大気汚染物質から作られたインク
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0:00 - 0:03毎年 世界中で400~500万を超える人が
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0:03 - 0:08屋外の大気汚染に曝されて
亡くなっています -
0:08 - 0:11このシャーレをご覧ください
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0:11 - 0:15熱分解装置から約20分かけて採取された
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0:15 - 0:17汚染物質が入っています
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0:17 - 0:20これがPM2.5です
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0:20 - 0:22これらの粒子は 今は見えますが
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0:22 - 0:25空気中では見えません
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0:25 - 0:27とても小さい粒子なので
私たちの肺は -
0:27 - 0:31あるいは身体は これらを除去できず
もし適切な時期に対応しなければ -
0:31 - 0:35身体の中に最終的に溜まり
ぜんそくや肺がんをもたらします -
0:35 - 0:38私が学生であった2012年に
インドに旅行で戻ったとき -
0:38 - 0:40この写真を撮りました
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0:40 - 0:42この写真は頭に刻み込まれました
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0:42 - 0:45片側から ディーゼル発電機の
排気管が見えています -
0:45 - 0:48まさにその発電機は
人類の進歩の証であり -
0:48 - 0:50急速な産業化と
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0:50 - 0:54エネルギーを生み出すようになってから
100年が経った― -
0:54 - 0:56私たちの社会を象徴しています
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0:56 - 0:57ですが 別の側には
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0:57 - 1:01とても興味深い
黒い三角形が見えます -
1:01 - 1:04これは 発電機の排気ガスから発生したー
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1:04 - 1:07先程お見せしたのと同じ
粒子状の汚染物質の残留物です -
1:08 - 1:10そして 私はこの写真からアイデアを得て
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1:10 - 1:15汚染とインクについて
考え直そうと思うようになりました -
1:15 - 1:17排気ガスが黒い跡になっていたからです
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1:17 - 1:21ところで 私たちが普段使っている
黒インクの大半は 従来 -
1:21 - 1:26工場で化石燃料を燃やして作られています
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1:26 - 1:30化石燃料を燃やす工場は世界中にあり
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1:30 - 1:31そこで生産された黒い炭素粉末が
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1:31 - 1:34日常的に使われる黒インクになります
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1:34 - 1:37ですが 何百万リットルの化石燃料が
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1:37 - 1:39私たちの車やエンジンや排気管で
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1:39 - 1:43すでに燃やされているのですから
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1:43 - 1:45その汚染物質を捕捉して
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1:45 - 1:48再生利用して
インクを作ってはどうでしょうか? -
1:49 - 1:51私はこの実験に挑戦することを決めました
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1:52 - 1:56ボストンにある私の研究室に戻り
小さな実験を行いました -
1:56 - 1:58実験に使えるほどの量の汚染物質が
ボストンでは見つからず -
1:58 - 2:00仕方なくロウソクを使いました
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2:01 - 2:03このように実験しました
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2:03 - 2:04ロウソクを燃やして
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2:04 - 2:07その煤を吸収する
この装置を作り -
2:07 - 2:09煤に植物油とウォッカを混ぜました
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2:09 - 2:13DIY愛好家でしたので
これらを揃えるのは本当に簡単でした -
2:13 - 2:14(笑)
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2:14 - 2:16これらを混ぜた後
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2:16 - 2:18とても初期の形態のインクを
作り出すことができ -
2:19 - 2:20それがカートリッジに入り
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2:20 - 2:23これで印刷することができます
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2:23 - 2:26これは 汚染物質で印刷する実験の
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2:26 - 2:27私にとっての第一歩でした
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2:29 - 2:32これは シャーレでお見せしたのと同じく
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2:32 - 2:36化石燃料を燃やして生成されたPM2.5です
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2:37 - 2:402015年 大気汚染物質の捕捉と
再生利用に取り組むために -
2:40 - 2:42私は実験を更に進めることを決め
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2:42 - 2:45インドで研究室を立ち上げました
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2:45 - 2:48好調な時期の研究室はこのような感じでした
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2:48 - 2:51しかし 実験は常に
制御されていたわけではなく -
2:51 - 2:52何度も大惨事になりました
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2:52 - 2:54実験を行うと
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2:54 - 2:57研究室はこうなってしまいました
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2:57 - 3:00目標は分かっているのに
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3:00 - 3:03どうやって達成するのか
自信はありませんでした -
3:03 - 3:06その建物の中に入り
研究室の傍を通った人は -
3:06 - 3:09「こいつらは爆弾を作っている」
と時々 思ったはずです -
3:09 - 3:13周辺には やたら配線があり
頻繁に火の手が上がり 煙も立ち込めてたので -
3:13 - 3:14(笑)
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3:15 - 3:18実験を進めるために場所を移すことにして
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3:18 - 3:20駐車場を確保しました
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3:20 - 3:24最初の頃は バンガロールの町を
こういう車で走りました -
3:24 - 3:25これは最初の頃の試作品です
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3:25 - 3:27周囲の視線を想像してください
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3:27 - 3:29「こんな車で走り回って何をしてるんだ?」
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3:29 - 3:34これは 従来型のディーゼル車から
排出される汚染物質を捕らえる― -
3:34 - 3:37私たちの装置の
最初の頃の試作品です -
3:37 - 3:39これは初期段階の技術です
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3:39 - 3:43技術を前進させ
この形に至りました -
3:43 - 3:46ディーゼル発電機のような
動かない汚染源からの -
3:46 - 3:48汚染物質を捕らえます
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3:48 - 3:52この機械を起動させるとすぐに
全ての排気ガスが消えることが見てとれます -
3:53 - 3:56エンジンの性能に影響を与えずに
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3:56 - 4:00ディーゼル発電機から出される
汚染物質の95%相当を -
4:00 - 4:02捕らえることができるのです
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4:02 - 4:06これは 先程の排気ガスから
集めた粒子物質であり -
4:06 - 4:10この時は3~4時間の発電機の運転で
捕らえました -
4:11 - 4:15私たちの実験と研究が進んだ頃
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4:15 - 4:18大手ブランド会社からアプローチがあり
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4:18 - 4:21「君たちと共にこの考えを
もっと先へ進めたい -
4:21 - 4:24この素晴らしさを
多くの人に知ってもらいたい -
4:24 - 4:26君たちがこの汚染物質から
作っているインクで -
4:26 - 4:29世界的な芸術運動をしましょう」
と声をかけられました -
4:30 - 4:32そのインクがどのようなものか
お見せします -
4:32 - 4:38このペンは 先程の車から
40~50分で出る汚染物質を -
4:38 - 4:39再生利用して作られたものです
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4:39 - 4:41シャーレのと同じPM2.5です
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4:41 - 4:44鮮明な黒で書くことができます
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4:44 - 4:45では 書いてみます
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4:49 - 4:52「PM2.5は...間違い」なんてね
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4:52 - 4:56これはPM2.5から作られたペンで
鮮明な黒です -
4:57 - 4:59研究室で改良を重ねた末
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4:59 - 5:03大企業から このアイデアの大々的な
試作品投入のお話をいただきました -
5:03 - 5:06偶然ブランド化することになりましたが
私たちは深く考えずに -
5:06 - 5:07「やりましょう」と言いました
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5:07 - 5:10研究室で発明することと
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5:10 - 5:14アイデアを実社会で活用することは
完全に別物です -
5:14 - 5:16初期段階では
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5:16 - 5:20私たちは自宅と台所を
インク製造工場として -
5:20 - 5:22使わざるを得ませんでした
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5:22 - 5:23そして 寝室と居間は
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5:23 - 5:26最初のインク組立ラインにしました
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5:27 - 5:29これは私の共同創業者のニキルの寝室です
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5:29 - 5:33「エアインク(AIR-INK)」で描く
世界中の芸術家に -
5:33 - 5:35インクを供給しています
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5:35 - 5:37そして 世界中の芸術家が利用できるように
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5:37 - 5:40港にエアインクを運んでいるのは彼です
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5:40 - 5:42すぐに 世界中の
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5:42 - 5:45何千人もの芸術家が
エアインクを使いだし -
5:45 - 5:47このような芸術作品が
生まれ始めました -
5:48 - 5:50すぐに 汚染物質から作られた
何千もの白黒の芸術作品が -
5:50 - 5:52地球規模で生まれ始めました
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5:52 - 5:56科学者や技術者 発明家の人たちにとって
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5:56 - 5:59世界屈指の芸術家の方々に
自らが生み出したものが使われることほど -
5:59 - 6:03自分たちを満足させてくれるものは
本当にありませんでした -
6:03 - 6:05これは『Contagious』(ビジネス雑誌)の
昨年の表紙です -
6:06 - 6:09私たちが研究室で開発した
エアインクで書かれています -
6:10 - 6:14これは 英国の芸術家
クリスティアン・フアーによる有名な絵であり -
6:14 - 6:18ローリング・ストーンズの『黒くぬれ!』
という歌のために描いたものです -
6:18 - 6:21今や このペンやインクが使われるのは
-
6:21 - 6:25大衆的な またはポップカルチャーの
芸術作品に留まりません -
6:25 - 6:27そして 私たちの今の目標は会社の設立です
-
6:27 - 6:30「ブラックマネー」を稼げる会社です
勿論 ただのお金です -
6:30 - 6:31(笑)
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6:31 - 6:34世界で何千年間も作られてきた
従来の黒インクに -
6:34 - 6:37とって代わることができるインクと
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6:37 - 6:41高品質な印刷工程を提供する会社です
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6:41 - 6:45世界において 私たちの知名度が上がり
芸術作品が増えてくるや否や -
6:45 - 6:47私たちは全く別の種類の問題に
直面し始めました -
6:47 - 6:50汚染者から嫌がらせを
受けるようになったのです -
6:50 - 6:54「この汚染物質で何かしてみろ」と書いて
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6:54 - 6:56汚染物質でいっぱいの袋を
事務所に送ってきました -
6:57 - 6:59ボンベイにある私たちの研究室には 今や
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6:59 - 7:04ロンドンやインド 中国 その他諸々からの
汚染物質の見本があります -
7:04 - 7:05これは始まりに過ぎませんでした
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7:06 - 7:10この画像を送ってきた人は
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7:10 - 7:12「PM2.5が詰まった
これらの袋を買い取って -
7:12 - 7:16再利用してみろ」と言ってきました
-
7:16 - 7:20引き取らなければ どうなっていたでしょう?
-
7:20 - 7:24近くの川かごみ処分場に
恐らく捨てたでしょう -
7:24 - 7:28ですが 今や 私たちは エアインクが
採算がとれるものだと分かっていますので -
7:28 - 7:33むしろ彼に汚染物質を送るよう奨励して
インクを作ることができますし -
7:33 - 7:36より価値のある製品にさえできます
-
7:37 - 7:40御存知のように 今や
公害は世界規模の殺人者です -
7:41 - 7:44このインクが世界の公害問題を
解決するとまでは言えないものの -
7:44 - 7:48少し見方を変える事で何ができるかを
教えてくれます -
7:49 - 7:51私が今持っている
このTシャツを見てください -
7:52 - 7:56ご説明したエアインクから作りました
-
7:56 - 7:59シャーレのと同じPM2.5から
作ったんです -
7:59 - 8:04私たちが屋外を歩いているときに
吸っているのと同じ汚染物質です -
8:04 - 8:06これを超えるべく
私たちは取り組んでいます -
8:06 - 8:07ありがとうございました
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8:07 - 8:10(拍手)
- Title:
- 大気汚染物質から作られたインク
- Speaker:
- アニルド・シャルマ
- Description:
-
私たちの周りの空気中の汚染物質を捕捉し、それを何か役に立つものに変えられたらどうでしょうか。発明家のアニルド・シャルマは、PM2.5という汚染物質から作られた実用的な黒インクである「エアインク(AIR-INK)」をどのように生み出したのかをお話しします。ファッションや印刷、包装の業界において、炭素由来の新しい材料が昔ながらの工程をどのように廃止することができたのか、そしてこの過程で世界をわずかばかり清潔にしているのかを学んでください。
- Video Language:
- English
- Team:
- closed TED
- Project:
- TEDTalks
- Duration:
- 09:15
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