[Script Info] Title: [Events] Format: Layer, Start, End, Style, Name, MarginL, MarginR, MarginV, Effect, Text Dialogue: 0,0:00:12.33,0:00:13.52,Default,,0000,0000,0000,,ありがとうございます Dialogue: 0,0:00:13.52,0:00:16.86,Default,,0000,0000,0000,,皆さんが満足してくれるか自信はないですが\Nまあ我慢して下さい Dialogue: 0,0:00:16.86,0:00:21.37,Default,,0000,0000,0000,,これはもしかしたら―いや たぶん\Nあまり面白い話じゃないでしょう Dialogue: 0,0:00:22.36,0:00:23.77,Default,,0000,0000,0000,,「本当の自分」は存在するか? Dialogue: 0,0:00:23.77,0:00:26.48,Default,,0000,0000,0000,,これはとても奇妙な問いに\N思えるかもしれませんね Dialogue: 0,0:00:26.48,0:00:28.71,Default,,0000,0000,0000,,なぜなら 皆さんは\Nこんな疑問をもつでしょうから Dialogue: 0,0:00:28.71,0:00:31.04,Default,,0000,0000,0000,,「本当の自分」をどうやって見つけるのか Dialogue: 0,0:00:31.04,0:00:33.30,Default,,0000,0000,0000,,どうやれば「本当の自分」を\N知ることができるのか? Dialogue: 0,0:00:33.30,0:00:34.35,Default,,0000,0000,0000,,その他いろいろ Dialogue: 0,0:00:34.35,0:00:37.18,Default,,0000,0000,0000,,しかし「本当の自分」が\N存在するはずだという考えは Dialogue: 0,0:00:37.18,0:00:38.74,Default,,0000,0000,0000,,自明のことです Dialogue: 0,0:00:38.74,0:00:41.71,Default,,0000,0000,0000,,世界中で本物と感じられるものが\Nあるとすれば それは自分です Dialogue: 0,0:00:42.01,0:00:44.11,Default,,0000,0000,0000,,しかし 私にはよく分かりません Dialogue: 0,0:00:44.11,0:00:46.96,Default,,0000,0000,0000,,少なくともその意味をもう少し\N理解する必要があります Dialogue: 0,0:00:46.96,0:00:49.95,Default,,0000,0000,0000,,確かに我々をとりまく文化には Dialogue: 0,0:00:49.95,0:00:52.50,Default,,0000,0000,0000,,各自がある種の核 つまり本質的要素を\N持つという考えを Dialogue: 0,0:00:52.50,0:00:56.06,Default,,0000,0000,0000,,ある意味 より強固にするものが\N多くあります Dialogue: 0,0:00:56.06,0:00:59.39,Default,,0000,0000,0000,,「自分らしさを定義するための\N何かが存在し Dialogue: 0,0:00:59.39,0:01:01.62,Default,,0000,0000,0000,,それは永続的で変化しない」と\Nするものです Dialogue: 0,0:01:01.62,0:01:03.99,Default,,0000,0000,0000,,なかでも最も素朴なものは Dialogue: 0,0:01:03.99,0:01:05.61,Default,,0000,0000,0000,,星占いの類です Dialogue: 0,0:01:05.61,0:01:08.22,Default,,0000,0000,0000,,人々はこういったものに実に強く傾倒し Dialogue: 0,0:01:08.22,0:01:10.61,Default,,0000,0000,0000,,Facebookのプロフィール欄に\N意味ありげに載せたりします Dialogue: 0,0:01:10.61,0:01:12.09,Default,,0000,0000,0000,,Facebookのプロフィール欄に\N意味ありげに載せたりします Dialogue: 0,0:01:12.09,0:01:14.24,Default,,0000,0000,0000,,中国式占星術に詳しい人だって\Nいるかもしれません Dialogue: 0,0:01:14.24,0:01:16.67,Default,,0000,0000,0000,,これをもっと科学的にした\Nバージョンもあります Dialogue: 0,0:01:16.67,0:01:19.70,Default,,0000,0000,0000,,性格タイプを描き出す\Nあらゆる類のもののことです Dialogue: 0,0:01:19.70,0:01:22.52,Default,,0000,0000,0000,,例えば MBTI (性格検査)\Nとかですね Dialogue: 0,0:01:22.52,0:01:24.16,Default,,0000,0000,0000,,やってみたことがあるでしょうか Dialogue: 0,0:01:24.16,0:01:26.24,Default,,0000,0000,0000,,多くの企業が雇用の時にこれを用います Dialogue: 0,0:01:26.24,0:01:28.76,Default,,0000,0000,0000,,皆さんが多くの質問項目に答えると Dialogue: 0,0:01:28.76,0:01:33.29,Default,,0000,0000,0000,,これはあなたの中核的な人格を\Nあらわにするとされています Dialogue: 0,0:01:33.29,0:01:36.48,Default,,0000,0000,0000,,そしてもちろん世間の人々には\N非常に魅力的に映ります Dialogue: 0,0:01:36.48,0:01:38.26,Default,,0000,0000,0000,,このような雑誌には Dialogue: 0,0:01:38.26,0:01:41.72,Default,,0000,0000,0000,,左下の隅に 性格云々という広告が Dialogue: 0,0:01:41.72,0:01:43.83,Default,,0000,0000,0000,,毎号のように掲載されています Dialogue: 0,0:01:43.83,0:01:45.90,Default,,0000,0000,0000,,こういった雑誌を手に取った時 Dialogue: 0,0:01:45.90,0:01:47.39,Default,,0000,0000,0000,,抗うのは難しくないですか? Dialogue: 0,0:01:47.39,0:01:49.83,Default,,0000,0000,0000,,テストに回答して自分の学習スタイルや Dialogue: 0,0:01:49.83,0:01:52.85,Default,,0000,0000,0000,,恋愛パターン 働き方のスタイルを\N探ることをです Dialogue: 0,0:01:52.85,0:01:55.11,Default,,0000,0000,0000,,あなたはこういうタイプの人ですか? Dialogue: 0,0:01:55.11,0:01:58.27,Default,,0000,0000,0000,,自分自身の核あるいは本質的要素が存在し Dialogue: 0,0:01:58.27,0:02:01.65,Default,,0000,0000,0000,,それは発見できるのだという常識を Dialogue: 0,0:02:01.65,0:02:03.20,Default,,0000,0000,0000,,我々は持っているように思います Dialogue: 0,0:02:03.20,0:02:06.32,Default,,0000,0000,0000,,さらにこれは自分自身に関する\N永遠の真実であり Dialogue: 0,0:02:06.32,0:02:09.01,Default,,0000,0000,0000,,生涯を通じて同一であるものだとも\N考えているようです Dialogue: 0,0:02:09.01,0:02:12.22,Default,,0000,0000,0000,,実は それこそが私が挑戦したい考えなのです Dialogue: 0,0:02:12.22,0:02:14.81,Default,,0000,0000,0000,,今言っておくと― \N後にも少し触れますが Dialogue: 0,0:02:14.81,0:02:17.51,Default,,0000,0000,0000,,これに挑むからといって \N私は別に変人ではありません Dialogue: 0,0:02:17.51,0:02:20.99,Default,,0000,0000,0000,,この挑戦は実のところ\N極めて由緒のあるものです Dialogue: 0,0:02:20.99,0:02:22.100,Default,,0000,0000,0000,,常識的な考えではこうです Dialogue: 0,0:02:22.100,0:02:24.19,Default,,0000,0000,0000,,あなたがいます Dialogue: 0,0:02:24.19,0:02:28.10,Default,,0000,0000,0000,,あなたは個人としてのあなたであり \Nこんな核を持っています Dialogue: 0,0:02:28.10,0:02:31.92,Default,,0000,0000,0000,,そしてもちろん人生で起きる Dialogue: 0,0:02:31.92,0:02:34.72,Default,,0000,0000,0000,,様々な経験などを蓄積していきます Dialogue: 0,0:02:34.72,0:02:36.57,Default,,0000,0000,0000,,これがあなたの記憶になります Dialogue: 0,0:02:36.57,0:02:39.47,Default,,0000,0000,0000,,これらの記憶はあなたらしさを生む\N手助けをします Dialogue: 0,0:02:39.47,0:02:41.98,Default,,0000,0000,0000,,あなたには願望があります\Nそれはクッキーかもしれないし Dialogue: 0,0:02:41.98,0:02:44.28,Default,,0000,0000,0000,,午前11時の学校で話すのが\Nはばかられるようなことかもしれません Dialogue: 0,0:02:44.28,0:02:46.45,Default,,0000,0000,0000,,午前11時の学校で話すのが\Nはばかられるようなことかもしれません Dialogue: 0,0:02:46.45,0:02:47.74,Default,,0000,0000,0000,,あなたには信念もあるでしょう Dialogue: 0,0:02:47.74,0:02:49.97,Default,,0000,0000,0000,,これはある人の\Nナンバープレートです Dialogue: 0,0:02:49.97,0:02:52.89,Default,,0000,0000,0000,,この「メシア1」という\Nナンバープレートが Dialogue: 0,0:02:52.89,0:02:55.38,Default,,0000,0000,0000,,運転手がメシアを信仰していることを\N指すのか Dialogue: 0,0:02:55.38,0:02:57.68,Default,,0000,0000,0000,,自分がメシアだという意味なのかは\N分かりませんが Dialogue: 0,0:02:57.68,0:03:00.66,Default,,0000,0000,0000,,どちらにしろ 彼らはメシアに関する\N信念を持っている訳です Dialogue: 0,0:03:00.66,0:03:02.12,Default,,0000,0000,0000,,我々は知識を持っています Dialogue: 0,0:03:02.12,0:03:04.38,Default,,0000,0000,0000,,同様に 感覚や経験も持っています Dialogue: 0,0:03:04.38,0:03:06.90,Default,,0000,0000,0000,,単に理知的なものだけでは\Nありません Dialogue: 0,0:03:06.90,0:03:09.42,Default,,0000,0000,0000,,今紹介したのは\Nその人らしさを考える際の Dialogue: 0,0:03:09.42,0:03:10.65,Default,,0000,0000,0000,,常識的なモデルだと思います Dialogue: 0,0:03:10.65,0:03:16.19,Default,,0000,0000,0000,,つまり人生経験を全て抱えた\N1人の人がいるという考えです Dialogue: 0,0:03:16.19,0:03:19.08,Default,,0000,0000,0000,,しかし今日私が皆さんに\N提起したいのは Dialogue: 0,0:03:19.08,0:03:22.35,Default,,0000,0000,0000,,このモデルには根本的に\N誤りがあるということです Dialogue: 0,0:03:22.35,0:03:24.93,Default,,0000,0000,0000,,何が誤りなのか 1クリックで\Nお見せしましょう Dialogue: 0,0:03:24.93,0:03:30.77,Default,,0000,0000,0000,,この全経験の中心に 「あなた」は \N実際にはいないのです Dialogue: 0,0:03:31.76,0:03:33.25,Default,,0000,0000,0000,,奇妙な考えでしょうか? \Nいいえ Dialogue: 0,0:03:33.25,0:03:35.25,Default,,0000,0000,0000,,ではそこに 何があると言うのでしょう? Dialogue: 0,0:03:35.25,0:03:38.19,Default,,0000,0000,0000,,記憶や願望 意図 感覚\Nその他諸々は Dialogue: 0,0:03:38.19,0:03:39.68,Default,,0000,0000,0000,,明らかに存在します Dialogue: 0,0:03:39.68,0:03:42.40,Default,,0000,0000,0000,,しかし実際には \Nこれらのものは存在し Dialogue: 0,0:03:42.40,0:03:44.60,Default,,0000,0000,0000,,何らかの形で全てが統合され Dialogue: 0,0:03:44.60,0:03:47.95,Default,,0000,0000,0000,,重なり合ったり \N様々な形で結びついたりしています Dialogue: 0,0:03:47.95,0:03:50.78,Default,,0000,0000,0000,,結びつきは一部だけの場合も \N大部分の場合もあるでしょう Dialogue: 0,0:03:50.78,0:03:54.29,Default,,0000,0000,0000,,なぜならそれらは全て\N1つの身体 1つの脳に属しているからです Dialogue: 0,0:03:54.29,0:03:57.19,Default,,0000,0000,0000,,しかし我々は自分について物語を形づくります Dialogue: 0,0:03:57.19,0:04:00.13,Default,,0000,0000,0000,,それは我々が過去の事柄を思い出す時に\N行うことです Dialogue: 0,0:04:00.13,0:04:02.54,Default,,0000,0000,0000,,我々がある事をするのは\N別の事に影響されたからです Dialogue: 0,0:04:02.54,0:04:06.24,Default,,0000,0000,0000,,我々の願望は信念の結果でもあり Dialogue: 0,0:04:06.24,0:04:09.77,Default,,0000,0000,0000,,我々が想起することは \N知識を反映してもいます Dialogue: 0,0:04:09.77,0:04:12.07,Default,,0000,0000,0000,,そうであるからこそ Dialogue: 0,0:04:12.07,0:04:15.00,Default,,0000,0000,0000,,信念、願望、感覚、経験といったもの全ては Dialogue: 0,0:04:15.00,0:04:17.68,Default,,0000,0000,0000,,関連しあって存在しており Dialogue: 0,0:04:17.68,0:04:20.22,Default,,0000,0000,0000,,その在り方が「あなた」に他なりません Dialogue: 0,0:04:22.29,0:04:26.26,Default,,0000,0000,0000,,それは常識的理解と\N大差ない場合もあれば Dialogue: 0,0:04:26.26,0:04:28.22,Default,,0000,0000,0000,,大幅に違う場合もあります Dialogue: 0,0:04:28.22,0:04:30.33,Default,,0000,0000,0000,,それは人生の全経験をもつ存在として\N自分を捉えることから Dialogue: 0,0:04:30.33,0:04:33.73,Default,,0000,0000,0000,,それは人生の全経験をもつ存在として\N自分を捉えることから Dialogue: 0,0:04:33.73,0:04:36.53,Default,,0000,0000,0000,,単に人生の全経験を寄せ集めた存在であると\N捉えることへのシフトです Dialogue: 0,0:04:36.53,0:04:38.67,Default,,0000,0000,0000,,単に人生の全経験を寄せ集めた存在であると\N捉えることへのシフトです Dialogue: 0,0:04:38.67,0:04:41.07,Default,,0000,0000,0000,,あなたはあなたを構成する部品を\N合体させたものなのです Dialogue: 0,0:04:41.07,0:04:43.87,Default,,0000,0000,0000,,もちろんこの部品とは\N身体の部位も指します Dialogue: 0,0:04:43.87,0:04:45.74,Default,,0000,0000,0000,,たとえば脳 胴体 脚などですが Dialogue: 0,0:04:45.74,0:04:47.86,Default,,0000,0000,0000,,実は それらはあまり\N重要な部品ではありません Dialogue: 0,0:04:47.86,0:04:50.74,Default,,0000,0000,0000,,もしあなたが心臓移植を受けても\Nあなたは依然として同一人物です Dialogue: 0,0:04:50.74,0:04:53.34,Default,,0000,0000,0000,,もし移植されるのが記憶だとしたら? Dialogue: 0,0:04:53.34,0:04:56.39,Default,,0000,0000,0000,,信念の移植を受けても\N同一人物といえるでしょうか? Dialogue: 0,0:04:56.39,0:05:00.74,Default,,0000,0000,0000,,この 「自分はどんな人間か」 \Nつまり自己理解のあり方に関して Dialogue: 0,0:05:00.74,0:05:05.16,Default,,0000,0000,0000,,自分は経験を抱えた永続的な存在であると\N考えるのではなく Dialogue: 0,0:05:05.16,0:05:07.99,Default,,0000,0000,0000,,経験の寄せ集めであると考えるのは Dialogue: 0,0:05:07.99,0:05:10.66,Default,,0000,0000,0000,,ある種 奇妙に聞こえるかもしれません Dialogue: 0,0:05:10.66,0:05:13.00,Default,,0000,0000,0000,,しかし私はそう思いません Dialogue: 0,0:05:13.00,0:05:14.80,Default,,0000,0000,0000,,ある意味 これは常識的なことです Dialogue: 0,0:05:14.80,0:05:17.72,Default,,0000,0000,0000,,私は皆さんに Dialogue: 0,0:05:17.72,0:05:21.51,Default,,0000,0000,0000,,最も根源的な力についてではなく Dialogue: 0,0:05:21.93,0:05:25.36,Default,,0000,0000,0000,,世界の物一般の在り方と比較して\N考えてもらいたいだけです Dialogue: 0,0:05:25.53,0:05:27.78,Default,,0000,0000,0000,,たとえば水について考えてみましょう Dialogue: 0,0:05:27.78,0:05:30.19,Default,,0000,0000,0000,,私は理科があまり得意ではありませんけどね Dialogue: 0,0:05:30.19,0:05:32.88,Default,,0000,0000,0000,,我々の言い方では\N水は水素を2つと Dialogue: 0,0:05:32.88,0:05:35.10,Default,,0000,0000,0000,,酸素を1つ持っていますね? Dialogue: 0,0:05:35.10,0:05:36.67,Default,,0000,0000,0000,,我々はそれをよく知っています Dialogue: 0,0:05:36.67,0:05:40.04,Default,,0000,0000,0000,,ここにおられる皆さんは Dialogue: 0,0:05:40.04,0:05:43.89,Default,,0000,0000,0000,,「水」と呼ばれるものがまず存在し Dialogue: 0,0:05:43.89,0:05:46.86,Default,,0000,0000,0000,,それに水素や酸素が\N付属している とは定義しませんね Dialogue: 0,0:05:46.86,0:05:48.16,Default,,0000,0000,0000,,それに水素や酸素が\N付属している とは定義しませんね Dialogue: 0,0:05:48.16,0:05:49.60,Default,,0000,0000,0000,,もちろんです Dialogue: 0,0:05:49.60,0:05:52.67,Default,,0000,0000,0000,,水は 水素分子と酸素分子が \N適切に配置された物にすぎず Dialogue: 0,0:05:52.67,0:05:54.35,Default,,0000,0000,0000,,水は 水素分子と酸素分子が \N適切に配置された物にすぎず Dialogue: 0,0:05:54.35,0:05:58.71,Default,,0000,0000,0000,,それ以上の何物でもないことを\N我々は当たり前のように知っています Dialogue: 0,0:05:59.08,0:06:01.53,Default,,0000,0000,0000,,世の中の一切のものはこれと同じです Dialogue: 0,0:06:01.53,0:06:04.21,Default,,0000,0000,0000,,例えばこの時計も全く\N謎めいたものではありません Dialogue: 0,0:06:05.22,0:06:08.20,Default,,0000,0000,0000,,私たちの言い方では\N時計は盤面と針 それから Dialogue: 0,0:06:08.20,0:06:09.90,Default,,0000,0000,0000,,機械部分と電池で構成されています Dialogue: 0,0:06:09.90,0:06:11.35,Default,,0000,0000,0000,,しかし私たちは Dialogue: 0,0:06:11.35,0:06:13.17,Default,,0000,0000,0000,,「時計」と言われるものがまずあり Dialogue: 0,0:06:13.17,0:06:15.49,Default,,0000,0000,0000,,それに先ほどの部品を\Nくっつけたのだとは考えません Dialogue: 0,0:06:15.49,0:06:18.69,Default,,0000,0000,0000,,我々は時計は部品が入手され\Nそれを寄せ集めて作られると Dialogue: 0,0:06:18.69,0:06:21.17,Default,,0000,0000,0000,,とても明快に理解しています Dialogue: 0,0:06:21.17,0:06:23.64,Default,,0000,0000,0000,,さてもし全ての物が\Nこんなふうにできているとすれば Dialogue: 0,0:06:23.64,0:06:25.72,Default,,0000,0000,0000,,自分はそれと違うと\Nなぜ言えるのでしょう? Dialogue: 0,0:06:25.72,0:06:27.39,Default,,0000,0000,0000,,なぜ自分を Dialogue: 0,0:06:27.39,0:06:31.19,Default,,0000,0000,0000,,部品の寄せ集めにすぎないと見ずに Dialogue: 0,0:06:31.19,0:06:35.77,Default,,0000,0000,0000,,それらの部品をもった\N独立した永久的な実体と見なすのでしょう? Dialogue: 0,0:06:36.39,0:06:39.28,Default,,0000,0000,0000,,この見方は実のところ\N特に新しいものではありません Dialogue: 0,0:06:39.28,0:06:40.73,Default,,0000,0000,0000,,これには長い経緯があるのです Dialogue: 0,0:06:40.73,0:06:42.34,Default,,0000,0000,0000,,それは仏教や Dialogue: 0,0:06:42.34,0:06:44.98,Default,,0000,0000,0000,,ロックやヒュームなど Dialogue: 0,0:06:44.98,0:06:48.75,Default,,0000,0000,0000,,17、18世紀に始まり現在に続く哲学にも\N見られます Dialogue: 0,0:06:48.75,0:06:50.57,Default,,0000,0000,0000,,しかし面白いことに Dialogue: 0,0:06:50.57,0:06:54.29,Default,,0000,0000,0000,,この見方は神経科学からの\N支持を増しつつあるのです Dialogue: 0,0:06:54.93,0:06:58.39,Default,,0000,0000,0000,,こちらはポール・ブロックス\N臨床神経心理士です Dialogue: 0,0:06:58.39,0:06:59.82,Default,,0000,0000,0000,,彼はこう言います Dialogue: 0,0:06:59.82,0:07:02.46,Default,,0000,0000,0000,,「私たちには 核 つまり\N本質的要素が実在するという Dialogue: 0,0:07:02.46,0:07:04.78,Default,,0000,0000,0000,,深い本能があり\Nそれを振り払うのは難しい Dialogue: 0,0:07:04.78,0:07:07.69,Default,,0000,0000,0000,,恐らく不可能だ Dialogue: 0,0:07:07.69,0:07:11.37,Default,,0000,0000,0000,,しかし脳には全ての事が\N集まってくる中心がないことを Dialogue: 0,0:07:11.37,0:07:13.92,Default,,0000,0000,0000,,神経科学が示しているのは真実である」と Dialogue: 0,0:07:13.92,0:07:16.26,Default,,0000,0000,0000,,ですから皆さんが脳を見て Dialogue: 0,0:07:16.26,0:07:20.14,Default,,0000,0000,0000,,どうやって自分という感覚が\N生み出されているか知れば Dialogue: 0,0:07:20.14,0:07:23.98,Default,,0000,0000,0000,,統制を司る中心点が\N脳にはないことが分かるでしょう Dialogue: 0,0:07:23.98,0:07:27.04,Default,,0000,0000,0000,,そこで全ての事が生じる中枢のようなものは\N存在しないのです Dialogue: 0,0:07:27.04,0:07:29.67,Default,,0000,0000,0000,,脳の中では実に多種多様なプロセスが\N進行しており Dialogue: 0,0:07:29.67,0:07:32.74,Default,,0000,0000,0000,,各プロセスは 言わばはっきりと独立して\N実行されています Dialogue: 0,0:07:32.74,0:07:35.59,Default,,0000,0000,0000,,しかし我々が自分という感覚を得るのは Dialogue: 0,0:07:35.59,0:07:38.05,Default,,0000,0000,0000,,まさに各プロセスの\Nそのような関係のあり方によるのです Dialogue: 0,0:07:38.05,0:07:41.70,Default,,0000,0000,0000,,このことを私の著書では\N「エゴ・トリック」という言葉で表しています Dialogue: 0,0:07:43.41,0:07:46.49,Default,,0000,0000,0000,,これは機械的なカラクリのようなものです Dialogue: 0,0:07:46.97,0:07:49.35,Default,,0000,0000,0000,,それは私たちが存在しないという\N意味ではありません Dialogue: 0,0:07:49.35,0:07:52.49,Default,,0000,0000,0000,,そのトリックによってこそ私たちは Dialogue: 0,0:07:52.49,0:07:55.62,Default,,0000,0000,0000,,実際よりも統合的な何かが\N自分の中に存在すると感じるのです Dialogue: 0,0:07:55.62,0:07:58.86,Default,,0000,0000,0000,,今皆さんはこの考え方に対して\N心配を抱いたかもしれません Dialogue: 0,0:07:58.86,0:08:01.40,Default,,0000,0000,0000,,もしその考えが正しいとすれば Dialogue: 0,0:08:01.40,0:08:05.38,Default,,0000,0000,0000,,つまり 自己の核 または\N永続的な本質的要素を Dialogue: 0,0:08:05.38,0:08:07.23,Default,,0000,0000,0000,,誰も持っていないとすれば Dialogue: 0,0:08:07.23,0:08:11.15,Default,,0000,0000,0000,,それは自分という存在が\N幻想であることを意味するのでしょうか? Dialogue: 0,0:08:11.15,0:08:13.42,Default,,0000,0000,0000,,それは自分が存在しないという\N意味なのでしょうか? Dialogue: 0,0:08:13.42,0:08:15.32,Default,,0000,0000,0000,,確かに「本当のあなた」はいません Dialogue: 0,0:08:15.32,0:08:19.20,Default,,0000,0000,0000,,実際に多くの人が この幻想や\Nそれに類するものについて語っています Dialogue: 0,0:08:19.20,0:08:22.59,Default,,0000,0000,0000,,この3人は心理学者のトーマス・メッツィンガー\Nブルース・フード Dialogue: 0,0:08:22.59,0:08:24.51,Default,,0000,0000,0000,,スーザン・ブラックモアです Dialogue: 0,0:08:24.51,0:08:27.68,Default,,0000,0000,0000,,彼らをはじめ多くの人たちが\N幻想という言葉で語っています Dialogue: 0,0:08:27.68,0:08:29.100,Default,,0000,0000,0000,,「自分とは幻想であり フィクションである」 と Dialogue: 0,0:08:29.100,0:08:32.78,Default,,0000,0000,0000,,しかしこれが有益な見方であるとは\N私はそれほど思いません Dialogue: 0,0:08:32.78,0:08:34.35,Default,,0000,0000,0000,,時計の話に戻ります Dialogue: 0,0:08:34.35,0:08:37.82,Default,,0000,0000,0000,,この時計は部品の寄せ集め以上の\N何物でもありませんが Dialogue: 0,0:08:37.82,0:08:40.05,Default,,0000,0000,0000,,だからといって幻想ではありません Dialogue: 0,0:08:40.05,0:08:42.61,Default,,0000,0000,0000,,同じように\N我々もまた幻想ではありません Dialogue: 0,0:08:42.61,0:08:47.55,Default,,0000,0000,0000,,自分がいろいろな意味で\N単に非常に複雑で整然とした Dialogue: 0,0:08:47.55,0:08:49.23,Default,,0000,0000,0000,,物事の寄せ集めであるからといって Dialogue: 0,0:08:49.23,0:08:51.50,Default,,0000,0000,0000,,自分が現実に存在しないと\Nいうことにはなりません Dialogue: 0,0:08:51.50,0:08:54.41,Default,,0000,0000,0000,,これに関してちょっとした例え話を\Nしましょうね Dialogue: 0,0:08:54.41,0:08:56.64,Default,,0000,0000,0000,,滝を考えてみましょう Dialogue: 0,0:08:56.64,0:08:59.40,Default,,0000,0000,0000,,これはアルゼンチンにある\Nイグナスの滝です Dialogue: 0,0:09:00.52,0:09:02.62,Default,,0000,0000,0000,,今こういうものを取り上げてみると Dialogue: 0,0:09:02.62,0:09:05.37,Default,,0000,0000,0000,,良く分かると思いますが\Nいろいろな意味で Dialogue: 0,0:09:05.37,0:09:07.54,Default,,0000,0000,0000,,ここには永続的な物は何もありません Dialogue: 0,0:09:07.54,0:09:09.40,Default,,0000,0000,0000,,第一に これは常に変化し続けています Dialogue: 0,0:09:09.40,0:09:12.25,Default,,0000,0000,0000,,水は常に新しい流路を\N切り開いていきます Dialogue: 0,0:09:12.25,0:09:14.46,Default,,0000,0000,0000,,それらの変化や\N潮の満ち引き、天候によって Dialogue: 0,0:09:14.46,0:09:18.29,Default,,0000,0000,0000,,ある物は干上がってしまったり\Nあるいは新しい物が作られたりします Dialogue: 0,0:09:18.98,0:09:22.14,Default,,0000,0000,0000,,もちろん滝を流れ落ちる水は Dialogue: 0,0:09:22.14,0:09:24.58,Default,,0000,0000,0000,,瞬間ごとに異なります Dialogue: 0,0:09:24.58,0:09:28.22,Default,,0000,0000,0000,,しかしだからといって\Nこのイグアスの滝が幻想で Dialogue: 0,0:09:28.22,0:09:30.30,Default,,0000,0000,0000,,現実でないという意味にはなりません Dialogue: 0,0:09:30.30,0:09:32.18,Default,,0000,0000,0000,,このことが意味するのは Dialogue: 0,0:09:32.18,0:09:34.94,Default,,0000,0000,0000,,それが歴史をもつ\N1つのまとまりとして捉えるべきである一方 Dialogue: 0,0:09:34.94,0:09:37.88,Default,,0000,0000,0000,,それがプロセスまたは流動的であり\N永遠に変化し続けていることを Dialogue: 0,0:09:37.88,0:09:40.59,Default,,0000,0000,0000,,我々が理解しなければ\Nならないということです Dialogue: 0,0:09:40.59,0:09:43.99,Default,,0000,0000,0000,,そしてこれが自分を理解するための\N1つのモデルだと私は考えます Dialogue: 0,0:09:43.99,0:09:46.17,Default,,0000,0000,0000,,これは解放的なモデルだと思います Dialogue: 0,0:09:46.17,0:09:49.06,Default,,0000,0000,0000,,なぜならもし皆さんが \Nこの固定的・永続的で Dialogue: 0,0:09:49.06,0:09:51.87,Default,,0000,0000,0000,,生涯にわたり常に同一の本質を\N何であれ持っていると考えるならば Dialogue: 0,0:09:51.87,0:09:54.39,Default,,0000,0000,0000,,ある意味皆さんは囚われの身です Dialogue: 0,0:09:54.39,0:09:56.98,Default,,0000,0000,0000,,あなたはある本質的要素をもって生まれ Dialogue: 0,0:09:56.98,0:09:59.52,Default,,0000,0000,0000,,あなたという人間は死ぬまでそのままです Dialogue: 0,0:09:59.52,0:10:02.67,Default,,0000,0000,0000,,もし死後の世界を信じているなら\Nそれはまだ続くでしょう Dialogue: 0,0:10:02.67,0:10:05.41,Default,,0000,0000,0000,,しかしもし皆さんが\N自分という存在を Dialogue: 0,0:10:05.41,0:10:08.76,Default,,0000,0000,0000,,そのようなものではなく\Nある種のプロセス つまり Dialogue: 0,0:10:08.76,0:10:11.00,Default,,0000,0000,0000,,変化し続けるものだと考えるなら Dialogue: 0,0:10:11.00,0:10:13.14,Default,,0000,0000,0000,,それは非常に解放的なことでしょう Dialogue: 0,0:10:13.14,0:10:15.48,Default,,0000,0000,0000,,なぜなら滝の場合と違って我々には Dialogue: 0,0:10:15.48,0:10:17.83,Default,,0000,0000,0000,,自分の目指す方向を Dialogue: 0,0:10:17.83,0:10:21.91,Default,,0000,0000,0000,,ある程度は自分で決める力が\Nあるからです Dialogue: 0,0:10:21.91,0:10:23.94,Default,,0000,0000,0000,,ここで慎重にならないといけません \Nでしょう? Dialogue: 0,0:10:23.94,0:10:27.15,Default,,0000,0000,0000,,もしあなたが自分の知られざる可能性を\N過剰に重視してしまうと Dialogue: 0,0:10:27.15,0:10:29.67,Default,,0000,0000,0000,,思いどおりの自分になれると\N信じ込んでしまいます Dialogue: 0,0:10:29.67,0:10:31.01,Default,,0000,0000,0000,,それは真実ではありません Dialogue: 0,0:10:31.01,0:10:33.51,Default,,0000,0000,0000,,私は今朝素晴らしいミュージシャンの\N演奏を聴きましたが Dialogue: 0,0:10:33.51,0:10:36.99,Default,,0000,0000,0000,,自分があんな風に上手にできるとは\N決して思いません Dialogue: 0,0:10:36.99,0:10:39.38,Default,,0000,0000,0000,,一生懸命練習すれば\N上手にはなるかもしれませんが Dialogue: 0,0:10:39.38,0:10:42.27,Default,,0000,0000,0000,,私にはあんな生まれつきの\N才能はありません Dialogue: 0,0:10:42.27,0:10:44.79,Default,,0000,0000,0000,,人が成し遂げられることには\N限界があります Dialogue: 0,0:10:44.79,0:10:47.35,Default,,0000,0000,0000,,どんな自分になれるかについても\N限界はあります Dialogue: 0,0:10:47.35,0:10:49.86,Default,,0000,0000,0000,,それにも関わらず 我々には Dialogue: 0,0:10:49.86,0:10:53.50,Default,,0000,0000,0000,,自分で自分を形づくる一種の力があります Dialogue: 0,0:10:54.04,0:10:56.36,Default,,0000,0000,0000,,「本当の自分」とは \Nかつて言われていたような Dialogue: 0,0:10:56.36,0:11:00.12,Default,,0000,0000,0000,,発見されるような性質のものでは\Nありません Dialogue: 0,0:11:00.12,0:11:03.70,Default,,0000,0000,0000,,心の中をのぞいても本当の自分は\N見つかりません Dialogue: 0,0:11:03.70,0:11:05.65,Default,,0000,0000,0000,,少なくとも部分的には Dialogue: 0,0:11:05.65,0:11:08.24,Default,,0000,0000,0000,,本当の自分を\N実際には自ら作り出しているのです Dialogue: 0,0:11:08.24,0:11:10.36,Default,,0000,0000,0000,,これは極めて有意義なことだと思います Dialogue: 0,0:11:10.36,0:11:12.53,Default,,0000,0000,0000,,特に皆さんのライフステージではそうです Dialogue: 0,0:11:12.53,0:11:14.08,Default,,0000,0000,0000,,皆さんは 自分の多くの部分が Dialogue: 0,0:11:14.08,0:11:16.10,Default,,0000,0000,0000,,ここ数年でいかに変化したか\N分かるでしょう Dialogue: 0,0:11:16.10,0:11:19.06,Default,,0000,0000,0000,,もし皆さんが自分の映った\N3、4年前の動画を見たら Dialogue: 0,0:11:19.06,0:11:22.64,Default,,0000,0000,0000,,気恥ずかしいでしょうね\Nだって自分の姿だと分からないから Dialogue: 0,0:11:22.64,0:11:25.84,Default,,0000,0000,0000,,そこで私はこれを皆さんに伝えたいのです\N我々に必要なのは Dialogue: 0,0:11:25.84,0:11:28.59,Default,,0000,0000,0000,,自分という存在を \N自ら形作り 方向づけ 変えられるものとして Dialogue: 0,0:11:28.59,0:11:29.90,Default,,0000,0000,0000,,捉えることです Dialogue: 0,0:11:29.90,0:11:31.44,Default,,0000,0000,0000,,再びこれは仏陀の言葉です Dialogue: 0,0:11:31.44,0:11:33.26,Default,,0000,0000,0000,,「井戸職人は見事に水を導き Dialogue: 0,0:11:33.26,0:11:34.81,Default,,0000,0000,0000,,矢師は見事に矢の曲がりを直し Dialogue: 0,0:11:34.81,0:11:36.84,Default,,0000,0000,0000,,大工は丸太を見事にまっすぐにし Dialogue: 0,0:11:36.84,0:11:40.28,Default,,0000,0000,0000,,賢人は見事に自分自身を形作る」 Dialogue: 0,0:11:40.60,0:11:42.96,Default,,0000,0000,0000,,皆さんに覚えておいてほしいのは Dialogue: 0,0:11:42.96,0:11:48.82,Default,,0000,0000,0000,,「本当の自分」とは\N追い求めても永遠に見つからないような Dialogue: 0,0:11:49.13,0:11:51.90,Default,,0000,0000,0000,,謎めいたものではないということです Dialogue: 0,0:11:51.90,0:11:54.34,Default,,0000,0000,0000,,「本当の自分」が存在すると言う場合 Dialogue: 0,0:11:54.34,0:11:56.82,Default,,0000,0000,0000,,それはあなたの発見による部分も\Nあるでしょうが Dialogue: 0,0:11:56.82,0:11:59.32,Default,,0000,0000,0000,,あなた自身が作り出すものでもあるのです Dialogue: 0,0:11:59.32,0:12:03.45,Default,,0000,0000,0000,,これは解放的でわくわくする見方だと\N私は考えます Dialogue: 0,0:12:04.01,0:12:05.58,Default,,0000,0000,0000,,ありがとうございました Dialogue: 0,0:12:05.58,0:12:07.57,Default,,0000,0000,0000,,(拍手)