1 00:00:00,984 --> 00:00:03,256 娘たちに伝えて この年のことを 2 00:00:03,280 --> 00:00:05,376 コーヒーが欲しくて目覚めたはずが 3 00:00:05,400 --> 00:00:09,216 目にしたのは 朝刊の紙面に散らばる死体 4 00:00:09,240 --> 00:00:14,040 水浸しの紙面に印刷された 我々の姉妹 伴侶 幼子のこと 5 00:00:14,600 --> 00:00:18,216 この1年のことを伝えて 愛しい娘に きっと聞いてくるはずだから 6 00:00:18,240 --> 00:00:19,816 来るのが遅すぎた と 7 00:00:19,840 --> 00:00:24,296 自由を手にした年とはいえ 完全に手にできたわけではない 8 00:00:24,320 --> 00:00:27,136 自分の身体の使い方を いまだ法に規制され 9 00:00:27,160 --> 00:00:29,656 繊細なひだを撫でたと思えば 10 00:00:29,680 --> 00:00:32,415 同意など気にもせずにひっつかむ 11 00:00:32,439 --> 00:00:35,056 法を施行した男たちを 規制する法は全くない 12 00:00:35,080 --> 00:00:37,496 私たちは身をかわし 13 00:00:37,520 --> 00:00:40,136 待ち おびえ 隠れ 14 00:00:40,160 --> 00:00:43,056 さらに待ち まだ待ち続けるよう訓練された 15 00:00:43,080 --> 00:00:44,960 口をつぐむよう強要された 16 00:00:45,440 --> 00:00:47,696 それでも話してみて娘たちに この戦いの時のことを 17 00:00:47,720 --> 00:00:50,296 同じような年月に続く この1年は 18 00:00:50,320 --> 00:00:52,576 20年前といまだ変わらず 19 00:00:52,600 --> 00:00:54,136 私たちは涙をぬぐい 20 00:00:54,160 --> 00:00:56,056 国旗で棺を覆い 21 00:00:56,080 --> 00:00:58,256 犯罪現場のクラブから避難し 22 00:00:58,280 --> 00:00:59,576 街中で悲壮の叫びをあげ 23 00:00:59,600 --> 00:01:02,896 倒れた者の輪郭をなぞった コンクリートに体を横たえ 24 00:01:02,920 --> 00:01:04,855 「私たちは重要なのだ」と泣き叫び 25 00:01:04,879 --> 00:01:06,256 姿を消した者の名を唱えた 26 00:01:06,280 --> 00:01:07,880 女性たちは今年 涙を流した 27 00:01:08,440 --> 00:01:09,656 確かに涙を流したのだ 28 00:01:09,680 --> 00:01:12,136 年を同じくして 私たちの準備が整った 29 00:01:12,160 --> 00:01:15,256 抵抗を手放し 勇気を持ってゆだねたその年は 30 00:01:15,280 --> 00:01:17,776 銃身をにらみつけ 31 00:01:17,800 --> 00:01:20,136 空にそびえるクレーン車を歌い 身をかがめ かわし 32 00:01:20,160 --> 00:01:22,616 ヒジャブをまとい金を掴み 殺害予告を集め 33 00:01:22,640 --> 00:01:23,976 自分は憂国の士と自覚し 34 00:01:24,000 --> 00:01:27,216 「35歳になったことだし 身をかためて 同志を見つけないと」と言い 35 00:01:27,240 --> 00:01:30,376 子供のいる将来図を描き 恐怖以外は何も汚す事はなく 36 00:01:30,400 --> 00:01:32,656 自分をデブだと言いながら 本当は違う― 37 00:01:32,680 --> 00:01:33,896 完璧だと思っていた 38 00:01:33,920 --> 00:01:35,856 今年 私たちは女性であった 39 00:01:35,880 --> 00:01:37,656 誰かの嫁とか お飾りではなく 40 00:01:37,680 --> 00:01:39,176 粗悪なジェンダーではなく 41 00:01:39,200 --> 00:01:41,336 譲歩されたものではなく 女性であった 42 00:01:41,360 --> 00:01:42,656 娘たちに教えて 43 00:01:42,680 --> 00:01:46,056 従順で取るに足らない存在だった時代は 過ぎたのだと 44 00:01:46,080 --> 00:01:48,696 私たちは女性だと初めて声を上げ 45 00:01:48,720 --> 00:01:51,096 この団結を真剣に受け止めた者もいた 46 00:01:51,120 --> 00:01:53,376 子供を産んだ者もいれば 産まなかった者もいる 47 00:01:53,400 --> 00:01:55,816 誰も子を持ったかどうかで 本物の適切な真の女性だと 48 00:01:55,840 --> 00:01:57,616 決まるかなど 誰も疑いはしなかった 49 00:01:57,640 --> 00:01:59,776 もし娘に今年のことを聞かれたら― 50 00:01:59,800 --> 00:02:02,705 あなたの娘は子であろうと あなたの勝利を受け継ぐ者であろうと 51 00:02:02,729 --> 00:02:05,736 歴史の楽な立場から 女性になる目前に 52 00:02:05,760 --> 00:02:08,056 彼女は不思議がり むさぼるように聞くでしょう 53 00:02:08,080 --> 00:02:10,015 あなたの犠牲は理解できなくても 54 00:02:10,039 --> 00:02:12,816 彼女はあなたの判断を清いものと 受け止めながら 55 00:02:12,840 --> 00:02:15,336 好奇心旺盛に聞くでしょう 「どこにいたの? 56 00:02:15,360 --> 00:02:18,376 戦ったの? 怖かった? それとも恐れられた? 57 00:02:18,400 --> 00:02:20,256 後悔の壁にはなんて書いたの? 58 00:02:20,280 --> 00:02:22,936 その時を迎えたあの年に 女性のために何をしたの? 59 00:02:22,960 --> 00:02:25,856 私のために開いた道は どの骨を折って築いたものなの? 60 00:02:25,880 --> 00:02:28,136 十分やり遂げたの? 大丈夫だったの ママ? 61 00:02:28,160 --> 00:02:29,376 ママは英雄なの?」と 62 00:02:29,400 --> 00:02:31,816 娘はあなたに答えにくい 問いかけをするでしょう 63 00:02:31,840 --> 00:02:34,016 あなたのつり上がった眉にも 64 00:02:34,040 --> 00:02:35,296 拳の重さにも気づかずに 65 00:02:35,320 --> 00:02:36,976 あなたが何と答えたかとは聞きもせず 66 00:02:37,000 --> 00:02:40,376 あなたがすでに十分な犠牲を 払って育てた娘は知りたがるでしょう 67 00:02:40,400 --> 00:02:43,896 あなたは何をもたらし 何の恩恵を授け どの光を灯し続けたか? 68 00:02:43,920 --> 00:02:45,856 犠牲者が出た夜に 69 00:02:45,880 --> 00:02:47,976 熟睡していたのか それとも目を覚ましたのか? 70 00:02:48,000 --> 00:02:49,656 起きていたことで何を失ったのか? 71 00:02:49,680 --> 00:02:53,146 もう時間切れだと言った年に 自分の特権で何を行ったのか? 72 00:02:53,170 --> 00:02:54,696 他人の苦悩を飲み下したのか? 73 00:02:54,720 --> 00:02:56,856 炎から目を背けたのか それとも見据えたのか? 74 00:02:56,880 --> 00:02:59,416 自分の技量を知っていたのか それとも責任として扱ったのか? 75 00:02:59,440 --> 00:03:02,776 「卑劣」とか「及ばない」といった 侮蔑に惑わされたのか? 76 00:03:02,800 --> 00:03:05,296 開かれた心 それとも固い拳で 教えを垂れたのか? 77 00:03:05,320 --> 00:03:06,536 どこにいたの? 78 00:03:06,560 --> 00:03:08,416 娘に真実を伝えて あなたの一生をかけて 79 00:03:08,440 --> 00:03:10,416 こう宣言して 「娘よ 私はそこにいた 80 00:03:10,440 --> 00:03:12,656 刃物のように 顔面に突きつけられたその瞬間に 81 00:03:12,680 --> 00:03:14,016 私はそれを投げ返し 82 00:03:14,040 --> 00:03:15,456 あなたの場所を切り開いたのだ」と 83 00:03:15,480 --> 00:03:18,296 正直に話して 不利な条件の中 あなたがどう生きたのか 84 00:03:18,320 --> 00:03:19,576 自分は勇敢だったと言って 85 00:03:19,600 --> 00:03:21,936 いつも いつまでも 勇気を従えて 86 00:03:21,960 --> 00:03:24,256 頼れるのは 自分だけであった日も 87 00:03:24,280 --> 00:03:26,256 娘に伝えて 彼女もまた あなたと同じように― 88 00:03:26,280 --> 00:03:28,896 あなたの母やその母や その姉妹と同じように 89 00:03:28,920 --> 00:03:31,016 いつもと同じく伝説の時代に 生まれたのだと 90 00:03:31,040 --> 00:03:33,736 娘に伝えて この時に 生まれるべくして生まれたと 91 00:03:33,760 --> 00:03:35,040 これから先へと導いていくのに 92 00:03:35,520 --> 00:03:36,736 ちょうど間に合ったのだと 93 00:03:36,760 --> 00:03:44,096 (拍手)