入れないと固く決心していました。
-
彼は有罪とはならなかったでしょう。
-
彼が裁判所から出てきたら、彼を強く抱きしめ、
-
ボストンの小川を歩き、そしてビールを飲み交わす、
そんなつもりでいました。
-
私たちは正しいと本当に考えていました。
その訴訟に勝てるだろうと。
-
この訴訟に勝てるものと考えていました。
-
彼はこの一件についてあまり話そうと
しませんでしたが、彼が受けた
-
大きな苦悩を見て取れました。
-
♪ 遠くへ行ってしまった…… ♪
-
子どもの頃、アーロンが激しい気分の浮き沈みや、
-
うつ病エピソード、「重度の抑うつ」と
いったものに見舞われたことはないですね、
-
でも彼はうつ状態になったのでしょう。
人は誰でもうつ状態になります。
-
[♪ ♪ ♪]
-
付き合い始めてまだ早い時期、
3、4週間目の頃に、
-
彼が話したことを覚えています……
-
彼よりも私のほうがとても打たれ強いと。
-
そう、彼は色んな面で傷つきやすかった。
-
多くの人々よりも、彼にとって
物事はいろいろと過酷でした。
-
その上それは彼の才能のせいでもあった。
-
20代の早い時期に、彼はおそらく
うつ病のような状態にあったと思います。
-
私と一緒にいた時に彼が
その状態だったとは思っていません。
-
彼は「愉快」な人間ではなかった、
ですがうつ病とは違います。
-
彼はずっと2年間もこうした
数多くのプレッシャーを受けていました。
-
彼はもう、何もしたくなくなったんでしょう。
-
彼はただ……、もうたくさんだと
思ったんでしょう。
-
♪ 独り静かに佇む…… ♪
-
夜遅く電話がありました。
-
何か悪い予感がして、その後電話しました、
そして何が起こったのかを知りました。
-
ソーシャルニュースサイトRedditの共同設立者が
遺体となって発見されました。
-
警察によれば、アーロン・スワーツ、26歳は
-
昨日ブルックリンの自宅アパートで自殺したとのこと。
-
僕たちの時代の最もクリエイティブな
知識人の1人を失ったと感じました。
-
この瞬間この世界全てが壊れていくように感じました。
-
僕の人生で一番つらい夜の1つでした。
-
ただ叫び続けていました、「聞こえない!
なんて言ってるの?聞こえない!」
-
耳に入ってこなかった。ただそれだけで。
-
[インタビュワー] わかりました。
-
ええ、まったく理解できなかった。
-
いまでもよく理解できていません。
-
とても、苛立ち、憤慨しました。
-
[深いため息]
-
そう、私の子どもにこのことを説明しようとしました。
-
私の3歳の子どもが、お医者さんたちが
彼を治療してくれるよ、と言ってくれたので。
-
これまで亡くなった人たちを数多く知ってるが、
こんな形で誰かを失ったことはなかった、
-
だから皆が感じているように、私も考えています、
できることがたくさんあったのでは、もっとしてやれることが……
-
彼がそんなことになってるとは知らなかった。
彼がそんなに思いつめてるとは……。
-
彼は私の一部でした。
-
これが現実でなければといいのにと
思いました、そして……
-
そして彼のWikipediaページを覗くと、
その忌日が目に飛び込んできました:
-
「2013年没」と。
-
アーロンが亡くなった。
-
この狂気の沙汰を彷徨う我々は、
一人の指導者を、一人の賢兄を失った。
-
正義を求めるハッカーである我々は、
その一人が旅立ち、
-
同胞の一人を失った。
-
育て、慈しみ、話し相手となり、
養い、親である我々は、
-
一人の子どもを失った。
-
我々は皆、彼を追悼しよう。
-
ティム・バーナーズ=リー卿、 2013年1月11日
(訳注: W3C技術アーキテクチャグループの
メーリングリストに投稿されたもの)
-
最初に感じたことは: もし誰も気付かなかったら
どうなっていただろうか?
-
なぜなら彼がどんなに目立つ存在だったか
私にはよくわかっていなかった。
-
この機運の高まりは今までに見たことのないものでした。
-
インターネットで火が着きました。
-
誰もがそれぞれ独自の方法でこの事実を
説明しようとしていました、しかし私は
-
ツイッターで人々がこんなに深く
追悼しているのを見たことがなかった。
-
オンラインで人々は
見るからに深く悲しんでいました。
-
彼はインターネットの申し子だった、
-
そして旧態とした世界が彼を殺したんです。
-
私たちはひどい不正が無傷で
横行する時代の真っ只中にいます。
-
金融危機を起こした張本人は
頻繁に大統領とディナーを楽しんでいる。
-
こうした時代の中で、この事件を政府が
起訴しようとしていたというこの見解、
-
これが悲劇でないというなら、
まさに不条理でしょう。
-
問題は: 起こってしまったことに
対して、私たちは何ができるか、
-
この世界をより良くするために、
-
そしてこの遺産をどう進展させるか?
-
これが私たちに問われている唯一の問題です。
-
世界中で、ハッカソンや集会が行われるようになり、
-
アーロン・スワーツはある意味、こう問いかけることで
私たちの持っている力を最大限に引き出した:
-
私たちはこれをどうやって修復しよう?
-
私見ですが、彼はこの国が生み出した、並外れた真の
-
革命派の1人でした。
-
アーロンが闘いに敗れたのか、
勝利したのかはわかりませんが、
-
しかし私たちは確実に、彼が取り組んだ
物事によって形作られている。
-
知識へのアクセスを増大させようという
市民たちが法律の武装工作員となった時に、
-
私たちは法のルールを破り、正義の神殿を侵犯する。
-
アーロン・スワーツは犯罪者ではない。
-
[拍手]
-
変化は当然のようにはやって来ない。
-
変化は闘いの連続を通してやってくる。
-
アーロンは本当に魔法を使うことができた、
-
そして彼の魔法がその死によって終わらないよう
見守っていくことに生涯を捧げます。
-
彼は世界を変えることができると
信じていました、そして彼は正しかった。
-
先週、そして今日と、
不死鳥はすでによみがえっています。
-
[拍手]
-
スワーツの死の後、下院議員のゾーイ・ローフグレンと
上院議員ロン・ワイデンは
-
コンピュータ犯罪取締法、スワーツに対する
容疑の多くを形作った時代遅れの法律を
-
修正する法案を提出。
-
その名も「アーロン法」。
-
アーロンは文字通り常にこう
自問するべきだと信じていました、
-
「この世界で今すぐに取り組むことが
できる最も重要なことは何か?」
-
そしてまだ取り組んでいないのなら、
ぜひやらなければ。
-
[抗議者たち] 民主主義とはこういうものだ!
-
[大勢の合唱]そして我々国民も!
-
インターネットの自由が攻撃されている!
我々にできることは何だ?
-
立ち上がり、反撃しよう!
-
インターネットの自由が攻撃されている!
我々にできることは何だ?
-
ヘイ!ヘイ!ホゥ!ホゥ!
カーメン・オーティズは出て行け!
-
過去を変えられればよいのですが、
それは不可能です。
-
しかし未来は変えられるし、
変えなければならない。
-
アーロンのためにも、変えなければならない。
私たちのためにも、変えなければならない。
-
世界をより良い場所に、より人間味ある
場所にするために、正義が機能し、
-
知識へのアクセスが人権と認められるような
場所にするためにも、変えなければならない。[拍手]
-
2月頃に、ボルチモアからJSTORに
アクセスしていた14歳の少年がいました、
-
彼はJSTORを探索し、その後何かを読んで、
-
すい臓がんを早期発見する検査方法を突き止めた、
-
すい臓がんはあなたを死に至らしめる、
なぜなら現在の方法では発見が遅れてしまい、
-
何かの処置を施すにはもう手遅れになってしまう、
-
そして彼はジョンズ・ホプキンス大学の
がん科全体にメールを送った、
-
そう、何百というメールを送って、そのすべての……
[インタビュワー] 14歳って言いました?
-
そう、14歳です、そしてほとんどのメールは
無視されたが、彼らの1人が彼に返信を送った、
-
「まったく馬鹿げたアイデアという
わけでもない。ぜひ来てみないか?」
-
その少年はそこの研究者として午後と週末働いた、
2月にこのニュースを聞いたんだ、
-
アーロンが亡くなってまだ2週間後、
まだニュースにアーロンがたくさん出ていた時に……
-
すまない……
-
そしてなぜその彼がニュースになったかというと、
彼らがやり遂げたからだ。彼らは
-
多くの命を救うすい臓がんの早期検査法を発表した、
-
[どのようにアーロン・スワーツはジャック・アンドレイカの
革命的がん検査に道を開いたのか]
そして彼いわく、「このことが、アーロンの
行なったことが重要である理由なんだ」
-
何が起こるかわからないですよね?
この宇宙の真理というやつは、
-
速度制限はこうあるべきだと政策決定機関が
計算する際に使われるだけじゃない。
-
その真理によって、子どもがすい臓がんによって
亡くなることから守ることができるだろう。
-
そしてもし情報へのアクセスが無ければ、
その鍵を握る真理を見つけ出したであろうその人物は、
-
答えを見つけることができなかったかもしれないんだ。
-
パディントンはよく眠りました、夢の中で宇宙船の遊具に
また乗船した時も、ベッドから落ちたりしませんでした。
-
よくできました、アーロン。
よくできました。よし、アーロン!
-
OK、さあ、お歌の時間だよ。
-
[♪ ♪ ♪]