1 00:00:10,757 --> 00:00:13,938 ポートランドの皆さん お招きありがとうございます 2 00:00:13,938 --> 00:00:15,638 この町にくるのは好きです 3 00:00:15,638 --> 00:00:18,765 いったいこんな朝食を食べられる場所が 他にあるでしょうか? 4 00:00:18,765 --> 00:00:20,635 (笑) 5 00:00:20,635 --> 00:00:23,812 そして明らかに クリエイティブな場所です 6 00:00:23,815 --> 00:00:25,085 (笑) 7 00:00:25,085 --> 00:00:27,414 この中で 創造的なことを している人 — 8 00:00:27,414 --> 00:00:30,966 デザイナー エンジニア 起業家 アーティスト 9 00:00:30,966 --> 00:00:33,603 あるいは単に想像力が豊かという人は どれくらいいますか? 10 00:00:33,603 --> 00:00:35,355 手を挙げてください (歓声) 11 00:00:35,379 --> 00:00:36,970 ほとんどがそうですね 12 00:00:37,734 --> 00:00:40,388 そういう人に お知らせすることがあります 13 00:00:41,114 --> 00:00:43,687 これからの20年で 14 00:00:45,871 --> 00:00:48,844 私たちの仕事の仕方は 15 00:00:49,422 --> 00:00:52,889 これまでの2千年間における変化よりも 大きく変わるでしょう 16 00:00:52,889 --> 00:00:57,556 私たちは人類史の新時代に 差し掛かっていると思います 17 00:00:57,945 --> 00:01:02,624 人類史には 仕事の仕方に応じて 大きく4つの時代がありました 18 00:01:03,804 --> 00:01:07,459 狩猟採集時代が 数百万年続き 19 00:01:07,503 --> 00:01:11,139 それから数千年の 農耕時代があり 20 00:01:11,345 --> 00:01:14,895 2百年ほどの 工業化時代があり 21 00:01:14,919 --> 00:01:19,008 現在の情報化時代が ほんの数十年です 22 00:01:19,140 --> 00:01:24,750 そして今 私たちは人類にとって 新しく大きな時代の始まりにいます 23 00:01:25,406 --> 00:01:28,186 「拡張の時代」へようこそ 24 00:01:28,210 --> 00:01:32,303 この新時代においては 人間の自然な能力が 拡張されることになるでしょう 25 00:01:32,303 --> 00:01:35,145 計算システムが 人間の思考を補助し 26 00:01:35,145 --> 00:01:37,305 ロボットシステムが 作業を助け 27 00:01:37,329 --> 00:01:40,337 デジタル神経系が 生来の感覚を大きく越えて 28 00:01:40,337 --> 00:01:42,951 私たちを世界へと繋げます 29 00:01:44,817 --> 00:01:46,763 認識力拡張の話から 始めましょう 30 00:01:46,763 --> 00:01:49,513 強化サイボーグだという方は どれくらい いらっしゃいますか? 31 00:01:49,513 --> 00:01:51,429 (笑) 32 00:01:51,429 --> 00:01:53,214 3、4人というところですか 33 00:01:53,214 --> 00:01:54,941 さすがポートランド 34 00:01:54,941 --> 00:01:57,939 (笑) 35 00:01:57,939 --> 00:01:59,631 どうか変であり続けてください 36 00:01:59,631 --> 00:02:01,543 (笑) 37 00:02:01,567 --> 00:02:05,008 私たちは既に増強されていると 言えると思います 38 00:02:05,048 --> 00:02:06,722 パーティで誰かに 39 00:02:06,722 --> 00:02:10,096 知らないことを聞かれたところを 想像してください 40 00:02:10,120 --> 00:02:14,120 こういうものを持っていれば 数秒で答えが分かります 41 00:02:14,629 --> 00:02:17,563 でも これはまだ原始的な 始まりでしかありません 42 00:02:17,563 --> 00:02:21,354 あのSiriでさえ ただの受け身のツールです 43 00:02:21,420 --> 00:02:24,801 実際 過去350万年の間 44 00:02:24,825 --> 00:02:28,838 人類の道具はずっと 完全に受け身のものでした 45 00:02:29,413 --> 00:02:33,218 指示した通りのことだけをし それ以上のことはしません 46 00:02:33,242 --> 00:02:36,813 人類最初の道具は 打ち付けた場所を切るだけでした 47 00:02:37,302 --> 00:02:40,742 のみは彫刻家が指定したところを 削るだけです 48 00:02:40,758 --> 00:02:46,904 最も先進的なツールでさえ 明示的な指示なしには何もしません 49 00:02:47,598 --> 00:02:50,779 これは私がよくフラストレーションを 感じることですが 50 00:02:50,803 --> 00:02:53,781 道具にこちらの意向を 指示する必要によって 51 00:02:53,781 --> 00:02:55,760 我々は制限されてきました 52 00:02:55,760 --> 00:02:57,121 コンピューターがあっても 53 00:02:57,121 --> 00:03:00,289 文字通り 手を使って 指示する必要があります 54 00:03:00,532 --> 00:03:03,125 しかし私はスタートレックの スコッティみたいな人間です 55 00:03:03,149 --> 00:03:04,999 (笑) 56 00:03:05,023 --> 00:03:07,309 コンピューターと 会話がしたいんです 57 00:03:07,309 --> 00:03:10,057 「コンピューター 車をデザインしよう」 と言ったら 58 00:03:10,057 --> 00:03:11,896 コンピューターが 車を出して見せます 59 00:03:11,896 --> 00:03:14,528 「もっと速そうな感じで ドイツっぽくなくしてくれ」と言うと 60 00:03:14,528 --> 00:03:16,915 コンピューターが注文通りに してくれるんです 61 00:03:16,915 --> 00:03:18,434 (笑) 62 00:03:18,668 --> 00:03:21,104 この会話は まだ先の話ですが 63 00:03:21,128 --> 00:03:23,793 皆さんが考えるほど 遠くはなく 64 00:03:23,817 --> 00:03:25,204 私たちは既に 65 00:03:25,204 --> 00:03:26,699 取り組んでいます 66 00:03:26,699 --> 00:03:31,322 道具は受け身のものから 生成するものへと飛躍しつつあります 67 00:03:31,421 --> 00:03:36,349 デザイン生成ツールは コンピューターとアルゴリズムを使って 68 00:03:36,349 --> 00:03:38,855 形状を合成し 69 00:03:38,855 --> 00:03:42,099 自分で新しいデザインを 作り出します 70 00:03:42,126 --> 00:03:44,818 必要なのは 目標と制約だけです 71 00:03:44,818 --> 00:03:46,416 例をお見せしましょう 72 00:03:46,416 --> 00:03:49,118 これはドローン用の フレームの例ですが 73 00:03:49,142 --> 00:03:51,768 こちらがするのは 必要なことを伝えるだけ 74 00:03:51,792 --> 00:03:53,285 4つのプロペラがあるとか 75 00:03:53,285 --> 00:03:55,074 出来るだけ軽くとか 76 00:03:55,074 --> 00:03:57,514 空力的な効率を良くしろとか 77 00:03:57,538 --> 00:04:02,452 すると与えられた条件を満たす あらゆる可能な解の全体— 78 00:04:02,476 --> 00:04:05,177 何百万通りという解を 79 00:04:05,177 --> 00:04:07,753 コンピューターが探索します 80 00:04:07,753 --> 00:04:10,068 これには大型のコンピューターが 必要になりますが 81 00:04:10,068 --> 00:04:12,587 私たち自身が 考えも付かないような 82 00:04:12,587 --> 00:04:15,014 デザインが生まれます 83 00:04:15,456 --> 00:04:18,262 コンピューターは 自分だけで答えを出します 84 00:04:18,262 --> 00:04:20,250 誰かが何か 描いてやることはなく 85 00:04:20,250 --> 00:04:22,710 何もないところから 始めるのです 86 00:04:23,168 --> 00:04:25,555 ちなみに このドローンの フレームが 87 00:04:25,579 --> 00:04:29,290 ムササビの骨盤に似ているのは 偶然ではありません 88 00:04:29,290 --> 00:04:31,980 (笑) 89 00:04:31,980 --> 00:04:34,432 このアルゴリズムは 進化と同じように働くよう 90 00:04:34,432 --> 00:04:36,323 デザインされているからです 91 00:04:36,855 --> 00:04:39,705 この技術を世の中で 実際に目にするようになって 92 00:04:39,729 --> 00:04:40,888 ワクワクしています 93 00:04:40,912 --> 00:04:43,654 この2年 オートデスク社は エアバス社と協力して 94 00:04:43,654 --> 00:04:45,877 未来の飛行機のコンセプトモデルに 取り組んできました 95 00:04:45,877 --> 00:04:47,391 まだ先は長いですが 96 00:04:47,415 --> 00:04:50,469 デザイン生成AIを使って 97 00:04:50,469 --> 00:04:53,796 最近こんなものを 作り出しました 98 00:04:53,939 --> 00:04:59,092 これは3D印刷された客室の隔壁ですが コンピューターがデザインしたものです 99 00:04:59,116 --> 00:05:02,120 元の半分の重量で より高い強度を持ち 100 00:05:02,120 --> 00:05:05,730 年内にエアバスA320で 使われ始める予定です 101 00:05:06,655 --> 00:05:09,374 明確に定義された問題に対して 102 00:05:09,374 --> 00:05:14,053 コンピューターは今や 自力で独自の解を生み出せるんです 103 00:05:14,517 --> 00:05:16,487 しかし直感的とは言えません 104 00:05:16,487 --> 00:05:19,157 毎回 1から始める 必要があります 105 00:05:19,181 --> 00:05:22,151 学習しないからです 106 00:05:22,598 --> 00:05:24,934 うちの犬のマギーとは違います 107 00:05:24,934 --> 00:05:26,139 (笑) 108 00:05:26,163 --> 00:05:29,840 マギーは実際 最先端のデザインツールよりも 賢いんです 109 00:05:29,867 --> 00:05:31,367 どういう意味かというと 110 00:05:31,391 --> 00:05:33,261 飼い主がリードを 手にしていたら 111 00:05:33,261 --> 00:05:35,123 それはかなりの確率で 散歩を意味すると 112 00:05:35,123 --> 00:05:36,475 マギーは理解しています 113 00:05:36,475 --> 00:05:38,090 どうやってそう 学んだのでしょう? 114 00:05:38,090 --> 00:05:40,982 飼い主がリードを手に取るたびに 散歩に出たからです 115 00:05:40,982 --> 00:05:43,150 そこでマギーは 3つのことをしていました 116 00:05:43,150 --> 00:05:44,853 注意を払うこと 117 00:05:44,877 --> 00:05:46,959 何が起きたか 覚えていること 118 00:05:46,983 --> 00:05:51,390 心の中にパターンを作って 保持することです 119 00:05:51,889 --> 00:05:53,088 興味深いことに 120 00:05:53,088 --> 00:05:55,685 これはまさにコンピューター科学者達が 過去60年の間 121 00:05:55,685 --> 00:05:58,824 人工知能にさせようと 試み続けてきたことです 122 00:05:59,783 --> 00:06:01,132 1952年に 123 00:06:01,156 --> 00:06:04,957 三目並べができる コンピューターが作られました 124 00:06:06,181 --> 00:06:07,341 大したことでした 125 00:06:08,129 --> 00:06:10,983 45年後の1997年 126 00:06:10,983 --> 00:06:14,125 ディープブルーはチェス王者 カスパロフを破りました 127 00:06:15,146 --> 00:06:20,114 2011年 ワトソンはクイズ番組ジェパディで 歷代チャンピオン2人に勝ちました 128 00:06:20,138 --> 00:06:23,066 これはコンピューターには チェスよりも ずっと難しいことです 129 00:06:23,090 --> 00:06:26,336 定められた手順に 従ってやる代わりに 130 00:06:26,336 --> 00:06:30,769 ワトソンは人間の対戦相手に勝つために 推論をする必要がありました 131 00:06:31,493 --> 00:06:33,416 そして2週間前 132 00:06:33,416 --> 00:06:38,142 ディープマインド社のAlphaGoが 最も難しいゲームとされる碁で 133 00:06:38,142 --> 00:06:40,664 世界最強の碁指しを 破りました 134 00:06:40,664 --> 00:06:43,718 碁には宇宙の原子の 総数よりも 135 00:06:43,718 --> 00:06:46,252 多くの手があります 136 00:06:47,790 --> 00:06:49,836 勝つためにAlphaGoは 137 00:06:49,836 --> 00:06:52,774 直感力を発達させる 必要がありました 138 00:06:52,798 --> 00:06:56,102 実際AlphaGoが なぜそうしたのか 139 00:06:56,102 --> 00:06:59,548 開発者自身にも 分からないことがありました 140 00:07:01,021 --> 00:07:03,011 物事はとても 速く進んでいます 141 00:07:03,011 --> 00:07:05,706 人の一生の時間のうちに 142 00:07:05,706 --> 00:07:08,829 コンピューターにできることが 子供の遊びから 143 00:07:09,350 --> 00:07:12,938 最高度の戦略的思考にまで 進歩したのです 144 00:07:13,699 --> 00:07:15,730 ここで起きているのは 145 00:07:15,730 --> 00:07:19,890 スポックのようだった コンピューターが 146 00:07:20,194 --> 00:07:22,603 カークみたいになった ということです 147 00:07:22,603 --> 00:07:26,065 (笑) 148 00:07:26,089 --> 00:07:30,083 純粋な論理から 直感へという変化です 149 00:07:31,424 --> 00:07:33,957 みなさん この橋を 渡ろうと思いますか? 150 00:07:34,009 --> 00:07:36,332 多くの人は 「まさか!」と言うでしょう 151 00:07:36,356 --> 00:07:37,664 (笑) 152 00:07:37,688 --> 00:07:40,239 コンマ何秒で そういう判断をするのです 153 00:07:40,239 --> 00:07:42,987 この橋は安全でないと 知っていたかのようです 154 00:07:42,987 --> 00:07:45,120 今やディープラーニングシステムが 155 00:07:45,120 --> 00:07:48,402 そのような直感を 獲得しつつあります 156 00:07:49,032 --> 00:07:50,483 近い将来 皆さんは 157 00:07:50,483 --> 00:07:53,356 自分の作ったものや デザインしたものを コンピューターに見せて 158 00:07:53,356 --> 00:07:54,783 意見してもらえる ようになるでしょう 159 00:07:54,783 --> 00:07:58,286 「相棒 こりゃ駄目だよ やり直しだね」 160 00:07:59,254 --> 00:08:02,564 あるいは「みんなこの歌を 気に入ってくれるだろうか?」とか 161 00:08:02,993 --> 00:08:06,346 「この新しい味のアイスは受けるか?」とか 聞けるでしょう 162 00:08:06,949 --> 00:08:09,272 さらに重要なのは 163 00:08:09,272 --> 00:08:11,180 これまで直面したことの ない問題に 164 00:08:11,180 --> 00:08:13,577 コンピューターで 取り組めるようになることです 165 00:08:13,601 --> 00:08:14,946 たとえば気候変動です 166 00:08:14,946 --> 00:08:16,870 人類はあまり上手く 対処できていないので 167 00:08:16,870 --> 00:08:19,219 どんな助けでも ありがたいことでしょう 168 00:08:19,219 --> 00:08:20,797 それが私の お話ししていることです 169 00:08:20,821 --> 00:08:23,376 テクノロジーが人間の 認知能力を増強し 170 00:08:23,400 --> 00:08:26,952 拡張されていない素の人間には 単に手の届かなかったものを 171 00:08:26,976 --> 00:08:29,995 思い描き デザインできるように なるということです 172 00:08:31,154 --> 00:08:34,825 では我々が発明しデザインしようとしている そういう新しいクレージーなものは 173 00:08:34,825 --> 00:08:37,010 どうやって 製造するのか? 174 00:08:37,352 --> 00:08:41,009 人類拡張の時代は 仮想的・知的な領域だけでなく 175 00:08:41,009 --> 00:08:45,064 物質的世界にも 関わるものです 176 00:08:45,233 --> 00:08:47,544 テクノロジーはいかに 人間を拡張するのか? 177 00:08:47,565 --> 00:08:50,738 物質的世界では ロボットシステムによってです 178 00:08:51,480 --> 00:08:54,306 人間の仕事が ロボットに奪われる怖れは 179 00:08:54,306 --> 00:08:55,868 確かにあって 180 00:08:55,892 --> 00:08:58,142 ある種の領域では 実際そうなるでしょう 181 00:08:58,174 --> 00:09:00,886 でも私がもっと興味があるのは 182 00:09:00,886 --> 00:09:04,260 一緒に働く人間とロボットが 互いを拡張し合って 183 00:09:04,260 --> 00:09:08,168 新しい領域を切り開く というアイデアです 184 00:09:08,192 --> 00:09:10,784 これはサンフランシスコにある 我々の応用技術研究所です 185 00:09:10,784 --> 00:09:13,720 その主要な研究領域の1つが 先進ロボット工学 — 186 00:09:13,744 --> 00:09:16,465 特に人間とロボットの 共同作業です 187 00:09:17,034 --> 00:09:19,793 これは我々のロボットBishopです 188 00:09:19,817 --> 00:09:22,716 繰り返し作業のある建築現場で 作業者を手伝うよう 189 00:09:22,716 --> 00:09:25,530 実験的に セットアップしてあります 190 00:09:25,984 --> 00:09:30,468 壁にコンセントや電灯スイッチのための 穴を開けるといった作業です 191 00:09:30,468 --> 00:09:33,008 (笑) 192 00:09:33,877 --> 00:09:35,632 人間のパートナーが 193 00:09:35,632 --> 00:09:38,317 単純な言葉やシンプルな手振りで やることを示します 194 00:09:38,341 --> 00:09:39,958 犬に話かけるみたいに 195 00:09:39,958 --> 00:09:41,819 Bishopは指示されたことを 196 00:09:41,819 --> 00:09:43,871 完璧な正確さで実行します 197 00:09:43,895 --> 00:09:46,558 人間には 人間の得意なことを してもらいます 198 00:09:46,558 --> 00:09:49,241 認識とか 知覚とか 意志決定です 199 00:09:49,265 --> 00:09:51,505 ロボットには ロボットの得意な ことをさせます 200 00:09:51,529 --> 00:09:53,497 精密な反復作業です 201 00:09:54,032 --> 00:09:56,619 これはBishopがやった 別の面白いプロジェクトです 202 00:09:56,643 --> 00:09:59,718 このHIVEという名の プロジェクトでは 203 00:09:59,742 --> 00:10:03,497 人間と コンピューターと ロボットが共同して 204 00:10:03,497 --> 00:10:07,627 非常に複雑な設計問題を解決するという 体験を試行しています 205 00:10:07,633 --> 00:10:09,244 人間は労働者として働きます 206 00:10:09,268 --> 00:10:12,741 建築現場を動き回り 竹素材を扱います 207 00:10:12,765 --> 00:10:15,175 ちなみに形状の異なる竹は 208 00:10:15,175 --> 00:10:17,599 ロボットには扱うのが 非常に難しい素材です 209 00:10:17,599 --> 00:10:19,865 ロボットはこのファイバーを 張る作業をします 210 00:10:19,889 --> 00:10:22,340 人間にはほとんど 不可能なことです 211 00:10:22,364 --> 00:10:25,985 そして人工知能が 全体の制御をしています 212 00:10:26,019 --> 00:10:29,263 人間とロボットに それぞれの作業を指示し 213 00:10:29,263 --> 00:10:32,222 何千という要素を管理します 214 00:10:32,222 --> 00:10:33,682 これが興味深いのは 215 00:10:33,682 --> 00:10:35,501 このパビリオンの構築は 216 00:10:35,501 --> 00:10:41,655 人間とロボットと人工知能が 補い合って 取り組まねば 不可能だったということです 217 00:10:42,390 --> 00:10:45,710 もう1つプロジェクトをご紹介しましょう ちょっとクレージーなものです 218 00:10:47,734 --> 00:10:52,522 アムステルダムを中心に活動する ヨリス・ラーマンとMX3Dのチームとともに 219 00:10:53,526 --> 00:10:56,168 世界初の自律的に建設する橋を 220 00:10:56,168 --> 00:11:00,033 デザイン生成と ロボットによる3D印刷で 作ろうというものです 221 00:11:01,015 --> 00:11:03,194 今まさにアムステルダムで 222 00:11:03,194 --> 00:11:06,186 ヨリスと人工知能が 橋をデザインしています 223 00:11:06,620 --> 00:11:09,005 デザインが完成し 実行を指示すると 224 00:11:09,005 --> 00:11:12,546 ロボットがステンレスで橋を 3D印刷し始めます 225 00:11:12,570 --> 00:11:15,647 そして橋が出来るまで 人の手助けなしに 226 00:11:15,647 --> 00:11:17,855 自律的に印刷を続けます 227 00:11:18,769 --> 00:11:20,571 コンピューターが 228 00:11:20,571 --> 00:11:23,981 新しいものを想像しデザインする 人間の能力を拡張し 229 00:11:23,981 --> 00:11:25,654 ロボットシステムが 230 00:11:25,654 --> 00:11:29,678 以前には作り得なかったものを 製造・建設する手助けをしてくれます 231 00:11:30,017 --> 00:11:34,177 そういったものを感じ制御する 能力についてはどうでしょう? 232 00:11:34,201 --> 00:11:38,232 我々の作る物の神経系はどうか? 233 00:11:40,486 --> 00:11:41,852 人間の神経系は 234 00:11:41,852 --> 00:11:45,663 周囲で起きている あらゆることを伝えてくれます 235 00:11:46,086 --> 00:11:49,579 しかし我々の作る物の神経系は ごく原始的なもので 236 00:11:49,579 --> 00:11:51,578 現状では かなりお粗末です 237 00:11:51,602 --> 00:11:52,930 (笑) 238 00:11:52,954 --> 00:11:57,177 例えば 車が街中の交差点で 道路に開いた穴を踏んでも 239 00:11:57,177 --> 00:12:00,261 自分で市道路局に 連絡することはありません 240 00:12:01,105 --> 00:12:03,697 建物は 中に入った人たちが 気に入ってくれているか 241 00:12:03,697 --> 00:12:06,305 設計家に伝えることは ありません 242 00:12:07,659 --> 00:12:10,669 おもちゃメーカーは おもちゃが実際に遊ばれているか 243 00:12:10,693 --> 00:12:12,940 どこでどう使われているか 244 00:12:12,940 --> 00:12:15,513 楽しまれているかどうか 知りません 245 00:12:15,680 --> 00:12:18,498 バービー人形のデザイナーは 自分の人形に 246 00:12:18,498 --> 00:12:21,142 このようなライフスタイルを 想像していたことでしょう 247 00:12:21,142 --> 00:12:22,863 (笑) 248 00:12:23,057 --> 00:12:26,643 でも本当はバービーが すごく孤独だったとしたら? 249 00:12:26,643 --> 00:12:29,886 (笑) 250 00:12:29,886 --> 00:12:31,894 自分のデザインしたものについて 251 00:12:31,894 --> 00:12:34,315 実際にどんなことが起きているか デザイナーに分かれば 252 00:12:34,315 --> 00:12:36,216 道路にせよ 建物にせよ バービーにせよ 253 00:12:36,216 --> 00:12:37,394 その知識を生かして 254 00:12:37,394 --> 00:12:40,188 利用者にとって より良い体験を 生み出すことができるでしょう 255 00:12:40,188 --> 00:12:41,503 欠けているのは 256 00:12:41,503 --> 00:12:46,302 我々がデザインし 作り 使うもの すべてと我々を繋ぐ神経系です 257 00:12:46,975 --> 00:12:49,464 世に出した自分の作品から 258 00:12:49,464 --> 00:12:53,087 そのような情報が流れてくる としたらどうでしょう? 259 00:12:54,492 --> 00:12:56,123 自分の作ったものを 260 00:12:56,123 --> 00:12:58,256 人々が買ってくれるよう 説得するために 261 00:12:58,256 --> 00:13:01,032 我々は膨大な お金と労力を費やしています 262 00:13:01,032 --> 00:13:03,680 昨年は2兆ドルという 規模でした 263 00:13:03,704 --> 00:13:05,936 もしデザインし 作ったものに対し 264 00:13:05,936 --> 00:13:09,613 世に出した後 販売された後 公開された後に 265 00:13:09,613 --> 00:13:12,255 そのような繋がりを 持てたなら 266 00:13:12,255 --> 00:13:14,425 ビジネスのやり方も 変わるでしょう 267 00:13:14,425 --> 00:13:17,596 作った商品を人々が欲しくなるよう 仕向けるのでなく 268 00:13:17,620 --> 00:13:21,404 人々がそもそも欲しいと 思うものを作るのです 269 00:13:24,238 --> 00:13:27,705 良い知らせは デザインしたものと繋がる デジタル神経系に 270 00:13:27,705 --> 00:13:30,470 我々は既に取り組んでいる ということです 271 00:13:31,165 --> 00:13:33,292 あるプロジェクトで私たちは 272 00:13:33,292 --> 00:13:36,262 ロサンゼルスの バンディート・ブラザーズに属する 273 00:13:36,262 --> 00:13:39,319 2人と組んで 作業しています 274 00:13:39,343 --> 00:13:41,450 彼らのやっていることの1つは 275 00:13:41,450 --> 00:13:46,073 とんでもないことをする とんでもない車を作るということです 276 00:13:46,845 --> 00:13:48,515 ほんとうにクレージーな連中です— 277 00:13:48,539 --> 00:13:49,575 (笑) 278 00:13:49,599 --> 00:13:51,002 いい意味で 279 00:13:54,793 --> 00:13:56,556 我々がやっているのは 280 00:13:56,580 --> 00:13:58,854 従来のレーシングカーの車体に 281 00:13:58,854 --> 00:14:00,899 神経系を組み込むということです 282 00:14:00,899 --> 00:14:03,395 何十というセンサーを取り付け 283 00:14:03,395 --> 00:14:06,430 世界第一級のドライバーに 運転してもらい 284 00:14:06,454 --> 00:14:09,645 砂漠を1週間 狂ったように走り回るのです 285 00:14:09,645 --> 00:14:11,200 車の神経系が 286 00:14:11,200 --> 00:14:13,832 車に起きたことを すべて捕らえます 287 00:14:13,856 --> 00:14:16,477 データポイントの数は 40億にもなります 288 00:14:16,501 --> 00:14:18,941 車が受けたあらゆる力を 記録しています 289 00:14:18,941 --> 00:14:21,194 それからクレージーなことをしました 290 00:14:21,238 --> 00:14:23,018 そうやって得たデータを 291 00:14:23,018 --> 00:14:26,708 Dreamcatcherという デザイン生成AIに入力します 292 00:14:27,240 --> 00:14:31,204 デザインツールに神経系を与えて 究極の車体を作れと言ったら 293 00:14:31,228 --> 00:14:34,110 何ができるのでしょう? 294 00:14:34,693 --> 00:14:36,666 こんなものが得られます 295 00:14:38,263 --> 00:14:42,326 これは人間には決して デザインできないようなものです 296 00:14:42,677 --> 00:14:44,565 デザイン生成AIと 297 00:14:44,589 --> 00:14:48,232 デジタル神経系で 拡張された人間によって 298 00:14:48,232 --> 00:14:50,153 デザインされたもので 299 00:14:50,177 --> 00:14:53,462 ロボットで実際に 製造することができます 300 00:14:54,150 --> 00:14:57,745 そういう「拡張の時代」が 我々の未来であり 301 00:14:57,769 --> 00:15:02,030 人間が知的・肉体的・認知的に 拡張されるのだとしたら 302 00:15:02,054 --> 00:15:03,956 いったい どんなことになるのか? 303 00:15:03,956 --> 00:15:07,302 そのおとぎの国は どんな風になるのでしょう? 304 00:15:08,291 --> 00:15:10,324 来る世界では 305 00:15:10,324 --> 00:15:13,992 物は製造されるより 306 00:15:14,931 --> 00:15:17,036 栽培されるようになるでしょう 307 00:15:18,429 --> 00:15:21,578 建築されるよりは 308 00:15:21,578 --> 00:15:24,502 育てられるようになるでしょう 309 00:15:26,504 --> 00:15:28,692 孤立したものから 310 00:15:29,660 --> 00:15:31,570 繋がったものへと 311 00:15:33,104 --> 00:15:35,429 採掘から 312 00:15:35,429 --> 00:15:38,382 集積へと変わるでしょう 313 00:15:40,437 --> 00:15:43,824 服従を求めるより 314 00:15:44,848 --> 00:15:47,399 自律を尊ぶようになるでしょう 315 00:15:49,480 --> 00:15:51,385 拡張された能力によって 316 00:15:51,409 --> 00:15:54,326 世界は劇的に 変わるでしょう 317 00:15:54,702 --> 00:15:58,845 素晴らしい珊瑚礁の小宇宙が 良いアナロジーになります 318 00:15:58,845 --> 00:16:02,082 世界はもっと多様で 繋がっていて 319 00:16:02,106 --> 00:16:04,393 ダイナミックで 複雑で 320 00:16:04,417 --> 00:16:06,735 適応的で そしてもちろん — 321 00:16:06,759 --> 00:16:08,546 より美しいものになります 322 00:16:08,741 --> 00:16:10,305 未来に現れるものの姿は 323 00:16:10,329 --> 00:16:12,533 見たこともないものに なるでしょう 324 00:16:12,533 --> 00:16:14,712 なぜなら それらを形作るのは 325 00:16:14,712 --> 00:16:18,421 テクノロジーと 自然と 人間による 326 00:16:18,421 --> 00:16:21,575 新しい共同関係だからです 327 00:16:22,789 --> 00:16:26,593 それは楽しみに待つ価値のある 未来に思えます 328 00:16:26,617 --> 00:16:27,888 ありがとうございました 329 00:16:27,912 --> 00:16:34,912 (拍手)