WEBVTT 00:00:07.035 --> 00:00:09.825 「身体がコルセットになったようだ」 NOTE Paragraph 00:00:09.825 --> 00:00:13.640 「過去 現在 未来が 単一の力として存在するかのようだ」 NOTE Paragraph 00:00:13.640 --> 00:00:18.314 「重力のないブランコで 恐ろしく高く舞い上がるかのようだ」 NOTE Paragraph 00:00:18.314 --> 00:00:22.505 「人や物の輪郭が ぼんやりしている」 NOTE Paragraph 00:00:23.125 --> 00:00:25.765 多くの詩人や作家が 00:00:25.765 --> 00:00:28.880 パニック発作の経験を 言葉で表そうと試みてきました 00:00:28.880 --> 00:00:32.761 心臓発作や脳卒中 あるいは命を脅かす他の危機だと 00:00:32.761 --> 00:00:36.841 多くの人が勘違いするほど ものすごく圧倒されるような感覚です 00:00:36.841 --> 00:00:40.060 パニック発作は 長期的な害を 身体に与えることはありませんが 00:00:40.060 --> 00:00:44.371 後になって 次の発作への不安が 日常生活を制限し 00:00:44.371 --> 00:00:46.961 さらなるパニック発作を 引き起こす可能性があります NOTE Paragraph 00:00:46.961 --> 00:00:49.357 研究によれば およそ3人に1人が 00:00:49.357 --> 00:00:52.730 人生で少なくとも一度は パニック発作を経験するそうです 00:00:52.730 --> 00:00:55.379 そしてそれが初めてであろうが 100回目であろうが 00:00:55.379 --> 00:00:57.967 誰かがパニック発作を経験するのを 目撃していようが 00:00:57.967 --> 00:01:00.717 もう一度経験したいと思う人は 誰もいません 00:01:00.717 --> 00:01:04.937 パニック発作について学ぶことは 不快かもしれませんが 必要なことです 00:01:04.937 --> 00:01:09.486 なぜならパニック発作を理解することが 予防への第一歩となるからです NOTE Paragraph 00:01:10.166 --> 00:01:13.276 基本的に パニック発作は 危険を察知した際に起きる 00:01:13.276 --> 00:01:17.127 身体の正常な生理反応に対する 過剰反応です 00:01:17.127 --> 00:01:19.547 この反応は 扁桃体という 00:01:19.547 --> 00:01:22.627 不安を処理する脳の領域から 始まります 00:01:22.627 --> 00:01:24.537 扁桃体が危険を察知すると 00:01:24.537 --> 00:01:27.392 交感神経が刺激され 00:01:27.392 --> 00:01:30.087 アドレナリンが放出されます 00:01:30.087 --> 00:01:33.317 アドレナリンによって 心拍数と呼吸数が上がり 00:01:33.317 --> 00:01:37.339 手足の筋肉に 血液と酸素が送られます 00:01:37.339 --> 00:01:41.835 脳にも酸素が送り込まれ さらに警戒心が高まり 過敏になります NOTE Paragraph 00:01:42.882 --> 00:01:44.312 パニック発作の間は 00:01:44.312 --> 00:01:48.269 危険な状況においては 役立つであろうこの反応が 00:01:48.269 --> 00:01:50.326 大きくなりすぎてしまい 00:01:50.326 --> 00:01:55.115 動悸や息苦しさ 過呼吸を引き起こします 00:01:55.115 --> 00:01:57.805 血流の変化によって 頭がふらふらしたり 00:01:57.805 --> 00:02:00.819 手足が痺れたりします NOTE Paragraph 00:02:00.819 --> 00:02:03.869 パニック発作は 通常 10分以内にピークに達します 00:02:03.869 --> 00:02:07.289 それから前頭前野が 扁桃体から引き継いで 00:02:07.289 --> 00:02:10.639 副交感神経を刺激します 00:02:10.639 --> 00:02:14.140 これによってアセチルコリンという ホルモンが分泌され 00:02:14.140 --> 00:02:19.273 心拍数が下がり 徐々にパニック発作が弱まります NOTE Paragraph 00:02:19.273 --> 00:02:22.223 パニック発作では 身体が危険を察知すると 00:02:22.223 --> 00:02:27.351 本物の脅威に対する反応が引き起こされ その後 何度か起きます 00:02:27.351 --> 00:02:30.151 なぜパニック発作が起きるのかは はっきりとは分かりませんが 00:02:30.151 --> 00:02:35.000 時として 過去のトラウマ体験が 思い出されるような状況が 00:02:35.000 --> 00:02:37.060 引き金となって 起きることがあります 00:02:37.060 --> 00:02:43.778 パニック発作は PTSD、社会不安障害 強迫性障害、全般性不安障害などの 00:02:43.778 --> 00:02:46.664 不安障害の一部である可能性があります 00:02:46.664 --> 00:02:50.374 パニック発作が繰り返し起きたり 次の発作に対して常に心配したり 00:02:50.374 --> 00:02:53.350 パニック発作を避けるための 行動変化が見られる場合 00:02:53.350 --> 00:02:57.120 パニック障害と診断される 可能性があります NOTE Paragraph 00:02:57.120 --> 00:02:59.522 パニック障害の治療法は 主に2つあります 00:02:59.522 --> 00:03:05.374 抗うつ薬による治療と 認知行動療法(CBT)です 00:03:05.374 --> 00:03:08.614 どちらも有効率は約40%で 00:03:08.614 --> 00:03:12.410 一方で効果が現れた人でも もう一方では効果がないかもしれません 00:03:12.410 --> 00:03:16.300 しかし 抗うつ薬の投与においては いくつか副作用があります 00:03:16.300 --> 00:03:20.110 そして 服用を止めると 50%の人が再発します 00:03:20.110 --> 00:03:25.983 一方 CBTはもう少し持続性があり 再発率は20%にすぎません NOTE Paragraph 00:03:25.983 --> 00:03:29.893 パニック障害の治療としての 認知行動療法の目標は 00:03:29.893 --> 00:03:34.385 パニック発作にまつわる感覚や思考を 身体的ひいては精神的にコントロールする 00:03:34.385 --> 00:03:39.657 具体的な手段を学び実践してもらうよう 手助けすることです NOTE Paragraph 00:03:39.657 --> 00:03:44.706 CBTでは パニック発作の 生理学的な原因の説明から始まり 00:03:44.706 --> 00:03:48.636 続いて 呼吸と筋肉のエクササイズを行い 00:03:48.636 --> 00:03:51.825 意識的に 呼吸パターンを コントロールできるようにします NOTE Paragraph 00:03:51.825 --> 00:03:54.265 次に 認知再構成法で 00:03:54.265 --> 00:03:56.825 発作中によく見られる思考を 00:03:56.825 --> 00:03:58.753 認識し 変化させます 00:03:58.753 --> 00:04:02.885 呼吸が停止するとか 心臓発作だとか 死んでしまうといった思い込みを 00:04:02.885 --> 00:04:05.675 より正確な思考と置き換えるのです NOTE Paragraph 00:04:07.065 --> 00:04:11.684 治療の次の段階では 一般的にパニック発作を引き起こす 00:04:11.684 --> 00:04:14.654 身体感覚や状況に曝していきます 00:04:14.654 --> 00:04:17.857 このような感覚や状況は危険だ という信念を 00:04:17.857 --> 00:04:22.307 経験を通して 変えていくことが目的です NOTE Paragraph 00:04:22.307 --> 00:04:27.512 CBTを受けた後でさえも 発作中に手段を講じるのは容易ではありません 00:04:27.512 --> 00:04:32.209 しかし練習を積めば 発作を予防したり 徐々に鎮められるようになり 00:04:32.209 --> 00:04:36.378 最終的には 発作が人生に及ぼす影響を 軽減できます NOTE Paragraph 00:04:37.518 --> 00:04:39.208 正式な治療以外でも 00:04:39.208 --> 00:04:44.615 多くの患者が救いを見出すのは CBTが植え付けようとする信念と同じです 00:04:44.615 --> 00:04:50.116 不安があなたを傷つけることはないが 抱え込むと発作が悪化するという信念です 00:04:50.116 --> 00:04:52.676 パニック発作を全く経験したことがなくても 00:04:52.676 --> 00:04:57.429 理解しておけば 自分や他人の パニック発作を見分けるのに役立つでしょう 00:04:57.429 --> 00:05:01.419 そしてパニック発作を認識することが 予防への第一歩となるのです