WEBVTT

00:00:06.446 --> 00:00:09.026
2016年から2019年の間に

00:00:09.026 --> 00:00:13.321
気象学者は 世界中で
記録破りの熱波

00:00:13.321 --> 00:00:16.821
カリフォルニア州とオーストラリアで
燃え盛る山火事を観測し

00:00:16.821 --> 00:00:21.801
サイクロンが５つ連続カテゴリー５となる
記録も残しました

00:00:21.801 --> 00:00:26.611
異常気象が最近40年間増えており

00:00:26.611 --> 00:00:30.521
現在の予測では
この傾向が続くと示唆されています

00:00:30.521 --> 00:00:34.021
こういった自然災害は
単に悪天候なのでしょうか？

00:00:34.021 --> 00:00:37.451
それとも 気候変動によるもの
なのでしょうか？

00:00:37.451 --> 00:00:38.751
この疑問に答えるには

00:00:38.751 --> 00:00:42.511
天気・天候と気候の違いに関して
何点か理解する必要があります —

00:00:42.511 --> 00:00:48.022
それらが何であるのか 
どうやって予測し 予測により何がわかるのか

NOTE Paragraph

00:00:48.022 --> 00:00:52.078
気象学者は天気を
ある特定の時間と場所での

00:00:52.078 --> 00:00:54.908
大気の状態だと定義しています

NOTE Paragraph

00:00:54.908 --> 00:00:58.318
現在 研究者はある地域の天気を１週間後まで

00:00:58.318 --> 00:01:01.088
約80％の正確さで 予測することができます

00:01:01.088 --> 00:01:05.485
気候とは ある地域の１ヶ月以上にわたる

00:01:05.485 --> 00:01:08.685
平均的な大気の状態のことです

00:01:08.685 --> 00:01:13.110
気候予測は 今後何十年間にわたる
平均気温を予測できますが

00:01:13.110 --> 00:01:17.719
どんな特定の気象事象が起こるかは
予測できません

NOTE Paragraph

00:01:17.719 --> 00:01:21.775
この２種類の予測は
非常に異なる情報を提供してくれますが

00:01:21.775 --> 00:01:24.875
それは 異なるデータに基づいているからです

NOTE Paragraph

00:01:24.875 --> 00:01:26.275
天気を予測するには

00:01:26.275 --> 00:01:30.415
気象学者は大気の初期条件を
測定する必要があります

00:01:30.415 --> 00:01:35.380
初期条件とは ある地域の天気を決定する
現在の降水量 気圧 湿度

00:01:35.380 --> 00:01:40.282
風速と風向です

00:01:40.282 --> 00:01:45.063
毎日２回
気象学者は 世界中の800以上の拠点から

00:01:45.063 --> 00:01:47.983
観測気球を大気に放ちます

00:01:47.983 --> 00:01:51.923
気球には「ラジオゾンデ」という機器が
搭載されており

00:01:51.923 --> 00:01:53.444
初期条件を測定し

00:01:53.444 --> 00:01:57.284
情報を世界中の気象センターに送信します

00:01:57.284 --> 00:02:01.014
気象学者は データを
物理学の予測モデルにかけて

00:02:01.014 --> 00:02:03.954
最終的な天気予報を作成するのです

NOTE Paragraph

00:02:03.954 --> 00:02:07.394
残念ながら この世界的なデータ網を
阻んでいるものがあり

00:02:07.394 --> 00:02:09.804
完璧な予測をすることができません

00:02:09.804 --> 00:02:13.494
それは 天気が根本的に
「カオス系」だからです

00:02:13.494 --> 00:02:17.807
つまり 非常に敏感なので 
完璧な予測をするためには

00:02:17.807 --> 00:02:21.807
カオス系の全ての要素に関する
完全な情報がないと不可能なのです

00:02:21.807 --> 00:02:23.907
たったの10日間の間に

00:02:23.907 --> 00:02:30.015
非常に小さな撹乱が
大気の条件に大きな影響を与えることがあり

00:02:30.015 --> 00:02:35.278
２週間以上先の信頼できる天気の予測を
不可能にしてしまいます

NOTE Paragraph

00:02:35.278 --> 00:02:39.278
他方で 気候の予測は 天気とくらべると
乱されることがずっと少ないのです

00:02:39.278 --> 00:02:42.498
ひとつには ある地域の気候は
気候の定義からして

00:02:42.498 --> 00:02:45.398
全天候データの平均だからです

00:02:45.398 --> 00:02:48.378
もうひとつの理由として 気候の予測は

00:02:48.378 --> 00:02:50.868
現時点において
大気で起こっていることを無視し

00:02:50.868 --> 00:02:54.128
起こり得ることの幅に注目するからです

00:02:54.128 --> 00:02:57.748
このパラメーターを「境界条件」といい

00:02:57.748 --> 00:03:03.064
名前の通り 気候や天候の
制約条件として働きます

NOTE Paragraph

00:03:03.064 --> 00:03:07.186
境界条件の１つの例として
太陽放射があります

00:03:07.186 --> 00:03:12.450
ある地点と太陽との正確な距離と角度を
分析することにより

00:03:12.450 --> 00:03:16.160
その地域に降り注ぐ熱量を特定できます

00:03:16.160 --> 00:03:19.380
太陽の年間を通しての動きが
分かっていますので

00:03:19.380 --> 00:03:22.820
気温にどういう影響があるのか
正確に予測することができます

00:03:22.820 --> 00:03:25.250
何年にもわたるデータを平均すると

00:03:25.250 --> 00:03:29.742
季節を含む 定期的なパターンが
明らかになります

NOTE Paragraph

00:03:29.742 --> 00:03:34.693
大部分の境界条件は ほとんど変動しない
明確に定義された値です

00:03:34.693 --> 00:03:39.401
ですので 研究者は何年も先の気候変動を
信頼性を持って予測することができます

00:03:39.401 --> 00:03:41.741
ただ そう簡単ではありません

00:03:41.741 --> 00:03:44.421
こういった境界条件がわずかに変わるだけで

00:03:44.421 --> 00:03:48.656
カオス系である天気は 大きく変動します

00:03:48.656 --> 00:03:53.436
たとえば 地球の表面温度は
過去150年で

00:03:53.436 --> 00:03:56.256
１℃近く上昇しました

00:03:56.256 --> 00:03:58.666
これは小さな変化に思えるかもしれませんが

00:03:58.666 --> 00:04:02.226
この１度の変動をエネルギーに換算すると

00:04:02.226 --> 00:04:06.904
約百万個の核弾頭を
大気圏に投入したのと同等なのです

00:04:06.904 --> 00:04:11.545
この莫大なエネルギーにより
もう既に

00:04:11.545 --> 00:04:15.722
熱波 干ばつ 高潮の数が
劇的に増えています

NOTE Paragraph

00:04:15.722 --> 00:04:21.651
では 異常気象の原因は ランダムな偶然か
気候変動なのか どちらなのでしょうか？

00:04:21.651 --> 00:04:23.001
その答えは

00:04:23.001 --> 00:04:26.441
天気は 常にカオスに支配され続けますが

00:04:26.441 --> 00:04:31.782
気候が変動することにより
異常気象が増える可能性はあります

NOTE Paragraph

00:04:31.782 --> 00:04:36.820
世界中の科学者のほとんどが
気候が変動していること

00:04:36.820 --> 00:04:40.490
および人間の活動が変動を加速していることに
合意しています

00:04:40.490 --> 00:04:41.890
ただ 幸いにして

00:04:41.890 --> 00:04:46.253
どの人間の行動が
気候に最も影響を及ぼしているのか

00:04:46.253 --> 00:04:49.513
変化している境界条件を追跡することで
特定できます

00:04:49.513 --> 00:04:53.840
ですので 来月の天気・天候は
分からないとしても

00:04:53.840 --> 00:04:59.120
皆で協力して 今後何世紀にもわたって
気候を変動から守ることは可能です