WEBVTT 00:00:01.640 --> 00:00:02.896 15年前は 00:00:02.920 --> 00:00:07.760 「多様性」なんて 私が心配すべきこととは 思ってもいませんでした 00:00:08.480 --> 00:00:11.720 戦って手に入れるというのは 私より上の世代の話だと思っていました 00:00:12.960 --> 00:00:16.656 私の通っていた大学では 男女比が五分五分で 00:00:16.680 --> 00:00:19.456 私たち女性の方が良い成績でした 00:00:19.480 --> 00:00:22.856 だから 完璧とまではいかなくとも 00:00:22.880 --> 00:00:24.896 多様性とか 女性指導者が決定権を持つことは 00:00:24.920 --> 00:00:29.000 そのうち自然に起こるはずだと 思っていたんです NOTE Paragraph 00:00:30.640 --> 00:00:32.400 でも そうではありませんでした 00:00:33.160 --> 00:00:36.056 欧米社会で 経営コンサルタントとして 00:00:36.080 --> 00:00:38.136 出世の階段を登っている時 00:00:38.160 --> 00:00:42.736 自分が紅一点の状況に頻繁に遭遇し 依然として指導者の地位を男性ばかりが 00:00:42.760 --> 00:00:46.280 占めていることに 気づくようになりました 00:00:47.520 --> 00:00:49.336 私が出会ったリーダーたちは 00:00:49.360 --> 00:00:54.176 「多様性」とは 政治的公正さの観点から 遵守すべきことだとか 00:00:54.200 --> 00:00:56.840 最良の場合 正しいことだと感じていても 00:00:57.680 --> 00:00:59.680 ビジネスの優先事とは 思っていませんでした 00:01:00.320 --> 00:01:02.656 彼らは「多様性」が 00:01:02.680 --> 00:01:07.656 目下 差し迫った目標達成に 役立つとは思っていませんでした 00:01:07.680 --> 00:01:10.736 その目標とは 数値目標の達成や 新商品の市場出荷などの 00:01:10.760 --> 00:01:13.040 自らの価値を測る 本当の意味での目標です NOTE Paragraph 00:01:14.440 --> 00:01:17.856 私自身が 多様性のある チームで働いた経験では 00:01:17.880 --> 00:01:21.976 チームメンバー達は 最初に 少しだけ多くの努力を必要とする一方 00:01:22.000 --> 00:01:25.200 より新鮮で より独創的な アイデアを生み出しました 00:01:25.880 --> 00:01:28.016 そこで 疑問が生まれました 00:01:28.040 --> 00:01:31.856 多様性のある組織は本当に イノベーティブになるのでしょうか? 00:01:31.880 --> 00:01:35.720 「多様性」は単に遵守すべきものという 考え方を超えられるでしょうか? 00:01:36.320 --> 00:01:38.680 競争社会の中で 真の利点になり得るのでしょうか? NOTE Paragraph 00:01:40.360 --> 00:01:44.640 私たちはその答えを見つけるため ミュンヘン工科大学と共同研究を始めました 00:01:45.400 --> 00:01:50.576 ドイツ、オーストリア、スイスにある 171企業を調査し 00:01:50.600 --> 00:01:53.536 現在は 調査対象に 00:01:53.560 --> 00:01:56.376 世界5カ国 1600社を追加して 00:01:56.400 --> 00:01:58.880 研究を拡大しています 00:01:59.760 --> 00:02:02.656 私たちは各企業に 主に2点 尋ねました 00:02:02.680 --> 00:02:05.720 どの程度イノベーティブか そして どの程度 多様かです NOTE Paragraph 00:02:06.840 --> 00:02:08.336 1点目を測るために 00:02:08.360 --> 00:02:11.080 イノベーションによる売上を尋ねました 00:02:12.000 --> 00:02:14.656 「イノベーションによる売上」とは その企業が過去3年間に 00:02:14.680 --> 00:02:17.696 新製品や新サービスから得られた売上です 00:02:17.720 --> 00:02:20.976 つまり 企業に尋ねたのは 創造的なアイデアの「数」でなく 00:02:21.000 --> 00:02:24.816 それらのアイデアを 企業が現在も将来も一層成功できるような 00:02:24.840 --> 00:02:28.240 商品やサービスとして 具現化できたかどうかです 00:02:29.760 --> 00:02:34.296 多様性を数値化するために 私たちは6つの要素に注目しました 00:02:34.320 --> 00:02:37.880 その中には 出身国と年齢と性別等が含まれます NOTE Paragraph 00:02:39.320 --> 00:02:42.256 実際にこれらのアンケートで フィールド調査を行う前に 00:02:42.280 --> 00:02:44.536 チームミーティングで 00:02:44.560 --> 00:02:47.840 どのような結果が予想されるか 議論しました 00:02:49.640 --> 00:02:51.760 控えめにみても 楽観的でありませんでした 00:02:53.000 --> 00:02:56.536 最も懐疑的なメンバーは 何も発見できない可能性が 00:02:56.560 --> 00:02:58.960 かなり高いと考えていました 00:03:00.360 --> 00:03:02.656 メンバーは ほぼ全員 慎重な態度をとったため 00:03:02.680 --> 00:03:06.576 チームとしては「特定の条件下では」 という結果になると考えました 00:03:06.600 --> 00:03:11.256 「イノベーション」と「多様性」の間に 何らかの関係は見つかるかもしれないが 00:03:11.280 --> 00:03:12.936 それは普遍的なものでなく 00:03:12.960 --> 00:03:15.856 特定の基準を満たした場合のみに なると考えたのです 00:03:15.880 --> 00:03:19.936 例えば リーダーシップのスタイルが 非常にオープンで 00:03:19.960 --> 00:03:24.120 みんなに発言の自由と安全性があり 意見を反映できる場合のみ という条件です NOTE Paragraph 00:03:26.240 --> 00:03:28.280 2、3ヶ月後に データが届き始め 00:03:29.520 --> 00:03:33.840 私たちの中で最も懐疑的だった メンバーをも納得させました 00:03:34.560 --> 00:03:36.416 答えは明白で 00:03:36.440 --> 00:03:38.200 議論の余地はありませんでした 00:03:38.840 --> 00:03:40.976 私たちが得たデータサンプルで分かったのは 00:03:41.000 --> 00:03:45.480 多様性のある会社ほどイノベーティブである という単純な結論でした NOTE Paragraph 00:03:47.120 --> 00:03:52.136 さて 当然生じる疑問は 「卵が先かニワトリが先か」 00:03:52.160 --> 00:03:55.576 つまり 企業がよりイノベーティブになるのは 00:03:55.600 --> 00:03:58.256 リーダーシップが多様だからなのか 00:03:58.280 --> 00:03:59.536 それとも その逆か? 00:03:59.560 --> 00:04:00.760 どちらでしょうか? 00:04:01.280 --> 00:04:05.040 相関関係か因果関係かは よく分かりませんが 00:04:05.880 --> 00:04:08.856 はっきりと分かっていることがあります 00:04:08.880 --> 00:04:12.056 私たちが得たサンプルでは 多様性のある会社ほど 00:04:12.080 --> 00:04:13.576 よりイノベーティブであり 00:04:13.600 --> 00:04:15.896 イノベーティブであるほど リーダーシップは 00:04:15.920 --> 00:04:17.760 多様性に富むということです 00:04:18.279 --> 00:04:21.016 両方とも正しいと仮定してよいでしょう 00:04:21.040 --> 00:04:24.920 つまり 多様性がイノベーションを促し イノベーションが多様性を促進するのです NOTE Paragraph 00:04:27.360 --> 00:04:30.136 さて この結果を発表した途端 00:04:30.160 --> 00:04:34.736 私たちは メディアの反応に 驚かされました 00:04:34.760 --> 00:04:37.656 私たちはかなりの注目を集めました 00:04:37.680 --> 00:04:40.176 その反応は かなり事実に近い 00:04:40.200 --> 00:04:44.456 「女性の割合が高いとイノベーションが 促進される」といったものから 00:04:44.480 --> 00:04:47.976 ややセンセーショナルなものまでありました NOTE Paragraph 00:04:48.000 --> 00:04:49.936 (笑) NOTE Paragraph 00:04:49.960 --> 00:04:51.176 ご覧の通り 00:04:51.200 --> 00:04:54.296 「女性を家に閉じ込めておくのは 何兆ドルもの損失」とか 00:04:54.320 --> 00:04:56.256 私が個人的に好きなのは 00:04:56.280 --> 00:04:58.656 「専業主婦はイノベーションを破壊する」です 00:04:58.680 --> 00:05:01.696 まあ悪い評判も 評判ですから NOTE Paragraph 00:05:01.720 --> 00:05:04.056 (笑) NOTE Paragraph 00:05:04.080 --> 00:05:06.056 このような報道の背後で 00:05:06.080 --> 00:05:09.536 企業の上級管理職の方から 電話がありました 00:05:09.560 --> 00:05:11.256 もっと知りたいという内容でした 00:05:11.280 --> 00:05:14.840 特に驚いたことは 性的多様性について知りたいというのです 00:05:15.680 --> 00:05:19.776 私は このような議論を 質問から始めることが多く 00:05:19.800 --> 00:05:23.936 「御社の現在の状況を どうお考えですか?」と尋ねると 00:05:23.960 --> 00:05:26.520 よくある回答は 00:05:27.480 --> 00:05:30.520 「まあ うちはさほど進んでませんが たいして悪くもないですよ」 00:05:31.240 --> 00:05:33.416 例えば ある企業幹部の方は 00:05:33.440 --> 00:05:34.976 「うちはそこまで悪くないです 00:05:35.000 --> 00:05:37.736 役員会に女性が1人いますから」 NOTE Paragraph 00:05:37.760 --> 00:05:39.096 (笑) NOTE Paragraph 00:05:39.120 --> 00:05:40.336 皆さん笑っていますね NOTE Paragraph 00:05:40.360 --> 00:05:43.320 (拍手) NOTE Paragraph 00:05:46.760 --> 00:05:50.136 さて皆さん笑っていますが 彼が誇らしげだったことには一理あります 00:05:50.160 --> 00:05:51.496 なぜならドイツでは 00:05:51.520 --> 00:05:54.496 もし皆さんが会社の経営者で 00:05:54.520 --> 00:05:57.096 役員会に1人でも女性がいれば 00:05:57.120 --> 00:05:59.536 その会社は上場企業トップ100社の中でも 00:05:59.560 --> 00:06:03.216 特別な30社に入ります 00:06:03.240 --> 00:06:08.456 残る70社の企業の役員会には 男性しかおらず 00:06:08.480 --> 00:06:12.296 しかも 上場企業トップ100社には 00:06:12.320 --> 00:06:16.000 現時点で 女性のCEOは1人もいません 00:06:17.080 --> 00:06:19.320 でも ここに 非常に 重要な真実があります 00:06:20.240 --> 00:06:24.216 わずかな数の女性役員だけでは 00:06:24.240 --> 00:06:26.136 何の変化も生まれません 00:06:26.160 --> 00:06:30.280 私たちのデータでは 性的多様性が イノベーションにインパクトを与えるには 00:06:31.200 --> 00:06:34.920 20%以上の女性管理職が必要です 00:06:35.480 --> 00:06:37.080 少し 数字に注目してみましょう 00:06:38.600 --> 00:06:42.296 このように 私たちはサンプルを 3グループに分けました 00:06:42.320 --> 00:06:45.216 その結果はかなり印象的です 00:06:45.240 --> 00:06:49.936 女性リーダーの割合が20%を 超えるグループだけ 00:06:49.960 --> 00:06:53.840 イノベーションによる売上が 平均値に比べて 00:06:54.840 --> 00:06:56.816 明らかに上振れしています 00:06:56.840 --> 00:07:01.496 経験とデータによると 目に見える変化をもたらすには 00:07:01.520 --> 00:07:03.016 一定の人数を超える必要があります 00:07:03.040 --> 00:07:06.376 アリババ、JPモルガン、アップル等は 00:07:06.400 --> 00:07:09.760 現時点で 今述べた閾値に達しています NOTE Paragraph 00:07:12.480 --> 00:07:14.880 もう一つ かなり見られた反応は 00:07:16.520 --> 00:07:19.400 「まあ そのうち解決するでしょう」 というものです 00:07:20.200 --> 00:07:23.456 こうした視点に 私は心から共感します 00:07:23.480 --> 00:07:25.400 なぜなら 私もそう考えていたからです 00:07:26.600 --> 00:07:29.896 さて ここで再び ドイツを例にとって 00:07:29.920 --> 00:07:32.056 数字を見てみましょう 00:07:32.080 --> 00:07:34.296 まず朗報ですが 00:07:34.320 --> 00:07:37.136 大卒で10年以上の専門職の経験を持つ 00:07:37.160 --> 00:07:40.576 女性が占める割合は 00:07:40.600 --> 00:07:43.896 この20年間で大幅に増えています 00:07:43.920 --> 00:07:47.696 つまり 女性リーダー候補生は 00:07:47.720 --> 00:07:49.856 年々 増加の一途を辿っています 00:07:49.880 --> 00:07:51.576 これは朗報です 00:07:51.600 --> 00:07:53.440 かつての私の理論に従えば 00:07:54.880 --> 00:07:56.456 女性リーダーの割合は大体 00:07:56.480 --> 00:07:58.800 並行して増加しているはずですよね? 00:07:59.840 --> 00:08:02.720 ここで 実際の成果を 見てみましょう 00:08:03.480 --> 00:08:05.040 期待した値には程遠い状態です 00:08:07.360 --> 00:08:10.576 つまり私の理論は全くの間違いで 00:08:10.600 --> 00:08:13.376 私の世代でも 00:08:13.400 --> 00:08:14.600 皆さんの世代でも 00:08:15.680 --> 00:08:19.200 歴史上で最も 女性の学歴が高いのに 00:08:20.520 --> 00:08:21.936 成果が上がっていません 00:08:21.960 --> 00:08:26.456 それほどたくさんの 女性リーダーは輩出できていません 00:08:26.480 --> 00:08:29.400 教育はリーダーの数の 増加に繋がりません NOTE Paragraph 00:08:30.720 --> 00:08:33.816 これは私にとって 辛い発見でしたが 00:08:33.840 --> 00:08:35.976 気づいたことがあります 00:08:36.000 --> 00:08:38.296 それは この状況を変えたいと思うなら 00:08:38.320 --> 00:08:40.679 関与して もっと頑張る必要があります 00:08:42.200 --> 00:08:44.560 では どうするのか? 00:08:45.320 --> 00:08:48.856 女性が管理職の20%以上の割合を 占めることは 多くの人にとって 00:08:48.880 --> 00:08:51.256 困難な課題に見えるかもしれません 00:08:51.280 --> 00:08:53.760 実績を見れば当然です 00:08:55.080 --> 00:08:56.296 でも 実行可能であり 00:08:56.320 --> 00:08:59.576 現在 進歩を遂げて 成功している 00:08:59.600 --> 00:09:01.216 企業はたくさんあります 00:09:01.240 --> 00:09:04.696 例えば SAPという ソフトウェア企業では 00:09:04.720 --> 00:09:09.376 2011年には管理職のうち 19%が女性でしたが 00:09:09.400 --> 00:09:11.256 一層の改善を目指しました 00:09:11.280 --> 00:09:14.456 他のビジネスエリアで 改善を目指す時にとる手法を 00:09:14.480 --> 00:09:16.016 実行したのです 00:09:16.040 --> 00:09:18.520 彼らは 計測可能な 数値目標を立てました 00:09:19.440 --> 00:09:24.336 そして 2017年の達成目標を 25%に設定して 00:09:24.360 --> 00:09:25.960 最近それを達成しました 00:09:27.120 --> 00:09:30.536 高い目標値を設定したことで 管理職の人材開発方法や 00:09:30.560 --> 00:09:33.016 新しい人材プールの利用を 工夫するようになりました 00:09:33.040 --> 00:09:37.400 さらに2022年には 管理職の30%を 女性にすることを目指しています NOTE Paragraph 00:09:38.480 --> 00:09:40.936 経験によるとそれは実現可能な目標ですが 00:09:40.960 --> 00:09:42.936 結局のところ 00:09:42.960 --> 00:09:47.096 あらゆる組織で 私たちの多くが下している 00:09:47.120 --> 00:09:49.880 2つの判断に集約されます 00:09:51.640 --> 00:09:55.040 誰を雇うか? 誰を育てて昇進させるのか? 00:09:56.000 --> 00:10:00.936 女性のプログラム、ネットワーク、人材育成 トレーニングを阻むものは何もありません 00:10:00.960 --> 00:10:02.160 全て良いものです 00:10:03.320 --> 00:10:05.256 でもこれら2つの判断が 00:10:05.280 --> 00:10:09.296 最終的には あらゆる組織に 変化を促す 00:10:09.320 --> 00:10:10.840 強力なシグナルを送ります NOTE Paragraph 00:10:13.040 --> 00:10:16.096 私は多様性の擁護役に なろうとした訳ではありません 00:10:16.120 --> 00:10:17.840 私は企業のアドバイザーです 00:10:18.720 --> 00:10:23.696 しかし 私の今の目標は リーダーシップの顔ぶれを変えて 00:10:23.720 --> 00:10:25.160 多様性を高めることです 00:10:26.080 --> 00:10:28.576 管理職がチェック欄を埋めるだけで 00:10:28.600 --> 00:10:31.576 ルールを守っていると思ったり 政治的に公正であると 00:10:31.600 --> 00:10:34.136 思えるようにするためではなく 00:10:34.160 --> 00:10:35.856 多様性によって 00:10:35.880 --> 00:10:39.376 組織がよりイノベーティブになり より向上することを 00:10:39.400 --> 00:10:40.800 彼らに理解してもらうためです 00:10:41.680 --> 00:10:45.536 多様性を受け入れ 多様な才能を受け入れることで 00:10:45.560 --> 00:10:47.880 私たちは 全ての人に 真の機会を提供します NOTE Paragraph 00:10:48.520 --> 00:10:50.176 本当にありがとうございました NOTE Paragraph 00:10:50.200 --> 00:10:52.840 (拍手)